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鎌倉夢語り 〜 大姫と源義高 番外編 〜


〜 花桜 段葛に咲いた夢 〜


〜 第三版 〜


今は春。


ここは、鎌倉。


年が明けてから今までの間に、源義高と鎌倉にとって、幾つもの出来事が起きた。


源義高の父の源義仲が亡くなり、源頼朝が源氏の実権を握った。

源義高の立場と命は、時が経つに連れて危うくなっているはずだが、今でも大姫の許婚として扱われている。

源義高にとって表面上は穏やかな日々が過ぎている。


今は、たくさんの桜の花が咲いている。


ここは、小御所。


庭には桜が咲いている。


ここは、北条政子の部屋。


源義高は北条政子に呼ばれたため部屋を普通に訪れた。


北条政子は源義高と侍女を微笑んで見た。


侍女達は部屋を静かに出て行った。


源義高は北条政子を普通の表情で見た。

北条政子は源義高に微笑んで話し出す。

「義高殿。近くに来てください。」


源義高は北条政子に静かに近付いた。


北条政子は源義高に微笑んで話し出す。

「いつも大姫と遊んでくれてありがとう。大姫は、義高殿と小太郎殿と過ごすようになってから、笑顔で過ごす時間が多くなったの。感謝しているわ。」

源義高は北条政子に普通の表情で軽く礼をした。

北条政子は源義高に真剣な表情で囁いた。

「実は、義高殿の今後について話したくて、私の部屋に来てもらったの。」

源義高は北条政子を真剣な表情で見た。

北条政子は源義高に真剣な表情で囁いた。

「義高殿の処遇について、いろいろと言う者達が現れたの。私の夫と私の父が、義高殿に関する、様々な画策をして、命令を下すはず。義高殿の身に危険が及ぶ可能性があるわ。私にはとても辛い状況になるわ。義高殿に身を隠す考えがあるならば、私と侍女達が義高殿の身を隠す手伝いをするわ。」

源義高は北条政子を真剣な表情で見た。

北条政子も源義高を真剣な表情で見た。

源義高は北条政子に心配な様子で囁いた。

「私の身を隠す手伝いをすれば、政子様の身と侍女達の身に危険が及びます。」

北条政子は源義高に真剣な表情で囁いた。

「私は、罪の無い子供の命を奪う人物は、夫と父でも、許さないし大嫌い。侍女達も私と同じ考えよ。」

源義高は北条政子に真剣な表情で囁いた。

「私は既に元服を済ませています。子供ではありません。」

北条政子は源義高に真剣な表情で話し出す。

「義高殿は、十二歳よね。私から見れば、大姫も義高殿も、子供よ。」

源義高は北条政子を真剣な表情で見た。

北条政子は源義高に真剣な表情で囁いた。

「義高殿。私は、生きたいと考えて努力するのは、恥ずかしいと思わないの。義高殿を慕う人物がいて、義高殿が亡くなると泣く人物がいるの。義高殿を想う人物のために、義高殿が生き続けるのは、立派な武士だと思わない? 義高殿。生きる可能性が有る限り、生きましょう。」

