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~ 雪月花 戦国恋語り 信玄の娘 松姫 編 ~


~ 文紡ぎ 大呂 冬の柳 見る人の ~


登場人物

松姫[武田信玄の五女]、織田信忠(幼名:奇妙丸)[織田信長の嫡男](文だけの登場)、

菊姫[武田信玄の四女]




「霜枯れの 冬の柳は 見る人の かづらにすべく 萌えにけるかも」

「万葉集 第十巻 一八四六番」より

作者は「詠み人知らず」




松姫と奇妙丸の縁談が調ってから、八十六の月になっている。

暦は十二月になっている。



季節は晩冬になっている。



昨年の四月、菊姫と松姫の父の武田信玄が亡くなった。

武田信玄の遺言により、武田信玄の死は三年隠すと決まった。

様々な思惑が複雑に絡まる中の晩冬になる。



ここは、甲斐の国。



一日を通して寒さを感じる日が続いている。



ここは、菊姫と松姫の住む屋敷。



松姫の部屋。



松姫は普通に居る。



菊姫は部屋を微笑んで訪れた。



松姫は菊姫を微笑んで見た。

菊姫は松姫に微笑んで頷いた。

松姫は菊姫に微笑んで頷いた。

菊姫は松姫に微笑んで話し出す。

「お松。寒さを感じる時間が続くわ。部屋で過ごす時間が増えているわね。」

松姫は菊姫に微笑んで話し出す。

「はい。」

菊姫は松姫に微笑んで話し出す。

「お松。気分転換を兼ねて、少し経ったら外出しましょう。」

松姫は菊姫に微笑んで話し出す。

「はい。」

菊姫は松姫に微笑んで話し出す。

「私は部屋に戻って、外出の準備をするわ。お松も外出の準備を始めてね。」

松姫は菊姫に微笑んで話し出す。

「はい。」

菊姫は松姫に微笑んで頷いた。

松姫は菊姫に微笑んで頷いた。



菊姫は部屋を微笑んで出て行った。



少し後の事。



ここは、菊姫と松姫の住む屋敷。



松姫の部屋。



松姫は微笑んで居る。



菊姫は部屋を微笑んで訪れた。



松姫は菊姫に微笑んで話し出す。

「姉上。準備が出来ました。」

菊姫は松姫に微笑んで話し出す。

「お松。行きましょう。」

松姫は菊姫に微笑んで話し出す。

「はい。」

菊姫は松姫を微笑んで見た。

松姫も菊姫を微笑んで見た。



菊姫は部屋を微笑んで出て行った。

松姫も部屋を微笑んで出て行った。



少し後の事。



ここは、松姫の乳母の家。



一室。



部屋の中には、商品が広げてある。



菊姫は微笑んで居る。

松姫も微笑んで居る。

商人は普通に居る。



菊姫は松姫に微笑んで話し出す。

「お松。素敵な商品がたくさんあるわね。」

松姫は菊姫に微笑んで話し出す。

「はい。」

菊姫は商人に微笑んで頷いた。

商人は菊姫と松姫に普通の表情で軽く礼をした。

松姫は商人を微笑んで見た。

菊姫は松姫と商人を微笑んで見た。

商人は懐から小さい紙を取り出すと、松姫に普通に渡した。

松姫は商人から小さい紙を微笑んで受け取った。

菊姫は松姫を微笑んで見た。

松姫は小さい紙を持ち、紙を丁寧に広げた。

菊姫は松姫を微笑んで見た。



紙には、織田信忠の筆跡で歌が書いてある。



霜枯れの 冬の柳は 見る人の かづらにすべく 萌えにけるかも



松姫は小さい紙を持ち、商人を微笑んで見た。

菊姫は商人を微笑んで見た。

商人は菊姫と松姫に普通の表情で小さい声で話し出す。

「警戒は今も強いです。奇妙殿が頼んだ状況を信じて頂くために、奇妙殿が自筆で歌を書きました。奇妙殿から伝言を預かりました。」

松姫は小さい紙を持ち、商人に微笑んで小さい声で話し出す。

「伝言を教えてください。お願いします。」

