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新撰組異聞 〜 蛍 〜


〜 改訂版 〜


〜 後編 〜


ここは、屯所。


斉藤一の部屋。


斉藤一は普通に居る。


沖田総司は悩んで訪れた。


斉藤一は沖田総司に普通に話し出す。

「総司。暗い。もしかして、蛍が見られなかったのか?」

沖田総司は斉藤一に悲しく話し出す。

「蛍はたくさん飛んでいました。私は鈴ちゃんを泣かせてしまいました。」

斉藤一は沖田総司を普通の表情で見た。

沖田総司は斉藤一に悲しく話し出す。

「蛍を見る最中に、鈴ちゃんに、私は病気だと話しました。鈴ちゃんは、私が病気になった原因を鈴ちゃん本人だと話しました。鈴ちゃんは、私が病気を隠して辛い思いをした原因を鈴ちゃん本人だと話しました。鈴ちゃんは泣いてしまいました。」

斉藤一は沖田総司に普通に話し出す。

「美鈴さんの性格ならば、自分を責めて泣くな。」

沖田総司は斉藤一に悲しく話し出す。

「鈴ちゃんは、私が江戸に戻る前に、一度で良いから、蛍の飛ぶ姿を一緒に見たいと話しました。鈴ちゃんは蛍の飛ぶ姿を綺麗な笑顔で見ました。鈴ちゃんの綺麗な笑顔を見ると、私は嬉しくて笑顔になりました。」

斉藤一は沖田総司を普通の表情で見た。

沖田総司は斉藤一に辛く話し出す。

「私は、私自身の気持ちだけを考えて、鈴ちゃんに私が病気だと話してしまいました。私のせいで、鈴ちゃんが泣いてしまいました。私の病気を伝える日を、今日する必要はありませんでした。私は気が利かなくて駄目です。」

斉藤一は沖田総司に普通に話し出す。

「総司は美鈴さんに長く秘密にしていた。美鈴さんが楽しむ最中に話す必要はなかった。総司の話すとおり、総司は気が利かなくて駄目だな。」

沖田総司は斉藤一に悲しく話し出す。

「鈴ちゃんの笑顔を見ると、とても嬉しくなりました。鈴ちゃんの笑顔を見ると、理由は分かりませんが、私の病気を話したいと強く思いました。」

斉藤一は沖田総司に普通に話し出す。

「総司が美鈴さんに病気を話した理由は、二つ考えられる。一つ目。総司は美鈴さんに嫉妬している。二つ目。総司は美鈴さんより優位だと思って、傲慢になっている。ただし、総司は両方の理由によって、美鈴さんに病気を話した可能性が高い。」

沖田総司は斉藤一を不機嫌に見た。

斉藤一は沖田総司に普通に話し出す。

「俺の考えが当たったから、総司は怒っているのか?」

沖田総司は斉藤一に不機嫌に話し出す。

「私は鈴ちゃんに嫉妬していません! 私は鈴ちゃんより優位だと思っていません!」

斉藤一は沖田総司に普通に話し出す。

「俺の考えは本当に違うのか? 総司は美鈴さんに勢いで病気だと話したのか?」

沖田総司は斉藤一に不機嫌に話し出す。

「違います!」

斉藤一は沖田総司に普通に話し出す。

「美鈴さんの満面な笑顔を見て、今なら病気だと話しても大丈夫とか、美鈴さんは落ち込まないから大丈夫とか、美鈴さんは必ず許すから大丈夫とか、思っただろ。」

沖田総司は斉藤一に不機嫌に話し出す。

「違います!」

斉藤一は沖田総司に普通に話し出す。

「元気で笑顔の美鈴さんならば、直ぐに立ち直るから大丈夫とか、総司と違い美鈴さんは元気だから、次の機会で楽しめるから大丈夫とか、思っただろ。」

沖田総司は斉藤一に不機嫌に話し出す。

「違います!」

斉藤一は沖田総司に普通に話し出す。

「総司が美鈴さんに病気だと話したのは、事実なのだろ。美鈴さんの望みの叶った時に話す必要はないだろ。総司が都合を付けて別な場所で話す、病気を隠す状況を続けて偶然に知られた日に話す、病気を隠す状況を続けて病気を知られそうになったら別れる、などの方法が選べた。総司には考える余裕が幾月もあった。総司は考えた結果の言動なのに、怒りと悩みを表す。総司は俺の考えを否定するが、本当に俺の考えは違うのか?」

