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H16.12.18安定局長、雇児局長通達  作成:T.Tsuzuki    Top


総則
第1
第1・1
第1・2
第1・3
第1・4
育休
第2
第2・1
第2・2
第2・3
第2・4
第2・5
第2・6
第2・7
第2・8
第2・9
第2・10
第2・11
第2・12
第2・13
第2・14
第2・15
第2・16
第2・17
第2・18
第2・19
介休
第3
第3・1
第3・2
第3・3
第3・4
第3・5
第3・6
第3・7
第3・8
第3・9
第3・10
第3・11
第3・12
第3・13
第3・14
第3・15
第3・16
第3・17
看休
第4
第4・1
第4・2
第4・3
第4・4
第4・5
時間外
第5
第5・1
第5・2
第5・3
第5・4
第5・5
第5・6
第5・7
第5・8
第5・9
第5・10
第5・11
深夜
第6
第6・1
第6・2
第6・3
第6・4
第6・5
第6・6
第6・7
第6・8
第6・9
第6・10
第6・11
措置
第7
第7・1
第7・2
第7・3
第7・4
第7・5
第7・6
第7・7
第7・8
第7・9
第7・10
第7・11
援助
第8
第8・1
第8・2
第8・3
第8・4
第8・5
指定法人
第9
第9・1
第9・2
第9・3
委託募集
第10
第10・1
第10・2
第10・3
第10・4
第10・5
第10・6
第10・7
第10・8
第10・9
第10・10
雑則
第11
第11・1
第11・2
第11・3
第11・4
第11・5
第11・6
第11・7
附則
第12
第12・1
第12・2
第12・3

第1 総則(法第1章)
1 目的(法第1条)
2 定義(法第2条)
3 基本的理念(法第3条)
4 関係者の責務(法第4条)
第2 育児休業(法第2章)
1 1歳までの育児休業の申出(法第5条第1項)
2 1歳までの再度の育児休業(法第5条第2項)
3 1歳から1歳6か月までの育児休業の申出(法第5条第3項) 
4 育児休業の申出の方法(法第5条第4項)
5 期間を定めて雇用される者の育児休業申出に係る特例(法第5条第5項)
6 育児休業申出があった場合における事業主の義務(法第6条第1項)
7 育児休業申出を拒まれた労働者の育児休業(法第6条第2項)
8 事業主による育児休業開始予定日の指定(法第6条第3項)
9 期間を定めて雇用される者の育児休業申出に係る特例(法第6条第4項)
10 育児休業開始予定日の変更の申出(法第7条第1項)
11 変更の申出に係る育児休業開始予定日の指定(法第7条第2項)
12 育児休業終了予定日の変更の申出(法第7条第3項)
13 育児休業申出の撤回(法第8条第1項)
14 撤回後の再度の育児休業申出(法第8条第2項)
15 育児休業申出がされなかったものとみなす事由(法第8条第3項)
16 育児休業期間の考え方(法第9条第1項)
17 育児休業期間の終了(法第9条第2項)
18 育児休業期間の終了に関する労働者の通知義務(法第9条第3項)
19 不利益取扱いの禁止(法第10条)
第3 介護休業(法第3章)
1 介護休業の申出(法第11条第1項)
2 介護休業の回数及び日数(法第11条第2項)
3 介護休業の申出の方法(法第11条第3項)
4 期間を定めて雇用される者の介護休業申出に係る特例(法第11条第4項)
5 介護休業申出があった場合における事業主の義務(法第12条第1項及び同条第2項において準用する法第6条第1項ただし書)
6 介護休業申出を拒まれた労働者の介護休業(法第12条第2項において準用する法第6条第2項)
7 事業主による介護休業開始予定日の指定(法第12条第3項)
8 期間を定めて雇用される者の介護休業申出に係る特例(法第12条第4項)
9 介護休業開始予定日の変更の申出
10 介護休業終了予定日の変更の申出(法第13条において準用する法第7条第3項)
11 介護休業申出の撤回(法第14条第1項)
12 撤回後の再度の介護休業申出(法第14条第2項)
13 介護休業申出がされなかったものとみなす事由(法第14条第3項において準用する法第8条第3項)
14 介護休業期間の考え方(法第15条第1項及び第2項)
15 介護休業期間の終了(法第15条第3項)
16 介護休業期間の終了に関する労働者の通知義務(法第15条第4項において準用する法第8条第3項後段)
17 不利益取扱いの禁止(法第16条において準用する法第10条)
第4 子の看護休暇(法第3章の2)
1 子の看護休暇の申出(法第16条の2第1項)
2 子の看護休暇の申出の方法(法第16条の2第2項)
3 子の看護休暇の申出があった場合における事業主の義務(法第16条の3)
4 看護休暇申出を拒まれた労働者の子の看護休暇(法第16条の3条第2項において準用する法第6条第2項)
5 不利益取扱いの禁止(法16条の4において準用する法第10条)
第5 時間外労働の制限(法第4章)
1 子の養育を行う労働者の時間外労働の制限の請求(法第17条第1項)
2 子の養育を行う労働者の時間外労働の制限の請求の方法(法第17条第2項)
3 子の養育を行う労働者の時間外労働の制限の請求がされなかったものとみなす事由(法第17条第3項)
4 制限期間の終了(法第17条第4項)
5 制限期間の終了に関する労働者の通知義務(法第17条第5項)
6 家族の介護を行う労働者の時間外労働の制限の請求(法第18条第1項において準用する法第17条第1項)
7 家族の介護を行う労働者の時間外労働の制限の請求の方法(法第18条第1項において準用する法第17条第2項)
8 家族の介護を行う労働者の時間外労働の制限の請求がされなかったものとみなす事由(法第18条第1項において準用する法第17条第3項)
9 制限期間の終了(法第18条第1項において準用する法第17条第4項)
10 制限期間の終了に関する労働者の通知義務(法第18条第2項において準用する法第17条第3項後段)
11 指針事項
第6 深夜業の制限(法第5章)
1 子の養育を行う労働者の深夜業の制限の請求(法第19条第1項)
2 子の養育を行う労働者の深夜業の制限の請求の方法(法第19条第2項)
3 子の養育を行う労働者の深夜業の制限の請求がされなかったものとみなす事由(法第19条第3項)
4 制限期間の終了(法第19条第4項)
5 制限期間の終了に関する労働者の通知義務(法第19条第5項)
6 家族の介護を行う労働者の深夜業の制限の請求(法第20条第1項において準用する法第19条第1項)
7 家族の介護を行う労働者の深夜業の制限の請求の方法(法第20条第1項において準用する法第19条第2項)
8 家族の介護を行う労働者の深夜業の制限の請求がされなかったものとみなす事由(法第20条第1項において準用する法第19条第3項)
9 制限期間の終了(法第20条第1項において準用する法第19条第4項)
10 制限期間の終了に関する労働者の通知義務(法第20条第2項において準用する法第19条第3項後段)
11 指針事項
第7 事業主が講ずべき措置(法第6章)
1 育児休業等に関する定めの周知(法第21条第1項)
2 育児休業等に関する取扱いの明示(法第21条第2項)
3 雇用管理等に関する措置(法第22条)
4 3歳に達するまでの子を養育する労働者に関する勤務時間の短縮等の措置等(法第23条第1項)
5 介護休業をしない場合の勤務時間の短縮等の措置(法第23条第2項)
6 3歳から小学校就学の始期に達するまでの子を養育する労働者に関する措置(法第24条第1項)
7 家族を介護する労働者に関する措置(法第24条第2項)
8 労働者の配置に関する配慮(法第26条)
9 再雇用特別措置等(法第27条)
10 指針(法第28条)
11 職業家庭両立推進者(法第29条)
第8 国等による援助(法第7章第1節)
1 事業主等に対する援助(法第30条)
2 対象労働者等に対する相談、講習等(法第31条)
3 再就職の援助(法第32条)
4 職業生活と家庭生活との両立に関する理解を深めるための措置(法第33条)
5 勤労者家庭支援施設(法第34条及び第35条)
第9 指定法人(法第7章第2節)
1 指定等(法第36条)
2 業務(法第38条及び第39条)
3 業務の適正実施に関する事項(法第40条から第52条まで)
第10 委託募集の特例(法第8章)
1 基本的考え方(法第53条第1項)
2 具体的内容
3 認定手続(法第53条第2項第2号)
4 認定の取消し(法第53条第3項)
5 委託募集の届出(法第53条第4項)
6 委託募集の届出の受理(法第53条第5項)
7 労働者募集報告(則第65条)
8 報告の徴収(法第53条第7項)
9 公共職業安定所の援助(法第54条)
10 その他の留意事項
第11 その他の雑則(法第8章)
1 調査等(法第55条)
2 報告の徴収並びに助言、指導及び勧告(法第56条)
3 労働政策審議会への諮問(法第57条)
4 厚生労働省令への委任(法第59条)
5 船員に関する特例(法第60条)
6 公務員に関する特例(法第61条)
7 罰則(法第62条から第67条まで)
第12 改正法附則
1 施行期日(改正法附則第1条)
2 検討(改正法附則第2条)
3 育児休業の申出に関する経過措置(改正法附則第3条)
※省略 別添1〜3、様式第1号〜5号


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 ┌─────┐                    職 発第1228001号
 │10年保存│                    雇児発第1228002号
 └─────┘                    平成16年12月28日
 
 都道府県労働局長 殿
 
 
                           厚生労働省職業安定局長
                           (公印省略)
 
                           厚生労働省雇用均等・児童家庭局長
                           (公印省略)
 
 
 育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律の施行について
 
 
 育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律等の一部を改正する法律(平成16年法律第160号。以下「改正法」という。)については、平成16年12月8日に公布され、同日付け厚生労働省発雇児第1208002号により、厚生労働事務次官より貴職あて通達されたところであるが、本日、改正法の施行に関して、「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律施行規則の一部を改正する省令」(平成16年厚生労働省令第185号)及び「子の養育又は家族の介護を行い、又は行うこととなる労働者の職業生活と家庭生活との両立が図られるようにするために事業主が講ずべき措置に関する指針」(平成16年厚生労働省告示第460号。以下「指針」という。)が公布又は告示されたところであり、これらの省令及び告示は、改正法とともに平成17年4月1日から施行又は適用されることとなっている(別紙参照)。
 改正法による改正後の「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律(以下「法」という。)」、上記省令による改正後の「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律施行規則(以下「則」という。)」等の主たる内容及び取扱いは下記のとおりであるので、その的確な施行に遺漏なきを期されたい。
 なお、本通達の施行に伴い、平成14年3月18日付け職発第0318009号・雇児発第0318003号「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律の施行について」は、廃止する。
 
                       記
 

目次

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(※省略)

第1 総則(法第1章)

1 目的(法第1条)

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(1) 子の養育又は家族の介護を行う労働者の雇用の継続及び育児・介護により退職した者の再就職の促進を図ることにより、主としてこれらの者の職業生活と家庭生活との両立に寄与することを通じて福祉の増進を図ること、また、副次的に、経済社会の発展に資することが目的であることを定めたものであり、そのための手段として、第一に育児休業及び介護休業に関する制度を設けること、第二に子の看護休暇に関する制度を設けること、第三に子の養育及び家族の介護を容易にするため勤務時間等に関し事業主が講ずべき措置を定めること、第四に子の養育又は家族の介護を行う労働者等に対する支援措置を講ずることを明らかにするものであること。
(2) 子の養育のために育児休業をするか否か、家族の介護のために介護休業をするか否か、子の看護のために看護休暇を取得するか否か、また、事業主が講ずる勤務時間の短縮等の措置を利用するか否かは、労働者自身の選択に任せられているものであること。
(3) 「育児休業及び介護休業に関する制度」とは、法第2章及び第3章に定めるところにより労働者に育児休業及び介護休業の民事的権利を与える「育児休業及び介護休業の制度」並びに事業主の努力義務としている法第21条の育児休業及び介護休業に関する定めの周知等の措置並びに法第22条の雇用管理等に関する措置の意であること。
(4)「子の看護休暇に関する制度」とは、法第3章の2に定めるところにより労働者に子の看護休暇の民事的権利を与える「子の看護休暇の制度」の意であること。
(5) 「子の養育及び家族の介護を容易にするため勤務時間等に関し事業主が講ずべき措置」とは、法第23条の勤務時間の短縮を始めとする就業しつつ子を養育すること又は家族を介護することを容易にするため事業主が講ずべき措置のほか、法第24条の事業主が講ずるよう努めるべき措置を含むものであること。
(6) 「雇用の継続」とは、育児休業又は介護休業によって休業している期間等において労働契約関係が継続することの意であり、育児休業、介護休業その他の制度がなければ退職してしまうような労働者について、当該事業主との間において労働契約関係が退職により途切れることのないようにすることを目的としたものであること。
(7) 「再就職の促進」とは、妊娠、出産若しくは育児又は介護を理由として退職した者に対して再就職を促進するものであり、すぐに再就職をすることを希望する者に限らず、当面は育児又は介護に専念しつつ将来において再就職することを希望する者に対する再就職の促進を含むものであること。
(8) 「職業生活と家庭生活との両立」とは、「職業生活の全期間を通じてその能力を有効に発揮して充実した職業生活を営むとともに、育児又は介護について家族の一員としての役割を円滑に果たすことができるようにすること」(法第3条第1項)をいうものであること。
 「職業生活と家庭生活との調和」と基本的に同趣旨であるが、「調和」は全体としての釣り合いを重視する意味合いであるのに対して、「両立」はともに並び立つことを重視する意味合いであり、近年「職業生活と家庭生活との両立」の文言がよく使われるのでこの文言を使用したものであること。
 

2 定義(法第2条)

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(1) 育児休業(法第2条第1号)

 労働者が、法第2章に定めるところにより、その子を養育するためにする休業をいうものとすること。この場合において、日々雇用される者は、育児を理由とする雇用の中断を防ぎ、その継続を図ることを目的として、子が1歳又は1歳6か月に達するまでの長期的な休業となり得る育児休業の性質になじまない雇用形態の労働者であることから、対象となる労働者から除くこととしたものであること。
 「労働者」とは、労働基準法(昭和22年法律第49号)第9条に規定する「労働者」と同義であり、同居の親族のみを雇う事業に雇用される者及び家事使用人は除外するものであること。
 「日々雇用される者」とは、1日単位の労働契約期間で雇われ、その日の終了によって労働契約も終了する契約形式の労働者であること。なお、労働契約の形式上日々雇用されている者であっても、当該契約が期間の定めのない契約と実質的に異ならない状態となっている場合には、実質的に期間の定めのない契約に基づき雇用される労働者であるとして育児休業及び介護休業の対象となるものであること。
 ハ 「子」とは、労働者と法律上の親子関係がある子の意であり、実子のみならず養子を含むものであること。
 ニ 「養育」とは、同居し監護するとの意であり、監護とは民法(明治29年法律第89号)第820条に規定する監護と同義であること。病気、旅行により短期間同居に欠けていても「養育している」ことに変わりがないものであること。
 ホ 「休業」とは、労働契約関係が存続したまま労働者の労務提供義務が消滅することをいい、労働基準法第89条第1号の「休暇」に含まれること。
 「休暇」と「休業」とを厳密に区別する基準はないが、「休暇」のうち連続して取得することが一般的であるものを「休業」としている用語例(労働基準法第65条の産前産後の休業など)にならったものであること。
 なお、民法第536条により、休業期間中の事業主の賃金支払義務は消滅すること。したがって、休業期間中の労働者に対する賃金の支払を義務づけるものではないこと。

(2) 介護休業(法第2条第2号)

 労働者が、法第3章に定めるところにより、その要介護状態にある対象家族を介護するためにする休業をいうものとすること。この場合において、日々雇用される者は、育児休業の場合と同様、対象となる労働者から除くこととしたものであること(法第2条第1号)。
 「介護」とは、歩行、排泄、食事等の日常生活に必要な便宜を供与するの意であること。
 「休業」については、育児休業の場合と同様であること((1)ホ参照)。

(3) 要介護状態(法第2条第3号)

 負傷、疾病又は身体上若しくは精神上の障害により、厚生労働省令で定める期間にわたり常時介護を必要とする状態をいうものとすること。なお、これは介護保険制度における「要介護状態」と必ずしも一致するものではないこと。
 「負傷、疾病又は身体上若しくは精神上の障害」とは、負傷又は疾病による場合、負傷又は疾病にかかり治った後障害が残った場合及び先天的に障害を有する場合を含むこと。
 乳幼児の通常の成育過程において日常生活上必要な便宜を供与する必要がある場合についてはこれに該当しないが、老齢により身体機能が相当程度低下した場合はこれに該当するものであること。
 「厚生労働省令で定める期間」については、介護休業の制度の目的が家族を介護する労働者の雇用の継続を図るものであることにかんがみ、常時介護を要する状態が一時的な、日常的にかかり得る傷病による場合を除く趣旨から、「常時介護を必要とする状態が2週間以上の期間にわたり継続すること」を要件としたものであること(則第1条)。
 「常時介護を必要とする状態」とは、常態的に介護を必要とする状態をいい、この状態に関する判断については、別添1の判断基準によるものとすること。

(4) 対象家族(法第2条第4号)

 法に先行して介護のための休業の制度を導入していた企業の実態等を踏まえ、当該労働者が介護をする必要性の高い家族として、配偶者、父母、子、配偶者の父母並びに父母及び子に準ずる者として厚生労働省令で定める者を介護休業の対象となる家族の範囲としたものであること。
 「配偶者」とは、いわゆる内縁関係にある配偶者を含むものであること。
 「父母」とは、労働者と法律上の親子関係がある父母の意であり、実父母のみならず養父母を含むものであること。
 「子」については、育児休業の場合と同様であること((1)ハ参照)。
 「これらの者に準ずる者」とは、親同然子同然の関係にある者の意であり、厚生労働省令では、当該労働者が同居し、かつ、扶養している祖父母、兄弟姉妹及び孫としたものであること(則第2条)。
(イ) 「同居」とは、世帯を同じくしている場合のほか、労働者が介護のために別居していた家族の家に泊り込んだり、介護のために別居していた家族を当該労働者宅に引き取る場合を含めるものであること。
 (ロ) 「扶養」とは、主として当該労働者が経済的援助をすることにより生計を維持させることをいい、所得税法(昭和40年法律第33号)第2条第1項第34号の「扶養親族」の「扶養」と同義であること。
 (ハ) 「祖父母」とは、当該労働者の実親の実親、実親の養親、養親の実親及び養親の養親のすべてを含むが、当該労働者の実親の養親及び養親の養親については、当該労働者の親と当該労働者の親の養親との養子縁組関係が成立した後に当該労働者と当該労働者の親との親子関係が生じた場合に限るものであること(民法第727条)。
 (ニ) 「兄弟姉妹」とは、当該労働者の実親の実子、実親の養子、養親の実子及び養親の養子のすべてを含むものであること。
 (ホ) 「孫」とは、当該労働者の実子の実子、実子の養子、養子の実子及び養子の養子のすべてを含むが、当該労働者の養子の実子及び養子の養子については、当該労働者と当該労働者の養子との養子縁組関係が成立した後に当該労働者の養子と当該労働者の養子の子との親子関係が生じた場合に限るものであること。
 「配偶者の父母」とは、配偶者(いわゆる内縁関係にある配偶者を含む。)の実父母及び養父母をいうこと。

(5) 家族(法第2条第5号)

 目的(法第1条)、基本的理念(法第3条)及び関係者の責務(法第4条)の規定のほか、下記の規定の適用対象となる「家族」の範囲に関しては、その規定の趣旨にかんがみ、介護休業の対象となる家族の範囲(対象家族)より幅広のものとなることが望ましく、「対象家族その他厚生労働省令で定める親族」としたものであること。
(イ) 事業主は、その家族を介護する労働者に関して、介護休業の制度又は勤務時間の短縮等の措置に準じて、その介護を必要とする期間、回数等に配慮した必要な措置を講ずるよう努めなければならないこと(法第24条第2項)。
(ロ) 国は、家族の介護を行う労働者等の福祉の増進を図るため、事業主、事業主の団体その他の関係者に対する援助を行うことができること(法第30条)。
(ハ) 国は、家族の介護を行う労働者等に対して、これらの者の職業生活と家庭生活との両立の促進等に資するため、必要な指導、相談、講習その他の措置を講ずるものとし、地方公共団体はその措置に準じた措置を講ずるように努めなければならないものとすること(法第31条)。
(ニ) 地方公共団体は、必要に応じ、家族の介護を行う労働者等の福祉の増進を図るための事業を総合的に行うことを目的とする勤労者家庭支援施設を設置するよう努めなければならないこと(法第34条)。
 「家族」の範囲は、対象家族及びこれら以外の同居の親族としたものであること(法第2条第5号及び則第3条)。
 「親族」とは、民法第725条の親族と同義であり、6親等内の血族、配偶者及び3親等内の姻族をいうものであること。
 したがって、「家族」の範囲は、配偶者、父母、子及び配偶者の父母並びにこれら以外の同居の6親等内の血族及び3親等内の姻族となるものであること。
 「同居の親族」は、互いに扶け合わなければならないものとされていること(民法第730条)などから、適用対象範囲としたものであること。
 この場合の「同居」については、対象家族の場合と同様であること((4)ニ(イ)参照)。
 

3 基本的理念(法第3条)

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(1) 第1項は、法第1条の目的規定の「職業生活と家庭生活との両立」の内容を具体的に明らかにしたものであり、法による子の養育又は家族の介護を行う労働者等の福祉の増進の基本的理念が、この「職業生活と家庭生活との両立」にあることを明らかにしたものであること。

 「職業生活の全期間を通じて」とあるのは、一時期職業生活から離れて家庭生活のみを送っていても、再び充実した職業生活を送ることとなるような場合も「職業生活と家庭生活との両立」に含める趣旨であること。

(2) 第2項は、子の養育又は家族の介護を行うための休業をする労働者は、その休業の趣旨が本人の雇用の継続のためであること、そのために事業主その他の関係者も本人の休業に配慮するものであること等にかんがみ、当該趣旨を没却させないよう、休業後の職場復帰に備えて心づもりをしておくべきであることを明らかにしたものであること。

 また、この規定は、労働者に対して法的に具体的義務を課すというものではなく、訓示規定であること。
 

4 関係者の責務(法第4条)

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 法第4条は、事業主並びに国及び地方公共団体に対して、3の基本的理念に従って、子の養育又は家族の介護を行う労働者等の福祉を増進するように努めなければならないことを明らかにしたものであること。
 本条に関する事業主の具体的義務の内容としては、第2章から第6章までに規定されているが、それ以外のことについても配慮すべきであることを明らかにした訓示規定であり、本条によって事業主に対して法的に具体的義務を課すというものではないこと。
 

第2 育児休業(法第2章)

1 1歳までの育児休業の申出(法第5条第1項)

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(1) 労働者(日々雇用される者を除く。)が事業主に対して「申出」という行為をすることによって、その1歳に満たない子を養育するために育児休業をすることができることとしたものであること。ただし、期間を定めて雇用される者にあっては、次のいずれにも該当するものに限り、当該申出をすることができるものであること。

 当該事業主に引き続き雇用された期間が1年以上である者
 その養育する子が1歳に達する日(以下「1歳到達日」という。)を超えて引き続き雇用されることが見込まれる者(当該子の1歳到達日から1年を経過する日までの間に、その労働契約の期間が満了し、かつ、当該労働契約の更新がないことが明らかである者を除く。)
 なお、期間を定めて雇用される者については、その数が年々増加するとともに、その多くが労働契約の更新を繰り返して継続して雇用されている状況にあることを踏まえ、休業を可能にすることにより相当期間雇用の継続が見込まれると考えられる一定の範囲のものについて、育児休業の対象としているものであること。

(2) 「1歳に満たない」とは、誕生日の前日までとの意であること。なお、子が1歳に達するのは、民法第143条に基づく期間の計算(暦日計算)及び年齢計算ニ関スル法律(明治35年法律第50号)により、いわゆる誕生日の前日午後12時とされているので、例えば、平成17年4月1日が生年月日の子が1歳に達するのは、平成18年3月31日午後12時となること。

(3) 「事業主」とは、その事業の経営の主体であって、個人企業の場合はその企業主個人、会社その他の法人組織の場合にはその法人そのものの意であること。法に基づく育児休業に関する手続は、事業主又はその委任を受けてその権限を行使する者と労働者との間で行われるものであること。

 なお、各事業所の責任者は事業主ではないが、事業主の委任を受けてその権限を行使することはあり得るものであること。

(4) 「その事業主」とは、その労働者が雇用される事業主の意であること。労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の就業条件の整備等に関する法律(昭和60年法律第88号。以下「労働者派遣法」という。)第2条第2号の派遣労働者については、派遣元と派遣労働者との間に労働契約関係があることから、派遣元の事業主をいうものであること。出向元との間に労働契約関係が存在しないいわゆる移籍出向者については、出向先の事業主をいうものであること。また、いわゆる在籍出向者については、賃金の支払、労働時間管理等が出向先と出向元でどのように分担されているかによってそれぞれケースごとに判断されるべきものであること。

(5) 申出の効果は、事業主(事業主の権限を委任された者がある場合には、その委任を受けた者。以下同じ。)に到達することによって、発生するものであること。

(6) 「期間を定めて雇用される者」とは、期間の定めのある労働契約に基づき雇用される者をいうものであるが、次のイ及びロに留意すること。

 期間を定めて雇用される者の労働契約期間は、労働基準法第14条の規定により、原則として3年以内でなければならないものとされているものであること。なお、同条の規定により、一定の事業の完了に必要な期間を定めるもの(例えば4年間で完了する土木工事において技師を4年契約で雇い入れる場合など)については労働契約期間が3年を超えることが、また、①「労働基準法第14条第1項第1号の規定に基づき厚生労働大臣が定める基準を定める告示」(平成15年厚生労働省告示第356号)に定める高度の専門的知識等を持つ者を当該専門的知識等を必要とする業務に就ける場合に締結される労働契約や、②満60歳以上の労働者との間に締結される労働契約については、労働契約期間が5年まで、それぞれ許容されているが、これらの労働契約に係る労働者は「期間を定めて雇用される者」に含まれるものであること。
 なお、「有期労働契約の締結、更新及び雇止めに関する基準」(平成15年厚生労働省告示第357号)第1条第1項において、使用者は、期間の定めのある労働契約の締結に際し、労働者に対して、当該契約の期間の満了後における当該契約に係る更新の有無及びその判断基準を明示しなければならないこととされているものであること。
 労働契約の形式上期間を定めて雇用されている者であっても、当該契約が期間の定めのない契約と実質的に異ならない状態となっている場合には、法第5条第1項各号に定める要件に該当するか否かにかかわらず、実質的に期間の定めのない契約に基づき雇用される労働者であるとして育児休業の対象となるものであること。このため、指針第二の一の(一)において、その判断に当たって事業主が留意すべき事項を示したものであること(指針事項)。
 (イ) 指針第二の一の(一)のイ関係
 指針第二の一の(一)のイの(イ)から(ホ)までは、雇止めの可否が争われた裁判例において契約関係の実態を評価するに当たり着目している項目を列挙したものであること。
 指針第二の一の(一)のイの(イ)について
 「労働者の従事する業務の客観的内容」とは、当該期間を定めて雇用される者が従事する仕事の種類、内容及び勤務の形態をいうものであること。
 b 指針第二の一の(一)のイの(ロ)について
 「労働者の契約上の地位の性格」とは、当該期間を定めて雇用される者の契約上の地位の基幹性・臨時性、労働条件についての正社員との同一性の有無等をいうものであること。
 c 指針第二の一の(一)のイの(ハ)について
 「当事者の主観的態様」とは、採用に際しての労働契約の期間や更新又は継続雇用の見込み等についての事業主からの説明等の継続雇用を期待させる当事者の言動・認識の有無・程度等をいうものであること。
 d 指針第二の一の(一)のイの(ニ)について
 「更新の手続・実態」とは、更新の有無・回数、勤続年数等の契約更新の状況や更新手続の有無・時期・方法、更新の可否の判断方法等の契約更新時における手続の厳格性の程度をいうものであること。
 e 指針第二の一の(一)のイの(ホ)について
 「他の労働者の更新状況」とは、当該期間を定めて雇用される労働者と同様の地位にある他の労働者の契約更新の状況をいうものであること。
(ロ) 指針第二の一の(一)のロ関係
 指針第二の一の(一)のロは、指針第二の一の(一)のロの(イ)の実態を満たした上で同(ロ)の①から③までの実態のいずれか一つを満たした場合には、有期労働契約の雇止めの可否が争われた裁判例において期間の定めのない契約と実質的に異ならない状態に至っている契約であると認められていることが多いことを明らかにしたものであること。
 「業務内容が恒常的であること」とは、期間の定めのない契約と実質的に異ならない状態であることが肯定されるための必要条件となっており、当該事業において業務が定まって変わらないことをいうが、例えば、情報処理業におけるプログラミング業務などがこれに該当するものであること。
 「恒常的」の対義語は「臨時的」であり、一定期間で作業終了が予定される補助業務に就いている場合などについては、業務内容が「臨時的」と認められること。
 「契約が更新されていること」とは、期間の定めのない契約と実質的に異ならない状態であることが肯定されるための必要条件となっており、少なくとも1回契約が更新されれば、これに該当するものであること。
 「雇用継続を期待させる事業主の言動」があることは、期間の定めのない契約と実質的に異ならない状態であることが肯定される方向に働く要素であり、例えば、労働者の長期にわたって働きたいとの希望に応じるような趣旨のことをほのめかすことなどがこれに該当するものであること。
 「更新手続が形式的であること」は、期間の定めのない契約と実質的に異ならない状態であることが肯定される方向に働く要素であり、例えば、必ずしも契約期間の満了の都度直ちに契約締結の手続をとっておらず次の契約期間の始期の経過後に契約を締結することもあること、労働条件等の契約内容についての交渉もなく使用者が記名押印した契約書に労働者が署名押印して返送するという機械的な手続を行っていることなどがこれに該当するものであること。
 「同様の地位にある労働者について過去に雇止めの例がほとんどないこと」は、期間の定めのない契約と実質的に異ならない状態であることが肯定される方向に働く要素であるが、雇止めの例が皆無である必要はなく、例えば、当該労働者に欠勤が多い等の特殊な理由で雇止めされた場合を除き契約が更新されているといった場合には、「過去に雇止めの例はほとんどないこと」に該当するものであり、また、当該労働者の自己都合で契約を終了することは、そもそも「雇止め」に該当しないものであること。
(ハ) 指針第二の一の(一)のハ関係
 指針第二の一の(一)のハは、業務内容が正社員と同一であることが認められること又は労働者の地位の基幹性が認められることは、期間の定めのない契約と実質的に異ならない状態であることが肯定される方向に働く補助的な要素となることを示したものであること。
 「労働者の地位の基幹性」とは、当該事業所における当該期間を定めて雇用される者の立場が「基幹的」であることをいい、「基幹性」の対義語は「臨時性」であり、いわゆる嘱託や非常勤講師、アルバイトなどは、契約上の地位の臨時性が認められ、基幹性は認められないこと。