商人は松姫に普通の表情で静かに話し出す。

「お松。元気に過ごしているだろうか。私は元気に過ごしている。安心してくれ。一年の終わりの月になったね。寒さを感じる日が続いているね。来年は、お松と共に過ごしたい、と願っている。来年は、良い一年を過ごしたいと願っている。お松に、冬を感じながら、来年に明るい気持ちを持てるような、歌を贈りたいと思った。来年は、お松と共に春の気配を感じる柳を見たいと願っている。お松が私からの伝言を聞く姿を幾度も想像している。お松。寒さを感じる日が続くと思う。体調に気を付けて過ごしてくれ。命を大切にして過ごしてくれ。」

松姫は文を持ち、商人微笑んで小さい声で話し出す。

「長い伝言です。覚える行為は大変ですよね。ありがとうございます。」

菊姫は商人に微笑んで小さい声で話し出す。

「凄い記憶力です。何時も感心しています。」

商人は菊姫と松姫に普通の表情で小さい声で話し出す。

「奇妙様から、たくさんの恩を受けています。私に出来る内容で感謝の気持ちを伝えています。」

菊姫は商人に微笑んで小さい声で話し出す。

「年内に返事を届けるのは可能ですか?」

商人は菊姫に普通の表情で小さい声で話し出す。

「はい。」

菊姫は松姫に微笑んで小さい声で話し出す。

「お松。年内の返事が出来るわ。良かったわね。」

松姫は文を持ち、菊姫に微笑んで小さい声で話し出す。

「はい。」

商人は松姫と菊姫に普通の表情で軽く礼をした。

松姫は文を持ち、商人に微笑んで小さい声で話し出す。

「私からの返事を奇妙様に伝えてください。願いします。」

商人は松姫に普通の表情で軽く礼をした。

松姫は文を持ち、商人に微笑んで小さい声で話し出す。

「元気に過ごされていると分かりました。安心しました。私は元気に過ごしています。安心してお過ごしください。“霜枯れの 冬の柳は 見る人の かづらにすべく 萌えにけるかも”。歌の贈り物。ありがとうございます。冬を感じながら、春の気配を感じる歌です。奇妙様の髪に春の気配の柳を飾る時が訪れると信じて過ごします。奇妙様の傍で、奇妙様の笑顔と春の気配の柳を見る時が訪れると信じて過ごします。再び逢う日を信じて過ごします。寒さを感じる日が続きます。体調に気を付けてお過ごしください。命を大切にお過ごしください。」

商人はお松に普通の表情で軽く礼をした。

松姫は文を持ち、菊姫と商人を微笑んで見た。

菊姫は商品を持つと、商人に微笑んで話し出す。

「素敵な商品ね。気に入ったわ。購入するわ。」

商人は菊姫に普通の表情で軽く礼をした。

松姫は文を懐に微笑んで仕舞った。

菊姫は商品を持ち、松姫に微笑んで話し出す。

「お松。購入する商品。決まった?」

松姫は菊姫に微笑んで話し出す。

「はい。」

菊姫は商品を持ち、松姫を微笑んで見た。

松姫は商品を持つと、商人に微笑んで話し出す。

「素敵な商品です。購入します。お願いします。」

商人は松姫に普通の表情で軽く礼をした。

菊姫は商品を持ち、松姫と商人を微笑んで見た。

松姫も商品を持ち、菊姫と商人を微笑んで見た。

商人は菊姫と松姫に普通の表情で軽く礼をした。



翌日の事。



ここは、躑躅ヶ崎館。



一室の中から、一人の男性の声と菊姫の声が聞こえる。

「昨日、お松と共に出掛けたのか。」

「私がお松の傍に居ました。お松が長い時間を一人で居る状況にしていません。」

「昨日の出掛けた理由は何だ?」

「お松が監視されていないか不安になる時があります。不安な気持ちが強くなれば、体調を悪くする可能性が有ります。適度に気晴らしをさせたいと思っています。お松の乳母の家に出掛けて買い物をしました。お松は不安になる時間を少ない状態にして過ごさせています。」