沖田総司は斉藤一を動揺して見た。

斉藤一は沖田総司に普通に話し出す。

「俺の考えは合っているのだろ。」

沖田総司は斉藤一に悲しく話し出す。

「鈴ちゃんに蛍の飛ぶ姿を再び見てもらって、早く元気になって欲しいです。斉藤さんにも蛍の飛ぶ姿を見て欲しいです。私と斉藤さんと鈴ちゃんで、蛍を見たいです。」

斉藤一は沖田総司に普通に話し出す。

「俺の都合の良い日は、明日になったら伝える。」

沖田総司は斉藤一に微笑んで話し出す。

「斉藤さん。ありがとうございます。蛍を見る時を楽しみに待ちます。」

斉藤一は沖田総司に普通の表情で頷いた。



沖田総司は部屋を静かに出て行った。



翌日の事。



ここは、落ち着いた雰囲気の寺。



本堂。



斉藤一は普通に居る。

少女は微笑んで居る。



斉藤一は少女に普通に話し出す。

「突然に連れ出した。悪いな。」

少女は斉藤一に微笑んで話し出す。

「斉藤さんはお休み中ですよね。私の家では落ち着いて過ごせませんよね。気にしないでください。」

斉藤一は少女に普通に話し出す。

「俺と総司と美鈴さんで、蛍を見る約束をしたらしいな。俺は美鈴さんの都合に合わせる。」

少女は斉藤一に微笑んで話し出す。

「私は、斉藤さんの予定と総司さんの予定に合わせます。」

斉藤一が少女に普通に話し出す。

「明後日で良いか?」

少女は斉藤一に微笑んで話し出す。

「はい。」

斉藤一は少女を普通の表情で見た。

少女は斉藤一を微笑んで見た。

斉藤一は少女に普通に話し出す。

「総司が深く考えずに、美鈴さんにいろいろな内容を話したらしいな。」

少女は斉藤一を悲しく見た。

斉藤一は少女を普通の表情で見た。

少女は斉藤一に悲しく話し出す。

「私のせいで、総司さんにたくさんの負担を掛けていました。私のせいで、総司さんが病気になってしまいました。私は総司さんにお詫びする方法が見付かりません。余りに重大な内容なので、誰にも相談できません。」

斉藤一は少女に普通に話し出す。

「総司は俺に病気と美鈴さんは関係ないと話した。美鈴さんは気配りが出来るし、しっかりとしている。美鈴さんは悪くない。美鈴さん。自分を責めるな。」

少女は斉藤一を悲しく見た。

斉藤一は少女に普通に話し出す。

「総司が、美鈴さんは何も悪くないのに、美鈴さんが悲しむ内容を話したと落ち込んでいる。総司は、美鈴さんが悲しむ姿を見て、更に落ち込んでいる。総司は単純な性格だから、美鈴さんが笑顔ならば、総司も笑顔になる。美鈴さんは無理して笑顔になる必要はないが、総司と共に落ち込むな。美鈴さんが辛い時は相談に乗る。」