(7) 「期間を定めて雇用される者」が、次のイからハまでの育児休業の申出の要件を満たすか否かの判断に当たっては、以下の点に留意すること。

 当該事業主に引き続き雇用された期間が1年以上である者(法第5条第1項第1号)
 (イ) 「引き続き雇用された期間が一年以上」とは、育児休業申出又は介護休業申出のあった日の直前の1年間について、勤務の実態に即し雇用関係が実質的に継続していることをいうものであり、契約期間が形式的に連続しているか否かにより判断するものではないこと(指針第二の一の(二)のイ)。例えば、年末年始や週休日を空けて労働契約が締結されている場合や、すでに次の契約が締結されている場合は、雇用関係は「実質的に継続している」と判断されるものであること。
 (ロ) 「当該事業主に引き続き雇用された期間」とは、労働契約の更新に伴い就業場所等の変更があった場合や契約期間中に事業所間異動があった場合にもそれぞれにおける雇用期間を通算して算定するものであること。また、労働組合の専従者となっている期間、長期療養等のために休職とされている期間等労務の提供が行われていない期間も、労働契約関係が継続する限り「雇用された期間」に含むものであること。
 その養育する子が1歳に達する日(1歳到達日)を超えて引き続き雇用されることが見込まれる者(法第5条第1項第2号本文)
 (イ) 「その養育する子が一歳に達する日を超えて引き続き雇用されることが見込まれる」か否かについては、育児休業申出のあった時点において判明している事情に基づき相当程度の雇用継続の可能性があるか否かによって判断するものであること(指針第二の一の(二)のロ)。
 (ロ) 「一歳に達する日」とは、誕生日の前日の意であること。したがって、「一歳に達する日を超えて引き続き雇用される」とは、育児休業申出の時点から労働契約関係が継続し、1歳の誕生日において労働契約関係が存在することをいうものであること。
 (ハ) 「引き続き雇用される」の解釈については、イ(ロ)の「当該事業主に引き続き雇用された期間」の解釈と同様であること。
 (ニ) 「相当程度の雇用継続の可能性」があるか否かについては、指針第二の一の(二)のロで、具体的事例を例示しているものであること(指針事項)。指針第二の一の(二)のロの(イ)から(ニ)の労働者は、原則として、相当程度の雇用継続の可能性があると判断される場合に該当するものであり、指針第二の一の(二)のロの(ホ)から(ト)の労働者は、原則として、相当程度の雇用継続の可能性があると判断される場合に該当しないものであること。これらについて、子の出生の予定日の1月前の日に育児休業申出をするとの前提をおいて、具体的適用例を図示すると、別添2のとおりであること。ただし、雇用の継続の見込みに関する事業主の言動、同様の地位にある他の労働者の状況及び当該労働者の過去の契約の更新状況等に基づいて判断すべき場合もあり得ること。
 また、育児休業申出のあった時点で労働契約の更新の可能性についての明示がないなど指針第二の一の(二)のロの(イ)から(ト)のいずれにも該当しない労働者については、雇用の継続の見込みに関する事業主の言動、同様の地位にある他の労働者の状況及び当該労働者の過去の契約の更新状況等に基づいて相当程度の雇用継続の可能性の有無を判断するものであること。
 なお、指針第二の一の(二)のロの(ロ)及び(ト)の「同一の長さの期間で契約が更新されたならば」については、更新後の契約期間の長さが育児休業申出のあった時点で締結している労働契約の契約期間の長さと異なることが明示されている場合には、当該明示された労働契約の期間の長さをもとに判断することはいうまでもないこと。
 (ホ) 指針第二の一の(二)のロの「雇用の継続の見込みに関する事業主の言動」にいう「事業主」とは、実質的に労働契約の更新について権限を持ち、労働契約の更新をするか否かの判断をする者をいうものであること。したがって、労働契約の形式上の当事者に限られるものではないが、労働契約の更新についての実質的な権限のない者は、含まれないものであること。
 (ヘ) 指針第二の一の(二)のロの(ロ)の「労働契約を更新する場合がある旨」の明示には、「労働契約を更新する場合がある」のほか、「業績がよければ更新する」、「更新については会社の業績に応じ、契約終了時に判断する」といった明示も含まれるものであること。
 当該子の1歳到達日から1年を経過する日までの間に、その労働契約の期間が満了し、かつ、当該労働契約の更新がないことが明らかである者(法第5条第1項第2号かっこ書)
 (イ) 「当該子の一歳到達日から一年を経過する日までの間に、その労働契約の期間が満了し、かつ、当該労働契約の更新がないことが明らかである者」については、子が1歳に達するまで育児休業をした場合にその後短期間で雇用関係が終了することがあらかじめ明らかである者についてまで育児休業の対象とすることは、育児休業が雇用の継続を目的とする制度であること及び休業を受忍する事業主の負担からも適当でないことから、育児休業の対象から除外したものであること。
 (ロ) 「当該子の一歳到達日から一年を経過する日までの間に、その労働契約の期間が満了し、かつ、当該労働契約の更新がないことが明らか」か否かについては、育児休業申出のあった時点において判明している事情に基づき労働契約の更新がないことが確実であるか否かによって判断されるものであること(指針第二の一の(二)のハ)。
 (ハ) 「一歳到達日から一年を経過する日」とは、子が2歳に達する日の前日、すなわち2歳の誕生日の前々日の意であること。したがって、2歳の誕生日の前日に労働契約関係が存在する可能性がある場合には、「一歳到達日から一年を経過する日までの間に、その労働契約の期間が満了し、かつ、当該労働契約の更新がないことが明らか」とは判断されないものであること。
 (ニ) 「労働契約の更新がないことが確実」か否かについては、指針第二の一の(二)のハで、具体的事例を例示しているものであること(指針事項)。指針第二の一の(二)のハの(イ)及び(ロ)の労働者は、原則として、労働契約の更新がないことが確実であると判断される場合に該当するものであること。これらについて、子の出生の予定日の1月前の日に育児休業申出をするとの前提をおいて、具体的適用例を図示すると、別添3のとおりであること。ただし、雇用の継続の見込みに関する事業主の言動、同様の地位にある他の労働者の状況及び当該労働者の過去の契約の更新状況等から、これに該当しないと判断される場合もあり得ること。
 (ホ) 事業主が「更新しない」旨の明示をしていない場合については、原則として、「労働契約の更新がないことが確実」とは判断されないものであること。
 (ヘ) 指針第二の一の(二)のハの「雇用の継続の見込みに関する事業主の言動」にいう「事業主」の解釈については、「その養育する子が1歳に達する日を超えて引き続き雇用されることが見込まれる」か否かの判断の場合と同様であること(ロ(ホ)参照)。

(8) 指針第二の一の(三)は、事業所にあらかじめ育児休業制度を導入し、かつ、就業規則の整備等必要な措置を講ずることを事業主に求めたものであること。これは、法律上、育児休業の制度が事業所内制度として設けられることが労働者の権利行使に当たって必須のものであるとはいえないが、法律上育児休業が労働者の権利として認められており、労働者がこれを容易に取得できるようにするためにも、育児休業の制度があらかじめ事業所内制度として設けられた上で、就業規則等に記載され、労働者に制度の存在が明らかになっていることが必要であることを明示したものであること。

 

2 1歳までの再度の育児休業(法第5条第2項)

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(1) 子が1歳までの育児休業は、原則として同一の子について1回のみすることができるものであるが、その例外として厚生労働省令で定める特別の事情がある場合には、2回目以降の申出も認めることとしたものであること。

 なお、「期間を定めて雇用される者」が、労働契約の更新に伴い更新後の期間について育児休業の申出をしようとする場合には、本項の規定の適用が除外され、再度の育児休業の申出をすることができること(法第5条第5項。5参照)。

(2) 厚生労働省令で定める特別の事情としては、

 当初の申出に係る育児休業期間が新たな育児休業又は産前産後休業の開始により期間途中で終了してしまった後に、新たな育児休業又は産前産後休業に係る子を養育しなくなったこと
 当初の申出に係る育児休業期間が介護休業の開始により期間途中で終了してしまった後に、介護休業に係る対象家族が死亡又は当該労働者との親族関係が消滅したこと
 配偶者が死亡したこと
 配偶者が負傷、疾病又は身体上若しくは精神上の障害により子を養育することが困難な状態になったこと
 婚姻の解消その他の事情により配偶者が育児休業の申出に係る子と同居しないこととなったこと
 があること(則第4条)。

(3) 「育児休業をしたことがある」とは、法による育児休業を申し出ただけではなく、実際に育児休業を開始したことが必要であること。

 また、他の事業主の下で育児休業をしたことがあることは、「育児休業をしたこと」には含まれないものであること。

(4) 「当該育児休業を開始した日に養育していた子」とは、養育していた子が双子等複数いる場合は、そのすべての子の意であること。

 また、子の出生が遅れたことにより休業開始予定日に休業申出に係る子がいない場合であっても、その後出生した子は「当該育児休業を開始した日に養育していた子」に含める趣旨であること。

(5) 則第4条第1号ロの「その他の事情」とは、労働者と配偶者の婚姻の解消、配偶者の長期の転勤等によって配偶者が育児休業に係る子を伴って労働者と別居することの意であること。また、このほか第2号において引用する第1号ロについては、育児休業に係る子が養子である場合における離縁及び養子縁組の取消が含まれるものであること。

(6) 則第4条第1号ロ(第2号において引用する場合を含む。)の「当該労働者と同居しないこととなった」の同居しない期間は、永続的なものを想定しているが、転勤等の事情による場合も1年程度以上の期間同居しない状態が続くときは、含むものであること。

(7) 則第4条第5号の「子を養育することが困難な状態」とは、身体障害者福祉法(昭和24年法律第283号)第4条の身体障害者であること、又はこれと同程度に日常生活に制限を受ける精神障害があることにより自ら子を養育することが困難な状態のほか、再度の育児休業申出の時点から1月間を超える期間継続して、通院、加療のみならず入院又は安静を必要とすることが見込まれる状態をいうものであること。

(8) 則第4条第6号の「子と同居しないこととなった」の同居しない期間は、永続的なものを想定しているが、転勤等の事情による場合も再度の育児休業申出の時点から1月間を超えて同居しない状態が続くときは、含むものであること。

(9) 則第4条第1号ロ(第2号において引用する場合を含む。)、第5号及び第6号に該当するか否かの判断時点は申出時点であり、育児休業開始予定日において申出時点と状況が異なることが明らかなときは、育児休業開始予定日における状況に基づき、申出時点で判断すべきものであること。

(10) 各事業所において、則第4条各号に定める事項以外の理由で再度の申出を認める制度を設けることは可能であること。

 

3 1歳から1歳6か月までの育児休業の申出(法第5条第3項) 

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(1) 育児休業は子が1歳に達するまでの間の休業であるという基本的枠組みを維持しつつ、雇用の継続を促進し、円滑な職場復帰を図る観点から、子が1歳に達した後もなお休業することが必要と認められる特別の事情があるときは、子が1歳6か月に達するまでを限度として、労働者(日々雇用される者を除く。)が事業主に対して「申出」という行為をすることによって、その子を養育するために育児休業をすることができることとしたものであること。

(2) 「一歳から一歳六か月に達するまで」とは、子の1歳の誕生日から、誕生日の属する月の6か月後の月における誕生日の応当日の前日までの期間をいうものであること。例えば、平成17年4月1日が生年月日の子については、平成18年4月1日から平成18年9月30日までの期間をいうこと。

(3) 法第5条第3項の申出に基づく1歳から1歳6か月までの育児休業(以下「1歳以降の育児休業」という。)をすることができる労働者は、法第5条第3項第1号及び第2号のいずれにも該当するものに限られること。

 第1号の「当該労働者又はその配偶者が当該子の一歳到達日において育児休業をしている場合」に該当する場合とは、具体的には次の(イ)又は(ロ)に該当する場合をいうものであること。
 (イ) 子の1歳到達日を育児休業終了予定日とする育児休業を現にしている、又はそのような育児休業の申出をしている労働者が、引き続き育児休業をしようとする場合
 (ロ) 子の1歳到達日を育児休業終了予定日とする育児休業を現にしている、又はそのような育児休業の申出をしている配偶者に替わって、育児休業をしようとする場合
 なお、既に同一の子について1歳までの育児休業をしたことがある労働者であっても、(イ)又は(ロ)に該当する場合には、次のロの要件を満たす限り、同一の子について1歳以降の育児休業をすることができるものであること。
 第2号の「厚生労働省令で定める場合」としては、
(イ) 保育所における保育の実施を希望し、申込みを行っているが、当該子の一歳到達日後の期間について、当面その実施が行われない場合
(ロ) 常態として子の養育を行っている配偶者であって当該子の1歳到達日後の期間について常態として養育を行う予定であったものが次のいずれかに該当した場合
 死亡したとき。
 負傷、疾病又は身体上若しくは精神上の障害により申出に係る子を養育することが困難な状態になったとき。
 婚姻の解消その他の事情により配偶者が申出に係る子と同居しないこととなったとき。
 6週間(多胎妊娠の場合は14週間)以内に出産予定であるか又は産後8週間を経過しないとき。
 があること(則第4条の2)。

(4) 「その事業主」の解釈については、1歳までの育児休業の申出の場合と同様であること(1(3)(4)参照)。

(5) 申出の効果については、1歳までの育児休業の申出の場合と同様であること(1(5)参照)。

 なお、1歳以降の育児休業をするためには、法第5条第1項の規定による1歳までの育児休業の申出をしている場合であっても、改めて、法第5条第3項の規定による申出をしなければならないこと。

(6) 1歳以降の育児休業の申出は、1歳到達日の翌日を育児休業開始予定日としてしなければならない(法第5条第4項)こととされていることから、その申出は、遅くとも1歳到達日の翌日の労務提供開始時刻までに行われなければならないこと。また、1歳以降の育児休業については、再度の申出は制度上想定されていないこと。

(7) 期間を定めて雇用される者も、1歳以降の育児休業をすることができるものであること。その際、子の1歳到達日において育児休業をしている労働者が、引き続き育児休業をしようとする場合には、申出時点において改めて法第5条第1項各号に規定する要件を満たすか否かは問わないこととしているが、子の1歳到達日において育児休業をしている配偶者に替わって1歳以降の育児休業をしようとする場合には、申出時点において当該要件を満たす者に限り、1歳以降の育児休業の申出をすることができるものであること。

(8) 則第4条の2第1号の「保育所」とは、児童福祉法(昭和22年法律第164号)に規定する保育所をいうものであり、いわゆる無認可保育施設は含まれないものであること。

(9) 則第4条の2第1号の「保育の実施を希望し、申込みを行っているが、当該子が一歳に達する日後の期間について、当面その実施が行われない場合」とは、市町村に対して保育の申込みを行っており、市町村から、少なくとも、子が1歳に達する日の翌日において保育が行われない旨の通知がなされている場合をいうものであること。

(10) 則第4条の2第2号ロの「子を養育することが困難な状態」とは、身体障害者福祉法第4条の身体障害者であること、又はこれと同程度に日常生活に制限を受ける精神障害があることにより自ら子を養育することが困難な状態のほか、1歳以降の育児休業の申出の時点から1月間を超える期間継続して、通院、加療のみならず入院又は安静を必要とすることが見込まれる状態をいうものであること。

(11) 則第4条の2第2号ハの「子と同居しないこととなった」の同居しない期間は、永続的なものを想定しているが、転勤等の事情による場合も1歳以降の育児休業の申出の時点から1月間を超えて同居しない状態が続くときは、含むものであること。

(12) 則第4条の2第2号ニの「六週間(多胎妊娠の場合にあっては、十四週間)以内に出産する予定であるか又は産後八週間を経過しない」とは、出産予定日の41日前(多胎妊娠の場合は97日前)の日から、出産の日の翌日から起算して56日を経過する日までの意であること。

 例えば単胎妊娠であって、7月1日が出産予定日で予定通りその日に出産した場合、5月21日から8月26日までの間がこの期間に該当するものであること。
 また、この場合、当該配偶者が雇用労働者であるか否かを問わないものであること。

(13) 則第4条の2第1号並びに第2号ロ及びハに該当するか否かの判断時点は申出時点であり、育児休業開始予定日において申出時点と状況が異なることが明らかなときは、育児休業開始予定日における状況に基づき、申出時点で判断すべきものであること。

 

4 育児休業の申出の方法(法第5条第4項)

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(1) 育児休業の申出(以下「育児休業申出」という。)は、連続した一の期間についてしなければならないものであり、その際、期間の初日と末日を明らかにして行わなければならないこととしたほか、その方法を厚生労働省令で定めることとしたものであること。

 厚生労働省令では、育児休業申出は所定の事項を記載した育児休業申出書を事業主に提出することによって行わなければならないこと、事業主は育児休業申出書の記載事項に係る事項を証明することができる書類の提出を労働者に求めることができること等を規定したものであること(則第5条)。
 なお、期間を定めて雇用される者が労働契約の更新に際して行う育児休業申出については、申出事項が限定されていること。

(2) 「その期間中は育児休業をすることとする一の期間」とは、労働日ではない日(計画的に付与された年次有給休暇、所定休日等)も含め連続したひとまとまりの期間との意であること。

(3) 業務上負傷し、又は疾病にかかり療養のためにする休業として労働者災害補償保険法(昭和22年法律第50号)に基づく給付を受ける場合においては、育児休業期間中であることと給付を受けることとは両立すると解されているものであること。

(4) 則第5条第1項の「育児休業申出書」は、所定の事項が記載されている書面である限り、その様式は自由であること(以下則第12条の育児休業開始予定日の変更の申出、則第11条及び第14条の事業主による育児休業開始予定日の指定、則第16条の育児休業終了予定日の変更の申出、則第17条の育児休業申出の撤回並びに則第33条の事業主による取扱いの明示について同様であること。)。

(5) 育児休業申出書の提出先は、あらかじめ本社人事部長、各支社長、工場長等具体的に明らかにしておくことが望ましいものであること(以下則第12条、第16条及び第17条について同様であること。)。

(6) 特定の方法での育児休業申出書の提出を求める場合には、これをあらかじめ明らかにしておくべきものであること。

(7) 育児休業申出書の記載事項について、期間を定めて雇用される者が、法第5条第5項に規定する育児休業申出(労働契約の更新に伴い継続して育児休業をしようとする場合にする申出)をする場合にあっては、労働者、事業主双方の負担軽減の観点から、当該記載事項を、育児休業申出の年月日、育児休業申出をする労働者の氏名並びに育児休業開始予定日及び育児休業終了予定日のみに限定しているものであること(則第5条第1項柱書き)。

(8) 則第5条第1項第1号の「育児休業申出の年月日」としては、事業主に実際に育児休業申出書を提出する日を記載すべきものであること。また、郵送等により申出日(事業主に育児休業申出書が到達した日)が記載された提出日と異なる場合は、当事者間で確認の上事業主が補正することは可能であること。

(9) 則第5条第1項第6号の「養子縁組の効力が生じた日」とは、縁組の届出が所轄の行政官庁によって法令に違反していないかどうかを審査された後受理された日であること(民法第800条)。

(10) 則第5条第2項の「証明することができる書類」として利用可能な書類の例は、それぞれの証明すべき事実に応じ以下のとおりであること。

 妊娠の事実 医師が交付する当該事実についての診断書
 出生の事実 官公署が発行する出生届受理証明書
 養子縁組の事実 官公署が発行する養子縁組届受理証明書
 子の死亡の事実
(イ) 死産の場合 医師又は助産師が交付する死産証明書又は死胎検案書
 (ロ) 死亡の場合 医師が交付する死亡証明書又は死体検案書
 配偶者の死亡の事実  ニ(ロ)に同じ。
 子が養子である場合の離縁の事実 官公署が発行する養子離縁届受理証明書
 配偶者が子を養育することが困難な状態の事実 身体障害者福祉法第15条の身体障害者手帳の写し等のほか、則第4条第5号、第4条の2第2号ロ及び第18条第2号の場合には1月間を超えて、則第9条第3号の場合には1週間を超えて入院又は安静を必要とする旨の医師の診断書
 配偶者が子と同居しなくなった事実 住民票記載事項の証明書又は出張命令書の写し
 その養育する子が保育所において保育されない事実 市町村が発行する保育所の入所不承諾の通知書
 配偶者等が6週間(多胎妊娠の場合にあっては、14週間)以内に出産する予定であるか又は産後8週間を経過していない事実 医師が交付する当該事実についての診断書、官公署が発行する出生届受理証明書
 また、上記の証明書等に代わってそれぞれの事実が証明できる他の書類を提出することを妨げるものではなく、当該労働者の同僚等第三者の申立書の提出なども含め様々な方法が可能であること。
 さらに、証明方法については、育児休業申出をする労働者に過大な負担をかけることのないようにすべきものであること。特に、戸籍謄(抄)本及び住民票の写しは、画一的に提出又は提示を求めることのないようにし、それが必要となった時点でその具体的必要性に応じ、本人に対しその使用目的を十分に説明の上提示を求め、確認後速やかに労働者に返却すべきものであること。また、この場合において戸籍謄(抄)本及び住民票の写しに替えて、可能な限り住民票記載事項の証明書によるべきものであること。
 なお、事業主が育児休業申出をした労働者に対して証明書類の提出を求め、その提出を当該労働者が拒んだ場合にも、育児休業申出自体の効力には影響がないものであること。
 これらのことは、則第12条第2項に基づく変更申出の際の証明書類の提出についても同様であること。

(11) 則第5条第3項の「速やかに」とは、出生届の届出期間が生後2週間以内とされていることから、同程度の期間を想定しているものであること。

 

5 期間を定めて雇用される者の育児休業申出に係る特例(法第5条第5項)

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(1) 期間を定めて雇用される者の多くは、子が1歳(法第5条第3項の規定に基づき1歳以降の育児休業をしているときは1歳6か月)に達する日まで休業をしようとする場合、その途中で現在の労働契約の期間の末日が到来し、労働契約の更新をすることとなるが、育児休業が事業主に申し出ることにより労働契約に基づく労務提供の義務を消滅させるものであるという性質上、いまだ労働契約が締結されず、労務提供の義務も発生していない期間について育児休業申出をすることはできないものであること。このため、更新後の労働契約の期間について引き続き育児休業をしようとするときは、労働契約が更新され、当該期間について労務提供義務が発生した後に改めて育児休業申出をする必要があること。

 しかしながら、法の規定は、育児休業申出ができる回数を原則1回に限定している等、育児休業開始前の1回の申出により子が1歳に達する日まで連続して育児休業が可能な労働者を基本としているため、期間を定めて雇用される者に係る労働契約の更新に伴う申出については、法の規定をそのまま適用すると、更新後の労働契約の期間について育児休業申出をすることができなくなることから、次に掲げる規定の適用を除外することとしたものであること。
 法第5条第1項ただし書(1歳までの育児休業の申出をすることができる期間を定めて雇用される者の範囲)
 法第5条第2項(育児休業申出の回数)
 法第5条第3項ただし書(1歳以降の育児休業の申出をすることができる期間を定めて雇用される者の範囲)
 法第5条第4項後段(1歳以降の育児休業の申出における育児休業開始予定日の限定)
 したがって、期間を定めて雇用される者に係る労働契約の更新に伴う申出については、法第5条第1項各号の要件や育児休業申出の回数に関わりなく行うことが可能であり、1歳以降の育児休業申出の場合であっても育児休業開始予定日が当該申出に係る子の1歳到達日の翌日に限定されないため、更新後の労働契約の期間の初日を育児休業開始予定日とする申出が可能となるものであること。

(2) 「その締結する労働契約の期間の末日を育児休業終了予定日・・・とする育児休業をしているもの」とは、現在育児休業中であり、当該育児休業の終了予定日が現在の労働契約の期間の末日と一致している労働者をいうものであること。

(3) 「当該労働契約の更新に伴い、当該更新後の労働契約の期間の初日を育児休業開始予定日とする育児休業申出をする場合」とは、更新後の労働契約の期間の初日と更新後の労働契約期間に係る育児休業開始予定日とが一致していることをいうものであること。

 更新後の労働契約の期間の初日において育児休業をしない場合には、更新の前後の育児休業が連続しているものとは認められず、法第5条第5項の特例の対象とならないこと。一方、更新前の労働契約の期間の末日と更新後の労働契約との期間の初日とが連続していない場合であっても、前後の労働契約が実質的に連続しているものと認められる場合には第5条第5項の特例の対象となること。
 

6 育児休業申出があった場合における事業主の義務(法第6条第1項)

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(1) 本文は、法に規定する要件を満たす労働者が事業主に申し出ることにより、申し出た期間育児休業をすることができるという原則により、事業主がこれらの労働者の育児休業申出を拒むことができないことを明らかにしたものであること。

 また、ただし書は、その例外として、労使の書面による協定により一定の範囲の労働者(①雇入れ後1年未満の労働者、②配偶者で育児休業申出に係る子の親であるものが、常態として当該子を養育することができるものと認められる労働者、③その他育児休業をすることができないこととすることについて合理的な理由があると認められる労働者)を育児休業をすることができない者として定めることができるものとしたものであること。
 厚生労働省令では、労働者の配偶者で育児休業申出に係る子の親であるものが、常態として当該子を養育することができるものと認められる範囲(則第6条)及び育児休業をすることができないこととすることについて合理的な理由があると認められる労働者の範囲(則第7条)を規定したものであること。
 厚生労働省令では更に、法第6条第1項ただし書の書面による協定においては、事業主が同項の規定に基づき労働者からの育児休業申出を拒む場合及び育児休業をしている労働者が育児休業をすることができないものとして定められた者に該当したことにより育児休業を終了させる場合の手続等の事項を定めることができ、このような定めをするためには当該協定に規定しなければならないことを明らかにしたものであること(則第8条)。

(2) 事業主は、経営困難、事業繁忙その他どのような理由があっても適法な労働者の育児休業申出を拒むことはできず、また、法第6条第3項及び第7条第2項で認められる場合を除き、育児休業の時期を変更することはできないものであること。

(3) 「事業所の労働者」には、日々雇用される者及び法第5条第1項各号の要件を満たさない期間を定めて雇用される者並びに法第6条第1項ただし書各号に掲げる者も含むものであること。

(4) 「過半数を代表する」か否かの判断時点は、協定締結時点を原則とするものであること。

(5) 「代表する者」は、当該事業所の労働者により適切な方法で選出されることが必要であり、具体的にはその選出方法について次の2つの要件を満たすものでなければならないものであること。

 その者が労働者の過半数を代表して労使協定を締結することの可否について判断する機会が、当該事業所の労働者に与えられていること、すなわち、事業主の指名などその意向に沿って選出するようなものではないこと。
 当該事業所の過半数の労働者がその者を支持していると認められる民主的な手続がとられていること、すなわち、労働者の投票、挙手等の方法により選出されること。
 また、労働基準法第41条第2号の監督又は管理の地位にある者を選出することは適当ではないものであること。

(6) 「書面による協定」には、育児休業をすることができないこととする労働者の範囲のほか、必要に応じ次のような事項を記載すべきものであること。

 育児休業をすることができないこととされた労働者であるか否かを判断するため労働者に提出を求める証明書類等
 育児休業をすることができないこととされた労働者の育児休業の申出を拒む場合の方法
 育児休業中に育児休業をすることができないこととされた労働者に該当した場合に育児休業を終了させることとするときは、その旨及びその方法
 ハの場合において、育児休業をすることができないこととされた労働者に該当したことにより育児休業が終了した労働者が、再び該当しなくなったときの再度申出の可否及びその方法

(7) 「協定」の締結は、事業所単位で行われるものであること。

 ただし、複数の事業所を擁する企業において、各事業所の長ではなく、社長自らが協定を締結し、あるいは、各事業所ごとにみてその事業所の労働者の過半数で組織されている労働組合につき、支部の長ではなく本部の長が協定を締結することも可能であること。
 協定においては有効期間の定めをすべきものであり、かつ、当該有効期間が過度に長いものとなることは適当でないこと。
 なお、労使協定を労働協約として締結する場合には、3年を超える期間の定めはできないものであること(労働組合法(昭和24年法律第174号)第15条第1項及び第2項)。

(8) 第1号の「当該事業主に引き続き雇用された期間」とは、事業所間異動があった場合にもそれぞれにおける雇用期間を通算して算定するものであること。また、労働組合の専従者となっている期間、長期療養等のため休職とされている期間等労務の提供が行われていない期間も、労働契約関係が継続する限り「雇用された期間」に含むものであること。

(9) 第1号の「一年に満たない」か否かの判断時点は、育児休業申出の時点であること。

(10) 第2号の「配偶者」とは、事実上婚姻関係と同様の事情にあって婚姻の届出をしていない者を含まないものであること。

(11) 第2号の「親であるもの」とは、実親又は養親の意であり、継親は含まれないものであること。

(12) 第2号の「常態として当該子を養育することができるものとして厚生労働省令で定める者に該当する」とは、厚生労働省令で定める者以外の者を含まないとの意であること。

(13) 第2号及び第3号に該当するか否かの判断時点は申出時点であり、育児休業開始予定日において申出時点と状況が異なることが明らかなときは、育児休業開始予定日における状況に基づき、申出時点で判断すべきものであること。

(14) 則第6条第1号の「職業に就いていない者」とは、同居の親族のみを雇う事業に雇用される者、家事使用人、自営業者その他の雇用労働者以外の者で自らの労務により収入を得ている者を含まないものであること。

(15) 則第6条第1号の「育児休業その他の休業」とは、法に基づく育児休業のほか、他の法律(国会職員の育児休業等に関する法律(平成3年法律第108号)、国家公務員の育児休業等に関する法律(平成3年法律第109号)、地方公務員の育児休業等に関する法律(平成3年法律第110号)及び裁判官の育児休業に関する法律(平成3年法律第111号))に基づくいわゆる育児休業及び法第23条第1項又は第24条第1項に規定する育児休業の制度に準ずる措置によりする休業を含むものであること。

 用途に制限のない1月間以上の休業は含み得るが、労働基準法に基づく産前産後休業、業務上負傷し、又は疾病にかかり療養のためにする休業及び年次有給休暇は含まないものであること。

(16) 則第6条第1号の「一週間の就業日数が著しく少ないものとして厚生労働大臣が定める日数以下の者」とは、「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律施行規則第6条第1号及び第7条第2号の規定に基づき、労働大臣が定める日数」(平成7年労働省告示第114号)により、1週間の就業日数が2日以下である者であること。この場合、1週間の就業日数が2日以下であるか否かは、原則として育児休業申出の時点までの1月間の状況等を踏まえて判断するものであること。

(17) 則第6条第2号の「子を養育することが困難な状態」とは、身体障害者福祉法第4条の身体障害者であること、又はこれと同程度に日常生活に制限を受ける精神障害があることにより自ら子を養育することが困難な状態にある者のほか、1月間を超える期間継続して、通院、加療のみならず入院又は安静を必要とすることが見込まれる状態にある者をいうものであること。

(18) 則第6条第3号の「六週間(多胎妊娠の場合にあっては、十四週間)以内に出産する予定であるか又は産後八週間を経過しない」の解釈については、1歳から1歳6か月までの育児休業の申出ができる場合と同様であること(3(12)参照)。

(19) 則第6条第4号の「同居している者」には、1月以内の期間のみ同居が見込まれる者を含まないものであること。

(20) 則第7条第1号の「雇用関係が終了することが明らかな労働者」とは、定年に達することにより必ず退職することとなっている労働者、あらかじめ事業主に対し退職の申出をしている労働者等の意であること。

 なお、期間を定めて雇用される者がこれに該当する場合には、そもそも法第5条第1項第2号の要件を満たさないものであり、本号に基づいて申出を拒む余地はないものであること。

(21) 則第7条第2号の「一週間の所定労働日数が著しく少ないものとして厚生労働大臣が定める日数以下の労働者」とは、平成7年労働省告示第114号により、1週間の所定労働日数が2日以下である者であること。この場合、1週間の所定労働日数が2日以下であるか否かは、原則として休業申出の時点までの1月間の状況等を踏まえて判断するものであること。

(22) 則第7条第3号の「育児休業申出に係る子の親であって当該育児休業申出をする労働者又は当該労働者の配偶者のいずれでもない者であるもの」とは、次のイ又はロに掲げる者の意であること。

 当該育児休業申出に係る子と法律上の親子関係にある親であって、当該育児休業申出をする労働者との間で、婚姻の届出をしていないが事実上婚姻関係と同様の事情にある者
 当該育児休業申出に係る子の実親及び養親がともに当該子と同居している場合の、当該育児休業申出をする労働者が実親の場合にあっては養親、養親の場合にあっては実親である者
 

7 育児休業申出を拒まれた労働者の育児休業(法第6条第2項)

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(1) 事業主が、法第6条第1項ただし書の規定により、労使協定で育児休業をすることができないものとして定められた労働者からの育児休業申出を拒んだ場合は、当該労働者は育児休業をすることができないこととしたものであること。

(2) 育児休業申出を拒まれた労働者であっても、その後労使協定で育児休業をすることができない者として定められた労働者に該当しなくなれば、申し出て育児休業をすることができるものであること。

 

8 事業主による育児休業開始予定日の指定(法第6条第3項)

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(1) 育児休業申出に係る育児休業開始予定日から育児休業が開始する原則の例外として、育児休業開始予定日とされた日が育児休業申出があった日の翌日から起算して1月(1歳以降の育児休業の申出にあっては2週間)を経過する日(以下「1月等経過日」という。)前の日である場合には、厚生労働省令で定めた方法(則第11条で、原則として育児休業申出があった日の翌日から起算して3日を経過する日、その日が育児休業申出に係る育児休業開始予定日よりも後である場合には当該育児休業開始予定日までに書面で行うものと規定した。)で、1月等経過日までの間で育児休業開始予定日とする日を指定することができることとしたものであること。

