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名古屋鉄道(株)

岐阜市内線、美濃町線、田神線 + 揖斐線


1.概要

 名鉄の新岐阜駅のホームは3箇所に別れています。1つは高架の名古屋本線のホーム、2つ目は地上にある各務原線のホーム、最後は駅前の路上にある岐阜市内線の乗り場です。ホームが3箇所にあると言いましたが、市内線の乗り場には安全地帯すらありません。併用軌道部分で安全地帯があるのは、岐阜駅前のみです。他の停留所には安全地帯が無く、電車がくるのを路上で待つことは不可能であり、電車が接近したら車の間をすり抜けて電車に乗ることになります。このように大変危険な状態になっているのは、車の通行の障害になると、警察が認めないからだそうです。以前は、徹明町から直進して金華山の下を通り、長良北町まで行く路線もありましたが、岐阜未来博が開かれたときやはり車の邪魔になるとされ廃止されました。このように行政の理解の無い中、頑張ってきた岐阜市内線と美濃町線ですが、赤字額増加から名鉄では廃止したい意向を表明しました。一方、路面電車が公害の少ない公共交通機関として見直され、岐阜市では社会交通実験を行い存続への道を探り始めています。
 美濃町線は、徹明町が起点となりますが、旅客の多くが新岐阜を目指すので、競輪場前からの田神線ルートがメインとなり、市ノ坪の先で路面電車が各務原線の線路上を走り、新岐阜駅の端の小さなホームへと乗り入れています。
 揖斐線は、元々は小型の高床式の電車が走り、一部の列車が岐阜市内線から直通する路線でしたが、 2001年の黒野から先の揖斐線と谷汲線の廃止 以降は、市内線乗り入れ車両のみの運行となり、広電の宮島線と同じ形となっていますが、乗ってみると活気は全く違います。

黒野駅の755
谷汲線の廃止と運命をともにした750形

2.路線概要

 路線は、岐阜駅前から徹明町を経由して忠節までの岐阜市内線、徹明町から関までの美濃町線、田神から競輪場前までの田神線からなります。
岐阜市内線は、忠節から揖斐線へ乗り入れています。西野町と早田の間で長良川を渡ります。全線複線です。揖斐線と言いながら最早、揖斐まで行くことはできません。美濃町線も美濃へ行くには、関で長良川鉄道に乗りかえる必要があります。以前は、美濃町まで行っていましたが、長良川鉄道と平行する新関-美濃町間が廃止され、新関から長良川鉄道の関市までの路線が造られました。
田神線は、美濃町線の電車を新岐阜まで乗り入れるために造られた路線で単線です。
美濃町線は、徹明町から野一色の手前までが併用軌道で、野一色からは専用軌道ですが道路の端に引っ付くように線路がひかれています。道路が舗装されたおかげで、線路と道路が区分されたのではないでしょうか。徹明町から梅林までは複線ですがそれ以外は単線です。単線区間は、今は自動化されていますが、以前はタブレット閉塞でした。その頃、競輪場前では3方向の電車が出会うので、複雑なタブレット交換が行われていました。

