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   150型について


H I S T O R Y

'65.12H50型“セドリック スペシャル”(2800cc)の後継、本格的な大型車として150型プレジデント登場。150型(3000cc直6)とH150型(4000ccV8)の2種。

登場時は白ハンドル。その後すぐ黒になる模様。

全長はアメリカのミディアムコンパクト(ビュイック・スペシャル、シボレーシェベル、フォードフェアレーン)に匹敵、全幅は国情に合わせてコンパクトカークラス(シボレーコルベア、シェビーII、フォードファルコン)に相当した。
'71.10マイナーチェンジ。
ボルグワーナーATから自社製に変更。フェンダーミラー形状変更。
ボンネットの左右端部の見切り用飾りも形状変更。

V8モデルに 日本車初のABSシステム 搭載
'73.8250型にマイナーチェンジ。

TECHNOLOGY

プレジデントは乗用車の輸入自由化が行われたなかで、外国製の大型車に対抗する狙いを持って開発されました。そのため、数々の新機構を盛り込んでいます。その後の標準となった装備が多いのは流石です。

EL照明インストルメント・パネル

「従来の点光源(ランプ)、線光源(蛍光灯)に次ぐ第三の光源」として、近年になって脚光を浴びつつある面発光体(EL照明)を各種メーター、時計、ラジオに採用。文字盤は緑色、指針は赤の発光色で、スイッチで輝度の調整が可能。

発光体の寿命により、残念ながら今残っているものは照度が低い。
・パワーステアリング

ボールナット循環式のステアリング機構にリンケージ式のパワーステアリングを採用。ベンディックス社の設計を改良したもの。
ライバルのクラウンエイトも65年のマイナーチェンジでパワステを追加している。

・常時開放式のリヤクオーターベンチレーター

この頃の車内換気といえば前後の三角窓が主流だったが、カウルトップから導入してCピラーの根元から排気する方式をいち早く採用。ドア開閉時の不快な圧力変化を防止している。前後扉の三角窓も開閉可能でD仕様は電動式。

・熱線封入式の曇り止めガラス

現代では半ば常識のリヤウィンドウの曇り止めだが、この頃はロールスロイスやベンツ600あたりにしかない高級装備だったとのこと。

・プリズム式の防幻(アンチダズル)ミラー

こちらも今では常識となった、昼夜切り替え式のルームミラー。後続車のライトのまぶしさから運転者を保護する装備。


そのほか、一台一台走行テストを行い、慣らし運転を済ませてから納車するなど、日産の最高級車としての誇りに満ちた一台。


P H O T O - 1

マイナーチェンジ後のH150プレジデント。

全長5.0m、全幅1.8mの伸び伸びとしたスタイリング。

のち250型へのマイナーチェンジ時に全長(主にトランク)235mm、全幅35mm拡大されるが、バランス良く引き伸ばしているために250型を見慣れた眼にも違和感はありません。
後姿はテールライトがちょっとロンパリ気味。250型に比べテールライトが小さく、その分ボディが大きく見えるため独特の風格が感じられます。

マフラーが左右に2本出ているのはV8モデルの証。直6モデルは左側の1本出しです。
表情は地味め。5ナンバー車を見慣れた眼には、やたら幅が広く見えます。

ボンネット左先端のエンブレムはsovereign V8Eとなっていますが、これは252型(角四灯)のトランク用のエンブレムを貼っているようです。グリルのV8バッジはオリジナルのもの。
60年代のアメリカ車に倣った横長のスピードメーター(通称ラジオメーター)のシンプルなインパネ。初期型はホーンリング付きのハンドルになります。

250型へのマイナーチェンジ時もほぼ変わらず、その後252型へのマイナーチェンジの際に全面的にインパネのデザインが変更されます。
【参考】

1980 President Sovereign内装

150型と250型のインパネデザインは基本的に同じですが、木目や革シートによって絶妙に70年代的なゴージャス感を出していることがわかります。


「いい車だな」「10年経てば車も変わるわ…」(特捜最前線)
カタログの2面図より、150型と250型の違いを示す。


150型は丸っこく、250型は四角いイメージだが、ホイールベースや車室部分のサイズは変わらず、オーバーハングが長くなっているのがわかる。キャビンの内寸は幅1,510mmで変わらず

