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新撰組異聞 〜 禊月 雉も鳴かずば 〜


今は春。



ここは、京の町。



桜が綺麗に咲いている。



ここは、屯所。



藤堂平助の部屋。



藤堂平助は普通にしている。



原田左之助は普通に訪ねてきた。



藤堂平助は原田左之助を普通の表情で見た。

原田左之助は藤堂平助に小さい声で話し出す。

「昨日に島原へ出掛けた隊士が、島原の人達に聞いた噂の関係で相談してきた。噂の内容を聞いたら、対処に悩んでしまった。」

藤堂平助は原田左之助に小さい声で話し出す。

「私も島原に出掛けた隊士から不思議な噂を聞きました。私も原田さんに相談したいと思いました。」

原田左之助は藤堂平助に小さい声で話し出す。

「平助が聞いた噂は、島原に通いつめている隊士が、支払いに困って辻斬りをしているという内容か?」

藤堂平助は原田左之助に小さい声で話し出す。

「はい。」

原田左之助は藤堂平助に小さい声で話し出す。

「俺は噂の真偽を確認してから、近藤さんか土方さんに伝えたいと考えているんだ。隊士は噂の隊士の名前を言わないんだ。俺が島原に行くのは任務や付き合い程度だから、噂の確認のために島原に行ったら目立つと思うんだ。噂の真偽が分からないから、近藤さんや土方さんに噂について伝えられない。」

藤堂平助は原田左之助に小さい声で話し出す。

「私にも噂の隊士の名前を教えてくれませんでした。隊士達は組長の立場の私達に真偽の分からない噂の隊士の名前を言い難いのでしょうね。私も原田さんと同じく島原に行くのは任務や付き合い程度です。私も噂の確認のために島原に行ったら目立つと思います。」

原田左之助は藤堂平助に小さい声で話し出す。

「島原では数日以上前から噂になっているらしい。近藤さんが噂を知っているか分からないが、土方さんは既に噂を知っているような気がする。噂の内容が事実ならば、新撰組の評判と規律に係わるのに、土方さんが何かしている様子はない。不思議だな。」

藤堂平助は原田左之助に小さい声で話し出す。

「確かに不思議ですよね。確認中か確認を取るのが難しいのでしょうか?」

原田左之助は藤堂平助に小さい声で話し出す。

「総司か永倉さんにも噂について話したいな。」

藤堂平助は原田左之助に小さい声で話し出す。

「沖田さんには今回の噂はいろいろな意味で話し難いです。沖田さんの性格と永倉さんの性格から考えると、今回の噂の行動をする隊士は許さないと思います。永倉さんの性格から考えると、噂を知っていたら、既に相談を含めた行動を取っていると思います。沖田さんの性格から考えると、噂を知っていたら、近藤さんか土方さんか斉藤さんに既に相談していると思います。」

