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鎌倉夢語り 〜 大姫と源義高 番外編 〜


〜 夢現 桃の節句と雛人形 〜


物語を始める前に、簡単ですが、今回の物語に登場する神社やお店などを説明します。

「鶴岡八幡宮」

鎌倉に在ります。

「若宮大路」・「段葛」を歩くと鶴岡八幡宮の鳥居の前に来ます。

境内には池や美術館や有名な大銀杏などが在ります。

一部の施設になりますが、大姫や源義高や海野小太郎幸氏の時代には在った八幡様です。

「舞殿」

鶴岡八幡宮の境内の中に在ります。

静御前が舞殿で舞を奉納したと伝えられています。

源義高の死後に造られました。

「会話のみ、または、舞台として登場する、物語の中のお店や施設」

2007年2月下旬〜4月、及び、2007年から数年前、の状況で書きました。

「補足」

2007年2月下旬〜4月、及び、2007年から数年前、の状況で物語を書いたため、掲載時、または、皆様がこの物語を読まれる時には、状況が変わっている可能性があります。


では、本文へどうぞ。




*      *      *      *      *      *




時は平成。


冬が終わろうとする頃。


ここは、鎌倉。


観光地や美味しい飲食店がたくさんあり、常に賑わっている。


今日は青空が広がっている。


ここは、鶴岡八幡宮。


境内。


たくさんの参拝客が居る。

たくさんの鳩が居る。


たくさんの参拝客の中に、二人の少年の姿が見える。


二人の少年の名前は、“義孝”と“幸氏”。


義孝は幸氏に普通に話し出す。

「桃の節句について調べるために鶴岡八幡宮に来るのは、不思議な感じがするな。」

幸氏は義孝に微笑んで話し出す。

「鶴岡八幡宮で雛人形を期間限定で特別展示しているから、桃の節句について調べるのに良い場所だろ。」

義孝は幸氏に微笑んで頷いた。

幸氏は義高を微笑んで見た。

義孝は幸氏に僅かに考え込んで話し出す。

「誘わずに、二人で鶴岡八幡宮に来て良かったのかな?」

幸氏は義孝に微笑んで話し出す。

「女の子は雛人形を喜んで見るから、誘った方が良かったな。」

義孝は幸氏に普通に話し出す。

「黙っていても分かるから、帰ったら話そう。」

幸氏は義孝に微笑んで頷いた。


義孝は普通に歩き出した。

幸氏は微笑んで歩き出した。


直後の事。


ここは、鶴岡八幡宮。


境内。


参拝客や関係者の姿は見えない。


大姫は境内を不思議な様子で見ている。


大姫は境内を見ながら、不思議な様子で呟いた。

「姫がいつも見る鶴岡八幡宮と違います。義高様と小太郎殿と来たのに、義孝様と小太郎殿が居ません。不思議です。」


大姫は境内を見ながら、不思議な様子で歩き出した。


僅かに後の事。


ここは、鶴岡八幡宮。


雛人形を特別展示する建物の傍。


義孝は普通に来た。

幸氏は微笑んで来た。


大姫が辺りを不思議な様子で見ている。


義孝は幸氏に普通に話し出す。

「姫ちゃんが居る。」

幸氏は義孝に微笑んで頷いた。

義孝は幸氏に普通に話し出す

「誰かを探しているのかな?」

幸氏は義孝に微笑んで話し出す。

「迷子になっている可能性が有る。姫ちゃんに確認しよう。」

義孝は幸氏に普通の表情で頷いた。


義孝は普通に歩き出した。

幸氏も普通に歩き出した。


直後の事。


ここは、鶴岡八幡宮。


雛人形を特別展示する建物の傍。


大姫は境内を不思議な様子で見ている。


義孝は微笑んで来た。

幸氏も微笑んで来た。


大姫は義孝と幸氏を見ると、義孝と幸氏に微笑んで話し出す。

「義孝お兄ちゃん。幸氏お兄ちゃん。こんにちは。」

