鎌倉夢語り　〜　大姫と源義高　編　〜


〜　青い紫陽花の涙　青と緑の中で　〜


〜　改訂版　〜


ここは、鎌倉の町。


雨の降る日が増えてきた。


朝からどんよりとした空が広がっている。


ここは、小御所。


源義高の部屋の中。


源義高と海野小太郎幸氏は、話をする事なく部屋の中に居る。


大姫が部屋の中に元気良く入ってくると、源義高と海野小太郎幸氏に笑顔で話し出す。

「義高様！　小太郎殿！　お元気ですか？！」

海野小太郎幸氏は大姫に微笑んで軽く礼をした。

源義高は大姫に普通に話し出す。

「見れば分かるだろ。」

大姫は源義高と海野小太郎幸氏に笑顔で話し出す。

「これから紫陽花を一緒に見に行きませんか？！」

源義高は大姫に詰まらなさそうに話し出す。

「紫陽花なら小御所の庭にも咲いているだろ。雨が降りそうな日に、わざわざ紫陽花を見に行く必要はないだろ。」

大姫が源義高に笑顔で話し出す。

「姫が行きたい所は、青い紫陽花がとても多く咲いているので、見頃になると、一面が青色になります！　義高様と小太郎殿も気に入ると思います！」

源義高は大姫に不思議そうに話し出す。

「一面が青色？」

大姫は源義高に笑顔で話し出す。

「はい！　一面が青色なので、とても綺麗です！」

源義高は大姫に微笑んで話し出す。

「分かった。三人で出掛けよう。」

大姫は源義高に嬉しそうに話し出す。

「はい！」

源義高は大姫を微笑んで見た。

海野小太郎幸氏は源義高と大姫に微笑んで話し出す。

「出掛ける準備をしてまいります。」

源義高は海野小太郎幸氏に微笑んで話し出す。

「三人で一緒に部屋を出よう。それなら、小太郎が部屋に戻ってくる必要が無いだろ。」

海野小太郎幸氏は源義高に微笑んで話し出す。

「お気遣い頂いてありがとうございます。」

源義高は海野小太郎幸氏を微笑んで見た。


大姫、源義高、海野小太郎幸氏は、部屋を出て行った。


それから少し後の事。


ここは、鎌倉の町に在る、たくさんの青色の紫陽花が咲いている場所。


辺りは山で囲まれているため、木々の緑、紫陽花の葉の緑、青色の紫陽花という、青色と緑色に包まれている。


大姫、源義高、海野小太郎幸氏は、一面の青色の紫陽花が咲く前に到着した。


大姫は源義高と海野小太郎幸氏に笑顔で話し出す。

「義高様！　小太郎殿！　綺麗ですよね！」

源義高は一面の青色の紫陽花を見ながら、微笑んで頷いた。

海野小太郎幸氏は一面の青色の紫陽花を見ながら、微笑んで話し出す。

「はい。綺麗だと思います。」

大姫は源義高と海野小太郎幸氏を嬉しそうに見た。

源義高は一面の青色の紫陽花を微笑んで見た。

大姫は源義高の手を取ると、一面の青色の紫陽花に向かって歩き出した。

源義高は大姫を微笑んで見ながら、一緒に歩き出した。

海野小太郎幸氏は大姫と源義高の後を、微笑みながら歩いていった。


大姫、源義高、海野小太郎幸氏は、一面の青色の紫陽花の中に居る。


大姫は源義高に笑顔で話し出す。

「義高様！　綺麗ですよね！」

源義高は青色の紫陽花を見ながら、微笑んで頷いた。

海野小太郎幸氏は大姫と源義高を微笑んで見た。

大姫は源義高に笑顔で話し出す。

「義高様！　別な紫陽花も見ましょう！」

源義高は大姫に微笑んで頷いた。

大姫は青色の紫陽花の中を元気良く歩き出した。


大姫は青色の紫陽花の中で立ち止まると、笑顔で後ろを振り向いた。


源義高と海野小太郎幸氏の姿が見えない。


大姫は辺りを見回しながら、少し大きな声で話し出す。

「義高様〜！　小太郎殿〜！」


辺りには大姫のこだまとなった声しか聞こえてこない。


大姫は辺りを見回しながら、大きな声で話し出す。

「義高様〜！！　小太郎殿〜！！　どこに居るのですか〜？！！」


大姫の声は、山と紫陽花に囲まれているため、こだまとなるが、直ぐに聞こえなくなってしまう。


大姫は不安そうに辺りを見回した。


大姫以外に人の居る気配を感じない。


大姫の瞳から涙がこぼれてきた。


大姫は瞳に涙を溜めながら、青色の紫陽花の中を、源義高と海野小太郎幸氏を見つけるために歩き出した。


大姫は瞳に涙を溜めながら青色の紫陽花の中を歩き回っている。

源義高と海野小太郎幸氏の姿は、見付からない。

大姫は歩きながら、手で涙を拭った。

瞳から溢れる涙は止まらない。

大姫は立ち止まると、泣きながら大きな声を出した。

「義高様〜！！」


大姫の大きな声が辺りにこだました。


源義高は大姫の居る前の青色の紫陽花から顔を覗かせると、大姫に普通に話し出す。

「何をやっているんだ？」


大姫は先程より大きな声で泣きながら、源義高に話し出す。

「義高様〜！！」


源義高は大姫に困惑した様子で話し出す。

「なぜ大泣きしているんだ？　大姫は背が小さいから、動き回ったら見付け難いだろ。大姫の元に行くには、少し遠回りをする事になるけれど、必ず大姫の元に行くから、早く泣き止めよ。」


