鎌倉夢語り　〜　大姫と源義高　番外編　〜


〜　大手鞠　芍薬と苺を贈ったら　〜


〜　改訂版　〜


春が終わり、夏が始まろうとしている頃。


鎌倉の町は、曇り空だが、過ごしやすい一日となっている。


ここは小御所。


源義高の部屋。


大姫は源義高の部屋を元気良く訪れた。

源義高は大姫を普通の表情で見た。

海野小太郎幸氏は大姫を微笑んで見た。

大姫は源義高と海野小太郎幸氏に笑顔で話し出す。

「義高様！　小太郎殿！　一緒に芍薬を見に行きましょう！」

源義高は大姫を気乗りのしない表情で見た。

大姫は源義高を寂しそうに見た。

海野小太郎幸氏は源義高に微笑んで話し出す。

「義高様。鎌倉の町に咲く芍薬を見てみたいです。」

源義高は海野小太郎幸氏と大姫に普通に話し出す。

「これから出掛ける準備をしたら遅くなる。出掛けるのは明日にしよう。」

大姫は源義高に笑顔で話し出す。

「はい！」

海野小太郎幸氏は源義高に微笑んで話し出す。

「承知しました。」

大姫は源義高と海野小太郎幸氏に笑顔で話し出す。

「義高様！　小太郎殿！　明日になったら必ず芍薬を見に出掛けますよ！　忘れないでくださいね！」

源義高は大姫に普通の表情で頷いた。

海野小太郎幸氏は大姫に微笑んで軽く礼をした。

大姫は源義高の部屋を元気良く出て行った。


その翌日の事。


鎌倉の町は、青空が広がり気持ちの良い一日となっている。


ここは小御所。


源義高の部屋。


源義高と海野小太郎幸氏は、大姫が部屋を訪れてくるのを待っている。


約束の時間を過ぎたが、大姫が訪れてくる様子が無い。


源義高は海野小太郎幸氏に不思議そうに話し出す。

「今日は大姫の声も足音も聞こえないな。何か遭ったのかな？」

海野小太郎幸氏は源義高に微笑んで話し出す。

「大姫様の様子を確認してきます。」

源義高は海野小太郎幸氏に普通の表情で頷いた。

海野小太郎幸氏は部屋から出ていった。


それから少し後の事。


ここは源義高の部屋。


源義高は一人で部屋の中に居る。

海野小太郎幸氏が部屋の中に普通に入ってきた。

源義高は海野小太郎幸氏を普通の表情で見た。

海野小太郎幸氏は源義高に普通に話し出す。

「大姫様は体調を崩されて、お部屋でお休みになられているそうです。」

源義高は海野小太郎幸氏に心配そうに話し出す。

「だいぶ悪いのか？」

海野小太郎幸氏は源義高に普通に話し出す。

「少し熱があるそうですが、しっかりと養生されれば、数日ほどで治るそうです。」

源義高は海野小太郎幸氏に普通に話し出す。

「大姫の見舞いに行く。一緒に付いてきてくれ。」

海野小太郎幸氏は源義高に普通の表情で軽く礼をした。

源義高と海野小太郎幸氏は、大姫を見舞うために部屋から出て行った。


ここは大姫の部屋。


源義高と海野小太郎幸氏は、大姫の見舞いに訪れた。

大姫は床に横になっていたが、源義高と海野小太郎幸氏を見ると、嬉しそうに体を起こした。

源義高は大姫に普通に話し出す。

「熱があると聞いた。大丈夫か？」

大姫は床の上で体を起こしながら、源義高と海野小太郎幸氏に申し訳なさそうに話し出す。

「姫は熱が出てしまいました。姫から芍薬を見に行こうと言ったのに、見に行く事が出来なくなりました。ごめんなさい。」

源義高が大姫に普通に話し出す。

「芍薬の見頃は、まだ続くだろ。三人で芍薬を見に行く事が出来るように、大姫はしっかりと養生をして早く元気になれ。」

海野小太郎幸氏は大姫に微笑んで話し出す。

「大姫様。義高様の言う通り、しっかりと養生なさってください。」

大姫は床に体を起こしたまま、源義高と海野小太郎幸氏に寂しそうに話し出す。

「はい。」

源義高は大姫に普通に話し出す。

「大姫。何か食べたい物はあるか？」

大姫は床に体を起したまま、源義高に微笑んで話し出す。

「姫は苺が食べたいです。」

源義高は大姫に普通に話し出す。

「わかった。三人で芍薬を見る時に一緒に食べよう。」

