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黒部上部軌道乗車記

平成19年(2007)年9月、関西電力が主催する黒部ルート見学会に参加する機会があり、黒部上部軌道にも乗ってきたので顛末記を紹介したい。
ついでに未乗だった富山ライトレールと、立山黒部貫光立山トロリーバス、当初乗る予定のなかった京都市営地下鉄延伸部分とけいはんな線などの乗車記も書くことにする。

旅に行くまで
北陸へ
いよいよ上部軌道
私鉄特急で東海へ


◇◇◇ 旅に行くまで ◇◇◇

黒部ルート見学会は抽選。富山県と言えばもうひとつ抽選のものがある。それは立山カルデラ砂防体験学習会である。黒部ルートは原則木曜日、砂防体験学習会は原則水曜日なので、両方当選すれば効率よく乗ることができる。なお、砂防体験学習会はトロッコに乗るコースだけでなくバスや歩きのコースもある。

しかし、黒部ルートのほうは早々と当選通知が来たのに、砂防体験学習会のほうは来なかった。まあ、両方当たるのは相当運がよくないと無理だろう。黒部ルートのほうが当選しただけでも(しかも応募1回目)ラッキーということでプランニングを始める。
黒部ルートは、欅平→黒部ダムと逆方向の黒部ダム→欅平の2つあるが、私が当選したのは後者である。それと長年の懸案?であった立山黒部貫光立山トロリーバスに乗ることも目的なので、時間面や費用面からいろいろ考えた結果、立山から黒部ダムへ向かい、そこから黒部ルート見学会へ参加することにした。
東京からのアプローチもいろいろ検討したが、越後湯沢を経由して、富山で一旦下車、黒部ルート見学会参加後、北陸本線を米原へ向かい、東京へ戻ると、遠距離逓減運賃で安くなることがわかった。こうすると、名古屋から中部国際空港連絡鉄道にも寄れることになる。しかし、、、

プラン変更を余儀なくしたのは中越沖地震だった。青海川駅付近の土砂崩れで「能登」や「きたぐに」が全区間運休してしまったのだ。もともと「能登」は時間的にタイトで、数分遅れても黒部ルート見学会へ間に合わないので、立山へ泊まることにしたからいいのだが、「きたぐに」には困った。見学会後、当日中に米原や名古屋へ行くのは可能かもしれないが、名古屋で1泊しなければならず余計な出費を伴う。かと言って名古屋行きの夜行高速バスは見当たらない。悩んだ末、京都まで夜行高速バスに乗ることにした。これにより遠距離逓減で安く済ますというのは土砂のように崩れた。

出発が近づくにつれて私を心配に追い込んだものがある。それは台風9号だった。TVの天気予報を見ていると上陸するような感じである(実際に上陸したのはご存知の通り)。私は北陸へ行く前日、TVのほか、インターネットでも見て、さらに電話でも天気予報を聞いた。インターネット接続環境のある人は電話なんて思いつかないかもしれないが、市外局番+177でその地区の天気予報を聞くことができる。今回の私にとってはこれが一番安心できる情報であった。というのはアルペンルート中にロープウェイがあり、それが一番、風で運休しやすいからである。普通の雨くらいであれば問題はないが。この私の杞憂は杞憂に終わったからよかったが。


◇◇◇ 北陸へ ◇◇◇

小雨の降る水曜の朝10時頃に新宿駅に着く。時刻表通りであればあと30分遅くてもいい。しかし、列車が遅れたときのことを考えて早めに家を出た。
案の定、埼京線が遅れていた。とりあえず大宮へ行けばいいのだから、湘南新宿ラインでも可能である。幸い湘南新宿ラインはほとんど遅れておらず助かった。大宮で駅弁と飲み物を買う。昼食には早すぎるが、越後湯沢での乗換えがちょうどお昼どきなのでゆっくり食事をする暇がない(立ち食い蕎麦屋はあるが)。
ホームで「Maxたにがわ407号」を待つ。もちろん、次の「とき319号」でも間に合うが、「たにがわ」のほうがすいているだろうし、大宮に着くのが仮に20分遅れても「とき」に乗れば行程に狂いを生じなくてすむ。
割と混雑している「あさま」を見送ったあと、「たにがわ」に乗車。自由席の2階に座る。予想通りすいている。E4系の2階に座ったのは初めてだが(1階はあり)、聞いていた通りシートは横3+3で、横幅に余裕がないのでシート間を区切る肘掛がない。今回はどうせすいているから、そんなものはないほうが反ってゆったり座れる。
後からできた本庄早稲田駅や長野(北陸)新幹線の分岐部などを見ながら駅弁を食べる。やはり列車の中で食べるというのは旅の醍醐味だろう。