原田左之助は藤堂平助に小さい声で話し出す。

「噂が事実ならば、俺は噂の人物を絶対に許さない。新撰組の評判を落とすために流した噂ならば、俺は噂を流した人物を絶対に許さない。」

藤堂平助は原田左之助に小さい声で話し出す。

「私も原田さんと同じ考えです。沖田さんも永倉さんも同じ考えのはずです。」

原田左之助は藤堂平助に小さい声で話し出す。

「今の新撰組内で噂の真相の一番近くに居るのは、土方さんだと思うんだ。噂の真偽を確認する前に土方さんに話すのは本意ではないが、今日中に話そうと思う。」

藤堂平助は原田左之助に小さい声で話し出す。

「原田さんと私の二人で土方さんに会うと目立ちそうですね。」

原田左之助は藤堂平助に小さい声で話し出す。

「土方さんには俺から話すよ。」

藤堂平助は原田左之助に小さい声で話し出す。

「よろしくお願いします。」

原田左之助は藤堂平助に小さく頷いた。



原田左之助は部屋を普通に出て行った。



その翌日の事。



ここは、京の町。



桜が綺麗に咲いている。



沖田総司と少女が、話しながら歩いている。



どこかから数人の男性の話し声が聞こえてきた。

「昨日は島原に出掛けたんだ。島原に通いつめている新撰組隊士が辻斬りをしている噂を聞いたんだ。」

「新撰組隊士の物凄く個人的な理由のために、突然に辻斬りが増えたんだ。」

「さすが壬生狼。」

「今は噂の真偽が分からない状況だろ。俺達の話を新撰組隊士が聞いたら命に係わるぞ。気軽に話すのは止めよう。」



沖田総司は少女に笑顔で話し出す。

「鈴ちゃん! 今は桜が綺麗だよね! 桜を見ながらたくさん話そうね!」

少女は沖田総司を心配そうに見た。

沖田総司は少女に笑顔で話し出す。

「鈴ちゃん! 何か遭ったのかな?!」

少女は沖田総司に微笑みながら首を横に振った。

沖田総司は少女を笑顔で見た。

少女は沖田総司を微笑んで見た。



それから暫く後の事。



ここは、屯所。



斉藤一の部屋。



斉藤一は普通にしている。



沖田総司は普通に訪ねてきた。



斉藤一は沖田総司を普通の表情で見た。

沖田総司は斉藤一に小さい声で話し出す。

「今日の出来事ですが、鈴ちゃんと歩きながら話していたら、島原に通いつめている新撰組隊士が辻斬りをしている内容の噂を聞きました。今回と同じ内容の噂を既に何回も聞きました。斉藤さんも私の聞いた内容の噂を何度か聞いていますか?」

斉藤一は沖田総司に普通の表情で頷いた。

沖田総司は斉藤一に小さい声で話し出す。

「現時点では、島原の関係者以外で噂を知るのが主に男性のため、島原以外で噂される機会は少ないようです。でも鈴ちゃんと出掛けている時に噂を聞く状況から考えると、島原以外でもたくさんの人達が噂する日も近いですよね。」

斉藤一は沖田総司に小さい声で話し出す。

「近藤さんか土方さんに既に噂について伝えたのか?」

沖田総司は斉藤一に困惑した様子で小さく頷いた。

斉藤一は沖田総司に小さい声で話し出す。

「近藤さんか土方さんは、何か言ったのか?」

沖田総司は斉藤一に小さく首を横に振った。

斉藤一は沖田総司を普通の表情で見た。

沖田総司は斉藤一に小さい声で話し出す。

「京の町を守るのは、新撰組の大切な任務の一つです。私は、金策に困って辻斬りをする人物を、新撰組の評判を落とした隊士を、絶対に許しません。」

斉藤一は沖田総司に普通に話し出す。

「総司。今は細心の注意を払った言動をしろ。」

沖田総司は斉藤一に真剣な表情で頷いた。

斉藤一は沖田総司を普通の表情で見た。

沖田総司は斉藤一に小さい声で話し出す。

「近藤さんと土方さんは、今回の噂に関しての言動を長く控えていますよね。近藤さんと土方さんの表立っての言動は、新撰組隊士の仕業だと認める内容になる可能性がありますよね。噂の真偽の確認を待っているのでしょうか?」

