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新撰組異聞 〜 菖蒲華 美吉野と紫陽花の咲くころ 〜


夏初と呼ばれる季節になった。

花菖蒲の見頃は終わりに近づいてきた。

紫陽花の見頃はもう少し続いていく。



そんなある日の事。

少女は花菖蒲の美吉野を胸に抱いて歩いている。

少し遠くから土方歳三が一人で歩いてくる姿が見えた。

少女は美吉野を抱いて土方歳三の姿を一瞥しながらも、普段通り歩いている。



土方歳三が一人で歩いていると、少し遠くにはなるが、少女が花菖蒲を抱いて歩いている姿が見える。

土方歳三は少女を見ながら普通に歩いている。

土方歳三と少女の距離が、少しずつ近づいてきてきた。



少女は土方歳三の姿が近づいてきたので、美吉野を抱いたまま少し端によって歩いた。

土方歳三は端によった少女に向かって歩いている。

少女は土方歳三が近づいてきたため、歩きながらにはなるが、美吉野を抱いたまま軽く礼をした。

土方歳三は少女の様子を見ながら黙って歩いている。

少女は美吉野を抱いたまま、土方歳三の横を通り過ぎようとした。

土方歳三は少女の腕を掴むと、微笑んで話し掛ける。

「なぜ黙っていなくなるんだ?」

少女は美吉野を抱いたまま、申し訳なさそうな表情で、土方歳三に話し掛ける。

「申し訳ありません。」

土方歳三は少女の腕を掴んだまま、微笑んで話し掛ける。

「何度も会っているのに、つれない返事だね。」

少女は美吉野を抱いたまま、申し訳なさそうな表情で、土方歳三に話し掛ける。

「申し訳ありません。次から気を付けます。」

土方歳三は少女の腕を掴んだまま、微笑んで話し掛ける。

「時間があるなら、少し付き合ってくれないかな? 話しがしたいんだ。」

少女は美吉野を抱いたまま、土方歳三を心配そうに見ながら頷いた。

土方歳三は少女の腕を優しく放した。

土方歳三と少女は、細い路地へと入っていった。



土方歳三は少女の腕を優しく軽く掴むと、微笑んで話し掛ける。

「美鈴さんが抱いているのは、美吉野だよね。」

少女は美吉野を抱きながら、土方歳三を不安そうに見ながら頷いた。

土方歳三は少女の腕を優しく放すと、微笑んで話し掛ける。

「この前より美吉野を抱く姿が似合っているよ。」

少女は美吉野を抱きながら、土方歳三を不安そうに見ている。

土方歳三は少女の耳元に微笑みながら囁いた。

「美吉野が似合っていくのも、綺麗になるのも、大切な人のためだろ。そいつが羨ましいな。」

少女は美吉野を抱きながら、土方歳三を不安そうに見ている。

土方歳三は少女の耳元に微笑みながら囁いた。

「総司のために綺麗になっていく君を見ていると、可哀想になるよ。だって、総司は君の変わっていく姿を、必死で気が付かないようにしている。」

少女は美吉野を胸に抱きながら、土方歳三を悲しそうな表情で見た。

土方歳三は微笑んで少女の耳元に囁いた。

「今の表情はとても素敵だね。可愛いよ。というより綺麗だね。今の表情が常に見られる総司が羨ましいな。」

少女は美吉野を抱きながら、土方歳三を不安そうに見ている。

土方歳三は少女の耳元に微笑んで囁いた。

「綺麗だけど、まだ可愛さが残っているな。俺と付き合うのはまだ早いな。でも、付き合いたくなったな。」

少女は美吉野を抱きながら、土方歳三を不安そうに見ている。

土方歳三は少女の耳元に微笑んで囁いた。

「返事は?」

少女は美吉野を抱きながら、土方歳三に小さい声で返事をする。

「お断りします。」

土方歳三は少女の耳元に微笑んで囁いた。

「この前も同じように断ったよね。俺は総司の上役だよ。覚えているよね?」

少女は美吉野を抱きながら、土方歳三に不安そうに話し掛ける。

「土方様は沖田さんが信頼している方です。大切な方です。」

土方歳三は少女の耳元に微笑んで囁いた。

「美鈴さんが断ったから、総司に何かをしてもいいよね。」

少女は美吉野を抱きながら、土方歳三を不安そうに見ている。

土方歳三は少女の耳元に微笑んで囁いた。

「総司は本当に強いんだ。襲って斬るとなると、人をたくさん用意しないと成功しないんだ。成功しても参加した奴が多いから口止めが大変だろ。失敗したら総司に何をされるかわからない。怒った総司は怖いから、物凄く面倒なんだ。責任を押し付けて切腹という手もあるけど、事前の準備が結構面倒なんだ。でも、この二つは、対外的にも対内的にも影響がありすぎて出来ないんだ。毒殺なんか手っ取り早いし楽なんだ。」

