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鎌倉夢語り 〜 大姫と源義高 編 〜
〜 野薔薇の咲く頃 笑顔と日溜まりの中で 〜
今は夏の初め。
ここは、鎌倉。
源義高と海野小太郎幸氏が鎌倉に着てから初めての夏を迎えている。
夏の初めのため、暑さはほとんど感じず、過ごしやすさを感じる日が続いている。
今日は朝から青空が広がっている。
ここは、小御所。
源義高の部屋。
源義高は部屋の中に普通に入ってきた。
海野小太郎幸氏も部屋の中に普通に入ってきた。
源義高は机の前に僅かに疲れた様子で座った。
海野小太郎幸氏は源義高から少し離れた場所に座った。
源義高は僅かに疲れた様子で軽く息をはいた。
海野小太郎幸氏は源義高に微笑んで話し出す。
「お疲れになりましたか?」
源義高は海野小太郎幸氏に苦笑しながら話し出す。
「頼朝様や政子様や大姫は、会うだけで疲れる。」
海野小太郎幸氏は源義高に微笑んで話し出す。
「大姫様は義高様の元を毎日のように訪れています。義高様が大姫様と部屋の中や小御所以外で過ごされる時は、楽しんで過ごされている様子に見えます。」
源義高は海野小太郎幸氏に苦笑しながら話し出す。
「俺と大姫と小太郎で居る時は、頼朝様や政子様と居る時と違って、気が楽だな。」
海野小太郎幸氏は源義高を微笑んで見た。
源義高は海野小太郎幸氏を苦笑しながら見た。
海野小太郎幸氏は源義高に微笑んで話し出す。
「外に出掛けられますか?」
源義高は海野小太郎幸氏に微笑んで頷いた。
海野小太郎幸氏は源義高を微笑んで見た。
それから暫く後の事。
ここは、鎌倉。
野原。
静かな雰囲気に包まれている。
源義高は普通に来た。
海野小太郎幸氏は微笑んで来た。
野薔薇の花が日差しを受けて咲いている。
源義高は野薔薇の花を普通の表情で見た。
海野小太郎幸氏は野薔薇の花を見ると、源義高に微笑んで話し出す。
「野薔薇の花が綺麗に咲いていますね。」
源義高は野薔薇の花を見ながら、普通の表情で頷いた。
海野小太郎幸氏は源義高を見ると、微笑んで話し出す。
「大姫様が野薔薇の花を見たら喜ぶと思います。」
源義高は海野小太郎幸氏を見ると、普通に話し出す。
「頼朝様と政子様は、大姫を山野に連れて行くと知ったら、心配して止めろと言いそうだ。野薔薇の花を持ち帰って、大姫が野薔薇の棘で怪我をしたら、頼朝様と政子様がいろいろと言うはずだ。想像するだけで面倒だ。」
海野小太郎幸氏は源義高に微笑んで話し出す。
「義高様の部屋で野薔薇の花を飾りませんか? 大姫様は説明をすれば理解できる年齢です。大姫様にしっかりと説明すれば、野薔薇の棘で怪我はしないと思います。」
源義高は海野小太郎幸氏に考え込みながら話し出す。
「俺や小太郎が注意をすれば、更に良いな。」
海野小太郎幸氏は源義高に微笑んで軽く礼をした。
源義高は海野小太郎幸氏に考え込みながら話し出す。
「野薔薇には棘がある。摘むのも持ち帰るのも苦労するな。」
海野小太郎幸氏は懐から布を取り出すと、源義高に微笑んで話し出す。
「布を何枚か用意しました。持ち帰る時にご利用ください。野薔薇は刀を使って採る方法が良いかと思います。」
源義高は海野小太郎幸氏に微笑んで話し出す。
「さすが小太郎。」
海野小太郎幸氏は布を持ちながら、源義高に微笑んで軽く礼をした。
源義高は海野小太郎幸氏を微笑んで見た。
海野小太郎幸氏は刀と布を微笑んで差し出した。
源義高は海野小太郎幸氏から刀と布を微笑んで受け取った。
海野小太郎幸氏は源義高を微笑んで見た。
源義高は布と刀を使って野薔薇の小枝を採った。
海野小太郎幸氏は源義高を微笑んで見ている。
源義高は海野小太郎幸氏に微笑んで刀を差し出した。
海野小太郎幸氏は源義高から刀を微笑んで受け取った。
源義高は野薔薇の小枝を丁寧に布で包んだ。
海野小太郎幸氏は源義高に微笑んで話し出す。
「野薔薇をお持ちします。」
源義高は布で包んだ野薔薇を持ちながら、海野小太郎幸氏に微笑んで話し出す。
「俺が持って帰る。」
