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北陸本線を走る車両たち

 特急街道と呼ばれる北陸本線には、多くの特急車両が行き交っている。
 普通列車に目をやっても、元特急車両、元急行車両、ノーマルな近郊型車両と、見ていて飽きることはない。
 そんな北陸路の列車を、ここでは簡単に紹介してみたいと思う。

 

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415系(800番台)

 113系に485系から捻出した交流機器を装備させた車両で、800番台を名乗る。1991年の七尾線電化の際に導入された。
 専ら七尾線の専用車となっているが、全ての列車が北陸本線の金沢まで乗り入れる。一部は美川、小松まで乗り入れる便も。
 車内は大幅に手を加えられており、ボックスシートはシートピッチを拡大したうえで、バケットタイプの椅子に交換、それに伴い、ドア横の2人掛けロングシートは撤去された。これは、急行“能登路”運用を考慮したものであり、実際2001年3月まで同車が急行運用に就いていた。
 塗装はご覧のようにケバケバしいもので賛否両論あるようだが、JR西日本はコスト削減を名目に鋼製車の単色化を進めており、同車は輪島漆器をイメージした赤一色に変更される。

 

413系

 80年代、北陸本線の普通列車は、機関車牽引の客車列車と急行型の475系、583系改造の419系のみだった。しかし前者はデッキ持ち、後者は狭い扉持ちという、ラッシュ時泣かせのラインナップだった。
 そこで475系の「車体更新改造」という名目で、電気機器や台車などは再利用するものの、車体は完全新製されて誕生したのが、413系だ。幅広の両開き扉(半自動機能あり)が採用され、デッキは無し、ドア付近はロングシートにするなど、ラッシュ時の乗降性が飛躍的に向上した。
 基本的に増結等は行わないが、一応可能ではある。
 コスト削減の一環で、塗装変更がアナウンスされている。

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419系

 1985年3月のダイヤ改正に合わせて導入された車両。その特徴は何と言っても583系列から改造されたことにある。
 80年代、国鉄はそれまでの累積債務が問題視され、客車普通列車を置き換える車両の新製に手が回らなかった。そこで少しでもコストを抑えるべく、475系の改造で前述の413系が製造されたほか、新幹線開業による夜行列車の減少で、当時余剰となっていた583系列を近郊型車両に改造するに至った。
 改造に当たり、デッキの撤去、一部窓の開閉可能化、扉の増設を行ったが、洗面所はカバーをかけただけでそのまま、寝台装置も開閉部を固定する程度という、必要最低限のことをしただけという感じだった。
 列車の増発には一役買ったものの、狭いドアや定員の低さなどが問題となっており、2010年11月までに廃車となることが予定されている。そのため、塗装変更は行われない予定だ。

 

475系列

 元々は急行列車に使われていた車両だが、客車列車を置き換える目的で、ローカル運用に転用されている。
 471系、473系、475系と存在するが、473は471の出力増強版、475は473に抑速ブレーキを装備しただけで、基本的にはどれも同じである。ただ、抑速ブレーキ装備の475系と未装備系列が連結する場合、抑速ブレーキは使用できない。
 兄弟分に451系列が存在するが、同車は交流50Hz用、471系列は交流60Hz用である。なお、制御車と付随車(クハとサハ類)はこれら周波数の影響を受けないため、全て451系列となっている。
 A16,A19編成は急行色に復元されているが、前者のクハは車体裾部の細帯が省略されており、455系のイメージを出している。
 金沢所属の475系列は原形ライトを留めているものが多く、特に急行色が人気を集めている。しかしながら、コスト削減として単色化することがアナウンスされており、この急行色がどのように扱われるか気になるところだ。

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521系

 2006年、敦賀直流化と同時に、滋賀県と福井県が製造費用を負担して導入、419系の一部を置き換えた。公費で製造されたため、これまで滋賀県と福井県を中心に運転されてきたが(北陸本線では福井まで)、2010年3月のダイヤ改正より、金沢総合車両所向けの車両が導入され、従来の普通列車のうち、老巧化の激しい24両を置き換えている。
 3扉2両という、“扉増やして両数減らす”新車導入の暗黙ルール(?)を保持した車両であるが、クロスシート、車椅子対応トイレ、車内案内設備、ボタン式半自動ドアなど、居住環境は飛躍的に向上している。
 従来車と比べると急激な近代化を遂げており、石川県内を運行する普通列車としては、約47年ぶりの新製車両の登場となった。

 

485系(京キト車)

