鎌倉夢語り　〜　大姫と源義高　編　〜


〜　段葛の桜道　夢の中　〜


〜　改訂版　〜


源義高と海野小太郎幸氏が鎌倉に着てから間もない頃の事。


鎌倉の町では桜の花が咲いている。

青空が広がり気持ちの良い一日となっている。


ここは鎌倉の町に在る小御所。


小御所の庭の桜の花は、桜の花は散り始めているが、綺麗な姿で咲いている。


源義高と海野小太郎幸氏は、庭に有る桜の木の下に居る。

源義高は青空を見ながら、海野小太郎幸氏に微笑んで話し出す。

「良い天気だな。」

海野小太郎幸氏は青空を見ながら、源義高に微笑んで話し出す。

「はい。」

源義高は桜の木を微笑んで見た。


桜の花は散りながらも綺麗な姿で咲いている。


源義高は桜の花を見ながら、海野小太郎幸氏に微笑んで話し出す。

「小御所の桜の花は、まだ綺麗に咲いているな。」

海野小太郎幸氏は桜の花を見ると、源義高に微笑んで話し出す。

「はい。」

源義高は海野小太郎幸氏を見ると、微笑んで話し出す。

「小太郎は、さっきから“はい”しか言わないな。他に感想は無いのか？」

海野小太郎幸氏は源義高を見ると、微笑んで話し出す。

「すいません。次から気を付けます。」

源義高は海野小太郎幸氏に微笑んで話し出す。

「小太郎は今のままで良いよ。謝る必要は無いよ。」

海野小太郎幸氏は源義高に微笑んで話し出す。

「はい。」

源義高は海野小太郎幸氏を微笑んで見た。

海野小太郎幸氏は源義高に微笑んで軽く礼をした。


少し離れた場所から大姫の明るい声が聞こえてきた。

「義高様〜！　小太郎殿〜！」

源義高は大姫の声の聞こえる方向を、普通の表情で見た。

海野小太郎幸氏は大姫の声の聞こえる方向を、微笑んで見た。


大姫が源義高と海野小太郎幸氏の元に向かって、笑顔で走ってくる姿がある。


源義高は大姫の様子を普通の表情で見ている。

海野小太郎幸氏は大姫の様子を微笑んで見ている。


大姫は源義高と海野小太郎幸氏の前に笑顔で来た。

源義高は大姫を普通の表情で見ている。

海野小太郎幸氏は大姫を微笑んで見ている。

大姫は源義高に笑顔で話し出す。

「お部屋に居ないから探しました！　今日はお庭に居らっしゃったのですね！」

源義高は大姫に普通に話し出す。

「俺の部屋から庭は見えるだろ。どこを探していたんだ？」

大姫は源義高に笑顔で話し出す。

「義高様がお部屋に居ない時は、お出掛けしているか、お稽古をしている事が多いです！　お庭に居るとは思いません！」

源義高は大姫を普通の表情で見た。


風が吹いた。

桜の花びらが風ら乗って舞い始めた。


大姫は桜の花を微笑んで見た。

青空と陽の光が、桜の花を透き通るような淡い色に染めている。

大姫は源義高を見ると、笑顔で話し出す。

「義高様！　桜が綺麗ですね！」

源義高は大姫に普通の表情で頷いた。

大姫は源義高に笑顔で話し出す。

「空の色も綺麗ですね！」

源義高は大姫に普通の表情で頷いた。

海野小太郎幸氏は源義高と大姫の様子を、笑いを堪えながら見ている。

源義高は海野小太郎幸氏を見ると、不思議そうに話し出す。

「小太郎。何か可笑しくなる事でもあるのか？」

海野小太郎幸氏は源義高に微笑んで話し出す。

「何もありません。ご安心ください。」

源義高は海野小太郎幸氏を不思議そうに見た。

大姫は源義高と海野小太郎幸氏に笑顔で話し出す。

「義高様！　小太郎殿！　段葛にお出掛けしましょう！」

源義高は大姫を見ると、普通に話し出す。

「今から段葛に出掛けるのか？」

大姫は源義高に笑顔で話し出す。

「はい！」

源義高は大姫を普通の表情で見た。

大姫は源義高を笑顔で見た。

源義高は大姫に普通に話し出す。

「わかった。」

大姫は源義高と海野小太郎幸氏に笑顔で話し出す。

「三人で一緒に段葛にお出掛け出来ますね！　楽しみです！」

源義高は海野小太郎幸氏を普通の表情で見た。

海野小太郎幸氏は源義高を微笑んで見た。

大姫は源義高の手を取ると、笑顔で歩き出した。

源義高は大姫に手を引かれながら、不思議そうに話し出す。

「段葛まで歩いていくのか？」

大姫は源義高の手を引きながら、笑顔で話し出す。

「はい！」

源義高は大姫に手を引かれながら、海野小太郎幸氏を困惑した表情で見た。