少女は美吉野を落として、耳を塞いで目を閉じた。

土方歳三は少女の様子を微笑んで見ている。

少女は耳を塞いで目を閉じたまま黙っている。

土方歳三は少女の手を掴んで優しく耳から放すと、微笑んで放し掛ける。

「嘘だよ。本気にしたんだ。やっぱり可愛いな。」

少女は土方歳三を不安そうに見ている。

土方歳三は少女の手を優しく放した。

少女は土方歳三を心配そうに見ている。

土方歳三は美吉野を拾うと、少女に手渡した。

少女は美吉野を受取ると、土方歳三に不安そうに話し掛ける。

「お花を拾って頂いて、ありがとうございます。」

土方歳三は少女に微笑んで話し掛ける。

「どういたしまして。」

少女は美吉野を抱きながら、土方歳三を不安そうに見ている。

土方歳三は少女に微笑んで話し掛ける。

「話が出来て楽しかったよ。お礼に途中まで送るよ。」

少女は美吉野を抱きながら、土方歳三に不安そうに話し掛ける。

「忙しい土方様に送って頂くのは、気が引けます。一人で帰れます。」

土方歳三は少女に微笑んで話し掛ける。

「わかった。またね。」

少女は美吉野を抱きながら、土方歳三に不安そうな表情のまま礼をした。

土方歳三は少女の様子を見ていたが、何事も無かったかのように歩き出した。



土方歳三が歩き始めて直ぐの事。

何か軽い物が落ちた音が聞こえた。

土方歳三は不思議そうに後ろを振り向いた。

少女が美吉野を落としたらしく、しゃがんで拾おうとしている。

土方歳三は少女の様子が先程と違うのを見て、立ち去るのを止めた。

少女は美吉野を拾わずに、地面に手を付いてしまった。

土方歳三は少女の傍に来た。

少女はしゃがみ込んで、地面に手を突いたまま黙っている。

土方歳三はしゃがみ込むと、少女に心配そうに話し掛ける。

「大丈夫か?」

少女はしゃがみ込んだまま、土方歳三を見ると黙って頷いた。

土方歳三はしゃがみ込んだまま、少女に心配そうに話し掛ける。

「顔色が悪いぞ。どこか休める場所に行こう。」

少女はしゃがみ込んだまま、土方歳三に不安そうに話し掛ける。

「沖田さんに何も起こりませんか? 大丈夫ですか?」

土方歳三はしゃがみ込んだまま、少女に普通に話し掛ける。

「総司には何もしない。安心しろ。」

少女はしゃがみ込んだまま、土方歳三の腕を掴むと、不安そうに呟いた。

「沖田さんは強いから、私が心配しなくても大丈夫ですよね。」

土方歳三はしゃがみ込んだまま、少女に心配そうに話し掛ける。

「総司は強い。俺は何もしない。誰にもそんな事はさせない。心配するな。」

少女はしゃがみ込んだまま、土方歳三の腕を掴んで不安そうに見ている。

土方歳三は美吉野を拾うと、少女をゆっくりと立たせた。

少女は辛そうに立っている。

土方歳三は美吉野を持ったまま、少女に心配そうに話し掛ける。

「医者に行くぞ。」

少女は顔色が悪いまま、土方歳三に不安そうに話し掛ける。

「大丈夫です。」

土方歳三は美吉野を地面に置くと、少女の腕を優しく掴んだ。

少女は顔色の悪いまま、土方歳三を不安そうに見ている。

土方歳三は少女の腕を優しく掴みながら、心配そうに話し掛ける。

「その顔色で大丈夫ですと言われても、不安なんだ。」

少女は顔色が悪いまま、土方歳三に申し訳なさそうに話し掛ける。

「申し訳ありません。」

土方歳三は少女の腕を優しく掴みながら、心配そうに話し掛ける。

「帰り道に何かあったら、俺が困るんだ。総司に責められたら、申し開きが出来ない。」

少女は顔色が悪いまま、土方歳三に不安そうに話し掛ける。

「総司さんも斉藤さんにも家の人にも、何も言わないでください。お願いします。」

土方歳三は少女の腕を優しく掴んだまま、心配そうに話し掛ける。