斉藤一は沖田総司に普通の表情で頷いた。

沖田総司は斉藤一に小さい声で話し出す。

「突然に訪ねてきてすいませんでした。」

斉藤一は沖田総司に小さい声で話し出す。

「総司は何度も突然に訪ねてくる。気にするな。」

沖田総司は斉藤一を苦笑した表情で見た。

斉藤一は沖田総司を普通の表情で見た。

沖田総司は斉藤一小さい声で話し出す。

「失礼します。」

斉藤一は沖田総司に普通の表情で頷いた。



沖田総司は部屋を普通に出て行った。



それから数日後の事。



ここは、京の町。



桜は綺麗に咲いている。



ここは、一軒の落ち着いた雰囲気の家。



一室。



土方歳三、沖田総司、斉藤一、原田左之助が居る。

卓の上には、美味しそうなお酒と肴が載っている。



沖田総司は杯の酒を微笑んで飲んでいる。

斉藤一は杯の酒を普通の表情で飲んでいる。

原田左之助は杯の酒を飲みながら、土方歳三に不思議そうに話し出す。

「土方さん。今回は不思議な組み合わせで飲んでいますね。」

土方歳三は杯の酒を飲みながら、原田左之助に微笑んで話し出す。

「一見すると不思議な組み合わせだが、良く見ると不思議な組み合わせではない。」

原田左之助は杯の酒を飲みながら、土方歳三を不思議そうに見た。

土方歳三は杯の酒を飲みながら、沖田総司、斉藤一、原田左之助に微笑んで話し出す。

「そろそろ四人で酒を飲んでいる目的を話しても良いかな? 話しが終わったら、再び酒や肴を味わいながら楽しんでくれ。」

斉藤一は杯の酒を飲み干すと、土方歳三に普通の表情で軽く礼をした。

沖田総司は杯の酒を飲み干すと、土方歳三を普通の表情で見た。

原田左之助も杯の酒を飲み干すと、土方歳三を普通の表情で見た。

土方歳三は杯の酒を飲み干すと、沖田総司、斉藤一、原田左之助に小さい声で話し出す。

「加納惣三郎と一人の浪士を斬って欲しい。」

斉藤一は土方歳三を普通の表情で見た。

原田左之助も土方歳三を普通の表情で見た。

沖田総司は土方歳三に小さい声で話し出す。

「惣三郎と一人の浪士を斬る理由を教えてください。」

土方歳三は、沖田総司、斉藤一、原田左之助に小さい声で話し出す。

「加納が間者の役目を担っているのが判明した。加納の役目の一つに新撰組の評判を落とす内容があるらしい。加納は剣術と容姿に優れている。新撰組隊士として噂になり、新撰組内部での出世も早いと判断されて、間者に選ばれたらしい。」

原田左之助は土方歳三に小さい声で話し出す。

「加納は剣術だけでなく容姿も優れているので、女性達の間で評判になっているのは知っています。しかし、加納の今の役職は出世をした内に入りません。行動を起こすのが早くないですか?」

土方歳三は、沖田総司、斉藤一、原田左之助に小さい声で話し出す。

「加納は島原の錦木太夫に本気で惚れている。相手側は、新撰組隊士が島原の太夫に惚れて通いつめて金策に困るという、新撰組の評判を落とす状況を作るのに成功した。」

沖田総司は土方歳三に小さい声で話し出す。

「惣三郎の立場で得る収入では、太夫に直ぐに会えなくなりますよね。相手側が太夫に会うための費用を用意しているのですか?」

土方歳三は沖田総司に普通の表情で小さく頷いた。

沖田総司は土方歳三を見ながら考え込んだ。

土方歳三は、沖田総司、原田左之助、斉藤一に小さい声で話し出す。

「加納は剣術に優れているが、辻斬りをしているのは別人だ。辻斬りをしている人物が、加納に島原へ通うための資金を渡している。」

沖田総司は土方歳三に小さい声で話し出す。

「相手側の首謀者も含めて討たなくて良いのですか?」

土方歳三は、沖田総司、斉藤一、原田左之助に普通に話し出す。

「今回は、加納と辻斬りをしている人物が斬られた事実を周りに分かる状況にして、相手側の動きを見る。」

原田左之助は土方歳三に小さい声で話し出す。

「加納は新撰組隊士として斬られるのですか?」

土方歳三は、沖田総司、斉藤一、原田左之助に小さい声で話し出す。

「加納が見習い隊士で入隊してから少し後に、間者の疑いがでてきた。加納が剣術や容姿に優れているので、相手側の目論見が想像できた。俺の想像が合っているか確認するために、加納を出世させた。呆れるほどに想像が当たった。今回の出来事の結末は、辻斬りを阻止するために亡くなった新撰組隊士がいる、加納惣三郎という隊士は居ない、となる。」

沖田総司は軽く息をはいた。

土方歳三は沖田総司に小さい声で話し出す。

「総司。今回の件を請けるのは、嫌なのか?」

沖田総司は土方歳三に小さい声で話し出す。

「惣三郎は信念を持って新撰組の評判を落とす言動を実行しています。土方さんは詳細な経緯を説明してくれました。私が断る理由はありません。」

原田左之助は土方歳三に小さい声で話し出す。

「俺も総司と同じ考えです。」

斉藤一は土方歳三に普通の表情で軽く礼をした。

土方歳三は、沖田総司、斉藤一、原田左之助に小さい声で話し出す。

「新撰組以外の人物に加納を討つ依頼をしたが、加納に返り討ちにあった。今回は絶対に失敗が出来ないから三人を選んだ。加納は返り討ちにした人物と新撰組の関係に気付いていない。これから今回の件の詳細について話す。加納に警戒されないために、屯所内では事態の急変がない限り話さない。質問と確認はこの部屋に居る間だけにしてくれ。」

