このページは、2019年3月に保存されたアーカイブです。最新の内容ではない場合がありますのでご注意ください


鳥海山(ちょうかいさん)   パート1

 

10月中旬、夜行に乗り山形県遊佐(ゆざ)に着いたのは、午 前5時20分。しかし外は雨が降っていた。しばらくすれば止むのかなあと思い7時過ぎまで待っていたが止みそうにないので仕方なく出発する。

鳥海山を反時計回りで自転車で走るつもりでやってきたが、寝 台の揺れでは眠れず、1、2時間しか睡眠がとれなかった。  が、それほどの距離でもないしけっこうのんびりと走れるので短い睡眠はあまり気にする必要は ないと気にもとめなかった。

2時間ほど舗装路を走ると、意外にも行く手にはダートが待ち 構えていた。

地図には、そんなことが書いていなかったので予定外の出来事である。全てが舗装路と考えそのための自転車選 びをしてきたのである。

しかも天気は、悪くなる一方である。どしゃぶりの中を走らざるえなくなった。時より見せる青空が救いで、そ れを励みにしているとだんだん天気も回復してきた。

1、2時間走ると、二股に出合った。標識はなくどちらを選んで走ればいいのか判らず、優先的な道を選んで走 ることにした。

なんの疑いもなく突き進み、途中に車も置いてあったので間違いのない道と判断した。しかし! 行けば行くほ ど道が狭くなり、最後は薮になってしまった。仕方なく引き返すはめになったが、自転車でのこのような行動は本当に辛い。

帰りに途中に置いてあった車の人がちょうど居たので聞いてみると(この人は、山菜取りかキノコ狩りの人だと 思う)さっきの二股を左に行けば良いと言われた。かなり厳しい道だよと言われたが、ここまで来た以上、それになにより予約してある宿に行けないのが、なん とも悔しいのでとにかく行くことにした。

それにしても、判りずらいのに標識もなく、この先行き止まり の合図もないのは、どうしてなのか。もしかして地元の人しか通らない道なのかもしれない。

道は、かなり厳しく走るよりも押して歩く方が多くなった。頂上がどこなのか判らず、アップダウンを繰り返 し、もしかして峠というものはないのかもしれないと思った。

余談だが、峠という漢字は中国から伝来した漢字ではなく日本 で作られた漢字だという。中国という国は、峠らしいものがない国なのではないだろうか。

かなりひどい道から、少しだけフラットな道になった。時々秋田ナンバーの車に出合う。もしかしたら山形から 秋田へと変わったのではと思う。これまた標識もない。

ある山形の人から聞いた話だが、鳥海山を巡って秋田県山形県 が、あれはうちの山だといって敵対しているという話を聞いたことがある。標識がないというのは、そのような理由もあるのだろうか。

暗くならないうちに、このダートから早く逃げ出したいと思 い、焦り気味に走っていた。

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