なんだかなあ?ベトナム!
KHONG VIET
その3　ベトナムといえばアオザイ

あ、その前にベトナム国の人種構成について話しておきましょう。
ベトナム国の人口は8,800万人でその98%がキン族です。キン族とは我々が普通ベトナム人と呼んでいる人たちのことです。ハノイを中心とした地域と中部、さらに南部では顔つきも少しずつ違ってきますが、おなじキン族の文化を持っているので同族とみなしているようです。

キン族以外には苗族とタイ族が北部山岳部に、チャム族が中南部に住んでいますが、その数はわずかです。

さて、題名のアオザイ。アオダイと書いてあるウエブサイトもあります。これはベトナム語の発音が日本語の表記では表しきれないために生じたものでしょう。

アオザイは基本的に清朝の支配者であった満州(マンジュ)族の民族衣装です。それが清朝の政策で中国の民族衣装として今に伝わっているものです。　この服の特徴をあげてみると

(1) 長めの上着にスラックス

(2) 横にスリット

(3) ボタンは中央ではなく右側にずれている

(4) 詰襟である

これらはすべて騎馬民族の伝統衣装から影響されているものです。

(1) 長めの衣装とスラックスは乗馬と防寒にはかかせない

(2) 横のスリットは乗馬時にじゃまにならないように

(3) ボタンの位置は乗馬時に寒い外気が打ち合わせの部分から入らないように

(4) 詰襟は寒い外気が首筋からはいらないようにする

ということになります。

ここ亜熱帯地帯であり、騎馬民族ではないベトナムではこういう服装は必要なかったはずですが、数千年にわたって中国の強く影響を受けてきたベトナム人はこの満州人の民族衣装を時代の先端ファッションと捉えたのか、昔から反中華思想保持者ですので、漢民族を支配した満州人の民族衣装を取り込んだのかもしれません。

一般の事務所で働いている女性たちはほとんどアオザイを着ていませんが、ホテルや空港カウンター、飲食店の従業員は制服として着ているのをよく見かけます。

ベトナム人女性になぜアオザイが似合うのか研究してみましたところ、体型と密接な関係があるのが分かりました。

ベトナム人は男女を問わず

(1) 骨格が細くて縦長

(2) 胸郭が薄い

(3) お尻が小さい(でっちりではない)

(4) 腰椎前部に突出した頂骨が目立つ

という特徴があります。

(1) の特徴からは、腰の部分で服装を切り替えずに長めの上着にした方がきれいに見えるという特徴があります。

(2) からは想像できないのですが、胸郭の厚さに対して乳房が異常に大きくみえます。これは筆者が男性だから特に目につくのかもしれません。女性の読者のみなさん、ベトナムで観察してぜひその結果を教えてください。

(3) 早い話お尻がぺちゃんこなんです。今流行のローライズジーンをはいている女性も時折見かけますが、インドネシアに比べて多くありません。ローライズパンツをはいた女性がしゃがむとインドネシアではお尻の谷間が見えてしまいおもわず微笑んでしまったのですが、ここベトナムではローライズパンツとＴシャツの間から見えるのは背中の続きだけで、最初に目にしたときには驚きました。下の写真はソンラ町の市場でしゃがんでいる女性を内緒で撮影したものです。お尻の割れ目が見えないのに注目してください。

そういえば、ベトナムで縫製をさせている会社の女性ライセンサーがつくづく言っていたのを思い出しました。この方は数年間にわたりたびたびベトナムに出張しており、職業柄体型にも注意を払っていた人でした。「ベトナム人女性の悩みはお尻がぺちゃんこなことです。胸が小さければアンコを入れればそれで済むけど、お尻にクッションアンコを入れるわけにはいかない。だって座ったらお尻に入れたクッションの形が崩れてしまうからなんです。」ですから、お尻用のアンコ入りブラジャーを開発すればベトナムで大もうけできます。

(4) この頂骨についてはタイ人とジャワ人を比較して 別なサイト に書いたことがあります。ベトナム人も頂骨が高く、お腹が出ていないため、風でアオザイが体に貼り付くと骨盤の頂骨が目立ちます。2007年のサイゴンでの観察は こちら です。

このような特徴のうち、長所は活かして短所は隠すという方向で服装の進化が進む現在のようなアオザイの姿に至ってしまうのではないかとおもってしまいました。

本物の人間だけではなくマネキン人形も尻ぺちゃなのである。下の写真をごらんあれ。ハノイの街角にて

2008-05-03 作成
2008-05-18 しゃがみ写真追加
2008-06-05 マネキン写真を追加

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