 この場合において、育児休業をすることが早急に必要となる事由を厚生労働省令で定め(則第9条で、子が出産予定日前に出生したことのほか配偶者の死亡等を規定した。)、当該事由がある場合における事業主が育児休業開始予定日として指定できる日は厚生労働省令で定める日(則第10条で、育児休業申出があった日の翌日から起算して1週間を経過する日と規定した。)までとすることとしたものであること。

(2) 法第5条第1項の1歳までの育児休業の申出について、労働者が育児休業申出に係る育児休業開始予定日から育児休業を開始するためには、育児休業開始予定日の1月前の日(則第9条各号に規定する事由が生じた場合にあっては、1週間前の日)までに事業主に申し出なければならないものであること。

 また、法第5条第3項の1歳以降の育児休業の申出について、労働者が育児休業申出に係る育児休業開始予定日から育児休業を開始するためには、育児休業開始予定日すなわち子の1歳の誕生日の2週間前の日(則第9条各号に規定する事由が生じた場合にあっては、1週間前の日)までに事業主に申し出なければならないものであること。
 ただし、各事業所において、育児休業申出に係る育児休業開始予定日から育児休業を開始するためにこれより短い期間の申出を認める制度を設けることは可能であること。

(3) 「当該育児休業申出があった日の翌日から起算して一月を経過する日」とは、育児休業申出の日の属する月の翌月の応当日をいい、例えば、育児休業申出が4月1日にあった場合には、5月1日がその日に当たるものであること。また、「当該育児休業申出があった日の翌日から起算して二週間を経過する日」とは、育児休業申出の日の14日後の日の意であり、例えば、育児休業申出が4月1日にあった場合には、4月15日がその日に当たるものであること。

(4) 「前の日」とは、直前の日のみでなく、直前の日以前のいずれかの日の意であること。また、法第7条第1項の「前の日」も同様の意であること。

(5) 事業主が育児休業開始予定日とする日の指定をすることができる制度は、労働者の申出のみで労務提供義務が消滅する原則の例外であり、事業主がこのような指定をすることができる場合には、事業主が指定をした日から当該労働者の労務提供義務が消滅し、当該指定した日から育児休業をすることができるものであること。また、則第11条で定められた期間内に事業主の指定が行われなかった場合には、労働者は育児休業申出に係る育児休業開始予定日から育児休業をすることができるものであること。

(6) 各事業所において、則第9条各号に掲げられた事由以外の事由が生じた場合にも、事業主が育児休業開始予定日として指定できる日を育児休業申出があった日の翌日から起算して1週間を経過する日までとすることを認める制度を設けることは可能であること。

(7) 則第9条第3号の「負傷又は疾病により育児休業申出に係る子を養育することが困難になったこと」とは、育児休業申出の時点から1週間を超える期間継続して、単に通院、加療のみならず入院又は安静を必要とする程度の状態の意であること。

(8) 則第9条第4号の「子と同居しなくなった」の同居しない期間は、永続的なものを想定しているが、転勤等の事情による場合も育児休業申出の時点から1週間を超えて同居しない状態が続くときは、含むものであること。

(9) 則第10条の「育児休業申出があった日の翌日から起算して1週間を経過する日」とは、育児休業申出の日の7日後の日の意であり、例えば、育児休業申出が4月1日にあった場合には、4月8日がその日に当たるものであること。

(10) 則第11条の「育児休業開始予定日とされた日までに」については、育児休業開始予定日当日の育児休業申出があり得ることを前提とした規定であり、このような場合以外は育児休業開始予定日当日に指定をすることは適当でなく、可能な限りなるべく育児休業開始予定日の前日までに指定すべきものであること。また、育児休業開始予定日当日に行う場合は、始業時刻前に行うことが望ましいものであること。

(11) 則第11条の「育児休業申出があった日の翌日から起算して3日を経過する日」とは、例えば、育児休業申出があった日が4月1日であった場合には、4月4日がその日に当たるものであること。ただし、3日を経過する日までに事業主が育児休業開始予定日として指定すべき場合において、当該3日を経過する日が所定休日その他の労働日でない日に当たる場合には、その直後の労働日までに行えば足りるものであること。

(12) 則第11条の「書面を育児休業申出をした労働者に交付」とは、育児休業申出をした労働者に書面が到達することを要するものであること。

(13) 法第6条第3項に関する具体的適用例を、法第5条第1項の1歳までの育児休業の申出をした場合を例にして示すと、次のとおりであること。

 育児休業開始予定日を4月20日とする育児休業申出を4月1日に行った。
 この育児休業開始予定日は、育児休業申出があった日の翌日から起算して1月を経過する日である5月1日よりも前の日であることから、法第6条第3項に該当する。
 したがって、育児休業申出を受けた事業主は、育児休業申出に係る育児休業開始予定日(4月20日)から、育児休業申出があった日(4月1日)の翌日から起算して1月を経過する日(5月1日)までの間のいずれかの日を、育児休業開始予定日として指定することができる。この指定は、4月1日に育児休業申出があった場合、育児休業申出があった日の翌日から起算して3日を経過する日(4月4日)までに行わなければならない。
 例えば、4月25日を育児休業開始予定日として事業主が指定した場合、育児休業申出をした労働者はその日から育児休業をすることができる。
 
  4/1              4/20         5/1
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−>
 ┌──┐           ┌───┐ 4/20〜5/1 ┌────┐  
 │あ育│           │始係育│  指開事  │過起っ育│  
 │っ児│           │予る児│  定始業  │す算た児│  
 │た休│           │定育休│  で予主  │るし日休│  
 │日業│           │日児業│  き定が  │日ての業│  
 │ 申│           │ 休申│  る日育  │ 一翌申│  
 │ 出│           │ 業出│  期と児  │ 月日出│  
 │ が│           │ 開に│  間し休  │ をかが│  
 │  │           │   │   て業  │ 経らあ│  
 └──┘           └───┘      └────┘  
 
 則第9条各号に規定する事由が発生して、育児休業開始予定日を4月2日とする育児休業申出を4月1日に行った。
 この育児休業開始予定日は、育児休業申出があった日の翌日から起算して1週間を経過する日である4月8日よりも前の日であることから、法第6条第3項に該当する。
 したがって、育児休業申出を受けた事業主は、育児休業申出に係る育児休業開始予定日(4月2日)から、育児休業申出があった日(4月1日)の翌日から起算して1週間を経過する日(4月8日)までの間のいずれかの日を、育児休業開始予定日として指定することができる。この指定は、育児休業申出において育児休業開始予定日とされた日(4月2日)までに行わなければならないが、可能な限り、4月1日に行うべきものである。
 例えば、4月8日を育児休業開始予定日として事業主が指定した場合、育児休業申出をした労働者はその日から育児休業をすることができる。
 
  4/1     4/2          4/8
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−>
 ┌──┐ ┌───┐ 4/2〜4/8 ┌────┐            
 │あ育│ │始係育│  指開事  │経起っ育│            
 │っ児│ │予る児│  定始業  │過算た児│            
 │た休│ │定育休│  で予主  │すし日休│            
 │日業│ │日児業│  き定が  │るての業│            
 │ 申│ │ 休申│  る日育  │日一翌申│            
 │ 出│ │ 業出│  期と児  │ 週日出│            
 │ が│ │ 開に│  間し休  │ 間かが│            
 │  │ │   │   て業  │ をらあ│            
 └──┘ └───┘      └────┘            
 

9 期間を定めて雇用される者の育児休業申出に係る特例(法第6条第4項)

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(1) 5(1)と同様の趣旨から、更新後の労働契約の期間について引き続き育児休業をしようとする場合には、次に掲げる規定の適用を除外することとしたものであること。

 法第6条第1項ただし書(労使協定により育児休業申出を拒むことができる労働者の範囲)
 法第6条第3項(事業主による育児休業開始予定日の変更)

(2) 特例の対象となる育児休業申出の範囲は、5と同一であること(5(2)及び(3)参照)。

 

10 育児休業開始予定日の変更の申出(法第7条第1項)

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(1) 法第5条第1項の1歳までの育児休業の申出をした後に則第9条各号に規定する事由が発生した場合、労働者は1回に限り育児休業開始予定日を繰り上げる旨の変更の申出をすることができることとし、その方法として、則第12条において、所定の事項を記載した変更申出書を事業主に提出することによって行わなければならないこと、事業主は変更に係る事実を証明することができる書類の提出を労働者に求めることができることを規定したものであること。

 なお、法第5条第3項の1歳以降の育児休業の申出については、労働者の申出による開始予定日の変更は規定されていないこと。

(2) 労働者の申出のみによる育児休業開始予定日の繰下げ変更については、規定していないものであること。

 したがって、育児休業開始予定日に育児休業申出に係る子がいない場合であっても、育児休業開始予定日から育児休業が開始するものであること。
 ただし、各事業所において、労働者の希望により育児休業開始予定日を繰下げ変更することを認める制度を設けることは可能であること。

(3) 各事業所において、則第9条各号に規定する事由以外の事由で育児休業開始予定日を繰上げ変更することを認める制度を設けることは可能であること。

(4) 則第12条第1項第4号の「変更申出をすることとなった事由に係る事実」とは、子の出生の年月日、配偶者の死亡の年月日等を含むものであること。

(5) 則第12条第2項の「証明することができる書類の提出」に関しては、4(10)を参照のこと。

 

11 変更の申出に係る育児休業開始予定日の指定(法第7条第2項)

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(1) 法第7条第1項に基づく育児休業開始予定日の変更を行う場合において、変更後の育児休業開始予定日とする日が変更の申出の翌日から起算して1月を超えない範囲内で厚生労働省令で定める期間(則第13条で、1週間と規定した。)を経過する日前の日である場合には、厚生労働省令で定めた方法(則第14条で、原則として変更の申出があった日の翌日から起算して3日を経過する日、その日が変更後の育児休業開始予定日よりも後である場合には当該変更後の育児休業開始予定日までに書面で行うものと規定した。)で育児休業開始予定日とする日を指定することができることとしたものであること。

 この場合において、事業主が育児休業開始予定日として指定できる日は、変更後の育児休業開始予定日とする日から、変更の申出があった日の翌日から起算して1週間を経過する日までとすることとしたものであること。

(2) 法第5条第3項の1歳以降の育児休業の申出については、労働者の申出による開始予定日の変更は規定されていないことから、本項の適用の余地はないものであること。

(3) 「当該申出に係る変更後の育児休業開始予定日」とは、育児休業開始予定日を変更する申出において、その変更が行われた後の育児休業開始予定日として事業主に明らかにされた日の意であること。また、「当該期間経過日」とは、則第13条の規定により当該申出があった日の翌日から起算して1週間を経過する日の意であること。

(4) 法第7条第2項の「その日が当該申出に係る変更前の育児休業開始予定日とされていた日(前条第3項の規定による事業主の指定があった場合にあっては、当該事業主の指定した日)以後の日である場合にあっては、当該申出に係る変更前の育児休業開始予定日とされていた日」とは、変更の申出があった日の翌日から起算して1週間を経過する日が変更の申出前の育児休業開始予定日とされていた日以後の日である場合には、変更の申出前に育児休業開始予定日とされていた日を事業主が指定できる日の最終日とする意であり、また、この変更の申出前に育児休業開始予定日とされていた日が、法第6条第3項の規定により、すでに事業主による指定により育児休業申出当初の育児休業開始予定日と異なる日となっているときは、その日を事業主の指定できる日の最終日とする意であること。

(5) 法第7条第2項に関する具体的適用例は、次のとおりであること。

 育児休業開始予定日を5月1日とする育児休業申出を4月1日に行った。
 育児休業申出の後育児休業が開始する前に則第9条各号に規定する事由が生じたため、育児休業申出をした労働者は育児休業開始予定日とする日を4月10日とする変更の申出を4月9日に行った。
 この変更の申出に係る変更後の育児休業開始予定日は、変更の申出があった日の翌日から起算して1週間を経過する日である4月16日よりも前の日であることから、法第7条第2項に該当する。
 したがって、変更の申出を受けた事業主は、変更の申出に係る変更後の育児休業開始予定日(4月10日)から、変更の申出があった日の翌日から起算して1週間を経過する日(4月16日)までの間のいずれかの日を育児休業開始予定日として指定することができる。
 この指定は、変更の申出に係る変更後の育児休業開始予定日とされた日(4月10日)までに行わなければならないが、可能な限り、4月9日に行うべきものであること。
 例えば、4月15日を育児休業開始予定日として事業主が指定した場合、変更の申出をした労働者はその日から育児休業をすることができる。
 
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 ┌──┐ ┌──┐┌───┐ 4/10   ┌─────┐ ┌────┐ 
 │が育│ │あ変││開係変│  〜   │過て日あ変│ │定児業当│ 
 │あ児│ │っ更││始る更│  4/16  │す一かっ更│ │日休申初│ 
 │っ休│ │たの││予育の│ るて予児事 │る週らたの│ │ 業にの│ 
 │た業│ │日申││定児申│ 日指定休業 │日間起日申│ │ 開係育│ 
 │日申│ │ 出││日休出│  定日業主 │ を算の出│ │ 始る児│ 
 │ 出│ │ が││ 業に│  でと開が │ 経し翌が│ │ 予育休│ 
 └──┘ └──┘└───┘  きし始育 └─────┘ └────┘ 
 
 育児休業開始予定日を5月1日とする育児休業申出を4月1日に行った。
 育児休業申出の後育児休業が開始する前に則第9条各号に規定する事由が生じたため、育児休業申出をした労働者は育児休業開始予定日とする日を4月29日とする変更の届出を4月28日に行った。
 この変更の申出に係る変更後の育児休業開始予定日は、変更の申出があった日の翌日から起算して1週間を経過する日である5月5日よりも前の日であることから、法第7条第2項に該当する。
 したがって、変更の申出を受けた事業主は、変更の申出に係る変更後の育児休業開始予定日(4月29日)から、変更の申出があった日の翌日から起算して1週間を経過する日(5月5日)までの間のいずれかの日を指定することになるはずであるが、当初の育児休業開始予定日(5月1日)より後の日は指定できず、結局変更の申出に係る変更後の育児休業開始予定日(4月29日)から、当初の育児休業開始予定日(5月1日)までの間のいずれかの日を指定することができる。
 この指定は、変更の申出に係る変更後の育児休業開始予定日とされた日(4月29日)までに行わなければならないが、可能な限り4月28日に行うべきものであること。
 例えば、4月30日を育児休業開始予定日として事業主が指定した場合、変更の申出をした労働者はその日から育児休業をすることができる。
 
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 │育│       │変││の変│  〜  │る当││を翌変│ 
 │児│       │更││育更│  5/1  │育初││経日更│ 
 │休│       │の││児の│ 指開事 │児の││過かの│ 
 │業│       │申││休申│ 定始業 │休育││すら申│ 
 │申│       │出││業出│ で予主 │業児││る起出│ 
 │出│       │が││開に│ き定が │開休││日算が│ 
 │が│       │あ││始係│ る日育 │始業││ しあ│ 
 │あ│       │っ││予る│ 期と児 │予申││ てっ│ 
 │っ│       │た││定変│ 間し休 │定出││ 一た│ 
 │た│       │日││日更│  て業 │日に││ 週日│ 
 │日│       │ ││ 後│     │ 係││ 間の│ 
 └─┘       └─┘└──┘     └──┘└───┘  
 
 育児休業開始予定日を4月20日とする育児休業申出を4月1日に行った。
 この育児休業開始予定日は、育児休業申出があった日の翌日から起算して1月を経過する日である5月1日よりも前の日であることから、法第6条第3項に該当する。
 したがって、育児休業申出を受けた事業主は、育児休業申出に係る育児休業開始予定日(4月20日)から、育児休業申出があった日(4月1日)の翌日から起算して1月を経過する日(5月1日)までの間のいずれかの日を、育児休業開始予定日として指定することができ、事業主は5月1日を指定した。
 その後、育児休業が開始する前に則第9条各号に規定する事由が生じたため、育児休業申出をした労働者は変更の申出に係る変更後の育児休業開始予定日とする日を4月29日とする変更の申出を4月28日に行った。
 この変更の申出に係る変更後の育児休業開始予定日は、変更の申出があった日の翌日から起算して1週間を経過する日である5月5日よりも前の日であることから、法第7条第2項に該当する。
 したがって、変更の申出を受けた事業主は、当該変更の申出に係る変更後の育児休業開始予定日(4月29日)から、変更の申出の翌日から起算して1週間を経過する日(5月5日)までの間のいずれかの日を、育児休業開始予定日として指定することになるはずであるが、ロと同様の理由で、変更の申出に係る変更後の育児休業開始予定日(4月29日)から当初事業主が指定した日(5月1日)までの間のいずれかの日を指定することができる。
 この指定は、変更の申出に係る変更後の育児休業開始予定日とされた日(4月29日)までに行わなければならないが、可能な限り4月28日に行うべきものであること。
 例えば、4月30日を指定した場合、変更の申出をした労働者はその日から育児休業をすることができる。
 
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 │育│   │る当││変││の変│  〜  │当││を翌変│  
 │児│   │育初││更││育更│  5/1  │初││経日更│  
 │休│   │児の││の││児の│ 指開事 │事││過かの│  
 │業│   │休育││申││休申│ 定始業 │業││すら申│  
 │申│   │業児││出││業出│ で予主 │主││る起出│  
 │出│   │開休││が││開に│ き定が │が││日算が│  
 │が│   │始業││あ││始係│ る日育 │指││ しあ│  
 │あ│   │予申││っ││予る│ 期と児 │定││ てっ│  
 │っ│   │定出││た││定変│ 間し休 │し││ 一た│  
 │た│   │日に││日││日更│  て業 │た││ 週日│  
 │日│   │ 係││ ││ 後│     │日││ 間の│  
 └─┘   └──┘└─┘└──┘     └─┘└───┘   
 

12 育児休業終了予定日の変更の申出(法第7条第3項)

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(1) 育児休業申出をした労働者は、厚生労働省令で定める日(則第15条で、当初の育児休業終了予定日の1月前(1歳以降の育児休業については、2週間前)の日と規定した。)までに申し出ることにより、1回に限り事由を問わず育児休業終了予定日を繰り下げる旨の変更の申出をすることができることとし、その方法として、則第16条において、所定の事項を記載した変更申出書を事業主に提出することによって行わなければならないことを規定したものであること。

(2) 育児休業終了予定日とされた日の1月前(1歳以降の育児休業については、2週間前)の日よりも後に行われる育児休業終了予定日の変更の申出は、本法上事業主がこれに応ずる義務はないものであるが、各事業所において、当該申出を認める制度を設けることは可能であること。

(3) 「後の日」とは、直後の日のみではなく、直後の日以後のいずれかの日の意であること。ただし、子が1歳に達する日(1歳以降の育児休業については、子が1歳6か月に達する日)を限度とするものであること。

(4) 労働者の申出のみによる育児休業終了予定日の繰上げ変更については、規定していないものであること。

 ただし、各事業所において、労働者の希望により育児休業終了予定日を繰上げ変更することを認める制度を設けることは可能であること。
 

13 育児休業申出の撤回(法第8条第1項)

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 育児休業申出をした労働者は、育児休業開始予定日の前日までは、事由を問わずその育児休業申出を撤回することができることとし、その方法として、則第17条において、所定の事項を記載した書面を事業主に提出することによって行わなければならないことを規定したものであること。
 

14 撤回後の再度の育児休業申出(法第8条第2項)

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(1) 育児休業開始予定日の前日まではその育児休業申出を撤回することができることとしていることから、事業主の雇用管理への影響等をも考え、いったん撤回した育児休業申出に係る子については、子の養育環境に大きな変化が生じ本人自ら育児休業をせざるを得ないと認められる厚生労働省令で定める特別の事情(則第18条で、配偶者の死亡等の事情を規定した。)がない限り、再度の育児休業申出ができないこととしたものであること。

(2) 法第5条第1項の申出と法第5条第3項の申出は法律上異なるものであることから、法第5条第1項の1歳までの育児休業の申出を撤回した場合であって再度の申出ができる特別の事情に該当しない場合であっても、法第5条第3項に規定する要件を満たす場合には、法第5条第3項の1歳以降の育児休業の申出は可能であること。

(3) 則第18条第2号の「子を養育することが困難な状態」及び同条第3号の「子と同居しないこととなった」の解釈は、1歳までの再度の育児休業の申出ができる場合と同様であること(2(7)(8)参照)。

 

15 育児休業申出がされなかったものとみなす事由(法第8条第3項)

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(1) 育児休業申出後、厚生労働省令で定める事由(則第19条で、子の死亡、子が養子である場合の離縁又は養子縁組の取消等を規定した。)が生じたときは、育児休業申出がされなかったものとみなされることとし、労働者にこのような事由が生じた場合の通知義務を課したものであること。

(2) 則第19条各号に規定する事由が生じたときは、育児休業申出を撤回しなくとも育児休業申出はされなかったものとみなされ、その法的効果は消滅するものであること。

(3) 「遅滞なく」とは、なるべく則第19条各号に規定する事由が生じた当日に、当該事由が生じた旨を通知することが求められるものであるが、同条第4号については、同号に該当する状態であることが確定した時点で通知すべきものであること。

(4) 「通知」は、事実の告知であり、それ自体に法律上の効果はなく、事業主は、則第19条各号に規定する事由が生じたときは、通知がなくとも育児休業申出がされなかったものとみなして取り扱うものであること。

(5) 則第19条第2号で定める事由が生じた旨を労働者が通知する場合は、離縁又は養子縁組の取消を官公署に受理された日に当該事由を事業主に通知すれば足りるものであるが、可能な限りそれ以前にその状況を事業主に知らせることが望ましいものであること。

(6) 則第19条第3号の「同居しないこととなったこと」とは、永続的なものを想定しているが、転勤等の事情による場合も、子が1歳(1歳以降の育児休業の申出に係る子にあっては、1歳6か月)に達するまでの間同居しない状態が続くときは、含むものであること。

(7) 則第19条第4号の「当該育児休業申出に係る子が一歳(法第五条第三項の申出に係る子にあっては、一歳六か月)に達するまでの間、当該子を養育することができない状態」とは、身体障害者福祉法第4条の身体障害者であること、又はこれと同程度に日常生活に制限を受ける精神障害があることにより自ら子を養育することが困難な状態のほか、育児休業申出に係る子が1歳(1歳以降の育児休業の申出に係る子にあっては、1歳6か月)に達するまでの間通院、加療のみならず入院又は安静を必要とすることが見込まれる状態をいうものであり、このような状態であることが確定しない間は、当該育児休業申出はされなかったものとみなされないものであること。

 

16 育児休業期間の考え方(法第9条第1項)

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(1) 法第5条から第7条までの規定に基づき育児休業申出等がなされた場合の当該育児休業申出をした労働者の育児休業期間については、

 当該労働者の育児休業申出に係る育児休業開始予定日から育児休業終了予定日までとすることを基本とすること
 事業主による育児休業開始予定日とする日の指定や労働者による育児休業開始予定日又は育児休業終了予定日の変更の申出があった場合は、その指定や変更の申出の結果育児休業開始予定日又は育児休業終了予定日となった日によって最終的に決定されること
 を明らかにしたものであること。

(2) 「育児休業開始予定日とされた日」とは、法第6条第3項又は法第7条第2項の規定による事業主による育児休業開始予定日とする日の指定があった場合にあっては当該事業主の指定した日、同条第1項の規定により育児休業開始予定日が変更された場合にあってはその変更後の育児休業開始予定日とされた日の意であること。

 

17 育児休業期間の終了(法第9条第2項)

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(1) 育児休業期間中にその育児休業申出に係る子が死亡するなど厚生労働省令で規定する事由(則第20条で、則第19条を準用する旨を規定した。)が生じた場合、子が1歳(1歳以降の育児休業をしている場合にあっては、1歳6か月)に達した場合又は育児休業申出をした労働者本人について産前産後休業、介護休業若しくは新たな育児休業が始まった場合には、育児休業は終了することとしたものであること。

(2) 育児休業期間の終了に関し、以下の点に留意すること。

 育児休業をしている労働者に関し、一時的に子の養育をする必要がなくなる場合が生じ得るが、その場合を当然終了事由とすることは、労働者にとって酷となるだけでなく、事業主にとっても要員管理が不安定なものとなるため、当然終了事由とはしていないところであること。
 しかしながら、話合いにより、当該育児休業期間中の労働者が、当該子の養育をする必要がない期間についてその事業主の下で就労することは妨げないものであること。その場合、当該労使で育児休業を終了させる特段の合意のない限り、育児休業が終了するものではなく、子が1歳(1歳以降の育児休業をしている場合にあっては、1歳6か月)に満たない期間中は、中断していた育児休業を再開することができるものであること。
 育児休業期間中他の事業主の下で就労することについては、本法上育児休業の終了事由として規定してはいないが、育児休業とは子を養育するためにする休業であるとしている本法の趣旨にそぐわないものであると同時に、一般的に信義則に反するものと考えられ、事業主の許可を得ずに育児休業期間中他の事業主の下で就労したことを理由として事業主が労働者を問責することは、許され得るものと解されること。
 育児休業申出による当該育児休業申出をした労働者の労務提供義務の消滅は、産前休業が可能である期間についてはその請求を解除条件とするものであり、育児休業期間中であっても産前休業の請求はできるものであること。

(3) 「新たな育児休業期間」とは、育児休業申出に係る子とは異なる子について開始する育児休業期間の意であること。

 

18 育児休業期間の終了に関する労働者の通知義務(法第9条第3項)

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(1) 法第8条第3項後段と同様、当該労働者に法第9条第2項第1号に規定する事由が生じた場合の事業主に対する通知義務を課したものであること。

(2) 「通知」は、事実の告知であり、それ自体に法律上の効果はなく、事業主は則第19条各号に規定する事由が生じたときは、通知がなくとも育児休業が終了したものとして取り扱うものであること。

 

19 不利益取扱いの禁止(法第10条)

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(1) 育児休業の権利行使を保障するため、労働者が育児休業申出をし、又は育児休業をしたことを理由として、当該労働者に対して解雇その他不利益な取扱いをすることが禁止されることを明示したものであること。

(2) 「解雇その他不利益な取扱い」に該当する法律行為が行われた場合においては、当該行為は民事上無効と解されること。

(3) 指針第二の三の(一)は、法第10条の規定により禁止される解雇その他不利益な取扱いとは、労働者が育児休業の申出又は取得をしたこととの間に因果関係がある行為であることを示したものであり、育児休業の期間中に行われる解雇等がすべて禁止されるものではないこと。

(4) 指針第二の三の(二)のイからリまでに掲げる行為は、「解雇その他不利益な取扱い」の例示であること。したがって、ここに掲げていない行為についても個別具体的な事情を勘案すれば不利益取扱いに該当するケースもあり得るものであり、例えば、長期間の昇給停止や期間を定めて雇用される者について更新後の労働契約の期間を短縮することなどは、不利益取扱いに該当するものと考えられること。

(5) 指針第二の三の(三)は、不利益取扱いに該当するか否かについての勘案事項を示したものであること。

 指針第二の二の(三)のニにより保障される復職先の職場の範囲は、指針第二の七の(一)に規定する「原職又は原職相当職」よりも広く、仮に別の事業所又は別の職務への復職であっても、通常の人事異動ルールから十分に説明できるものであれば、指針第二の三の(二)のヘの「不利益な配置の変更」には該当しないものであること。
 指針第二の三の(三)のニの「通常の人事異動のルール」とは、当該事業所における人事異動に関する内規等の人事異動の基本方針などをいうが、必ずしも書面によるものである必要はなく、当該事業所で行われてきた人事異動慣行も含まれるものであること。
 指針第二の三の(三)のニの「相当程度経済的又は精神的な不利益を生じさせること」とは、配置転換の対象となる労働者が負うことになる経済的又は精神的な不利益が通常甘受すべき程度を著しく超えるものであることの意であること。
 指針第二の三の(三)のホの「等」には、例えば、事業主が、労働者の上司等に嫌がらせ的な言動をさせるよう仕向ける場合が含まれるものであること。  
 

第3 介護休業(法第3章)

1 介護休業の申出(法第11条第1項)

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(1) 労働者(日々雇用される者を除く。)が事業主に対して「申出」という行為をすることによって、その対象家族を介護するために介護休業をすることができることとしたものであること。ただし、期間を定めて雇用される者にあっては、次のいずれにも該当するものに限り、当該申出をすることができるものであること。

 当該事業主に引き続き雇用された期間が1年以上である者
 介護休業開始予定日から起算して93日を経過する日(以下「93日経過日」という。)を超えて引き続き雇用されることが見込まれる者(93日経過日から1年を経過する日までの間に、その労働契約の期間が満了し、かつ、当該労働契約の更新がないことが明らかである者を除く。)
 なお、育児休業と同様に、期間を定めて雇用される者のうち、休業を可能にすることにより相当期間雇用の継続が見込まれると考えられる一定の範囲の労働者について、介護休業の対象としているものであること(第2の1(1)参照)。

(2) 「その事業主」の解釈については、育児休業の場合と同様であること(第2の1(3)(4)参照)。

(3) 申出の効果については、育児休業の場合と同様であること(第2の1(5)参照)。

(4) 「期間を定めて雇用される者」の留意事項については、育児休業の場合と同様であること(第2の1(6)参照)。したがって、労働契約の形式上期間を定めて雇用されている者であっても、当該契約が期間の定めのない契約と実質的に異ならない状態となっている場合には、法第11条第1項各号に定める要件に該当するか否かにかかわらず、実質的に期間の定めのない契約に基づき雇用される労働者であるとして介護休業の対象となるものであること。このため、指針第二の一の(一)において、その判断に当たって事業主が留意すべき事項を示したものであること(指針事項)。

(5) 「期間を定めて雇用される者」が、法第11条第1項各号に定める要件を満たすか否かの判断に当たっては、以下の点に留意すること。

 「九十三日経過日」とは、介護休業開始予定日から起算、すなわち介護休業開始予定日を1日目として数えた場合に、93日目に該当する日をいうものであること。例えば、平成17年4月1日が介護休業開始予定日の場合における93日経過日は、平成17年7月2日となること。この場合の「93日経過日から1年を経過する日」は平成18年7月1日となること。
 労働者が同一の対象家族に対して過去に介護休業をしたこと又は勤務時間の短縮その他の措置であって厚生労働省令で定めるものが講じられたことがある場合においては、介護休業をすることができる残日数は93日より少ないこととなるが、その場合であっても、「期間を定めて雇用される者」が介護休業の申出が可能か否かについては、介護休業開始予定日から起算して93日を経過する日を超えて引き続き雇用されることが見込まれるかどうか、及び93日経過日から1年を経過する日までの間に労働契約の期間が満了し、かつ、当該労働契約の更新がないことが明らかであるか否かにより判断することに変わりはないこと。
 その他、「期間を定めて雇用される者」が法第11条第1項各号に定める要件を満たしているか否かの判断の方法並びに「引き続き雇用された期間が一年以上」、「当該事業主に引き続き雇用された期間」、「九十三日経過日を超えて引き続き雇用されることが見込まれる」及び「労働契約の期間が満了し、かつ、当該労働契約の更新がないことが明らか」の解釈等については、育児休業の場合と同様であること(第2の1(7)参照)。

(6) 各事業所において、則第21条各号に定める事項以外の理由で再度の申出を認める制度を設けることは可能であること。

(7) 指針第二の一の(三)は、事業所にあらかじめ介護休業制度を導入し、かつ、就業規則の整備等必要な措置を講ずることを事業主に求めたものであること。これは、法律上、介護休業の制度が事業所内制度として設けられることが労働者の権利行使に当たって必須のものであるとはいえないが、法律上介護休業が労働者の権利として認められており、労働者がこれを容易に取得できるようにするためにも、介護休業の制度があらかじめ事業所内制度として設けられた上で、就業規則等に記載され、労働者に制度の存在が明らかになっていることが必要であることを明示したものであること。

 

2 介護休業の回数及び日数(法第11条第2項)

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(1) 介護休業をしたことがある労働者は、当該介護休業に係る対象家族が次のいずれかに該当する場合には、当該対象家族については、介護休業の申出をすることができないものであること。

