このページは、2019年3月に保存されたアーカイブです。最新の内容ではない場合がありますのでご注意ください




満州写真館 風俗風習その5

                       看板

                        
満州の都市の街角、特に満州人街は、決まって大きな看板がぎっしりと並んでいます。当時の書物にも
『満人の商店街は宛ら招牌(かんばん)の展覧会である。』
とあり、豪華絢爛なものでした。
ここでは風俗風習として、看板を中心に取り上げて見ます。

こちらの画像には手にひょうたんを載せた大きな手が通りへ突き出しています。
その向こうに時計、靴が見えます。

金龍踊る店頭

呉服屋さんの店頭です。
『呉服と龍
珍奇と誇大を愛する支那陣の嗜好をそのままに写した大げさな店頭装飾
呉服屋に金龍ではちよつとちぐはつなかんじがせぬでもないが人目につくことだけは請合ひである。さすがに販売術ならばお手のもののお国柄ではある。』
とあります。
道行く人と大きさを比べても如何に大きな看板であるかがわかります。
それにしましても、
自分の店の前の道路は
私有化して使ってしまうのは、日本でも見ないわけではないのですが、ここまで大胆に占有してしまうのは、一寸、見かけない様で。



売り物の看板
まずはキャプションから。
『満州ではどこにでもその様な看板がみられる。
これは雑穀屋の店頭だが豆の様なものでも看板の外に豆の入った袋がおいてある。
都市のショーウィンドウに一脈に通つて面白い。』
店の前に袋を置き、その袋はぱんぱんに膨らんでおり、ぎっしり中身が詰め込まれているようにみえます。
またその袋の口をあけ、中身を見えるようにし、これをショーウィンドウに見立てたという記載です。

ひらひらと風にたなびく看板で、鯉のぼりの吹流しをぶら下げたような感じです。
この形のものはあちこちにあったのか、他の写真でも見たことがあります。
しかしキャプションには『軒にたらされた箒のおおきなようなものは何の広告やら』とあり、撮影者も何か判らないみたいです。旅館にぶら下げた例もあり、特に何かを現すものでもないのかもしれません。
画像は寒そうな時期と思われ、窓はぴたりと閉まっています。
画像右端に桶を二つおいて行商人が店をだしています。他人の店の前で勝手に店を広げているのでしょうか。

縁起のよい看板
写真のキャプションから
『宿屋の店頭に誇らしげに竿頭の魚型は故意を形どっており、日本でいう鯉の瀧登りと似た意味を含む。古来、旅人は競ってかかる宿を選び喜んだが、意味深い看板も今日ではわずか北満の田舎にしか残らない。』
ぱっと見、我々には何か判りにくいものですが、実は意味のある看板で、縁起ものとのことです。

車造る家
画像では色がわかりませんが、金色に彩った車輪の模型の看板とのことです。
吉林での撮影、後ろの家は軒先に作物がぶら下げてあるなど普通の農家に見えますが、馬車などの車輪工房を兼ねている様です。


チチハルの馬具屋
ぱっとみ、何屋さんかわかりませんが、馬具屋とのことです。
先の車輪模型と違い、馬具を意匠化したとも思えず、単に装飾をこらした看板ということでしょうか。あるいは縁起の上での意味があるのかもしれません。

画面左端下にはかごに入った、なにやら丸いものがあります。画像が小さく何かはわかりませんが、馬鈴薯にもみえます。この写真のキャプションにもこうした商品を山盛りにして見えるように展示するのを『如何にも満州式な飾窓(ショーウィンドウ)だ』と紹介しています。

飾りの部分をクローズアップしてみました。意外と細かな細工です。

招牌
今一度、都市部に戻って看板を見ています。
皆、重なり合って、どこが何屋かわからないくらい、勝手気ままに大きく掲げています。


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