3.車両

モ570形571
モ570形571 朝夕の岐阜市内線運行に使用(忠節にて)
モ512
モ510形512 岐阜市内線のアイドル長寿電車の510形。写真の512は廃車済みだが仲間は健在。(黒野にて)
モ775
モ770形775 岐阜市内線・揖斐線用の連接車(黒野にて)
モ780形
モ780形? とてもスリムな780形は連結運転も可能で、岐阜市内線・揖斐線の主力となっている。(忠節にて)
モ592
モ590形592 主に徹明町と日野橋、野一色の間で使われる590形(徹明町にて)
モ593
モ590形593 左の592と同一形式だがこちらは非冷房で原型を保っている(市ノ坪にて敷地外より撮影)
モ870形
モ870形? 札幌からやってきたモ870形、札幌時代のスタイルは崩れてしまったが、複電圧に改造され新岐阜まで乗り入れる。(市ノ坪にて)
モ606
モ600形606 美濃町線新岐阜乗り入れ開始時に複電圧使用で造られた車両の最後の1両。車内はオールクロスシートの現代の馬面電車。(新岐阜にて)
モ883
モ880形883 美濃町線用の連接車。複電圧で新岐阜まで乗り入れが可能だが、1500V区間では冷房が利かない。(新岐阜にて)
モ801
モ800形801 日本初の部分低床電車、真中の扉からはステップなしで乗れるが車内がスロープになっており前後の扉にはステップがある。(北一色にて)
モ554
モ550形554 金沢からやってきた550形も今は無く、忠節のこのホームも使われていない。(忠節にて)
モ754
モ750形754 廃車後、市ノ坪の車庫で保管中。(市ノ坪にて)
ホッパ車
保専用ホッパ車 黒野駅の元本揖斐行きホーム跡(忠節側の線路ははずされ直接忠節側へは出られない)に留置されているホッパ車。

 車両は、岐阜市内線・揖斐線用と美濃町専用に分かれています。美濃町線は、田神線を経由して各務原線に乗り入れるため複電圧(600V/1500V)対応が必要です。一方、揖斐線乗り入れ車両(岐阜市内線乗り入れ車両?)は、路面乗降用のステップと、揖斐線内のホームにあわせた引き出し式ステップを装備しています。共通の仕様としては、運転席の直後に左右ともに扉があることです。単線区間で、ワンマン運転を行いますが、ホームの方向が一定でないので左右に扉が必要になります。

4.運賃、運行

 岐阜市内線は、170円均一です。揖斐線は、160円から340円の距離制となり、岐阜市内線に乗り通すと合算となり、例えば新岐阜から黒野までは510円となります。新岐阜から名古屋本線や各務原線にさらに乗り通す場合は、揖斐線と他の線の距離を通して計算することになります。
 美濃町線は、日野橋までが岐阜市内線の扱いで170円となります。新岐阜から田神線経由の場合は、新岐阜-田神間が鉄道線扱いになるのでその分の運賃が加算されますが割引があるようで、新岐阜-日野橋が330円となります。では、徹明町で乗りかえると170円ですむかというと、岐阜市内線は乗りきり扱いになっているので340円となります。日野橋から先は距離制となり、新岐阜から関までは560円となります。
一日乗車券はありますが、名鉄全線が対象となり3000円となります。2DAY切符もあり、こちらは3800円となります。いろいろと割り引き切符があり、変更も多いので詳しくは、名鉄のホームページを参照してください。
 岐阜市内線、揖斐線、美濃町線とも運転はワンマンで、後ろ乗り前降りで、乗車時に整理券をとり運賃後払いになります。岐阜市内線のみ運行する場合は整理券は発行されませんが、徹明町-日野橋間の運転の場合は、関方面へ乗り換えが必要となるので整理券が発行されます。
 岐阜市内線は、朝夕は市内線内折り返しがありますが、日中はすべて揖斐線へ直通し、急行と普通が30分毎に運転されています。揖斐線内での通過駅は2駅のみですが、岐阜市内線内でも通過駅があるので、そこは30分毎にしか止まらないことになります。
 美濃町線は、新岐阜から関または新関行きが日中は30分ごとの運転となります。徹明町からは、日野橋または野一色行きが30分毎の運転ですが、12時と13時は1本のみすなわち1時間毎になります。新岐阜と徹明町から出発した電車は、競輪場前で待ち合わせて、日野橋または野一色まで続行運転され、徹明町方面からきた客は新関方面へ乗りかえることができます。以前は、新関まで15分間隔でしたが、岐阜バスと共通乗車券を発行することにより減便されてしまいました。単線区間の続行運転は他社でも見られますが、日中行っているのはここだけです。


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2003/09/15作成


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