海野小太郎幸氏は源義高を微笑んで見た。


それから暫く後の事。


ここは段葛。


大姫、源義高、海野小太郎幸氏は、段葛に到着した。

源義高は段葛を普通の表情で見た。


段葛は一本の真っ直ぐな道になっている。

桜の枝が段葛を覆っている。

桜の花はかなり散ってしまったが、風が吹くと、枝に残っている桜の花びらが舞い始める。

舞い落ちた桜の花びらは、段葛を所々に桜色に染めていく。


源義高は段葛を見ながら微笑んで呟いた。

「綺麗だな。」

大姫は源義高に笑顔で話し出す。

「綺麗ですよね！　桜の満開の頃は、もっと綺麗です！」

源義高は大姫を普通の表情で見た。

大姫は源義高に笑顔で話し出す。

「義高様！　段葛を一緒に歩きたいです！」

源義高は大姫に不思議そうに話し出す。

「段葛を往復するのか？」

大姫は源義高に笑顔で話し出す。

「途中まで歩いて戻ってきましょう！」

源義高は大姫に普通の表情で頷いた。

大姫は源義高に笑顔で話し出す。

「義高様と一緒に段葛を歩く事が出来て嬉しいです！」

源義高は大姫を普通の表情で見た。

大姫は嬉しそうにしている。

源義高は海野小太郎幸氏の耳元に顔を近づけると、普通の表情で囁いた。

「断ると大姫が騒ぎそうだから、望み通りにする。小太郎は付いてこなくていいぞ。」

海野小太郎幸氏は源義高に微笑んで軽く礼をした。

大姫は源義高の手を取ると、笑顔で歩き出した。

源義高は大姫に手を引かれながら、普通の表情で歩き出した。

大姫は源義高の手を掴んだまま立ち止まると、海野小太郎幸氏に不思議そうに話し出す。

「小太郎殿は一緒に来ないのですか？」

海野小太郎幸氏は大姫に微笑んで話し出す。

「私はここでお二人が戻って来られるのをお待ちしています。ゆっくりと楽しんできてください。」

大姫は源義高の手を掴んだまま、海野小太郎幸氏に笑顔で話し出す。

「はい！」

海野小太郎幸氏は大姫を微笑んで見た。

大姫は源義高の手を掴みながら、海野小太郎幸氏に笑顔で話し出す。

「小太郎殿！　行ってきます！」

海野小太郎幸氏は大姫に微笑んで軽く礼をした。

大姫は源義高の手を掴みながら、笑顔で歩き出した。

源義高は大姫に手を引かれながら、普通の表情で歩き出した。


大姫と源義高は、手を繋ぎながら、舞い落ちた桜の花びらの残る段葛を歩いている。

大姫は源義高と手を繋ぎながら、嬉しそうに歩いている。

源義高は大姫と手を繋ぎながら、普通の表情で歩いている。

桜の花びらが、大姫と源義高の元に時折舞い落ちてくる。

大姫は源義高と手を繋ぎながら、桜の花びらの舞う様子を笑顔で見た。

源義高は大姫と手を繋ぎながら、桜の花びらの舞う様子を普通の表情で見た。


大姫と源義高は、段葛に在る三つの鳥居の内の二ノ鳥居に来た。

二ノ鳥居には大きな白い狛犬が居る。

大姫は狛犬を見ながら、源義高に笑顔で話し出す。

「大きな狛犬ですよね！」

源義高は狛犬を見ながら、大姫に普通に話し出す。

「姫より大きいな。」

大姫は源義高を見ると、笑顔で話し出す。

「義高様よりも大きい狛犬ですね！」

源義高は大姫を見ると、普通に話し出す。

「台座を含めると、大姫の言う通りになるな。」

大姫は源義高を笑顔で見た。

源義高は先程歩いてきた方向を、普通の表情で見た。

大姫は源義高に笑顔で話し出す。

「義高様！　来年は桜が満開の時に段葛を歩きますよ！　再来年もまた次の年も満開の桜の時に段葛を歩きますよ！」

源義高は大姫を見ると、普通に話し出す。

「覚えていれば、一緒に歩くよ。」

大姫は源義高に笑顔で話し出す。

「約束です！　だから忘れてはいけません！」

源義高は大姫に普通に話し出す。

「いつの間に約束したんだ？」

大姫は源義高に笑顔で話し出す。

「狛犬の前での約束です！　だから忘れてはいけません！」

源義高は狛犬を一瞥すると、大姫を見て、普通の表情で頷いた。

大姫は源義高に笑顔で手を差し出した。

源義高は大姫の手を普通の表情で握った。

大姫と源義高は、先程歩いてきた方向を、逆に向かって歩き出した。


大姫と源義高は、手を繋ぎながら海野小太郎幸氏の元に戻ってきた。

海野小太郎幸氏は大姫と源義高に微笑んで話し出す。

