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鎌倉夢語り 〜 大姫と源義高 番外編 〜


〜 七夕月 夢を紡いで 〜


〜 改訂版 〜


季節が秋になった。


季節が秋になると、直ぐに七夕の行事が行われる。


ここは、鎌倉の町。


季節は秋だが、夏の様な暑さが続いている。


ここは、小御所。


小御所では、七夕の行事を行うために、笹や飾りなどの用意をしている姿を見掛けるようになった。


源義高と海野小太郎幸氏は、七夕の準備をしている小御所の様子を複雑な表情で見ている。


海野小太郎幸氏は源義高を見ると、微笑んで話し出す。

「小御所の方達は、忙しく過ごされていますが、楽しそうですね。」

源義高は小御所の様子を見ながら、海野小太郎幸氏に普通に話し出す。

「俺達には関係の無い事だろ。」

海野小太郎幸氏は源義高を心配そうに見た。


源義高と海野小太郎幸氏は、源義高の部屋へと普通に戻っていった。


ここは、源義高の部屋。


源義高と海野小太郎幸氏は、話をする事なく部屋の中に居る。


部屋の外から大姫の元気の良い足音が聞こえてきた。

源義高は海野小太郎幸氏を普通の表情で見た。

海野小太郎幸氏は源義高を微笑んで見た。


大姫が源義高の部屋の中に元気良く入ってきた。


源義高は大姫を普通の表情で見た。

海野小太郎幸氏は大姫に微笑んで軽く礼をした。

大姫は源義高に笑顔で話し出す。

「義高様! もう直ぐ七夕ですね!」

源義高は大姫に普通の表情で頷いた。

大姫は源義高に笑顔で話し出す。

「義高様! 一緒に七夕を行いましょう!」

源義高は大姫に普通に話し出す。

「七夕はやらない。」

大姫は源義高に不思議そうに話し出す。

「なぜですか?」

源義高は大姫に普通に話し出す。

「俺と小太郎には関係が無いから。」

大姫は源義高に不思議そうに話し出す。

「義高様は姫の許婚です。小太郎殿も義高様に仕えています。関係は有ると思います。」

源義高は大姫に普通に話し出す。

「七夕はやりたくない。理由は一つだけだ。」

大姫は源義高を不思議そうに見た。

源義高は普通の表情のまま、大姫から視線を外した。

大姫は源義高に不思議そうに話し出す。

「分かりました。姫は部屋に戻ります。」

源義高は大姫を見ると、普通の表情で頷いた。

海野小太郎幸氏は大姫に微笑んで軽く礼をした。

大姫は不思議そうな表情のまま、部屋を出て行った。


大姫の姿も足音も直ぐに分からなくなった。


海野小太郎幸氏は源義高に困惑した様子で話し出す。

「義高様。せっかくの大姫様からの申し出です。七夕を楽しみませんか? 差し支えなければ、今から私が大姫様に話しをしてきます。」

源義高は海野小太郎幸氏に普通に話し出す。

「どう考えたら、鎌倉の人達と一緒に和やかに七夕が出来るんだ? 俺が鎌倉の人達の前で書く短冊の願い事には、何を書けば良いんだ? 小太郎だったら、短冊に何を書くんだ? ぜひ教えてくれ。」