681系はくたか、越後湯沢にて終点の越後湯沢に到着後、在来線ホームへ。「はくたか10号」が既に入線している。JR西日本の681系に乗るのは初めてだ。この列車は指定席券を買っておいた。六日町まで上越線を飛ばすでもなく走り、ほくほく線へ。この線内では在来線最高速の160kmが許されている。もちろんいつでもその速度で走るわけではないが。設備的には、新幹線と同じ可変ノーズ型分岐器(分岐部のレールの隙間をふさげる分岐器)や1線スルー、冬季の雪に備えて融雪装置も備える。余談だが、最高時速を150kmから160kmに引き上げる際に種々の検討がなされた。例えばトンネル内にも行き違い設備があるが、そのときに対向列車が待ち合わせしている場合としていない場合の影響などである。
携帯電話で話す声が聞こえた。本来はデッキでするべきだと思うが、内容が、人が病院に担ぎ込まれてそこへ駆けつける途中、というようなことだったので、文句を言うに言えず。

富山で下車。富山ライトレールは北口なので北口から降りる。改札さんにダメモトでお願いしたら、切符をもらうことができた。
その名の通りの富山駅北口駅で写真を撮ってから乗る。均一200円は後払い式。2両編成で台車は1両の真ん中についているような造りである。2つ目の奥田中学校前までの併用軌道が新設区間で、本当に未乗なのはこの区間だけである。が、どうせ均一運賃なのだし、時間的にも余裕があるので、終点の岩瀬浜まで乗る。
富山ライトレール、岩瀬浜付近岩瀬浜で降りて、同じ電車で引き返すのも面白くないので、線路沿いに歩いて乗ってきた電車を写す。何かないかなぁと思って案内表示などを見ると展望台があるようだ。案内表示などはライトレール開業に合わせて整備したような感じだ。
10分ほど歩いて岩瀬浜展望台へ。ここは入場無料である。無料なのはいいがエレベータなどはなく階段だけである。台風の影響で晴れていないものの、階段を登れば暑い。しかし、展望室は多少涼しくクーラーが入っていたのだろうか。ここの案内図には引込み線みたいなものが書かれていたが、それらしきは見当たらなかった。
ライトレールへ戻る途中に郵便局があったので、記念に預金しておく。川沿いを歩き、競輪場前へ。ここは本当に競輪場のまん前である。富山駅北口まで戻る。なお、途中の大広田などから歩いてJRの東富山へ行くというのも考えないではなかったが、お金や時間が余計にかかり、どうせ富山へ戻るのでやめた。街中を知りたい時はいいとは思うが。

さて北口から、富山地方鉄道の駅がある南口へ行くには地下道がある。JR富山港線だったころは駅内を通ればよかった。
2両編成の電車に揺られて立山へ。富山市内に泊まってもよかったが、富山地方鉄道が万一遅れたりした場合を考え、立山駅付近の宿を予約しておいた。余談ではあるが、携帯電話が圏外で使えず、宿にも公衆電話がなかったため、立山駅に行って電話をかけた。