海野小太郎幸氏は源義高を微笑んで見た。
源義高は布で包んだ野薔薇を持ちながら、海野小太郎幸氏に微笑んで話し出す。
「小太郎。帰ろう。」
海野小太郎幸氏は源義高で微笑んで軽く礼をした。
源義高は布で包んだ野薔薇を持ちながら、微笑んで歩き出した。
海野小太郎幸氏は微笑んで歩き出した。
それから暫く後の事。
ここは、小御所。
源義高の部屋。
源義高は普通に居る。
海野小太郎幸氏も普通に居る。
机の上には、野薔薇の花を挿した小さな器が置いてある。
部屋の外から元気の良い足音が聞こえてきた。
源義高は海野小太郎幸氏を苦笑しながら見た。
海野小太郎幸氏は源義高を微笑んで見た。
大姫が部屋の中に元気良く入ってきた。
源義高は大姫を普通の表情で見た。
海野小太郎幸氏は大姫に微笑んで軽く礼をした。
大姫は源義高と海野小太郎幸氏に笑顔で話し出す。
「義高様! 小太郎殿! こんにちは!」
源義高は大姫に普通の表情で頷いた。
大姫は野薔薇の花を見ると、源義高に笑顔で話し出す。
「義高様! 部屋に野薔薇の花を飾っているのですね! 野薔薇の花は可愛いですね!」
源義高は大姫に普通の表情で頷いた。
大姫は源義高を見ると、笑顔で話し出す。
「義高様が摘んだのですか?!」
源義高は大姫に普通の表情で頷いた。
大姫は源義高に笑顔で話し出す。
「野薔薇を摘む時、野薔薇を持ち帰る時は、痛くなかったですか?」
源義高は大姫に普通に話し出す。
「野薔薇は刀を使って採った。野薔薇は布で包んで持ち帰った。大姫が想像するほど痛くないと思う。」
大姫は源義高を笑顔で見た。
源義高は大姫を普通の表情で見た。
大姫は源義高に笑顔で話し出す。
「義高様! 明日も明後日も野薔薇の花を見に来ても良いですか?!」
源義高は大姫に普通の表情で頷いた。
大姫は野薔薇を笑顔で見た。
源義高は大姫を普通の表情で見た。
海野小太郎幸氏は大姫と源義高を微笑んで見た。
それから暫く後の事。
ここは、源義高の部屋。
大姫は自分の部屋に戻ったので居ない。
源義高は普通に居る。
海野小太郎幸氏も普通に居る。
机の上には、野薔薇の花を挿した小さな器が置いてある。
海野小太郎幸氏は源義高に微笑んで話し出す。
「大姫様は義高様が説明する前に、義高様が野薔薇の棘などでお怪我をされていないか気遣われていましたね。」
源義高は海野小太郎幸氏に普通の表情で頷いた。
海野小太郎幸氏は源義高に微笑んで話し出す。
「野薔薇の花と大姫様の笑顔は、穏やかで暖かい日溜まりのように感じます。」
源義高は海野小太郎幸氏に普通に話し出す。
「野薔薇の花は穏やかで暖かい日溜まりに感じるが、大姫の笑顔も穏やかで暖かい日溜まりに感じるのか?」
海野小太郎幸氏は源義高に微笑んで話し出す。
「はい。」
源義高は野薔薇の花を不思議そうに見た。
海野小太郎幸氏は源義高と野薔薇の花を微笑んで見た。
その翌日の事。
今は早朝。
ここは、鎌倉。
静かな雰囲気に包まれている。
ここは、小御所。
源義高の部屋。
源義高は普通に居る。
海野小太郎幸氏も普通に居る。
机の上には、野薔薇の花を挿した小さな器が置いてある。
源義高は海野小太郎幸氏に普通に話し出す。
「今日も大姫が来るはずだ。弓の稽古を早めに始めよう。」
海野小太郎幸氏は源義高に微笑んで軽く礼をした。
部屋の外から元気良い足音が聞こえてきた。
源義高は海野小太郎幸氏を苦笑した表情で見た。
海野小太郎幸氏は源義高を微笑んで見た。
源義高は海野小太郎幸氏に苦笑しながら話し出す。
「弓の稽古を早く始めるのは保留だ。」
海野小太郎幸氏は源義高に微笑んで軽く礼をした。
大姫が部屋の中に元気良く入ってきた。
源義高は大姫を普通の表情で見た。
海野小太郎幸氏は大姫に微笑んで軽く礼をした。
大姫は源義高と海野小太郎幸氏に笑顔で話し出す。
「義高様! 小太郎殿! おはようございます! 野薔薇の花が見たくて、早い時間ですが来ました!」
源義高は大姫に普通の表情で頷いた。
海野小太郎幸氏は大姫に微笑んで軽く礼をした。
大姫は源義高に笑顔で話し出す。