沖田総司は土方歳三に真剣な表情で軽く礼をした。

原田左之助も土方歳三に真剣の表情で軽く礼をした。

斉藤一は土方歳三に普通の表情で軽く礼をした。

土方歳三は、沖田総司、斉藤一、原田左之助を真剣な表情で見た。



それから数日後の事。



ここは、京の町。



夜空では月と星が綺麗に輝いている。



桜は月の光と星の光を受けて淡く光っている。



ここは、島原の近く。



加納惣三郎は静かに歩いている。



加納惣三郎の後ろから物凄い殺気を感じた。



加納惣三郎は立ち止まると、後ろを恐怖の表情で見た。



沖田総司は冷たい表情で刀を持っている。



加納惣三郎は沖田総司を恐怖の表情で見た。

沖田総司は加納惣三郎を冷たい表情で素早く斬った。

加納惣三郎は恐怖の表情を浮かべたまま、地面へと崩れ落ちた。

沖田総司は刀を持ちながら、加納惣三郎を冷たい表情で見た。



加納惣三郎は既に事切れている。



斉藤一が沖田総司の傍に普通の表情で来た。



沖田総司は刀を持ちながら、斉藤一を冷たい表情で見た。

斉藤一は加納惣三郎の腰に差してある刀を抜くと、加納惣三郎の傍に静かに置いた。

沖田総司は刀を持ちながら、少し離れた場所を冷たい表情で見た。



浪士が事切れて地面に倒れている。

原田左之助は刀を持ちながら、浪士を真剣な表情で見ている。

土方歳三は沖田総司を真剣な表情で見た。



沖田総司は刀を持ちながら、土方歳三と原田左之助の元に冷たい表情で来た。

斉藤一は土方歳三と原田左之助の元に普通の表情で来た。



原田左之助は刀を持ちながら、沖田総司と斉藤一を真剣な表情で見た。

土方歳三は沖田総司と斉藤一を普通の表情で見た。

沖田総司は土方歳三に刀を冷たい表情で渡した。

土方歳三は沖田総司から刀を真剣な表情で受け取った。



沖田総司は冷たい表情のまま、僅かに早い歩調で歩き出した。

斉藤一の普通の表情のまま、僅かに早い歩調で歩き出した。



土方歳三は浪士の傍に刀を静かに置いた。

原田左之助は刀を持ちながら、土方歳三を真剣な表情で見た。

土方歳三は原田左之助に真剣な表情で頷いた。



その翌日の事。



ここは、京の町。



桜は綺麗に咲いている。



今日は何度も同じ内容の話を聞く。



「今牛若丸と呼ばれる新撰組隊士の加納惣三郎が亡くなったそうだ。」

「島原からの帰り道で辻斬りの現場を目撃して、阻止する間に亡くなったそうだ。」

「俺の聞いた話は、新撰組の土方歳三が金策と辻斬りを繰り返した加納惣三郎に怒って斬ったという内容だ。」

「辻斬りをしていた人物は、加納惣三郎と別な人物のどちらなんだ?」

「何が真実なのか全く分からない。」

「壬生狼の言動は、全て分からない。」

「壬生狼の係わる出来事は、全て真実が分からない。」



「新撰組の加納惣三郎さんが斬られて亡くなったそうよ。」

「加納惣三郎さんの凛々しくて素敵な姿は二度と見られないのね。」

「物凄く悲しいわ。」

「最近は凛々しくて素敵な雰囲気が無くなっていたように感じない?」

「私も同じように感じていたの。」

「加納惣三郎さんが亡くなった理由についての噂を幾つか聞いたの。」

「私は加納惣三郎さんが辻斬りをしていた噂を聞いたの。本当なのかしら?」

「噂が本当だったら嫌だわ。」

「私も嫌よ。」

「これからは新撰組の幹部の隊士に注目しない?」

「そうしましょう。」



その翌日の事。



ここは、京の町。



桜は綺麗に咲いている。



ここは、少女の家。



玄関。



沖田総司が微笑んで訪ねてきた。



少女は沖田総司の前に僅かに慌てた様子で現れた。



沖田総司は少女を不思議そうに見た。

少女は沖田総司を安心した様子で見た。

沖田総司は少女に微笑んで話し出す。

「鈴ちゃん。こんにちは。斉藤さんは約束の場所で先に待っているんだ。一緒に行こう。」

少女は沖田総司に微笑んで頷いた。



沖田総司は微笑みながら出掛けて行った。

少女も微笑みながら出掛けて行った。



それから少し後の事。



ここは、沖田総司、斉藤一、少女が良く訪れる寺。



境内には桜が綺麗に咲いている。



ここは、寺の中。



斉藤一は普通に居る。