◇◇◇ いよいよ上部軌道 ◇◇◇

宿を7時過ぎに出る。この宿はJALホームページ経由楽○トラベルで予約しておいた。民宿ではあるが電話がないことを除けば食事も部屋もまあまあだった。ケーブルカーは7時ジャストのもあるが、宿の人が7時20分で大丈夫と言ったのでそれにした。
以前、アルペンルートを信濃大町側から抜けた時に、この立山ケーブルカーに乗るのに1時間くらい待った記憶があるのでこれも気がかりだった。しかし、夏休みも終わった9月のしかも台風が日本に向かっている日に来る客はあまりおらず、また、見学会参加者は参加証を見せれば混雑時でも優先して乗れるようだ。今日はそれを見せる必要もないが。
このアルペンルートには日本唯一というのがいくつもある。その1つがこの立山ケーブルカーである。何が日本唯一かといえば荷物車を連結したケーブルカーはここしかないとのことだ。右側に席をとる。なぜって、知ってるよね、立山砂防軌道がほんの少し見えるから。砂防体験学習会で乗れるのがこの立山砂防軌道なのである。
次に乗るのは高原バス。アルペンルートの中では一番距離は長いのではないか。室堂行きの客と途中下車する客は列が違うので注意。2台出るとのことだったが1台に全員乗れたようだ。途中、称名滝が見えるところで一時停車してくれる(下車はできない)。なお、称名滝を間近で見たい人は、立山駅前または美女平からバスでどうぞ。弥陀ヶ原、天狗平ともに乗降客はなし。この道路は一般車が通らないので気持がよい。
立山トロリーバス後部室堂には食堂や売店もある。が、飲み物を買い忘れたので自動販売機で買ったら250円だった。買い忘れた代償は大きい。さて、室堂からは懸案というか目の上のこぶだったというかの立山トロリーバス。このバスは以前は普通のディーゼルエンジンだったので、私が乗った時も当然それであった。その後排ガス問題などからトロリーバスになったものだ。このバスは全区間トンネルなので実質的には以前通っているわけである。それで乗りつぶしの優先度が低かったわけだ。もっともたった10分で2100円という高額なのもある。
このトロリーバスというか室堂は日本で一番高い鉄道駅である。日本で一番高いところを走るバスという鉄道でもある。どうでもいい話だがこのバスをどうやってここに運んだのだろうか。トロリーバスだから当然高原バスが通る道路は自走できない。かといってトンネル出口の大観峰に来ているのはロープウェイなのでこれで運ぶのは無理。高原バスのルートで牽引されたのだとは思うが・・・
バスはホームから発車する。2台めの1番前に座る。前のバスの集電装置の動きなどを見るためである。中ほどの席に座ったらこれに乗る意味が半分なくなってしまう。よく見ていたはずなのだが、途中のすれ違い部分の架線状況(2本あるのでどうやって交差しているか)は天井が暗かったせいもあり、見逃した。バス側の集電装置の動きはわかったが。でもトンネルの中しか走らないバスにワイパーがいるのかなあ。

トロリーバス終点の大観峰は、晴れていれば景色がいいところだが、今日はあいにくの天気で何も見えず。私は以前景色を見たのでいいのだが、初めて来た人にはお気の毒。ここからロープウェイで下る。乗ったら多少は景色が見えてきた。このロープウェイは1.7km、途中の支柱はない。これが本邦最長のロングスパンなのである(かつては別府ラクテンチにも同じ長さのロープウェイがあった)。本来支柱間は1km以内なのだそうだが、なだれの多い斜面に支柱を立てるのは反って危険と技術陣が判断したため特認となった。このため緊張力の高いロープを開発したのだそうだ。もちろん環境面への配慮もあるだろう。
次は黒部平からケーブルカー。このケーブルカーは何が唯一かといえば営業路線では唯一の全線地下。このため、ケーブルカーの窓からはトンネルの壁と照明くらいしか見えない。
ケーブルカーを降りると黒部湖である。ダム上を歩く前にちょっと横道へ。この道は黒部湖遊覧船乗り場への道である。途中まで半トンネルのようになっているのでその区間は傘はいらない。あわよくば日本一高い湖上を走る遊覧船に乗れるかとも思ったが、船出発時刻までに乗船場までたどり着くのは無理だった(5分しかなかった)。
しかたがないので、ダム上を歩く。屋根はないので傘をささなければならない。前回見なかった殉職者の碑を見る。トンネルの中を歩くと黒部ダム駅だ。ここからもトロリーバスが扇沢まである。が、今回はここから見学会だ。時間的に余裕があったので、展望台まで行こうかとも思ったが意外に長そうなので、今疲れると来た意味がなくなるのでやめた。たまたま映画「黒部の太陽」の回顧録が展示してあったので見ていた。