 当該対象家族が、当該介護休業を開始した日から引き続き要介護状態にある場合(厚生労働省令で定める特別の事情がある場合を除く。)
 当該対象家族について、介護休業等日数が93日に達している場合
 すなわち、介護休業をしたことがある労働者であっても、イ及びロのいずれにも該当しない場合には、介護休業を再度取得することができることとしたものであること。
 これは、介護休業について、これまで同一の対象家族について1回、連続する3か月までの間の休業を権利として保障するものとされてきたものであるが、介護休業の複数回取得へのニーズがある中で、短期間の休業で復帰する者も少なくないなど必ずしも連続3か月の休業を必要とする者ばかりでないことも踏まえ、同一の対象家族について、一の要介護状態ごとに1回の介護休業を通算して93日まですることができることに改められたものであること。なお、その日数については、同一の対象家族について最低基準として保障されていた最長の介護休業期間(「介護休業開始予定日とされた日の翌日から起算して三月を経過する日」まで介護休業をすると、最大で初日+31日×2+30日×1の場合93日)を勘案し、93日としたものであること。

(2) 「介護休業をしたことがある」の解釈については、育児休業の場合と同様であること(第2の2(3)参照)。

(3) 「当該対象家族が、当該介護休業を開始した日から引き続き要介護状態にある場合(厚生労働省令で定める特別の事情がある場合を除く。)」(法第11条第2項第1号)とは、当該家族について、以前に介護休業をしたときから同一の要介護状態が継続している場合をいい、厚生労働省令で定める特別の事情がある場合を除き、介護休業の申出が認められないものであること。

(4) 厚生労働省令で定める特別の事情としては、

 当初の申出に係る介護休業期間が新たな介護休業の開始により期間途中で終了してしまった後に、新たな介護休業に係る対象家族が死亡又は当該労働者との親族関係が消滅したこと
 当初の申出に係る介護休業期間が育児休業又は産前産後休業の開始により期間途中で終了してしまった後に、育児休業又は産前産後休業に係る子を養育しなくなったこと
 があること(則第21条)。

(5) 則第21条第1号の「親族関係が消滅する」事由として、以下の事由があること。

 対象家族が、当該労働者の配偶者である場合
 当該労働者とその対象家族との離婚又は婚姻の取消し
 対象家族が、当該労働者の養子又は養親である場合
 当該労働者とその対象家族との離縁又は養子縁組の取消し
 対象家族が、当該労働者の配偶者の親である場合
 当該労働者とその配偶者との離婚又は婚姻の取消し
 対象家族が、当該労働者の配偶者の養親である場合
 当該労働者の配偶者と対象家族との離縁又は養子縁組の取消し
 対象家族が、当該労働者の養親の親又は養子の子である場合
 当該労働者とその養親又は養子との離縁又は養子縁組の取消し
 対象家族が、当該労働者の親の養親又は子の養子である場合
 当該労働者の親又は子と対象家族との離縁又は養子縁組の取消し
 対象家族が、当該労働者の親の養子である場合
 当該労働者の親と対象家族との離縁又は養子縁組の取消し
 対象家族が、当該労働者の養親の子である場合
 当該労働者とその養親との離縁又は養子縁組の取消し
 この場合、ハの「離婚」には「配偶者の死後の姻族関係の終了の意思表示(民法第728条第2項)」を含むものであること。また、ニからチまでの「離縁」には「養子又は養親の死後の離縁(民法第811条第6項)」を含むものであること。
 なお、いわゆる内縁関係の解消は、親族関係の消滅には当たらないものであること。

(6) 「当該対象家族について次に掲げる日数を合算した日数(・・・)が九十三日に達している場合」(法第11条第2項第2号)については、介護休業等日数が93日に達している場合は、介護休業の申出が認められないことをいうものであり、すなわち、介護休業等日数が通算して93日までの範囲内で、介護休業が可能であることをいうものであること。その際、介護休業等日数は、個々の労働者について、対象家族ごとに計算するものであること。例えば、その事業主の下でした介護休業が、実父の介護のために93日、実母の介護のために30日である労働者は、実父の介護のために新たな介護休業申出をすることはできないものであるが、実母の介護のために新たな介護休業申出をすることは可能であること。

(7) 第2号の「介護休業等日数」とは、次に掲げる日数を合算した日数であること。

 介護休業をした日数
 法第23条第2項の措置のうち勤務時間の短縮その他の措置であって厚生労働省令で定めるものが講じられた日数
 なお、同一の対象家族について他の事業主の下で介護休業等をしたことがある場合の当該他の事業主の下でした介護休業等の日数は、介護休業等日数には算入しないものであること。

(8) 第2号イの「介護休業を開始した日から介護休業を終了した日までの日数」は、その間の労働日ではない日の日数も含めて計算するものであること。これについて、具体的適用例を図示すると、以下のとおりであること。なお、「介護休業を開始した日」が起算日となることから、これは介護休業等日数に算入されるものであること。

 
 ○介護休業を1回のみした場合
 
 4/1(介護休業を開始した日)            7/2(介護休業を終了した日)
 ──┼────────────────────────┼────     
   │          介護休業          │        
   ├────────── 93日 ──────────┤        
 

(9) 第2号イの「二以上の介護休業をした場合にあっては、介護休業ごとに、介護休業を開始した日から介護休業を終了した日までの日数を合算して得た日数」とは、同一の対象家族について、以前の異なる要介護状態の際に介護休業をしたことがある場合の日数の算定方法を定めたものであり、これについて、具体的適用例を図示すると、以下のとおりであること。

 
 ○介護休業を2回した場合
 
 H17                     H20
 4/1        4/30     │      10/1           12/2 
 ──┼───────┼─────┼───────┼────────────┼── 
   │  介護休業 │     │       │    介護休業    │ 
   ├─ 30日 ──┤             ├──── 63日 ────┤  
 
 30日 + 63日 = 93日
 

(10) 第2号ロの「第二十三条第二項の措置のうち勤務時間の短縮その他の措置であって厚生労働省令で定めるもの」とは、則第34条第2項各号に掲げる勤務時間の短縮その他の措置であって事業主が次に掲げる事項を当該措置の対象となる労働者に対して明示したものをいうものであること(則第21条の2)。

 当該措置を講じた日数が介護休業等日数に算入されるものであること
 当該措置の初日
 この趣旨は、労働者に当該勤務時間の短縮その他の措置が講じられたこと、その日数及びこれが介護休業等日数に算入されることの認識がない場合には介護休業の申出をする機会を失するおそれもあるため、そのような不明確な場合は、介護休業等日数には算入しないこととしたものであること。
 なお、事業主は、当該措置の初日等を明らかにしておくために、労働者が勤務時間の短縮等の措置を実施する場合には、労働者に書面で通知するなどして、事実関係について後で紛争が生じることのないような工夫が必要であること。

(11) 第2号ロの「当該措置のうち最初に講じられた措置が開始された日から最後に講じられた措置が終了した日までの日数」とは、同一の対象家族の同一の要介護状態について、則第34条第2項各号に掲げる勤務時間の短縮その他の措置が講じられた場合の日数の算出方法を定めたものであり、これについて、具体的適用例を図示すると、以下のとおりであること。その際、則第34条第2項各号に掲げる勤務時間の短縮その他の措置が2以上講じられた場合(例えば、短時間勤務の制度の適用を受けながら介護サービスの費用助成も受けた場合)の日数の算出については、最初に講じられた措置が開始された日から最後に講じられた措置が終了した日までの日数を算入するものとされていることから、例えば同日に短時間勤務の制度の適用を受けながら介護サービスの費用助成も受けた場合、それぞれ1日ずつの合計2日として日数に算入されるものではなく、あくまで1日として算入されるものであること。

 
 勤務時間短縮等の措置の日数(要介護状態が1回の場合)
 
 勤務時間短縮等の措置が1つの場合
 4/1                        7/2
 ──┼────────────────────────┼────     
   │         勤務時間短縮等の措置     │        
   ├────────── 93日 ──────────┤         
 
 
 ロ 勤務時間短縮等の措置が2つある場合
 
 勤務時間短縮等の措置A
 61日
  4/1               5/31       7/2
 ───┼──────┼───────┼────────┼────    
    │      5/1                │        
    │          勤務時間短縮等の措置B  │        
    │                63日     │        
    ├────────── 93日 ─────────┤         
 
 ※ 4月1日…最初に講じられた措置が開始された日
 7月2日…最後に講じられた措置が終了した日
 

(12) 第2号ロの「二以上の要介護状態について当該措置が講じられた場合にあっては、要介護状態ごとに、当該措置のうち最初に講じられた措置が開始された日から最後に講じられた措置が終了した日までの日数」とは、同一の対象家族について、以前の異なる要介護状態の際に、則第34条第2項各号に掲げる勤務時間の短縮その他の措置が講じられた場合の日数の算出方法を定めたものであり、これについて、具体的適用例を図示すると、以下のとおりであること。

 
 勤務時間短縮等の措置の日数(要介護状態が2回の場合)
 
 要介護状態ごとに勤務時間短縮等の措置が1つの場合
 
   H17                    H20
   4/1        4/30     │     10/1         12/2 
 ──┼──────────┼────┼──────┼──────────┼──
   │勤務時間短縮等の措置│    │      │勤務時間短縮等の措置│  
   ├────30日────┤           ├────63日────┤  
 
 30日 + 63日 = 93日
 
 
 
 要介護状態ごとに勤務時間短縮等の措置が2つの場合
 
 勤務時間短縮等の措置A             勤務時間短縮等の措置D
 H17  19日                 H20    31日
 4/1     4/19      4/30  │   10/1       10/31      12/2
 ┼────┼─┼───────┼──┼────┼────┼───┼───────┼ 
 │   4/10         │  │    │    10/15          │
 │    勤務時間短縮等の措置B       │      勤務時間短縮等の措置C
 │         21日   │       │           49日   │
 ├────30日────────┤       ├──────63日────────┤ 
 
 30日 + 63日 = 93日
 

(13) 第2号ロの「その間に介護休業をした期間があるときは、当該介護休業を開始した日から当該介護休業を終了した日までの日数を差し引いた」については、介護休業をした日数は法第11条第2項第2号イにより介護休業等日数に算入されることから、二重に算入されることのないよう、法第11条第2項第2号ロの日数からは控除することとしたものであること。これについて、具体的適用例を図示すると、以下のとおりであること。

 
 ○ 勤務時間短縮等の措置の間に介護休業があるとき
 
 4/1         4/30 5/1    5/31 6/1         7/2
 ─┼──────────┼───────┼───────────┼──     
  │勤務時間短縮等の措置A 介護休業   勤務時間短縮等の措置B│ 
  │    30日        31日       32日     │       
  ├─────────── 93日 ───────────────┤       
 
 93日 − 31日 = 62日
 

3 介護休業の申出の方法(法第11条第3項)

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(1) 介護休業の申出(以下「介護休業申出」という。)は、連続した一の期間についてしなければならないものであり、その際、期間の初日と末日を明らかにして行わなければならないこととしたほか、その方法を厚生労働省令で定めることとしたものであること。

 厚生労働省令では、介護休業申出は所定の事項を記載した介護休業申出書を事業主に提出することによって行わなければならないこと、事業主は介護休業申出書の記載事項に係る事項を証明することができる書類の提出を労働者に求めることができること等を規定したものであること(則第22条)。
 なお、期間を定めて雇用される者が労働契約の更新に際して行う介護休業申出については、申出事項が限定されていること。

(2) その他「その期間中は当該対象家族に係る介護休業をすることとする一の期間」の解釈、労働者災害補償保険法に基づく給付との関係、則第22条第1項の「介護休業申出書」等の様式、介護休業申出書の提出先、特定の方法での介護休業申出書の提出を求める場合、期間を定めて雇用される者が、法第11条第4項に規定する介護休業申出(労働契約の更新に伴い継続して介護休業をしようとする場合にする申出)の介護休業申出書の記載事項、則第22条第1項第1号の「介護休業申出の年月日」の記載すべき日については、育児休業の場合と同様であること(第2の4(2)から(8)まで参照)。

(3) 則第22条第1項第4号の「当該対象家族と同居し、かつ、当該対象家族を扶養している事実」とは、その旨を記載すれば足りるものであり、その事実を証明する書類の添付は、則第22条第2項により事業主からの請求がない限り、当然には要求されないものであること。

 則第22条第1項第5号の「対象家族が要介護状態にある事実」も、対象家族が2週間以上の期間にわたり常時介護を必要とする状態である旨を記載すれば足りるものであること。
 則第22条第1項第7号の「介護休業申出に係る対象家族についての法第十一条第二項第二号の介護休業等日数」については、同一の対象家族に係る介護休業等日数が93日に達していない場合に再度の介護休業申出が可能となることから、その確認のために介護休業申出書の記載事項としているものであること。なお、介護休業申出により明らかにされた介護休業等日数が事業主の保有する記録と異なる場合は、当事者間で確認の上事業主が補正することは可能であること。

(4) 則第22条第2項の「証明することができる書類」として利用可能な書類の例は、それぞれの証明すべき事実に応じ以下のとおりであること。

 対象家族と労働者との続柄 住民票記載事項の証明書
 同居の事実 住民票記載事項の証明書
 扶養の事実 所得税法第194条に基づく扶養控除等申告書
 要介護状態の事実 医師、保健師、看護師、准看護師、理学療法士、作業療法士、社会福祉士又は介護福祉士が交付する別添の基準に係る事実を証明する書類
 対象家族の死亡の事実 医師が交付する死亡証明書又は死体検案書
 親族関係の消滅の事実
(イ) 離婚の場合 官公署が発行する離婚届受理証明書
(ロ) 婚姻の取消の場合 官公署が発行する戸籍の記載事項の証明書
(ハ) 配偶者の死亡の場合の姻族関係終了の意思表示の場合 官公署が発行する姻族関係終了届受理証明書
(ニ) 離縁(死後離縁を含む。)の場合 官公署が発行する養子離縁届受理証明書
(ホ) 養子縁組の取消の場合 官公署が発行する戸籍の記載事項の証明書
 則第22条第1項第8号に規定する則第21条第2号に係る事実 第2の4(10)ニ及びヘ参照
 また、上記の証明書等に代わってそれぞれの事実が証明できる他の書類を提出することを妨げるものではなく、当該労働者の同僚等第三者の申立書の提出なども含め様々な方法が可能であること、さらに、証明方法について、介護休業申出をする労働者に過大な負担をかけることのないようにすべきものであることなどは、育児休業の場合と同様である(第2の4(10)参照)が、介護休業に関しては、特に情勢が様々に変化することがあるので、臨機応変かつ柔軟な対応が望まれるものであること。
 「扶養」の証明に関しては、所得税法第238条第1項により、偽りその他不正の行為により、徴収されるべき所得税を免れた者は、刑事罰に処せられることになっており、所得税法第194条に基づく扶養控除等申告書の提出自体が1つの証明手段となり得ると考えられるものであること。
 

4 期間を定めて雇用される者の介護休業申出に係る特例(法第11条第4項)

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(1) 育児休業と同様に、期間を定めて雇用される者に係る労働契約の更新に伴う申出については、法の規定をそのまま適用すると、更新後の労働契約の期間について介護休業申出をすることができなくなることから、次に掲げる規定の適用を除外することとしたものであること(第2の5(1)参照)。

 法第11条第1項ただし書(介護休業の申出をすることができる期間を定めて雇用される者の範囲)
 法第11条第2項(第2号を除く。)(当該家族が同一の要介護状態にある場合の介護休業申出の回数)
 なお、法第11条第2項第2号の規定は適用を除外されていないことから、介護休業等日数が93日に達している場合には、期間を定めて雇用される者に係る労働契約の更新に伴う申出であっても、申出をすることができないことに留意すること。

(2) その他「その締結する労働契約の期間の末日を介護休業終了予定日・・・とする介護休業をしているもの」及び「当該労働契約の更新に伴い、当該更新後の労働契約の期間の初日を介護休業開始予定日とする介護休業申出をする場合」の解釈については、育児休業の場合と同様であること(第2の5(2)及び(3)参照)。

 

5 介護休業申出があった場合における事業主の義務(法第12条第1項及び同条第2項において準用する法第6条第1項ただし書)

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(1) 第1項は、法に規定する要件を満たす労働者が事業主に申し出ることにより、申し出た期間介護休業をすることができるという原則により、事業主がこれらの労働者の介護休業申出を拒むことができないことを明らかにしたものであること。

 また、第2項は、その例外として、労使の書面による協定により一定の範囲の労働者(①雇入れ後1年未満の労働者、②その他介護休業をすることができないこととすることについて合理的な理由があると認められる労働者)を介護休業をすることができない者として定めることができるものとしたものであること。
 この場合において、育児休業の場合とは異なり、配偶者が常態として対象家族を介護することができる労働者をこの範囲に含めていない(法第12条第2項において法第6条第1項第2号を準用していない)ことに留意すること。これは、子を養育すべき者は第一義的にその父又は母であることが明らかであり、かつ、子の養育は基本的には一人で対応が可能であるのに対し、対象家族を第一義的に介護すべき者が誰であるかは決めつけられないこと、一人では対象家族を介護できない場合があること等によるものであること。
 厚生労働省令では、介護休業をすることができないこととすることについて合理的な理由があると認められる労働者の範囲を規定したものであること(則第23条)。
 厚生労働省令では更に、法第12条第2項において準用する第6条第1項ただし書の書面による協定においては、事業主が同項の規定に基づき労働者からの介護休業申出を拒む場合及び介護休業をしている労働者が介護休業をすることができないものとして定められた者に該当したことにより介護休業を終了させる場合の手続等の事項を定めることができ、このような定めをするためには当該協定に規定しなければならないことを明らかにしたものであること(則第24条において準用する則第8条)。

(2) 事業主は、経営困難、事業繁忙その他どのような理由があっても適法な労働者の介護休業申出を拒むことはできず、また、法第12条第3項で認められる場合を除き、介護休業の時期を変更することはできないものであること。

(3) その他「事業所の労働者」の範囲、「過半数を代表する」か否かの判断時点、「代表する者」の選出方法、「書面による協定」の記載事項、「協定」の締結単位・有効期間については、育児休業の場合と同様であること(第2の6(3)から(7)まで参照)。

(4) 法第12条第2項において準用する法第6条第1項第1号の「当該事業主に引き続き雇用された期間」の解釈及び「一年に満たない」か否かの判断時点については、育児休業の場合と同様であること(第2の6(8)及び(9)参照)。

(5) 法第12条第2項において準用する法第6条第1項第3号に該当するか否かの判断時点については、育児休業の場合と同様であること(第2の6(13)参照)。

(6) 則第23条第1号の「雇用関係が終了することが明らかな労働者」の解釈については、育児休業の場合と同様であること(第2の6(20)参照)。

(7) 則第23条第2号の「則第7条第2号の労働者」とは、第2の6(21)で示すとおり、1週間の所定労働日数が2日以下である者であること。

 
 

6 介護休業申出を拒まれた労働者の介護休業(法第12条第2項において準用する法第6条第2項)

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(1) 事業主が、法第12条第2項において準用する法第6条第1項ただし書の規定により、労使協定で介護休業をすることができないものとして定められた労働者からの介護休業申出を拒んだ場合は、当該労働者は介護休業をすることができないこととしたものであること。

(2) 介護休業申出を拒まれた労働者であっても、その後労使協定で介護休業をすることができない者として定められた労働者に該当しなくなれば、申し出て介護休業をすることができるものであること。

 
 

7 事業主による介護休業開始予定日の指定(法第12条第3項)

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(1) 介護休業申出に係る介護休業開始予定日から介護休業が開始する原則の例外として、介護休業開始予定日とされた日が介護休業申出があった日の翌日から起算して2週間を経過する日(以下「2週間経過日」という。)前の日である場合には、厚生労働省令で定めた方法(則第25条で、原則として介護休業申出があった日の翌日から起算して3日を経過する日、その日が介護休業申出に係る介護休業開始予定日よりも後である場合には当該介護休業開始予定日までに書面で行うものと規定した。)で、2週間経過日までの間で介護休業開始予定日とする日を指定することができることとしたものであること。

 
 この場合において、介護休業をすることの緊急性と事業主の負担との調和に配慮して「2週間経過日」としたものであることにかんがみ、育児休業の場合における法第6条第3項及び則第10条の場合とは異なり、休業することが早急に必要となる場合に指定に係る期間を短縮する規定はないので留意すること。

(2) 労働者が介護休業申出に係る介護休業開始予定日から介護休業を開始するためには、介護休業開始予定日の2週間前の日までに事業主に申し出なければならないものであること。ただし、各事業所において、介護休業申出に係る介護休業開始予定日から介護休業を開始するためにこれより短い期間の申出を認める制度を設けることは可能であること。

(3) その他「当該介護休業申出があった日の翌日から起算して2週間を経過する日」、「前の日」の解釈並びに事業主が介護休業開始予定日とする日の指定をすることができる制度及び定められた期間内に事業主の指定が行われなかった場合の解釈については、育児休業の場合と同様であること(第2の8(3)(4)(5)参照)。

(4) 各事業所において、事業主が介護休業開始予定日として指定できる日を介護休業申出があった日の翌日から起算して2週間より短い期間を経過する日までとすることを認める制度を設けることは可能であること。

(5) 則第25条の「介護休業開始予定日とされた日までに」、「介護休業申出があった日の翌日から起算して3日を経過する日」及び「書面を介護休業申出をした労働者に交付」については、育児休業の場合における則第11条の解釈と同様であること(第2の8(10)(11)(12)参照)。

(6) 法第12条第3項に関する具体的適用例は、次のとおりであること。

 介護休業開始予定日を10月9日とする介護休業申出を10月2日に行った。
 この介護休業開始予定日は、介護休業申出があった日の翌日から起算して2週間を経過する日である10月16日よりも前の日であることから、法第12条第3項に該当する。
 したがって、介護休業申出を受けた事業主は、介護休業申出に係る介護休業開始予定日(10月9日)から、介護休業申出があった日(10月2日)の翌日から起算して2週間を経過する日(10月16日)までの間のいずれかの日を、介護休業開始予定日として指定することができる。この指定は、10月2日に介護休業申出があった場合、介護休業申出があった日の翌日から起算して3日を経過する日(10月5日)までに行わなければならない。
 例えば、10月12日を介護休業開始予定日として事業主が指定した場合、介護休業申出をした労働者はその日から介護休業をすることができる。
 
 
 
  10/2       10/9               10/16
————————————————————————————————————>
 ┌──┐    ┌───┐            ┌────┐  
 │あ介│    │始係介│   10/9〜10/16    │経起っ介│  
 │っ護│    │予る護│    指開事     │過算た護│  
 │た休│    │定介休│    定始業     │すし日休│  
 │日業│    │日護業│    で予主     │るての業│  
 │ 申│    │ 休申│    き定が     │日二翌申│  
 │ 出│    │ 業出│    る日介     │ 週日出│  
 │ が│    │ 開に│    期と護     │ 間かが│  
 └──┘    └───┘    間し休     │ をらあ│  
                   て業     └────┘  
 

8 期間を定めて雇用される者の介護休業申出に係る特例(法第12条第4項)

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(1) 4(1)と同様の趣旨から、更新後の労働契約の期間について引き続き介護休業をしようとする場合には、次に掲げる規定の適用を除外することとしたものであること。

 法第12条第2項において準用する法第6条第1項ただし書(第2号を除く。)及び第2項(労使協定により介護休業申出を拒むことができる労働者の範囲)
 法第12条第3項(事業主による介護休業開始予定日の変更)

(2) 特例の対象となる介護休業申出の範囲は、4と同一であること(4(2)参照)。

 

9 介護休業開始予定日の変更の申出

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 労働者の申出のみによる介護休業開始予定日の繰上げ又は繰下げの変更については、規定していないものであること。
 ただし、各事業所において、労働者の希望により介護休業開始予定日の繰上げ又は繰下げの変更を認める制度を設けることは可能であること。
 

10 介護休業終了予定日の変更の申出(法第13条において準用する法第7条第3項)

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(1) 介護休業申出をした労働者は、厚生労働省令で定める日(則第26条で、当初の介護休業終了予定日の2週間前の日と規定した。)までに申し出ることにより、1回に限り事由を問わず介護休業終了予定日を繰り下げる旨の変更の申出をすることができることとし、その方法として、則第27条において準用する則第16条において、所定の事項を記載した変更申出書を事業主に提出することによって行わなければならないことを規定したものであること。

(2) 介護休業終了予定日とされた日の2週間前の日よりも後に行われる介護休業終了予定日の変更の申出は、本法上事業主がこれに応ずる義務はないものであるが、各事業所において、当該申出を認める制度を設けることは可能であること。

(3) 「後の日」とは、直後の日のみではなく、直後の日以後のいずれかの日の意であること。ただし、介護休業開始予定日とされた日から起算して93日から介護休業等日数を減じた日数を経過する日を限度とするものであること。

(4) 労働者の申出のみによる介護休業終了予定日の繰上げ変更については、規定していないものであること。

 ただし、各事業所において、労働者の希望により介護休業終了予定日を繰上げ変更することを認める制度を設けることは可能であること。
 

11 介護休業申出の撤回(法第14条第1項)

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 介護休業申出をした労働者は、介護休業開始予定日の前日までは、事由を問わずその介護休業申出を撤回することができることとし、その方法として、則第28条において準用する則第17条において、所定の事項を記載した書面を事業主に提出することによって行わなければならないことを規定したものであること。
 

12 撤回後の再度の介護休業申出(法第14条第2項)

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 介護については、育児の場合以上に諸事情が変化し得るため、いったん撤回した介護休業申出に係る対象家族についての再度の介護休業申出は、1回についてはできることとしたものであること。再々度の介護休業申出については、事業主の雇用管理への影響等をも考え、事業主がこれを拒むことができることとしたものであること。
 ただし、事業主が、撤回後の再々度の介護休業申出を拒まない場合は、当該労働者は、当該再々度の介護休業申出に係る介護休業をすることができるものであること。
 再々度以降の介護休業申出についても、再々度の介護休業申出と同様であること。
 なお、一の要介護状態ごとに1回の介護休業が可能であることから、撤回後の再度の介護休業申出も一の要介護状態ごとに判断されるものであること。
 

13 介護休業申出がされなかったものとみなす事由(法第14条第3項において準用する法第8条第3項)

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(1) 介護休業申出後、厚生労働省令で定める事由(則第29条で、対象家族の死亡、対象家族と労働者との親族関係の消滅等を規定した。)が生じたときは、介護休業申出がされなかったものとみなされることとし、労働者にこのような事由が生じた場合の通知義務を課したものであること。

(2) 則第29条各号に規定する事由が生じたときの法的効果、法第14条第3項において準用する法第8条第3項後段の「遅滞なく」及び「通知」の解釈については、育児休業の場合と同様であること(第2の15(2)(3)(4)参照)。

(3) 則第29条第2号で定める事由が生じた旨を労働者が通知する場合は、離婚、婚姻の取消、離縁又は養子縁組の取消を官公署に受理された日に当該事由を事業主に通知すれば足りるものであるが、可能な限りそれ以前にその状況を事業主に知らせることが望ましいものであること。

(4) 則第29条第2号の「親族関係の消滅」は、則第21条第1号の「親族関係が消滅する」と同様であること(2(5)参照)。

(5) 則第29条第3号の「九十三日に達する日までの間、当該介護休業申出に係る対象家族を介護することができない状態」とは、身体障害者福祉法第4条の身体障害者であること、又はこれと同程度に日常生活に制限を受ける精神障害があることにより自ら対象家族を介護することが困難な状態のほか、介護休業開始予定日とされた日から起算して93日が経過するまでの間通院、加療のみならず入院又は安静を必要とすることが見込まれる状態をいうものであり、このような状態であることが確定しない間は、当該介護休業申出はされなかったものとみなされないものであること。

 

14 介護休業期間の考え方(法第15条第1項及び第2項)

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(1) 法第11条から第14条までの規定に基づき介護休業申出等がなされた場合の当該介護休業申出をした労働者の介護休業期間については、

 当該労働者の介護休業申出に係る介護休業開始予定日から介護休業終了予定日までとすることを基本とすること
 事業主による介護休業開始予定日とする日の指定や労働者による介護休業終了予定日の変更の申出があった場合は、その指定や変更の申出の結果介護休業開始予定日又は介護休業終了予定日となった日によって最終的に決定されること
 を明らかにしたものであること。

(2) 同一の対象家族について介護休業ができる日数は、最大で93日までであり、介護休業等日数が93日に達した日をもって介護休業期間の最終日となるものであること。

 例えば、7月3日を介護休業開始予定日として実母の介護のために介護休業を開始しようとする労働者は、実母に係る介護休業等日数が介護休業開始予定日の前日において30日である場合、7月3日から起算して63日(=93日−30日)目に当たる9月3日まで介護休業をすることができるものであること。
 なお、既に介護休業等日数が93日に達している労働者は、そもそも介護休業申出をすることができないものであること(法第11条第2項第2号)。
 

15 介護休業期間の終了(法第15条第3項)

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(1) 介護休業期間中にその介護休業申出に係る対象家族が死亡するなど厚生労働省令で規定する事由(則第29条の2で、則第29条を準用する旨を規定した。)が生じた場合又は介護休業申出をした労働者本人について産前産後休業、育児休業若しくは新たな介護休業が始まった場合には、介護休業は終了することとしたものであること。

(2) 介護休業期間の終了に関し、以下の点に留意すること。

 いわゆる内縁関係の解消は、則第29条の2において準用する則第29条第2号の「親族関係の消滅」に当たらないものであること。
 対象家族が要介護状態から脱した場合を当然終了事由とすることについては、
(イ) 対象家族が再び要介護状態となることも当然予想され、労働者にとって酷であること
(ロ) 事業主にとっても、対象家族の不安定な状態に影響されることは好ましくないものであること
 から、適当ではなく、当然終了事由にはしなかったものであること。
 対象家族が特別養護老人ホーム、介護老人保健施設等へ入院・入所した場合についても、その入院・入所が一時的となる場合もあるため、ロで述べたと同様の理由で、当然終了事由にはしなかったものであること。
 他の者が労働者に代わって対象家族を介護することとなった場合についても、上記ロ及びハと同様、労働者にとっても確定的に介護をする必要性がなくなったとは限らないこと、使用者にとっても不確定要素に影響されるおそれがあることから、当然終了事由にはしなかったものであること。
 イからニまでの場合を含め、介護休業期間中の労働者が一時的に介護をする必要がなくなった期間について、話合いの上、その事業主の下で就労することは妨げないものであること。この場合、当該労使で介護休業を終了させる特段の合意をした場合を除き、一旦職場に復帰することをもって当然に介護休業が終了するものではなく、一時的中断とみることが適当であって、当初の介護休業期間の範囲内で再び介護休業を再開することができるものであること。
 介護休業期間中の他の事業主の下で就労すること及び介護休業期間中における産前休業の請求の考え方等については、育児休業の場合と同様であること(第2の17(2)ロ及びハ参照)。

(3) 「新たな介護休業期間」とは、介護休業申出に係る対象家族とは異なる対象家族について開始する介護休業期間の意であること。

 

16 介護休業期間の終了に関する労働者の通知義務(法第15条第4項において準用する法第8条第3項後段)

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(1) 法第8条第3項後段と同様、当該労働者に法第15条第3項第1号に規定する事由が生じた場合の事業主に対する通知義務を課したものであること。

(2) 法第15条第4項において準用する法第8条第3項後段の「通知」の解釈については、育児休業の場合と同様であること(第2の18(2)参照)。

 

17 不利益取扱いの禁止(法第16条において準用する法第10条)

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(1) 介護休業の権利行使を保障するため、労働者が介護休業申出をし、又は介護休業をしたことを理由として、当該労働者に対して解雇その他不利益な取扱いをすることが禁止されることを明示したものであること。

(2) 「解雇その他不利益な取扱い」に該当する法律行為が行われた場合における効果及び指針事項に係る解釈については、育児休業の場合と同様であること(第2の19(2)(3)(4)(5)参照)。

 

第4 子の看護休暇(法第3章の2)

1 子の看護休暇の申出(法第16条の2第1項)