少女は斉藤一に微笑んで話し出す。

「お気遣い頂いて、ありがとうございます。」

斉藤一は少女を普通の表情で見た。

少女は斉藤一に微笑んで話し出す。

「斉藤さんと総司さんは、様々な内容を話して、お互いに理解しているのですね。羨ましいです。」

斉藤一は少女に普通に話し出す。

「総司は単純な性格だ。総司と一緒に居ると楽だから、総司と一緒に居る。美鈴さんが想像する程の理由ではない。」

少女は斉藤一を微笑んで見た。

斉藤一は少女を普通の表情で見た。

少女は斉藤一に微笑んで話し出す。

「総司さんと斉藤さんと私で、蛍を見る時を楽しみに待っています。」

斉藤一は少女に普通の表情で頷いた。

少女は斉藤一を微笑んで見た。



明後日の事。



沖田総司、斉藤一、少女が、蛍を見る日になる。



ここは、沖田総司と少女が先日に蛍を見た同じ場所。



たくさんの蛍が淡い光を放ち、ゆっくりと舞っている。



沖田総司は微笑んで訪れた。

斉藤一は普通に訪れた。

少女は沖田総司の腕を掴み、微笑んで訪れた。



少女は沖田総司の腕を掴み、蛍を微笑んで見た。

沖田総司は少女を微笑んで見た。

斉藤一は沖田総司と少女を普通の表情で見た。

少女は沖田総司の腕を掴み、沖田総司を見ると、申し訳なく話し出す。

「すいません。一人だけで楽しんでしまいました。」

沖田総司は少女に微笑んで話し出す。

「私も楽しいよ。安心して。」

少女は沖田総司の腕を掴み、沖田総司を不安な様子で見た。

沖田総司は少女に微笑んで話し出す。

「鈴ちゃん。今夜も蛍がたくさん飛んでいるね。」

少女は沖田総司の腕を掴み、沖田総司に微笑んで頷いた。

沖田総司は少女を微笑んで見た。

少女は沖田総司の腕を掴み、蛍を見て、沖田総司と斉藤一に微笑んで話し出す。

「総司さん。斉藤さん。綺麗ですね。」

沖田総司は少女に微笑んで頷いた。

斉藤一は少女に普通の表情で頷いた。

少女は沖田総司の腕を放すと、沖田総司に申し訳なく話し出す。

「すいません。一人だけで楽しんでしまいました。」

沖田総司は少女に微笑んで話し出す。

「私も斉藤さんも、楽しんでいるよ。私も斉藤さんも、たくさんの蛍が飛ぶ姿が見られて嬉しいよ。」

斉藤一は少女に普通の表情で頷いた。

少女は沖田総司と斉藤一を不安な様子で見た。

沖田総司は少女に微笑んで話し出す。

「鈴ちゃん。今夜も綺麗な蛍が見られたね。今夜は斉藤さんも一緒だよ。今夜は、私と斉藤さんと鈴ちゃんで、蛍を見て楽しんで過ごそう。」

少女は沖田総司を不安な様子で見ている。

沖田総司は蛍を見ると、斉藤一に微笑んで話し出す。

「斉藤さん。綺麗ですよね。」

少女は斉藤一を不安な様子で見ようとした。

沖田総司は斉藤一を不思議な様子で見ようとした。



斉藤一が傍に居ない。



沖田総司は辺りを不思議な様子で見た。

少女も辺りを不思議な様子で見た。



斉藤一の姿は見えない。



沖田総司は辺りを見ながら、少女に不思議な様子で話し出す。

「辺りが暗いから見える範囲が限られているけれど、見える範囲に斉藤さんは居ない。斉藤さんの気配を近くに感じない。」

少女は辺りを見ながら、沖田総司に不思議な様子で話し出す。

「少し離れた場所の蛍を見ているのでしょうか?」

沖田総司は少女を見ると、少女に不思議な様子で話し出す。

「斉藤さんの気配を感じないから、鈴ちゃんの話すとおりかも知れない。」

少女は沖田総司を不思議な様子で見た。



蛍が淡い光を放ち、沖田総司と少女を包むように、ゆっくりと舞い始めた。



少女は蛍を見ながら、両手を出すと、微笑んで呟いた。

「蛍が掌に載ってくれたら良いのに。」

沖田総司は少女と蛍を微笑んで見た。



蛍は淡い光を放ち、沖田総司と少女を包むように、ゆっくりと舞っている。



少女は両手を出して、蛍を微笑んで見た。

沖田総司は少女と蛍を微笑んで見ている。



蛍は淡い光を放ち、少女の掌に静かに舞い下りた。



少女は掌に蛍を載せて、蛍を微笑んで見た。

沖田総司は少女と蛍を微笑んで見た。

少女は掌に蛍を載せて、沖田総司に微笑んで話し出す。

「総司さん。凄いです。蛍が掌に乗りました。ありえない出来事が起きました。とても嬉しいです。」

沖田総司は少女と蛍を微笑んで見ている。

少女は掌に蛍を載せて、沖田総司を申し訳なく見た。

沖田総司は少女を不思議な様子で見た。

少女は掌に蛍を載せて、沖田総司に申し訳なく話し出す。

「総司さんのお気持ちを考えずに、一人で楽しんでしまいました。」

沖田総司は、少女と蛍を見ながら、少女に静かに話し出す。

「先日は、鈴ちゃんの希望の叶った日に、私の気持ちだけを考えて話してしまった。鈴ちゃんに本当に申し訳ないと思っている。後悔している。」

少女は掌に蛍を載せて、沖田総司を不安な様子で見た。

沖田総司は少女と蛍を見ながら、少女に辛く話し出す。

「先日の鈴ちゃんは、とても楽しんで蛍を見ていた。元気な鈴ちゃんを羨ましく思ってしまった。元気な鈴ちゃんを妬ましく思ってしまった。私の病気を知らずに楽しむ鈴ちゃんを憎らしく思ってしまった。だから、鈴ちゃんの希望が叶って喜ぶ時に、私の病気を話してしまった。」