海野小太郎幸氏は源義高に申し訳なさそうに話し出す。

「気が利かなくて申し訳ありませんでした。」

源義高は海野小太郎幸氏に慌てた様子で話し出す。

「小太郎。言い過ぎた。今の話は忘れてくれ。」

海野小太郎幸氏は源義高に微笑んで話し出す。

「七夕の準備は私が整えるので、七夕を二人で過ごしませんか?」

源義高は海野小太郎幸氏に切なそうに話し出す。

「短冊への願い事に何を書けば良いのか分からない。どんなに願っても駄目な時は駄目だろ。今は出来る事だけを考えたい。だから俺には七夕は必要ない。」

海野小太郎幸氏は源義高を困惑した様子で見た。


七夕が一日ずつ近づいてくる。


小御所は七夕の準備を明るい雰囲気の中で続けている。

大姫は源義高の部屋を訪れるが、七夕についての話しをする事なく帰っていく。


七夕の直前の日の事。


ここは、源義高の部屋。


大姫が部屋を訪れる気配が無い。


源義高は海野小太郎幸氏に不思議そうに話し出す。

「大姫が来ない。なぜだろう。」

海野小太郎幸氏は源義高に微笑んで話し出す。

「確認をしてきます。」

源義高は海野小太郎幸氏に普通に話し出す。

「大姫は自分の都合で勝手に来るだろ。わざわざ確認をする必要はないよ。」

海野小太郎幸氏は源義高に普通の表情で軽く礼をした。


ここは、小御所の中。


源義高と海野小太郎幸氏は、小御所内を普通に歩いている。


大姫と河越重頼の娘の真澄が、楽しそうに七夕の準備をしている姿が見えた。


源義高は立ち止まると、大姫と真澄の姿を僅かに寂しげな表情で見た。

海野小太郎幸氏は立ち止まると、大姫と源義高の様子を、心配そうに交互に見た。

源義高は直ぐに普通の表情に戻ると、普通に歩き始めた。

海野小太郎幸氏は源義高の様子を確認しながら、普通に歩き始めた。


ここは、源義高の部屋。


源義高と海野小太郎幸氏は、二人で部屋の中に居る。


大姫が部屋の中に元気良く入ってきた。

海野小太郎幸氏は大姫に微笑んで軽く礼をした。

源義高は大姫に普通に話し出す。

「何か用か?」

大姫は源義高に笑顔で話し出す。

「七夕を一緒に行いましょう!」

源義高は大姫に普通に話し出す。

「やらない。」

大姫は源義高を寂しそうに見た。

源義高は大姫から普通の表情のまま、視線を外した。

海野小太郎幸氏は源義高に微笑んで話し出す。

「義高様。大姫様からの申し出です。七夕を一緒に過ごされてはいかがですか?」

源義高は海野小太郎幸氏を見ると、普通に話し出す。

「七夕はやらない。」

大姫は源義高を寂しそうに見ている。

源義高は大姫を普通の表情で見た。

大姫は源義高に微笑んで話し出す。

「姫は七夕の準備があるので帰ります。」

海野小太郎幸氏は大姫に微笑んで軽く礼をした。

源義高は大姫を普通の表情で見た。

大姫は源義高の部屋から出て行った。


ここは、小御所の中。


海野小太郎幸氏は一人で小御所内を歩いている。


大姫が笹を持って歩いている姿と、真澄が小さな箱を持って歩いている姿が見えた。


大姫は笹を持ちながら、海野小太郎幸氏の姿を笑顔で見た。

真澄は小さな箱を持ちながら、海野小太郎幸氏を微笑んで見た。


海野小太郎幸氏は大姫と真澄に、微笑んで軽く礼をした。


大姫は笹を持ちながら、海野小太郎幸氏の前に笑顔で来た。

真澄は小さな箱を持ちながら、海野小太郎幸氏の前に微笑んで来た。


大姫は笹を差し出すと、海野小太郎幸氏に心配そうに話し出す。

「義高様は七夕を行わないと言っています。でも、姫は義高様に七夕を楽しんで欲しいです。今年は、姫は義高様と一緒に七夕を過ごしません。小太郎殿から義高様と二人で七夕を過ごしたいと話しをしてください。」

