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風の音楽〜キャンディーズの世界♪ Part8

 “ランちゃん杉”を探せ!



“ランちゃん杉”


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 キャンディーズのファンサイト 「キャンディーズの小部屋」 の掲示板でキャンディーズのさまざまな写真や動画について、あの撮影場所はどこか、というようなことが時折話題になります。そして、熱心なファンの方々の驚異的な分析力、行動力によって、これまでに東京・赤坂見附界隈、日比谷公園、愛知県犬山市の明治村、あるいはフランスのパリなど各地で30年の時を超えて数多くのキャンディーズ史跡が発見されているわけです。
 たとえば、「その気にさせないで」のプロモーション・ビデオのロケ地。僕は当サイト内で 東京のお濠めぐり、池めぐり をやっているので、これが赤坂見附の弁慶濠に架かる弁慶橋や、その近所にある清水谷公園の池周辺で行われたことまではすぐに分かりました。しかし、スゴイのはここからです。同ビデオの中でキャンディーズの3人が石垣を背にしているシーンがあり、その石垣の所在地はもちろん、石垣を構成する無数の石の中からランが背にしていた石まで特定され、その石は「ランちゃん石」と命名されていたりもするのです。
 また、ある写真集でランが鉄道鉄橋の線路上に立って撮影された写真があり、これもたった一枚の写真から新潟県の羽越本線・阿賀野川橋梁と特定され、「ランちゃん鉄橋」と呼ばれています。
 ついでに、これらの史跡をめぐる「キャン光ツアー」なる言葉も生まれています。

(キャンディーズが走って渡った赤坂見附の弁慶橋。この手前左側に「ランちゃん石」がある)

 さて、そんな中で、アルバム『その気にさせないで』に付いていたミニ写真集の中で白いドレス姿のランが写った一枚の写真が僕の探究心を刺激しました。「75.4.25 砧公園にて Ran(サイン)」と書かれていたからです(このページのトップに掲出)。
 砧(きぬた)公園は東京・世田谷区にある広大な緑地公園で、僕にとっては子どもの頃からよく遊びに出かけた馴染みの公園です。この写真は砧公園の中のどこで撮影されたんだろう?
 ヒントは背景のヒマラヤ杉です。ヒマラヤ杉はまっすぐにどっしりと聳えているイメージが僕にはあるのですが、この写真の木は傾いて生えています。ヒマラヤ杉の向こうには芝生ないしは草地が広がり、その彼方には広葉樹らしきものが写っています。桜ではないか、と僕は推測しました。なんとなく、あの辺ではないか、という心当たりがあり、実際に行ってみれば、この傾いて生えているヒマラヤ杉は意外に簡単に見つかるのではないか、という気がしてきました。それで2007年の10月頃だったと思いますが、実際に砧公園に行ってみたわけです。その時のレポートは写真入りで「キャンディーズの小部屋」内の掲示板「書き込み、ガバテッ!」に2〜3回に分けて投稿しましたが、ここに探訪記を改めてアップしておこうと思います。



 2007年10月某日、いつものように自転車で砧公園へ。かつてはゴルフ場だっただけに、とにかく広大な公園です。調べてみると、面積は391,262.26平方キロメートル。といっても、ピンときませんが、地図でみると東京ドームの軽く10倍以上はありそうです。樹木数は11,000本、43,000株とあります。株というのはツツジなどの小低木を指すとすれば、めざすヒマラヤ杉は11,000本の中から探すことになるのでしょう。とにかく、無茶苦茶いっぱいある樹木の中から探さなくてはならないわけです。

 さて、砧公園は東側に環状8号線(環八)が通っており、その環八沿いに駐車場や野球場などがあります。このあたりにもさっそくヒマラヤ杉がありますが、みんなまっすぐに生えているし、なにより背後の風景が違います。なので、このあたりは軽く流して、世田谷美術館前を通過し、いよいよ芝生の広がる緑地へ。

(広々とした砧公園)

(緑地の北側にヒマラヤ杉が多数。あの中にあるのか?!)

