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福井鉄道 福武線


1.概要

 福井市と武生市の間を結ぶ福井鉄道の福武線は、他の路面電車とは少し(大いに)違っています。路面を走る区間は、福井新と木田四辻の間に有る鉄軌道分界点から福井市内側の3.3キロの軌道線で、残りの18.1キロの鉄道線は専用軌道を走ります。郊外の鉄道線と軌道線の乗り入れといえば、広電の宮島線が有名ですが、あちらは路面電車タイプの車両が鉄道線を走りますが、こちらは鉄道線の車両が軌道線へと乗り入れます。このような路線は、昔は新潟交通などもありましたが、今では京阪京津線や江ノ電ぐらいで、直接、路面から乗り降りするのは当線のみです。(名鉄揖斐線の510形が、岐阜駅前に乗り入れるときもこんな感じになりますが、定期的には路面電車タイプが使われています。)
 福井市内の路面区間では、扉のところに補助スッテプが出ますが、高い車両に上るのは一苦労で、バリアフリーとは無縁の存在です。
 福井と武生の間はJRも走っているので、全線を乗り通す人は少なく、JRの駅に不便なところと両市を結ぶ需要に、活路を求めています。

2.路線概要

路線図

福井駅前から武生新へは、市役所前で方向転換が必要です。軌道線は複線ですが、鉄道線のほとんどは単線です。

3.車両

モハ301
モハ301編成 全面広告車、静岡からきた電車

モハ302
モハ302編成 モハ300形のオリジナル塗装

クハ82
モハ82編成 全面広告車

クハ81
モハ81編成 福井鉄道の標準塗装、車歴をたどれば南海に行きつく

モハ201
モハ201編成 数少ない自社発注車

モハ610
モハ610編成 最新の車両、元は名古屋の地下鉄

モハ562
モハ562 唯一の路面電車タイプの車両
通常は使われていない、元は金沢の電車で岐阜を経由して入線
モハ141
モハ141編成 数少なくなった旧型車

  2003年鉄道の日イベントの様子はこちら。

4.運賃、運行

 対キロ制の郊外電車に多い形の運賃体系になっている。電車はすべて、ワンマン運転なので、駅員のいない駅では一番前の扉から乗降する。整理券式だが、発行機は車内にはなく駅にある。福井市内では、整理券が発行されない。また、車掌が乗りこみ清算することもあるようだ。
 以前は日中も急行が走っていたが、現在は普通のみとなっており、朝夕ラッシュ時のみ急行運転をしている。武生新から田原町へ向かう電車は、駅前には寄らないが、田原町から武生新へ行く電車は福井駅前に寄る。(一部例外も有り) また、武生新から福井駅前に行く電車は、田原町には行かない。(急行電車と普通の一部) 日中でも武生新発では、20分ヘッドで運転している。


5.トランジットモール実験

 2001/10/12より2001/11/4まで、駅前の電車通りでトランッジトモール実験が行われています。トランジットモールとは、道路から自家用車を締め出し電車と人が自由に動き回れる空間です。欧米の路面電車の走る街の中心ではよく行われているようです。しかし、日本ではそのような場所はなく、今回、街の活性化のひとつの方法として、国と地方自治体、民間が協力して実験が行われています。
 普段は、上にも書いている通り、路面区間ではバリアフリーとは程遠い、高いステップをよじ登らなければならない車両が使われていますが、実験期間中はモハ562が整備され、名鉄から借り入れたモ802とともに走っています。モ802は、国産ではじめての部分低床車で本年度の鉄道友の会のローレル賞を受賞した車です。( 美濃町線での様子はこちら )2台の路面電車は日中それぞれ、田原町-福井駅前間と福井新-福井駅前間を30分間隔で往復しています。この2台が往復している間は、武生新へ行く(来る)電車は、福井駅前には入りません。また、だるまや西武の前にはぷらっとモール駅が臨時に設けられています。

ぷらっとモール駅発車時刻表市役所前の交差点を行くモハ562
久しぶりに現役に復帰したモハ562。
外はきれいに塗りなおされていますが、車内はよく見ると
窓がほとんど開けられないなど、かなりくたびれています。
臨時ぷらっとモール駅の時刻表
田原町駅に停車中の名鉄モ802専用降車ホーム
田原町駅に停車中の名鉄から応援に来たモ802。
福井新駅の路面電車専用降車ホーム。
乗車ホームは反対側に仮設されています。

 田原町-福井駅前間は運転時間に余裕があり、上の写真のように田原町でしばらく止まっています。よく見ると、電車がポイント上に止まっていますが、これには訳があります。福井駅前からついた電車は、いったんポイントを行きすぎて止まりますが、すぐに降りることはできません。運転手は、運転席を換えてポイント上まで戻ってから扉を開けます。なぜなら、ポイントを行き過ぎたところには、高いホームが存在するので降りることができません。
 福井新-福井駅前間は運転時間に余裕がなく、また、本町通りと木田四つ辻間で道路工事をしているためか定時運行は難しいようで、福井新駅ではあわただしく降り返していきます。
 実験区間では普段よりも運転本数は増加していますが、それでも30分間隔なので、時刻表がなくても困らないといったレベルには達していません。ただ、運賃が実験区間内は100円と値下げされており、それなりの利用があるようです。車が締め出された路上を自由に歩け路面電車が行き交う光景は、ファンにとって楽しいものですし、車を使わない人にとっても便利なものです。地方都市においては多くの人が車のみを利用しますので、不便を感じている人も多いと思います。しかしながら、車利用者の増加は、駅前の衰退につながるのが一般的ですので、本格的なトランジットモールを導入する街が現れることを希望します。


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2001/07/22作成
2001/10/23トランジットモール実験を追加
2003/11/012003年のページへのリンク追加


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