鎌倉夢語り　〜　大姫と源義高　番外編　〜


〜　夢現　春の鎌倉　夢見草の花の咲く頃　〜


物語を始める前に。

簡単になりますが、この物語に登場する神社やお店などを説明します。

「鶴岡八幡宮」

鎌倉に在ります。

「若宮大路」・「段葛」を歩くと鶴岡八幡宮の鳥居の前に来ます。

現在の境内には、池や美術館や有名な大銀杏などが在ります。

一部の施設になりますが、大姫や源義高や海野小太郎幸氏の時代には在った八幡様です。

「大銀杏」、「源氏池」、「平家池」は、大姫達の時代には在りました。

「段葛」

鎌倉の若宮大路の中央に在る一段高い参道です。

「段葛」を歩くと鶴岡八幡宮に着きます。

大姫の弟の万寿（後の源頼家）の安産祈願のために造られたそうです。

大姫や源義高や海野小太郎幸氏達の時代に造られた参道です。

「一ノ鳥居」は、由比ヶ浜の傍に在ります。

「二ノ鳥居」は、鎌倉駅の近くに在ります。

「三ノ鳥居」は、鶴岡八幡宮の前に在ります。

現在は、「二ノ鳥居」から「三ノ鳥居」までの「段葛」の一部が残されています。

「岩船地蔵堂」

この地蔵堂には３０ｃｍ前後のお地蔵様が祀られているそうです。

大姫の守り本尊として知られています。

一説には、大姫の妹の三幡姫の守り本尊ともいわれているそうです。

いつから在るのか確認は取れませんでしたが、源義高の死後に造られたと思われます。

２００５年頃から数年ほど前に、新しい外装に建て替えられました。

「会話のみ、または、舞台として登場する、物語の中のお店や施設」

２００８年３月の時点で書きました。

「補足」

２００８年３月時点の状況で物語を書きました。

掲載時、または、皆様がこの物語を読まれる時には、状況が変わっている可能性があります。


本文へどうぞ。




＊　　　　　　＊　　　　　　＊　　　　　　＊　　　　　　＊　　　　　　＊




時は平成。


季節は春。


ここは、鎌倉。


たくさんの種類の桜の花が咲き始めた。


たくさんの観光客や地元の人達で賑わっている。


ここは、鎌倉駅。


改札付近。


二人の少年と一人の少女が、たくさんの人達に混じって居る。


一人の少年は、普通の表情で居る。

一人の少年は、微笑んで居る。

少女も微笑んで居る。


二人の少年の名前は、義孝と幸氏。

少女の名前は分からない。


少女は義孝と幸氏に微笑んで話し出す。

「染井吉野の花が咲く頃よね。染井吉野の花が咲いたら、段葛に咲く桜の花と鶴岡八幡宮の源氏池に咲く桜の花が、見たいな。」

義孝は幸氏と少女に考えながら話し出す。

「週末の鎌倉は込む。桜の見頃と週末が重なると、更に込む。」

幸氏は義孝と少女に微笑んで話し出す。

「平日ならば大丈夫だと思うんだ。」

義孝は幸氏と少女に普通の表情で頷いた。

少女に義孝と幸氏に微笑んで話し出す。

「平日に出掛けましょう。」

義孝は少女に普通の表情で頷いた。

幸氏は少女に微笑んで頷いた。

少女は義孝と幸氏を微笑んで見た。


同じ頃。


ここは、岩船地蔵堂。


大姫は微笑んで居る。

源義高は普通の表情で居る。

海野小太郎幸氏は微笑んで居る。


大姫は源義高と海野小太郎幸氏に微笑んで話し出す。

「義高様。小太郎殿。染井吉野の花が咲く頃ですね。」

源義高は大姫に普通の表情で頷いた。

海野小太郎幸氏は大姫に微笑んで軽く礼をした。

大姫は源義高と海野小太郎幸氏に微笑んで話し出す。

「段葛に咲く桜の花と源氏池に咲く桜の花が、見たいです。」

源義高は大姫に普通に話し出す。

「源氏池に咲く桜の花は見たい。」

大姫は源義高と海野小太郎幸氏に微笑んで話し出す。

「今年の鶴岡八幡宮は、桜の花と牡丹の花が一緒に見られると思います。」

海野小太郎幸氏は源義高に微笑んで話し出す。

「義高様。楽しみですね。」

源義高は海野小太郎幸氏に普通の表情で頷いた。

海野小太郎幸氏は源義高を微笑んで見た。

大姫は源義高を笑顔で見た。

海野小太郎幸氏は大姫と源義高を微笑んで見た。

源義高は大姫と海野小太郎幸氏に普通に話し出す。

「詳細は、染井吉野の花が咲いてから決める。」