さて、案内人が来て点呼をとる。この黒部ダム駅の脇にあるトンネル(黒部トンネル)に入り、待機していたバスに乗車。座席にヘルメットがあるので、それをかぶって見学するとのことだ。原則として昼食時以外は脱ぐことはできない。お客様ではなく見学者だからだ。私を含めた3組以外は地元の富山か長野県民。今回の抽選倍率は3.9倍だから4人に1人だ。
トンネルは10.3km。いくつかの横穴があるのは工事用のズリ出しだったとか。今でも自然換気に役立っている。そのうちの1つから外の景色を見る。しかし、天気が悪いのでそれほどの感動はない。紅葉の時期などはきれいだろう。台風で見学会が中止にならなかったことを幸運に思うべきだろうね。
バスを作廊で降りる。ここはインクライン上部でもある。写真の銀色のがインクライン。インクラインというのは何かといえばケーブルカーと仕組みは全く同じで、2台の車両が斜面のレール上をつるべ式で交走するものである。ここのインクラインは車両内部が階段状ではなく普通の平らな床というのが違うが。一般的に言えば、ケーブルカーというのは一般旅客を乗せるもので、インクラインは業務専用だが、明確な区分けはないようだ。
なぜ床が平らかといえば、大物を運ぶ時は人が乗る銀色の部分は外すからだ。物を運ぶ時は平らでなくちゃね。もちろん斜めでもいいものは銀色のを平らにするために下から支えている筐体も外すらしい。
インクラインは815mだが、20分かかるので、途中でビデオを見る。もちろん黒部に関連したものだ。松任谷由美が紅白歌合戦で歌ったシーンもある。
なお、私達は上から下るが、途中で欅平からの見学者が乗ったもう1台とすれ違う。
インクラインを降りると黒部第4発電所。あれ、黒四発電所は黒部ダムの近くじゃないの?いやいや離れているのです。ちなみに黒部第3、第2発電所もあるが、第1という名の発電所はない(実質的に第1ともいえる発電所はある)。
発電所内部を見学。私が行った時は点検中の発電機があり、水車に触れてみることもできた。こういう機会はあまりないそう。このほか高速で回っている軸とかも見ることができた。
このあとはダムや発電などのビデオ上映があり、各自で持参した弁当を食べる。
昼食後はいよいよトロッコだ。

実はこのバッテリートロッコはインクラインを降りた時には見えていた。一般非公開とはいっても時刻表はある。この見学会のためにわざわざ列車を走らせるのではなく、関電関係者も乗る。そうはいっても見学者のために客車を3両増結していて、1両10名で30名。もちろん関電関係者とは別の車両に乗る。ドアはもちろん手動で1箇所。この区間は案内人が3名になり、各車両ごとに乗り込む。
このトロッコ、実はというより当然ながら荷物を運ぶための車両を連結している。写真では機関車のあとの青く見えるのがそれ。その後が客車。
NHK紅白歌合戦で松任谷由美が歌ったのはこの黒部第四発電所駅ではない。トロッコに乗車して少し経つとそこを通過する。その時の写真が数枚右側にぶらさがっているのでそれとわかる。たぶん案内人が説明してくれるだろう。そのユーミンが歌ったシーンで確か雪が舞ったような部分があったと思うが、ここでは雪が降ったり吹き込んでくることはあり得ない。

