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鎌倉夢語り 〜 大姫と源義高 編 〜
〜 春の頃 蓬の香り 蓬餅 〜
今は春。
ここは、鎌倉。
春の暖かさを感じるには少し早いが、春の心地良さを感じる時間が少しずつ増えていく。
源義高の父親の源義仲が、源義経に年が明けた正月に討たれて亡くなった。
源義高の立場が更に不安定な状況になった。
源義高は、木曾武士として、源義仲の嫡男として、たくさんの誇りを支えに生きている。
鎌倉の人達に、源義高の複雑に揺れる気持ちを知られる訳にはいかない。
源義高は、複雑な気持ちを抱えながらも、今までと同じ生活を続けている。
源義高と海野小太郎幸氏が鎌倉の町に着いてから、少し経つと一年が経とうとしている。
そんな春の日の事。
ここは、鎌倉。
青空が広がっている。
ここは、小御所。
源義高の部屋。
源義高は普通に居る。
海野小太郎幸氏は微笑んで居る。
海野小太郎幸氏は源義高に微笑んで話し出す。
「義高様。落ち着きませんね。お出掛けしますか?」
源義高は海野小太郎幸氏に普通に話し出す。
「大姫が部屋に来る前に出掛けると、戻った時に騒ぐ。うるさくなる。」
海野小太郎幸氏は源義高に微笑んで話し出す。
「私が大姫様の部屋に行きます。私から大姫様に出掛けると話します。」
源義高は海野小太郎幸氏に普通に話し出す。
「小太郎が大姫の部屋に行けば、大姫が慌てて俺の部屋に来る。うるさくなる。」
海野小太郎幸氏は源義高に微笑んで話し出す。
「義高様。三人で出掛けましょう。」
源義高は海野小太郎幸氏に微笑んで話し出す。
「小太郎は俺が落ち着けなくても良いのか。悲しいな。」
海野小太郎幸氏は源義高に微笑んで話し出す。
「義高様は大姫様と過ごす時は落ち着いています。」
源義高は海野小太郎幸氏に苦笑して話し出す。
「気のせいだ。」
海野小太郎幸氏は源義高に微笑んで話し出す。
「私の気のせいなのですね。分かりました。」
源義高は海野小太郎幸氏を苦笑して見た。
部屋の外から、元気の良い足音が聞こえてきた。
源義高は海野小太郎幸氏を苦笑して見た。
海野小太郎幸氏は源義高を微笑んで見た。
大姫が皿を持ち、部屋の中に笑顔で入ってきた。
海野小太郎幸氏は大姫に微笑んで軽く礼をした。
源義高は大姫と皿を不思議な様子で見た。
皿には、蓬餅が載っている。
源義高は大姫に不思議な様子で話し出す。
「大姫。蓬餅を持ってきたのか?」
大姫は源義高の前に皿を置くと、源義高に笑顔で話し出す。
「はい!」
源義高は大姫と蓬餅を普通の表情で見た。
大姫は源義高に笑顔で話し出す。
「姫が侍女と一緒に蓬を採って作った蓬餅です!」
源義高は大姫に普通に話し出す。
「大姫。蓬餅は美味いのか?」
大姫は源義高に笑顔で話し出す。
「はい! 蓬の香りは良いです!」
源義高は大姫を見ると、大姫に普通に話し出す。
「今日は天気が良い、蓬餅を外で食べたい。」
大姫は源義高に笑顔で話し出す。
「はい!」
海野小太郎幸氏は大姫と源義高に微笑んで話し出す。
「準備をしてきます。お部屋でお待ちください。」
源義高は海野小太郎幸氏に普通に話し出す。
「出掛ける準備は、蓬餅を包むだけだ。直ぐに出掛けられる。」
海野小太郎幸氏は源義高に微笑んで軽く礼をした。
源義高は海野小太郎幸氏に普通の表情で頷いた。
海野小太郎幸氏は蓬餅を皿ごと微笑んで包んだ。
大姫は部屋を笑顔で出て行った。
源義高は部屋を普通に出て行った。
海野小太郎幸氏は包みを持ち、部屋を微笑んで出て行った。
少し後の事。
ここは、日当たりが良く落ち着いた雰囲気の場所。
青空が見える。
緑の木と草が広がっている。
辺りに人は居ない。
大姫は笑顔で来た。
源義高は普通に来た。
海野小太郎幸氏は包みを持ち、微笑んで来た。
大姫は笑顔で座った。
源義高は普通に座った。
海野小太郎幸氏は包みを持ち、微笑んで座った。
海野小太郎幸氏は包みを微笑んで広げた。
大姫は皿を取ると、源義高に笑顔で差し出した。
源義高は蓬餅を取ると、蓬餅を普通の表情で食べ始めた。
大姫は皿を置くと、源義高に笑顔で話し出す。
「義高様! 美味しいですか?!」
源義高は蓬餅を食べながら、大姫に普通に話し出す。
「普通。」
大姫は源義高を笑顔で見た。
源義高は蓬餅を普通の表情で食べ終わった。
大姫は皿を取ると、源義高に笑顔で差し出した。
源義高は蓬餅を取ると、蓬餅を普通の表情で食べ始めた。
大姫は海野小太郎幸氏に皿を微笑んで差し出した。