大姫は床に体を起こしながら、源義高と海野小太郎幸氏に微笑んで話し出す。

「はい。」

源義高は大姫に普通に話し出す。

「俺と小太郎は部屋に戻る。大姫はしっかりと養生しろよ。」

大姫は床に体を起こしながら、源義高と海野小太郎幸氏に微笑んで話し出す。

「わかりました。姫は早く治るように、しっかりと養生します。」

源義高は大姫に普通の表情で頷いた。

海野小太郎幸氏は大姫に微笑んで軽く礼をした。

源義高と海野小太郎幸氏は、大姫の部屋から出て行った。


ここは源義高の部屋。


源義高と海野小太郎幸氏は、部屋に戻ってきた。

源義高は不思議そうに呟いた。

「静かだな。」

海野小太郎幸氏は源義高に微笑んで話し出す。

「はい。」

源義高は海野小太郎幸氏に不思議そうに話し出す。

「本当はこんなに静かだったんだな。」

海野小太郎幸氏は源義高に微笑んで話し出す。

「はい。」

源義高は海野小太郎幸氏に微笑んで話し出す。

「小太郎。甘くて美味しい苺を用意できるかな？」

海野小太郎幸氏は源義高に微笑んで話し出す。

「甘くて美味しい苺を取り寄せてもらうように話しをしてきます。」

源義高は海野小太郎幸氏に微笑んで頷いた。

海野小太郎幸氏は部屋から出て行った。


それから数日後の事。


鎌倉の町は青空が広がり、過ごしやすい一日となっている。


ここは小御所。


源義高の部屋。


大姫は部屋の中に元気良く入ってきた。

源義高は大姫を普通の表情で見た。

海野小太郎幸氏は大姫を微笑んで見た。

大姫は源義高と海野小太郎幸氏に笑顔で話し出す。

「義高様！　小太郎殿！　こんにちは！　姫は元気になりました！　約束通り芍薬を見に行きたいです！」

源義高は大姫に普通に話し出す。

「本当に治ったのか？」

大姫は源義高に笑顔で話し出す。

「はい！」

源義高は大姫に普通に話し出す。

「芍薬を見に行くぞ。」

海野小太郎幸氏は大姫と源義高に微笑んで話し出す。

「行ってらっしゃいませ。」

大姫は海野小太郎幸氏に不思議そうに話し出す。

「小太郎殿は一緒に出掛けないのですか？」

源義高は大姫に普通に話し出す。

「小太郎は用があるから、遅れて来る。先に二人で出掛けるぞ。」

大姫は海野小太郎幸氏に笑顔で話し出す。

「小太郎殿！　先に義高様と出掛けます！　早く来てくださいね！」

海野小太郎幸氏は大姫に微笑んで話し出す。

「承知しました。」

源義高は普通に部屋を出て行った。

大姫は源義高の後を元気良く歩きながら部屋から出て行った。


ここは芍薬が綺麗に咲いている場所。


大姫と源義高は、芍薬の前で立ち止まった。

海野小太郎幸氏は小さな籠を持って、大姫と源義高の元に来た。

源義高は海野小太郎幸氏に微笑んで話し出す。

「小太郎。早かったな。」

海野小太郎幸氏は小さな籠を持ちながら、源義高に微笑んで話し出す。

「義高様と大姫様をお待たせする訳にはいかないので、急いで来ました。」

源義高は海野小太郎幸氏を微笑んで見た。

海野小太郎幸氏は源義高と大姫の前に小さな籠を置くと、微笑んで話し出す。

「義高様。大姫様。苺です。」

大姫は小さな籠の中の苺を笑顔で見た。

源義高は大姫を微笑んで見た。

大姫は小さな籠から苺を手に取ると、源義高に笑顔で差し出した。

源義高は大姫から苺を微笑んで受け取った。

大姫は小さな籠から苺を取り出すと、海野小太郎幸氏に笑顔で差し出した。

海野小太郎幸氏は大姫から苺を微笑んで受け取った。

大姫は小さな籠から苺を笑顔で手に取った。

大姫、源義高、海野小太郎幸氏は、美味しそうに苺を食べ始めた。


大姫は苺を食べ終わると、源義高に笑顔で話し出す。

「甘くて大きいいちごですね！　美味しいです！」

源義高は大姫に微笑んで話し出す。

「“あまおう”と言う名前の苺なんだ。」

大姫は籠から苺を手に取ると、美味しそうに食べ始めた。


大姫、源義高、海野小太郎幸氏は、苺を食べ終わった。


源義高は大姫と海野小太郎幸氏に微笑んで話し出す。

「大姫の希望の苺を食べた事だし、次は、大姫の当初の希望の芍薬を見よう。」

