このページは、2019年3月に保存されたアーカイブです。最新の内容ではない場合がありますのでご注意ください




満州写真館 農業と農家


                        
ここでは満州国の風景を写した戦前の図書『若き満州』から、農業に従事する満州国民(満州土着民の農家)の姿を紹介いたします。
また、在満邦人の農業風景は別途、紹介してまいります。

まず広々とした畑をロバと思われます家畜に鋤を引かせて耕している様子です。

種をまいているところです。
種まきは、三人一組で行われることがおおかったようです。まず耕した土に穴をあける人、それに続く人が種を入れ、三人目が穴を埋めるという役割分担です。
こちらでは1名だけで種まきをしているふうにもみえます。

機械化された農業風景です。トラクターが行きかっています。
満州に住む人達にも経済的に豊かな農民がいました。そしてご覧のとおりの機械化された農業を大規模に行っていたことがわかります。
機械化がなされると言うことは、それに見合う充分な広さの耕作地があるということでもあります。狭い場所では、写真の様な大型機械は導入できません。さらに石や木の根など、農具を破損するものは全て取り除かれた、整備された畑であることも必要です。

耕された畑です。
地平線が見えます。邦人は、まずこの満州の地平線に驚きます。地平線まで山ひとつ無い平地が続いているのです。
こちらの写真では、地の果てまで畑が続いています。

写真からは判別しにくいのですが、粟ではないかと思われます。満足そうに収穫を抱えています。豊かな実りがわかります。粟は、粥や餅に加工され、常食されていました。

豊かな実りと、鎌を手に満足そうに笑う姿が見えます。
鎌を手にしており、柄は日本で見るものより長いように見えます。

馬車とその上でほほえむ幼い子供です。カメラが珍しそうです。

収穫を終えた畑の空撮です。
畑には等間隔に実りが積み上げてあります。

風を用いての脱穀です。この脱穀は、例えば実って枯れた大豆を乾燥してから刈り集め、枝や葉を丸ごと叩いて鞘を割り大豆を出します。
そしてそれらを丸ごと空へ放り上げます。すると、風で葉や鞘など不要なものが飛ばされ、大豆だけが落ちてきて分別できます。
日本でも、行われる方法ですが、空高くどっさりと放り上げるのは満州特有です。
後ろに、収穫が山のように積んであります。人の背丈と比べても大きなものであることが判ります。先ほどの空撮で見えた収穫物の積み上げもこの大きさだとすると、実に沢山の生産量であることが伺えます。

こちらも脱穀風景です。
手に持っているのは高粱の穂の部分です。高粱は人の背丈よりも高く育ち、その先端に、小さな実を沢山、穂のようにつけます。
こちらではその先端を手で持って、棒にたたきつけて実を落としているところです。
撮影ですが、太陽が向こう側からさしているのに、真ん中、女性たちの顔はくっきり写っております。フラッシュか光を反射するもの(レフ板)が有るものと思われます。撮影は、カメラの前で演出されたものとも思われます。

鶏にえさを撒いているところです。
後ろに満州の農家が見えます。

畑を横切る豚です。
満州は農業国で、また大畜産国でもありました。特に豚が多く飼われていました。

こちらは牛で、小さな池を水飲み場にしています。

川を横切る家畜です。牛だと思うのですが、妙に体が丸く、我々の知る牛と違って見えます。

家畜を見守る犬です。
毛並み、顔立ちからシェパードと判断できます。
シェパードはドイツでは警察、軍用犬として重宝した、賢く忠誠心も旺盛で、運動能力も抜群の勇猛な犬種です。
日本でも、大戦前から犬の有効な社会参加の研究、そして軍務の研究がなされました。陸軍も伝書犬としての活用、偵察や警邏、歩哨任務の活用を検討、実行された様です。しかし、シェパードは価格が非常に高いのがネックとなっていました。犬は、様々な任務に就きましたが、その中で必ずしもシェパードは多くありませんでした。
しかし、この写真から、満州の民間でもシェパードが飼われていたことが判ります。
それだけ、有用だったのでしょう。
特に満州は、南部から北部まで、全土で狼が出ました。この狼は家畜を狙いますことから、農業の大敵です。そうした狼よけにもシェパードが必要であったものと想像します。


こちらは羊です。
羊毛を得、食肉にと、羊の需要は多くありました。
満州国の満鉄農業試験場は羊の改良品種も広く満州国民に広め、生産量の向上に貢献しました。

夕刻、背中に荷物を背負った農民が、家路に着いたところでしょう。
背景には遠く満州の広野が広がっています。


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