「昨月、織田家が、尾張国に在る、道、橋、水道、などの修繕を命じたそうだ。安心しているのか、思惑があるのか、分からない。お松の言動に変化が現れる可能性が有る。今後も確認を頼む。」

「はい。」

「今後も報告を頼む。」

「はい。」



少し後の事。



ここは、菊姫と松姫の住む屋敷。



松姫の部屋。



松姫は不安な様子で居る。



菊姫が部屋の中に微笑んで入ってきた。



松姫は菊姫を不安な様子で見た。

菊姫は松姫を抱くと、松姫に微笑んで囁いた。

「お松。無難な内容で報告したわ。大丈夫。安心して。」

松姫は菊姫に不安な様子で囁いた。

「姉上。迷惑を掛けます。申し訳ありません。」

菊姫は松姫を抱いて、松姫に微笑んで囁いた。

「私はお松の姉よ。迷惑に思わないで。安心して。」

松姫は菊姫に微笑んで囁いた。

「姉上。ありがとうございます。」

菊姫は松姫を抱いて、松姫に微笑んで頷いた。

松姫は菊姫を微笑んで見た。

菊姫は松姫を抱いて、松姫に微笑んで囁いた。

「お松。来年は良い一年になると信じて過ごしましょう。」

松姫菊姫に微笑んで囁いた。

「はい。」

菊姫は松姫から微笑んで離れた。

松姫は菊姫を微笑んで見た。

菊姫は松姫に微笑んで話し出す。

「お松。冬を詠んだ歌について探していたの。冬の柳を詠んだ歌を見付けたの。明日、柳を見に行きましょう。」

松姫は菊姫に微笑んで話し出す。

「はい。」

菊姫は松姫に微笑んで囁いた。

「お松。冬の柳を詠んだ歌は、明日の柳を見た時に教えるわね。」

松姫は菊姫に微笑んで話し出す。

「冬の柳を詠んだ歌を知る時が楽しみです。」

菊姫は松姫を微笑んで見た。

松姫も菊姫を微笑んで見た。



「霜枯れの 冬の柳は 見る人の かづらにすべく 萌えにけるかも」

寒さを感じる日の続く頃。

松姫と織田信忠は、様々な思惑の乱れる中でも、想いを紡いでいる。

松姫と織田信忠は、来年は逢える日が訪れると信じて、想いを紡いでいる。

晩冬の時間は、様々な想いの中でも、様々思惑の中でも、同じ時間の中で過ぎていく。




*      *      *      *      *      *




ここからは後書きになります。

この物語に登場する歌は「万葉集 第十巻 一八四六番」

「霜枯れの 冬の柳は 見る人の かづらにすべく 萌えにけるかも」

作者は「詠み人知らず」

ひらがなの読み方は「しもがれの ふゆのやなぎは みるひとの かづらにすべく もえにけるかも」

原文は「霜干 冬柳者 見人之 蘰可為 目生来鴨」

歌の意味は「霜で枯れた冬の柳は、見る人の髪飾りになるくらいに芽がでています。」となるそうです。

武田家についての補足です。

油川夫人は、元亀二年(1571年)(※月日は不明)に亡くなったそうです。

武田信玄は、元亀四年四月十二日(1573年5月13日)に信濃の駒場で亡くなります。

享年は、五十三歳と伝わっています。

武田信玄の死因は、肺結核、胃癌、食道癌、などの説が有力です。

武田信玄の他の死因には、武田信玄は敵が籠城中の野田城から聞こえる笛の音に惹かれて本陣から出て行き、本陣の外に居る時に鉄砲で撃たれて、その傷がもとで亡くなる、があります。(掲載日現在は、この説は俗説として考えられています。)

更に武田信玄の他の死因には、織田家の毒殺、もあります。(掲載日現在は、この説も俗説として考えられています。)

