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Tue, 7 Jan 2003
こだま通信 第4号
2003年がいよいよ幕開けを迎えました。みなさまいかがお過ごしでしょうか。韓国点描の続きとして、今回はショッピングよもやま話をさせていただきます。
○ショッピングに必要なのはまず「お金」です。それと次に大事なのはなにを買うか決めることではないでしょうか。まず「お金」ですが、韓国の通貨単位は「ウオン」であることはすでにお話しました。記号「\」は日本の円、「$」はアメリカのドルです。記号Wに横一線を上書きしたのがウオンです。 韓国紙幣を見ますと、韓国銀行と書いてあります。ちなみに日本の紙幣は日本銀行です。一万ウォンは日本の1036円ぐらいの価値と思ってよいようです。空港のお土産やでは日本円が当たり前に通用しますが、ウオンと円のレート(交換比率)はかなずしも有利にはできていません。現地通貨を使い切るよう、ガムやアメ一個まで売っているのはどこの国の空港でも同じようです。
○一万ウォンの表紙の人物は世宗大王(1397-1450)。この人は、朝鮮時代(1392-1910)の第4代王として様々な科学的業績を残してきたお偉い方です。「世宗大王」といえばやはり「ハングル文字」。 現在韓国で使われている「ハングル文字」をつくったのがこのお方なのです。また世界初の雨量計である測雨器を考案し、日時計と水時計を発明したのもこのお方です。 文化、国防などに秀でた業績を残し、朝鮮時代の王の中で最も優れた王であるという功績を称え、現在では大王という呼称を後ろにつけ、「世宗大王」と呼ばれています。ちなみに1000ウオンの表の人物は李退渓という儒学者で、裏は「陶山書院」という学校で彼が教鞭をとっていた所です。
○さて、最近のソウル市で特筆すべきは「不夜城」ならぬ「深夜ショッピング」の流行です。夜10時になるとオープンし、明け方まで営業を続けるデパートの出現です。これは5年前ぐらいには無かった現象で、3年前に行ったときがその幕開けでした。店構えはさまざまですが、特徴は一坪ないしは0.5坪ぐらいを単位にした売り場面積です。それらが2階建てのマーケットから、15階建ての高層ビルのテナント形式の中にひしめいているのです。似たような風景は日本の秋葉原の電気街でも見られます。業種は衣料品・装飾品が中心で安い自国品のほかに中国産が幅をきかせています。韓国と中国が国交を開いてからどっと入ってくるようになり、それ自身が韓国経済を圧迫し始めているとの指摘があります。
○私はここでは腕時計とシャツを買いました。シャツやズボンのサイズはすぐに直してくれます。この深夜ショッピングセンターは流行の中心的な存在で、ソウル市民のレジャーの場でもあるようです。バスやタクシーで駆けつけるソウル市民のエネルギーはどこからくるのでしょうか。朝早くから働き、夜遅くまで働いているのが当たり前のソウル市民は何時寝るのでしょうか? ちょうど日本の秋葉原と同じような電気街がソウル駅の南にあります。龍山と書いて「ヨンサン」と読みます。ここへは前後2回ほど足を運びました。結局安い値段に惹かれてパソコンの入力に使う原稿台と、あやしげなCD−ROMを買った程度です。ゲームソフトは超人気商品で日本でもおなじみのソフトがハングルで編集しなおされています。脱線しますが日本の漫画も一部解禁されていて、これは吹き出しの中の会話や擬音がハングルになおっています。
○パソコンのソフトの種類は日本よりも多く、アメリカのマイクロソフト社の製品が幅を利かせている日本とは異なり、マイクロソフト社以外のパソコンソフトをハングルに直して再販売しているもが多いのです。韓国ではドルは貴重な外貨なのでやたらと使わないのだそうです。アメリカべったりの日本ではワード(文書処理)やエクセル(表計算)を当たり前のように使っていますが、それも「みんなが使っているから」ということではないでしょうか。韓国人は人と違うことをやることを好む民族なので、自然と多岐にわたるものを消化できるのでしょうか。 ショッピングは楽しい、という人は多いのではないでしょうか。しかしそれは若者が中心で、年金生活者の多いこの通信の読者にとってはショッピングは縁が無いかもしれません。
○ソウル市内にも路地裏商店街はたくさんあります。ソウル市周辺の新興のマンション地区はサラリーマン中心のショッピングセンターですが、学生の多いソウル市内では、安い店は若者が多く集う店のことです。ソウル市内では買い物袋をぶらさげている老人はめったに見かけません。子供と同居をしている老人が多いせいでもありますが、そのようなものを持って市内をうろつくのは美徳に反するという風潮があるようです。電車の中で老人が優遇されている風潮とも重なります。しかし夕食時にでもなれば下町の商店街には大勢の人があつまり、露店の掛け声が一段と大きくなります。屋台の飲み屋でおでんをつつきながら大声で議論し焼酎を飲む韓国人たちを見ると、むかし行った浅草や上野の町の路地裏を思い出します。
○大統領選挙が行われ、金大中氏から新しい大統領にバトンタッチがされました。それを待つように北朝鮮の核開発問題が大きなニュースになってきました。アメリカはイラクよりも北朝鮮に目を向けよ、というアピールのように映ります。曽我ひとみさんら北朝鮮に拉致された日本人が帰ってきて新聞やテレビの話題を独占しています。韓国の国花はムクゲ。7月から10月に華麗な花を咲かせます。散っては咲き、また散っては咲く生命力の強さに、韓国人の歴史と性格を例えられます。 さて、韓国事情のお話はこれでいったん打ち切りとさせていただきます。暗くて怖い国「韓国」のイメージはだいぶ払拭されましたでしょうか。サッカーの強い国、赤いユニホームを着て街頭を練り歩く若者たちの姿が日本でも喧伝されました。日本はサッカーでは韓国よりも弱いことがわかったけれど、彼らの勝利を素直に喜んであげられる国民だ、ということに気づいた人も多いのではないでしょうか。
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