幸氏は大姫に微笑んで話し出す。

「こんにちは。姫ちゃんは一人なの?」

大姫は幸氏に微笑んで話し出す。

「はい。」

幸氏は大姫に微笑んで話し出す。

「俺と義孝は、雛人形の特別展示を見るんだ。姫ちゃんも雛人形の特別展示を見る?」

大姫は幸氏に笑顔で話し出す。

「はい!」

幸氏は大姫に微笑んで話し出す。

「俺と義孝は、桃の節句を調べている関係で、雛人形や道具や説明を見ながら、話す時があるかも知れない。姫ちゃんは俺と義孝に遠慮せずに、雛人形を楽しんで見てね。」

大姫は幸氏に微笑んで話し出す。

「はい。」

幸氏は義孝を微笑んで見た。

義孝は幸氏に微笑んで頷いた。


大姫は微笑んで歩き出した。

義孝は普通に歩き出した。

幸氏は微笑んで歩き出した。


少し後の事。


ここは、鶴岡八幡宮。


雛人形を特別展示する建物。


大姫は雛人形や道具を笑顔で見ている。

義孝は雛人形や道具や説明を見ながら、幸氏と普通の表情で静かに話している。

幸氏は雛人形や道具の説明を見ながら、義孝と普通の表情で静かに話している。


僅かに後の事。


ここは、鶴岡八幡宮。


境内。


たくさんの参拝客が居る。

たくさんの鳩が居る。


たくさんの参拝客の中に、一人の少女の姿が見える。


少女の名前は分からないが、義孝と幸氏と良く一緒に居る。


少女は境内を見ながら、微笑んで呟いた。

「雛人形を見るのが楽しみだな。でも、義孝さんと幸氏さんは居ないから、楽しさが減る感じがするわ。」


境内の鳩が一斉に飛んだ。


少女は鳩の飛ぶ様子を微笑んで見た。


白鳩が青空を飛んでいる。


少女は微笑んで視線を戻した。


参拝客と関係者の姿が見えない。


少女は辺りを不思議な様子で見た。


源義高が舞殿の傍で、境内を不思議な様子で見ている。

海野小太郎幸氏も舞殿の傍で、境内を不思議な様子で見ている。


少女は微笑んで歩き出した。


同じ頃。


ここは、鶴岡八幡宮。


境内。


海野小太郎幸氏は境内を不思議な様子で見ている。

源義高も境内を不思議な様子で見ている。


海野小太郎幸氏は源義高を見ると、源義高に不思議な様子で話し出す。

「再び不思議な出来事が起きましたね。」

源義高は海野小太郎幸氏を見ると、海野小太郎幸氏に普に話し出す。

「大姫にも不思議な出来事が起きている可能性がある。大姫様を早く探そう。」

海野小太郎幸氏は源義高に微笑んで軽く礼をした。


少女は微笑んで来た。


源義高は少女を不思議な様子で見た。

海野小太郎幸氏も少女を不思議な様子で見た。

少女は源義高と海野小太郎幸氏に微笑んで話し出す。

「義高君。小太郎君。こんにちは。」

源義高は少女に微笑んで軽く礼をした。

海野小太郎幸氏も少女に微笑んで軽く礼をした。

少女は源義高と海野小太郎幸氏に微笑んで話し出す。

「これから雛人形の特別展示を見に行くの。義孝君と小太郎君も雛人形を見る?」

源義高は少女に普通に話し出す。

「これから姫を探します。姫が早く見付かれば、雛人形を見られるかも知れません。姫が見付かるまでに時間が掛かった場合は、雛人形は見られないかも知れません。」

少女は源義高に微笑んで話し出す。

「手伝おうか?」

源義高は少女に微笑んで話し出す。

「小太郎と二人で探せます。大丈夫です。お姉さんは雛人形の特別展示を見てください。」

少女は源義高と海野小太郎幸氏に微笑んで話し出す。

「またね。」

源義高は少女に微笑んで軽く礼をした。

海野小太郎幸氏も少女に微笑んで軽く礼をした。


少女は微笑んで居なくなった。


少し後の事。


ここは、鶴岡八幡宮。


雛人形を特別展示する建物。


幾人かも拝観者が居る。


