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星見には、本当に ひとみ径7mmが最適か?                   MENUへ戻る    

 星見に最適なひとみ径は?
星見には 7X50 (ひとみ径7mm) が本当に最適か? 
○ いろいろな解説書やパンフレットなどで、星見には、ひとみ径7mmが最適と言われている。
 その根拠は、人間の瞳は暗闇の中で最大直径7mmまで開くから、暗い処で使う双眼鏡のひとみ径は7mmが最適、という事らしい。
 確かに、光害の無い、背景が真っ暗な空で使うひとみ径7mmの双眼鏡の威力は実感できるが、市街地からの光害のある自宅辺りでは状況が異なるように感じられる。

 と言うのは、実際に自宅でひとみ径7mmのアルティマ7X50や勝間GLORY7X50などで空を見た場合より、ひとみ径5.3mmのモナーク X 8.5X45や、モナーク 8X42 、更にひとみ径3.6mmのモナーク 10X36などで見た方がバックグラウンドが黒く引き締まってよく見える。

 しかし口径50mmの集光力、キリッとシャープなポロの星像は、実売価格差2.4倍のダハ中堅クラスのモナークXに勝る事はあっても劣る事は無く、Xの無い通常のモナークにならアルティマの方が明らかに勝っている。 

 ポロ50mmのシャープな星像、ひとみ径5mmでのコントラスト、私のラインナップではどちらも満足できる双眼鏡は無く、星の眺めを楽しむより、見る日の条件と対象ごとについ見比べてしまう。 

 シャープな星像とコントラストの両方を満たすには、口径50mm程度のポロで、ひとみ径を5mm程度、そうするとスペックは10X50辺りかと、久しぶりに立ち寄った某店で馴染みの販売員さんに尋ねてみると、店頭には出ていないが、SEがある、と12X50SEを出してきてくれた。
 ちょっと待て。SEって確か・・・ 手頃なのがあったら、と思っていた予算の3倍程もしたはず。 
 ”まあ、見て見るだけでも見てみよう” と、危ない予感を感じながら、その12X50SEで、ちょっと薄暗くなった外の景色を眺めみる。 
 ”うっ、・・・いい・・・” 街路樹をデコレーションしているLEDランプの発光部がわかる(ような気がした)ほどのシャープな視界。
 今まで店頭で試見しただけで差を感じる双眼鏡は少ない(スワロSLCなど)が、SEもその一台だった。 
 自分には高すぎと思われる倍率と価格に躊躇し、今買う必要性は無いだろうとか、12倍の倍率は手持ちでは持て余すだろし、どうせ三脚に載せるなら今あるフィールドスコープで十分だし、とか、何とか自分を説得しようとしたものの、SEの視界の魅力に負けて結局はお持ち帰り。

○ そして早速自宅で眺めてみる。(光害のある空)
 下の写真風のものは、こと座のベガ周辺を見た合成イメージで かなり誇張しているけど、大体こんな雰囲気。
 ひとみ径7mmのアルティマと比べ、バックグラウンドは期待通り、グッと引き締まった。 またアルティマでは薄明るい背景に紛れていた暗い星も浮き上がっている。
 また倍率が上がった分、二重星の分離も断然有利。 
 (2010.10.09 追記) 
 ひとみ径を絞りたいという目的で倍率を上げたSEを入手した事により、二重星の分離が断然楽になり、夜空を眺める楽しみが増えた。
 こと座ベガの[ε]はもちろん、今まで単星としか見えていなかった[ζ]もSEなら覗いてすぐ二重星と判別できる。
 一方アルティマでも[ε]はもちろん見える。  しかし[ζ]は当初二重星とは気付けなかった。 
 しかしSEで見てから改めて三脚に載せれてみれば、ハッキリと二重星に分離して見える。 しかしSEでは裸眼で見えたが、アルティマでは眼鏡(乱視)が必要だった。 
 やはり二重星では倍率差が大きく効いてくるようだ。 今まで手持ちでしか眺めていなかったので気付かなかっただけ。
 モナXでは簡単には三脚へ載せられず手持ちなので[ζ]は手ブレでかなり苦しい。(両肘をブレないようにしっかりと固定すれば二重星に分離して見える。)
  ([ζ]は見掛けの二重星らしい。 また、はっきりと2つに分離している[ε]は、実は二重星が2つ並んだ四重星とのこと。)  
    こと座ベガ周辺については、[だぶる。だぶる。すたぁ]にて比較  

 同じ口径50mmでも、バックグラウンドの暗さ、そして二重星の分離などは、倍率が高い=ひとみ径が小さめ(4.2mm)の、12X50がはっきりと優位。
 見える星の等級は注視すればどちらも同等のはずとは思っても、アルティマでは薄明るくなった背景に紛れてしまっていた限界に近い暗い星でも、コントラストのいいSEの視界でなら浮き上がってくる。
 アルティマで見える星はSEで確実に見える。 一方SEで見られる星はアルティマでも見える事は見えるが、暗い星は注視しなければ背景に紛れて気づけない。
 しかし視界の中に捉えられる星の数は低倍率≒実視界の広い、7X50が優位で賑やか、倍率の高いSEの方は星同士の間隔が開く分、疎らに見え、どちらがいいとも決められない。 

