鎌倉夢語り　〜　大姫と源義高　番外編　〜


〜　白い冠　緑色の幸せのお守り　〜


〜　第三版　〜


ここは、鎌倉。


暖かく過ごしやすい日が続いている。


今日は青空が広がっている。


時折、微かな風が吹いている。


ここは、草原。


大姫は笑顔で来た。

侍女は微笑んで来た。


大姫は草原を笑顔で見た。

侍女は大姫と草原を微笑んで見た。

大姫は侍女を見ると、笑顔で話し出す。

「来たばかりですが、小御所に戻ります！」

侍女は大姫を不思議そうに見た。

大姫は侍女に笑顔で話し出す。

「小御所に戻って義高様と小太郎殿と話したいです！」

侍女は大姫に微笑んで軽く礼をした。


大姫は元気良く歩き出した。

侍女は微笑んで歩き出した。


それから少し後の事。


ここは、小御所。


縁。


大姫は笑顔で走っている。


それから僅かに後の事。


ここは、源義高の部屋。


源義高は普通に居る。

海野小太郎幸氏も普通に居る。


大姫は部屋の中に元気良く入ってきた。


源義高は大姫を普通の表情で見た。

海野小太郎幸氏は大姫に微笑んで軽く礼をした。

大姫は源義高と海野小太郎幸氏に笑顔で話し出す。

「義高様！　小太郎殿！　少し前に白詰草の花がたくさん咲く場所を見付けました！　綺麗です！　白詰草を見に行きましょう！」

源義高は大姫に普通に話し出す。

「白詰草はたくさんの場所で見られるから、急いで出掛けなくて良いだろ。」

海野小太郎幸氏は源義高に微笑んで話し出す。

「義高様。大姫様が義高様に見て頂きたい場所です。私もぜひ見たいです。」

源義高は海野小太郎幸氏を普通の表情で見た。

海野小太郎幸氏は源義高を微笑んで見た。

源義高は大姫を見ると、普通に話し出す。

「小太郎が白詰草を見たいと話している。一人で部屋に居ると詰まらないから、一緒に行く。」

大姫は源義高と海野小太郎幸氏に笑顔で話し出す。

「義高様！　小太郎殿！　早く行きましょう！」

源義高は大姫を普通の表情で見た。

海野小太郎幸氏は大姫に微笑んで軽く礼をした。


大姫は部屋を元気良く出て行った。

源義高は部屋を普通に出て行った。

海野小太郎幸氏は部屋を微笑んで出て行った。


それから少し後の事。


ここは、草原。


白詰草の花がたくさん咲いている。


大姫は笑顔で来た。

源義高は普通に来た。

海野小太郎幸氏は微笑んで来た。


大姫は源義高と海野小太郎幸氏に笑顔で話し出す。

「義高様！　小太郎殿！　白詰草の花がたくさん咲いて綺麗ですよね！」

源義高は草原を見ると、海野小太郎幸氏に微笑んで話し出す。

「一面が白色と緑色だ。綺麗だな。」

海野小太郎幸氏は草原を見ると、源義高に微笑んで話し出す。

「はい。」

大姫は源義高と海野小太郎幸氏を笑顔で見た。


大姫は笑顔で座った。

源義高は微笑んで座った。

海野小太郎幸氏も微笑んで座った。


源義高は海野小太郎幸氏に微笑んで話し出す。

「気持ちの落ち着く場所だな。」

海野小太郎幸氏は源義高に微笑んで話し出す。

「私も気持ちが落ち着きます。空が綺麗で緑に包まれているせいでしょうか？」

源義高は海野小太郎幸氏を微笑んで見た。

源義高は大姫に微笑んで話そうとした。


大姫の姿が見えない。


源義高は辺りを不思議そうに見た。


