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鎌倉夢語り 〜 大姫と源義高 編 〜


〜 夢紡ぎ 白い桜と青い空 〜


今は春。

桜の花が咲き乱れている。

源義高と海野小太郎幸氏は、障子を少し開けて庭に咲いている桜を見ている。

源義高は庭の桜を見ながら、小さいため息を付いた。

海野小太郎幸氏は源義高を心配そうに見た。

源義高は海野小太郎幸氏を苦笑して見た。

海野小太郎幸氏は源義高に微笑んで話し掛ける。

「義高様。落ち着きませんか?」

源義高は微笑んで海野小太郎幸氏を見ながら、ゆっくりと首を横に振った。

海野小太郎幸氏は源義高に微笑んで話し掛ける。

「障子を閉めますか?」

源義高は微笑んで海野小太郎幸氏を見ながら、ゆっくりと首を横に振った。

海野小太郎幸氏は源義高に微笑んで話し掛ける。

「桜の散るのは早いですよね。せっかくですから、他の場所に咲いている桜の花を見に行きませんか?」

源義高は海野小太郎幸氏に微笑んで話し掛ける。

「そうだな。他の場所の桜も見たいな。」

海野小太郎幸氏は源義高に微笑んで話し掛ける。

「では、準備をしてまいります。」

源義高が海野小太郎幸氏に微笑んで話し掛けようとした。

源義高と海野小太郎幸氏のもとに、いつも聞き慣れている元気な足音が聞こえてきた。

海野小太郎幸氏は源義高を微笑んで見た。

源義高は海野小太郎幸氏に苦笑しながら話し掛ける。

「来たな。」

海野小太郎幸氏は源義高を見ながら笑顔で頷いた。


大姫が源義高の部屋に元気良く入ってきた。

源義高は大姫を普通の表情で見ている。

大姫は源義高に笑顔で話し掛ける。

「義高様! 障子が開いていました! 閉め忘れたら駄目ですよ!」

源義高は呆れた様子で大姫に話し掛ける。

「こんなにはっきりと障子を閉め忘れる訳がないだろ。」

大姫は不思議そうに源義高に話し掛ける。

「それでは、なぜ開いているのですか?」

源義高は大姫を見ると、意地の悪い笑顔で話し出す。

「ひ、み、つ」

大姫は源義高に不機嫌そうに話し出そうとした。

海野小太郎幸氏が大姫に微笑んで話し掛ける。

「義高様と一緒に桜の花を見ていました。」

大姫は海野小太郎幸氏を微笑んで見た。

源義高は海野小太郎幸氏を一瞥した。

大姫は源義高に笑顔で話し掛ける。

「義高様! 一緒に桜の花が見たいです!」

源義高は大姫を黙って見ている。


大姫は少しだけ開いていた障子を全て開けた。

源義高は大姫を呆れた表情で見た。

大姫は笑顔で源義高に話し掛ける。

「義高様! 桜が綺麗ですね!」

源義高は大姫を苦笑しながら見ている。

大姫は源義高を笑顔で見ている。

源義高は大姫に微笑んで話し掛ける。

「大姫。別な場所に咲いている桜を見に行こう。」

大姫は源義高を笑顔で見ながら頷いた。

大姫、源義高、海野小太郎幸氏の三人は、桜を見るために小御所から出掛けて行った。


辺り一面に白い桜が咲いている。

白い桜のなかに緑色の葉が見えている。

大姫は微笑んで辺りを見回している。

源義高は大姫を微笑んで見ている。

海野小太郎幸氏は源義高に微笑んで話し掛ける。

「大姫様は喜んでいらっしゃいますね。」

源義高は海野小太郎幸氏を見ながら微笑んで頷いた。

大姫は源義高と海野小太郎幸氏に笑顔で話し掛ける。

「白い桜がたくさん咲いていますね!」

源義高は大姫を微笑んで見ながら頷いた。

大姫は源義高に笑顔で話し掛ける。

「桜の木の下でお話しをしたいです!」

源義高は大姫を微笑んで見ながら頷いた。


大姫、源義高、海野小太郎幸氏の三人は、桜の木の下で話しを始めた。

大姫は源義高に笑顔で話し掛ける。

「義高様! 楽しいですね!」