 1964年に登場し、国鉄時代の特急列車の代表格となった車両、それが485系である。475系列同様、交流周波数の対応で系式区分があるが、制御車と付随車は共通して481系を名乗っている。
 特急“雷鳥”の運用をこなしているほか、団体列車にも度々使用され、その機動性をアピール、また、遅延時に“サンダーバード”の代走運転を務めた経験も持つ。
 それまで9連という堂々とした姿で走っていたが、2010年3月のダイヤ改正より、平常時の6連化、定期1往復化が行われ、細々と生き残る程度になってしまった。JR西は平成22年度を目処に雷鳥の置き換えを発表しており、雷鳥としての活躍を見れるのは、残りあと僅かだ。

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485系(新ニイ車)

 特急“北越”として、1日5往復、北陸本線に乗り入れている。
 車両はJR東日本の新潟車両センター持ちで、写真の1000番台上沼垂のほか、国鉄色編成やリニューアル車(3000番台)も運用に入る。1000番台車両であっても、中間の指定席車両はリニューアル車と同じ座席が使われていて、サービス向上が図られている。一方、自由席車両は従来の簡易リクライニングシートをバケット化したものや、元“雷鳥”の車両が組み込まれるなど、少々ばらつきがある。
 この特急“北越”だが、北陸新幹線が開業すると、直江津付近〜金沢間で運転区間が被ることに加え、直江津〜新潟間では特別料金不要の快速“くびき野”と被っており、新幹線開業後の動向が気になる列車の一つだ。

 

489系

 先頭のボンネットが昭和の香りを漂わせる489系。長らく急行“能登”として活躍してきたが、定期運用を失った今、数少ない団体列車としての出番を待っている。
 元々は碓氷峠越えでEF63型電気機関車と協調運転をすることを目的に、1971年に登場した。主に特急“白山”などで活躍したのち、碓氷峠が廃線となると、唯一の定期運用として“能登”の仕事に就いた。
 事故や遅延時の代走として、特急“雷鳥”,“北越”,“はくたか”,“しらさぎ”、そして“サンダーバード”の運転経験を持つ。実際特急代走はコンプリートしており、「共通予備編成」としての役割を十分に果たしている。
 なお、協調機能を使わなければ485系と完全互換性を持ち、京キト所属の485系には、489系を組み込んだ編成も存在する。

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583系

 夜行列車のスピードアップと、増発する優等列車に対する車両基地容量、それに対する費用削減のため、1967年、昼は昼行特急、夜は夜行寝台として走れる車両としてデビューした。
 座席は広々とした4人掛けボックスシートで、夜は座席をいじり、3段寝台となる。特に下段寝台幅は開放A寝台に匹敵する広さを持ち、子連れの乗客から好評を得た。遮音・防振の対策も徹底され、後に登場した寝台客車と比較しても遜色のない水準である。
 輸送力、そして投資に対する費用対効果に大きく貢献したが、時代の流れとともに、特急のボックスシート、狭い三段寝台は敬遠されていくようになる。JR西日本では、延命工事を受けた5編成が急行“きたぐに”で最後の定期運用をこなしているが、北陸新幹線開業後、廃車になる可能性が高い。

 

681系

 特急“雷鳥”の485系を置き換えるため、1992年に先行試作車がデビュー、“ニュー雷鳥”の愛称で運転を開始した。
 その後1995年に量産車が製造され、まずは特急“スーパー雷鳥”を置き換えるかたちで“スーパー雷鳥(サンダーバード)”として運転を開始、1997年に“サンダーバード”となり、現在に至っている。
 先行試作車は当初9両固定編成だったが、後に量産車と同じ基本6+付属3両に改造されている。
 “サンダーバード”充当車両はT編成を名乗るが、特急“はくたか”充当車両として、W編成なるものも存在する。これは ほくほく線内のトンネルを高速で通過することに当たり、車内の気密性を強化したものである。W編成が“サンダーバード”に充当されることはあっても、T編成が特急“はくたか”に充当されることはない。

 

683系(0番台)

 681系のマイナーチェンジ車。

 

 

 

 

 

 

683系(2000番台)

 特急“しらさぎ”,“加越”の485系を置き換えるため、2003年にデビューした。登場当初はロゴマークに「Shirasagi Kaethu」と描かれていたが、同年10月に“加越”が“しらさぎ”に統合されて消滅したことにより、「Kaethu」の文字は消されている。
 “サンダーバード”用のそれとは異なり、基本5両+付属3両となっていて、クロにパンタグラフを装備するのも特徴である。また編成の向きも異なっていて、前者は富山方が最後尾車両なのに対し、“しらさぎ”は富山方が1号車となっている。
 JR東海内の“ホームライナー”にも充当されるほか、団体列車として身延線の富士宮あたりまで運転されたこともある。

