このページは、2019年3月に保存されたアーカイブです。最新の内容ではない場合がありますのでご注意ください

01韓国国鉄完全乗車(短絡線・新線)の旅(1)

 8年前の1993年8月、韓国国鉄全線完乗を目指す私は、鎮海線鎮海で全線完乗を果たした。しかし、何をもって完乗とするかは、基準のおきかたによって異なる。鎮海は本当の終点ではなくて、次の統海が終点である。ところが、統海は海軍基地の中にある専用の駅で、外国人の私が乗るわけにはいかない。誤乗のふりをして乗ることもできるが、万が一捕まると、日本政府に迷惑がかかる。スパイと間違われて、帰れなくなっても困る。あと、現在は運行していないが、浦項製鉄社員用の線区もあったし、軍隊の面会用列車の走る線区もあった。

 そのような特殊な線を除いても、乗車していない区間がある。韓国の国鉄は、路線が分岐する場合、進行方向を変えなくてもいいように、上り方向からも下り方向からも直進できるようになっている。つまり、線路は分岐点で分かれるのではなくて、3角形を描いて分かれる。このようなところでは3角形の2辺を乗ることによってOKと基準をおいていた。私はかつて、日本の国鉄を全線完乗した。数は少ないが、このような分岐方法をとるところは日本にもある。まず、武蔵野線と京葉線の合流がこの方式であるし、東北本線から水戸線に分岐する小山駅付近、ここは昔、1日に1本だけ短絡線を走る列車があった。また、鹿児島本線から筑豊本線にショートカットする線もある。私はこれらをすべて乗車した。さらに、東海道本線大阪方面から山陰本線に、京都を経由せずに短絡する臨時列車が走った時にも乗りに出かけた。

 ということで、長らくの間、3角形の1辺が気になっていた。また、その後に開業した路線もある。そこで、2001年3月31日、完全乗車を目指して開業3日目の仁川国際空港に降り立った。

ソウル駅ホーム

 空港からソウル駅までは遠い。金浦空港ならば、地下鉄で市内に出られたが、新空港に鉄道はない。乗り場を探して、満員のリムジンバスを1本見送って、ソウル駅に到着したのは、14時すぎであった。ソウル駅ではコレイルパス70900wonを購入。この切符はセマウル号・トンイル号の自由席、ムグンファ号の立ち席にフリー乗車できる。この日は、京釜線から忠北線に短絡する線を乗車の予定。私は新線に乗る場合、明るい時間帯に乗ることを心がけているが、残念ながらここだけは日程の関係で難しい。京釜線は何回も乗車しているので、やむを得ないとするが、悔しいので念のため大田まで往復し、分岐するところを確認しておくことにする。

 ソウル発15時25分馬山行きセマウル号に乗車しようとホームに下りるが、光州行きのセマウル号が止まっているだけで、目的の列車が見当たらない。時刻表を見ると、光州行きの発車時間も15時25分である。水原までの時刻も全く同じである。このあたりは電鉄線を含めて複々線であるので、仲良く並んで走ることも不可能ではないがまず、そんなことは考えられない。よく列車を観察すると、光州行きにしては、2編成を連結してやけに長い。釜山行きでは2編成を併結することは、よくあることであるが。そこで、前の方の編成を見てみると、これが馬山行きであった。しかし、セマウル号の自由席である5号車がない。車掌のおねえさんに尋ねると、自由席まで連れて行ってくれた。13号車が自由席であった。鳥到院の手前でしっかりと分岐するところを確認。列車は大田の手前で運転停車し、光州行きを分離した後に大田到着、何をすることもなく17時27分発のムグンファ号で天安に引き返す。ムグンファ号は満員で空席はなかったが、この車窓からも分岐するところを確認する。

 独立記念館に行くために、過去に2回下車したことがある天安駅で1時間の待ち時間があり、待合室で日程の確認をして、19時17分発の安東行きムグンファ号に乗車する。列車はほぼ満席であったが、座ることができて、闇の中を想像で見る。このまま座ったままで行けるかと思っていると清州で多くの乗客があり、指定を持たない私は立たされる。そのあとも、席が空けば新たな客があり、忠州まで立たされる。やっと座って本日の宿泊予定地堤川が近づいたとき、さっきまで眠っていた隣の若い女性が時計を見せろという。時間を見ると、驚いて次はどこだと聞く。堤川だと答えると、さらに大きな反応があった。堤川に21時23分に停車すると、この女性は急いででホームを走っていったが、時刻表によると、本日の反対方向行きの終列車は出た後である。駅前にあった荘旅館に20000wonの部屋をとると、ベッドから風呂場の見える、ラブホテルの様な部屋だった。

 

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