このページは、2019年3月に保存されたアーカイブです。最新の内容ではない場合がありますのでご注意ください
>> 国鉄・JRのATSの歴史
Last update 23 / Dec / '05
☆ ATSの誕生・普及
国鉄では、戦前(鉄道省時代)にもATS導入計画がありましたが、戦争のために中止を余儀なくされました。
そして戦後(1954年頃から)、車内警報装置が主要路線に導入されました。(これがATSの前身となります)
車内警報装置とは、「列車が停止信号に接近すると、運転台上で警報を鳴動させ、運転士に注意を促す」ものです。(自動的にブレーキをかける機能はありません。)
国鉄では「三河島事故」(1962年)をきっかけに、車内警報装置を改修してATSにすることとし、「警報が鳴動してから5秒以内に確認ボタンを押さないと、自動的に非常ブレーキがかかって列車が停止する」ようにしました。
そして1967年には、国鉄全線へのATS設置が完了しました。
☆ 車内警報装置〜ATSの種類
車内警報装置は、「A形」「B形」「C形」の3種類が作られました。(これがそのままATSへと改修されました)
どれも機能は同じですが、停止信号の接近を知らせる信号の送信方法が異なりました。(詳しい説明はあえて省き、概略のみを説明します)
A形の場合は、停止信号の数百m手前に列車が進入すると、信号電流をレールに流します。
B形の場合は、信号電流をレールに常時流しておき、停止信号の数百m手前に列車が進入すると、信号電流を一定時間停電させます。
C形の場合は、信号器の数百m(原則として600m)手前の線路上に地上子を設置し、信号が停止現示になると、その地上子から信号を送信します。
A形は1970年頃に廃止され、B形は首都圏・近畿圏で最近(1990年代?)まで使用されたのち廃止され、C形は(ATSへの改修時に名称を「S形」へと変更して)現在も全国各地で存続しています。
☆ ATSの改良
A形・B形・C形(S形)ATSは、自動的にブレーキをかける機能を持ったという意味において画期的な装置でしたが、その一方で大きな弱点を抱えていました。
それは、「運転士がいったん警報を確認した後は、ATSとしての機能を持たない(=自動的にブレーキがかからない)」という点でした。
案の定、この弱点をつくような形で、警報確認後のブレーキ操作ミスによる事故(停止信号冒進による異線進入・衝突、先行列車への追突等)が続発しました。
このため国鉄末期から、新型ATS「H形」の開発が始まり、1986年に近畿圏の主要駅構内へ試験導入されました。
H形は「"停止信号までに安全に停車できる速度"を車上で計算し、現在速度が計算速度を超過している場合には強制的にブレーキをかける機能」(パターン機能)などを持っており、B形・S形とは一線を画すシステムでした。
H形は「P形」となって、1988年に京葉線全線へ本格導入され、その直後に中央線東中野駅で発生した追突事故をきっかけに、首都圏・近畿圏へ幅広く導入されました。(これに伴い、B形は廃止されました。)
一方、P形を導入する余力がない路線においても、そのまま放置しておくわけにはいかないとの判断から、S形を改良することとなりました。
そして1989年頃からS形に、警報確認の有無にかかわらず強制的に非常ブレーキをかける「即時停止機能」が追加され、絶対信号(ポイントのある駅などの信号)の直前(原則として20m手前)に「即時停止地上子」が順次設置されました。(この機能は各社とも採用)
更にその後、速度超過時に非常ブレーキをかける「速度照査機能」を追加したり、P形に準じた「パターン機能」を追加したりする会社も出てきて、現在に至っています。
(改良されたS形にはそれぞれの名称がありますが、「SX形」と総称されることがしばしばあります。詳しくは
ATS-Sについて
を参照下さい。)
なお現状では、改良された機能の地上子は、絶対信号・ポイント・急カーブ・線路終端部への設置にとどまっており、閉塞信号(ポイントのない区間の信号)へは設置されていません。(例外的に、あおなみ線とJR東海が駅入口に即時停止地上子を設置している程度)
これは恐らく、コスト面・運用効率面の問題によるものと思われますが、同時に、「運転本数が少ない区間は追突事故のリスクも低いはず」という判断がなされているものとも思われます。
>> "JRのATS"のページに戻る <<
>> Click Here <<
このページは、2019年3月に保存されたアーカイブです。最新の内容ではない場合がありますのでご注意ください