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美瑛〜層雲峡 2000年8月
美瑛から国道237号線で旭川へ出て、国道39号線経由で層雲峡まで走りました。天候は曇りのち雨。走行距離107.5キロ。
美馬牛の朝
美瑛町・美馬牛の民宿で迎える2度目の朝。
夜中に雨が降り、朝起きたら曇り空だった。天気予報によれば今日の北海道はほぼ全域で曇り時々雨、明日もぐずつくそうだ。夏空にぎらつく太陽はどこかへ行ってしまった。
朝食後、宿で親しくなった香港の彼女たちが一緒に写真を撮ろうというので、庭で記念撮影をして、ついでに僕の自転車に乗ってみたいというから、サドルを一番低くして乗せてあげた(ふらついて、ちゃんと走ることはできなかったけれど)。どうやら彼女たちには自転車旅行者という存在自体が珍しいのかもしれない。
美馬牛〜旭川
今日は富良野へ行くという彼女たちに見送られ、8時10分に出発。今は雨は降ってないが、荷物をビニールでくるむなど、一応の雨対策はしておく。
国道237号線を北へ向かい、美瑛を過ぎると坂を下って、まもなく旭川市に入り、道も平坦になり、だんだん水田が多くなってくる。途中、道路沿いの小川でカワセミの姿を見かけた。
(旭川市にやってきた)
JR富良野線の線路に沿って走るうちに、あたりが都市郊外の景観に変わってきた。西神楽とか西御料とか由緒ありげな名前の駅前を通過して、旭川市街まであと5,6キロの緑が丘駅の手前で右折。旭川の中心部には寄らず、道道90号・旭川環状線で市街地の東縁を迂回。
旭川市は人口36万人、札幌に次ぐ大都市である。過去に自転車で走った道内のどの街よりも大きな都市である。それは郊外をちょっと走っただけでも分かる。
交差点で地元のおばさんや高校生の自転車に混じって信号待ちなどしていると、無人の山の中をひとりで走っている時には感じないヨソ者意識が芽生えて、新鮮な気分でもある。
道の駅「とうま」で高級スイカ「でんすけ」を食べる
石狩川の支流の忠別川や牛朱別川を渡り、旭川と網走を結ぶJR石北本線を陸橋で超えると、まもなく国道39号線にぶつかり、右折。旭川と網走を結ぶ幹線道路である。
これをJR宗谷本線と並行して10キロほど走ると、いつしか市街地から再び田園地帯に変わり、道の駅「とうま」があったので、ここで少し休憩。時刻は11時20分。(写真は宗谷本線北永山駅付近にて)
旭川市の北東に位置する当麻町は農業の町で、高級スイカ「でんすけ」の産地である。「でんすけ」は皮が黒くて、ボーリング玉みたいな外見で、中身は赤。以前から「ものすごく美味しい」という評判だけは聞いていた。けれど、1個5〜6千円もするので、ずっと手が出なかった。それでも、無類のスイカ好きとしては、どのくらい「ものすごく美味しい」のか興味津々で、どこかで試食ができないものか、とずっと思っていたら、さすがに本場。ありました。カットした「でんすけ」が300円。さっそく買って食べてみたら、甘さとともにシャキッとした歯ごたえがあり、それがなんとも言えず良い。最高の満足感を味わえるスイカであることは間違いない。でも、ちょっと高すぎる、とは思う。
愛別
12時過ぎに石狩川にかかる比布(ぴっぷ)大橋を渡り、昔、エレキバンのCMで有名になった比布町をかすめ、すぐに愛別町に入る。ここからはずっと石狩川沿いである。
愛別の中心集落でいったん国道を離れ、石狩川の対岸の石北本線の愛別駅へ。どこか食事のできる店があるかと思ったが、見当たらず、駅前の商店でパンなど買って駅の待合室で食べる。立派な駅舎があるが、駅員はいなかった。
北の森ガーデン
30分の休憩後、13時05分に出発。
国道に戻って、なおも東へ走る。層雲峡まであと40キロ。地図を見ると、層雲峡の標高は600メートルほどはあるようで、たぶんずっと上りだろう。ちなみに出発地の美瑛町の標高は200〜300メートル、旭川市は110メートルほどである。
石北本線の線路ともつれ合うように山あいを行くと、愛別町から上川町に入り、やがて「北の森ガーデン」というのがあった。熊牧場やレストラン、土産物屋などがある観光施設で、かなり賑わっている。売り物は氷点下41度を体感できる「アイスパビリオン」らしい。この気温は明治35年1月25日に旭川市で記録した日本最寒気温だが、あまり体験したくないので、入らない。熊牧場だけ見物してきた。
層雲峡へ
上川市街を過ぎると、国道は2方向に分かれる。左は紋別方面、右は層雲峡・網走方面で、当然右へ行く。ここからしばらくは国道39号線と273号線の共用区間である。
ずっと並行していた石北本線の線路とも別れ、もう沿道に人家もほとんどなく、石狩川の刻んだ峡谷をひたすら遡っていく。陽射しもなく、陰気な山の中で、景色に見とれることもない。交通量はそれなりにあるけれど、自転車で走っている奴なんて全く会わない。自転車旅行の楽しさを感じることもなく、ただ黙々とペダルを踏む。
アスファルトの路面だけを見つめながら、道路の左端を坦々と走っていくと、層雲峡青少年旅行村のキャンプ場があった。今回はまだ一度もテントで寝ていないので、今日はキャンプをしたいと思っているが、ここは通過。
層雲峡の温泉街まではまだ6キロほどあるが、すでに峡谷は険しさを増し、柱状節理の絶壁がそそり立っている。石狩川は広い平野をゆったり蛇行しながら流れる北海道随一の大河だが、ここまでくると、すでに川幅も狭まり、渓流となって、勢いよく岩を噛んでいる。
ついに雨が落ちてきて、しかもだんだん強まってきた。キャンプをしようという気力が急速に萎えていく。ちょうど落石防護シェルターがあったので、その下で自転車を停めて、レインウェアの上下を着込む。すっかり本降りとなった雨の中、この格好でフードをすっぽり被って走っていて、デラックスな観光バスに追い抜かれたりすると、自転車旅行の悲哀というものを痛切に感じる。しかも、人里離れた山の中で、妙に人恋しい。
層雲峡温泉
ようやく層雲峡の温泉街が見えてきた。時刻は17時。すでに薄暗く、有名観光地で立派な旅館やホテルが多いわりには寂しい感じのところだ。「空室あり」の札が目につく。
ここには高台の上にキャンプ場もあるらしいが、もうそんな気は失せて、どこか屋根の下で泊まりたいと思う。といっても、デラックスなホテルはずぶ濡れの自転車旅行者には敷居が高いし、宿代も高い。降りしきる雨の中でちょっと途方にくれるが、とりあえず層雲峡や大雪山の自然を紹介するビジターセンターに立ち寄った後、温泉街をぐるっと回ってみると、土産物店と兼業の民宿「みどり」というのが見つかり、訪ねてみた。2食付きで6,500円。飛び込みの客でも親切に迎えられ、見知らぬ土地でようやく自分の居場所を得て、なんだかホッとした。
すぐ近くに「黒岳の湯」という新しくて立派な共同浴場があり、宿で入浴券をくれたので、さっそく出かけて、さっぱりした後、宿に戻るとすぐに食堂で夕食。なかなか豪勢で、食卓には毛ガニ(半分)も出た。
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層雲峡観光の後、三国峠経由で糠平へ
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