大姫が少し離れた場所に座りながら、何かを真剣に作っている。


源義高は大姫を見ながら、海野小太郎幸氏に不思議そうに話し出す。

「小太郎。大姫は何を作っていると思う？」

海野小太郎幸氏は大姫を見ると、源義高に不思議そうに話し出す。

「私にも分かりません。」

源義高は大姫を不思議そうに見た。

海野小太郎幸氏は源義高を見ると、微笑んで話し出す。

「大姫様に質問しますか？」

源義高は大姫を見ながら、海野小太郎幸氏に普通に話し出す。

「大姫は俺達に来て欲しければ呼ぶ。大姫は真剣に作っている。質問するのは止めよう。」

海野小太郎幸氏は源義高に微笑んで軽く礼をした。

源義高は大姫を普通の表情で見た。

海野小太郎幸氏は大姫と源義高を微笑んで見た。


それから少し後の事。


ここは、草原。


源義高は大姫を普通の表情で見ている。

海野小太郎幸氏は大姫と源義高を微笑んで見ている。


大姫は少し離れた場所に座りながら、何かを真剣な表情で作っている。


源義高は海野小太郎幸氏を微笑んで見た。

海野小太郎幸氏も源義高を微笑んで見た。


大姫は二つの白詰草の冠を持ちながら、源義高と海野小太郎幸氏の元に笑顔で来た。


源義高は大姫を普通の表情で見た。

海野小太郎幸氏は大姫を微笑んで見た。

大姫は源義高の頭に白詰草の冠を載せると、笑顔で話し出す。

「義高様！　白詰草の冠です！　どうぞ！」

源義高は白詰草の冠を不思議そうに触った。

大姫は海野小太郎幸氏の頭に白詰草の冠を載せると、笑顔で話し出す。

「小太郎殿！　白詰草の冠です！　どうぞ！」

海野小太郎幸氏は白詰草の冠を不思議そうに触った。

大姫は源義高と海野小太郎幸氏を笑顔で見た。

源義高は海野小太郎幸氏の頭に載る白詰草の冠を不思議そうに見た。

海野小太郎幸氏も源義高の頭に載る白詰草の冠を不思議そうに見た。

大姫は源義高と海野小太郎幸氏を不思議そうに見た。

海野小太郎幸氏は大姫を見ると、不思議そうに話し出す。

「大姫様。私の分の白詰草の冠も作られたのですか？」

大姫は源義高と海野小太郎幸氏に笑顔で話し出す。

「義高様も小太郎殿も偉いです！　姫が白詰草の冠を作りました！」

源義高は大姫を見ると、普通に話し出す。

「偉くないだろ。」

大姫は源義高に笑顔で話し出す。

「義高様も小太郎殿も鎌倉に来て寂しいと言いません！　姫ならば寂しくて泣くかも知れません！　だから、義高様も小太郎殿も偉いです！」

源義高は大姫に不思議そうに話し出す。

「大姫が木曾に来たら泣いて過ごすかも知れないのか？」

大姫は源義高と海野小太郎幸氏に微笑んで話し出す。

「姫が伊豆に居る頃は、お父様はいつもお仕事で忙しくて、姫はお母様と過ごしました。お父様とお母様と姫が鎌倉に来たら、お父様のお仕事は更に忙しくなり、お母様はいろいろな人とお仕事の話や万寿の乳母と万寿についての話をするようになりました。お父様もお母様も鎌倉に来てからは、姫と過ごす時間が少なくなりました。姫はお母様と話しが出来た時は、とても嬉しかったです。姫は義高様と小太郎殿が鎌倉に来るまで、一人で過ごす時間が多くて寂しかったです。今は、義高様と小太郎殿が、姫と一緒に居てくれます。義高様と小太郎殿は、姫とたくさん話してくれます。姫は寂しくないです。姫はとても嬉しいです。」