仙人谷鉄橋で一時停車して列車から降りることができる。これは見学者のためのサービスであろう。この黒部上部軌道が地上に出るのは唯一ここだけである。ここからは仙人谷ダムを見ることができる。
この鉄橋には屋根がある。なぜかといえば冬季の積雪に対応するため。側壁もあり、冬季は側壁を完全に閉じて積雪で運休のないようにしている。冬季以外は側壁上部は開いている。
列車に乗り込み、しばらく経つと、高熱隧道を通る。ここは硫黄のにおいがぷんぷんする。とはいっても命に関わるわけではないのでご安心を。客車内もあったかくなり、メガネがくもる。ドアを開けて手を出してみるともっと暖かく感じるが、熱いわけではない。手は出してもいいけど、顔は出さないほうが安全。なぜかといえばこの高熱隧道区間は素掘り(トンネルの壁がコンクリートなどで覆われていない)だから。高熱隧道の名前の所以は掘った時は高熱に悩まされ、人夫は水を掛けられながら裸で掘ったとか。

列車を降りると前方にエレベータがある。しかし、エレベータには乗らず、横穴から外へ出る。ここも天気がよければ景色のいいところなのだろうが、日頃の行いのせいか悪天候なのでよくは見えなかった。この横穴の上方にある宿舎(だったかな)が雪崩で反対側の谷まですっ飛んだとか。これは笑い話ではない。反対側といっても100m以上はありそうだったから、自然というのは時に恐ろしい。
先ほどのエレベータで200m下る。200mですよ。埼京線のホームを縦にした距離と同じ。しかもこのエレベータ内にはレールがあって車両を1両載せることができる。どのくらいのワイヤーが使われているのだろう。
いよいよ最後の乗り物に乗る。ここもトロッコと言ってもいいのだが、電化してあり、黒部峡谷鉄道で使われている車両に乗る(私が乗った時はリラックス車両だった)。一旦バックしてから、前進しトンネルを出る。そしてホームに着く。なんとここは黒部峡谷鉄道の欅平駅の一部だ。進行方向に歩いて行き、改札前で解散の挨拶。もちろん改札は見学者なら素通りできる。

見学会事務局で14:37の特別車両の予約をしておいてくれたが、どうせ富山で時間をもてあますので、次の14:58のに変更した。この時間はなぜか21分後なのだね。その次は普通客車のみ、さらに次はリラックス車両で、特別車両のは2時間後の16:43になってしまう。
案内板などで足湯があることがわかったので、そこに行くことにする。疲れた足には気持がよい。同じことを考えた人たちで混んできたので、引き上げる。せっかくリラックスできたのに階段を上らねばならないのが玉に瑕。途中に物を運ぶための簡単なモノレールがあるよ。

土産物屋を覘いてから列車に乗る。特別車両は窓付きである。以前乗った時は普通客車だったので窓はなく、長袖は持っていったがそれでも寒かったのは覚えている。隣に乗ったお兄さんは半そでだったからさぞ寒かっただろう。
列車は黒部川沿いを下っていく。鐘釣などからたくさん乗ったようだが号車が違うので影響なし。途中居眠りをしながら終点の宇奈月へ。
宇奈月駅で降りた人がたくさんいるので、富山地方鉄道は座れないかなあと思っていたが、大部分は富山地方鉄道のほうへ行かない。そう、彼等は観光バスで来ていたのだ。いまどき鉄道を乗り継ごうとするのが古いのか。ともあれ、座れない心配はなくなった。