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(1) 労働者(日々雇用される者を除く。)が事業主に対して「申出」という行為をすることによって、負傷し、又は疾病にかかったその小学校就学の始期に達するまでの子の世話を行うための休暇(子の看護休暇)を取得することができることとしたものであること。その際、1の年度において、1労働日を単位として、労働者1人につき5日間の子の看護休暇を最低基準として保障したものであること。

 なお、期間を定めて雇用される者については、育児休業及び介護休業と異なり、別途の要件を課していないものであること。

(2) 「小学校就学の始期に達するまで」とは、その子が6歳に達する日の属する年度(4月1日から翌年3月31日までをいう。)の3月31日までの意であること。例えば、平成17年4月1日が生年月日の子が6歳に達するのは、平成23年3月31日午後12時であり、したがって、この場合の「小学校就学の始期に達するまで」とは、平成23年3月31日までとなるものであること。

(3) 「その事業主」の解釈については、育児休業の場合と同様であること(第2の1(3)(4)参照)。

(4) 申出の効果については、育児休業の場合と同様であること(第2の1(5)参照)。

(5) 「一の年度において」とは、年に5労働日の子の看護休暇を取得できる期間を確定するものであり、一定の日から起算する1年間をいうものであること。

 年度の開始日は、労働基準法第39条に基づく年次有給休暇の付与の基準日等を勘案して、事業主が任意に定めることができるものであること。
 なお、事業主が就業規則等において別段の定めをしない場合には、法第16条の2第3項の規定により、「一の年度」は、4月1日から始まり、翌年3月31日に終わるものとなること。
 また、一の年度において5労働日の休暇が、当該年度内であればその取得時期を問わず最低基準として保障されているものであることから、年度の開始日を変更する場合や年度の途中で雇用された者を含めて斉一的に取り扱おうとする場合には、1年に満たない期間が発生することとなるが、当該期間についても5労働日の休暇を付与すべきものであること。

(6) 「五労働日を限度として」とは、1労働日を単位として5日間の子の看護休暇の申出が労働者に権利として保障されることを明らかにしたものであること。

 「労働日」は原則として暦日計算によるものであるが、交替制により2日にわたる一勤務及び常夜勤勤務者の一勤務等勤務時間が2日にわたる場合については、休暇取得当日の労務提供開始時刻から継続24時間を1労働日として取り扱うものであること。
 また、期間を定めて雇用される者であっても、労働契約の残期間の長短にかかわらず、5労働日の子の看護休暇を取得することが可能となるものであること。例えば、6か月契約で雇用されている労働者は2.5日分の子の看護休暇を取得できるとする取扱いは、法の定める最低基準を満たさないため違法であること。一方、期間を定めて雇用される労働者の労働契約が更新された場合に、前後の労働契約期間が実質的に連続している限りは、新たな労働契約期間の開始に伴い改めて子の看護休暇を5労働日取得できることとする必要はないこと。
 さらに、子の人数やひとり親である等の子の養育の状況に応じて子の看護休暇の日数を増加させることや半日単位、時間単位で取得できることとする等法の内容を上回るような看護休暇の制度を導入することは、可能であること。

(7) 「負傷し、又は疾病にかかったその子の世話を行う」とは、負傷し、又は疾病にかかった子について身の回りの世話をすることをいい、病院への付添い等も含まれるものであること。この場合の「子」は、育児休業の場合と同様であり(第1の2(1)ハ参照)、知人の子等はこれに含まれないものであること。また、介護の場合と異なり、「負傷」又は「疾病」の種類及び程度に特段の制限はなく、いわゆる風邪による発熱など短期間で治癒する疾病や小児ぜんそく、若年性糖尿病といった慢性疾患も対象となるものであること。

(8) 「休暇」とは、「休業」と同じく労働契約関係が存続したまま労働者の労務提供義務が消滅することをいい、労働基準法第89条第1号の「休暇」に含まれること。

 なお、民法第536条により、休暇期間中の事業主の賃金支払義務は消滅すること。したがって、休暇期間中の労働者に対する賃金の支払を義務づけるものではないこと。

(9) 指針第二の二の(一)は、事業所にあらかじめ子の看護休暇の制度を導入し、かつ、就業規則の整備等必要な措置を講ずることを事業主に求めたものであること。これは、法律上、子の看護休暇の制度が事業所内制度として設けられることが労働者の権利行使に当たって必須のものであるとはいえないが、法律上子の看護休暇が労働者の権利として認められており、労働者がこれを容易に取得できるようにするためにも、子の看護休暇の制度があらかじめ事業所内制度として設けられた上で、就業規則等に記載され、労働者に制度の存在が明らかになっていることが必要であることを明示したものであること。

(10) 指針第二の二の(三)に規定する「制度の弾力的な利用」としては、半日単位又は時間単位での子の看護休暇の取得等が考えられること。

 

2 子の看護休暇の申出の方法(法第16条の2第2項)

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(1) 子の看護休暇の申出(以下「看護休暇申出」という。)は、子の看護休暇を取得する日を明らかにして行わなければならないこととしたほか、その方法を厚生労働省令で定めることとしたものであること。

 厚生労働省令では、看護休暇申出は所定の事項を事業主に申し出ることによって行わなければならないこと、事業主は看護休暇申出に係る事実を証明することができる書類の提出を労働者に求めることができること等を規定したものであること(則第30条)。

(2) 則第30条第1項において申出の方法を書面の提出に限定していないことから、労働者は、所定の事項を洩れなく申し出る限り、口頭での子の看護休暇申出も可能であること。

(3) 看護休暇申出の申出先は、あらかじめ本社人事部長、各支社長、工場長等具体的に明らかにしておくことが望ましいものであること。

(4) 子の看護休暇の制度が、子が負傷し、又は疾病にかかり、親の世話を必要とするその日に親である労働者に休暇の権利を保障する制度であることにかんがみれば、労働者が、休暇取得当日に電話により看護休暇申出をした場合であっても、事業主はこれを拒むことができないものであること。したがって、申出書の様式等を定め、当該申出書の提出を求める場合には、これをあらかじめ明らかにするとともに、申出書の提出は事後でも差し支えないものとすべきものであること。

(5) 則第30条第2項の「証明することができる書類」として利用可能な書類の例としては、医療機関の領収書や、保育所を欠席したことが明らかとなる連絡帳等の写しなどが考えられるが、看護休暇申出をする労働者に過大な負担を求めることのないように配慮するものとすること(指針事項)。

 なお、事業主が看護休暇申出をした労働者に対して証明書類の提出を求め、その提出を当該労働者が拒んだ場合にも、看護休暇申出自体の効力には影響がないものであること。
 

3 子の看護休暇の申出があった場合における事業主の義務(法第16条の3)

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(1) 第1項は、労働者が、負傷し、又は疾病にかかったその子の世話を行うために事業主に申し出ることにより、申出に係る日について子の看護休暇を取得することができるという原則により、事業主が当該労働者の子の看護休暇の申出を拒むことができないことを明らかにしたものであること。

 また、第2項は、その例外として、労使の書面による協定により一定の範囲の労働者(①雇入れ後6か月未満の労働者、②その他子の看護休暇を取得することができないこととすることについて合理的な理由があると認められる労働者)を子の看護休暇を取得することができない者として定めることができるものとしたものであること。
 この場合において、育児休業の場合とは異なり、配偶者が常態として子の養育をすることができる労働者をこの範囲に含めていない(法第16条の3第2項において法第6条第1項第2号を準用していない)ことに留意すること。これは、子の看護休暇は、その子の看護を行う必要がある日に1日単位で取得する休暇であり、常態としてその子を養育することができる配偶者がいる場合であっても、その日に当該配偶者が子の看護を行うことができるとは限らないことによるものであること。
 厚生労働省令では、子の看護休暇を取得することができないこととすることについて合理的な理由があると認められる労働者の範囲(「則第7条第2号の労働者」、すなわち、第2の6(21)で示すとおり、1週間の所定労働日数が2日以下である者)を規定したものであること(則第30条の2)。
 厚生労働省令では更に、法第16条の3第2項において準用する第6条第1項ただし書の書面による協定においては、事業主が同項の規定に基づき労働者からの看護休暇申出を拒む場合の手続等の事項を定めることができ、このような定めをするためには当該協定に規定しなければならないことを明らかにしたものであること(則第31条)。

(2) 事業主は、経営困難、事業繁忙その他どのような理由があっても労働者の適法な子の看護休暇の申出を拒むことはできないものであること。また、育児休業や介護休業とは異なり、事業主には子の看護休暇を取得する日を変更する権限は認められていないものであること。

(3) その他「事業所の労働者」の範囲、「過半数を代表する」か否かの判断時点、「代表する者」の選出方法、「書面による協定」の記載事項、「協定」の締結単位・有効期間については、育児休業の場合と同様であること(第2の6(3)から(7)まで参照)。

(4) 法第16条の3第2項において準用する法第6条第1項第1号の「当該事業主に引き続き雇用された期間」の解釈及び「六月に満たない」か否かの判断時点については、育児休業の場合における法第6条第1項第1号の解釈と同様であること(第2の6(8)及び(9)参照)。

(5) 法第16条の3第2項において準用する法第6条第1項第3号に該当するか否かの判断時点については、育児休業の場合における法第6条第1項第3号の解釈と同様であること(第2の6(13)参照)。

 

4 看護休暇申出を拒まれた労働者の子の看護休暇(法第16条の3条第2項において準用する法第6条第2項)

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(1) 事業主が、法第16条の3第2項において準用する法第6条第1項ただし書の規定により、労使協定で子の看護休暇を取得することができないものとして定められた労働者からの看護休暇申出を拒んだ場合は、当該労働者は子の看護休暇を取得することができないこととしたものであること。

(2) 看護休暇申出を拒まれた労働者であっても、その後労使協定で子の看護休暇を取得することができない者として定められた労働者に該当しなくなれば、申し出て子の看護休暇を取得することができるものであること。

 

5 不利益取扱いの禁止(法16条の4において準用する法第10条)

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(1) 子の看護休暇の権利行使を保障するため、労働者が看護休暇申出をし、又は子の看護休暇を取得したことを理由として、当該労働者に対して解雇その他不利益な取扱いをすることが禁止されることを明示したものであること。

(2) 「解雇その他不利益な取扱い」に該当する法律行為が行われた場合における効果及び指針事項に係る解釈については、育児休業の場合と同様であること(第2の19(2)(3)(4)(5)参照)。

 

第5 時間外労働の制限(法第4章)

1 子の養育を行う労働者の時間外労働の制限の請求(法第17条第1項)

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(1) 働きながら子の養育を行うための時間を確保できるようにするため、小学校就学の始期に達するまでの子を養育する一定の範囲の労働者(①雇入れ後1年未満の労働者、②配偶者で当該請求に係る子の親であるものが、常態として当該子を養育することができるものと認められる労働者、③その他請求をできないこととすることについて合理的な理由があると認められる労働者、のいずれにも該当しない労働者。ただし、日々雇用される者を除く。)が、その子を養育するために請求した場合においては、事業主は、制限時間(1月について24時間、1年について150時間をいう。以下同じ。)を超えて労働基準法第36条第1項に規定する労働時間(以下単に「労働時間」という。)を延長してはならないこととしたものであること。

 また、ただし書は、その例外として、事業の正常な運営を妨げる場合は、事業主は請求を拒めることとしたものであること。
 なお、期間を定めて雇用される者については、育児休業及び介護休業と異なり、別途の要件を課していないものであること。

(2) 「事業主」の解釈については、育児休業の場合と同様であること(第2の1(3)(4)参照)。

(3) 「同項に規定する労働時間」とは、労働基準法第36条第1項において規定する次に掲げる労働時間をいうものであること。

 労働基準法第32条の規定による1週間につき40時間、1日につき8時間という法定労働時間(ただし、同法第40条に基づき、労働基準法施行規則(昭和22年厚生省令第23号)第25条の2において、特例の定めあり。)
 労働基準法第32条の2の規定による1か月単位の変形労働時間制における労働時間
 労働基準法第32条の3の規定によるいわゆるフレックスタイム制における労働時間
 労働基準法第32条の4の規定による1年単位の変形労働時間制における労働時間
 労働基準法第32条の5の規定による1週間単位の非定型的変形労働時間制における労働時間

(4) 「小学校就学の始期に達するまで」の解釈については、子の看護休暇の場合と同様であること(第4の1(2)参照)。

(5) 「労働者」のうち、労働基準法第41条に規定する者(①労働基準法別表第1第6号(林業を除く。)又は第7号に掲げる事業に従事する者、②監督若しくは管理の地位にある者又は機密の事務を取り扱う者、③監視又は断続的労働に従事する者)については、そもそも労働基準法上の労働時間に関する規定の適用がないため、対象にはなり得ないものであること。

(6) 「制限時間・・・を超えて労働時間を延長してはならない」とは、事業主が労働基準法第36条第1項本文の規定により労働時間を延長させることができる場合であっても、制限時間を超えた時間については、労働者の労務提供義務が消滅することをいうものであること。したがって、時間外労働協定で定めた時間外労働の上限時間如何に関わらず、制限時間を超えて事業主が労働者に対して時間外労働命令をすることはできず、仮にこれをしたとしても、当該労働者にはその命令に従う義務はないこととなるものであること。なお、適法に労働時間を延長させるためには、別途、労働基準法第36条による所定の手続が必要であることはいうまでもないこと。

(7) 「事業の正常な運営を妨げる場合」に該当するか否かは、当該労働者の所属する事業所を基準として、当該労働者の担当する作業の内容、作業の繁閑、代行者の配置の難易等諸般の事情を考慮して客観的に判断すべきものであること。

 事業主は、労働者が時間外労働の制限を請求した場合においては、当該労働者が請求どおりに時間外労働の制限を受けることができるように、通常考えられる相当の努力をすべきものであり、単に時間外労働が事業の運営上必要であるとの理由だけでは拒むことは許されないものであること。
 例えば、時間外労働をさせざるを得ない繁忙期において、同一時期に多数の専門性の高い職種の労働者が請求した場合であって、通常考えられる相当の努力をしたとしてもなお事業運営に必要な業務体制を維持することが著しく困難な場合には、「事業の正常な運営を妨げる場合」に該当するものであること。

(8) 第1号の「当該事業主に引き続き雇用された期間」の解釈及び「一年に満たない」か否かの判断時点については、育児休業の場合と同様であること(第2の6(8)(9)参照)。

(9) 第2号の「配偶者」、「親であるもの」及び「常態として当該子を養育することができるものとして厚生労働省令で定める者に該当する」の解釈については、育児休業の場合と同様であること(第2の6(10)(11)(12)参照)。なお、労働者の配偶者で時間外労働の制限の請求に係る子の親であるものが時間外労働の制限の請求をした場合であっても、厚生労働省令で定める者には該当せず、当該労働者は時間外労働の制限を請求することができるものであること。

(10) 第2号及び第3号に該当するか否かの判断時点は請求時点であり、制限開始予定日において請求時点と状況が異なることが明らかなときは、制限開始予定日における状況に基づき、請求時点で判断すべきものであること。

(11) 則第31条の2第1号の「職業に就いていない者」及び「育児休業その他の休業」の解釈については、育児休業の場合と同様であること(第2の6(14)(15)参照)。

(12) 則第31条の2第1号の「一週間の就業日数が二日以下の者」に該当するか否かは、原則として請求時点までの1月間の状況等を踏まえて判断するものであること。

(13) 則第31条の2第2号の「子を養育することが困難な状態」の解釈については、育児休業の場合と同様であること(第2の6(17)参照)。

(14) 則第31条の2第3号の「六週間(多胎妊娠の場合にあっては、十四週間)以内に出産する予定であるか又は産後八週間を経過しない」の解釈については、育児休業の場合と同様であること(第2の3(12)参照)。

(15) 則第31条の2第4号の「同居している者」の解釈については、育児休業の場合と同様であること(第2の6(19)参照)。

(16) 則第31条の3第1号の「一週間の所定労働日数が二日以下の労働者」に該当するか否かの判断時点については、則第31条の2第1号の「一週間の就業日数が二日以下の者」に該当するか否かの判断時点と同様であること((12)参照)。

(17) 則第31条の3第2号の「請求に係る子の親であって当該請求をする労働者又は当該労働者の配偶者のいずれでもない者であるもの」の解釈については、育児休業の場合と同様であること(第2の6(22)参照)。

 

2 子の養育を行う労働者の時間外労働の制限の請求の方法(法第17条第2項)

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(1) 子の養育を行う労働者の時間外労働の制限の請求は、連続した一の期間についてしなければならないものであり、その際、期間の初日と末日を明らかにして行わなければならないこととしたほか、その方法を厚生労働省令で定めることとしたものであること。

 厚生労働省令では、請求は所定の事項を記載した書面を事業主に提出することによって行わなければならないこと、事業主は書面の記載事項に係る事項を証明することができる書類の提出を労働者に求めることができること等を規定したものであること(則第31条の4)。

(2) 時間外労働協定の有効期間が終了した場合であっても、次なる時間外労働協定が締結され届け出られた場合には、再び時間外労働をさせることができることになることから、労働者の請求する制限期間における「末日」を請求時に存在する時間外労働協定の有効期間を超えて設定することは可能であること。

(3) 「その期間中は制限時間を超えて労働時間を延長してはならないこととなる一の期間」の解釈については、育児休業の場合と同様であること(第2の4(2)参照)。

 労働者の請求した制限期間が1年に満たない場合には、事業主は当該期間において150時間を超えて労働時間を延長してはならないものであること。また、制限期間においては、制限期間の始期から1か月ごとに区切った期間ごとに24時間を超えて労働時間を延長してはならないこととなるが、労働者の請求した制限期間が1年に満たないことにより制限期間中の最後の区切りの期間が1か月に満たないこととなった場合には、事業主は当該期間において24時間を超えて労働時間を延長してはならないものであること。
 具体的には、例えば、平成17年7月10日から平成18年3月31日までの期間において時間外労働の制限の請求を行った場合には、まず、当該期間全体について150時間を超えて労働時間を延長してはならないという制限がかかり、当該期間内の1か月ごとに区分した期間ごとに24時間を超えて労働時間を延長してはならないという制限がかかることになるが、最後の区切りの期間である平成18年3月10日から平成18年3月31日までの期間については、1か月に満たないものの、当該期間について24時間を超えて労働時間を延長してはならないという制限がかかるものであること。
 また、制限期間においては、原則として、1か月について24時間及び1年について150時間の両方の制限がかかるものであるが、制限期間が6か月以下の場合には、24時間×α月<150時間となるため、1年について150時間の制限の意味はなく、実質的に1か月24時間を超えて労働時間を延長してはならないという制限のみがかかるものであること。

(4) 事業主は、当該労働者について、時間外労働協定に基づく労働時間管理に加え、制限期間において1か月について24時間及び1年について150時間を超えて時間外労働をさせないよう個別的な労働時間管理を行う必要があること。

(5) 「制限開始予定日の一月前」とは、制限開始予定日の属する月の前月の応当日をいい、前月に応当日がない場合はその月の末日をいうものであること。例えば、制限開始予定日が3月1日である場合には2月1日がその日に当たり、制限開始予定日が3月31日である場合には2月28日がその日に当たるものであること。

 制限開始予定日の1月前の日よりも後に行われる請求は、本法上事業主がこれに応ずる義務はないものであるが、各事業所において、当該請求を認める制度を設けることは可能であること。

(6) 則第31条の4第1項の書面の様式、書面の提出先及び特定の方法での書面の提出を求める場合、同項第1号の「請求の年月日」の記載すべき日並びに同項第5号の「養子縁組の効力が生じた日」の解釈については、育児休業の場合と同様であること(第2の4(4)(5)(6)(8)(9)参照)。

(7) 則第31条の4第1項第6号の「第三十一条の二の者がいない事実及び第三十一条の三第二号の労働者に該当していない事実」とは、その旨を記載すれば足りるものであり、その事実を証明する書類の添付は、則第31条の4第2項により事業主からの請求がない限り、当然には要求されないものであること。

(8) 則第31条の4第2項の「証明することができる書類」として利用可能な書類の例は、それぞれの証明すべき事実に応じ以下のとおりであること。

 妊娠の事実、出生の事実及び養子縁組の事実 第2の4(10)イからハまで参照
 配偶者等(労働者の配偶者で当該請求に係る子の親であるもの又は当該請求に係る子の親であって当該請求をする労働者若しくは当該労働者の配偶者のいずれでもない者をいう。以下同じ。)が職業に就いている事実 労働契約又は就業規則の写し
 配偶者等が子を養育することが困難な状態の事実 身体障害者福祉法第15条の身体障害者手帳の写しのほか、1月間を超えて入院又は安静を必要とする旨の医師の診断書
 配偶者等が6週間(多胎妊娠の場合にあっては、14週間)以内に出産する予定であるか又は産後8週間を経過していない事実 医師が交付する当該事実についての診断書、官公署が発行する出生届受理証明書
 同居の配偶者等がいない事実 住民票記載事項の証明書、出張命令書の写し
 また、上記の証明書等に代わってそれぞれの事実が証明できる他の書類を提出することを妨げるものではなく、当該労働者の同僚等第三者の申立書の提出なども含め様々な方法が可能であること、さらに、証明方法について、請求をする労働者に過大な負担をかけることのないようにすべきものであることなどは、育児休業の場合と同様であること(第2の4(10)参照)。

(9) 則第31条の4第3項の「速やかに」の解釈については、育児休業の場合と同様であること(第2の4(11)参照)。

 

3 子の養育を行う労働者の時間外労働の制限の請求がされなかったものとみなす事由(法第17条第3項)

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(1) 請求後、厚生労働省令で定める事由(則第31条の5で、子の死亡、子が養子である場合の離縁又は養子縁組の取消し等を規定した。)が生じたときは、請求がされなかったものとみなされることとし、労働者にこのような事由が生じた場合の通知義務を課したものであること。

(2) 則第31条の5各号に規定する事由が生じたときの効果、法第17条第3項後段の「遅滞なく」及び「通知」の解釈、則第31条の5第2号で定める事由が生じた旨を労働者が通知する場合の方法については、育児休業の場合と同様であること(第2の15(2)から(5)まで参照)。

(3) 則第31条の5第3号の「同居しないこととなったこと」とは、永続的なものを想定しているが、転勤等の事情による場合も、制限期間の末日までの間同居しない状態が続くときは含むものであること。

(4) 則第31条の5第4号の「当該請求に係る制限期間の末日までの間、当該請求に係る子を養育することができない状態」とは、身体障害者福祉法第4条の身体障害者であること、又はこれと同程度に日常生活に制限を受ける精神障害があることにより自ら子を養育することが困難な状態のほか、制限期間の末日までの間通院、加療のみならず入院又は安静を必要とすることが見込まれる状態をいうものであり、このような状態であることが確定しない間は、当該請求はされなかったものとみなされないものであること。

 

4 制限期間の終了(法第17条第4項)

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(1) 制限期間中にその請求に係る子が死亡するなど厚生労働省令で規定する事由(則第31条の6で、則第31条の5を準用する旨を規定した。)が生じた場合、子が小学校就学の始期に達した場合又は請求をした労働者本人について産前産後休業、育児休業若しくは介護休業が始まった場合には、制限期間は終了することとしたものであること。

(2) 時間外労働をさせるか否かについては、就業規則等の範囲内において事業主の裁量にゆだねられるため、労働者はどの時点においても請求の撤回を申し出ることはできるものであること。ただし、事業主は、労働者から撤回の申出があったからといって、直ちに当該労働者に対し、他の労働者と同水準の時間外労働をさせなければならなくなるものではないこと。

 

5 制限期間の終了に関する労働者の通知義務(法第17条第5項)

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(1) 法第17条第3項後段と同様、当該労働者に法第17条第4項第1号に規定する事由が生じた場合の事業主に対する通知義務を課したものであること。

(2) 「通知」の解釈については、育児休業の場合と同様であること(第2の18(2)参照)。

 

6 家族の介護を行う労働者の時間外労働の制限の請求(法第18条第1項において準用する法第17条第1項)

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(1) 働きながら家族の介護を行うための時間を確保できるようにするため、要介護状態にある対象家族を介護する一定の範囲の労働者(①雇入れ後1年未満の労働者、②その他請求をできないこととすることについて合理的な理由があると認められる労働者、のいずれにも該当しない労働者。ただし、日々雇用される者を除く。)が、その対象家族を介護するために請求した場合においては、小学校就学の始期に達するまでの子を養育する一定の範囲の労働者が請求した場合と同様に、事業主は、制限時間を超えて労働時間を延長してはならないこととしたものであること。

 また、ただし書は、その例外として、事業の正常な運営を妨げる場合は、事業主は請求を拒めることとしたものであること。
 なお、期間を定めて雇用される者については、育児休業及び介護休業と異なり、別途の要件を課していないものであること。
 この場合において、子の養育を行う労働者の時間外労働の制限の場合とは異なり、配偶者が常態として対象家族を介護することができる労働者をこの範囲に含めていない(法第18条第1項において法第17条第1項第2号を準用していない)ことに留意すること。これは、子の養育を行う労働者の時間外労働の制限の場合には、子を養育すべき者は第一義的にその父又は母であることが明らかであるのに対し、対象家族を第一義的に介護すべき者が誰であるかは決めつけられないこと、一人では対象家族を介護できない場合があること等によるものであること。

(2) 対象となる「労働者」の範囲については、子の養育を行う労働者の時間外労働の制限の場合と同様であること(1(5)参照)。

(3) 法第18条第1項において準用する法第17条第1項の「事業主」、「同項に規定する労働時間」及び「制限時間・・・を超えて労働時間を延長してはならない」の解釈並びに「事業の正常な運営を妨げる場合」の判断方法、同項第1号の「当該事業主に引き続き雇用された期間」の解釈及び「一年に満たない」か否かの判断時点並びに同項第3号に該当するか否かの判断時点については、子の養育を行う労働者の時間外労働の制限の場合と同様であること(1(2)(3)(6)(7)(8)(10)参照)。

(4) 則第31条の7において準用する則第31条の3第1号の「一週間の所定労働日数が二日以下の労働者」に該当するか否かの判断時点については、子の養育を行う労働者の時間外労働の制限の場合と同様であること(1(16)参照)。

 

7 家族の介護を行う労働者の時間外労働の制限の請求の方法(法第18条第1項において準用する法第17条第2項)

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(1) 家族の介護を行う労働者の時間外労働の制限の請求は、子の養育を行う労働者の時間外労働の制限の請求と同様に、連続した一の期間についてしなければならないものであり、その際、期間の初日と末日を明らかにして行わなければならないこととしたほか、その方法を厚生労働省令で定めることとしたものであること。

 厚生労働省令では、請求は所定の事項を記載した書面を事業主に提出することによって行わなければならないこと、事業主は書面の記載事項に係る事項を証明することができる書類の提出を労働者に求めることができること等を規定したものであること(則第31条の8)。

(2) 「時間外労働協定の有効期間」との関係、「その期間中は制限時間を超えて労働時間を延長してはならないこととなる一の期間」及び「制限開始予定日の一月前」の解釈については、子の養育を行う労働者の時間外労働の制限の場合と同様であること(2(2)(3)(5)参照)。

(3) 則第31条の8第1項の書面の様式、書面の提出先及び特定の方法での書面の提出を求める場合、同項第1号の「請求の年月日」の記載すべき日、同項第4号の「当該対象家族と同居し、かつ、当該対象家族を扶養している事実」の解釈並びに同項第5号の「対象家族が要介護状態にある事実」の解釈については、介護休業の場合と同様であること(第3の3(2)(3)参照)。

(4) 則第31条の8第2項の「証明することができる書類」として利用可能な書類の例として、対象家族と労働者との続柄、同居の事実、扶養の事実及び要介護状態の事実については、介護休業の場合と同様であること(第3の3(4)イからニまで参照)。

 また、上記の証明書等に代わってそれぞれの事実が証明できる他の書類を提出することを妨げるものではなく、当該労働者の同僚等第三者の申立書の提出なども含め様々な方法が可能であること、さらに、証明方法について、請求をする労働者に過大な負担をかけることのないようにすべきものであること、介護に関しては、特に情勢が様々に変化することがあるので、臨機応変かつ柔軟な対応が望まれること、「扶養」の証明手段などは、介護休業の場合と同様であること(第3の3(4)参照)。
 

8 家族の介護を行う労働者の時間外労働の制限の請求がされなかったものとみなす事由(法第18条第1項において準用する法第17条第3項)

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(1) 請求後、厚生労働省令で定める事由(則第31条の9で、対象家族の死亡、対象家族と労働者との親族関係の消滅等を規定した。)が生じたときは、請求がされなかったものとみなされることとし、労働者にこのような事由が生じた場合の通知義務を課したものであること。

(2) 則第31条の9各号に規定する事由が生じたときの効果、法第18条第1項において準用する法第17条第3項後段の「遅滞なく」及び「通知」の解釈、則第31条の9第2号で定める事由が生じた旨を労働者が通知する場合の方法、同条第2号の「親族関係の消滅」の解釈については、介護休業の場合と同様であること(第3の13(2)(3)(4)参照)。

(3) 則第31条の9第3号の「当該請求に係る制限期間の末日までの間、当該請求に係る対象家族を介護することができない状態」の解釈については、子の養育を行う労働者の時間外労働の制限の場合と同様であること(3(4)参照)。

 

9 制限期間の終了(法第18条第1項において準用する法第17条第4項)

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(1) 制限期間中にその請求に係る対象家族が死亡するなど厚生労働省令で規定する事由(則第31条の10で、則第31条の9を準用する旨を規定した。)が生じた場合又は請求をした労働者本人について産前産後休業、育児休業若しくは介護休業が始まった場合には、制限期間は終了することとしたものであること。

(2) 制限期間の終了に関し、以下の点に留意すること。

 いわゆる内縁関係の解消は、則第31条の10において準用する則第31条の9第2号の「親族関係の消滅」に当たらないものであること。
 対象家族の症状の緩和等による要介護状態からの離脱の場合の考え方については、介護休業の場合と同様であること(第3の15(2)ロ参照)。
 特別養護老人ホーム、介護老人保健施設等への入院・入所の場合の考え方については、介護休業の場合と同様であること(第3の15(2)ハ参照)。
 

10 制限期間の終了に関する労働者の通知義務(法第18条第2項において準用する法第17条第3項後段)

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(1) 法第18条第2項において準用する法第17条第3項後段と同様、当該労働者に法第18条第1項において準用する法第17条第4項第1号に規定する事由が生じた場合の事業主に対する通知義務を課したものであること。

(2) 「通知」の解釈については、介護休業の場合と同様であること(第3の16(2)参照)。

 

11 指針事項

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(1) 指針第二の四の(一)は、事業所にあらかじめ時間外労働の制限の制度を導入し、かつ、就業規則の整備等必要な措置を講ずることを事業主に求めたものであること。これは、法律上、時間外労働の制限の制度が事業所内制度として設けられることが労働者の権利行使に当たって必須のものであるとはいえないが、法律上時間外労働の制限が労働者の権利として認められており、労働者がこれを容易に受けられるようにするためにも、時間外労働の制限の制度があらかじめ事業所内制度として設けられた上で、就業規則等に記載され、労働者に制度の存在が明らかになっていることが必要であることを明示したものであること。

(2) 指針第二の四の(二)は、時間外労働の制限の権利行使を保障するため、労働者が時間外労働の制限を請求したこと又は時間外労働の制限を受けたことを理由として、当該労働者に対して解雇その他の不利益な取扱いをしてはならないことを明示したものであること。

 不利益な取扱いについての基本的な考え方は、育児休業の場合と同様であること(第2の19(3)(4)(5)参照)。
 

第6 深夜業の制限(法第5章)

1 子の養育を行う労働者の深夜業の制限の請求(法第19条第1項)

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(1) 深夜に子を保育する者がいなくなる場合に対応するため、小学校就学の始期に達するまでの子を養育する一定の範囲の労働者(①雇入れ後1年未満の労働者、②深夜において常態として子を保育することができる同居の家族その他の者がいる労働者、③その他請求をできないこととすることについて合理的な理由があると認められる労働者、のいずれにも該当しない労働者。ただし、日々雇用される者を除く。)が、その子を養育するために請求した場合においては、事業主は、午後10時から午前5時までの間(以下「深夜」という。)において労働させてはならないこととしたものであること。