源義高は大姫に普通に話し出す。

「俺は大姫と余り話さないだろ。」

大姫は源義高に笑顔で話し出す。

「義高様と小太郎殿は、姫とたくさん出掛けてくれるし　姫とたくさん話してくれます！　　姫はとても嬉しいです！」

源義高は大姫を普通の表情で見た。

海野小太郎幸氏は大姫と源義高を微笑んで見た。

大姫は源義高を笑顔で見た。

源義高は大姫に普通に話し出す。

「大姫。四つ葉の白詰草を見付けると、幸せになれる言い伝えがある。知っているか？」

大姫は源義高に笑顔で話し出す。

「初めて知りました！　幸せのお守りですね！　義高様！　一緒に探しましょう！」

源義高は大姫に普通に話し出す。

「四つ葉の白詰草は見付けるのが難しいから、幸せになれる言い伝えになるんだ。」

大姫は源義高と海野小太郎幸氏に笑顔で話し出す。

「義高様！　小太郎殿！　三人で四つ葉の白詰草を探しましょう！」

源義高は大姫に普通に話し出す。

「大姫。俺の話を聞いて発言しているのか？」

海野小太郎幸氏は源義高に微笑んで話し出す。

「義高様。三人で四つ葉の白詰草を探しませんか？」

大姫は源義高と海野小太郎幸氏を笑顔で見た。

源義高は海野小太郎幸氏に普通の表情で頷いた。


大姫は四つ葉の白詰草を笑顔で探し始めた。

源義高は四つ葉の白詰草を普通の表情で探し始めた。

海野小太郎幸氏は四つ葉の白詰草を微笑んで探し始めた。


それから少し後の事。


ここは、草原。


大姫は四つ葉の白詰草を笑顔で探している。

源義高は四つ葉の白詰草を普通の表情で探している。

海野小太郎幸氏は四つ葉の白詰草を微笑んで探している。


源義高は軽く息を吐くと、空を普通の表情で見た。


綺麗な青空が広がっている。


源義高は白詰草を普通の表情で見た。


たくさんの三つ葉の白詰草の中に、四つ葉の白詰草が一つだけ有る。


源義高は四つ葉の白詰草を手折ると、大姫と海野小太郎幸氏を見て、微笑んで話し出す。

「四つ葉の白詰草を見付けたぞ。」

大姫は源義高を見ると、笑顔で話し出す。

「義高様！　凄いです！」

海野小太郎幸氏は源義高を見ると、微笑んで話し出す。

「義高様。凄いです。」

源義高は四つ葉の白詰草を持ちながら、大姫と海野小太郎幸氏を微笑んで見た。

大姫は四つ葉の白詰草を笑顔で見た。

海野小太郎幸氏は白詰草を微笑んで見た。

源義高は大姫に四つ葉の白詰草を差し出すと、普通に話し出す。

「あげる。」

大姫は源義高に慌てた様子で話し出す。

「見付けたのは義高様です！　姫は受け取れません！」

源義高は大姫に四つ葉の白詰草を差し出しながら、普通に話し出す。

「俺は四つ葉の白詰草を既に持っている。今回の見付けた四つ葉の白詰草は、姫が持っていろ。」

大姫は源義高から四つ葉の白詰草を受け取ると、笑顔で話し出す。

「義高様！　嬉しいです！　ありがとうございます！」

源義高は大姫を普通の表情で見た。

大姫は四つ葉の白詰草を手に持ちながら、満面の笑顔で喜んだ。

海野小太郎幸氏は源義高に不思議そうに囁いた。

「義高様。四つ葉の白詰草は持っていませんよね？」

源義高は海野小太郎幸氏に普通の表情で囁いた。

「俺に四つ葉の白詰草は必要ないが、大姫には四つ葉の白詰草が必要になる時が訪れると思う。」

海野小太郎幸氏は源義高を心配そうに見た。

源義高は海野小太郎幸氏に微笑んで囁いた。

「俺には小太郎が居るから、四つ葉の白詰草は必要ないよ。」

海野小太郎幸氏も源義高に微笑んで囁いた。

「義高様。大切な方をお忘れになっています。」

源義高は海野小太郎幸氏を不思議そうに見た。

海野小太郎幸氏は源義高に微笑んで囁いた。

「大姫様です。」

源義高は大姫を一瞥すると、海野小太郎を見て、苦笑しながら囁いた。

「まだまだ頼りない幸せのお守りだな。」

海野小太郎幸氏は源義高に微笑んで囁いた。

