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今まで長期滞在した国、マレーシアもインドネシアもどんな田舎でもたくさん材木屋があったが、こちらは町でもほとんど見かけない。まるでケニアのようである。
プロジェクトの周りを見回しても材木になりそうな木が生えている森がまったくない。急傾斜地以外の土の着いている斜面はほぼすべて畑になっているのだ。当初は焼畑農業が行われていたと思われるが、人口増加と定住化が進むにつれて耕地が広がっていったものだろう。
土壌流出防止のためには計画的な植林が肝要だが、その気配は未だない。
プロジェクトのある地域は年間降雨量が約1500mm、年平均気温は約25度であるからやや乾燥した亜熱帯地域に属する。
この程度の雨量では木が育ちにくい。大木巨木がないから、魑魅魍魎も棲みにくいのである。
少なくとも年間降雨量が3000mm以上でないと森林の再生ができないので材木を長期間にわたって産出することは困難である。
サイゴンの友人の話では、木材は現状 ほとんどラオス産を陸路でダナンに運びそこから輸出に回されているようで、国内で使うのはほとんど輸入品か、コンパネの類だそうだ。
業者の現場仮事務所はブロック積みかトタン張りで、木材が使われている部分が少ない。また一般住宅でも木質材料が使われていることは少ない。ほとんどがブロック積みである。現在作業しているプロジェクトの事務所では木質材料を全く見かけない。窓枠も扉も全てアルミサッシである。 アルミサッシを使わなければ窓枠や扉には材木を使わざるを得ない。ある業者の仮事務所の扉が木製だったのでよく見てみると梱包材を再利用したものだった。
昨日現場に到着した溶接材料が乗っていた木製のパレットはスギ科の北洋材でできていたように見えた。鼻を近づけてみるとスギ科独特の懐かしい香りがする。クンクン嗅いでいたら、ベトナム人たちが不審な目つきで見ていたのである。木の香りを楽しむという風習は針葉樹が少ないベトナムにはないのであろう。
ソンラ町はずれにあるレストランには、現地人の住宅を模した野趣あふれるバンガローがある。全て材木でできているので、床に隙間はあるが風通しがよくて心地よい。この建物をよく見ると使用材料は新品ではなく再利用材料であった。あちこちに開いたホゾ穴からそれと分かったのである。
また使用材料はできる限り竹を利用している。竹林はこのあたりでよく見かけ、生活用具を作るのに使われているほど大量に入手可能であるからだろう。インドネシアなどの熱帯雨林地方でも竹は重要な建築材料の一つであるが、材木に比べて耐用年数が低いので、仮小屋の屋根のヌキや壁材としてのアンペラとしてよく見かけただけであった。
一般的に建設工事では材木が多用される。だから土「木」工事と呼ばれている。しかしこのソンラプロジェクトの現場では材木で作られたものを見たことがない。コンクリート型枠など全てが鋼製である。材木が高価だから鋼製部材を使っているのだろうとおもわれる。
このプロジェクトのように木を使わない土木工事は土鉄工事と言い換えるほうが適切であろう。
それにしても、下の写真に示すこのあたりの原住民であるタイ族の家は高床式の木造住宅である。建築用の材木はどこから持ってくるのだろうか?
2008-05-10 Muong LaとSon La間にて撮影
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2008-05-10 作成
2008-05-10 写真追加
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