「言わない。だから、早く医者に行くぞ。」

少女は顔色が悪いまま、土方歳三に不安そうに話し出す。

「ご迷惑をお掛けして申し訳ありません。」

土方歳三は美吉野を拾い上げると、少女に心配そうに話し掛ける。

「大通で俺の腕を掴んで歩くのも嫌だろ。困る事もあるだろ。何としてでも一人で歩けよ。」

少女は顔色が悪いまま、土方歳三を見ながら頷いた。

土方歳三と少女は、ゆっくりと歩きながら、医者へと向かって歩き出した。



土方歳三と少女は、医者のもとに到着した。

少女は医者に診てもらおうとした途端に、倒れるように気を失ってしまった。



それから少し後の事。

少女はゆっくりと目を開けた。

床の上で横になっている。

辺りを見回すと、土方歳三が困った表情で少女を見ている姿が見えた。

少女はゆっくりとだが、起き上がろうとした。

土方歳三は少女を制すると、心配そうに話し掛ける。

「起きなくても良いよ。少し休んでいろ。」

少女は横になったまま、土方歳三に心配そうに話し掛ける。

「私が何かしたのなら謝ります。気を付けます。総司さんに何かをするのは、止めてください。助けてあげてください。お願いします。」

土方歳三は少女に困った様子で話し掛ける。

「何度も言っているけど何もしないよ。冗談だよ。」

少女は横になったまま、土方歳三を心配そうに見ている。

土方歳三は少女に普通に話し掛ける。

「総司は強い。剣に関する事なら、とても頼りになる。総司の代わりを見付けるのは、至難の技だ。総司と斉藤が新撰組に一緒に居る事は、奇跡に近い。二人は使える奴だ。手放すなんて出来ない。だから、安心しろ。」

少女は横になったまま、土方歳三に心配そうに話し掛ける。

「私が頼りないから、総司さんにたくさん迷惑を掛けています。もっとしっかりとします。」

土方歳三は少女に普通に話し掛ける。

「あんたはしっかりとしている。誰にも迷惑を掛けていない。安心していいぞ。」

少女は横になったまま、土方歳三に申し訳なさそうに話し掛ける。

「でも、倒れてしまいました。」

土方歳三は少女に普通に話し掛ける。

「倒れた事を気にする必要はない。」

少女は横になったまま、土方歳三に心配そうに話し掛ける。

「申し訳ありません。」

土方歳三は少女に呆れた様子で話し掛ける。

「さっきから、謝ってばかりいるな。」

少女は横になったまま、土方歳三に申し訳なさそうに話し掛ける。

「申し訳ありません。」

土方歳三は少女に普通に話し掛ける。

「話しは変わるが、俺は一緒にあんたの家まで行けない。だから、斉藤に声を掛けた。一緒に帰れ。」

少女は慌てた様子で起き上がろうとする。

土方歳三は少女を制しながら、普通に話し掛ける。

「俺の事もあるから黙っているつもりだったんだ。でも、あんたは調子が悪いから、一人で家に帰せない。総司に話しは出来ない。だから、斉藤にあんたの事を頼んだ。」

少女は横になったまま、土方歳三に申し訳なさそうに話し掛ける。

「申し訳ありません。」

土方歳三は少女に呆れた様子で話し掛ける。

「謝りすぎ。」

少女は横になったまま、土方歳三に申し訳なさそうに話し掛ける。

「私がしっかりとしていないから、土方様だけでなく、斉藤さんにまで迷惑を掛けてしまいました。申し訳ありません。」

土方歳三は少女に普通に話し掛ける。

「あんたはしっかりとしているよ。普通なら、総司や斉藤と親しく話しなんて出来ない。怖いと思ったり、話が合わなくなったりして、直ぐに困ってしまうと思う。あいつらと楽しそうに話しをしたり、出掛けたり出来るのは、女性ではあんたくらいだ。普通なら出会ってもとっくに会わなくなっているよ。だから、心配するな。」