「義高様は大姫様と過ごすようになってから、明るい表情の時間が多くなりました。更に、義高様が鎌倉に来た最初の頃と今では様子が違います。」

源義高は海野小太郎幸氏に不思議そうに囁いた。

「そうかな？」

海野小太郎幸氏は源義高に微笑んで囁いた。

「はい。」

源義高は海野小太郎幸氏に不思議そうに囁いた。

「そうなんだ。」

海野小太郎幸氏は源義高に微笑んで話し出す。

「はい。」

大姫は四つ葉の白詰草を持ちながら、源義高と海野小太郎幸氏に不思議そうに話し出す。

「義高様。小太郎殿。何を話しているのですか？」

源義高は大姫に普通に話し出す。

「秘密。」

大姫は四つ葉の白詰草を持ちながら、源義高と海野小太郎幸氏を不思議そうに見た。

海野小太郎幸氏は大姫と源義高に微笑んで話し出す。

「大姫様。義高様。小御所に戻る時間が近付いているように思います。」

源義高は海野小太郎幸氏に微笑んで頷いた。

大姫は四つ葉の白詰草を持ちながら、海野小太郎幸氏に不思議そうに話し出す。

「はい。」

海野小太郎幸氏は大姫と源義高を微笑んで見た。


大姫は四つ葉の白詰草を持ちながら、微笑んで歩き出した。

源義高は普通に歩き出した。

海野小太郎幸氏は微笑んで歩き出した。


すると切ない声が聞こえてきた。

「ねぇ、義高様・・・」

「鎌倉に白詰草の白い花が咲いています・・・」

「私が作った白詰草の冠を今も持っていらっしゃいますか・・・？」

「私は義高様から頂いた四つ葉の白詰草を今も持っています・・・」

「私は、四つ葉の白詰草の他に、義高様への想いを、ずっと抱えています・・・」

「義高様から四つ葉の白詰草を受け取らなければ良かったと、ずっと後悔しています・・・」

「義高様から四つ葉の白詰草を受け取らなければ、何かが違っていたと思います・・・」

「ねぇ、義高様・・・」

「私も四つ葉の白詰草を見付けました・・・」

「義高様に四つ葉の白詰草を差し上げたいです・・・」

「義高様に四つ葉の白詰草を差し上げれば、何かが変わるように思います・・・」

「ねぇ、義高様・・・」

「今はどちらにいらっしゃいますか・・・？」

「ねぇ、義高様・・・」




＊　　　　　　＊　　　　　　＊　　　　　　＊　　　　　　＊　　　　　　＊




ここからは後書きになります。

この物語は既に掲載している物語の再改訂版です。

改訂前の雰囲気や展開を出来るだけ残しながら改訂しました。

改訂前の物語を掲載するのは止めました。

以上の点、ご了承願います。

ここからは改訂前の後書きを加筆訂正して書きます。

「白詰草（しろつめくさ）」についてです。

マメ科の多年草です。

春の季語です。

ヨーロッパ原産です。

別名には「クローバー」があります。

白詰草は、長崎の出島を通じて日本に渡来したと考えられています。

そのため、大姫達の時代には白詰草は無いと思われます。

「四つ葉のクローバー」は「幸運の象徴」と言われています。

四つ葉のクローバーを十字架に見立てて、「幸運の象徴」と言う説があるそうです。

この説を基にすると、日本国内から伝わった風習ではない事になります。

いつの時代から「幸運の象徴」と言われているか確認が出来ませんでしたが、大姫の時代の日本には無い風習と思われます。

白詰草で冠を作る工程は、親から教えてもらいましたが、作る事が出来ませんでした。

そのような状況になりますが、子供の時と大人になってから、白詰草の冠を作ってもらった事があります。

嬉しかったです。

源義高は見付けた四つ葉の白詰草を、大姫に譲りました。

物語の設定時に大姫の年齢が僅かでも上ならば、源義高から四つ葉の白詰草を受け取らなかったように考えました。

物語の設定時の日本に白詰草が有れば、源義高は大姫に四つ葉の白詰草を譲るように思いました。

楽しんで頂けると嬉しいです。





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