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鎌倉夢語り 〜 大姫と源義高 編 〜
〜 梅雨の晴れ間に 紫陽花咲いて 〜
〜 改訂版 〜
ここは鎌倉の町。
数日間ほど雨の降る日が続いていた。
今日は朝から晴れ間の続く穏やかな天気となっている。
ここは小御所。
源義高の部屋の前に在る小御所の庭。
源義高と海野小太郎幸氏は、弓の稽古を行っている。
海野小太郎幸氏は的を射る準備をしている。
源義高は海野小太郎幸氏の動きを真剣な表情で見ている。
海野小太郎幸氏は真剣な表情で弓に矢を番えた。
真剣な表情のまま、矢を番えながら弓をゆっくりと上げた。
的を真剣な表情で見ながら、弓を引いて狙いをつけた。
弦から手を離した瞬間に、矢は的に向かって勢い良く飛んで行った。
海野小太郎幸氏の放った矢は、的の中心に当たった。
海野小太郎幸氏は弓を持ちながら、源義高を真剣な表情で見た。
源義高は海野小太郎幸氏に真剣な表情で頷いた。
海野小太郎幸氏は弓を持ちながら、的の前から離れた。
源義高は弓を持ちながら、真剣な表情で的の前に立った。
源義高は真剣な表情のまま、弓に矢を番えた。
的を真剣な表情で見ながら、弓を引いて狙いをつけた。
弦から手を離した瞬間に、矢が的に向かって勢い良く飛んで行った。
源義高の放った矢は、的の中心に当たった。
源義高は海野小太郎幸氏を真剣な表情で見た。
海野小太郎幸氏は源義高に真剣な表情で軽く礼をした。
源義高と海野小太郎幸氏の弓の稽古が終わった。
源義高は海野小太郎幸氏に感心した様子で話し出す。
「小太郎は弓が上手だな。どれだけ稽古をしても敵わないよ。」
海野小太郎幸氏は源義高に恥ずかしそうに話し出す。
「義高様は弓を含めた武芸の筋も腕前も素晴らしいです。私は武芸に関しては弓しか取柄がありません。義高様に褒めて頂けたので、更に精進したいと思います。」
源義高は海野小太郎幸氏を微笑んで見た。
北条政子は源義高と海野小太郎幸氏の前に来ると、微笑んで話し出す。
「弓の稽古は終わったのですか?」
源義高は北条政子を見ると、普通に話し出す。
「はい。」
海野小太郎幸氏は北条政子に普通の表情で軽く礼をした。
北条政子は源義高に微笑んで話し出す。
「鎌倉での生活に不便を感じた事はありませんか?」
源義高は北条政子に普通に話し出す。
「いつもお気遣い頂きありがとうございます。鎌倉のみなさまには、いつも親切にして頂いています。不便を感じた事は一度もありません。」
北条政子は源義高に微笑んで話し出す。
「もし何か困った事が遭ったら、遠慮なく言ってくださいね。」
源義高は北条政子に普通の表情で軽く礼をした。
北条政子は源義高に微笑んで話し出す。
「大姫といつも一緒に遊んでくれてありがとう。」
源義高は北条政子に微笑んで話し出す。
「大姫様は可愛くて優しい方です。一緒に居ると時が経つのを早く感じます。」
北条政子は源義高を微笑んで見た。
ここは源義高の部屋。
源義高と海野小太郎幸氏は、部屋の中に入った。
源義高は部屋の中に入ると、直ぐに大の字に寝転がった。
海野小太郎幸氏は源義高に微笑んで話し出す。
「義高様。お疲れになりましたか?」
源義高は大の字に寝転がりながら、海野小太郎幸氏に静かに話し出す。
「疲れた。」
海野小太郎幸氏は源義高に微笑んで話し出す。
「余り無理をなさらないでください。」
源義高は大の字に寝転がりながら、海野小太郎幸氏に静かに話し出す。
「俺は木曾義仲の嫡男だから、源義高は立派だ、さすが木曾の嫡男だと、誰からも言われる人物にならないといけない。人前ではこんな事は絶対に出来ない。こんな事が出来るのは小太郎と二人きりの時だけだよ。」
海野小太郎幸氏は源義高に微笑んで話し出す。
「そこまで無理をされなくても良いと思います。義高様は今のままでも立派な木曾のご嫡男様です。大姫様の許婚としても立派な方です。」
源義高は大の字に寝転がりながら、海野小太郎幸氏に不思議そうに話し出す。
「なぜ話の中に大姫が出てくるんだ?」
海野小太郎幸氏は源義高に微笑んで話し出す。
「大姫様とお話しをされている時の義高様は、他の方と接している時とは違います。」
源義高は大の字に寝転がりながら、海野小太郎幸氏を不思議そうに見た。
海野小太郎幸氏は源義高に微笑んで話し出す。
「三人で過ごしている時の義高様は、楽しそうに見えます。」
源義高は大の字に寝転がりながら、海野小太郎幸氏に不思議そうに話し出す。
「楽しそうに見えるのか?」
海野小太郎幸氏は源義高に微笑んで話し出す。