 また、ただし書は、その例外として、事業の正常な運営を妨げる場合は、事業主は請求を拒めることとしたものであること。
 なお、期間を定めて雇用される者については、育児休業及び介護休業と異なり、別途の要件を課していないものであること。

(2) 労働基準法第66条第3項に規定する妊産婦の深夜業の制限は、母性保護の見地から設けられたものであり、妊産婦の深夜業の制限と法第19条に規定する深夜業の制限は、その趣旨、目的が異なるものであることから、両者の要件に該当する労働者は、任意に選択して請求することができるものであること。

(3) 「事業主」の解釈については、育児休業の場合と同様であること(第2の1(3)(4)参照)。

(4) 「小学校就学の始期に達するまで」の解釈については、子の看護休暇の場合と同様であること(第4の1(2)参照)。

(5) 「午後十時から午前五時までの間・・・において労働させてはならない」とは、午後10時から午前5時までの間においては、所定労働時間内であるか否かに関わらず、労働者の労務提供義務が消滅することをいうものであること。

(6) 「事業の正常な運営を妨げる場合」の判断方法については、子の養育を行う労働者の時間外労働の制限の場合と同様であること(第5の1(7)参照)。

(7) 第1号の「当該事業主に引き続き雇用された期間」の解釈及び「一年に満たない」か否かの判断時点については、育児休業の場合と同様であること(第2の6(8)(9)参照)。

(8) 第2号の「保育」とは、保護し育てるとの意であり、「養育」とは異なり、親以外の者による対応も含むものであること。

(9) 第2号の「同居の家族」には、1月未満の期間のみ同居が見込まれる家族を含まないものであること。

(10) 第2号及び第3号に該当するか否かの判断時点については、子の養育を行う労働者の時間外労働の制限の場合と同様であること(第5の1(10)参照)。

(11) 則第31条の11において「十六歳以上」としているのは、保育することができるとみなすには保育する者が一定の年齢に達していることが必要であると考えられることから、義務教育修了年齢を参考として「十六歳以上」としたものであること。

(12) 則第31条の11第1号の「就業」とは、原則として所定労働時間内の就業をいうものであるが、制限期間について所定労働時間を超える就業が深夜に及ぶことが明らかな場合には、当該就業は「就業」に含まれるものであること。

 また、宿泊を伴う出張の場合は、「就業」に含まれるものであること。

(13) 則第31条の11第1号の「深夜における就業日数が一月について三日以下の者」に該当するか否かは、原則として請求時点までの1月間の状況等を踏まえて判断するものであること。

 また、「深夜における就業日数」の計算において、継続勤務が2暦日にわたる場合には、当該勤務は始業時刻の属する日の勤務として、当該「1日」の就業とするものであること。

(14) 則第31条の11第2号の「子を保育することが困難な状態」とは、身体障害者福祉法第4条の身体障害者であること、又はこれと同程度に日常生活に制限を受ける精神障害があることにより自ら子を保育することが困難な状態のほか、老齢により身体機能が相当程度低下し子を保育することが困難な状態をいうものであること。

(15) 則第31条の11第3号の「六週間(多胎妊娠の場合にあっては、十四週間)以内に出産予定であるか又は産後八週間を経過しない」の解釈については、育児休業の場合と同様であること(第2の3(12)参照)。

(16) 則第31条の12第1号の「一週間の所定労働日数が二日以下の労働者」に該当するか否かの判断時点は、子の養育を行う労働者の時間外労働の制限の場合と同様であること(第5の1(12)参照)。

(17) 則第31条の12第2号の「所定労働時間」とは、就業規則等において労働者が労働契約上労働すべき時間として定められた時間の意であり、必ずしも労働基準法の規定による法定労働時間に限らないものであること。

(18) 則第31条の12第2号の「全部が深夜にある」とは、所定労働時間のすべてが午後10時から午前5時までの間にあるとの意であること。したがって、例えば、交替制勤務の場合や、所定労働時間の一部に午後10時から午前5時までの間以外の時間帯が含まれている場合は、「全部が深夜にある」には該当しないものであること。

 

2 子の養育を行う労働者の深夜業の制限の請求の方法(法第19条第2項)

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(1) 子の養育を行う労働者の深夜業の制限の請求は、連続した一の期間についてしなければならないものであり、その際、期間の初日と末日を明らかにして行わなければならないこととしたほか、その方法を厚生労働省令で定めることとしたものであること。

 厚生労働省令では、請求は所定の事項を記載した書面を事業主に提出することによって行わなければならないこと、事業主は書面の記載事項に係る事項を証明することができる書類の提出を労働者に求めることができること等を規定したものであること(則第31条の13)。

(2) 「その期間中は深夜において労働させてはならないこととなる一の期間」の解釈については、育児休業の場合と同様であること。(第2の4(2)参照)。

(3) 「制限開始予定日の一月前」の解釈については、子の養育を行う労働者の時間外労働の制限の場合と同様であること(第5の2(5)参照)。

(4) 則第31条の13第1項の書面の様式、書面の提出先及び特定の方法での書面の提出を求める場合、同項第1号の「請求の年月日」の記載すべき日並びに同項第5号の「養子縁組の効力が生じた日」の解釈については、育児休業の場合と同様であること(第2の4(4)(5)(6)(8)(9)まで参照)。

(5) 則第31条の13第1項第6号の「第三十一条の十一の者がいない事実」とは、その旨を記載すれば足りるものであり、その事実を証明する書類の添付は、則第31条の13第2項により事業主からの請求がない限り、当然には要求されないものであること。

(6) 則第31条の13第2項の「証明することができる書類」として利用可能な書類の例は、それぞれの証明すべき事実に応じ以下のとおりであること。

 妊娠の事実、出生の事実及び養子縁組の事実 第2の4(10)イからハまで参照
 子の16歳以上の同居の家族がいない事実 第5の2(8)ホ参照
 家族が深夜において就業している事実 第5の2(8)ロ参照
 家族が子を保育することが困難な状態の事実 第5の2(8)ハ参照
 家族が6週間(多胎妊娠の場合にあっては、14週間)以内に出産予定であるか又は産後8週間を経過していない事実 第5の2(8)ニ参照
 また、上記の証明書等に代わってそれぞれの事実が証明できる他の書類を提出すことを妨げるものではなく、当該労働者の同僚等第三者の申立書の提出なども含め様々な方法が可能であること、さらに、証明方法について、請求をする労働者に過大な負担をかけることのないようにすべきものであることなどは、育児休業の場合と同様であること(第2の4(10)参照)。

(7) 則第31条の13第3項の「速やかに」の解釈については、育児休業の場合と同様であること(第2の4(11)参照)。

 

3 子の養育を行う労働者の深夜業の制限の請求がされなかったものとみなす事由(法第19条第3項)

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(1) 請求後、厚生労働省令で定める事由(則第31条の14で、子の死亡、子が養子である場合の離縁又は養子縁組の取消等を規定した。)が生じたときは、請求がされなかったものとみなされることとし、労働者にこのような事由が生じた場合の通知義務を課したものであること。

(2) 則第31条の14各号に規定する事由が生じたときの効果、法第19条第3項後段の「遅滞なく」及び「通知」の解釈、則第31条の14第2号で定める事由が生じた旨を労働者が通知する場合の方法については、育児休業の場合と同様であること(第2の15(2)から(5)まで参照)。

(3) 則第31条の14第3号の「同居しないこととなったこと」及び則第31条の14第4号の「当該請求に係る制限期間の末日までの間、当該請求に係る子を養育することができない状態」の解釈については、子の養育を行う労働者の時間外労働の制限の場合と同様であること(第5の3(3)(4)参照)。

 

4 制限期間の終了(法第19条第4項)

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(1) 制限期間中にその請求に係る子が死亡するなど厚生労働省令で規定する事由(則第31条の15で、則第31条の14を準用する旨を規定した。)が生じた場合、子が小学校就学の始期に達した場合又は請求をした労働者本人について産前産後休業、育児休業若しくは介護休業が始まった場合には、制限期間は終了することとしたものであること。

(2) 制限期間の終了に関し、以下の点に留意すること。

 請求に係る子の同居の家族が生じた場合を当然終了事由とすることについては、事業主にとって要員管理が不安定なものとなるため、当然終了事由とはしていないところであること。
 制限期間中の深夜における就労については、イの場合を含め、制限期間中の労働者が一時的に子の養育をする必要がなくなった期間について、話合いにより、その事業主の下で深夜において就労することは妨げないものであること。その場合、当該労使で深夜業の制限を終了させる特段の合意のない限り、一旦深夜業に復帰することをもって当然に深夜業の制限が終了するものではなく、一時的中断とみることが適当であって、当初の制限期間の範囲内で深夜業の制限を再開することができるものであること。
 

5 制限期間の終了に関する労働者の通知義務(法第19条第5項)

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(1) 法第19条第3項後段と同様、当該労働者に法第19条第4項第1号に規定する事由が生じた場合の事業主に対する通知義務を課したものであること。

(2) 「通知」の解釈については、育児休業の場合と同様であること(第2の18(2)参照)。

 

6 家族の介護を行う労働者の深夜業の制限の請求(法第20条第1項において準用する法第19条第1項)

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(1) 深夜に家族を介護する者がいなくなる場合に対応するため、要介護状態にある対象家族を介護する一定の範囲の労働者(①雇入れ後1年未満の労働者、②深夜において常態として対象家族を介護することができる同居の家族その他の者がいる労働者、③その他請求をできないこととすることについて合理的な理由があると認められる労働者、のいずれにも該当しない労働者。ただし、日々雇用される者を除く。)が、その対象家族を介護するために請求した場合においては、小学校就学の始期に達するまでの子を養育する一定の範囲の労働者が請求した場合と同様に、事業主は、深夜において労働させてはならないこととしたものであること。

 また、ただし書は、その例外として、事業の正常な運営を妨げる場合は、事業主は請求を拒めることとしたものであること。
 なお、期間を定めて雇用される者については、育児休業及び介護休業と異なり、別途の要件を課していないものであること。

(2) 労働基準法第66条第3項に規定する妊産婦の深夜業の制限との関係については、子の養育を行う労働者の深夜業の制限の場合と同様であること(1(2)参照)。

(3) 法第20条第1項において準用する法第19条第1項の「事業主」及び「午後十時から午前五時までの間・・・において労働させてはならない」の解釈並びに「事業の正常な運営を妨げる場合」の判断方法、同項第1号の「当該事業主に引き続き雇用された期間」の解釈及び「一年に満たない」か否かの判断時点、同項第2号の「同居の家族」の解釈並びに同項第2号及び第3号に該当するか否かの判断時点については、子の養育を行う労働者の深夜業の制限の場合と同様であること(1(3)(5)(6)(7)(9)(10)参照)。

(4) 則第31条の16において準用する則第31条の11の「十六歳以上」の趣旨、同項第1号の「就業」の解釈、「深夜における就業日数が一月について三日以下の者」に該当するか否かの判断時点及び「深夜における就業日数」の計算、同項第2号の「対象家族を介護することが困難な状態」の解釈、同項第3号の「六週間(多胎妊娠の場合にあっては、十四週間)以内に出産予定であるか又は産後八週間を経過しない」の解釈、則第31条の17において準用する則第31条の12第1号の「一週間の所定労働日数が二日以下の労働者」に該当するか否かの判断時点並びに同条第2号の「所定労働時間」及び「全部が深夜にある」の解釈については、子の養育を行う労働者の深夜業の制限の場合と同様であること(1(11)から(18)まで参照)。

 

7 家族の介護を行う労働者の深夜業の制限の請求の方法(法第20条第1項において準用する法第19条第2項)

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(1) 家族の介護を行う労働者の深夜業の制限の請求は、子の養育を行う労働者の深夜業の制限の請求と同様に、連続した一の期間についてしなければならないものであり、その際、期間の初日と末日を明らかにして行わなければならないこととしたほか、その方法を厚生労働省令で定めることとしたものであること。

 厚生労働省令では、請求は所定の事項を記載した書面を事業主に提出することによって行わなければならないこと、事業主は書面の記載事項に係る事項を証明することができる書類の提出を労働者に求めることができること等を規定したものであること(則第31条の18)。

(2) 「その期間中は深夜において労働させてはならないこととなる一の期間」及び「制限開始予定日の一月前」の解釈については、子の養育を行う労働者の深夜業の制限の場合と同様であること(2(2)(3)参照)。

(3) 則第31条の18第1項の書面の様式、書面の提出先及び特定の方法での書面の提出を求める場合、同項第1号の「請求の年月日」の記載すべき日、同項第4号の「当該対象家族と同居し、かつ、当該対象家族を扶養している事実」の解釈並びに同項第5号の「対象家族が要介護状態にある事実」の解釈については、介護休業の場合と同様であること(第3の3(2)(3)参照)。

(4) 則第31条の18第1項第7号の「第三十一条の十六において準用する第三十一条の十一の者がいない事実」の解釈については、子の養育を行う労働者の深夜業の制限の場合と同様であること(2(5)参照)。

(5) 則第31条の18第2項の「証明することができる書類」として利用可能な書類の例は、それぞれの証明すべき事実に応じ以下のとおりであること。

 対象家族と労働者との続柄、同居の事実、扶養の事実、要介護状態の事実 第3の3(4)イからニまで参照
 対象家族の16歳以上の同居の家族がいない事実、家族が深夜において就業している事実、家族が対象家族を介護することが困難な状態の事実、家族が6週間(多胎妊娠の場合にあっては、14週間)以内に出産予定であるか又は産後8週間を経過していない事実 2(6)ロからホまで参照
 また、上記の証明書等に代わってそれぞれの事実が証明できる他の書類を提出することを妨げるものではなく、当該労働者の同僚等第三者の申立書の提出なども含め様々な方法が可能であること、さらに、証明方法について、請求をする労働者に過大な負担をかけることのないようにすべきものであること、介護に関しては、特に情勢が様々に変化することがあるので、臨機応変かつ柔軟な対応が望まれること、「扶養」の証明手段などは、介護休業の場合と同様であること(第3の3(4)参照)。
 

8 家族の介護を行う労働者の深夜業の制限の請求がされなかったものとみなす事由(法第20条第1項において準用する法第19条第3項)

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(1) 請求後、厚生労働省令で定める事由(則第31条の19で、対象家族の死亡、対象家族と労働者との親族関係の消滅等を規定した。)が生じたときは、請求がされなかったものとみなされることとし、労働者にこのような事由が生じた場合の通知義務を課したものであること。

(2) 則第31条の19各号に規定する事由が生じたときの効果、法第20条第1項において準用する法第19条第3項後段の「遅滞なく」及び「通知」の解釈、則第31条の19第2号で定める事由が生じた旨を労働者が通知する場合の方法、同条第2号の「親族関係の消滅」の解釈については、介護休業の場合と同様であること(第3の13(2)(3)(4)まで参照)。

(3) 則第31条の19第3号の「当該請求に係る制限期間の末日までの間、当該請求に係る対象家族を介護することができない状態」の解釈については、子の養育を行う労働者の深夜業の制限の場合と同様であること(3(3)参照)。

 

9 制限期間の終了(法第20条第1項において準用する法第19条第4項)

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(1) 制限期間中にその請求に係る対象家族が死亡するなど厚生労働省令で規定する事由(則第31条の20で、則第31条の19を準用する旨を規定した。)が生じた場合又は請求をした労働者本人について産前産後休業、育児休業若しくは介護休業が始まった場合には、制限期間は終了することとしたものであること。

(2) 制限期間の終了に関し、以下の点に留意すること。

 いわゆる内縁関係の解消は、則第31条の20において準用する則第31条の19第2号の「親族関係の消滅」に当たらないものであること。
 対象家族の症状の緩和等による要介護状態からの離脱の場合の考え方については、介護休業の場合と同様であること(第3の15(2)ロ参照)。
 特別養護老人ホーム、介護老人保健施設等への入院・入所の場合の考え方については、介護休業の場合と同様であること(第3の15(2)ハ参照)。
 請求に係る対象家族の同居の家族が生じた場合及び制限期間中の深夜における就労の考え方については、子の養育を行う労働者の深夜業の制限の場合と同様であること(4(2)参照)。
 

10 制限期間の終了に関する労働者の通知義務(法第20条第2項において準用する法第19条第3項後段)

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(1) 法第20条第1項において準用する法第19条第3項後段と同様、当該労働者に法第20条第1項において準用する法第19条第4項第1号に規定する事由が生じた場合の事業主に対する通知義務を課したものであること。

(2) 「通知」の解釈については、介護休業の場合と同様であること(第3の16(2)参照)。

 

11 指針事項

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(1) 指針第二の五の(一)は、事業所にあらかじめ深夜業の制限の制度を導入し、かつ、就業規則の整備等必要な措置を講ずることを事業主に求めたものであること。これは、法律上、深夜業の制限の制度が事業所内制度として設けられることが労働者の権利行使に当たって必須のものであるとはいえないが、法律上深夜業の制限が労働者の権利として認められており、労働者がこれを容易に受けられるようにするためにも、深夜業の制限の制度があらかじめ事業所内制度として設けられた上で、就業規則等に記載され、労働者に制度の存在が明らかになっていることが必要であることを明示したものであること。

(2) 指針第二の五の(二)の「労働者の深夜業の制限期間中における待遇(昼間勤務への転換の有無を含む。)に関する事項」とは、昼間勤務への転換の有無を含め深夜業の制限を受ける労働者の配置、労働時間、賃金等に関する事項の意であること。

 「定め」に当たっては、労使の話合いの上、その合意に基づき行われることが望ましいものであること。
 また、「定めるとともに、これを労働者に周知させる」ことと労働基準法第89条との関係については、事業主が講ずべき措置の場合と同様であること(第7の1(2)参照)。

(3) 指針第二の五の(三)の「制度の弾力的な利用」とは、週の特定の曜日や、深夜の特定の時間について深夜業の制限を受けること等の意であること。

(4) 指針第二の五の(四)は、深夜業の制限の権利行使を保障するため、労働者が深夜業の制限を請求したこと又は深夜業の制限を受けたことを理由として、当該労働者に対して解雇その他の不利益な取扱いをしてはならないことを明示したものであること。

 不利益な取扱いについての基本的な考え方は、育児休業の場合と同様であること(第2の19(3)(4)(5)参照)。
 

第7 事業主が講ずべき措置(法第6章)

1 育児休業等に関する定めの周知(法第21条第1項)

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(1) 労働者が育児休業又は介護休業(以下「育児休業等」という。)をするか否かは労働者の選択に委ねられているが、その選択を適切に行うことができるようにし、かつ、後に紛争が起こることを未然に防止するため、育児休業等の期間中の待遇、育児休業等の後の賃金、配置等の労働条件及び厚生労働省令で定める必要な事項(則第32条で、①法第9条第2項第1号又は法第15条第3項第1号に掲げる事情が生じたことにより育児休業等の期間が終了した労働者の労務の提供の開始時期に関すること及び②労働者が介護休業の期間について負担すべき社会保険料を事業主に支払う方法に関することを規定した。)をあらかじめ定め、周知することを事業主の努力義務としたものであること。

 「定め」に当たっては、労使の話合いの上、その合意に基づき行われることが望ましいものであること。

(2) 労働基準法第89条との関係については、以下の点に留意すること。

 常時10人以上の労働者を使用する事業所の事業主は、法第21条第1項各号に規定する事項のうち、労働基準法第89条第1号から第3号までの規定において就業規則を作成しなければならない事項とされているものについては、同条の規定により当該事項を定め、同法第106条第1項の規定によりそれを周知する義務を負っており、その部分に関しては法第21条第1項は入念規定であること。
 また、法第21条第1項各号に規定する事項のうち、労働基準法第89条第3号の2から第10号までの規定において定めをする場合には就業規則を作成しなければならない事項とされているものについては、同法第106条第1項の規定により、その事項を定めた場合には、当該事業主は、それを周知する義務を負っており、その部分に関しては法第21条第1項は入念規定であること。
 これら以外の事項については、法第21条第1項により創設的に、定め、周知する努力義務を当該事業主に課したものであること。
 常時10人以上の労働者を使用しない事業所の事業主に対しては、法第21条第1項各号に規定するすべての事項について、同項により創設的に、定め、周知する努力義務を課したものであること。

(3) 第1号の「労働者の育児休業及び介護休業中における待遇に関する事項」とは、労働者が育児休業等をしている期間中の賃金その他の経済的給付、教育訓練、福利厚生施設の利用等の意であること。

(4) 第2号の「育児休業及び介護休業後における賃金」とは、育児休業等の終了後の賃金の額及びその算定の方法等の意であること。なお、ここでいう「賃金」とは、労働の対償として事業主が労働者に支払うすべてのものをいうものであり、退職金を含むものであること。

(5) 第2号の「配置」とは、労働者を一定の職務(ポスト)に就けること又は就けている状態をいい、従事すべき職務の内容及び就業の場所を主要な要素とするものであること。また、「配置」には、いわゆる出向及び労働者派遣法第2条第1号の労働者派遣も含まれるものであること。

(6) 第2号の「その他の労働条件に関する事項」とは、昇進、昇格、年次有給休暇等に関する事項の意であること。

(7) 則第32条第1号の「労務の提供の開始時期」の取扱いについては、育児休業等の期間が終了した労働者にとっても即日出勤が難しい状況にあることが予想されることから、当事者間の合意による期間中であれば無給の休業としての取扱いをすることも許されるものと解されること。

(8) 則第32条第2号の「社会保険料」には、健康保険法(大正11年法律第70号)、厚生年金保険法(昭和29年法律第115号)、労働保険の保険料の徴収等に関する法律(昭和44年法律第84号)及び介護保険法(平成9年法律第123号)の規定により被保険者として負担する保険料のほか、私立学校教職員共済法(昭和28年法律第245号)及び国家公務員共済組合法(昭和33年法律第128号)の規定により加入者及び組合員として負担する掛金が含まれるものであること。

(9) 則第32条第2号の「支払う方法に関すること」とは、事業主がその労働者負担分及び事業主負担分を一括して国庫等へ納入することを義務付けられている社会保険料について、当該労働者負担分を立替払をする事業主が当該労働者に対して求償する方法を定めるものであり、支払の時期、直接払又は振込の別等を含むものであること。

(10) 指針第二の六の「一括して定め」とは、育児休業及び介護休業について一括して定めることのみの意ではなく、育児休業について一括して定め、かつ、介護休業について一括して定めることも含むものであること。

 

2 育児休業等に関する取扱いの明示(法第21条第2項)

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(1) 法第21条第1項に規定する定めに基づく措置については、個々の労働者ごとに育児休業等の期間等に応じ結果として行われる取扱いが異なることがあり得るので、個々の労働者が具体的に自分がどのような取扱いを受けるのかについて知り得る状態を確保すべきものであることから、労働者に対してその取扱いを具体的に明示することを事業主の努力義務とすることとし、当該取扱いの明示をするに当たっての方法を厚生労働省令で定めることとしたものであること。

 厚生労働省令では、当該取扱いの明示は、労働者からの育児休業等の申出があった後速やかに、当該労働者に係る取扱いを明らかにした書面を交付することによって行うものとすることを規定したものであること(則第33条)。

(2) 「当該労働者に係る取扱い」とは、法第21条第1項各号に規定する事項についての定めを、育児休業等の期間等に応じ具体的に個々の労働者に適用した結果行われる当該労働者についての取扱いの意であること。

(3) 則第33条の「速やかに」とは、原則として労働者が育児休業申出をした時点からおおむね2週間以内に、介護休業申出をした時点からおおむね1週間以内に、との意であるが、育児休業申出の日から育児休業開始予定日までの期間が2週間に満たない場合又は介護休業申出の日から介護休業開始予定日までの期間が1週間に満たない場合にあっては、育児休業開始予定日又は介護休業開始予定日までにとの意であること。

 

3 雇用管理等に関する措置(法第22条)

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(1) 労働者の育児休業等の申出及び育児休業等の休業後の再就業を円滑にするため、事業主に対し、育児休業等をする労働者が雇用される事業所における労働者の配置等の雇用管理、育児休業等により休業中の労働者の職業能力の開発及び向上等について、必要な措置を講ずる努力義務を事業主に課したものであること。

(2) 「事業所における労働者の配置」とは、配置転換の対象となる労働者、労働者派遣により受け入れられる労働者等を含めたその事業所の労働者全体の配置の意であり、育児休業等をすることができない労働者の配置も含まれるものであること。

 特に、育児休業等をする労働者の業務を処理するために臨時に採用した労働者(以下「代替要員」という。)の雇用管理については、養育していた子又は介護していた対象家族の死亡等により休業が終了した場合の取扱いに関し次の点に留意し、代替要員に予期せぬ不利益を与えないよう、あらかじめ雇用契約の内容を明確にしておく必要があること。
 代替要員の雇用期間が確定日付で定められているような場合、休業取得者が職場復帰したとしても、当該代替要員の雇用期間の終了前に当該代替要員の雇用契約を終了させることはできないものであること。
 代替要員の雇用契約において、雇用期間が確定日付で定められ、かつ、休業取得者が職場復帰した場合には雇用契約を終了させる旨の留保条件が付されている場合、代替要員の雇用期間の終了前に当該代替要員の雇用契約を終了させることは可能であると考えられること。この場合においても、労働基準法第20条の解雇予告の規定は適用されるものであること。
 代替要員の雇用契約が、休業取得者が職場復帰した場合を除いて短期間の契約を一定の回数まで更新することとする内容である場合にあっては、特定の雇用契約期間中において当該休業取得者が職場復帰した場合、当該雇用期間の満了をもって雇用契約を更新しないこととすることは可能であること。

(3) 「その他の雇用管理」とは、他の労働者に対する業務の再配分、人事ローテーション等による配置転換、派遣労働者の受入れ及び新たな採用等のうちの適切な措置をとることによって、当該育児休業等をする労働者が行っていた業務を円滑に処理する方策等の意であること。

(4) 「労働者の職業能力の開発及び向上等」の「等」には、育児休業等をする労働者の能力の維持や職場適応性の減退の防止、あるいは当該労働者が育児休業等の休業前に就いていた又は育児休業等の休業後に就くことが予想される業務に関する情報の提供等が含まれるものであること。

(5) 指針第二の七の(一)の「原職相当職」の範囲は、個々の企業又は事業所における組織の状況、業務配分、その他の雇用管理の状況によって様々であるが、一般的に、①休業後の職制上の地位が休業前より下回っていないこと、②休業前と休業後とで職務内容が異なっていないこと及び③休業前と休業後とで勤務する事業所が同一であることのいずれにも該当する場合には、「原職相当職」と評価されるものであること。

(6) 指針第二の八の(二)の「計画的に措置が講じられること」とは、労働者の状況に的確に対応するため、

 育児休業をする労働者の発生を一定期間ごとに事前に予測し、その人数、属性等に応じた能力開発等の方法を検討の上、個々の労働者の適性、能力等に配慮した能力開発の機会が提供されるようプログラムを用意しておくこと
 労働者数の多い事業所においては、介護休業をする労働者の発生する数を事前に予測し、その人数に応じた能力開発等の方法を検討の上、様々な状況に対応できるよう、多様な類型のプログラムを用意するとともに、弾力的に運用が可能となるようにしておくこと
 労働者数の少ない事業所においては、急に介護休業をする労働者が発生する場合に備えて、他の類似の事業所における好事例を参考の上、当該事業所に適合したプログラムを用意すること
 等の意であること。
 

4 3歳に達するまでの子を養育する労働者に関する勤務時間の短縮等の措置等(法第23条第1項)

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(1) 育児休業から復帰し、又は育児休業をせずに、雇用を継続する労働者にとっては、ある程度心身が発達する3歳に達するまでの時期は子の養育に特に手がかかる時期であることから、勤務時間の短縮その他の就業しつつ子を養育することを容易にするための措置(以下4及び6において「勤務時間の短縮等の措置」という。)が、その雇用の継続のために必要性が高い措置であり、1歳(法第5条第3項の申出をすることができる労働者にあっては、1歳6か月)に満たない子を養育する労働者で育児休業をしないものに対しては勤務時間の短縮等の措置を講ずる義務を、1歳(法第5条第3項の申出をすることができる労働者にあっては、1歳6か月)から3歳に達するまでの子を養育する労働者に対しては育児休業の制度に準ずる措置又は勤務時間の短縮等の措置を講ずる義務を併せて事業主に課したものであること。

 事業主が措置を講ずべき勤務時間の短縮等の措置については、厚生労働省令により、次のいずれかの方法により講じなければならないものとしたこと(則第34条第1項)
 希望する労働者について適用される短時間勤務の制度を設けること(第1号)
 希望する労働者について適用される労働基準法第32条の3の規定による労働時間の制度(いわゆるフレックスタイム制)を設けること(第2号イ)
 希望する労働者について適用される始業又は終業の時刻を繰り上げ又は繰り下げる制度(所定労働時間は変更しないもの)を設けること(第2号ロ)
 希望する労働者について適用される所定労働時間を超えて労働させない制度を設けること(第3号)
 労働者の3歳に満たない子に係る託児施設の設置運営その他これに準ずる便宜の供与を行うこと(第4号)

(2) 勤務時間の短縮等の措置の適用対象者の考え方は、以下のとおりであること。

 「労働者」とは、基本的には法第2条第1号の「労働者」と同義であること。すなわち、日々雇用される者を除くほかは、期間を定めて雇用される者であっても、別途の要件を課すことなく、制度の対象としているものであること。
 なお、育児休業の制度に準ずる措置を講ずるに当たっては、法第5条第1項に規定する要件に準じた要件を満たさない期間を定めて雇用される者を対象から除外することを排除するものではないこと。
 「育児休業をしないもの」とは、現に育児休業をしている者を排除する意であり、育児休業をしたことがある者であっても現に育児休業をしていない者を含むものであること。したがって、育児休業をした後に当該育児休業に係る子について本条に基づく勤務時間の短縮等の措置を受けることは可能であること。
 則第34条第1項各号の規定に基づき事業主が講じた措置の適用を申し出ることができない労働者の範囲を定める労使協定を、法第6条第1項ただし書に規定する労使協定に準じて結ぶことは可能であること。
 ただし、当該措置の適用について法が法第5条第1項に規定する要件を満たさない期間を定めて雇用される者についても除外していないことにかんがみ、則第7条第1号に規定する労働者を当該労使協定により除外することはできないものであること。また、則第34条第1項各号の規定に基づき事業主が講じた措置の適用を希望する労働者の配偶者が当該措置の適用を受けていることを理由として、法第6条第1項ただし書に規定する労使協定に準じた労使協定により除外することはできないものであること。

(3) 「労働者の申出に基づく」とは、勤務時間を短縮する措置を受けるか否かを労働者の申出によらしめるとの意であり、短縮する時間数等まで自由に労働者の申出によらしめるものではないこと。

(4) 講ずべき措置の考え方は、以下のとおりであること。

 「その他の当該労働者が就業しつつその子を養育することを容易にするための措置」とは、具体的には、則第34条第1項各号に規定するいずれかの措置である必要があり、事業主が、当該措置以外に任意に他の措置を設けることは可能であるが、その場合であっても則第34条第1項各号に規定するいずれかの措置を行う必要があるものであること。
 「育児休業の制度に準ずる措置」とは、育児休業(第1の2(1))とは対象となる子の年齢が異なるものであり、法第5条から第10条までの規定に基づく育児休業の制度と全く同じ制度である必要はないが、本人の申出に基づくものであること及び男女が対象となることなど、考え方は共通すべきものであること。例えば、労働者に分割取得を認めるなど、請求手続や取得回数などにおいて労働者に有利な制度設計にすることについては妨げないこと。
 事業主は、3歳に満たない子を養育する労働者については、育児休業の制度に準ずる措置又は(1)のイからホまでに掲げる措置のいずれか1つを講ずれば足りるものであり、労働者の求めの都度これに応じた措置を講ずることまで義務付けられているわけではないが、可能な限り労働者の選択肢を広げるよう工夫することが望まれること。
 本条に関する労働者の権利は、事業主が制度等を設け、当該制度等が労働契約の内容となってはじめて発生するものであり、本条から直接発生するものでないこと。
 則第34条第1項各号に規定する措置については、事業所の労働者の職種等の性質にかんがみ、いくつかの労働者の集団についてそれぞれ異なる措置を設けることを排除するものではないこと。
 則第34条第1項第1号、第2号及び第3号の「制度を設ける」とは、個々の労働者の希望に応じた内容の措置を講ずることまで当然に事業主に求めているものではないこと。
 なお、これらの制度の適用を受けるための手続については、適用を受けようとする労働者にとって過重な負担を求めることにならないよう配慮しつつ、育児休業申出の場合の手続も参考にしながら適切に定めることが望ましいものであること。
 則第34条第1項各号のいずれかに規定する制度等がない事業所については、いずれかの制度等を構築することが必要であるが、既にいずれかの制度等が本条の対象となる労働者を包含する労動者に適用されている場合においては、当該制度等を維持することで足りるものであること。
 指針第二の九の(一)は、勤務時間の短縮等の措置の適用を受ける権利を保障するため、労働者が当該措置の適用を受けることを申し出たこと又は当該措置の適用を受けたことを理由として、当該労働者に対して解雇その他の不利益取扱いをしてはならないことを明示したものであること。
 不利益な取扱いについての基本的な考え方は、育児休業の場合と同様であること(第2の19(3)(4)(5)参照)。