源義高は北条政子に真剣な表情で囁いた。

「考えさせてください。」

北条政子は源義高に真剣な表情で囁いた。

「義高殿。考えが決まったら、私に直ぐに逢いにきて。私に頻繁に逢うと目立つわ。気を付けてね。」

源義高は北条政子に真剣な表情で軽く礼をした。

北条政子は源義高に真剣な表情で頷いた。


源義高は部屋を静かに出て行った。


僅かに後の事。


ここは、源義高の部屋の前に在る縁。


源義高は普通に来た。


源義高は庭に咲く桜を普通の表情で見た。


桜の花は綺麗に咲いている。


源義高は視線を戻すと、部屋の中へと普通に入って行った。


直後の事。


ここは、源義高の部屋。


源義高は部屋の中に普通に入った。


海野小太郎幸氏は源義高を心配な様子で見た。

源義高は海野小太郎幸氏に普通の表情で囁いた。

「政子様と俺の今後について話した。」

海野小太郎幸氏は源義高を驚いた表情で見た。

源義高は海野小太郎幸氏に微笑んで囁いた。

「小太郎。言い方が悪かった。俺の身に危険が及ぶ行動は、直ぐに起きないらしい。だが、俺の身に危険が及ぶ行動が、遠くない日に起きる可能性はあるらしい。」

海野小太郎幸氏は源義高に心配な様子で囁いた。

「政子様から義高様の今後に関する具体的な説明があったのですか?」

源義高は海野小太郎幸氏に普通の表情で囁いた。

「一部の内容に関して、具体的な説明があった。」

海野小太郎幸氏は源義高に真剣な表情で囁いた。

「ある程度の日数的な余裕があるのですね。義高様にとって、物凄く大切な出来事です。時間の許す限りお考えになってください。」

源義高は海野小太郎幸氏に真剣な表情で囁いた。

「小太郎。俺が居なくなったら困るだろ。」

海野小太郎幸氏は源義高に微笑んで囁いた。

「私の心配はしないでください。義高様は、義高様ご本人と大姫様を、一番にお考えになってください。」

源義高は海野小太郎幸氏を真剣な表情で見た。

海野小太郎幸氏は源義高を微笑んで見た。

源義高は海野小太郎幸氏に普通に話し出す。

「大姫。今日は再び来ないかな?」

海野小太郎幸氏は源義高に微笑んで話し出す。

「お呼びしてきましょうか?」

源義高は海野小太郎幸氏に普通に話し出す。

「今まで用事がある時しか呼ばないだろ。用事がないのに呼んだら、周りの人達が不思議に思うかも知れない。」

海野小太郎幸氏は源義高に微笑んで話し出す。

「義高様の言う通りです。失礼しました。」

源義高は海野小太郎幸氏に微笑んで首を横に振った。

海野小太郎幸氏は源義高を微笑んで見た。


翌日の事。


ここは、鎌倉。


桜の花が綺麗に咲いている。


ここは、小御所。


源義高の部屋。


源義高は普段に居る。

海野小太郎幸氏も普段に居る。


元気の良い足音が聞こえた。


源義高は海野小太郎幸氏を普通の表情で見た。

海野小太郎幸氏は源義高を微笑んで見た。


大姫が部屋の中に元気良く入ってきた。


大姫は源義高と海野小太郎幸氏に笑顔で話し出す。

「義高様! 小太郎殿! お元気ですか?!」

源義高は大姫に普通の表情で頷いた。

海野小太郎幸氏は大姫に微笑んで軽く礼をした。

源義高は大姫に普通に話し出す。

「大姫に毎日のように来て欲しいと話した覚えがないのに、良く来るな。」

大姫は源義高に笑顔で話し出す。

「義高様に逢いたいので、部屋に来ます!」

源義高は大姫に普通に話し出す。

「昨年の話になるが、段葛の桜が満開になったら一緒に歩くと約束したな。今は段葛の桜が綺麗に咲いているぞ。」

大姫は源義高に笑顔で話し出す。

「義高様! 約束を忘れずに覚えていたのですね! 嬉しいです!」

源義高は大姫に普通に話し出す。

「大姫は段葛の桜が満開の時に歩く話を、俺に幾度も話しただろ。忘れたくても忘れられない。」

大姫は源義高に笑顔で話し出す。

「義高様! 段葛に早く行きましょう!」

源義高は大姫に普通の表情で頷いた。

大姫は源義高を笑顔で見た。

海野小太郎幸氏は大姫と源義高を微笑んで見た。


大姫は部屋を笑顔で出て行った。

源義高は部屋を普通に出て行った。

海野小太郎幸氏は部屋を微笑んで出て行った。


少し後の事。


ここは、鎌倉。


段葛。


鶴岡八幡宮と由比ガ浜は、段葛で繋がっている。

鶴岡八幡宮から歩くと、由比ガ浜に在る鳥居で終わる。


満開の桜が、段葛を屋根のように覆っている。


大姫は笑顔で来た。

源義高は普通に来た。

海野小太郎幸氏は微笑んで来た。


海野小太郎幸氏は大姫と源義高に微笑んで話し出す。

「私は大姫様と義高様をお待ちしています。段葛の桜を見ながら楽しんでください。」

大姫は海野小太郎幸氏に笑顔で話し出す。

