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鎌倉夢語り 〜 大姫と源義高 番外編 〜
〜 虹色に輝く泡 夢幻の夏 川面にて 〜
今は夏。
ここは、鎌倉。
小御所。
源義高の部屋。
源義高は普通に居る。
海野小太郎幸氏も普通に居る。
大姫が部屋の中に元気良く入ってきた。
源義高は大姫を普通の表情で見た。
海野小太郎幸氏は大姫に微笑んで軽く礼をした。
大姫は源義高と海野小太郎幸氏に笑顔で話し出す。
「義高様! 小太郎殿! おはようございます!」
源義高は大姫に普通の表情で頷いた。
海野小太郎幸氏は大姫に微笑んで軽く礼をした。
大姫は源義高と海野小太郎幸氏に笑顔で話し出す。
「義高様! 小太郎殿! 暑いですね! しゃぼん玉で遊びましょう!」
源義高は大姫に普通に話し出す。
「暑さに同意を求めるのと、しゃぼん玉で遊ぶ誘いは、別な内容だと思う。」
大姫は源義高に笑顔で話し出す。
「義高様の言う通り、暑さに同意を求めるのと、しゃぼん玉で遊ぶ誘いは、別の内容です! 義高様と小太郎殿としゃぼん玉で遊びたくて訪ねて来ました!」
源義高は大姫に普通に話し出す。
「しゃぼん玉を見ても、しゃぼん玉で遊んでも、納涼に繋がらない。俺と小太郎は、しゃぼん玉を見ても、しゃぼん玉で遊んでも、喜ぶ年齢ではない。」
大姫は源義高と海野小太郎幸氏に笑顔で話し出す。
「川面に付くと同時に消えるしゃぼん玉、川面を跳ねて岩に当たると同時に消えるしゃぼん玉、川面を跳ねて川岸に当たって消えるしゃぼん玉、たくさんのしゃぼん玉の様子が見られます! 楽しさと涼しさが同時に体験できます!」
源義高は大姫に普通に話し出す。
「大姫。海や川に一人で出掛けてないよな。」
大姫は源義高に笑顔で話し出す。
「海や川に一人で出掛けるのは危険です! 侍女などと一緒に出掛けます!」
源義高は大姫に普通に話し出す。
「良い心掛けだ。」
大姫は源義高に笑顔で話し出す。
「義高様に褒めてもらいました! 嬉しいです!」
源義高は大姫を普通の表情で見た。
大姫は源義高を笑顔で見た。
源義高は海野小太郎幸氏を普通の表情で見た。
海野小太郎幸氏は源義高に微笑んで軽く礼をした。
源義高は大姫を見ると、普通に話し出す。
「大姫。話を戻す。俺と小太郎は、大姫の吹くしゃぼん玉を見るだけで良ければ、一緒に出掛ける。ただし、川や海では、何が起きるか分からない。一人で盛り上がって、俺や小太郎の傍から離れるな。一人で盛り上がって、川岸に近付かないように気を付けろ。」
大姫は源義高に笑顔で話し出す。
「はい!」
源義高は大姫を普通の表情で見た。
海野小太郎幸氏は大姫と源義高を微笑んで見た。
それから少し後の事。
ここは、小川の近く。
大姫は小川を笑顔で見ている。
源義高は小川を普通に見ている。
海野小太郎幸氏は小川を微笑んで見ている。
大姫の横には、しゃぼん玉の用意がしてある。
大姫は小川を見ながら、しゃぼん玉を笑顔で吹いた。
しゃぼん玉が幾つも飛んだ。
大姫はしゃぼん玉を吹きながら、しゃぼん玉を笑顔で見た。
源義高はしゃぼん玉を普通の表情で見た。
海野小太郎幸氏はしゃぼん玉を微笑んで見た。
しゃぼん玉が川面に付いた。
川面に付くと同時に消えるしゃぼん玉。
川面を跳ねて岩に当たると同時に消えるしゃぼん玉。
川面を跳ねて川岸に当たって消えるしゃぼん玉。
しゃぼん玉は様々な姿を見せていく。
源義高はしゃぼん玉を普通の表情で見ている。
海野小太郎幸氏はしゃぼん玉を微笑んで見ている。
大姫はしゃぼん玉を吹くのを止めると、源義高と海野小太郎幸氏を笑顔で見た。
海野小太郎幸氏は大姫を見ると、微笑んで話し出す。
「しゃぼん玉は様々な姿を見せていますね。綺麗ですね。」
源義高は大姫を見ると、普通の表情で頷いた。
大姫は源義高と海野小太郎幸氏に笑顔で話し出す。
