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手抜きの極軸合わせ格闘編  Vixen SXD                          MENUへ戻る    

手抜きの極軸合わせ格闘編 Vixen SXD赤道儀
まずは北極星を使った極軸合わせを・・・
北極星を使わず設置してする


 手抜き極軸合わせ格闘編・・・ Vixen SXD 赤道儀
 極軸合わせって、なぜ今頃になって? 
SXD、入手は6月。 もう3ヶ月も経つ今頃になって、極軸合わせって、今までどうしてたの? って突っ込まれそうだけど、実は今までまともな極軸合わせをした事はなく、”北はあっちだから、まあこんなもんだろう・・・”、高度もSXDの高度目盛で適当に合わせただけ。
これでも明るいお月さまや土星・木星などの惑星を撮っている分には露出時間も短いので、経緯台の様に頻繁に位置調整しなくて済むから便利だ、という程度の使い方だったので全く問題は無かった。
しかし淡い星雲・星団なども撮ってみようと欲が出てくると長時間露出が不可欠。 
今までの適当な極軸調整では星像が流れてしまい、やはりもう少しまともな極軸合わせが必要、と試行錯誤してみた。

 制約と目標は?

いつもSXDを使っている自宅庭先では、自宅の陰になって北極星が見えず、都度、北極星での極軸合わせは無理。 
しかし北極星が見えるところまで位置を変えると街灯が直接目に入ってしまうし、通行人の晒し者。 かといって北極星が見えるように自宅を取り壊して建直すなどできる筈もなく、唯一無二でここしかない。
一方、この辺りの空は、ISO1600 の30秒が精いっぱい。 これ以上露出をかけても背景が真っ白になっていくだけ。
と言う事で、北極星を使わず、30秒間の露出に充分な精度で、かつできるだけ手抜きして極軸を合わせられる方法は無いかと試してみる。 

 【記事に関する注意事項】

以下、私の防備録なので、重い赤道儀や望遠鏡を実装したままで三脚移動、三脚長さ調整などの荒技を試される事は、決してお薦めしないっ! 
試される時はそれなりのリスク(三脚転倒による機材破損、怪我など)を承知の上、自己責任で。 


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 まずは一度、マニュアル通りに北極星を使った極軸合わせをしてみる。
 まずは一度、マニュアル通りにやってみる。
まずは、マニュアル通りに北極星と極軸望遠鏡で極軸合わせを行ってみる。
(そして場所を変え、同じ設定を、そこそこの精度で手間をかけずに再現できる方法は、と試行錯誤してみる。)
 .
①.まずは架台(三脚部)を設置する。
  いつもなら三脚に赤道儀を載せたまま運んで設置していたけど、今回は短時間で効率よく水平をとる方法を試すため、赤道儀を外した軽い状態で設置する。
向きは通常通り、架台部のツノある方向の脚(以下、北脚)を北に向けて設置する。  (当然、残った2脚は東西方向となるので東脚、西脚あるいはまとめて東西脚と略す。)

②.架台(三脚部)の東西・南北の方向の傾きを調整し水平にする。
場所を移動しても再現性を保つために、基準となる画題の水平になるよう調節する。 
以下、試行錯誤の結果、私の場合で最も効率的と思われる手順。
 しっかりと脚を開いて一度上からグッと荷重をかけて安定させてから、おもむろに架台に水準器を載せ、まずは南北の方向の傾きを確認する。
  (私の場合、脚はできるだけ縮めた状態で使いたい。 そのため三脚の各脚は全部縮めた状態が基本。)
 北側が低い場合は伸ばす方向での調整なのでそのままで可。 北脚が高い場合はそれ以上縮められないので反対側の東西脚を若干高めに伸ばしておく。
 次に水準器を東西方向に載せ、東西脚で水平をとったのち、 続いて水準器をまた南北方向に変え、北脚で水平をに調節する。
  (これをもし南北から先に水平調整すると、再度、南北の水平調整しなければならなくなる。) 
コンクリート、アスファルトなど水平に思える場所でも雨水などの水はけのため、必ず1m当り、1~2cmの水勾配がつけてあるので少なくとも1脚は長さ調整が必要となる。 
もし水勾配がなく三脚調整無しで水平が得られたなら、コンクリートあるいはアスファルトの施工不良? 