「お帰りなさいませ。」

源義高は大姫と手を繋ぎながら、海野小太郎幸氏に普通の表情で頷いた。

大姫は源義高と手を繋ぎながら、海野小太郎幸氏を笑顔で見た。

源義高と大姫は、手を離した。

源義高は海野小太郎幸氏に普通に話し出す。

「来年からは桜が満開の時期に段葛を必ず歩くそうだ。大姫と知らないうちに約束してしまった。小太郎が忘れずに覚えておいてくれ。」

海野小太郎幸氏は源義高に微笑んで話し出す。

「承知しました。」

源義高は海野小太郎幸氏に普通の表情で頷いた。


大姫、源義高、海野小太郎幸氏の三人は、小御所へと戻っていった。


段葛に風が吹いた。

たくさんの桜の花びらが風に乗って段葛に舞い落ちた。


切ない声が聞こえてきた。

「ねぇ、義高様・・・」

「義高様と段葛を一緒に歩く事が出来て、とても嬉しかったです・・・」

「あの時の出来事は、今でも夢のように思えます・・・」

「たとえ夢だとしても、私はとても嬉しかったです・・・」

「ねぇ、義高様・・・」

「二人で一緒に段葛を歩く事が出来て嬉しかったですか・・・？」

「義高様は桜をずっと見ていましたね・・・」

「あの時の私の話を覚えていますか・・・？」

「二人がもう少し大きかったら、何か違っていたのでしょうか・・・？」

「何も変わらなかったのでしょうか・・・？」

「義高様と段葛に咲く桜を見ながら、もっとお話しがしたかったです・・・」

「ねえ、義高様・・・」




＊　　　　　　＊　　　　　　＊　　　　　　＊　　　　　　＊　　　　　　＊




ここからは後書きになります。

この物語は、既に掲載している物語の改訂版です。

物語の展開や雰囲気を出来るだけ残しながら改訂しました。

改訂前の物語を掲載するのは止めました。

以上の点、ご了承願います。

ここからは改訂前の後書きを加筆訂正しながら書いていきます。

鎌倉の鶴岡八幡宮の段葛は、春になると桜のトンネルになります。

桜の咲く時期の段葛はとても綺麗です。

大姫と源義高の二人が歩いたら、楽しみながら歩いただろうなと考えました。

しかし、ここでいくつか問題が出てきました。

一つ目です。

この段葛の桜は、「染井吉野（そめいよしの）」です。

「染井吉野（そめいよしの）」は、江戸時代末期頃に見掛けるようになった桜だそうです。

広く知られるようになったのは、江戸時代末期から明治時代初期に掛けてのようです。

そう考えると、大姫達が生きていた時代には、鎌倉では見る事の出来ない桜になります。

二つ目です。

大姫達の時代の段葛に桜の木が植わっていたのかという疑問も出てきました。

この点についても確認が取れませんでした。

三つ目です。

段葛には狛犬が居ます。

現在は二の鳥居の入り口に狛犬が居ます。

大姫達の時代に段葛に狛犬が居たとしたら、段葛の入口と出口に居ると思います。

そうすると、繋がっている段葛の途中の二ノ鳥居に、狛犬が居るのかという疑問が出てきました。

これは疑問というより、時期的な話なのですが、源義高と海野小太郎義高が鎌倉に着た頃には、桜の季節は終わっているか、ほぼ終わりの頃の可能性が高いです。

いろいろな事が疑問などで出てきました。

大姫と源義高の二人が、段葛の桜のトンネルを歩いて、狛犬の前で約束をする。

この場面が書きたいと思い、いろいろと考えました。

確認が取れないということは、こういう出来事があったと考える事も出来ます。

逆に確認が取れても、昔の事なので否定も肯定もどちらも出来ます。

物語を書いても差し支えないかなと考えて、書く事にしました。

大姫と源義高と海野小太郎幸氏の三人は、小御所から段葛に歩いて出掛けます。

当時の三人が住んでいた小御所の場所は、鶴岡八幡宮から差ほど遠くない場所だったようです。

現在の道とはなりますが、実際に歩いて出掛ける事の出来る距離です。

この物語は、源義高が鎌倉に着た直ぐの桜の季節を想像しながら書きました。

桜を見つめる三人三様の思い。

ありえるような、ありえないような、悲しいような、幸せなような、不思議な物語になりました。

楽しんで頂けると嬉しいです。





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