大姫は源義高に笑顔で話し出す。

「はい！」

海野小太郎幸氏は源義高に微笑んで軽く礼をした。

源義高は大姫と海野小太郎幸氏を普通の表情で見た。


幾日か後の事。


ここは、鎌倉。


染井吉野の花が満開になって咲く姿が、たくさんの場所で見られるようになった。


ここは、鶴岡八幡宮。


ぼたん庭園。


入り口。


義孝は料金を普通の表情で払っている。

幸氏は料金を微笑んで払っている。

少女も料金を微笑んで払っている。


直後の事。


ここは、鶴岡八幡宮。


ぼたん庭園。


庭園内。


義孝は普通に入ってきた。

幸氏は微笑んで入ってきた。

少女も微笑んで入ってきた。


少女は義孝と幸氏に微笑んで話し出す。

「牡丹の花が咲いているね。」

義孝は少女に普通の表情で頷いた。

幸氏は少女に微笑んで頷いた。

少女は義孝と幸氏に微笑んで話し出す。

「平日の関係だと思うけれど、人がほとんど居ないわね。」

義孝は少女に普通に話し出す。

「今の時季は、桜や椿は思い出すけれど、牡丹は思い出さない、と思う。牡丹を見るために訪れるのは、少し先だと思う。」

幸氏は義孝に微笑んで話し出す。

「確かに牡丹の花の見頃とは違うよね。」

少女は義孝と幸氏に微笑んで頷いた。

義孝は空を普通の表情で見た。


青空の中に白い雲がゆったりと浮かんでいる。


義孝は源氏池を普通の表情で見た。


源氏池で白い鳥が休んでいる。


義孝は白い鳥を見ながら、考えながら呟いた。

「鳥の種類。何かな？」


白い鳥はゆったりとした様子で休み始めた。


義孝は横を普通の表情で見た。


幸氏の姿が見えない。

少女の姿も見えない。


義孝は辺りを不思議な様子で見た。


ぼたん庭園に居る観光客の姿が見えない。

源氏池の周辺に居る観光客の姿も見えない。


義孝の横から、大姫の元気の良い声が聞こえた。

「義孝お兄ちゃん！　こんにちは！」


義孝は横を微笑んで見た。


大姫は笑顔で居る。


大姫は義孝に笑顔で話し出す。

「桜の花も牡丹の花も、綺麗に咲いていますね！」

義孝は大姫に微笑んで話し出す。

「姫ちゃん。こんにちは。桜の花も牡丹の花も、綺麗に咲いているね。」

大姫は義孝を笑顔で見た。

義孝は大姫に微笑んで話し出す。

「義高君と小太郎君と一緒に来たのかな？」

大姫は義孝に笑顔で話し出す。

「はい！」

義孝は大姫を微笑んで見た。

大姫は義孝に微笑んで話し出す。

「お兄ちゃんは、幸氏お兄ちゃんとお姉ちゃんと一緒に来ましたか？」

義孝は大姫に微笑んで頷いた。

大姫は義孝に微笑んで話し出す。

「染井吉野の花の見頃は短いです。他の場所にも出掛けますよね。」

義孝は大姫に微笑んで話し出す。

「今日は、段葛の桜と鶴岡八幡宮の源氏池の桜について話したんだ。段葛の桜の花と鶴岡八幡宮の桜の花を見た後に、他の出掛ける場所について話すと思う。」

大姫は義孝に微笑んで話し出す。

「姫は戻ります。別な日にゆっくりと話したいです。」

義孝は大姫に微笑んで話し出す。

「別な日にゆっくりと話そうね。」

大姫は義孝に笑顔で軽く礼をした。

義孝は大姫に微笑んで頷いた。


大姫は笑顔で、静かに居なくなった。


義孝は辺りを不思議な様子で見た。


ぼたん庭園に居た観光客は、先程の続きの言動をしている。

源氏池の周辺に居た観光客は、先程と同じ言動をしている。


義孝の横から、幸氏の不思議な様子の声が聞こえた。

「義孝。何か遭ったのか？」


義孝は横を不思議な様子で見た。


幸氏は義孝を不思議な様子で見ている。


義孝は幸氏に不思議な様子で話し出す。

「少し前に、姫ちゃんに逢ったんだ。姫ちゃんから、染井吉野の花の咲く期間は短いから、別な場所に出掛けるか質問されたんだ。俺は、段葛の桜の花と鶴岡八幡宮の桜の花を見た後に、別の出掛ける場所について話す、と話したんだ。姫ちゃんは、出掛ける場所が在るらしくて、別な日にゆっくりと話したい、と話したんだ。俺は姫ちゃんに了承の返事をしたんだ。姫ちゃんは俺の返事を聞いて直ぐに居なくなったんだ。」