「義高様! 小太郎殿! 三人分のしゃぼん玉で遊ぶ用意をしています! しゃぼん玉を一緒に吹いて楽しみましょう!」
海野小太郎幸氏は源義高に微笑んで話し出す。
「義高様。大姫様と一緒に楽しみましょう。」
源義高は大姫に普通に話し出す。
「小太郎が、しゃぼん玉を一緒に楽しみたいと話している。俺もしゃぼん玉を吹く。」
大姫は源義高を笑顔で見た。
海野小太郎幸氏は大姫と源義高を微笑んで見た。
源義高はしゃぼん玉で遊ぶ用意を普通に始めた。
海野小太郎幸氏はしゃぼん玉で遊ぶ用意を微笑んで始めた。
大姫はしゃぼん玉を笑顔で吹いた。
源義高はしゃぼん玉を普通の表情で吹いた。
海野小太郎幸氏はしゃぼん玉を微笑んで吹いた。
しゃぼん玉が幾つも飛んだ。
源義高はしゃぼん玉を吹くのを止めると、しゃぼん玉を普通の表情で見た。
海野小太郎幸氏はしゃぼん玉を吹くのを止めると、しゃぼん玉を微笑んで見た。
大姫はしゃぼん玉を吹くのを止めると、しゃぼん玉を笑顔で見た。
しゃぼん玉が川面に付いた。
川面に付くと同時に消えるしゃぼん玉。
川面を跳ねて岩に当たると同時に消えるしゃぼん玉。
川面を跳ねて川岸に当たって消えるしゃぼん玉。
しゃぼん玉は様々な姿を見せていく。
大姫はしゃぼん玉を笑顔で見た。
源義高はしゃぼん玉を普通の表情で見た。
海野小太郎幸氏はしゃぼん玉を微笑んで見た。
しゃぼん玉の姿は見えなくなった。
大姫は源義高と海野小太郎幸氏を見ると、笑顔で話し出す。
「義高様! 小太郎殿! 綺麗ですね!」
源義高は大姫を見ると、普通の表情で頷いた。
海野小太郎幸氏は大姫を見ると、微笑んで軽く礼をした。
源義高は大姫に普通に話し出す。
「大姫。しゃぼん玉は、“現れては直ぐ消える、儚いものの喩えにも用いる”そうだ。」
大姫は源義高に笑顔で話し出す。
「義高様は物知りですね!」
源義高は大姫に普通に話し出す。
「物知りと褒める内容ではない。」
大姫は源義高に笑顔で話し出す。
「義高様! しゃぼん玉に喩えられるものは何だと思いますか?!」
源義高は大姫を普通の表情で見た。
大姫は源義高を笑顔で見た。
源義高はしゃぼん玉を普通の表情で吹いた。
しゃぼん玉が幾つも飛んだ。
源義高はしゃぼん玉を吹くのを止めると、しゃぼん玉を普通の表情で見た。
大姫は源義高としゃぼん玉を笑顔で見た。
海野小太郎幸氏は、大姫、源義高、しゃぼん玉を微笑んで見た。
しゃぼん玉が川面に付いた。
川面に付くと同時に消えるしゃぼん玉。
川面を跳ねて岩に当たると同時に消えるしゃぼん玉。
川面を跳ねて川岸に当たって消えるしゃぼん玉。
しゃぼん玉は様々な姿を見せていく。
源義高はしゃぼん玉を見ながら、普通の表情で呟いた。
「俺、かな。」
海野小太郎幸氏は源義高を心配そうに見た。
大姫は源義高を見ると、不思議そうに話し出す。
「義高様。何か話しましたか?」
源義高は大姫を見ると、普通に話し出す。
「大姫の質問に答えた。」
大姫は源義高に微笑んで話し出す。
「姫は義高様の答えが聞こえませんでした。答えを教えてください。」
源義高は大姫に微笑んで話し出す。
「言わない。」
大姫は源義高に拗ねた様子で話し出す。
「義高様。酷いです。」
源義高は大姫に微笑んで話し出す。
「酷くない。」
大姫は源義高を拗ねた様子で見た。
源義高は海野小太郎幸氏に微笑んで話し出す。
「小太郎は俺の答えが聞こえたのか?」
海野小太郎幸氏は源義高に微笑んで話し出す。
「義高様の話す声は聞こえましたが、話の意味は分かりませんでした。私も大姫様と同じく、義高様の答えは分からないと思います。」
源義高は海野小太郎幸氏を微笑んで見た。
海野小太郎幸氏は源義高に微笑んで軽く礼をした。
大姫は源義高を残念そうに見た。
源義高は大姫と海野小太郎幸氏に普通に話し出す。
「俺も大姫も小太郎も、しゃぼん玉に喩えられないように生きよう。世間が、俺や大姫や小太郎を、しゃぼん玉に喩えたとしても、俺と大姫と小太郎は、しゃぼん玉と違うと自信を持って言えるように、生きよう。」