海野小太郎幸氏は大姫に軽く礼をすると、蓬餅を微笑んで取った。
大姫は皿を置くと、海野小太郎幸氏を笑顔で見た。
海野小太郎幸氏は蓬餅を微笑んで食べ始めた。
大姫は海野小太郎幸氏に笑顔で話し出す。
「小太郎殿! 美味しいですか?!」
海野小太郎幸氏は蓬餅を食べながら、大姫に微笑んで話し出す。
「蓬の香りがします。良い蓬餅です。」
大姫は海野小太郎幸氏を笑顔で見た。
海野小太郎幸氏は蓬餅を食べながら、源義高を微笑んで見た。
源義高は蓬餅を食べながら、海野小太郎幸氏を普通の表情で見た。
大姫は源義高と海野小太郎幸氏に笑顔で話し出す。
「義高様! 姫達が居る今の場所にも蓬が生えています! 採って帰りましょう!」
源義高は蓬餅を食べながら、大姫に普通に話し出す。
「今日は蓬餅を食べている。蓬餅を連続して食べるより、別な日に蓬餅を食べる方が楽しみは増す。別の日に蓬を一緒に採りに来よう。」
大姫は源義高に笑顔で話し出す。
「はい!」
源義高は蓬餅を食べ終わると、皿を普通の表情で見た。
海野小太郎幸氏は蓬餅を食べ終わると、皿を微笑んで見た。
皿には、蓬餅が一個だけ残っている。
海野小太郎幸氏は源義高と大姫を微笑んで見た。
源義高は大姫を見ると、大姫に普通に話し出す。
「大姫。蓬餅を食べていないだろ。早く食べろ。」
大姫は源義高に笑顔で話し出す。
「今日は義高様と小太郎殿のために蓬餅を作りました! 残りの一個の蓬餅は、義高様か小太郎殿が食べてください!」
源義高は大姫に普通に話し出す。
「大姫が後でお腹が空いたと騒いだら、俺と小太郎が困る。早く食べろ。」
大姫は源義高に笑顔で話し出す。
「姫はお腹が空いていません! 大丈夫です!」
海野小太郎幸氏は大姫に微笑んで話し出す。
「大姫様。今日は、蓬を採りに出掛けられたり、義高様と私と出掛けられたり、忙しく行動しています。私も義高様も、大姫様の元気な姿をたくさん見たいです。大姫様と義高様と私で、蓬餅を楽しく食べて、小御所に楽しく帰りましょう。」
源義高は大姫と海野小太郎幸氏に普通の表情で頷いた。
大姫は源義高と海野小太郎幸氏に笑顔で話し出す。
「はい!」
海野小太郎幸氏は源義高を微笑んで見た。
源義高は海野小太郎幸氏に普通の表情で頷いた。
大姫は蓬餅を取ると、蓬餅を笑顔で食べ始めた。
源義高は大姫と海野小太郎幸氏を普通の表情で見た。
海野小太郎幸氏は大姫と源義高を微笑んで見た。
すると切ない声が聞こえてきた。
「ねぇ、義高様・・・」
「義高様と一緒に蓬餅を食べたいです・・・」
「義高様と私と小太郎で、蓬餅を楽しく食べたいです・・・」
「義高様と私と小太郎で、日々を過ごす場所に楽しく帰りたいです・・・」
「義高様が蓬餅を笑顔で食べる姿が見たいです・・・」
「ねぇ、義高様・・・」
「今は何処に居ますか・・・?」
「ねぇ、義高様・・・」
「とても逢いたいです・・・」
「ねぇ、義高様・・・」
* * * * * *
ここからは後書きになります。
「草餅」についてです。
雛祭りの時などに草餅を食べる機会があるので、ご存知の方も多いと思います。
草餅は、平安時代頃から食べられていたそうです。
宮中では平安時代から食べられていたようですが、広く食べられるようになったのは良く分かりませんでした。
源頼朝は京都で草餅を見たり食べたりした事があると考えて、物語の中に登場しています。
草餅を作る時には、「春の七種」の中の一つに数えられる「御形(ごぎょう)」を良く使用していたそうです。
「御形」の別名は、「母子草(ははこぐさ)」です。
母子草から、「母と子を一緒に搗く」という言葉を連想するために、縁起が良く無いとして、江戸時代の頃から「蓬(よもぎ)」を使って草餅を作るようになったそうです。
蓬は、万葉集の歌にも詠まれています。
蓬は、日本に古くからある植物です。
蓬は、お風呂、お灸、薬草、食用など、いろいろな用途で利用しています。
「桃の節句」の別名に、「草餅の節句(くさもちのせっく)」があります。
「草餅の節句」は、「雛飾り」に草餅を飾る事から付いた別名だそうです。
蓬の葉は、大きく成長をすると、硬くなります。
蓬で草餅を作る時は、地面を這うほどの柔らかい蓬の葉を使って作る事が多いです。
この物語は、葉が場面を這っている頃の出来事として書きました。
草餅の作り方、蓬の効能、などについて気になる方は、各自でお調べください。
楽しんで頂けると嬉しいです。
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