海野小太郎幸氏は大姫から笹を受け取ると、微笑んで話し出す。

「大姫様も一緒に三人で七夕を過ごしましょう。」

大姫は海野小太郎幸氏に微笑んで話し出す。

「義高様と小太郎殿で七夕を楽しんでください。姫は真澄と一緒に七夕を楽しみます。」

真澄は海野小太郎幸氏に小箱を差し出すと、微笑んで話し出す。

「大姫様と私の二人で七夕の飾りを作りました。よろしければお使いください。」

海野小太郎幸氏は笹を持ちながら、真澄から小箱を受け取ると、微笑んで軽く礼をした。

大姫は海野小太郎幸氏に微笑んで話し出す。

「姫は帰ります。」

海野小太郎幸氏は笹と小箱を持ちながら、大姫と真澄に微笑んで軽く礼をした。


大姫は自分の部屋へと戻っていった。

真澄は大姫の後に続いて、大姫の部屋へと戻っていった。


海野小太郎幸氏は笹と小箱を持ちながら、源義高の部屋へと向かって歩き出した。


ここは、源義高の部屋。


源義高は普通の表情で部屋の中に一人で居る。


海野小太郎幸氏が笹と小箱を持って、部屋の中に入ってきた。


源義高は海野小太郎幸氏を不思議そうに見た。

海野小太郎幸氏は笹と小箱を横に置くと、源義高に微笑んで話し出す。

「先程の事になりますが、義高様と私の二人で七夕を過ごして欲しいと言って、大姫様から笹と七夕の飾りを頂きました。七夕の飾りは大姫様と真澄様で作られたそうです。」

源義高は海野小太郎幸氏に不思議そうに話し出す。

「大姫は一緒に七夕を過ごそうと言わなかったのか?」

海野小太郎幸氏は源義高に微笑んで話し出す。

「大姫様は真澄様と一緒に七夕を過ごすとお話しになられていました。」

源義高は何かを考え込み始めた。

海野小太郎幸氏は源義高を微笑んで見た。


その日の夜の事。


鎌倉の夜空には、綺麗な月と星が浮かんでいる。


ここは、大姫の部屋の前に在る縁。


大姫と真澄は、縁から月を見ている。


大姫は真澄を見ると、楽しそうに話し出す。

「星が綺麗ですね!」

真澄は大姫を見ると、微笑んで話し出す。

「はい。」

源義高の普段と同じ声が、大姫と真澄の近くから聞こえてきた。

「笹が無いな。」

大姫は源義高の声が聞こえた方向を、笑顔で見た。

真澄は源義高の声が聞こえた方向を、微笑んで見た。


源義高は大姫と真澄を普通の表情で見ている。

海野小太郎幸氏は源義高の横で、飾りの付いた笹を持ちながら、大姫と真澄を微笑んで見ている。


源義高は大姫と真澄に微笑んで話し出す。

「七夕には少し早いけれど、四人で七夕を行おう。」

大姫は源義高に笑顔で話し出す。

「短冊の用意をしてきます!」

源義高は大姫に普通に話し出す。

「短冊は七夕の当日に書こう。だから、今日は用意しなくて良いよ。」

大姫は源義高に笑顔で話し出す。

「はい!」

海野小太郎幸氏は大姫に微笑んで話し出す。

「今年は七夕を二回も行う事が出来ますね。」

大姫は海野小太郎幸氏に笑顔で話し出す。

「はい!」

源義高は大姫を微笑んで見た。

大姫は源義高に笑顔で話し出す。

「来年はもっとたくさん七夕の飾りを作ります!」

源義高は大姫を微笑んで見た。

大姫が源義高に笑顔で話し出す。

「義高様! 来年の七夕には、姫は義高様と結婚できますか?!」

源義高は大姫に微笑んで話し出す。

「さぁ、どうだろう。」

大姫は海野小太郎幸氏に笑顔で話し出す。

「小太郎殿は、どう思いますか?!」

海野小太郎幸氏は大姫に微笑んで話し出す。

「私にも分かりません。」

大姫は真澄に笑顔で話し出す。

「真澄は、どう思いますか?!」

真澄は大姫に微笑んで話し出す。

「私もお二人と一緒で分かりません。」

大姫は源義高に笑顔で話し出す。

「短冊には義高様と結婚したいと書く事に決めました!」

源義高は大姫を苦笑しながら見た。


すると、切ない声が聞こえてきた。

「ねぇ、義高様・・・」

「織姫と彦星は、一年に一度だけ逢う事が出来るそうですね・・・」

「私も義高様と一年に一度だけでも良いから逢いたいです・・・」

「短冊の願い事に、“義高様に逢いたい”と書いたら叶うのでしょうか・・・?」

「義高様にとても逢いたいです・・・」

「ねぇ、義高様・・・」




*      *      *      *      *      *




ここからは後書きになります。

この物語は既に掲載している物語の改訂版です。

改訂前の物語の雰囲気や展開を出来るだけ残しながら改訂しました。

改訂前の物語を掲載するのは止めました。

以上の点、了承願います。

ここからは改訂前の後書きを加筆訂正しながら書いていきます。

「七夕(たなばた)」の少し前から直前の頃の物語です。

「七夕」に関する風習や行事については、鎌倉時代より前に始まっています。

「七夕」は奈良時代に宮中の行事として行っていたという記録があるそうです。

現在で想像するお祭りとは違い、神事のような感じだったそうです。

かなり違う雰囲気になっていると思います。

「七夕」についてですが、七月六日の夜の午前一時頃にするのが正しい形のようです。

「短冊」「竹や笹」、「飾り」など、現在の七夕の形に近くなったのは、江戸時代の頃からだそうです。

そのため、大姫達の時代には、現在の様な七夕の風習は無いという事になります。

その関係から、今回は番外編として書く事しましまた。

今回の物語は、大姫と源義高が出逢ってから最初で最後の七夕という事を想定して物語を考えました。

楽しそうに来年の「七夕」や願い事の話している大姫、大姫の様子を微笑んで見ている源義高、大姫と源義高の様子を微笑んで見ている海野小太郎幸氏と河越重頼の娘の真澄です。

「七夕」は、この物語は旧暦の「七月七日」を参考にしています。

現在の暦にすると、七月中旬から八月末の頃となります。

比較的に雨の降る心配の無い少ない時期に「七夕」を行っている事になります。

その関係から、「七夕」は、秋の季語となります。

「七夕月(たなばたづき)」は、「陰暦七月の異称」です。

楽しんで頂けると嬉しいです。





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