③.おもむろに赤道儀を載せる。
初めに三脚を設置する時、しっかりと脚を開き、グッチと押さえて荷重をかけておかないと、赤道儀を載せるとその重量で三脚に荷が掛かり、折角合わせた水平が微妙に崩れてしまう。
東西方向は赤道儀南側の架台部分で水平を確認する。
南北水平は水準器を乗せる適当なスペースが無いので、やむを得ず先に進む。
なお、赤緯クランプ、赤径クランプを緩めてホームポジションに合わせ、アリミゾ部で水平を確認しておくのも吉。

④.極軸合わせの準備。
極軸合わせのため赤道儀に STARBOOK および電源を接続、電源ON、起動時の儀式を一通りしてから極軸望遠鏡のカバーを外し準備する。
おもむろに極軸望遠鏡を覗き、STARBOOK で極軸望遠鏡の照明を調節する。
しかし極軸望遠鏡をいくら覗いても北極星が見えない! ここまで多少手を抜いたところはあったにせよ、そう大きくずれているとは思えない・・・
焦る、大いに焦る。 どうしたんだろう・・・。 改めてマニュアルを読み返すと、どうやら赤緯軸に開けられた穴を通して北極星を眺めるものらしい事が判明。
さらにもうひとつ、赤緯軸の中に通っているらしいウェイト軸・・・これもも伸ばさないと、ダメ。 
ベテランには常識でも素人の私には思い及ばなかった。(赤緯軸についてはマニュアルにも書いてあったが見落としていた。)  
さっそく極軸望遠鏡の対物側から覗きながら赤緯軸を回転させて穴の向きを合わせ、ウェイト軸を伸ばし、あらためて極軸望遠鏡を覗くと北極星が鎮座ましましておられました。

赤緯軸に遮られた状態赤緯軸は開いているものの、
ウェイト軸に遮られた状態
北極星が見える状態!

⑤.マニュアルに基づいて極軸合わせの儀式を行う。

 詳細はマニュアル参照。

 調整後、合いマーク、そしてついでに水準器も両面テープで貼付けてみた。 
 
 合いマーク→ 緯度の異なる場所へ移動して場合に行った極軸調整を元に戻す目安。

 水準器→ いつもの設置場所とは、ほんの数メートル程度なので、
     ここでの調整が再現できればと、淡い期待を抱いて両面テープで張り付けてみた。

 ※ 折角合わせた高度調整が不用意に動いてしまわないよう、高度調整クランプをしっかりと
   締めつけておく。

⑥.望遠鏡を載せて最終確認、そして撤収。
いつもの場所に移しての再現性を確保するため、鏡筒を載せた状態での水平を確認しておく。
STARBOOK からホームポジションに戻して電源を切る。
いつも使う望遠鏡を載せ、ホームポジション位置で鏡筒部分で水平を確認し、ずれている場合は水平になるよう調整する。(STARBOOK では方位90度、高度0度)
念のため、STARBOOK から方位0度近く、そして高度0度に調整して鏡筒を南に向け、南北方向での水平を確認する。
再度、極軸望遠鏡を覗いて設定がず゛れていないかチェックするのが吉。
これで、いつもの場所で設置した時に、西向き高度0度、南向き高度0度で水平がとれていれば、水準器の精度と読み取り精度の範囲で再現できる・・・はず。
一応これで、この場所における赤道儀の高度、基準設定完了。 撤収~っ!
 