少女は掌に蛍を載せて、沖田総司を不安な様子で見ている。

沖田総司は少女と蛍を見ながら、少女に辛く話し出す。

「鈴ちゃんは何も悪くない。鈴ちゃんは駄目ではない。悪くて駄目なのは、私だ。」

少女は掌に蛍を載せて、沖田総司を悲しく見た。

沖田総司は少女と蛍を見ながら、少女に辛く話し出す。

「私は労咳だが、今は血を吐く程の酷い症状ではない。血を吐く程の酷い症状になるまでには、暫く余裕があると思う。でも、酷い症状になる日が、いつ訪れるか分からない。」

少女は掌に蛍を載せて、沖田総司を心配して見た。

沖田総司は少女と蛍を見ながら、少女に辛く話し出す。

「鈴ちゃんが労咳の私と一緒に居るのが怖いから、逢う回数を減らしたいと思うならば、鈴ちゃんの都合の良い時だけ逢う。私の労咳が酷くなったら逢いたくないと思うならば、私が元気な間だけ逢う。私と逢いたくないと思うならば、私が逢う日は今日を最期にする。今回の出来事は、全て私が悪い。鈴ちゃんの希望どおりにする。」

少女は掌に蛍を載せて、沖田総司を悲しく見ている。

沖田総司は少女と蛍を見ながら、少女に辛く話し出す。

「鈴ちゃんと蛍が見られて本当に嬉しかった。鈴ちゃんは優しくて気が利く子だ。鈴ちゃんの笑顔を見ると、私も笑顔になるし元気になる。鈴ちゃんは今のままで大丈夫。私が保証する。鈴ちゃんに辛い出来事が起きた時は、今の言葉を思い出して。」

少女は掌に蛍を載せて、沖田総司を悲しく見ている。

沖田総司は少女と蛍を見ながら、少女に辛く話し出す。

「鈴ちゃん。私に話したい内容がたくさんあるだろ。私は鈴ちゃんの話を全て聞く。遠慮せずに話してくれ。」

少女は掌に蛍を載せて、沖田総司に悲しく話し出す。

「総司さんとお逢い出来る日は、今日が最後の内容に聞こえます。」

沖田総司は少女を悲しく見た。

少女は掌に蛍を載せて、沖田総司に悲しく話し出す。

「私は総司さんに逢いたいとも逢いたくないとも話していません。総司さんが私とお逢いしたくなければ、逢うのを止めます。総司さんはお武家様です。私と違う所で生きる方です。普通ならば、幾度もお話しする機会の無い方です。」