「小太郎殿も桜の咲く段葛を歩きましょう!」

源義高は海野小太郎幸氏に普通に話し出す。

「小太郎も桜の咲く段葛を歩こう。」

海野小太郎幸氏は大姫と源義高に微笑んで軽く礼をした。

大姫は源義高と海野小太郎幸氏に両手を笑顔で差し出した。

源義高は大姫の手を普通に握った。

海野小太郎幸氏は大姫の手を微笑んで握った。


大姫は源義高と海野小太郎幸氏と手を繋いで、笑顔で歩き出した。

源義高は大姫と手を繋いで、普通に歩き出した。

海野小太郎幸氏は大姫と手を繋いで、微笑んで歩き出した。


大姫は源義高と海野小太郎幸氏と手を繋いで、源義高に笑顔で話し出す。

「義高様! 桜の屋根が続いています! 綺麗ですね!」

源義高は大姫と手を繋いで、桜を見て、普通の表情で頷いた。

大姫は源義高と海野小太郎幸氏と手を繋いで、源義高を笑顔で見た。


風が吹いた。


桜の花びらが舞い落ちてきた。


大姫は源義高と海野小太郎幸氏と手を繋いで、桜の舞う様子を笑顔で見た。

源義高は大姫と手を繋いで、桜の舞う様子を普通の表情で見た。

海野小太郎幸氏は大姫と手を繋いで、桜の舞う様子を微笑んで見た。


少し後の事。


ここは、段葛。


狛犬の傍。


狛犬は陽の光に当たって輝いている。


大姫は源義高と海野小太郎幸氏と手を繋いで、笑顔で来た。

源義高は大姫と手を繋いで、普通に来た。

海野小太郎幸氏は大姫と手を繋いで、微笑んで来た。


大姫は源義高と海野小太郎幸氏と手を繋いで、源義高と海野小太郎幸氏に笑顔で話し出す。

「狛犬を見る間に、八幡様にお参りをしてから、小御所に戻りたいと思いました!」

源義高は大姫と手を繋いで、大姫に普通の表情で頷いた。

海野小太郎幸氏は大姫と手を繋いで、大姫に微笑んで軽く礼をした。

大姫は源義高と海野小太郎幸氏と手を繋いで、源義高と海野小太郎幸氏に笑顔で話し出す。

「義高様! 小太郎殿! 段葛を全て歩きましょう!」

源義高は大姫と手を繋いで、大姫に普通の表情で頷いた。

海野小太郎幸氏は大姫と手を繋いで、大姫に微笑んで軽く礼をした。


大姫は源義高と海野小太郎幸氏と手を繋いで、笑顔で歩き出した。

源義高は大姫と手を繋いで、普通に歩き出した。

海野小太郎幸氏は大姫と手を繋いで、微笑んで歩き出した。


少し後の事。


ここは、由比ガ浜。


赤い鳥居が陽の光に当って輝いている。


大姫は笑顔で居る。

源義高は普通に居る。

海野小太郎幸氏は微笑んで居る。


大姫は源義高と海野小太郎幸氏に笑顔で話し出す。

「段葛を全て歩きました! 段葛を戻って、八幡様にお参りをしましょう!」

源義高は大姫に普通の表情で頷いた。

海野小太郎幸氏は大姫に微笑んで軽く礼をした。


大姫は笑顔で歩き出した。

源義高は普通に歩き出した。

海野小太郎幸氏は微笑んで歩き出した。


暫く後の事。


ここは、鶴岡八幡宮。


大銀杏は陽の光が当って輝いている。


ここは、本宮。


大姫は真剣な表情で祈っている。

源義高も真剣な表情で祈っている。

海野小太郎幸氏も真剣な表情で祈っている。


大姫は祈りを終えると、源義高と海野小太郎幸氏を微笑んで見た。


源義高は真剣な様子で祈っている。

海野小太郎幸氏も真剣な様子で祈っている。


大姫は源義高と海野小太郎幸氏を不思議そうに見た。

源義高は祈りを終えると、大姫を普通の表情で見た。

海野小太郎幸氏は祈りを終えると、大姫を微笑んで見た。

大姫は源義高と海野小太郎幸氏に不思議な様子で話し出す。

「義高様。小太郎殿。何をお願いしていたのですか?」

源義高は大姫に微笑んで話し出す。

「ひ、み、つ。」

海野小太郎幸氏も大姫に微笑んで話し出す。

「秘密です。」

大姫は源義高と海野小太郎幸氏に不思議な様子で話し出す。

「なぜ秘密なのですか?」

源義高は大姫に意地悪く話し出す。

「人に願い事を話したら、願いが叶わなくなるんだ。大姫は俺の願いが叶わなくても良いのか〜 悲しいな〜」

海野小太郎幸氏は大姫と源義高を苦笑して見た。

大姫は源義高と海野小太郎幸氏を申し訳なく見た。

源義高は大姫に普通の表情で手を差し出した。

海野小太郎幸氏は大姫に微笑んで手を差し出した。

大姫は源義高の手と海野小太郎幸氏の手を微笑んで握った。


大姫は源義高と海野小太郎幸氏と手を繋いで、微笑んで歩き出した。

源義高は大姫と手を繋いで、普通に歩き出した。

海野小太郎幸氏は大姫と手を繋いで、微笑んで歩き出した。


少し後の事。


ここは、小御所。


大姫の部屋の前。


大姫は笑顔で居る。

源義高は普通に居る。

海野小太郎幸氏は微笑んで居る。


大姫は源義高と海野小太郎幸氏に笑顔で話し出す。