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 北極星を使わず設置してみる
 まずは設置する。
 北極星を使って合わせた極軸の設定を再現できる方法を試行してみる。 
 . 
①.まずは三脚を設置する。
とりあえず明るいうちに、コンパスを使い、いつも三脚を設置している場所に東西の線をマークしておいた。 
 (自宅神戸付近における偏差角は西7.1度とあったけど、そんな精度は無理なので磁北よりやや西、10度以内?辺りの精度。)
夜になるのを待って赤道儀を載せたままの三脚を担ぎ出す。 赤道儀や三脚のためには分割して持ち運んだ方がいいのだろう、とは思うけど、真っ暗な中で重い赤道儀を載せたりするのは少々つらい。 足の上にでも落としたら骨折確実。 
ただし鏡筒だけは万一倒した時のダメージが大きいので外しておく。
よ~い、しょっ、と降ろした三脚を開き、東西の脚を昼間にマークした東西の線に合わせて置けば、赤道儀の方向調整範囲内の精度では置けるはず、と固く信じて設置する。 
 (三脚を降ろす時は、ドッコイショッとカタカナで一気に降ろすのはダメ。 
  ひらがなの、”よ~ぃ、” で地面に軽く触れさせて地面を確かめてから、”しょっ”で降ろせ! と、若かりし頃、先輩に教わった!) 

②三脚(赤道儀)の水平を出す。
三脚だけなら水平を確認するのは簡単だけど、赤道儀を載せてしまうと水平を確認できるところがない。
東西は極軸望遠鏡の覗く側に水平らしき部分はあるので水準器を乗せ、東西脚の長さを調節して水平を出す。
ここで三脚を長く伸ばしたままで設置しようとすると、三脚のネジを緩めた途端、”ガクッ”と滑ってバランスを崩し転倒させる恐れが多分にあり。 以前、危うく人柱。
 三脚を伸ばした状態で設置する時は赤道儀を外して設置し、軽い状態で水平を合わせたのち、重い赤道儀を載せるのが吉。
 私の場合は後から重い赤道儀を載せる方が危ういので、赤道儀を載せたまま、三脚を一番番縮めた状態を標準として、傾き補正分だけ伸ばす方法としている。
 この場合望遠鏡を覗く位置が低くなるので、 座面の高さを変えられる椅子 を愛用。 
続いて南北は方向。 しかし水準器を置く場所がない・・・。 ここで前日北極星で極軸合わせした時に貼りつけた水準器で水平を出せば、水平を飛び越して北極星の高度に合わせられるはず・・・と今度も固く信じて北脚でレベル合わせをする。

③STARBOOK と電源を接続する。
望遠鏡を載せる前に STARBOOK でホームポジション(方位90度、高度0度)にして、アリミゾで東西方向の水平を確認、続いて方位0度近く、高度0度で南北方向の水平確認をする。
(このステップでの水平確認はあまり精度がでないと思われ、単にダメ押し? あるいは気休め確認。) 
確認後、ホームポジションにセットして一旦電源を切る。 

④赤道儀に鏡筒を載せる。
決して勧めないけど、もし追テストする場合、この後、荒技をするのでできるだけ軽量な望遠鏡で試される方がいい。
とりあえず望遠鏡をセットし、SXDのお約束として STARBOOK の電源を入れてホームポジションの西向き水平にセットしたのち、水準器で鏡筒の水平を確かめる。 
この時、もし水平からずれていたら STARBOOK の表示が高度0度、方位90度となっているのを確かめて赤緯クランプを緩め、水平になるよう微調整する。 
続いて南向き、方位0度側。 しかし方位0度を越えると子午線反転が始まってしまうので0度近辺にセット、高度は0度にして鏡筒の南向き水平をチェックする。 
※南向き水平は緯度に対する高度調整のチェックとなるので、もっと精度の上がる方法はないか検討中。