宇奈月温泉駅から富山へ。途中で進行方向が変わる。電車は富山に近づくにつれて徐々に人が増えてゆくが、全員が座れる程度の人数だ。
富山到着時刻は18:01。さあて何をするかなあ。そろそろ暗いし、おまけに小雨まで降っている。とりあえず駅の食堂街で食事をする。そのあとみどりの窓口で明日使うきっぷを買っておく。他駅からの乗車券でも買えるんだね。
そのあと、地鉄駅右側にできた新しそうなビルに入り喫茶店で時間をつぶす。雨が降っていなければ駅前散歩でもいいのだけど、わざわざ濡れに行かなくても。カウンターから見えない位置に座り、見学会でもらった資料などを読んだり、時刻表で再度行程を確認する。
JR高速バスの乗り場は駅前(北口ではない)。さっきみどりの窓口で聞いておいた。バス停に張り紙があったので見たら今日の東京行きは台風の影響で運休と。大阪行きでよかった。時刻数分前に2階建てバスが入ってきた。ホームページに載っていた写真は2階建てだったが(チケットはホームページではなくみどりの窓口で購入)、それは別の便なのかなあとあまり期待していなかったが、うれしい期待はずれだ。私は2階席を案内された。
金沢で運転手が交代する。同時に乗客が増える。そう、富山から乗る客はそう多くはない。しかし、バスは発車しない。アナウンスがあり、東京行きのチケットを持った客とトラブっているとのこと。運休した高速バスの乗車券だけなら単純に無手数料払い戻しになるので、それだけの話ではなさそうだ。私の推測だが、東京行きが運休したから、そのチケットで乗せろというのだと思う。さらに京都からの新幹線もタダで乗せろというのだと思う。そこまででなければトラブルでそんなに時間がかかるわけはない。鉄道のチケットならばその乗客の主張どおり東京まで追加料金なしで乗れる。しかし、バスの場合はどうなのかな。バスはJRグループとはいっても独立した会社だし。東京行きが運休したから大阪行きに乗れるかまではJRバス会社だけで判断できるだろうが、新幹線まではどうかな。昼特急という高速バスもあるが。結局どう処理したかは私にはわからないが、遅れたぶんは途中のサービスエリアでの運転手の休息時間(乗客はサービスエリアでは降りられない)を削ったか速度を上げたかで、京都駅には定刻に着いた。定刻でないとその先の予定が狂うので一安心。


◇◇◇ 私鉄特急で東海へ ◇◇◇

冒頭に書いたように当初は京都に寄るつもりはなかった。しかし、事情により京都に寄らざるを得なくなった。それでも、京都からまっすぐ新幹線か東海道本線に乗って名古屋へ出ようと考えていた。だが、あるときふと、京都に未乗線があることを思い出したので、急遽いくつかの線を乗ろうと思った次第である。

京都に着いたのはまだ夜が明けていない5:10分。いくらリクライニングシートとはいえ夜行バスで熟睡はできないので、ぼーっとしたままバスを降りる。トイレで洗面と髭剃り。5:30の東海道本線上り始発に乗る。221系だ。この列車はプランニングした1月号時刻表では5:31だったが1分早くなっていた。この1分は重要な要素をもつ。というのは山科で乗換える京都市営地下鉄の始発が5:40だからだ。以前来たときに乗換え距離が長かった記憶がある。始発のに乗り遅れると次は12分後。後での乗り継ぎが違ってくる。ともあれ、突っ走ることはしなかったが通路は早歩き、エスカレータも歩いて時間短縮を図る。券売機で切符を買ってホームへ。間に合ったー。
この京都市営地下鉄東西線は末端の醍醐から六地蔵までが未乗であった。新規乗車区間とはいえ地下鉄だから駅の様子を見るくらいしか楽しみがない。終点の六地蔵でJR奈良線に乗り換え。切符は片町線の祝園まで。実は地下鉄で12分後のに乗るとその後に乗るバスの時刻の関係で新田−(徒歩)−大久保−(近鉄)−高の原−(バス)−、というルートになる。
103系に揺られて奈良線の戸籍上の終点木津へ着く(電車は奈良まで行く)。奈良線というのに奈良県を走らない線なのだけど、私としては気動車時代にキハ40系に乗ったような記憶がある。17分後の片町線207系に乗り、2駅目の祝園で下車。この片町線も私が最初に乗った時は気動車で1時間に1本程度しかなかったので隔世の感がある。
近鉄の新祝園と一緒になっている祝園から学研奈良登美が丘行きバスに乗る。学研奈良登美が丘行きは3系統あるが、私が乗ったのはその中でもおそらく1番時間のかかる系統だった。しかし他の系統のは発車時刻が遅かったので結局同じくらいの時刻に学研奈良登美が丘に着くと思う。運賃的には全て同じ。乗車時間は30分だった。