○ 田舎に帰って比較してみる。(秘境100選、日本一の農村風景・・・とにかく暗い空)
 ひとみ径7mmのアルティマも、4mmのSEもバックグランドの暗さはほぼ同等。(ややSEが勝る(暗い)が差は僅か。)
 見える星の等級はどちらも同等。 SEで見られる星はアルティマでも見え、アルティマで見える星はSEでも見える。
 視界の中に捉えられる星の数も、低倍率≒実視界の広い7X50が賑やかで、倍率の高いSEの方は星同士の間隔が開く分、疎らに見える。
 しかしオリオン縦の三つ星では、SEよりアルティマの方がオリオン星雲のモヤッと感(他の普通の星と違うぞ感)をより感じた。 
 差が大きく出たのは、星よりも遠くに見える街灯の明かりでぼんやりと薄明るい辺りに向けた時。 SEよりアルティマの方が建物や駐車している車などの輪郭がはっきりと良く見える。 
 星などの点像で無く、大きさのある物体を監視・観察するなら やはり、ひとみ径の大きい方が優位。  

◎ 素人による自分のための防備録
   口径が50mmで同じなら理屈の上では、ひとみ径の大小(とは言っても7mmと4.2mm)に関係なく、どこまで暗い星が見えるか、については同じはず。 しかし・・・
  ①光害のある薄明るい空ではひとみ径が小さめ(=倍率高め)の方が背景が暗く引き締まってコントラストが高くなる。
   またひとみ径7mmでは薄明るい背景に紛れていて注視しなければ分らなかった暗い星も、ひとみ径4.2mmでは暗く締まった視界に浮き上がってくる。
  ②光害の無い暗い空での背景、暗い星の見え具合は、ほぼ同等。  しかし面積のある物体や、星雲などはひとみ径7mmの方が優位。 
  ③二重星の分離は、ひとみ径の小さい=倍率が高い方が間隔が広くて見易い、という面では優位。 特に二重星の分離では差が出る。(こと座のベガζなど。) 
   しかし倍率が高くなると実視界も狭くなり(SEで5度)、倍率低めの方が広い(アルティマで6.6度)の方が目標を捉え易く、全体像も把握し易い。 

☆総合的な結論!  (ただし本日現在での結論。  見る対象が変わると評価も変わる・・・) 
  同じ口径で面積のあるものを監視・観察するなら ひとみ径は大きい(当然max7mm)ほどよく、観察対象が点像なら ひとみ径は4〜5程度でいい。
  (暗い中で地上の物や動物などを監視・観察したり、星空でも星雲などを観察するなら、ひとみ径7mmの方が有利だが、星自体に関しては、ひとみ径はある程度小さい方がコントラスト良く見える。)  ただし老朽化した私のひとみが7mmまで開かない影響もあるかもしれない。
  また、星座を追っていくためには倍率は低くとも(低い方が扱い易い)、実視界の広いものが欲しい。
  まあ、これ1台あればという万能の双眼鏡はなく、適材適所というところか。
  個人的には星団をより賑やかに見るためにひとみ径4mm以上、口径40mm以上を一台、それと星座を追うために、軽くて扱い易い口径30mmクラスで実視界の広いものが一台あればかなり楽しめると思う。  


  薄明るい空の星見用にと、50mmの口径を維持したまま、ひとみ径を落とすために入手したニコン12X50SE。
 倍率12倍。 店頭で覗いた時から長時間の手持ちは無理だろうと三脚に取り付けるビノホルダーを一緒に買ってきたのは大正解。
 早速夜空に向けてみたものの、12倍では手ブレで落ち着いて眺められないので早々に諦めて、とりあえず20年物で積載1Kgでも怪しいアルミ三脚に載せてみたが長い間使っていなかったので雲台の動きが渋くて使いづらい。 とりあえず、その雲台は固定したままKDSマウントを載せてセットしてみたが、重心位置が高いので、少し高度を上げるとバランスが崩れ、KDSマウントのフリーストップは機能せず、ズルズルと上を向いてしまう。 
 
 翌週、安くてしっかりしたアルミ三脚があれば、と見に行ったけど、大半がカーボンで、アルミのは少し押さえたら撓んでしまうヘナチョコ三脚と、いかにもオーバースペックの重量級。
 諦めて帰ろうとした時、バーゲンコーナーに格安で積載2Kg級のカーボン三脚。 現行のカタログに載っていないので型遅れの在庫処分品と推定。
 エレベータがクランク式でないので双眼鏡には多少使いづらいかなと思ったけど・・・。
 最後の1台らしいのが、連れて帰って、と訴えるのに負け、お持ち帰り。

 帰宅して早速、載せ替え。  雲台の動きが滑らかになったのでKDSは外しても不便は感じなくなった。 双眼鏡の良し悪しはもちろん大事だけど、やはり足回りをしっかり固めないとダメと再認識。 (現在は雲台をボールタイプの自由雲台に交換。かなり快適。)
 
 結局、ニコン 12X50SEは買ってきた翌日から三脚に載せっ放し。 邪魔になって仕方ないが、かといって都度セットするのもまた面倒だし・・・。

 追記。 その夜、今シーズンの”初すばる”を見た。 うーん、いいねぇ。 ”すばる”は何で見てもそれなりに楽しめる。


 こと座のベガと二重星 (本当は四重星の ダブル・ダブル・スター) 
 ひとみ径4.2mmと7mmの、バックグランドの暗さのイメージ (注:実写ではありません) 

ひとみ径7mm (ビクセン アルティマZ7×50) の視界イメージ
  対物レンズ有効径 : 50mm
  倍率 : 7倍
  実視界 : 6.6°見掛視界 : 46°1000m先視界 : 115m
  ひとみ径 : 7.1mm 明るさ : 50.4

ひとみ径4.2mm(ニコン 12x50SE・CF) の視界イメージ
  対物レンズ有効径 : 50mm
  倍率 : 12倍
  実視界 : 5.0°見掛視界 : 60°1000m先視界 : 87m
  ひとみ径 : 4.2mm 明るさ : 17.5

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