 写真はほぼ正面から陽が射しているように見えるので、南寄りを向いて撮影したのだろうと推測しました。緑地の北側にヒマラヤ杉がたくさんあるのは知っていたので、真っ先にそこへ向かいます。そこで撮影すれば、芝生と桜の木をバックに撮れるはずだからです。すぐにでも目当ての木が見つかるのではないか、と思っていたのですが、それらしい木は見当たりません。
 写真の木は傾いているだけでなく、まだ幹もほっそりしていますが、30年以上経過して、かなり成長していることでしょう。幹も太くなっているはずです。実際、この周辺にあるヒマラヤ杉はどれも幹が太く、まっすぐ天に向かって生えています。傾いているのは1本もありません。一応、すべての木をチェックしましたが、ここではなさそうです。
 あっさり見つかるのでは、と期待していましたが、アテがはずれて、途端に途方に暮れてしまいました。なにしろ広い広い公園です。気を取り直して、近くにあった吊り橋を渡りました。公園の中央を北から南へ流れる谷戸川にかかる橋です。この吊り橋は僕が子供の頃からあり、懐かしいところでもあります。
 ちなみに、ミキちゃんが幼稚園から高校まで通った聖ドミニコ学園は砧公園のすぐ南の谷戸川を見下ろす高台にあるため、彼女にとってもこの公園は馴染みの場所だったに違いなく、この吊り橋も渡ったことはあるでしょう。
 公園内には谷戸川に架かる橋がいくつかありますが、吊り橋は最北部に架かる橋だけで、しかも今は木立に隠れて見えにくくなっています。
 

(谷戸川にかかる吊り橋)

 とにかく、赤土の崖の間を流れる川を渡ると、再び草地に出て、すぐにまた数本のヒマラヤ杉が生えているのが目に飛び込んできました。
 あっ、ちょっと傾いて生えている!

(吊り橋を渡るとまたヒマラヤ杉が…。しかも、ちょっと傾いているのもある!)

 ついに発見か。少し興奮気味に歩み寄り、持参のランちゃんの写真(コピー)を手に、1本ずつチェックしていきます。根元が傾いている木が何本かありますが、いずれも途中から持ち直して真上に向って伸びています。
 その中で一番左(東)側に立っている木はかなり写真のイメージに近い感じではあります(下の写真)。木の向こうに芝生が広がり、その先には桜の木があります。下枝は伐られたりしているので、枝ぶりこそちょっと違いますが、これかな、と思いました。でも、傾き具合が微妙に違うようにも思います。

(写真中央の木はちょっとそれっぽいぞ!)

(ここにランちゃんが立っていた? でも、ちょっと違うような気も…)

 おや! ここで気がつきました。ヒマラヤ杉のちょっと向こうに切り株があります。しかも、かなり傾いた状態です。

(ランちゃん切り株?!)

 これはもしかして!!!
 これがヒマラヤ杉だとすれば、背景の雰囲気も似ていますし、かなり可能性が高いような気がします。ただ、この木がいつ頃、伐採されたのか分かりませんが、かなり古い切り株で、樹皮はすっかり剥落して、これがヒマラヤ杉かどうかは素人には判断できません。でも、ヒマラヤ杉の群れの中に一本だけ別種の木が植えられていたというのも不自然な気もします。僕はこれはヒマラヤ杉だったと思い込むことにして、とりあえず、これを「ランちゃん杉」の第一候補としました。
 もちろん、広い園内にはまだまだたくさんの木があるので、さらに探索を続けました。一応、園内を隈なく歩き回り、ほとんどすべてのヒマラヤ杉をチェックしたつもりです。しかし、これだ、と思える木はほかに見つかりませんでした。
 ということで、この時点で僕はこの切り株を「ランちゃん杉」有力候補として探訪記を投稿したのです。もちろん、見落としがあるかもしれませんし、そもそも切り株が本当にヒマラヤ杉かどうかも不明です。だから、あくまでも「ランちゃん杉(仮)」ということにしておきます。でも、ランちゃんと一緒に写っている木が今では切り株になっているというのも史跡っぽくて好ましく思うのです。



 ところで、この木の周辺が撮影場所ではないかと思うもうひとつの根拠はまさにその立地条件です。
 撮影日の1975年4月25日といえば、「年下の男の子」が大ヒットして、キャンディーズ、なかでもランちゃんが大ブレイク中の時期にあたります。人出の少ない平日を選んだとしても、公園の駐車場に車を止めて、歩いて園内に立ち入れば、やはり目立ちますし、大騒ぎになりそうです。ところが、この「ランちゃん杉(仮)」は広大な緑地の北のはずれに近く、そこにも道路に面して小さな出入口があるのです。ここを利用するのは散歩で公園に来る近所の人たちぐらいでしょう。そして、その入口からヒマラヤ杉までは70〜80メートルといったところです。しかも、このあたりは人もそう多くはありません。近くの道路に車をちょこっと止めて、ゲリラ撮影を敢行するには絶好のポジションなわけです。なので、それもあの写真はここで撮影されたのではないか、と考える理由の一つです。
 さて、真相はいかに?!

(砧公園の北側の入口からランちゃん杉を見るとこんな感じ)

(砧公園の航空写真。○印の部分に「ランちゃん杉(仮)」がある)


 もし、お暇な方がいらっしゃいましたら、現地を訪れて、ほかに「これぞランちゃん杉だ」と言える木がないかどうか確かめていただきたいと思います。



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