学研奈良登美が丘行きは高架駅で、近鉄学研奈良登美が丘駅と書かれている。路線の保有者は近鉄ではなく奈良生駒高速鉄道なのであるが実際の運行者は近鉄なのでウソではない。ラッシュ時のピークがちょっと過ぎた8時前の電車に座る。ラッシュ時に荷物があるときは座れないと結構つらいので助かった。ここから生駒までが新規乗車区間である。
生駒からは近鉄奈良線に乗り換えると時間、運賃的にも有利だと思うが、ラッシュ時の乗り換えがいやなのと地下鉄今里筋線に少しでも乗りたいのでそのまま緑橋まで乗り通す。ラッシュ時に降りられるかというのもあったが無事に降りることができた。ここからは新規開業線の今里筋線だ。本当は全線乗りたいが、井高野まで行くと、バスで阪急の駅まで行って、大阪モノレールの延伸区間にも乗ってみたいという欲が出てきて帰りが遅くなってしまうので、1駅だけにとどめた。本来ここまでの予定はなかったので、そこまで乗るとあまりにも逸脱してしまう。

今里から1駅で鶴橋。予定では9:36の近鉄名古屋行きだったが、1本前の9:06のに乗れた。この列車は名阪の速達特急で、9:36のよりも43分早く名古屋へ着く。13分早いわけだ。列車はアーバンライナーplusだから、乗ってみたいと思っていた列車でもある。座席は1人で2人分使えるくらいの乗りだったし、前夜の高速バスの寝不足もあって舟をこぎながら名古屋へ。改札口で特急券が欲しいというともらえた。

名古屋はきしめんが名物なのでなるべく食べたいが、今回はここではJRに乗らないので食べそびれるかとも思ったが、名鉄の駅にあったので食べることができた。とりあえず自由席のある特急で中部国際空港まで行く。ここまでは予定より40分ほど早い。豊橋まで名鉄で行くつもりなのだが、直通特急は毎時00分発しかない。予定より早いので多少ゆっくりしたいし、直通特急は豊橋での上りこだまへの乗り継ぎがタイト(一応標準乗り換え時間は満たしているが)なので、新鵜沼行きに乗り、神宮前で豊橋行きに乗り換えることにする。ミューチケット(指定席券)は1乗車あたりは350円だが乗り継ぎなら2列車で500円なのでお徳用。

駅と空港は直結している。1階部分にチェックインカウンターなどがある。お店などは2階にある。話題になった空港浴場もここにある。この浴場は浴場だけでなく店舗も併設している。駅側から見て右側が和風の店の並び、左側が洋風なのだが、スター○ックスはどっちにあったと思います?右側なのですね。スター○ックスに擬似瓦屋根があったのはなんとも不釣合い。
無料の展望場があるので飛行機を眺めることができる。ちょうどハローキティ塗装のEVA航空機が停まっていた。
航空なんとか展というのをやっていたが多少距離がありそうなのでやめ、駅にもどる。なお、鉄道駅だけでなく、津などへの船便も発着している。

中部国際空港からはミュースカイ。快速特急なので次の停車駅は乗り換え駅の神宮前。それにしても中部国際空港駅は列車の写真が撮りにくい。神宮前では6分の待ち合わせで快速特急豊橋行きに接続。その前にパノラマカーが先発する。この快速特急は一部指定席のため、ミューチケットがなくても乗れるが、パノラマスーパーだし、物は試し。豊橋までは40分ほどなのだが途中ですいてきたので一計を案じ、先頭の展望室に行って最前列に座った。やはりここも指定席であるが、ミューチケットはあるし、問題ないだろう。

豊橋では名鉄からJRへの乗り換え改札はない。これはもちろん豊橋から西へ数キロはJR飯田線と共用だからである。新幹線との乗り換え口に名鉄の精算機がある。
思えば京都から豊橋までJRは2回短区間乗っただけで、だいたいは私鉄に乗ったわけである。ここから東は長距離を走る私鉄は小田原までない。小田原からはもちろん小田急に乗ったとさ。

平成19(2007)年9月

このページは、2019年3月に保存されたアーカイブです。最新の内容ではない場合がありますのでご注意ください