少女は義孝に微笑んで話し出す。

「何ヶ所も出掛けるならば、時間が必要よね。急いで居なくなる気持ち。分かるわ。」

幸氏は少女に微笑んで頷いた。

義孝は少女を見ると、少女に普通の表情で頷いた。

少女は義孝と幸氏に微笑んで話し出す。

「ぼたん庭園を見終わったら、段葛を歩きながら、次に行く場所を考えましょう。」

義孝は少女に微笑んで頷いた。

幸氏も少女に微笑んで頷いた。


義孝は牡丹の花と桜の花を見ながら、普通の表情で歩き出した。

幸氏は牡丹の花と桜の花を見ながら、微笑んで歩き出した。

少女も牡丹の花と桜の花を見ながら、微笑んで歩き出した。


僅かに後の事。


ここは、鶴岡八幡宮。


ぼたん庭園。


庭園内。


源義高は僅かに呆れた様子で居る。

海野小太郎幸氏は微笑んで居る。


源義高は海野小太郎幸氏に呆れて話し出す。

「大姫は、桜の花と牡丹の花を、笑顔で見ながら、突然に居なくなった。」

海野小太郎幸氏は源義高に不思議な様子で話し出す。

「はい。」

源義高は辺りを呆れた様子で見た。


大姫は笑顔で、静かに現れた。


源義高は大姫を呆れて見た。

海野小太郎幸氏は大姫を見ると、大姫に微笑んで軽く礼をした。

大姫は源義高と海野小太郎幸氏に笑顔で話し出す。

「義高様！　小太郎殿！　戻りました！」

源義高は大姫に呆れて話し出す。

「大姫。突然に居なくなるな。俺も小太郎も、困るだろ。」

大姫は源義高に笑顔で話し出す。

「はい！」

源義高は大姫を呆れて見た。

海野小太郎幸氏は源義高に微笑んで話し出す。

「義高様。大姫様は直ぐに戻られました。良かったですね。」

源義高は海野小太郎幸氏を見ると、海野小太郎幸氏に普通の表情で頷いた。

大姫は源義高と海野小太郎幸氏に笑顔で話し出す。

「平日のためだと思いますが、ぼたん庭園が落ち着いた雰囲気です！　良かったですね！」

海野小太郎幸氏は大姫と源義高に微笑んで話し出す。

「はい。」

源義高は大姫に普通の表情で頷いた。

大姫は源義高と海野小太郎幸氏に笑顔で話し出す。

「義高様！　小太郎殿！　染井吉野の花の見頃は短いです！　他に見たい桜の花の咲く場所が在ります！　義高様の見たい桜の花の咲く場所が在ったら出掛けましょう！　小太郎殿の見たい桜の花の咲く場所が在ったら出掛けましょう！」

源義高は海野小太郎幸氏を普通の表情で見た。

海野小太郎幸氏は大姫と源義高に微笑んで話し出す。

「義高様。お二人で決めてください。」

大姫は源義高に笑顔で話し出す。

「姫は義高様の見たい桜の花の咲く場所に出掛けたいです！」

源義高は大姫と海野小太郎幸氏に普通に話し出す。

「分かった。少し考えたい。」

大姫は源義高に笑顔で話し出す。

「はい！」

海野小太郎幸氏は源義高に微笑んで軽く礼をした。

源義高は源氏池に咲く桜の花を普通の表情で見た。

大姫は、源義高、海野小太郎幸氏、源氏池に咲く桜の花を、笑顔で見た。

海野小太郎幸氏は、大姫、源義高、源氏池に咲く桜の花を、微笑んで見た。


すると、切ない声が聞こえてきた。

「ねぇ、義高様・・・」

「源氏池に咲く夢見草の花は綺麗でしたね・・・」

「段葛に咲く夢見草の花も綺麗でしたね・・・」

「鎌倉に咲くたくさんの夢見草の花は綺麗でしたね・・・」

「義高様も夢見草の花の咲く様子を笑顔で見ていましたね・・・」

「嬉しかったです・・・」

「ねぇ、義高様・・・」

「不思議だけど穏やかな時間でしたね・・・」

「現のような夢のような出来事に感じますね・・・」

「義高様も同じ感じを抱きましたか・・・？」

「ねぇ、義高様・・・」




＊　　　　　　＊　　　　　　＊　　　　　　＊　　　　　　＊　　　　　　＊




こからは後書きになります。

この物語は、大姫、源義高、海野小太郎幸氏が登場しますが、基本的には平成時代の鎌倉が舞台です。

物語の設定は、平成時代の状況に合わせて書きました。

「夢現（ゆめうつつ）」についてです。

「夢と現実。夢とも現ともつかない状態。」という意味です。

「夢現」を分けると、「夢（ゆめ）」と「現（うつつ）」になります。

「現」は「現実」の意味があります。

「現」は「夢」に対して良く使われる言葉です。

「夢見草（ゆめみぐさ）」についてです。

「桜（さくら）」の別名です。

楽しんで頂けると嬉しいです。





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