⑤STARBOOK のアライメントをとる。
南方向に明るい恒星が出ていたら STARBOOK の星図モードで選択し、導入してみる。 (南向きのほうが天の赤道の傾きが少ないので、感覚的にわかりやすい)
最初三脚設置した時の東西2脚のポジションさえある程度の精度が出ていれば少なくともファインダーの視界には入るはず。
私の場合、従来は運が良ければ600mm直焦点デジカメのモニター内に入っている程度から、この方法にして月1コ分(約0.5度)の範囲で入ってきた。
眼視するだけならこのままSTARBOOK で微調整してアライメントすれば十分だが、デジカメで撮影する場合は少々荒技を使う。 

(参考)方向調整範囲目盛の例
もし対象の星が左右(東西)にずれていたら赤道儀の方向調整ツマミで方向調整するが、調整しきれない場合は、一旦、方向調整を調整範囲の中央に戻し、エイヤッと脚を浮かせて方向を僅かにずらし、再度方向調整ツマミで方向調整してやる。 
ただしこの荒技は三脚ごと転倒するリスクが大きいので、お薦めしない。 くれぐれも自己責任で。

続いて上下(南北)方向のズレは、高度調整ツマミで、としたいところだが、一旦は北極星で調整したものを崩してしまう事になるので、ここも転倒リスクを覚悟した荒技、北側の脚の長さ調整で視界の中央にもってくる。 
(北極星での極軸調整を崩しても構わないのなら高度調整ツマミで調整する方が確実に安全。)

繰り返すけど、東西方向にしても南北方向の調整にしても鏡筒を付けたまま三脚を浮かせる荒技なので、決してお薦めしない。 
特に脚を長く伸ばした状態で、鏡筒を載せたままでの脚長さ調整は転倒リスクがかなり高いので馬鹿な事はしないのが吉。(私の場合一番縮めた状態が標準) 
鏡筒を載せるまでに何度も水準器での水平確認をしたのは、ここで、鏡筒を載せたままで脚持ち上げの荒技を使いたくなかったから。 
もし私のHPを見て、試してみようなどと思った方がおられたら、既にここまで何度も”リスクが高いからお薦めしない”という事を再々度、警告しておく。
ズレが月の直径程度までなら素直に STARBOOK でアライメントするのが吉。 

ここまで追いこんでからマニュアルに基づいてアライメントしてやれば、目的の星の導入も一発で決まるし、エクステンダーを外してフラットナー装着したFS−60Q(f=374mm)で、30秒程度の露出には充分耐えられているようだ。  (ただし私の機材と場所と、たまたまかもしれない実績での話で、結果の保証はしない。)
なお、露出30秒の目標はこれ以上露出をかけても背景が白くなってしまう事、そしてD5100のシャッター時間が30秒まで。

[ SXD と STARBOOKに関する疑問点防備録 ] 
 アライメントって、目標の星を探すには絶大な威力なんだけど、追尾に関しても効果が有るのか、無いのか、 ・・・今のところ未解決。 
 
 露出30秒での試写
   自宅の環境では、ISO−1600 の 30秒露出でこの位まで明るくなってしまう。 
   肝心の星像の流れは・・・まあ、以前の10秒~20秒と比べても良くなっているので、許容範囲か・・・ 
2011.09.29 FS-60Q f=374mm +D5100 直焦点 露出 ISO-1600 30秒 4928x3264 から 800x530 に縮小 他、無加工
 画像中央部

 元画像から50%縮小し切出し。
 (コントラスト、トーンカーブ補正有り)

⑥撤収前に。
機材を撤収する前にしておいた方がよいと思える事項。(結果が良かった場合)
○東西脚のそれぞれの位置をマーキングしておく。(東西脚が決まれば北脚も自動的にきまる。)
○当然の常識として、まず望遠鏡を外して撤収。
○赤道儀を付けたままで三脚を撤収するかどうかは自己責任だけど、初回は分割撤収が吉。
 ただし、方向調整の量を再現するため、赤道儀と架台に合いマークをつけておくのが吉。
○望遠鏡を外し、赤道儀を外してそれぞれ撤収後、三脚の各脚を縮める前に、各脚の伸ばし量をマーキングしておくのが吉。


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