武田信玄は、武田勝頼と重臣に遺言を残したと伝わっています。

三つの遺言の内容が広く知られています。

800枚の白紙に武田信玄の花押を書いたから返礼などの時に使うように。

武田信玄の死を三年隠すように。

三年後に、武田信玄の死体に甲冑を着せて諏訪湖に沈めるように。

遺言の内容が事実だとすると、武田信玄は以前から亡くなる事を分かっていて、甲斐の国を守るために前から考えていた事が分かります。

武田信玄の葬儀は、天正四年(1576年)四月に行われたそうです。

武田信玄の死が三年隠せたかについてですが、三年より前に人数等は不明ですが、気付かれた形跡があるようです。

当時は忍者などを使った情報戦が激しかった事があり、武田信玄の死が知られてしまった可能性はあります。

後の出来事になりますが、松姫は織田信忠と婚約している経過などから、辛い立場になっていったようです。

天正元年(1573年)の秋に、武田盛信が松姫を引き取って暮らすようになります。

「雪月花 戦国恋語り 信玄の娘 松姫 編」では、物語の展開から、秋より後の季節では、武田盛信が松姫を引き取って暮らす設定にします。

ご了承ください。

松姫と織田信忠の縁談が、破談なのか、続いているのか、分からなくなってしまった理由の一つに、「西上作戦(さいじょうさくせん)」があります。

西上作戦は、甲斐武田家が、元亀三年(1572年)九月から元亀四年(1573年)四月に掛けて行った遠征をいいます。

西上作戦は、武田信玄の体調と武田信玄の死によって終わった状況になります。

武田勝頼について、天正二年(1574年)六月の高天神城の攻略に関する話があります。

高天神城は、武田信玄が大軍を率いても落城できませんでした。

武田勝頼は高天神城を攻略した頃から、過信などの意見を聞かないようになったそうです。

理由は二つの説が考えられています。

一つの説、自信過剰になった。

一つの説、父親の武田信玄に勝る武略を持っている実績を示せた事から、家臣の統制を強めた。

以上の二つの説が有ります。

武田軍の関連についてです。

天正二年(1574年)十二月についてです。

大きな動きはありません。

織田家関連について簡単に説明します。

織田信忠(幼名“奇妙丸”)の元服は、元亀三年(1572年)と伝わっています。

織田信忠は、実弟の「茶筅丸(ちゃせんまる)(織田信雄[おだのぶかつ])」、実弟の「三七丸(神戸三七郎信孝[かんべさんしちろうのぶたか]、織田信孝[おだのぶたか])」、と共に元服したと伝わっています。

元亀三年(1572年)一月に元服した説があります。

織田信忠が元服時に改名した名前は「織田勘九郎信重(おだかんくろうのぶしげ)」です。

「織田信忠」と改名するのは後の出来事になりますが、名前が幾度も変わると分かり難くなるため、元服後の名前は「織田信忠」で統一します。

ご了承ください。

織田信忠の初陣は、元亀三年(1572年)と伝わっています。

織田信忠の「具足初め(ぐそくはじめ)の儀」が、元亀三年七月十九日(1572年8月27日)に執り行われたと伝わっています。

織田信忠の初陣は、元亀三年七月十九日(1572年8月27日)、または、直ぐ後の日付になるようです。

織田信忠の初陣の相手は「北近江」の「浅井家」の「浅井長政」です。

浅井長政の継室は、織田信長の妹の「お市の方」です。

織田信忠の初陣の相手は、父親(織田信長)の妹(お市の方)の嫁ぎ先になります。

織田信忠にとって、初陣の次の大きな戦は、元亀三年(1572年)十二月頃の遠江の二俣城の戦いや三方ヶ原の戦いになります。

天正二年(1574年)十一月~十二月の織田家の動きを簡単に説明します。

天正二年(1574年)十一月下旬、尾張国に在る、道、橋、水道、などの修繕を命じます。

天正二年(1574年)十二月、分国の道路の修築を命じます。

「晩冬(ばんとう)」についてです。

「冬の終わり(←冬の季語)」、「陰暦十二月の異称」、です。

「大呂」についてです。

「たいりょ」、または、「たいろ」、と読みます。

「中国音楽の十二律の一。基音の黄鐘(こうしょう)より一律高い音。日本の十二律の断金(たんぎん)にあたる。」、「陰暦十二月の異称」、です。

楽しんで頂けると嬉しいです。





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