(5) 則第34条第1項第1号の「短時間勤務の制度」は、次のいずれかの内容を含むものであること。

 1日の所定労働時間を短縮する制度
 週又は月の所定労働時間を短縮する制度
 週又は月の所定労働日数を短縮する制度(隔日勤務であるとか、特定の曜日のみの勤務等の制度をいう。)
 労働者が個々に勤務しない日又は時間を請求することを認める制度

(6) 短時間勤務の制度を設けるに当たっては、以下の点に留意すること。

 指針第二の九の(四)の内容にも照らし、その事業所における通常の所定労働時間が7時間以上の場合は、1時間以上の短縮となるような短時間勤務の制度を設けることが望ましいと考えられること。したがって、法第23条第1項の勤務時間の短縮等の措置として短時間勤務の制度を設ける場合においては、勤務時間が1日6時間以下の労働者については、当該制度を適用する必要はなく、また、法第23条第1項の勤務時間の短縮等の措置としての他の制度等を適用することも基本的には必要ないものであること。
 労働基準法第67条に規定する育児時間は、1歳未満の子を育てている女性労働者が請求した場合、授乳に要する時間を通常の休憩時間とは別に確保すること等のために設けられたものであり、育児時間と則第34条第1項第1号に規定する短時間勤務の制度は、その趣旨及び目的が異なることから、それぞれ別に措置すべきものであること。
 短時間勤務の制度の適用を受ける労働者の賃金については、通常の所定労働時間勤務した場合の賃金との整合性を考慮しつつ、労使の話合いの上、適正に定められるべきものであること。

(7) 則第34条第1項第2号ロの「始業又は終業の時刻を繰り上げ又は繰り下げる制度」とは、保育所への送迎の便宜等を考慮して通常の始業又は終業の時刻を繰り上げ又は繰り下げる制度である必要があること。

(8) 則第34条第1項第3号の「所定労働時間」の解釈については、子の養育を行う労働者の深夜業の制限の場合と同様であること(第6の1(17)参照)。

(9) 則第34条第1項第4号の「託児施設の設置運営」とは、事業主自身が行う場合及び他の事業主が行う場合を含み、後者に関しては事業主がそれに要する費用の出えんを行う等、労働者のための積極的な行為を要するものであること。なお、託児施設については児童福祉の観点から問題があってはならないものであること。

(10) 則第34条第1項第4号の「これに準ずる便宜の供与」には、労働者からの委任を受けてベビーシッターを手配し、当該ベビーシッターに係る費用を負担すること等が含まれるものであること。

 

5 介護休業をしない場合の勤務時間の短縮等の措置(法第23条第2項)

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(1) 要介護状態にある対象家族を介護する労働者にとっては、3歳に満たない子を養育する労働者と同様、休業のみならず、勤務時間の短縮その他の就業しつつ対象家族を介護することを容易にするための措置も、その雇用の継続のために必要性が高い措置であると考えられることから、当該措置を講ずる義務を事業主に課し、厚生労働省令において、事業主が措置を講ずる具体的方法を規定することとしたものであること。

 厚生労働省令においては、次のいずれかの方法により講じなければならないものとしたこと(則第34条第2項)。
 希望する労働者について適用される短時間勤務の制度を設けること(第1号)。
 希望する労働者について適用される労働基準法第32条の3の規定による労働時間の制度(いわゆるフレックスタイム制)を設けること(第2号イ)。
 希望する労働者について適用される始業又は終業の時刻を繰り上げ又は繰り下げる制度(所定労働時間は変更しないもの)を設けること(第2号ロ)。
 労働者がその就業中に当該労働者に代わって対象家族を介護するサービスを利用する場合、当該労働者が負担すべき費用を助成する制度その他これに準ずる制度を設けること(第3号)。
 なお、3歳に満たない子を養育する労働者の場合には、保育所制度と相まって機能することが期待される「所定労働時間を超えて労働させない制度」を選択肢に加えている(則第34条第1項第3号)ところであるが、要介護状態にある対象家族を介護する労働者に関しては、同制度と相まって機能できる社会サービスが想定されないため、同制度を選択肢には加えなかったものであること。

(2) 勤務時間の短縮等の措置の適用対象者の考え方は、以下のとおりであること。

 「労働者」とは、基本的には法第2条第1号の「労働者」と同義であること。すなわち、日々雇用される者を除くほかは、期間を定めて雇用される者であっても、別途の要件を課すことなく、制度の対象としているものであること。
 労働者が介護休業をする期間は、措置の対象から除かれる(法第23条第2項かっこ書)ので、現に介護休業をしている者は排除されるが、介護休業をしたことがある者であっても現に介護休業をしていない者については対象に含まれるものであること。したがって、介護休業をした後に当該介護休業に係る対象家族について本条に基づく措置を受けることは可能であること。
 則第34条第2項各号の規定に基づき事業主が講じた措置の適用を申し出ることができない労働者の範囲を定める労使協定を、法第12条第2項において準用する法第6条第1項ただし書に規定する労使協定に準じて結ぶことは可能であること。
 ただし、当該措置の適用について法が法第11条第1項に規定する要件を満たさない期間を定めて雇用される者についても除外していないことにかんがみ、則第23条第1号に規定する労働者を当該労使協定により除外することはできないものであること。

(3) 「労働者の申出に基づく」とは、3歳に達するまでの子を養育する労働者に関する勤務時間の短縮等の措置等の場合と同様であること(4(3)参照)。

(4) 措置が義務付けられる期間は、原則として、連続する93日の期間以上の期間であること。ただし、次のいずれかに該当する場合は、それぞれ次に定めるところによること。また、次のいずれにも該当する場合は、次のいずれも適用されること(法第23条第2項)。

 なお、事業主にとって措置を講ずべき期間の最低基準が93日であるので、「93日の期間以上の期間」という規定としたものであること。
 当該労働者の雇入れの日から当該連続する期間の初日の前日までの期間における介護休業等日数が一以上である場合
 93日から当該介護休業等日数を差し引いた日数の期間以上の期間。例えば、平成17年8月6日から、実父の介護のため勤務時間の短縮等の措置を受けようとする労働者がいた場合には、当該労働者の雇入れの日から平成17年8月5日までの間における実父に係る介護休業等日数を確認し、その日数(仮に25日とする)を93日から差し引いた期間(68日間)以上の期間(10月12日まで)について、勤務時間の短縮等の措置を講じる義務があること。
 当該労働者が当該対象家族の当該要介護状態について介護休業をしたことがある場合
 当該対象家族の当該要介護状態について開始された最初の介護休業に係る介護休業開始予定日とされた日から起算した連続する期間のうち当該労働者が介護休業をしない期間。例えば、平成17年7月3日から実母の介護のため20日間の介護休業をした労働者がいた場合、実母が継続して要介護状態にあるときは、勤務時間の短縮等の措置を講じる義務があるのは、平成17年7月3日から起算して93日目に当たる10月3日までとなること。この場合において、当該労働者の雇入れの日から平成17年7月2日までの間における実母に係る介護休業等日数が1以上(仮に45日とする)である場合は、イにも該当することから、勤務時間の短縮等の措置を講じる義務があるのは、平成17年7月3日から起算して48日目(=93日−45日)に当たる8月19日までとなること。
 これを図示すると、次のとおりであること。
 
 過去に25日の介護休業をした者が、平成20年8月6日から介護のための勤務時間の短縮等の措置を受ける場合
 93日−25日 = 68日
  H17                    H20
   5/1     5/25      │      8/6         10/12 
 ──┼──────┼──────┼──────┼──────────┼── 
   │ 介護休業 │      │ る措の8 ├────68日────┤  
   ├─ 25日──┤      │ 場置勤月 │          │ 
   │      │        合を務6  事業主が勤務時間の短縮等  
   │      │         受時日  の措置を講じる義務あり  
   │      │         け間か   
   │      │         よ等ら   
   │      │         うの介   
   │      │         と短護   
   │      │         し縮の   
                    て等た
                    いのめ
 
 平成20年7月3日から介護休業をする場合
 
     20日間の介護休業
      7/3      7/22               10/3
 ─────┼───────┼────────────────┼────  
      ├────────── 93日 ──────────┤     
      当該期間のうち、労働者が介護休業をしない期間について、
      勤務時間の短縮等の措置を講じる義務あり
 
 
 過去に45日の介護休業をした者が、平成20年7月3日から介護休業をする場合
 
   93日−45日 = 48日
  H17                 H20
   5/1      6/14   │     7/3 介護休業 7/22       8/19
 ──┼──────┼────┼──────┼───────┼────────┼── 
   │ 介護休業 │    │   介7 ├────────48日──────┤ 
   ├──45日──┤    │   護月 │                │ 
   │      │        休3  当該期間のうち、労働者が介護休業を
   │      │        業日  しない期間について、勤務時間の短縮
   │      │        をか  等の措置を講じる義務あり    
   │      │        しら       
   │      │        た20      
   │      │        場日        
   │      │        合間        
   │      │         の        
 

(5) 講ずべき措置の考え方は、以下のとおりであること。

 「その他の当該労働者が就業しつつその要介護状態にある対象家族を介護することを容易にするための措置」とは、具体的には、則第34条第2項各号に規定するいずれかの措置である必要があり、事業主が、当該措置以外に任意に他の措置を設けることは可能であるが、その場合であっても則第34条第2項各号に規定するいずれかの措置は行う必要があるものであること。
 本条に関する労働者の権利及び則第34条第2項各号に規定する措置の考え方については、3歳に達するまでの子を養育する労働者に関する勤務時間の短縮等の措置等の場合と同様であること(4(4)ニホ参照)。
 則第34条第2項各号の「制度を設ける」とは、個々の労働者の希望に応じた内容の措置を講ずることまで当然に事業主に求めているものではないこと。
 なお、これらの制度の適用を受けるための手続については、適用を受けようとする労働者にとって過重な負担を求めることにならないよう配慮しつつ、介護休業申出の場合の手続も参考にしながら適切に定めることが望ましいものであること。
 則第34条第2項各号のいずれかに規定する制度及び指針第二の九の(一)の適用についての考え方については、3歳に達するまでの子を養育する労働者に関する勤務時間の短縮等の措置等の場合と同様であること(4(4)トチ参照)。

(6) 則第34条第2項第1号の「短時間勤務の制度」の内容については、3歳に達するまでの子を養育する労働者に関する勤務時間の短縮等の措置等の場合と同様であること(4(5)参照)。

(7) 短時間勤務の制度を設けるに当たっては、以下の点に留意すること。

 要介護状態にある対象家族を介護する場合は、指針第二の九の(四)の内容にも照らし、その事業所における通常の所定労働時間が8時間の場合は2時間以上、7時間の場合は1時間以上の短縮となるような短時間勤務の制度を設けることが望ましいと考えられること。したがって、法第23条第2項の措置として短時間勤務の制度を設ける場合においては、勤務時間が1日6時間以下の労働者については、当該制度を適用する必要はなく、また、法第23条第2項の措置としての他の制度等を適用することも基本的には必要ないものであること。
 短時間勤務の制度の適用を受ける労働者の賃金についての考え方については、3歳に達するまでの子を養育する労働者に関する勤務時間の短縮等の措置等の場合と同様であること(4(6)ハ参照)。

(8) 則第34条第2項第2号ロの「始業又は終業の時刻を繰り上げ又は繰り下げる制度」とは、短時間勤務の制度を設ける場合との均衡等を考慮して通常の始業又は終業の時刻を繰り上げ又は繰り下げる制度である必要があること。

(9) 則第34条第2項第3号の「介護するサービス」とは、家政婦、介護サービス会社によるサービス、介護サービスを提供する施設におけるサービスなど、要介護状態にある家族を現実かつ直接に介護するサービスをいい、介護情報の提供、介護機器の貸出等そのサービスを利用することによっても当然には当該労働者がその対象家族を介護する必要性がなくならないものは含まれないものであること。

 なお、費用助成の内容としては、例えば労働者の所定労働日1日当たり2時間について家政婦を雇った場合には、その料金の5割に相当する額程度以上の助成とすることが望ましいものであること。
 助成方法としては、週一括、月一括とするなど適宜の方法によれば足りるものであるが、見舞金など現実の介護サービスの利用の有無に関わりなく少額の一時金を支給する制度は、則第34条第2項第3号の制度に該当しないものであること。

(10) 則第34条第2項第3号の「これに準ずる制度」には、事業主が介護サービス会社とあらかじめ契約しておいて労働者の求めに応じて介護サービスを手配しその費用を負担する制度、介護サービスを提供する施設の設置運営の制度などがこれに当たるものであること。介護サービスを提供する施設の設置運営については、事業主自身が行う場合及び他の事業主が行う場合を含み、後者に関しては事業主がそれに要する費用の出えんを行う等、労働者のための積極的な行為を要するものであること。

 なお、介護サービスを提供する施設については要介護状態にある者の福祉の観点から問題があってはならないものであること。
 

6 3歳から小学校就学の始期に達するまでの子を養育する労働者に関する措置(法第24条第1項)

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(1) 子が3歳に達した後も小学校就学の始期に達するまでの時期は、3歳に達するまでの時期ほどではないにしても、子の養育についてかなり親自身が時間と労力を費やす必要のある時期であると考えられることから、そのような時期に子を養育する労働者の雇用の継続のため、育児休業の制度又は3歳に満たない子を養育する労働者に係る勤務時間の短縮等の措置に準じて、必要な措置を講ずるよう事業主に努力義務を課したものであること。

(2) 「労働者」の解釈については、3歳に達するまでの子を養育する労働者に関する勤務時間の短縮等の措置等の場合と同様であること(4(2)イ参照)。

(3) 「小学校就学の始期に達するまで」の解釈については、子の看護休暇の場合と同様であること(第4の1(2)参照)。

(4) 「・・・に準じて必要な措置」とは、法第5条から第10条までの規定に基づく育児休業の制度又は法第23条第1項に基づく勤務時間の短縮等の措置と全く同じ制度である必要はないが、本人の申出に基づくものであること及び男女が対象となることなど、考え方は共通すべきものであること。例えば、労働者に分割取得や複数回の適用を認めるなど、請求手続や取得回数などにおいて労働者に有利な制度設計にすることについては妨げないこと。

 また、「必要な措置を講ずる」とは、育児休業の制度や勤務時間の短縮等の措置に準じた必要な措置を定め、その労働者が希望した場合に適用を受けることができるようにするとの意であること。
 

7 家族を介護する労働者に関する措置(法第24条第2項)

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(1) 家族の介護を必要とする期間、回数等は様々であることから、家族を介護する労働者の雇用の継続のため、要介護状態にある対象家族を介護する労働者に係る介護休業の制度又は勤務時間の短縮等の措置に準じ、その介護を必要とする期間、回数等に配慮した必要な措置を講ずるよう事業主に努力義務を課したものであること。

(2) 「労働者」の解釈については、介護休業をしない場合の勤務時間の短縮等の措置の場合と同様であること(5(2)イ参照)。

(3) 「その介護を必要とする期間、回数等に配慮した」とは、当該労働者による介護を必要とする期間、回数、家族の範囲、家族の状態など様々な事項に配慮する必要があることをいうものであること。

 具体的には、指針で定めているものであること((5)参照)。

(4) 「・・・に準じて必要な措置」とは、法第11条から第16条までの規定に基づく介護休業の制度又は法第23条第2項に基づく勤務時間の短縮等の措置と全く同じ制度である必要はないが、本人の申出に基づくものであること及び男女が対象となることなど、考え方は共通すべきものであること。例えば、労働者に同一要介護状態での分割取得を認めるなど、請求手続や取得回数などにおいて労働者に有利な制度設計にすることについては妨げないこと。

 また、「必要な措置を講ずる」とは、介護休業の制度や勤務時間の短縮等の措置に準じた必要な措置を定め、その労働者が希望した場合に適用を受けることができるようにするとの意であること。

(5) 指針第二の十一の(二)により、次の事項に留意しつつ、企業の雇用管理等に伴う負担との調和を勘案し、必要な措置が講じられることが望ましいものであることに配慮することが事業主に求められるものであること。

 当該労働者が介護する家族の発症からその症状が安定期になるまでの期間又は介護に係るサービスを利用することができるまでの期間が93日を超える場合があること(指針第二の十一の(二)のイ)。
 対象家族についての介護休業等日数が93日に達した後にも、同一の対象家族について再び当該労働者による介護を必要とする状態となる場合があること(指針第二の十一の(二)のロ)。
 対象家族以外の家族についても、他に近親の家族がいない場合等当該労働者が介護をする必要性が高い場合があること(指針第二の十一の(二)のハ)。
 要介護状態にない家族を介護する労働者であっても、その家族の介護のため就業が困難となる場合があること(指針第二の十一の(二)のニ)。
 当該労働者が家族を介護する必要性の程度が変化することに対応し、制度の弾力的な利用が可能となることが望まれる場合があること(指針第二の十一の(二)のホ)。
 

8 労働者の配置に関する配慮(法第26条)

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(1) 子の養育や家族の介護を行っている労働者にとって、住居の移転等を伴う就業の場所の変更が、雇用の継続を困難にしたり、職業生活と家庭生活との両立に関する負担を著しく大きくする場合があることから、労働者の配置の変更で就業の場所の変更を伴うものをしようとする場合において、その就業の場所の変更により就業しつつその子の養育又は家族の介護を行うことが困難となる労働者がいるときは、当該労働者の子の養育又は家族の介護の状況について配慮することを事業主に義務づけるものであること。

(2) 「配置の変更で就業の場所の変更を伴うもの」とは、例えば、ある地方の事業所から別の事業所への配置転換など、場所的に離れた就業の場所への配置の変更をいうものであり、同一事業所内で別の業務に配置換えすることは含まれないものであること。

(3) 「子」及び「養育」の解釈は、育児休業の場合と同様であること(第1の2(1)ハニ参照)。なお、「子」に「小学校就学の始期に達するまで」といった限定が付いていない以上、小学生や中学生の子も含まれるのは当然であること。

(4) 子の養育又は家族の介護を行うことが「困難となることとなる」とは、転勤命令の検討をする際等において、配置の変更後に労働者が行う子の養育や家族の介護に係る状況、具体的には、配置の変更後における通勤の負担、当該労働者の配偶者等の家族の状況、配置の変更後の就業の場所近辺における育児サービスの状況等の諸般の事情を総合的に勘案し、個別具体的に判断すべきものであること。

(5) 「配慮」とは、労働者の配置の変更で就業の場所の変更を伴うものの対象となる労働者について子の養育又は家族の介護を行うことが困難とならないよう意を用いることをいい、配置の変更をしないといった配置そのものについての結果や労働者の育児や介護の負担を軽減するための積極的な措置を講ずることを事業主に求めるものではないこと。

(6) 指針第二の十二は、「配慮」の内容として、当該労働者の子の養育又は家族の介護の状況を把握すること、労働者本人の意向を斟酌すること、配置の変更で就業の場所の変更を伴うものをした場合の子の養育又は家族の介護の代替手段の有無の確認を行うことを例示しているものであること。

 

9 再雇用特別措置等(法第27条)

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(1) 妊娠、出産若しくは育児又は介護を理由として退職した者(以下「育児等退職者」という。)が、それらの理由がなくなったときに再び雇用されることを希望する場合、同一企業において再び雇用されることが、かつての経験を生かすことができ、労働者にとっても企業にとっても好ましいことから、事業主は、再雇用特別措置(育児等退職者であって、その退職の際に、その就業が可能となったときに再び雇用されることの希望を有する旨の申出をしていたものについて、当該事業主が、労働者の募集又は採用に当たって特別の配慮をする措置をいう。)その他これに準ずる措置を実施するように努めなければならないこととしたものであること。

 なお、このような再雇用特別措置等も、「職業生活の全期間を通じて・・・充実した職業生活を営む・・・ことができるようにすること」(法第3条第1項)に含まれるものであること(第1の3(1)参照)。

(2) 「その他これに準ずる措置」とは、資本、資金、人事、取引等の状況からみて密接な関係にある事業主の事業所を退職した育児等退職者についても再雇用の対象とするなど、措置の対象を拡げる内容のものをいうものであること。

 

10 指針(法第28条)

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 法に定める事項に関し、子の養育又は家族の介護を行い、又は行うこととなる労働者の職業生活と家庭生活との両立が図られるようにするために事業主が講ずべき措置について、それらが事業主により適切かつ有効に実施されるようにすることを目的として、厚生労働大臣が指針を定め、公表することとしたものであること。
 

11 職業家庭両立推進者(法第29条)

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(1) 法に基づき事業主が講ずべき措置等を円滑に実施するとともに、職場における固定的な性別役割分担意識の解消や職場優先の企業風土の是正を図るには、各企業において仕事と家庭の両立のための取組に係る実施体制を明確化することが必要であることから、事業主に対し、

 法第21条から第27条までに定める措置の適切かつ有効な実施を図るための業務
 子の養育又は家族の介護を行い、又は行うこととなる労働者の職業生活と家庭生活との両立が図られるようにするため講ずべきその他の措置の適切かつ有効な実施を図るための業務
 を担当する者(以下「職業家庭両立推進者」という。)を選任する努力義務を課し、企業における職業生活と家庭生活との両立支援の取組に係る実施体制を整備させることとしたものであること。

(2) 「第21条から第27条までに定める措置の適切かつ有効な実施を図るための業務」とは、育児休業等に関する就業規則等の作成、周知等(法第21条)、配置その他の雇用管理、育児休業等をしている労働者の職業能力の開発等に関する措置の企画立案、周知等の運用(法第22条)、勤務時間の短縮等の措置の企画立案、周知等の運用(法第23条及び第24条)、就業の場所の変更を伴う配置の変更をしようとする際の労働者に対する各種配慮の実施(法第26条)及び再雇用特別措置の企画立案、周知等の運用(法第27条)に係る業務をいうものであること。

(3) 「子の養育又は家族の介護を行い、又は行うこととなる労働者の職業生活と家庭生活との両立が図られるようにするために講ずべきその他の措置の適切かつ有効な実施を図るための業務」とは、(1)①の業務以外の職場において職業生活と家庭生活との両立や男性の育児等への参画が重要であることについて広報活動などの職場の雰囲気作りを行うことを始めとする労働者の職業生活と家庭生活との両立が図られるようにするために必要な一切の業務をいうものであること。

(4) 職業家庭両立推進者は、(1)①及び②の業務を遂行するために必要な知識及び経験を有していると認められる者のうちから選任することとしたこと(則第34条の2)。

 具体的には、上記の業務を自己の判断に基づき責任をもって行える地位にある者を、1企業につき1人、自主的に選任させることとすること。
 

第8 国等による援助(法第7章第1節)

 子の養育又は家族の介護に関して、労働者の職業生活と家庭生活との両立を図るためには、法第2章から第6章までに規定する育児休業及び介護休業の制度、子の看護休暇の制度、時間外労働の制限の制度、深夜業の制限の制度、勤務時間の短縮等の措置その他の雇用管理上の措置など、事業主に対する努力義務を含めた義務付けの制度のみによっては十分とはいえず、国及び地方公共団体による事業主、子の養育又は家族の介護を行い、又は行うこととなる労働者(以下「対象労働者」という。)、育児等退職者その他に対する強力な援助が必要であり、そのため、法第7章においては、対象労働者等の職業生活と家庭生活との両立を図るための環境整備の事業を体系的・総合的に構築することが重要であるとの考えに基づき、国又は地方公共団体が、以下の支援措置を行うこととしたものであること。

1 事業主等に対する援助(法第30条)

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(1) 国は、事業主等に対する援助として、対象労働者及び育児等退職者(以下「対象労働者等」という。)の雇用の継続、再就職の促進その他これらの者の福祉の増進を図るため、事業主、事業主の団体その他の関係者に対して、対象労働者の雇用される事業所における雇用管理、再雇用特別措置その他の措置についての相談及び助言、給付金の支給その他の必要な援助を行うことができることとしたものであること。

(2) 「その他の関係者」には、対象労働者等の福祉の増進を目的とする事業を行う団体を含むものであること。

(3) 「その他の措置」には、再雇用特別措置に準ずる措置を含むものであること。

(4) 「相談及び助言」には、都道府県労働局で行うもののほか、法第36条の指定法人を指定して行わせる専門的技術的内容のものを含むものであること。

(5) 「給付金」とは、雇用保険法施行規則(昭和50年労働省令第3号)第116条の育児・介護雇用安定助成金及び第139条の育児・介護休業者職場復帰プログラム実施奨励金をいうものであること。

(6) 「その他の必要な援助」には、都道府県労働局において行う両立推進者講習会及び法第36条の指定法人を指定して行わせる両立推進者研修会のほか、情報提供が含まれるものであること。

 

2 対象労働者等に対する相談、講習等(法第31条)

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(1) 国は、対象労働者に対して、その職業生活と家庭生活との両立の促進等に資するため、必要な指導、相談、講習その他の措置を講ずるものとしたこと。

 また、地方公共団体は、国が講ずる措置に準じた措置を講ずるように努めなければならないこととしたこと。

(2) 第1項の「職業生活と家庭生活との両立の促進等に資する」の「等」には、休養及びレクリエーションを含むものであること。

(3) 第1項の「指導、相談、講習その他の措置」には、都道府県労働局で行うもののほか、法第36条の指定法人を指定して行わせる専門的技術的内容のものを含むものであること。

 「その他の措置」には情報提供が含まれるものであること。

(4) 国は、対象労働者等の雇用の継続、再就職の促進等に資するため、全国共通して行う必要がある事業(フレーフレー・テレフォン事業等)を行うものであるのに対して、地方公共団体は、住民福祉の一環として、地域の実情に応じた事業を行うものであること。例えば、地方公共団体が必要に応じ設置するように努めることとされている法第34条の勤労者家庭支援施設、勤労福祉会館等労働福祉施設、公民館等における相談、講習があるものであること。

 

3 再就職の援助(法第32条)

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(1) 育児等退職者にとって、再び雇用の機会が与えられるようになることは極めて重要な問題であるため、国は、その希望するときに再び雇用の機会が与えられるようにするため、職業指導、職業紹介、職業能力の再開発の措置その他の措置が効果的に関連して実施されるよう配慮するとともに、育児等退職者の円滑な再就職を図るため必要な援助を行うものとしたものであること。

(2) 「その他の措置」には、次の(3)の再就職希望登録者支援事業等が含まれるものであること。

(3) 「円滑な再就職を図るため必要な援助」には、公共職業安定所における援助のほか、当面は再就職を希望しないが育児・介護が一段落した後将来において再就職を希望する者に対する援助も含むものであること。なお、この援助の例としては、再就職希望登録者支援事業が含まれるものであること。

 

4 職業生活と家庭生活との両立に関する理解を深めるための措置(法第33条)

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(1) 我が国の企業においては、男女の固定的な性別役割分担意識や職場優先の企業風土から、育児休業の取得や子育てをしながら働き続けることに対して、事業主だけでなく上司、同僚も含めた職場の理解が不足しており、このことも仕事と子育ての両立の負担感を重くしているという状況にかんがみ、国は、対象労働者等の職業生活と家庭生活との両立を妨げている職場における慣行その他の諸要因の解消を図るため、対象労働者等の職業生活と家庭生活との両立に関し、事業主、労働者その他国民一般の理解を深めるために必要な広報活動その他の措置を講ずることとしたこと。

(2) 「対象労働者等の職業生活と家庭生活との両立を妨げている職場における慣行その他の諸要因」としては、男は仕事、女は家事・育児という固定的な性別役割分担意識や家庭責任のほとんどすべてを配偶者に任せる働き方を求めるような職場優先の企業風土が含まれるものであること。

(3) 「広報活動その他の措置」の内容としては、職業生活と家庭生活との両立に関する事業主、労働者その他国民一般の理解を深めるために行う、公労使3者による懇談の場の設置、「仕事と家庭を考える月間」を中心としたシンポジウムやセミナーの開催、広告やパンフレット等各種の広報手段を用いた男性の育児休業取得促進を始めとする職業生活と家庭生活との両立に関する国民向けキャンペーンの実施、労使関係者の意見交換の場の提供、事業主その他の関係者に対する意識啓発等が含まれるものであること。

 

5 勤労者家庭支援施設(法第34条及び第35条)

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(1) 法第34条は、必要に応じ勤労者家庭支援施設を設置する努力義務を地方公共団体に課するとともに、勤労者家庭支援施設が対象労働者等の福祉に関する事業を総合的に行うことを目的とする施設であることを明らかにしたものであること。また、厚生労働大臣はその設置及び運営についての望ましい基準を定めるとともに、国は、地方公共団体に対し、勤労者家庭支援施設の設置及び運営に関し必要な助言、指導その他の援助を行うことができるものとしたこと(勤労者家庭支援施設の設置及び運営についての望ましい基準(平成7年労働省告示第109号))。

(2) 法第35条は、勤労者家庭支援施設には、対象労働者等に対する相談及び指導の業務を担当する「勤労者家庭支援施設指導員」を置くように努めなければならないこととし、また、その資格については、厚生労働大臣が定めることとしたものであること(勤労者家庭支援施設指導員の資格(平成7年労働省告示第110号))。

(3) 働く婦人の家との関係については、以下の点に留意すること。

 育児休業等に関する法律の一部を改正する法律(平成7年法律第107号。以下「平成7年改正法」という。)による削除(平成7年10月1日)前の旧男女雇用機会均等法第30条及び第31条に規定していた「働く婦人の家」は、女性労働者の福祉に関する事業を総合的に行うことを目的とする施設であったが、改正後は地方公共団体として必要に応じ設置すべき努力義務の対象としては勤労者家庭支援施設とすることとし、旧男女雇用機会均等法第30条及び第31条の規定は削除することとしたものであること(平成7年改正法附則第8条)。
 平成7年改正法の施行の際、現に設置されている働く婦人の家に関しては、削除された旧男女雇用機会均等法第30条及び第31条の規定はなお効力を有するものとしたこと(平成7年改正法附則第9条第1項)。
 平成7年改正法の施行の際、現に設置されている働く婦人の家に関し、当該働く婦人の家を設置している地方公共団体が当該働く婦人の家を勤労者家庭支援施設に変更したい旨の申出を厚生労働大臣に行い、厚生労働大臣が当該申出を承認した場合には、当該承認の日において、当該働く婦人の家は、勤労者家庭支援施設になるものとしたこと(平成7年改正法附則第9条第2項及び第3項)。
 

第9 指定法人(法第7章第2節)

1 指定等(法第36条)

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(1) 対象労働者等に対する支援事業で国が行う事業については、法の適正実施の観点から統一的かつ日常的に行う相談指導の事業等国が自ら直接行うべきもののほか、個別労使関係に踏み込まなければきめ細かな相談援助業務がなしえないものや、民間サービスに関する情報提供など行政的手法で行うよりも民間の専門技術を活用した方が効率的であるものもある。

 そこで、職業生活と家庭生活との両立のための支援に関する専門的知識、経験を有する民法第34条の公益法人を指定して、国の行う業務のうち一部の業務を行わせることとしたものであること。

(2) 指定法人は、対象労働者を雇用する事業主等に対する給付金の支給など対象労働者等の福祉の増進を図るための業務を行うこととしており、これらの実施に当たっては、国の行政施策との斉一性を保ちつつ、全国一律の基準で適正かつ確実に行われる必要があることから、全国に1つに限ることとしたものであり、その地方組織を活用して業務の運営を行わせることを予定しているものであること。