少女は横になったまま、土方歳三を微笑んで見始めた。

土方歳三は少女に微笑んで話し掛ける。

「その調子だ。」

少女は安心したのか、横になったまま眠そうな表情をするようになった。

土方歳三は少女に微笑んで話し掛ける。

「斉藤が来るまで、寝ていていいぞ。」

少女は横になったまま、小さく頷くとゆっくりと目を閉じた。

土方歳三が少女の様子を確認した。

少女は直ぐに寝てしまったらしい。

土方歳三が少女の様子を確認した。

少女は落ち着いた表情をしながら静かに寝ている。

土方歳三は少女の様子を見ながら、何かを囁いた。

少女は寝ているため土方歳三の囁いた声は聞こえない。

土方歳三は誰も部屋の傍に居ない事を確認すると、少女の様子を微笑んで見始めた。



それから少し後の事。

斉藤一が部屋に入ってきた。

土方歳三は斉藤一を見ると、静かに話し掛ける。

「悪いな。」

斉藤一は土方歳三を怪訝そうに見ながら、静かに話し掛ける。

「何をやったのですか?」

土方歳三は斉藤一に困った様子で、静かに話し掛ける。

「この子が美吉野を抱いている姿が、とても可愛いというか綺麗に見えたんだ。だから、声を掛けたんだ。話をしている姿は、意地らしくて可愛かった。でも、綺麗という言葉もとても似合う姿をしていた。気を付けてはいたんだが、話しの内容があの子には負担になってしまった。」