大姫は泣きながら、源義高に頷いた。


源義高は大姫の元に向かうために、青色の紫陽花の中を歩き出した。


大姫は泣き止もうとしているが、なかなか泣き止む事が出来ない。


源義高は大姫の元に、普通の表情で来た。

海野小太郎幸氏は源義高の後に続いて、微笑みながら大姫の元に来た。

大姫は僅かだが泣き止み始めた。

源義高は大姫に呆れた様子で話し出す。

「早く泣き止めと言ったのに、まだ泣いているのか？　後は、人を心配させるなよ。」

大姫は瞳に涙を溜めながら、源義高に申し訳なさそうに話し出す。

「ごめんなさい〜」

源義高は大姫に呆れた様子で話し出す。

「何回か来た事があるのに、はぐれてどうするんだ？　次から気を付けろよ。」

大姫は瞳に涙を溜めながら、源義高に申し訳なさそうに話し出す。

「ごめんなさい〜」

海野小太郎幸氏は大姫に微笑んで話し出す。

「お一人でずっといらっしゃったので寂しかったと思います。しかし、大姫様は義高様の許婚です。義高様を心配させてはいけません。」

大姫は何とか泣き止んだ。

源義高は大姫を普通の表情で見た。

大姫は源義高と海野小太郎幸氏に申し訳なさそうに話し出す。

「義高様。小太郎殿。迷惑を掛けてごめんなさい。」

源義高は大姫に普通に話し出す。

「分かれば良いよ。」

大姫は源義高と海野小太郎幸氏を申し訳なさそうに見た。

海野小太郎幸氏は大姫と源義高に微笑んで話し出す。

「一面が青色と緑色というのは、とても綺麗な色の組み合わせですね。」

源義高は辺りを見回しながら、微笑んで頷いた。

大姫は辺りを見回しながら、海野小太郎幸氏に微笑んで話し出す。

「はい。」

源義高は普通の表情で空を見た。


どんよりとした空が広がっている。


源義高は大姫を見ると、普通に話し出す。

「今にも雨が降りそうな天気だな。小御所に戻ろう。」

大姫は源義高に微笑んで話し出す。

「はい。」

源義高は大姫を普通の表情で見た。


大姫、源義高、海野小太郎幸氏は、青色の紫陽花の中を、小御所へと帰るために歩いている。


大姫が源義高に微笑んで話し出す。

「雨が降って雫を受けた青色の紫陽花は、今日とは違う雰囲気になります。」

源義高は大姫に普通に話し出す。

「雨の降る中で一面の青色の紫陽花を見ると、今日とは全く違う景色になるんだろうな。」

海野小太郎幸氏は大姫に微笑んで話し出す。

「ぜひ見てみたいです。」

大姫は源義高と海野小太郎幸氏を微笑んで見た。


大姫、源義高、海野小太郎幸氏は、青色の紫陽花を背にしながら、小御所へと戻っていった。


すると切ない声が聞こえてきた。

「ねぇ、義高様・・・」

「あの時、急に姿が見えなくなった時は、とても驚きました・・・」

「一人で居る時は、とても不安で寂しかったです・・・」

「あの時、義高様が見つけてくれて、とても嬉しかったです・・・」

「ねぇ、義高様・・・」

「なぜ、今は、私を見つけてくれないのですか・・・？」

「もしかして、意地悪をしているのですか・・・？」

「私は義高様を待ち続けています・・・」

「鎌倉の町で待ち続けています・・・」

「ねぇ、義高様・・・」

「どこに居るのですか・・・？」

「ねぇ、義高様・・・」




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ここからは後書きになります。

この物語は既に掲載している物語の改訂版です。

物語の展開や雰囲気を出来るだけ残しながら改訂しました。

改訂前の物語を掲載するのは止めました。

物語の改訂の伴い、題名を「鎌倉夢語り　大姫と源義高　編　短編　青い紫陽花の涙　青と緑のなかで」から「鎌倉夢語り　大姫と源義高　編　短編　青い紫陽花の涙　青と緑の中で」に変更しました。

以上の点、ご了承願います。

ここからは改訂前の後書きを加筆訂正しながら書いていきます。

紫陽花は「万葉集」の中で詠われているほど、日本に古くから有る花です。

大姫達の時代には、既に有った花になります。

しかし、現在は紫陽花も種類も多く、大姫達が見る事の出来ない紫陽花もたくさんあります。

大姫と源義高と海野小太郎幸氏の訪れた一面の青い紫陽花の場所は、北鎌倉に在る「明月院」を想像しながら書きました。

「新撰組異聞」の物語の中でも、紫陽花の中で迷子になっている場面が登場していますが、この物語とは、かなり雰囲気が違うと思います。

紫陽花の中で迷子になり、泣いてしまう大姫。

源義高と海野小太郎幸氏に見つけてもらって、少しずつ笑顔になっていく大姫。

可愛い大姫の物語です。

楽しんで頂けると嬉しいです。





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