「義高様と小太郎殿は、武芸の稽古をされますよね! 姫は義高様の部屋で野薔薇の花を静かに見ています! 姫を気にせずに武芸の稽古をしてください!」
源義高は大姫に普通に話し出す。
「大姫を部屋に一人で残して稽古は出来ない。俺と小太郎が稽古をする時は、小太郎か俺が大姫と部屋に居るか、野薔薇の花を飾る場所を変えてから、稽古をする。」
大姫は源義高に笑顔で話し出す。
「はい!」
源義高は大姫を普通の表情で見た。
海野小太郎幸氏は大姫と源義高を微笑んで見た。
大姫の野薔薇の花を笑顔で見た。
源義高は海野小太郎幸氏に普通の表情で囁いた。
「穏やかな日溜まりというより、賑やかな日溜まりだな。」
海野小太郎幸氏は源義高に微笑んで囁いた。
「私は、穏やかな日溜まりも、賑やかな日溜まりも、好きです。」
源義高は海野小太郎幸氏に普通の表情で囁いた。
「賑やか過ぎる日溜まりの方が正しく感じないか?」
海野小太郎幸氏は源義高を微笑んで見た。
源義高は海野小太郎幸氏に普通の表情で囁いた。
「今日の弓の稽古を始めるのは、暫く後にする。」
海野小太郎幸氏は源義高に微笑んで軽く礼をした。
大姫は源義高と海野小太郎幸氏を見ると、笑顔で話し出す。
「義高様! 小太郎殿! 野薔薇の花は今日も綺麗に咲いていますね!」
源義高は大姫を見ると、普通の表情で頷いた。
海野小太郎幸氏は大姫に微笑んで軽く礼をした。
大姫は源義高と海野小太郎幸氏を笑顔で見た。
すると、切ない声が聞こえてきた。
「ねえ、義高様・・・」
「野薔薇の花を見ながら話す時間は、とても楽しかったです・・・」
「義高様は時折ですが呆れた表情をされていたように感じました・・・」
「私の勘違いでしょうか・・・?」
「野薔薇の花、義高様、小太郎は、穏やかな日溜まりのように感じました・・・」
「穏やかな日溜まりのように感じたのは、私の勘違いではありませんよね・・・」
「ねぇ、義高様・・・」
* * * * * *
ここからは後書きになります。
今回の物語は、源義高と海野小太郎幸氏が鎌倉に着て初めて迎える夏を想定して書きました。
源義高と海野小太郎幸氏が、木曾から鎌倉に着て間もない頃の時間設定になります。
「薔薇(ばら)」について簡単に説明します。
バラ科です。
夏の季語です。
「浜茄子(はまなす)」や「野茨[“野薔薇”(のばら)とも書く](のいばら)」など、日本には古くから咲くバラは有ります。
「野茨(のいばら)」は、万葉集にも掲載しています。
現在の私達が良く見掛けるバラは、大姫達の時代よりかなり後に造られています。
大姫達は一部の種類のバラは見る事が出来たと思います。
「野薔薇(のばら)」についてです。
「“野茨(のいばら)”の別名」、そして、「野に咲く野生の薔薇」、をいいます。
「野茨(のいばら)」についてです。
バラの一種類です。
バラ科の落葉低木です。
花は、夏の季語です。
実は、秋の季語です。
万葉集では「茨(“いばら”、または、“うばら”)」で掲載しています。
山野に生えています。
高さは2mほどになり、棘が有ります。
棘があるため、触ると痛いです。
芳香のある小さめの白色の五弁花の花が咲きます。
現在の暦で五月から六月頃に花が咲きます。
秋には実(正確には偽果[ぎか]のようです)が赤く熟します。
野薔薇の花の花言葉は「素朴な可愛らしさ」だそうです。
花言葉は、つぼみや実や花などの状況によって変わる事があります。
気になる方はご確認ください。
今回は、物語の雰囲気から、文字は「野薔薇」で、読み方は「のばら」にしました。
「日溜まり(ひだまり)」についてです。
「日当たりが良くて暖かい場所。建物などが風を遮り、吹きさらしでない場所。狭い範囲に限定している。」という条件の場所をいいます。
今回の物語は、日溜まりの雰囲気を表すのに重きを置いたので、本来の意味とは違う形で利用しました。
ご了承ください。
楽しんで頂けると嬉しいです。
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