「今日もとても楽しかったです! 他の所も桜が綺麗に咲いています! 桜をたくさん見に行きたいです!」

源義高は大姫に微笑んで話し出す。

「詳しい内容は、明日に話そう。」

大姫は源義高に笑顔で話し出す。

「明日になったら、義高様の部屋に行きます! たくさん話しましょう!」

源義高は大姫に微笑んで頷いた。

海野小太郎幸氏は大姫と源義高を微笑んで見た。


大姫は部屋の中に笑顔で入っていった。


源義高は微笑んで歩き出した。

海野小太郎幸氏も微笑んで歩き出した。


少し後の事。


ここは、小御所。


源義高の部屋。


源義高は普通に居る。

海野小太郎幸氏も普通に居る。


源義高は海野小太郎幸氏の耳元に顔を近付けると、普通の表情で囁いた。

「今から返事を伝えに行く。一人で行く。供は要らない。」

海野小太郎幸氏は源義高に真剣な表情で見た。

源義高も海野小太郎幸氏を真剣な表情で見た。

海野小太郎幸氏は源義高に真剣な表情で軽く礼をした。


源義高は部屋を普通に出て行った。


少し後の事。


ここは、小御所。


北条政子の部屋の前。


源義高は普通に居る。


障子が静かに開いた。


源義高は部屋の中に普通に入った。


侍女達が部屋から普通に出てきた。


侍女は障子を静かに閉めた。


すると切ない声が聞こえてきた。

「ねぇ、義高様・・・」

「義高様と小太郎と満開の桜の段葛を歩けました・・・」

とても嬉しかったです・・・」

「義高様と小太郎は、八幡様に何をお願いしていたのですか・・・?」

「私の知らない間に、みんなが少しずつ変わっていたのですね・・・」

「私の知らない間に、様々な出来事が変化していたのですね・・・」

「あの時の私は、何も知りませんでした・・・」

「あの時の私は、何も気付いていませんでした・・・」

「ねぇ、義高様・・・」




*      *      *      *      *      *




ここからは後書きになります。

この物語は既に掲載した物語の再改訂版です。

改訂前の展開や雰囲気を出来るだけ残して改訂しました。

改訂前の物語を掲載するのは止めました。

以上の点、ご了承願います。

ここからは、改訂前の後書きを加筆訂正して書きます。

源義高にとって最期の春になる物語です。

少し前から現在(平成時代)の段葛には、染井吉野などの桜が植わっています。

幕末や明治時代初期の段階と段葛周辺の写真を見た事がありますが、写真で分かる範囲は、段葛に桜が植わっている様子は分かりませんでした。

幕末や明治時代初期の段葛の全ての状況の写真を見ていない、大姫達の時代の段葛の正確な様子も分からない、などの様々な理由から、今回の物語は番外編で書きました。

源義高を討つように命令を下したのは、源頼朝と伝わっています。

源頼朝は源義高を討つつもりはなかったが、北条政子の父親の北条時政が源頼朝をたきつけて、源義高を討つ命令を出させた、という説もあります。

北条政子の立場から見ると、夫と父親が、大姫の許婚の源義高を討つために、いろいろと画策した事になります。

北条政子にとって、我慢できない事がたくさんあったと思います。

そのため、北条政子は源義高に生きていて欲しくて、逃がす手伝いをしたと思います。

源義高を逃がす手伝いを実行したのは、御所の女性達だそうです。

北条政子が何も知らないとは思えませんでした。

北条政子は、悪女、怖い女性、強い女性、と喩えられます。

源頼朝の妾の女性の家を叩き壊すように画策した怖い一面が伝わっています。

しかし、源義高を助ける手伝いをした、源義経と静御前の子供を助けようとした、などの出来事が伝わっています。

北条政子にとって、罪の無い子供が亡くなるのが堪えられなかったと思います。

怖い面も、助けるために画策する面も、北条政子の本心だと思います。

北条政子は自分の心に素直な女性だったのかも知れません。

源義高が鎌倉を脱出した理由は、はっきりと分かりません。

最初の頃は、直ぐに討たれる危険は少なかったかも知れませんが、最期の頃は、常に身の危険を感じる状態だったと思います。

最期の頃の源義高にとって、鎌倉の脱出時期は重要な問題だったと思います。

源義高の鎌倉脱出の時には、海野小太郎幸氏が鎌倉に残って時間稼ぎをしています。

北条政子、源義高、海野小太郎幸氏の間の会話や連絡の内容が、とても気になります。

「花桜(はなざくら)」は「桜の花。襲(かさね)の色目の名前で、表は白、裏は青か紅。」です。

楽しんで頂けると嬉しいです。





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