「はい。」
源義高は大の字に寝転がりながら、考え込み始めた。
海野小太郎幸氏は源義高を微笑んで見た。
源義高は大の字に寝転がりながら、静かに寝ている。
部屋の外から大姫の元気の良い足音が聞こえてきた。
海野小太郎幸氏は部屋の外へと静かに出て行った。
ここは、小御所の縁。
海野小太郎幸氏は部屋の外に出ると、足音の聞こえる方向を見た。
大姫は源義高の部屋に向かって笑顔で歩いている。
海野小太郎幸氏は大姫に向かって微笑んで歩き出した。
海野小太郎幸氏は大姫の前に来ると、微笑んで話し出す。
「義高様は弓の稽古でお疲れのご様子です。差し支えなければ、私が話し相手を勤めさせて頂いてもよろしいでしょうか?」
大姫は海野小太郎幸氏に笑顔で話し出す。
「よろしくお願いします!」
海野小太郎幸氏は大姫に微笑んで話し出す。
「私が話し相手なので、大姫様にご迷惑をお掛けする事があるかと思います。その時は遠慮なく教えてください。」
大姫は海野小太郎幸氏に笑顔で話し出す。
「小太郎殿とお話しをした時に、迷惑だと思った事はありません! だから大丈夫です!」
海野小太郎幸氏は大姫に微笑んで軽く礼をした。
大姫は海野小太郎幸氏に微笑んで話し出す。
「何をして遊びますか?」
海野小太郎幸氏は大姫に微笑んで話し出す。
「大姫様のご希望に合わせます。」
大姫は海野小太郎幸氏に微笑んで話し出す。
「庭に綺麗な紫陽花が咲いています。義高様と小太郎殿に見て頂きたくて、話をしに来ました。」
海野小太郎幸氏は大姫に微笑んで話し出す。
「紫陽花を一緒に見るお話しですが、明日になってからお誘いして頂いても良いですか?」
大姫は海野小太郎幸氏に微笑んで話し出す。
「分かりました。」
海野小太郎幸氏は大姫を微笑んで見た。
大姫は海野小太郎幸氏に微笑んで話し出す。
「小太郎殿。姫と一緒に紫陽花を見てください。」
海野小太郎幸氏は大姫に微笑んで話し出す。
「承知しました。」
大姫は海野小太郎幸氏を微笑んで見た。
大姫と海野小太郎幸氏は、庭に咲く紫陽花を見るために、縁を歩き出した。
ここは源義高の部屋。
源義高は大の字に寝転がったまま、ゆっくりと目を開けた。
起き上がる事なく、部屋の中を不思議そうに見回した。
部屋の中には、海野小太郎幸氏の姿はなく、源義高の一人だけとなっている。
源義高はゆっくりと起き上がると、部屋から出て行った。
ここは源義高の部屋の前に在る縁。
源義高は縁に立ちながら、辺りをゆっくりと見回した。
大姫と海野小太郎幸氏が、庭に咲く紫陽花を見ながら、楽しそうに話しをしている姿が見えた。
源義高は大姫と海野小太郎幸氏を不機嫌そうに見た。
大姫と海野小太郎幸氏は、源義高に気が付く事もなく、庭に咲く紫陽花を見ながら、楽しそうに話を続けている。
源義高は海野小太郎幸氏と大姫を見ながら、庭へと不機嫌そうに降りて行った。
ここは源義高の部屋から見える庭。
源義高は大姫と海野小太郎幸氏の後ろに立つと、不機嫌そうに話し出す。
「楽しそうに話をしているな。」
海野小太郎幸氏は後ろを見ると、源義高に微笑んで話し出す。
「義高様。起きられた・・・」
源義高は海野小太郎幸氏の話しを遮ると、不機嫌そうに話し出す。
「なぜ黙って居なくなった?」
海野小太郎幸氏は源義高に微笑んで話し出す。
「義高様がお疲れのご様子でしたので、お許しを得る事なく部屋から出ました。申し訳ありませんでした。」
源義高は海野小太郎幸氏に不機嫌そうに話し出す。
「二人は楽しんでいる最中だから、俺は邪魔しない方が良いよな。」
海野小太郎幸氏は源義高に慌てた様子で話し出す。
「義高様?!」
源義高は大姫と海野小太郎幸氏を背にして歩き出した。
大姫は海野小太郎幸氏に心配そうに話し出す。
「義高様のご機嫌が良くないですね。」
海野小太郎幸氏は大姫に微笑んで話し出す。
「私が義高様の許しを得ないまま、勝手な行動を取ってしまいました。義高様がお怒りになるのはもっともな事です。大姫様には何も関係がありません。ご安心ください。」
大姫は海野小太郎幸氏に心配そうに話し出す。
「姫は義高様の許婚です。義高様と小太郎殿は、お二人共に大切な方です。姫に何か出来る事はありますか?」
海野小太郎幸氏は大姫に微笑んで話し出す。
「今回の事は、全て私の責任です。大姫様にまでご迷惑をお掛けする訳にはいきません。私が一人で義高様と話しをします。」
大姫は海野小太郎幸氏に微笑んで話し出す。
「小太郎殿。義高様と早く仲直りしてくださいね。姫は義高様と小太郎殿の三人で、紫陽花を一緒に見たいです。」