少女は建物内を微笑んで見た。


義孝と小太郎の姿が見えた。


少女は微笑んで歩き出した。


同じ頃。


ここは、鶴岡八幡宮。


雛人形を特別展示する建物。


義孝は雛人形を普通の表情で見ている。

幸氏は雛人形を微笑んで見ている。


義孝は雛人形を見ながら、幸氏に普通の表情で静かに話し出す。

「勉強になるな。」

幸氏は義孝を見ると、微笑んで頷いた。


少女の明るめだが静かな声が、義孝と幸氏の後ろから聞こえた。

「義孝さん。幸氏さん。こんにちは。」


義孝は後ろを不思議な様子で見た。

幸氏も後ろを不思議な様子で見た。


少女は義孝と幸氏を微笑んで見ている。


少女は義孝と幸氏に微笑んで静かに話し出す。

「雛人形の特別展示を見に来たの。義孝さんと幸氏さんも見に来ていたのね。義孝さんと幸氏さんに逢えて嬉しいわ。」

幸氏は少女に微笑んで静かに話し出す。

「俺と義孝は、桃の節句について勉強するために、雛人形の特別展示を見に来たんだ。」

義孝は少女に普通の表情で頷いた。

少女は義孝と幸氏に微笑んで静かに話し出す。

「一緒に見ても良い?」

幸氏は少女に普通の表情で静かに話し出す。

「姫ちゃんが一緒に居るんだ。」

少女は建物内を不思議な様子で見た。


大姫の姿は見えない。


少女は建物内を見ながら、義孝と幸氏に不思議な様子で静かに話し出す。

「姫ちゃんも来ているの?」

幸氏は建物内を不思議な様子で見た。


大姫の姿は見えない。


幸氏は建物内を見ながら、義孝に不思議な様子で静かに話し出す。

「姫ちゃんの姿が見えないわ。」

幸氏も建物内を不思議な様子で見た。


大姫の姿は見えない。


義孝は建物内を不思議な様子で見た。

幸氏は義孝を不思議な様子で見た。

義孝は出入り口を不思議な様子で見た。

少女は義孝に不思議な様子で静かに話し出す。

「義孝さん。何か遭ったの?」

義孝は出入り口を見ながら、少女に不思議な様子で静かに話し出す。

「姫ちゃんが出て行く姿が見えたような気がする。」

少女は義孝と幸氏に微笑んで静かに話し出す。

「境内で、義高君と小太郎君と会ったの。義高君と小太郎君の元に戻ったのかも知れないわね。」

幸氏は義孝に微笑んで静かに話し出す。

「義高君と小太郎君が、建物の出入り口の付近から様子を見ていたのかな?」

義孝は幸氏を見ると、幸氏に普通の表情で静かに話し出す。

「かも知れない。」

少女は義孝と幸氏を微笑んで見た。

幸氏は義孝と少女に微笑んで静かに話し出す。

「雛人形の特別展示を三人で見よう。」

義孝は幸氏に普通の表情で頷いた。

少女は幸氏に微笑んで頷いた。


時は戻る。


ここは、平成時代を生きる人達が鎌倉時代と呼ぶ頃。


ここは、鎌倉。


鶴岡八幡宮。


境内。


大姫は元気良く走っている。


源義高は普通に歩いている。

海野小太郎幸氏は微笑んで歩いている。


大姫は元気良く止まった。


源義高は普通に止まった。

海野小太郎幸氏は微笑んで止まった。


大姫は源義高と海野小太郎幸氏に笑顔で話し出す。

「たくさんの雛人形を見ました! とても素敵でした!」

源義高は大姫を普通の表情で見た。

海野小太郎幸氏は大姫を微笑んで見た。

大姫は源義高に笑顔で話し出す。

「姫も早くお雛様になりたいです! 義高様と姫で、お内裏様とお雛様になりたいです!」

源義高は大姫に普通に話し出す。

「大姫。長い話になるだろ。話の続きは、帰る途中で聞く。」

大姫は源義高に笑顔で話し出す。

「はい!」

海野小太郎幸氏は大姫と源義高を微笑んで見た。


大姫は笑顔で歩き出した。

源義高は普通に歩き出した。

海野小太郎幸氏は微笑んで歩き出した。