(3) 指定法人は、法第36条の規定に基づき、民法第34条の公益法人であって、法第38条に規定する業務に関しその運営が適正かつ確実に行われ、対象労働者等の福祉の増進に資すると認められるものを、その申請により、全国に一を限って指定するものであること。

 なお、指定法人に指定した法人の名称、住所及び事務所の所在地は官報に掲載されるものであること(法第36条第2項)。
 

2 業務(法第38条及び第39条)

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(1) 指定法人は、次に掲げる業務を行うものであること(法第38条)。

 対象労働者等の職業生活及び家庭生活に関する調査研究を行うこと(第1号)。
 対象労働者等の職業生活及び家庭生活に関する情報及び資料を総合的に収集し、並びに対象労働者等、事業主その他の関係者に対して提供すること(第2号)。
 次の(2)の業務を行うこと(第3号)。
 イ〜ハのほか、対象労働者等の福祉の増進を図るために必要な業務を行うこと(第4号)。
 このうち、イ、ロ及びニについては、指定される法人の固有業務として行っているものである必要があること。

(2) 厚生労働大臣は、指定法人に法第30条から第34条までに規定する国の行う業務のうち次のいずれかに該当するものに係る業務(以下「福祉関係業務」という。)の全部又は一部を行わせるものとすること(法第39条)。

 対象労働者の雇用管理及び再雇用特別措置に関する技術的事項について、事業主その他の関係者に対し、相談その他の援助を行うこと(第1号)。
 この業務として、法第30条に基づく事業主その他の関係者に対する援助のうち技術的事項に関することが含まれるものであること。
 法第30条の給付金のうち厚生労働省令で定めるものを支給すること(第2号)。厚生労働省令では、法第30条に基づく給付金として第8の1(5)で述べた育児・介護雇用安定助成金及び育児・介護休業者職場復帰プログラム実施奨励金が定められていること(則第37条)。
 なお、これらの給付金の支給要件及び額について、則第38条及び第39条に規定しているものであること。
 対象労働者に対し、その職業生活と家庭生活との両立に関して必要な相談、講習その他の援助を行うこと(第3号)。
 この業務として、法第31条第1項に基づくフレーフレー・テレフォン事業等があること。
 育児等退職者に対し、再就職のための援助を行うこと。
 この業務として、法第32条に基づく再就職希望登録者支援事業等があること。
 職業家庭両立推進者に対して、第29条に規定する業務を円滑に実施するために必要な知識を習得させるための研修を行うこと(第5号)。
 この業務として、法第30条に基づく両立推進者研修会の実施があること。
 対象労働者等の職業生活と家庭生活との両立に関する理解を深めるための広報活動その他の業務を行うこと。
 この業務として、法第33条に基づく国民向けキャンペーンの実施等があること。
 イからヘまでのほか、対象労働者等の雇用の継続、再就職の促進その他これらの者の福祉の増進を図るために必要な業務を行うこと。
 この業務として、法第34条第4項に基づく勤労者家庭支援施設を設置する地方公共団体に対する技術的支援の業務のほか、法第30条から第34条までに規定する国の行う業務の広報等が含まれるものであること。

(3) 国は、予算の範囲内において、指定法人に対し、福祉関係業務に要する費用の全部又は一部に相当する金額を交付することができるものであること(法第45条)。

 

3 業務の適正実施に関する事項(法第40条から第52条まで)

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(1) 指定法人は、業務の実施において、公益性、非営利性、適正性等が十分に確保される必要があることから、

 福祉関係業務に係る業務規程並びに毎事業年度における事業計画書及び収支予算書について厚生労働大臣の認可を受けなければならないこと(法第40条及び第43条第1項)
 毎事業年度終了後、事業報告書、貸借対照表、収支決算書及び財産目録を作成し、厚生労働大臣に提出し、その承認を受けなければならないこと(法第43条第2項)
 福祉関係業務に係る経理とその他の業務に係る経理とを区分して経理しなければならないこと(法第44条)
 指定法人の役員の選任及び解任は、厚生労働大臣の認可を受けなければ、その効力を生ぜず、当該役員が業務規程に違反する行為をしたときなどは、厚生労働大臣は、指定法人に対し、その役員の解任を命ずることができること(法第47条)
 2(2)ロの給付金の支給業務(以下「給付金業務」という。)に従事する指定法人の役員及び職員は、刑法(明治40年法律第45号)その他の罰則の適用については、法令により公務に従事する職員とみなすこと(法第48条)
 厚生労働大臣は、指定法人の2(1)の業務の適正な運営を確保するために必要な限度において、当該業務若しくは資産の状況に関し必要な報告をさせ、又は所属の職員に、指定法人の事務所に立ち入り、業務の状況若しくは帳簿、書類その他の物件を検査させることができること(法第49条)
 厚生労働大臣は、指定法人に対し、2(1)の業務に関し監督上必要な命令をすることができること(法第50条)
 厚生労働大臣は、指定法人が2(1)の業務を適正かつ確実に実施することができないと認められるときなどは、指定を取り消し、又は期間を定めて業務の全部若しくは一部の停止を命ずることができること(法第51条第1項)
 その他所要の規定が設けられていること。

(2) 指定法人は、給付金業務を行う場合においては、給付が適正に行われる必要があるため、当該業務に関し必要があると認めるときは、事業主に対し、必要な事項について報告を求めることができること(法第42条)。この報告をせず、又は虚偽の報告をした者は、50万円以下の罰金に処せられるものであること(法第64条第1号)。

 

第10 委託募集の特例(法第8章)

1 基本的考え方(法第53条第1項)

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(1) 委託募集の特例の必要性

 育児休業又は介護休業(これらに準ずる休業を含む。)をする労働者の業務を処理するために必要な労働者(以下「育児・介護休業代替要員」という。)を募集しやすくすることは、事業主にとって重要であるばかりでなく、労働者にとっても、育児休業又は介護休業を取得しやすく、職場復帰しやすい職場環境の整備という観点から、強く望まれることである。
 特に、中小企業者にとって、労働者を臨機に募集することは事務負担となるだけでなく、知名度等から、実際に必要な時期までに労働者を募集できない場合も生じ得るところである。
 その場合、中小企業者が、その所属する中小企業団体に育児・介護休業代替要員の募集を委託することが容易であれば、その個別の中小企業者の事務負担を軽減できるとともに、中小企業団体の情報を活用することができることとなるが、一方、職業安定法(昭和22年法律第141号)第36条第1項により、事業主がその被用者以外の者に報酬を与えて労働者の募集を委託する場合には、厚生労働大臣の許可を受けなければならず、同条第3項により、事業主がその被用者以外の者に報酬を与えることなく労働者の募集を委託する場合には、厚生労働大臣に届け出なければならないことになっている。
 この場合、個々の育児・介護休業代替要員の募集の必要が生じるたびごとに、個別中小企業者が許可や届出の手続をしなければならず、また、許可や届出がなされるまでは募集活動ができないため、臨時即応性の点で問題があると考えられる。
 そこで、法第53条において、一定の基準を満たした中小企業団体に関しては、事前の厚生労働大臣の認定を受けた後、その構成員たる中小企業者から育児・介護休業代替要員の募集の委託を受けた場合、当該中小企業団体が、厚生労働大臣に届出をすることによって当該育児・介護休業代替要員の委託募集ができるようにしたものであること。

(2) 委託募集の特例の前提

 法第53条による委託募集を行うに際しては、募集を委託された中小企業団体は、単に募集を行うだけではなく、募集後雇用された労働者の労働条件について募集時の労働条件との相違がないか等を常にチェックし、不適切な点があれば是正するように指導できる立場にあることが前提となるものであること。
 このため、中小企業団体は、その構成員たる中小企業者と密接に連携し合いながら当該中小企業者の雇用管理面について適切に指導していくことが可能でなければならず、このような観点から、育児・介護休業代替要員の確保に当たっても、構成員たる中小企業者において育児休業及び介護休業を取得しやすく、かつ職場に復帰しやすくするような環境整備の事業を当該中小企業と協同して行う中小企業団体であることを前提に、委託募集の手続を緩和したものであること。
 

2 具体的内容

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(1) 育児・介護休業代替要員の範囲(法第53条第1項)

 これらに準ずる休業
 法第53条第1項の「これらに準ずる休業」とは、法第23条第1項又は第24条第1項により講じられた育児休業の制度に準じた育児のための休業の制度及び同条第2項により講じられた介護休業の制度に準じた介護のための休業の制度をいうものであること。
 雇用期間
 育児・介護休業代替要員は、「当該育児休業又は介護休業をする期間について」のものであるため、育児・介護休業代替要員の雇用期間は、基本的には「当該育児休業又は介護休業をする期間」と同一又はそれより短期である必要があるが、訓練期間、引継期間等を考慮して、当該育児休業又は介護休業をする期間の前後に若干長い雇用期間が設定されることは妨げないものであること。
 職種及び数
 育児・介護休業代替要員は、育児休業又は介護休業(これらに準ずる休業を含む。)をする労働者の業務を処理するためのものであるので、育児休業又は介護休業をする労働者の職種及び数と育児・介護休業代替要員の職種及び数とは同一である必要があること。

(2) 中小企業者の範囲(法第53条第2項第1号)

 中小企業者の範囲としては、労働力の確保等を図ろうとする中小企業を業種、地域を問わず広く対象としている中小企業における労働力の確保及び良好な雇用の機会の創出のための雇用管理の改善の促進に関する法律(平成3年法律第57号。以下「中小企業労働力確保法」という。)第2条第1項に規定する中小企業者の範囲と同一の範囲としたものであること。

(3) 中小企業団体の範囲(法第53条第2項第2号)

 中小企業団体の範囲は、中小企業者の範囲と同様、中小企業労働力確保法第2条第2項の事業協同組合等(以下「事業協同組合等」という。)と同じものとしたものであること。
 事業協同組合等の範囲は、以下のとおりであること。
 事業協同組合及び事業協同小組合並びに協同組合連合会
 水産加工業協同組合及び水産加工業協同組合連合会
 商工組合及び商工組合連合会
 商店街振興組合及び商店街振興組合連合会
 生活衛生同業組合であって、その構成員の三分の二以上が五千万円(卸売業を主たる事業とする事業者については、一億円)以下の金額をその資本の額若しくは出資の総額とする法人又は常時五十人(卸売業又はサービス業を主たる事業とする事業者については、百人)以下の従業員を使用する者であるもの
 酒造組合及び酒造組合連合会であって、その直接又は間接の構成員たる酒類製造業者の三分の二以上が三億円以下の金額をその資本の額若しくは出資の総額とする法人又は常時三百人以下の従業員を使用する者であるもの並びに酒販組合及び酒販組合連合会であって、その直接又は間接の構成員たる酒類販売業者の三分の二以上が五千万円(酒類卸売業者については、一億円)以下の金額をその資本の額若しくは出資の総額とする法人又は常時五十人(酒類卸売業者については、百人)以下の従業員を使用する者であるもの
 民法第三十四条の規定により設立された社団法人で中小企業者を直接又は間接の構成員とするもの(その直接又は間接の構成員の三分の二以上が中小企業者であるものに限る。)

(4) 法第22条の事業主が講ずべき措置その他に関する相談及び援助

 基本前提
 1(2)で述べたように、中小企業団体が、構成員たる中小企業者に対して、法第22条に規定する育児休業及び介護休業の申出や育児休業及び介護休業後の就業が円滑に行われるための雇用管理等の措置その他に関する相談及び援助の事業(以下「相談援助事業」という。)を行っていることが前提となるものであること。
 認定基準の内容
 したがって、育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律第53条第2項第2号の規定に基づき厚生労働大臣が定める基準(平成7年労働省告示第111号。以下「認定基準告示」という。)による認定中小企業団体の認定基準において、相談援助事業として実施し、又は実施することを予定しているものとして、次のものが挙げられていること(認定基準告示第1号)。
(イ) 代替要員の確保を容易にするための、好事例の収集及び提供、定年等により退職した者の名簿の整備及び活用に係る指導等の事業
 「好事例の収集及び提供、定年等により退職した者の名簿の整備及び活用に係る指導」は例示であって、中小企業団体としては、構成員たる中小企業者の代替要員の確保を容易にするためのこれらと同程度の事業を行っていれば足りるものであること。
(ロ) (イ)のほか、育児休業又は介護休業をする労働者が雇用される事業所における雇用管理その他に係る講習会の開催、相談指導、先進的な事例に関する見学会の開催等の事業
 「講習会の開催、相談指導、先進的な事例に関する見学会の開催」は例示であって、中小企業団体としては、構成員たる中小企業者の育児休業又は介護休業に係る雇用管理等に資する事業を行っていれば足りるものであること。
 ただし、第7の3(2)イで述べたように、代替要員の雇用管理に関し、育児休業又は介護休業が突然終了した場合に、代替要員に予期せぬ不利益を与えないよう、予め雇用契約の内容を明確にしておくような指導等は、当然中小企業団体が行うべき相談援助事業の内容の一つであること。

(5) その他の認定基準

 その他の認定基準としては、以下のものがあること。
 事務処理の体制の整備(認定基準告示第2号)
 上記(4)の事業を行うのに適当と認められる事務処理の体制が整備されていること。
 「事務処理の体制が整備」とは、中小企業団体の役員又は職員が事務の担当責任者として決められていることをいうものであること。
 育児休業及び介護休業の制度の整備(認定基準告示第3号)
 構成員たる中小企業者が、就業規則、労働協約等により、育児休業及び介護休業の制度を設けていること。
 「就業規則、労働協約等」には、常時10人以上の労働者を雇用しない事業所にあっては、慣行を含むものであること。
 適正な委託募集内容(認定基準告示第4号)
 募集に係る労働条件その他の募集の内容が適切なもので、かつ、労働者の利益に反しないことが見込まれること。
 これは、
(イ) 賃金が、同業種の賃金水準に比較して低くないこと。
(ロ) 労働時間、休日その他の労働条件が、法定の労働条件以上であること。
(ハ) 募集従事者が、当該中小企業団体の役員又は職員であること。
 をいうものとすること。
 

3 認定手続(法第53条第2項第2号)

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(1) 認定申請(則第61条)

 法第53条第2項第2号の規定により認定を受けようとする事業協同組合等は、様式第1号「認定中小企業団体認定申請書」を作成して、当該申請書1通及びその写し2通をその主たる事務所の所在地を管轄する都道府県労働局長を経て、厚生労働大臣に提出するものとすること。

(2) 認定

 厚生労働大臣は、事業協同組合等から「認定中小企業団体認定申請書」の提出を受けたときは、遅滞なく当該事業協同組合等が法令及び認定基準に照らして適当であるか否か審査し、適当であると判断されるものについて認定をするものであること。
 認定期間は、認定日から、認定日の属する年度から起算して5年度目の年度の末日までとすること。
 厚生労働大臣は、認定をしたときは、遅滞なく、様式第2号「認定中小企業団体認定通知書」により、所轄の都道府県労働局長を経て、当該認定に係る事業協同組合等(以下「認定中小企業団体」という。)に対して通知するものとすること。
 

4 認定の取消し(法第53条第3項)

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(1) 厚生労働大臣は、認定中小企業団体が相談援助事業を行うものとして適当でなくなったと認めるときは、当該認定を取り消すものとしたものであること。

 「適当でなくなった」場合としては、相談援助事業の実施に著しい支障が生じて、当該事業を実施する見込みがなくなった場合、当該認定中小企業団体が法令及び認定基準を満たさなくなったと認められる場合があるものであること。

(2) 厚生労働大臣は、認定中小企業団体の認定の取消しをしたときは、遅滞なく、様式第3号「認定中小企業団体認定取消通知書」により、所轄の都道府県労働局長を経て、当該認定に係る事業協同組合等に対して通知するものとすること。

(3) 認定中小企業団体の認定の取消しを行った場合における当該取消しの日後には、法第53条第4項の届出による委託募集を行うことはできないものであること。

 

5 委託募集の届出(法第53条第4項)

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(1) 認定中小企業団体が、その構成員たる中小企業者の委託を受けて育児・介護休業代替要員の募集を行う際には、認定中小企業団体は、その主たる事務所の所在地を管轄する都道府県労働局長に対して、委託募集の届出を行うものであること(則第62条)。

 ただし、認定中小企業団体の主たる事務所の所在する都道府県の区域以外の地域(以下「自県外地域」という。)を募集地域とする委託募集であって、一中小企業者が自県外地域において募集しようとする労働者の数の合計が100人以上である委託募集又は一中小企業者が自県外地域において募集しようとする労働者の数の合計が100人未満であっても自県外地域のうち一の都道府県の区域において募集しようとする労働者の数の合計が30人以上である委託募集については、厚生労働大臣に対して、認定中小企業団体が委託募集の届出を行うものであること(同条)。

(2) 法第53条第4項の委託募集の届出の有効期間は6か月以内とするものであること。

(3) 認定中小企業団体は、育児・介護休業代替要員の募集を行わせようとする構成員たる中小企業者についてのみ、委託募集の届出を行うものであること。

(4) 認定中小企業団体は、委託募集届出書(様式第4号)を、都道府県労働局長への届出にあっては正本1通、副本2通を作成し委託募集を開始する日の7日前までに、厚生労働大臣への届出にあっては正本1通、副本3通を作成し委託募集を開始する日の14日前までに、それぞれその主たる事務所の所在地を管轄する公共職業安定所長(以下「所在地公共職業安定所長」という。)に対して提出するものであること。

 

6 委託募集の届出の受理(法第53条第5項)

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(1) 所在地公共職業安定所長は委託募集の届出の受付を行い、届出の受付から2日以内に、副本1通を保管の上都道府県労働局長への届出にあっては正本1通、副本1通を、厚生労働大臣への届出にあっては正本1通、副本2通をそれぞれ都道府県労働局長へ送付するものとする。都道府県労働局長は、厚生労働大臣への届出にあっては副本1通を保管の上所在地公共職業安定所長から送付のあった日から2日以内に、正本1通及び副本1通を厚生労働大臣へ送付するものであること。

(2) 届出書の送付を受けた都道府県労働局長(厚生労働大臣への届出にあっては厚生労働大臣)は、届出に係る募集の内容が、育児・介護休業代替要員の募集を行わせようとしていることを確認した上で当該届出を受理し、その副本1通に確認の印を押し、届出の送付を受けてから2日以内に、所在地公共職業安定所長(厚生労働大臣への届出にあっては都道府県労働局長及び所在地公共職業安定所長)を経由して届出を行った認定中小企業団体に交付するものであること。

(3) 所在地公共職業安定所長、就業地を管轄する公共職業安定所長(以下「就業地公共職業安定所長」という。)及びその募集地を管轄する公共職業安定所長(以下「募集地公共職業安定所長」という。)が異なる場合は、届出を受理した都道府県労働局長又は厚生労働大臣は、受理した届出書の写しを、就業地公共職業安定所長及び募集地公共職業安定所長に対して、それらの公共職業安定所を管轄する都道府県労働局長を経由して送付するものであること。

 

7 労働者募集報告(則第65条)

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 委託募集に従事する認定中小企業団体は、毎年度の委託募集の状況を取りまとめ、様式第5号の労働者募集報告を作成して当該年度の翌年度の四月末日まで(当該年度の終了前に労働者の募集を終了させる場合にあっては、当該終了の日の属する月の翌月末日まで)に委託募集の届出の受付を行った公共職業安定所長に報告するものであること。
 

8 報告の徴収(法第53条第7項)

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 厚生労働大臣は、必要と認めるときは、所轄の都道府県労働局長を通じて、法第53条第7項の規定に基づき、認定中小企業団体に対し、相談援助事業の実施状況について随時報告を求めるものであること。
 

9 公共職業安定所の援助(法第54条)

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(1) 公共職業安定所は、委託募集が効果的かつ適切に行われるよう、認定中小企業団体及び当該募集を委託する中小企業者に対して、求人条件の設定、募集方法等について助言、指導を行うなど配意するものであること。

(2) 公共職業安定所は、求職者に対する職業紹介に際して、当該募集に係る求人が育児・介護休業代替要員の募集を行わせようとしている中小企業者からの求人である場合にはその旨説明するよう配意するものであること。

 

10 その他の留意事項

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 認定中小企業団体は、いかなる場合も、職業紹介に及ぶ行為をすることはできないものであること。
 

第11 その他の雑則(法第8章)

1 調査等(法第55条)

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 対象労働者等の職業生活と家庭生活との両立の促進等に係る施策に関しては、今後とも必要な調査研究を行っていかなければならない分野が多く残されていることにかんがみ、厚生労働大臣は、必要な調査研究を実施し、その成果を通じて施策の一層の推進を図ることとしたものであること。
 また、厚生労働大臣は、法の施行に関し、関係行政機関の長に対し、資料の提供その他必要な協力を求め、さらに、都道府県知事から必要な調査報告を求めることができる旨明らかにしたものであること。
 

2 報告の徴収並びに助言、指導及び勧告(法第56条)

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(1) 本法の目的を達成するための行政機関固有の権限として、厚生労働大臣又は都道府県労働局長は、法の施行に関し必要があると認めるときは、事業主に対して、報告を求め、又は助言、指導若しくは勧告をすることができることとしたものであること。

(2) 本条の厚生労働大臣の権限は、労働者からの申立て、第三者からの情報、職権等その端緒を問わず、必要に応じて行使し得るものであること。

(3) 「この法律の施行に関し必要があると認めるとき」とは、法の規定により具体的に事業主の責務とされている事項について、当該責務が十分に遂行されていないと考えられる場合において、当該責務の遂行を促すことが法の目的に照らし必要であると認められるとき等をいうものであること。

(4) 法を施行するために、とり得る措置として、報告の徴収並びに助言、指導及び勧告を規定したものであり、これらは、事業主がこれに従うことを法的に強制するものではないこと。

(5) 則第67条の「厚生労働大臣が全国的に重要であると認めた事案」とは、次のいずれかに該当する場合をいうものであること。

 広範囲な都道府県にまたがり、その事案の処理に当たって各方面との調整が必要であると考えられる事案であること。
 当該事案の性質上社会的に広汎な影響力を持つと考えられる事案であること。

(6) 則第67条の「事業所」とは、当該事案に係る事業所であって、本社たる事業所に限られるものではないこと。

 

3 労働政策審議会への諮問(法第57条)

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 法に定める事項のうち重要なものについての省令の制定又は改正、指針の策定その他法の施行に関する重要事項の決定については、あらかじめ労働政策審議会の意見を聴くこととしたものであること。
 

4 厚生労働省令への委任(法第59条)

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 法各条で委任したもののほか、法を実施するに当たって必要な手続等について、厚生労働省令において定めることができることとしたものであること。
 

5 船員に関する特例(法第60条)

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 船員及び船員になろうとする者(以下「船員等」という。)の労働関係については、国土交通省が所管する別の体系とされており、このため船員等については、本法中「厚生労働大臣」とあるのを「国土交通大臣」と読み替える等所要の整備を行うものであること。
 なお、時間外労働の制限、福祉関係業務(指定法人)、委託募集の特例等に関する規定については、船員等には適用しないこととしたものであること。
 

6 公務員に関する特例(法第61条)

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(1) 法の規定中、育児休業及び介護休業に関する制度、子の看護休暇に関する制度、時間外労働の制限の制度、深夜業の制限の制度、事業主が講ずべき措置、事業主等に対する援助、委託募集の特例、報告の徴収等、船員に関する特例並びにこれらに関する罰則の規定については、国家公務員及び地方公務員に関しては、適用しないこととしたものであること。

 「国家公務員」とは、国家公務員法(昭和22年法律第120号)上の国家公務員をいうものであり、また、「地方公務員」とは、地方公務員法(昭和25年法律第261号)上の地方公務員をいうものであること。

(2) 公務員の育児のための休業の制度については、公務に服さない期間が3年間と長期にわたる場合があるため、休職類似の身分上の効果を伴うものとして、「勤務条件」としては整理せず、一般職国家公務員については国営企業に勤務する国家公務員等(国有林野事業を行う国営企業に勤務する国家公務員、特定独立行政法人の職員及び日本郵政公社の職員をいう。以下同じ。)を含めて一律に国家公務員の育児休業等に関する法律により規律することとし、地方公務員については各地方公共団体の条例によることなく地方公務員の育児休業等に関する法律により一律に規律することとされているところであること。

 なお、特別職国家公務員についても、国会職員の育児休業等に関する法律、裁判官の育児休業等に関する法律その他の関係法令が制定又は整備されているところであること。

(3) 国家公務員及び地方公務員に対する介護のための休業の制度については、以下のとおりであること。

 国家公務員に対する介護のための休業の制度については、育児のための休業の制度とは異なり、「勤務条件」として、公務員法制上は「休暇」として取り扱われ、国営企業に勤務する国家公務員等を除いた非現業国家公務員(以下「非現業国家公務員」という。)に関して、一般職の職員の勤務時間、休暇等に関する法律(平成6年法律第33号)第20条において「介護休暇」制度が法定されているところであること。
 国営企業に勤務する国家公務員の勤務条件に関しては、労使交渉で決定することを基本としつつ、民間の労働条件の最低基準を適用することが通例であるため、介護のための休業に関しても法に規定するものであるが、公務員たる地位の特殊性等から、所属長の承認を前提とした介護のための休業の制度の特例を法に規定することとしたものであること(法第61条第3項から第5項まで)。
 独立行政法人通則法(平成11年法律第103号)第2条第2項に規定する特定独立行政法人の職員の勤務条件に関しては、労使交渉で決定することを基本としつつ、民間の労働条件の最低基準を適用することが通例であるため、介護のための休業に関しても法に規定するものであるが、公務員たる地位の特殊性等から、特定独立行政法人の長の承認を前提とした介護のための休業の制度の特例を法に規定することとしたものであること(法第61条第6項)。
 なお、その内容については、国営企業に勤務する国家公務員の特例規定を準用するものであること。
 日本郵政公社の職員の勤務条件に関しては、労使交渉で決定することを基本としつつ、民間の労働条件の最低基準を適用することが通例であるため、介護のための休業に関しても法に規定するものであるが、公務員たる地位の特殊性等から、日本郵政公社の総裁の承認を前提とした介護のための休業の制度の特例を法に規定することとしたものであること(法第61条第7項)。
 なお、その内容については、国営企業に勤務する国家公務員の特例規定を準用するものであること。
 地方公務員の勤務条件に関しては、条例(地方公営企業職員等は労使交渉)で定めることを基本としつつ、民間の労働条件の最低基準を適用することが通例であるため、介護のための休業に関しても法に規定するものであるが、公務員たる地位の特殊性等から、所属長の承認を前提とした介護のための休業の制度の特例を法に規定することとしたものであること(法第61条第8項)。
 なお、その内容については、国営企業に勤務する国家公務員の特例規定を準用するものであること。

(4) 公務員法制上、「休業」は休職類似の身分上の効果を伴うものとして、定員管理上の問題が生じたり、団体交渉事項や条例事項に含まれないなどの特別の効果を有するものであり、一方「休暇」は勤務条件の一つとして取り扱われるので、両者の区別は重要な意味を有するものではあるが、公務員に対して民間法制上の最低基準を適用する場合は、民間における名称を使用するのが前例(公務員制度上の「休暇」であるにもかかわらず、産前産後休業と呼ぶ例)であるので、ここでも「介護をするための休業」とすることとしたものであること。

(5) 「負傷、疾病又は身体上若しくは精神上の障害」の範囲と、一般職の職員の勤務時間、休暇等に関する法律第20条第1項の「負傷、疾病又は老齢」の範囲とは同一であること。

 なお、この点については、人事院に確認済みであること。

(6) 国家公務員及び地方公務員に対する負傷し、又は疾病にかかったその子の世話を行うための休暇の制度については、以下のとおりであること。

 非現業国家公務員の負傷し、又は疾病にかかったその子の世話を行うための休暇の制度については、人事院規則15−14(職員の勤務時間、休日及び休暇)において、特別休暇の1つとして規定が設けられているところであること。
 国営企業に勤務する国家公務員については、介護のための休業の制度の場合と同様の考え方により、所属長の承認を前提とした、負傷し、又は疾病にかかったその子の世話を行うための休暇の制度の特例を法に規定することとしたものであること(法第61条第9項から第11項まで)。
 特定独立行政法人の職員については、介護のための休業の制度の場合と同様の考え方により、特定独立行政法人の長の承認を前提とした、負傷し、又は疾病にかかったその子の世話を行うための休暇の制度のの特例を法に規定することとしたものであること(法第61条第12項)
 なお、その内容については、国営企業に勤務する国家公務員の特例規定を準用するものであること。
 日本郵政公社の職員については、介護のための休業の制度の場合と同様の考え方により、日本郵政公社の総裁の承認を前提とした、負傷し、又は疾病にかかったその子の世話を行うための休暇の制度の特例を法に規定することとしたものであること(法第61条第13項)。
 なお、その内容については、国営企業に勤務する国家公務員の特例規定を準用するものであること。
 地方公務員については、介護のための休業の制度の場合と同様の考え方により、所属長の承認を前提とした、負傷し、又は疾病にかかったその子の世話を行うための休暇の制度の特例を法に規定することとしたものであること(法第61条第14項)。
 なお、その内容については、国営企業に勤務する国家公務員の特例規定を準用するものであること。

(7) 国家公務員及び地方公務員に対する時間外労働の制限の制度については、以下のとおりであること。

 非現業国家公務員の時間外労働の制限の制度については、人事院規則10−11(育児又は介護を行う職員の深夜勤務及び超過勤務の制限)において規定が設けられているところであること。
 国営企業に勤務する国家公務員については、介護のための休業の制度の場合と同様の考え方により、所属長の承認を前提とした時間外労働の制限の制度の特例を法に規定することとしたものであること(法第61条第15項及び第16項)。
 特定独立行政法人の職員については、介護のための休業の制度の場合と同様の考え方により、特定独立行政法人の長の承認を前提とした時間外労働の制限の制度の特例を法に規定することとしたものであること(法第61条第17項及び第18項)
 日本郵政公社の職員については、介護のための休業の制度の場合と同様の考え方により、日本郵政公社の総裁の承認を前提とした時間外労働の制限の制度の特例を法に規定することとしたものであること(法第61条第19項及び第20項)。
 地方公務員については、介護のための休業の制度の場合と同様の考え方により、所属長の承認を前提とした時間外労働の制限の制度の特例を法に規定することとしたものであること(法第61条第21項及び第22項)

(6) 国家公務員及び地方公務員に対する深夜業の制限の制度については、以下のとおりであること。

 非現業国家公務員の深夜業の制限の制度については、人事院規則10−11(育児又は介護を行う職員の深夜勤務及び超過勤務の制限)において規定が設けられているところであること。
 国営企業に勤務する国家公務員については、介護のための休業の制度の場合と同様の考え方により、所属長の承認を前提とした深夜業の制限の制度の特例を法に規定することとしたものであること(法第61条第23項及び第24項)。
 特定独立行政法人の職員については、介護のための休業の制度と同様の考え方により、特定独立行政法人の長の承認を前提とした深夜業の制限の制度の特例を法に規定することとしたものであること(法第61条第25項及び第26項)。
 日本郵政公社の職員については、介護のための休業の制度の場合と同様の考え方により、日本郵政公社の総裁の承認を前提とした深夜業の制限の制度の特例を法に規定することとしたものであること(法第61条第27項及び第28項)。
 地方公務員については、介護のための休業の制度の場合と同様の考え方により、所属長の承認を前提とした深夜業の制限の制度の特例を法に規定することとしたものであること(法第61条第29項及び第30項)。
 

7 罰則(法第62条から第67条まで)

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 指定法人の運営の適正確保及び労働者の募集の特例の公正確保を目的として所要の罰則を規定したものであること。
 

第12 改正法附則

1 施行期日(改正法附則第1条)

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 育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律等の一部を改正する法律(平成16年法律第160号)は、平成17年4月1日(以下「施行日」という。)から施行されることとされたものであること。
 

2 検討(改正法附則第2条)

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 政府は、1の施行後適当な時期において、法の施行状況を勘案し、期間を定めて雇用される者に係る育児休業等の制度等について総合的に検討を加え、その結果に基づいて必要な措置を講ずるものとしたものであること。
 

3 育児休業の申出に関する経過措置(改正法附則第3条)

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 施行日以後において法第5条第3項の規定に基づく1歳以降の育児休業をする場合の育児休業申出について、施行日前の申出を認める経過措置を講じたものであること。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

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