海野小太郎幸氏は大姫に微笑んで軽く礼をした。
大姫は海野小太郎幸氏を微笑んで見た。
ここは源義高の部屋。
源義高は不機嫌な表情で部屋の中に居る。
部屋の外から海野小太郎幸氏の穏やかな声が聞こえてきた。
「小太郎です。ただ今戻りました。」
源義高は不機嫌な表情のまま、障子を背にして座り直した。
障子が静かに開いた。
海野小太郎幸氏が部屋の中に静かに入ってきた。
源義高は海野小太郎幸氏を背にして、不機嫌な表情で座っている。
海野小太郎幸氏は源義高に微笑んで話し出す。
「義高様。私の気配りが足りなかったために、ご迷惑をお掛けいたしました。」
源義高は海野小太郎幸氏が見えるように座り直すと、不機嫌そうに話し出す。
「大姫は普段は俺の事を呼ぶのに、今日は小太郎と楽しそうに話しをしていたな。二人でも充分に楽しんでいたな。小太郎も俺が居ない方が楽しめるだろ。」
海野小太郎幸氏は源義高に微笑んで話し出す。
「大姫様が義高様と私の三人で、庭に咲いている紫陽花を見たいとお話しをしていました。大姫様はとても楽しみにお待ちしています。私が一緒に居て不都合がありましたら、部屋で待っています。お二人で紫陽花を見ながらお話しをしてください。」
源義高は海野小太郎幸氏を気乗りのしない表情で見た。
海野小太郎幸氏は源義高を微笑んで見た。
源義高は立ち上がると、障子を開けて部屋から出ていこうとした。
源義高の部屋の前に在る縁に、見頃の紫陽花が切ったまま横になって置いてある。
源義高は紫陽花を普通の表情で拾った。
紫陽花は青色の綺麗な姿で咲いている。
源義高は紫陽花を持ったまま、海野小太郎幸氏を見ると、普通に話し出す。
「小太郎。紫陽花を飾りたい。器を用意してくれ。飾り終わったら大姫に会いに行くから、一緒についてきてくれ。」
海野小太郎幸氏は源義高に微笑んで話し出す。
「承知しました。」
源義高は手に持った紫陽花を普通の表情で見た。
海野小太郎幸氏は部屋から出ていった。
それから少し後の事。
ここは源義高の部屋。
源義高は紫陽花を手に持ちながら、普通の表情で見ている。
海野小太郎幸氏は水の入った器を持って部屋に戻ってきた。
源義高は海野小太郎幸氏を微笑んで見た。
海野小太郎幸氏は器に紫陽花を入れた。
源義高と海野小太郎幸氏は、部屋の外へと出て行った。
ここは小御所の縁。
大姫は縁を微笑んで歩いている。
源義高と海野小太郎幸氏が縁を歩いている姿が見えた。
大姫は縁を笑顔で走りだした。
大姫は源義高と海野小太郎幸氏の前に来ると、笑顔で話し出す。
「義高様! 小太郎殿! 三人で紫陽花を見ましょう!」
源義高は大姫に普通の表情で頷いた。
海野小太郎幸氏は大姫に微笑んで軽く礼をした。
大姫は嬉しそうに歩き出した。
源義高は大姫の後を普通に歩き出した。
海野小太郎幸氏は大姫と源義高の後を、微笑んで歩き出した。
すると切ない声が聞こえてくる。
「ねぇ、義高様・・・」
「紫陽花が綺麗に咲き始めました・・・」
「義高様にも見て頂きたいです・・・」
「義高様は私とは余りお話しをしてくださいませんでしたね・・・」
「私は義高様とお話しが出来る時は、とても嬉しかったです・・・」
「私の話もしっかりと聞いてくれたから、とても嬉しかったです・・・」
「紫陽花を見ながら、義高様と一緒にお話しがしたいです・・・」
「ねぇ、義高様・・・」
* * * * * *
ここからは後書きになります。
この物語は既に掲載している物語の改訂版です。
改訂前の雰囲気や展開を出来るだけ残しながら改訂しました。
改訂前の物語を掲載するのは止めました。
以上の点、ご了承願います。
ここからは改訂前の後書きを加筆訂正しながら書いていきます。
武士として、源義仲(木曾義仲)の嫡男として、立派な人として、しっかりと生きていこうとしている源義高です。
人に見られる事の無い時の源義高は、比較的とはなりますが、楽にして生活しています。
しかし、鎌倉の人達と接する時や見られている事が分かる時は、自分の立場や状況を考えながら振舞っています。
ここまではっきりとした行動を取っているのかは不明ですが、こういう状況に似た出来事はあったと思います。
そんな源義高が、僅かかも知れませんが、素直な気持ちで接していたのは、海野小太郎幸氏と大姫の二人かと思いました。
想像の物語ですが、実際にありそうな出来事のように思いました。
少しだけ早く訪れた、梅雨と紫陽花の物語です。
楽しんで頂けると嬉しいです。
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