大姫は源義高に笑顔で話し出す。

「はい！」

海野小太郎幸氏は源義高に微笑んで礼をした。


大姫は芍薬を笑顔で見ている。

源義高と海野小太郎幸氏は、大姫と芍薬を微笑んで見ている。

大姫は源義高を見ると、微笑んで話し出す。

「義高様。姫にはどの芍薬が似合うと思いますか？」

源義高は考え込みながら芍薬を見た。

大姫は源義高を笑顔で見た。

源義高は淡い桃色をした芍薬を指すと、大姫に微笑んで話し出す。

「え〜と、大姫は大手鞠に似ているかな〜？　鞠みたいで可愛いところが大姫に似ているかな〜？」

大姫は淡い桃色の芍薬を笑顔で見た。

源義高は大姫を微笑んで見た。

大姫は源義高を見ると、笑顔で話し出す。

「大手鞠は可愛い芍薬ですね！　大きな鞠のように見えます！」

源義高は大姫を微笑んで見た。

大姫は淡い桃色の芍薬を笑顔で見た。

源義高は海野小太郎幸氏の耳元に顔を近づけると、微笑んで囁いた。

「大姫に似合う芍薬と言われても、子供だし喩えようがないよな。だから、見た目と名前が可愛い芍薬を見つけて話しをしてみた。」

海野小太郎幸氏は源義高の耳元に顔を近づけると、微笑んで囁いた。

「大姫様にお似合いの芍薬を選ばれたと思います。義高様が大姫様の事をしっかりと見ていらっしゃるから選ぶ事が出来たと思います。」

源義高は海野小太郎幸氏を苦笑しながら見た。


大姫は大手鞠に嬉しそうに話し出す。

「姫と大手鞠は似ていると義高様が言っていました！　姫はとても嬉しいです！」

源義高と海野小太郎幸氏は、大姫を微笑んで見た。


すると切ない声が聞こえてきた。

「ねぇ、義高様・・・」

「今年も大手鞠が咲きました・・・」

「私は今でも大手鞠のように見えますか・・・？」

「いつまでも大手鞠の似合う女性でいたいと思っています・・・」

「だって、義高様が私に似合うと言ってくれた大切な芍薬だから・・・」

「義高様と一緒に大手鞠を見たいです・・・」

「ねぇ、義高様・・・」

「どちらにいらっしゃるのですか・・・？」

「ねぇ、義高様・・・」




＊　　　　　　＊　　　　　　＊　　　　　　＊　　　　　　　＊　　　　　　　＊




ここからは後書きになります。

この物語は既に掲載している物語の改訂版です。

改訂前の後書きや雰囲気を出来るだけ残しながら改訂しました。

改訂前の物語を掲載するのは止めました。

以上の点、ご了承願います。

ここからは改訂前の後書きを加筆訂正しながら書いていきます。

この物語は、三人が出逢ってから差ほど日数が経っていない設定になっています。

「苺（いちご）」についてです。

「苺」自体は、大姫達の生きている鎌倉時代よりずっと前からあります。

物語に登場する「苺」の「あまおう」は、大姫達の時代には無い「苺」です。

「苺」の「あのおう」は、福岡の博多の「苺」です。

「あかい」、「まあるい」、「おおきい」、「うまい」というところからついた名前だそうです。

実際に食べましたが、大きくて甘い苺でした。

「芍薬（しゃくやく）」の「大手鞠」は、実際にあります。

ただし、大姫達の生きていた時代にはない芍薬です。

源義高が大姫に似合うと喩えてくれた芍薬の「大手鞠」を、嬉しそうに見ている大姫です。

この物語では、大姫が体調を崩しています。

「鎌倉夢語り　大姫とも源義高　編」と「鎌倉夢語り　大姫と源義高　番外編」では、大姫が体調を崩す場面は、ほとんど登場していません。

大姫は源義高が討たれて亡くなってからは、体調をよく崩していたそうです。

大姫の体調についてですが、源義高が来る前から元々体調が弱かったという説と、元々は元気だったという説の両方があるそうです。

今回は大姫が体調を崩した物語を書きましたが、「鎌倉夢語り」では、源義高が亡くなるまでは基本的には元気だったという説で書いています。

楽しんで頂けると嬉しいです。





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