源義高は大姫を見ながら黙って頷いた。

大姫は笑顔で横になった。

源義高は大姫を微笑んで見た。

大姫は横になりながら、源義高に微笑んで話し掛ける。

「義高様! 白い桜の間から青い空が見えます!」

源義高は大姫に苦笑しながら話し掛ける。

「大姫。そんな格好をしていていいのか?」

大姫は横になったまま、不思議そうに源義高を見た。

源義高は大姫に苦笑しながら話し掛ける。

「大姫は女の子だろ。そんな格好をしていていいのか?」

大姫は横になりながら、源義高に笑顔で話し掛ける。

「義高様と一緒に寝ながら空を見た事があります! とても楽しかったです! だから、寝ながら桜を見たくなりました!」

源義高も横になって桜を見た。

大姫は横になりながら、笑顔で源義高を見ている。

源義高は横になりながら、海野小太郎幸氏に普通に話し掛ける。

「小太郎。一緒に寝ながら桜を見ないか?」

海野小太郎幸氏は源義高を見ながら微笑んで頷いた。

大姫が横になりながら、海野小太郎幸氏に笑顔で話し掛ける。

「小太郎! 一緒に寝ながら見ましょう!」

海野小太郎幸氏は大姫に微笑んで頷くと、ゆっくりと横になった。


大姫、源義高、海野小太郎幸氏の三人は、寝ながら白い桜を見ている。

白色の桜と緑色の間からは、青い空が見えている。

源義高は横になりながら、大姫を微笑んで見た。

大姫は横になったまま、気持ち良さそうに寝ている。

源義高はゆっくりと起き上がった。

海野小太郎幸氏もゆっくりと起き上がった。

源義高は苦笑しながら海野小太郎幸氏に話し掛ける。

「気持ち良さそうに寝ているな。」

海野小太郎幸氏は源義高に微笑んで話し掛ける。

「お疲れになったのでしょうか?」

源義高は海野小太郎幸氏に苦笑しながら話し掛ける。

「やっぱり子供だな。」

海野小太郎幸氏は微笑んで源義高に話し掛ける。

「義高様が傍に居らっしゃるので、安心されているのだと思います。」

源義高は大姫を微笑んで見ている。

海野小太郎幸氏は源義高を不思議そうに見た。

源義高は海野小太郎幸氏に微笑んで話し掛ける。

「楽しいな。」

海野小太郎幸氏は源義高を見ながら微笑んで頷いた。

大姫は気持ち良さそうにずっと寝ている。


寝ている大姫のもとに、白い桜の花びらが舞い落ちてきた。

大姫の着物に白い桜の花びらが舞い落ちてゆく。

源義高は海野小太郎幸氏に微笑んで話し掛ける。

「大姫の着物の柄に、白い桜の花びらが増えたぞ。」

海野小太郎幸氏は大姫を一瞥すると、源義高を見ながら微笑んで頷いた。

源義高は桜の木を見上げると、微笑んで呟いた。

「大姫が祝言を挙げる時は、どんな着物を着るのかな?」

海野小太郎幸氏は源義高を不思議そうに見た。

大姫、源義高、海野小太郎幸氏のもとに、突然強い風が吹いてきた。

源義高は不思議そうに辺りを見回した。

海野小太郎幸氏も不思議そうに辺りを見回した。

青い空にたくさんの白い桜の花びらが舞い上がっていく。

源義高と海野小太郎幸氏は、桜の舞う様子を黙って見ている。

たくさんの白い桜の花びらが、大姫、源義高、海野小太郎幸氏のもとに、ゆっくりと舞い落ちてきた。

寝ている大姫の着物の上にも、たくさんの白い花びらが舞い落ちてくる。

源義高は大姫を微笑んで見ながら、海野小太郎幸氏に話し掛ける。

「大姫の着物が白い桜の花びらの柄になっている。」

海野小太郎幸氏は大姫を微笑んで見ながら、源義高に話し掛ける。

「そうですね。」

源義高は大姫を微笑んで見ながら、海野小太郎幸氏に話し掛ける。

「大姫が祝言の時に着る着物は、白い桜の柄なんだ。」

海野小太郎幸氏は源義高を見ると微笑んで頷いた。

源義高は海野小太郎幸氏に微笑んで話し掛ける。

「なぜ桜は大姫の未来の姿を、俺に見せてくれたのかな?」