全幅の1,795mmから1,830mmへの拡幅はフェンダーアーチやサイドモール、バンパーなどの変更によるようだ。



P H O T O - 2

マイナーチェンジ前の写真はこれしかありませんでした。

半球状の独特なフェンダーミラーはオリジナルです。初期のリンケージ式リモコンミラー。
足の短い独特の形状はボディラインとの調和を狙ったもので、結構後ろの方についています。

今や懐かしさを覚える50'sカスタムです。60年代のアメ車を範としたマジメデザインなので、こういった方向性にはちょっと違和感があるような。余計なお世話ですね。

ピンボケながら、ホーンリング付きのステアリング。上記個体とは違う車の内装で、上級グレードがホーンパッド付き、下級グレードがリング付きの時代のものです。


赤内装が艶やかです。

参考サイト

GAZOO名車館
  1965年 ニッサン プレジデントDタイプ
  1971年 ニッサン プレジデントDタイプ

当サイト内
  トミカの250プレジデント


P A T R O L C A R

子供の頃に読んでいた絵本の表紙が150プレジのパトカーでした。大排気量を生かしてハイウェイパトカーとして活躍したのは事実のようです。今で言うところのシーマⅢのパトカーみたいな感じでしょう。

   「絵本に見る150型プレジデント」

6気筒3000ccのエンジンは当時盛んだったストックカーレースでは、セドやクラウンにスワップされて盛んに使われたようです。
こちらが、ハイウェイパトロールとして活躍したプレジデントです。

偶然にも、絵本と同じナンバー「品川8 た 19−28」です。

バンパーに増設されたオーバーライダー、補助灯、赤色灯、警音機や、
屋根上に2つ並んだ赤色灯など、絵本が実車を参考にしていた事がよく判ります。

「モーターファン1969年2月号」より
もう一台、別のプレジデントパトカーです。

屋根上の大型回転灯、フロントの点滅灯、ボンネットの虫よけ板などが確認できます。所属は神奈川県警厚木分駐隊とのこと。ナンバーは、「横浜8 つ 11-41」と読めます。

他に、センチュリーも配属されているとの事。ミニカーだけのフィクションかと思っていました。



「日刊自動車新聞社 新車アルバム 1970国産車特集」より

オマケのS T O C K C A R

オイルショックで消えてしまったレースカテゴリーですが、アメリカのストックカーレースに影響を受けたレースでした。タクシー上がりのジャパニーズフルサイズに、なりふり構わぬチューニングをして突っ走る…格好いい。良すぎます。見たかった…。こういうマシンにプレジのエンジンが載せられたりしたようです。

プレジデント用のエンジンを積んだクラウンハードトップ。ソレックス3連です。

国産エンジンと言うカテゴリー枠の中で、このH30をはじめフェアレディ2000のU20型、センチュリーの3V型(V8 3000cc)までスワップされ使われたようですが、H30型搭載車が良い成績を残しています。

加工ワイドホイールやフェンダーミラーなども興味深いところです。
71年ストックカー富士300キロに出走した「東日本フェリーセドリック」は、この年からのレギュレーション変更によりプリムス・スーパーバード風の大型リヤウイングを装着。

しかし、スポンサーがいちいち興味深い。垂直尾翼には「日本最大カラーボール252レーン」と当時流行ったボーリングの宣伝が…。ゼッケンは斜体に影文字で「らしい」感じです。


【AUTO SPORT 1971-5付録 4th TOKYO RACINGCAR SHOWより】

このクラウンなんてロータリー&スーパーチャージャーですよ奥さん。ボディには「環八東名入口 サン自動車グループ」の文字が読めます。やはり日本語だと看板を背負って走っている感じが抜けませんが、なんだか新鮮です。

わざわざ台に乗ってるのは「下から見て」という意味でしょう。


タイヤはこちらも鉄チン加工のワイドホイールにスリックタイヤ。車高もずいぶん低いですね。

【AUTO SPORT 1971-5付録 4th TOKYO RACINGCAR SHOWより】

ストックカーの魅力についてじっくり語りたいところですが、それはまた今度のお話で…。実は毎回最下位ながらデボネアも出ていたようです。


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