斉藤一は土方歳三を睨らむように見ている。

土方歳三は斉藤一に困った様子で、静かに話し掛ける。

「とにかく、総司には黙っていて欲しい。それがあの子と俺の希望なんだ。」

斉藤一は土方歳三を睨むような視線で見ながら、静かに話し掛ける。

「言いません。というより、今日の事を総司が知ったら、何をするか想像が付きすぎて、話なんて出来ません。」

土方歳三は斉藤一に微笑んで話し掛ける。

「斉藤。悪いがあの子を家に送ってやってくれ。」

斉藤一は土方歳三を見ながら黙って頷いた。

土方歳三は少女の様子を心配そうに一瞥すると、部屋から出て行った。

少女は土方歳三と斉藤一の話し声に目を覚ます事もなく、落ち着いた様子で寝ている。

斉藤一は少女の傍に静かに座った。



それから少し後の事。

少女はゆっくりと目を開けた。

斉藤一は少女に普通に話し掛ける。

「調子はどうだ?」

少女は横になったまま斉藤一を見ると、申し訳なさそうに話し掛ける。

「また迷惑を掛けてしまいました。」

斉藤一は少女に普通に話し掛ける。

「気にするな。」

少女は横になったまま、斉藤一に申し訳なさそうに話し掛ける。

「でも・・・」

斉藤一は少女の話しを遮ると、普通に話し出す。

「美鈴さんが気にする必要はない。事の発端は、総司がしっかりとしていない事にある。」

少女は横になったまま、斉藤一を不安そうに見ている。

斉藤一は少女に普通に話し掛ける。

「土方さんの件だが、言いたい事があるなら伝えておく。少しくらいなら無理も言えるぞ。」

少女は横になったまま、斉藤一の話しを不安そうに聞いている。

斉藤一は少女に普通に話し掛ける。

「総司にも家の人にも話しをするつもりはない。だから、そんな顔をするな。」

少女は横になったまま、斉藤一に微笑んで話し掛ける。

「ありがとうございます。」

斉藤一は少女に普通に話し掛ける。

「歩けそうか?」

少女は横になったまま、斉藤一を見ながらゆっくりと小さく頷いた。

斉藤一は少女をゆっくりと起こした。

少女は斉藤一に支えられて、ゆっくりと立ち上がった。

斉藤一は少女を支えながら、傍にあった美吉野も手に持っている。

少女は斉藤一に微笑んで話し掛ける。

「よろしくお願いします。」

斉藤一は少女を支えながら、黙って頷いた。



斉藤一と少女は、少女の家へと向かってゆっくりと歩いている。

斉藤一は少女の代わりに美吉野を持って歩いている。

少女は斉藤一を時折見ながら、ゆっくりと歩いている。



沖田総司は一番組の隊士達と、京の町を警護も兼ねて歩いている。

斉藤一と少女が歩いている姿が見えた。

沖田総司は、いつもと違う雰囲気の斉藤一と少女の様子を、不思議そうに見た。

少女はいつもよりゆっくりと歩いている。

斉藤一は少女の様子をいつもより気にしながら歩いている。

沖田総司は斉藤一と少女の様子を、心配そうな表情で見始めた。

斉藤一は美吉野を持って歩いている。

沖田総司は美吉野を心配そうに見た。

少女は沖田総司の事を気が付いていない。

沖田総司は任務中のため、斉藤一と少女に話し掛ける事が出来ない。

斉藤一と少女の姿は、見えなくなった。

沖田総司は直ぐに任務中の表情に戻ると、隊士達と一緒に京の町を歩き続けた。



それから暫く後の事。

沖田総司は任務が終わり屯所に戻ってくると、直ぐに斉藤一のもとを訪れた。



斉藤一は沖田総司を普通に見ている。

沖田総司は斉藤一に心配そうに話し掛ける。

「斉藤さん。今日、鈴ちゃんと斉藤さんが一緒に居るのを見掛けました。」

斉藤一は沖田総司を普通の表情で黙って見ている。

沖田総司は斉藤一に心配そうに話し掛ける。

「鈴ちゃんの様子がいつもと少し違いました。何かあったのですか?」

斉藤一は沖田総司を普通の表情で黙って見ている。

沖田総司は斉藤一に心配そうに話し掛ける。

「鈴ちゃんに何かあったのですね?」

斉藤一は沖田総司を普通の表情で黙って見ている。

沖田総司は斉藤一に詰め寄ると、不安そうに話し掛ける。

「斉藤さん。なぜ黙っているのですか? 教えてください。鈴ちゃんが一人で辛い想いをしいるのは耐えられません。」

斉藤一は沖田総司を普通の表情で黙って見ている。

沖田総司は斉藤一に心配そうに話し掛ける。

「怪我ですか? 病気ですか?」

斉藤一は沖田総司を普通の表情で黙って見ている。

沖田総司は斉藤一に不安そうに話し掛ける。

「もしかして、私の・・・」

斉藤一は沖田総司を普通の表情で黙って見ている。

沖田総司は話しを止めると、斉藤一を不安そうに見ている。

斉藤一は沖田総司に普通に話し掛ける。

「違う。安心しろ。」

沖田総司は斉藤一を安心した表情で見た。

斉藤一は沖田総司に普通に話し掛ける。

「だが、俺からは詳しい話しは出来ない。」

沖田総司は斉藤一を不安そうに見始めた。

斉藤一は沖田総司に普通に話し掛ける。

「総司。そんな顔で美鈴さんと会うなよ。心配するぞ。」

沖田総司は斉藤一に不安そうに話し掛ける。

「明日になったら鈴ちゃんと逢おうと思います。大丈夫でしょうか?」

斉藤一は沖田総司に普通に話し掛ける。

「わからない。だが、明日になったら、時間を作って美鈴さんの様子を確認してみろ。」

沖田総司は斉藤一を見ながら、不安そうな表情で黙って頷いた。



その翌日の事。

沖田総司は少女の家を訪れた。

少女は沖田総司を微笑んで出迎えた。

沖田総司は少女を心配そうに見ている。

少女は沖田総司を心配そうに見た。

沖田総司は少女に微笑んで話し掛ける。

「鈴ちゃん。余り時間がないけど話しがしたいんだ。今から出掛けても大丈夫かな?」

少女は沖田総司を見ながら小さく頷いた。