掌の放つ淡い光が、一瞬だけ弱まった。



少女は掌に蛍を載せて、蛍を悲しく見た。

沖田総司は少女に心配して話し出す。

「鈴ちゃん。大丈夫? 泣かないで。」

少女は掌に蛍を載せて、蛍を悲しく見ている。



蛍の放つ淡い光が元に戻った。



蛍は淡い光を放ち、ゆっくりと舞い始めた。



少女は蛍を悲しく見た。

沖田総司も蛍を悲しく見た。



蛍は淡い光を放ち、ゆっくりと舞っている。



沖田総司は少女を見ると、少女に悲しく話し出す。

「鈴ちゃんが上を向いてくれた。」

少女は沖田総司を静かに泣いて見た。

沖田総司は少女に悲しく話し出す。

「鈴ちゃん。泣いている。私は鈴ちゃんを幾度も泣かせている。本当にごめんね。」

少女は沖田総司を静かに泣いて見ている。

沖田総司は少女の涙を指で悲しく拭った。

少女は沖田総司を静かに泣いて見ている。

沖田総司は少女に真剣な表情で話し出す。

「鈴ちゃん。私と逢うのが嫌でなければ、これからも逢ってください。私は鈴ちゃんに迷惑を掛けないように努力します。よろしくお願いします。」

少女は沖田総司を静かに泣いて見ている。

沖田総司は真剣な表情で頭を下げた。

少女は涙を拭くと、沖田総司に小さい声で話し出す。

「私は何も出来ません。」

沖田総司は少女を見ると、少女に微笑んで話し出す。

「鈴ちゃんは優しくて気配りの出来る良い子だよ。今までどおりで大丈夫だよ。」

少女は沖田総司を不安な様子で見た。

沖田総司は少女に微笑んで話し出す。

「鈴ちゃんにはいつも楽しませてもらっています。今までどおりの鈴ちゃんでいてください。」

少女は沖田総司に不思議な様子で話し出す。

「私は総司さんをいつも楽しませているのですか?」

沖田総司は少女に慌てて話し出す。

「楽しませてもらって、ではなく、楽しんでいる、でもなく、楽しみにしている、でもない! 全て違う! 言った傍から迷惑を掛けようとしている! 私は駄目だな!」

少女は沖田総司に微笑んで話し出す。

「総司さん。これからもよろしくお願いします。」

沖田総司は少女を不思議な様子で見た。

少女は沖田総司を微笑んで見た。

沖田総司は少女を抱きしめると、少女に笑顔で話し出す。

「鈴ちゃんの笑顔が見られた〜! 鈴ちゃんはこれからも逢ってくれる〜! 嬉しいな〜!」

少女は沖田総司を驚いて見た。

沖田総司は少女を抱いて、少女を笑顔で見た。

少女は沖田総司を微笑んで見た。



斉藤一の普通の声が、沖田総司と少女の横から聞こえた。

「仲直りの直後に申し訳ないが、蛍がたくさん飛んでいる。蛍のたくさん飛ぶ様子を見ないのか?」



沖田総司は少女を放すと、横を慌てて見た。

少女は横を不思議な様子で見た。



斉藤一は沖田総司と少女を普通の表情で見ている。



沖田総司は斉藤一に慌てて話し出す。

「斉藤さん! 今まで何処に居たのですか?!」

斉藤一は沖田総司に普通に話し出す。

「蛍を見ていた。総司と美鈴さんの話すとおり、今回ほどのたくさんの蛍の飛ぶ姿を見る機会は、滅多にない。良い経験が出来た。」

沖田総司は辺りを不思議な様子で見た。

少女も辺りを不思議な様子で見た。



たくさんの蛍が淡い光を放ち、ゆっくりと舞っている。



少女は蛍を微笑んで見た。

沖田総司も蛍を微笑んで見た。

斉藤一は、沖田総司、少女、蛍、を普通の表情で見た。

少女は蛍を見ながら、沖田総司と斉藤一に微笑んで話し出す。

「蛍がたくさん飛んでいます。とても綺麗です。」

沖田総司は少女を見ると、少女に微笑んで話し出す。

「とても綺麗だね。」

少女は沖田総司と斉藤一を微笑んで見た。

斉藤一は沖田総司と少女を普通の表情で見た。

沖田総司は斉藤一に微笑んで話し出す。

「斉藤さん。更に綺麗に蛍が飛ぶ場所は在りますか。」

少女は斉藤一を微笑んで見た。

斉藤一は沖田総司と少女に普通に話し出す。

「在る。」

沖田総司は斉藤一に微笑んで話し出す。

「早く見に行きましょう。」

斉藤一は沖田総司に普通の表情で頷いた。

沖田総司は少女に微笑んで話し出す。

「鈴ちゃん。暗くて危ないから、私の腕に掴まって。」

少女は沖田総司に微笑んで話し出す。

「はい。」

沖田総司は少女を微笑んで見た。

少女は沖田総司の腕を微笑んで握った。

沖田総司は少女に微笑んで話し出す。

「鈴ちゃん。行くよ。」

少女は沖田総司の腕を握り、沖田総司に微笑んで話し出す。

「はい。」

斉藤一は沖田総司と少女を普通の表情で見た。



斉藤一は普通に歩き出した。

沖田総司は微笑んで歩き出した。

少女も沖田総司の腕を握り、微笑んで歩き出した。



蛍は淡い光を放ち、沖田総司と斉藤一と少女を包むように、ゆっくりと舞い続けている。




〜 完 〜





はじめに       前編       後書き

目次


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