 

683系(4000番台)

 特急“雷鳥”の485系を置き換えるために導入された、683系0番台のマイナーチェンジ車。デザインは0番台に準じているが、なにかと異なっている。
 着席定員の増加,輸送力増強のために9両固定編成となり、将来他線区への転属を視野に入れ、クロが貫通準備構造となった。ただ、JR西日本は福知山地区の183系の置き換えに287系の導入を発表しており、果たしてどこへ転属させるのかは謎である。
 なお、同番台は“サンダーバード”臭いて他車両との共通運用は(多分)とっておらず、充当される列車は決まっている。

 

681系(北越急行車)

 北陸と首都圏を結ぶ足として重要なルートを築く、特急“はくたか”。JR西日本、北越急行、JR東日本と、運転線区は3社に跨るため、運行距離相殺のため、北越急行では681系を2編成保有している。
 1996年に登場、基本的にJR西日本の681系W編成と同等で、基本6両+付属3両、2000番台を名乗る。
 “Snow Rabbit Express”の愛称を持ち、塗装も鮮やかな赤を基調としたオリジナルのものとなっている。
 所属は北越急行・六日町運輸区だが、保守整備はJR西日本に委託しており、金沢総合車両所で一括して整備している。

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683系(北越急行車)

 特急“はくたか”は、JR西日本、北越急行、JR東日本がそれぞれ車両を保有し、走らせているが、このうちJR東が“はくたか”に充てている485系3000番台を置き換える目的で導入されたのが、同系式だ。
 JR西の683系0番台をベースに、160km/h運転に対応した機器を装備。8000番台を名乗り、2005年に運転を開始した。
 JR東が担当する車両を置き換えるので、当然JR東が車両を用意することになるのだが、160km/h運転に対応する機器を装備すること、自社線内の運転区間が短いこと、北陸新幹線開業後に余剰となることなどから、北越急行が置き換えを受け持つことになった。これにより走行距離相殺のバランスが崩れ、JR東から北越急行へ車両使用料の支払いが発生している。
 北越急行,JR西の681系と共通運用を組んでいる。

 

EF81形(JR西日本)

 直流,交流60Hz,交流50Hzが混在する日本海縦断路線を直通して走行できる電気機関車として、1968年に登場した。
 JR西日本では、日本海側をひた走る寝台特急“日本海”,“トワイライトエクスプレス”向けに、福井地域鉄道敦賀運転派出に配置されている。
 “トワイライト”牽引用に、塗装変更や緩衝装置の強化を行った専用機が存在するが、これらが“日本海”を牽引することもある。その他は原色、所謂ローズピンク色を纏い、“日本海”や工臨で現在も第一線で活躍している。
 いまのところ後継機への置き換えはアナウンスされていないが、“日本海”,”トワ”ともに客車の老巧化が進んでおり、場合によっては列車とともに廃車、ということも考えられなくはない。

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DE15形(JR西日本)

 それまでのラッセル車は、軸重の都合から下級路線に乗り入れることができず、そのような路線では、雪掻き機を機関車で推進して除雪を行っていた。1963年にDD21形ラッセル車が製造されたが、使い勝手が悪く、試作1両に留まっている。
 そんなDD21形の反省を踏まえ、1967年、DE10形をベースとした除雪用機関車、DE15形は誕生した。
 基本的な構造はDE10形と同等とし、ラッセルヘッド車連結のための装備が追加されている。前面中央部、ちょうどナンバープレートの位置に電気連結器を装備し、これとラッセルヘッドを繋ぐことで、DE15形の運転席からラッセルの操作を行うことができる。
 北陸本線関連として、北陸地域鉄道部富山運転センターに2両、福井地域鉄道部福井運転センターに3両が配備されている。

 

EF81形,EF510形(JR貨物)

 日本海縦断の物流の足として、北陸本線内も多くの貨物列車が運転されている。それらの先頭に立つのが、EF81形と、その後継機、EF510形だ。
 EF81形は経年の老巧化もあり、機器の更新が行われている。車体裾部の白線が更新機の印だ。写真の車両のほか、青い塗装の450番台及び500番台、JR東日本から購入した車両も存在する。
 EF510形は、EF81形の置き換え用として、2002年に登場した。EF210形を設計の基としながらも、耐雪ブレーキや冷却装置などに、雪国を走る車両ならではの差異が見られる。
 両車両は担当する運用が決まっているはずだが、正直あまり守られている感は無く、撮影時などは半ば運任せなところもある。

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