切ない声が聞こえてきた。

「ねぇ、義高様・・・」

「たくさんのお内裏様とたくさんのお雛様を見ました・・・」

「たくさんのお内裏様とたくさんのお雛様は、とても素敵でした・・・」

「たくさんのお内裏様とたくさんのお雛様を、義高様と見たかったです・・・」

「ねぇ、義高様・・・」

「あの日は、不思議な時間に感じたけれど、楽しい時間にも感じました・・・」

「義高様も不思議な時間に感じましたか・・・?」

「義高様も楽しい時間に感じましたか・・・?」

「ねぇ、義高様・・・」




*      *      *      *      *      *




ここからは後書きになります。

「桃の節句」や「雛祭り」の前後の頃の物語です。

「上巳の節句(じょうしのせっく)」、「桃の節句(もものせっく)」についてです。

「上巳の節句」は五節句の一つで、元々は三月上旬の巳の日でしたが、後に三月三日に行われるようになったそうです。

旧暦では三月三日は桃の花が咲く季節であることから「桃の節句」とも言われています。

古来中国では、上巳の日に川で身を清め不浄を祓う習慣があったそうです。

これが平安時代に日本に取り入れられたそうです。

後に紙で小さな人の形(形代[かたしろ])を作って、それに穢れを移し、川や海に流して不浄を祓うようになったそうです。

この風習は、現在では「流し雛(ながしびな)」として残っています。

「雛祭り(ひなまつり)」についてです。

女の子の健やかな成長を願う伝統行事です。

女の子のいる家庭では、雛人形を飾り、白酒・菱餅・あられ・花などを供に祀ります。

「上巳の日」には、人形に穢れを移して川や海に流していましたが、その人形が次第に精巧なものになって流さずに飾っておくようになり、「雛祭り」として発展して行うようになったそうです。

「雛祭り」は、始めは宮中や貴族の間で行われていましたが、やがて武家社会でも行われるようになり、江戸時代には庶民も行う行事となったそうです。

元々は、五月五日の端午の節句とともに男女の別なく行われていましたが、江戸時代頃から豪華な雛人形は女の子に属するものとされて、端午の節句は菖蒲の節句ともいわれることから、「尚武(しょうぶ)」にかけて男の子の節句とされるようになったそうです。

「雛人形」を飾るようになったのは、室町時代の頃からといわれています。

現在に近い「雛祭り」になったのは、庶民の間でも行うようになった江戸時代の後期あたりといわれています。

七段飾りもこの頃に登場したようです。

雛人形の道具は、本物を小さくしただけという道具をたくさん見ました。

「雛あられ」は、意外と新しい食べ物のようです。

明治の頃に京都で発祥した風習というか食べ物のようです。

「雛あられ」は「桜餅」と同じく、「関東風」と「関西風」があるそうです。

「関西風」は、小粒のあられです。

「関東風」は、お米をポンとはぜたポン菓子なので、お米の形をしています。

「雛祭り」で昔から食べられていた物に「草餅」があります。

昔は「草餅」に「母子草(ははこぐさ)」を使用していたそうです。

「母と子を一緒に搗く」と言う言葉を連想して、縁起が良くないという事で、江戸時代の頃から「蓬(よもぎ)」で「草餅」を作るようになったそうです。

この物語は、現在の暦と旧暦の二つの暦が登場します。

基本的には、大姫と源義高と海野小太郎幸氏は、旧暦を基準に過ごし、義孝と幸氏少女は、現在の暦を基準に過ごしています。

「夢現(ゆめうつつ)」は、「夢と現実。夢とも現実とも区別のつかない状態。」という意味です。

楽しんで頂けると嬉しいです。





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