沖田総司と少女は、出掛けて行った。



沖田総司と少女は寺の中に居る。

沖田総司は少女に心配そうに話し掛ける。

「鈴ちゃん。昨日の事だけど、何があったの?」

少女は沖田総司を不思議そうに見ている。

沖田総司は少女に不安そうに話し掛ける。

「鈴ちゃんと斉藤さんが、一緒に歩いているのを見掛けたんだ。」

少女は沖田総司を少し驚いた表情で見た。

沖田総司は少女に心配そうに話し掛ける。

「鈴ちゃんはいつもよりゆっくりと歩いていた。斉藤さんは鈴ちゃんの事を、いつも以上に気を配りながら歩いていた。」

少女は困った様子で下を向いてしまった。

沖田総司は少女を抱き寄せると、心配そうに話し掛ける。

「怪我をしたの? 調子が悪くなったの?」

少女は沖田総司の腕の中で黙っている。

沖田総司は少女を抱きながら、心配そうに話し掛ける。

「お願いだから隠さないで話しをしてくれ。」

少女は沖田総司の腕の中で黙っている。

沖田総司は少女を抱きながら、不安そうに話し掛ける。

「熱はない? 咳はしていない?」

少女は沖田総司の腕の中で、小さい声で話し出す。

「風邪はひいていません。」

沖田総司は少女を抱きながら、不安そうに話し掛ける。

「熱はないんだよね? 咳もしていないんだよね?」

少女は沖田総司の腕の中で小さく頷いた。

沖田総司は少女を抱きながら、不安そうに話し掛ける。

「鈴ちゃん。どうして黙っているんだ? 私が怒るから怖くて言えないのか? 私に言えないほど大変な事が起こっているのか?」

少女は沖田総司の腕の中で小さい声で話し出す。

「昨日、めまいを起こしてしまって、歩けなくなりました。斉藤さんに助けてもらいました。一人では心配だという事で、家まで一緒に付いてきてくださいました。」

沖田総司は少女を抱きながら、心配そうに話し掛ける。

「鈴ちゃん。体の調子は大丈夫? 辛いところはない?」

少女は沖田総司の腕の中で、微笑んで話し掛ける。

「調子は直ぐによくなりました。だから、今は大丈夫です。」

沖田総司は少女を心配そうに抱いている。

少女は沖田総司の腕の中で、微笑んで話し掛ける。

「お医者さんにも診てもらいましたが、心配ないそうです。」

沖田総司は心配そうに少女を抱いている。

少女は沖田総司の腕の中で、微笑んで話し掛ける。

「総司さん。私は大丈夫です。」

沖田総司は少女を抱きながら、心配そうに話し掛ける。

「鈴ちゃん。ごめんね。」

少女は沖田総司の腕の中で、微笑みながら、ゆっくりと首を横に振った。



そんな出来事があったが、何事も無く普段通りに時は過ぎていった。

花菖蒲の季節が終わりを告げようとしている。

美吉野が咲いている場所も少なくなってきている。

沖田総司と少女は、時間が空くと、話をしながら楽しそうに出掛けている。

斉藤一は時間に余裕があれば、沖田総司と少女と一緒に出掛けている。



そんなある日の事。

斉藤一が少女の家を訪れた。

少女は斉藤一を不思議そうに出迎えた。

斉藤一は少女に普通に話し掛ける。

「時間はあるか? 渡したい物がある。」

少女は斉藤一を不思議そうに見ながら黙って頷いた。

斉藤一と少女は、一緒に出掛けて行った。



斉藤一と少女は、美吉野の咲いている場所に来ている。

斉藤一は少女に普通に話し掛ける。

「土方さんから文を預かった。」

少女は斉藤一を不安そうに見た。

斉藤一は少女に普通に話し掛ける。

「内容は知らないが、美鈴さんが心配する必要はないと思う。」

少女は斉藤一を見ながら不安そうに頷いた。

斉藤一は少女黙って文を差し出した。

少女は斉藤一から不安そうに文を受取った。

斉藤一は少女に普通に話し掛ける。

「もし文の事で何か伝えたい事があったら話しを聞く。文での返事がよければ、俺から土方さんに渡す。」

少女は不安そうに文を読み始めた。

斉藤一は少女の様子を黙って見ている。



少女は文を読み終わると、斉藤一に微笑んで話し掛ける。

「土方さんが謝っていました。」

斉藤一は少女に普通に話し掛ける。

「土方さんは、美鈴さんが話しをされると辛い事がある事も知っている。話の内容が辛い事だったのかもしれないが、わざと倒れさせるために話しをした訳じゃない。」

少女は斉藤一に微笑んで話し掛ける。

「わかっています。」

斉藤一は少女を黙って見ている。

少女は斉藤一に微笑んで話し掛ける。

「このお文は総司さんには秘密ですね。」

斉藤一は少女を見ながら黙って頷いた。

少女は斉藤一に微笑んで話し掛ける。

「美吉野がもう直ぐ終わります。少し見ていきたいです。一緒に付き合って頂いてもよろしいですか?」

斉藤一は少女を見ながら黙って頷いた。

少女は斉藤一に微笑んで話し掛ける。

「花菖蒲が終わっても、紫陽花の見頃は続きます。総司さんと斉藤さんと一緒に見に行きたいです。楽しみです。」

斉藤一は少女を見ながら黙って頷いた。

斉藤一と少女は美吉野を見るために歩き出した。



「・・・美鈴さん。申し訳なかった。美鈴さんに詫びの意味も込めてささやかな贈り物をするよ。美鈴さんが、もしどうしても困った事や、叶えたい事があったら、二つだけ望みを叶えるのを手伝いたいと思っている。その時の俺の出来る限りの力を使って、美鈴さんの願いを手伝う。普段は忘れていても構わない。必要な時に思い出して、使ってくれ。剣の才能は天才的だが他の事は天才的に気の利かない奴と、無口で無表情で勘の鋭すぎて一緒に居るとやっかいな奴と、いつも一緒に居てくれる礼も込めているんだ。・・・」




〜 完 〜





はじめに       後書き

目次


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