大姫は源義高を見ながら、真剣な表情で考え込んだ。
海野小太郎幸氏は大姫に微笑んで話し出す。
「大姫様。義高様の話す内容は難しいですか?」
大姫は海野小太郎幸氏を見ると、微笑んで話し出す。
「姫は義高様の許婚です。難しいけれど、分かります。」
源義高は大姫に普通に話し出す。
「大姫。本当に分かったのか?」
大姫は源義高に微笑んで話し出す。
「姫は義高様の許婚です。分かります。」
源義高は大姫に普通に話し出す。
「大姫。本当に分かったんだな。」
大姫は源義高を見ながら、真剣な表情で考え込んだ。
源義高は大姫を普通の表情で見た。
大姫は源義高に考え込んで話し出す。
「分かった、はずです。」
海野小太郎幸氏は源義高に微笑んで話し出す。
「今回の義高様の話した内容が本当の意味で分かるためには、幾年幾月が必要だと思います。」
源義高は海野小太郎幸氏に普通に話し出す。
「小太郎の言う通りだな。」
海野小太郎幸氏は大姫に微笑んで話し出す。
「大姫様。焦らず落ち着いて過ごしながら、答えを見付けましょう。」
大姫は海野小太郎幸氏に微笑んで話し出す。
「はい。」
海野小太郎幸氏は大姫を微笑んで見た。
源義高は大姫と海野小太郎幸氏を普通の表情で見た。
海野小太郎幸氏は源義高を微笑んで見た。
源義高は海野小太郎幸氏に普通の表情で頷いた。
すると切ない声が聞こえてきた。
「ねぇ、義高様・・・」
「先日の出来事ですが、しゃぼん玉を川の近くで吹きました・・・」
「川面に付くと、跳ねるしゃぼん玉がありました・・・」
「しゃぼん玉は様々な姿を見せました・・・」
「しゃぼん玉は綺麗でした・・・」
「ねぇ、義高様・・・」
「私は、しゃぼん玉のように生きているのでしょうか・・・?」
「私は、答えを見付けられるのでしょうか・・・?」
「義高様は既に答えを見付けているのでしょうか・・・?」
「ねぇ、義高様・・・」
* * * * * *
ここからは後書きになります。
今回の物語は、当初は「夢現」から始まる題名に関連する物語として書こうと思いました。
しかし、大姫、源義高、海野小太郎幸氏が、シャボン玉を楽しむ場面を現在の場所が分かるように書くのを控えたかったので、当時の鎌倉を舞台にして「番外編」で書きました。
今回の物語は、シャボン玉を比較的に用意しやすい設定になっています。
ご了承ください。
「シャボン玉(しゃぼんだま)」についてです。
「石鹸水をストローなどの管の先につけ、他の端から軽く吹くとできる気泡。気泡は空中を漂う事が多い。日光に当たると美しい色彩を見せる。」です。
「現れては直ぐ消える、儚いものの喩えにも用いる」です。
春の季語です。
「シャボン」の語源はポルトガル語の「sabao(シャボー、サボン)」だそうです。
石鹸が日本に初めて渡来したのは、天文十一年(1542年)〜天文十二年(1543年)といわれています。
石鹸が日本に初めて渡来した当時〜江戸時代中期頃の石鹸は、貴重品だったために、裕福な人でも、香りを楽しむ、皮膚病などの薬、として用いていたそうです。
その頃の庶民は、「無患子(むくろじ)の実」・「橡の木(とちのき)の実」などでシャボン玉を作っていたそうです。
江戸時代中期の寛文十二年(1672年)頃に、長崎商人がオランダから石鹸を輸入した事で、石鹸でシャボン玉が手軽に作れるようになったそうです。
延宝五年(1677年)頃から、江戸で「玉屋」というシャボン玉屋の行商が始まったそうです。
藁の芯をストロー代わりにして、日本初のシャボン玉遊びブームを生みだしたそうです。
シャボン玉の、作り方、遊び方、歴史、などについて、詳細に知りたい方は、各自でご確認ください。
「夢幻(むげん)」は「夢と幻。儚いものの喩え。」です。
楽しんで頂けると嬉しいです。
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