海野小太郎幸氏は源義高を不思議そうに見た。

源義高は海野小太郎幸氏に微笑んで話し掛ける。

「見られないものだから、見せてくれたのかな?」

海野小太郎幸氏は源義高に微笑んで話し掛ける。

「そうかもしれませんね。」

源義高は海野小太郎幸氏を不思議そうに見た。

海野小太郎幸氏は源義高に微笑んで話し掛ける。

「祝言の時の着物は、季節によって着るものが変わります。桜の季節に祝言を挙げて欲しくて、見せてくれたのかもしれません。」

源義高は海野小太郎幸氏に微笑んで話し掛ける。

「そうだといいな。」

海野小太郎幸氏は源義高に微笑んで話し掛ける。

「義高様。そうだといいなではなくて、そうなんですよ。」

源義高は海野小太郎幸氏を微笑んで見ながら頷いた。

源義高と海野小太郎幸氏は、大姫を微笑んで見た。

大姫が横になったまま、ゆっくりと目を開けた。

源義高は大姫に素っ気無く話し掛ける。

「遅いぞ。」

大姫は起き上がると、不思議そうに着物を見た。

起き上がると同時に、白い桜の花びらがゆっくりと落ちていく。

源義高は大姫を微笑んで見ている。

大姫は源義高に不思議そうに話し掛ける。

「姫の着物が白い桜の花の柄に見えました。」

源義高は大姫に意地の悪い笑顔で話し掛ける。

「白い桜の着物の柄を着た大姫の姿は、清楚だったぞ。」

大姫は源義高を嬉しそうに見た。

源義高は大姫に意地の悪い笑顔で話し掛ける。

「でも、起きるとうるさくてお転婆のお姫様に戻ってしまうんだよな。だから、ずっと寝ていていいよ。」

大姫は源義高に不機嫌そうに話し掛ける。

「義高様! 酷いです!」

源義高は笑いを堪えながら大姫を見ている。

海野小太郎幸氏は大姫と源義高に話し掛ける。

「義高様。大姫様。そろそろ小御所に戻りませんか?」

源義高は海野小太郎幸氏を見ると、微笑んで頷いた。

大姫は海野小太郎幸氏を見ると、笑顔で頷いた。


大姫、源義高、海野小太郎幸氏の三人は、楽しそうに話をしながら小御所へと戻っていった。


すると、切ない声が聞こえてきた。

「ねぇ、義高様・・・」

「あの時の白い桜は綺麗でしたね・・・」

「青い空の下の白い桜は綺麗でしたね・・・」

「どうして私の着物に白い桜の花びらがたくさん乗っていたのでしょうか・・・?」

「不思議ですね・・・」

「あれから白い桜の花の着物を作りました・・・」

「似合うって言ってくれますか・・・?」

「それとも、まだまだ子供だって言われてしまうのでしょうか・・・?」

「今だったら少しは似合うと思います・・・」

「早く白い桜の花の柄が似合うようになりたいな・・・」

「あの時の私は子供でしたね・・・」

「もう少しだけ大人だったら、何が変わっていたのでしょうか・・・?」

「それとも、何も変わっていなかったのでしょうか・・・?」

「ねぇ、義高様・・・」




*      *      *      *      *      *




ここからは後書きになります。

この物語は、源義高と海野小太郎幸氏が、鎌倉に着てから約一年後を想定して書きました。

数ヶ月しないうちに源義高の鎌倉脱出の日が訪れます。

当時の祝言は柄の着物を着たりしていたようです。

そのため、白い着物を着て祝言を挙げていないと思います。

ただ、現在のイメージが「白」なので、白い着物になりました。

この物語のなかで、「白い桜」となっているのは、「大島桜」をイメージしています。

「大島桜」は、「里桜」です。

古くから咲いている桜です。

伊豆地方に多く咲いている桜です。

どれくらい古い桜なのかは不明ですが、歴史のある桜だと思われます。

楽しんで頂けると嬉しいです。





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