このページは、2019年3月に保存されたアーカイブです。最新の内容ではない場合がありますのでご注意ください

93韓国国鉄加恩線・聞慶線に乗る2

店村駅に停車中の聞慶行きディーゼルカー

こちらは加恩行き

加恩線・聞慶線の起点店村に行くには、国鉄慶北線利用が順当であるが、夕方の列車に接続する便はなく、私は、安東からバスで店村入りをした。バスは線路を左に見て走ったので、店村のバス停より左方向に歩くと、迷いながらも15分ほどで駅に出た。店村駅は、韓国国鉄の標準的な造りの駅で、駅前には自動車進入禁止の広場があり、新しい商店や食堂の建ち並ぶ駅前通りが真っ直ぐのびている。一泊1万5千W、日本円換算約2千円の旅館を、韓国語会話集の丸暗記で確保し、駅に向かう。時刻は夕方6時と、日本では駅の賑わう時間帯であるが、店村駅は、列車本数が少なく、閑散とした、のんびりとした雰囲気である。窓口で加恩まで 200W、日本円で30円にも満たない乗車券を購入し、改札口を通ってホームに入る。1番線の前に加恩行き、後ろに聞慶行きの気動車がそれぞれ一輌で止まっている。列車の外観は、どちらも紺色にクリーム色の配色で同じであるが、加恩行きはボックスシート、聞慶行きはロングシートと造りは異なる。加恩行きが先発し、後を聞慶行きが追う形となり、まずは加恩線に乗るので、前の気動車に乗る。18時20分の発車時間が近づくと、日本と同じように、高校生でほぼ満員になった。接続する列車もなく、気動車は定刻になると、「ブルン」と音を立てて出発した。列車は河川に沿って走り、道には「水石」なる看板が数多く見られるので、川底からは美しい石がとれるのであろう。駅ごとに高校生を降ろし、日本ならば別荘地になりそうな高原のすそ野を通り、谷間の終点加恩に18時54分に到着した。韓国と日本は時差がなく、韓国が西に位置する分だけ、外は明るい。しかし、到着時に降り出した雨が強くなり、折り返しまでの時間を駅の待合室で過ごす。もっとも、加恩の駅前は、店が数件あるだけの谷間で、行くところもない。外も暗くなった19時20分、折り返し列車は数人の乗客を乗せて、発車した。ぼんやりと窓の外の闇を眺めていると、突然「バリバリ」と大きな音がした。扇風機の羽根が外れて飛んで、カバーに当たった音だった。

 

加恩駅

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