沖田総司は寺の中に微笑んで入ってきた。

少女も寺の中に微笑んで入ってきた。



斉藤一は沖田総司と少女を普通の表情で見た。

少女は斉藤一を安心した表情で見た。

沖田総司は少女を不思議そうに見た。

少女は静かに泣き出した。

斉藤一は沖田総司と少女を普通の表情で見ている。

沖田総司は少女に心配そうに話し出す。

「鈴ちゃん。大丈夫?」

少女は静かに泣きながら、沖田総司に小さく頷いた。

沖田総司は少女を抱くと、心配そうに話し出す。

「私は鈴ちゃんを悲しませる話しをしたのかな?」

少女は沖田総司に静かに泣きながら話し出す。

「若い新撰組の隊士の方が辻斬りに斬られて亡くなったと聞きました。土方さんと組長さんが、若い新撰組隊士の斬られる姿を見たと聞きました。新撰組の組長さんが無事なのか誰も話しません。心配になりました。家族が心配しないように、出来るだけ普通にしていました。今日は総司さんと斉藤さんの無事な姿が見られました。安心しました。安心したら、涙が溢れて止まらなくなりました。」

沖田総司は少女を抱きながら、心配そうに話し出す。

「鈴ちゃん。心配を掛けてごめんね。鈴ちゃんに直ぐに逢えなくてごめんね。」

少女は沖田総司に静かに泣きながら話し出す。

「総司さん。心配を掛けてしまって申し訳ありません。」

沖田総司は少女を抱きながら、心配そうに話し出す。

「今回の内容の話を聞けば、誰でも心配になるよ。鈴ちゃん。謝らなくて良いよ。」

斉藤一は少女に普通に話し出す。

「俺も総司も強い。美鈴さんは安心して過ごしてくれ。」

少女は沖田総司と斉藤一に静かに泣きながら話し出す。

「総司さん。斉藤さん。ありがとうございます。」

沖田総司は少女を抱きながら、微笑んで話し出す。

「鈴ちゃん。私と斉藤さんと鈴ちゃんで、境内に咲く綺麗な桜を楽しんで見ようよ。」

斉藤一は少女に普通の表情で頷いた。

少女は静かに泣きやんだ。

斉藤一は少女を普通の表情で見た。

少女は沖田総司と斉藤一に微笑んで頷いた。

沖田総司は少女を微笑んで放した。

少女は沖田総司と斉藤一を微笑んで見た。

斉藤一は沖田総司と少女を普通の表情で見た。



それから少し後の事。



ここは、たくさんの桜が咲く場所。



何人かの花見客が居る。



原田左之助はおまさを微笑んで見ている。

おまさは桜を微笑んで見ている。



おまさは原田左之助を見ると、不思議そうに話し出す。

「左之助さん。先程から私ばかり見ていない?」

原田左之助はおまさに微笑んで話し出す。

「確かに先程からおまさちゃんだけを見ているよ。」

おまさは原田左之助に不思議そうに話し出す。

「桜を見に来たのに私ばかり見ていて良いの?」

原田左之助はおまさに微笑んで話し出す。

「俺はおまさちゃんに喜んで欲しくて、たくさんの桜が咲く場所に来たんだ。おまさちゃんは俺を気にせずに桜を楽しんで見てくれ。」

おまさは原田左之助に普通に話し出す。

「左之助さん。突然だけど、新撰組の若い隊士が辻斬りを阻止する間に斬られて亡くなったと聞いたわ。」

原田左之助はおまさに微笑んで話し出す。

「俺も同じ内容の噂を聞いたよ。」

おまさは原田左之助を不思議そうに見た。

原田左之助はおまさを微笑んで見た。

おまさは桜を見ると、原田左之助に普通に話し出す。

「左之助さん。私は豪華な贈り物は要らないから無理しないでね。」

原田左之助はおまさを不思議そうに見た。

おまさは桜を見ながら、原田左之助に普通に話し出す。

「亡くなった若い隊士は、太夫を好きになってしまって、辻斬りをして費用を工面していた噂があるの。見習い隊士や普通の隊士は、太夫に会うための費用の工面は相当に大変よね。太夫ならば、ある程度の状況を分かっていたと思うの。太夫は亡くなった若い隊士を好きだったのか何度も考えてしまうの。」

原田左之助はおまさに考え込みながら話し出す。

「俺には難しい内容の話だな。」

おまさは原田左之助を普通の表情で見た。

原田左之助はおまさに微笑んで話し出す。

「俺は、難しい話は苦手で、直ぐに盛り上がる性格だろ。しっかり者のおまさちゃんが傍に居てくれると、安心できるし嬉しいんだ。」

おまさは原田左之助を普通の表情で見ている。

原田左之助はおまさに微笑んで話し出す。

「俺はおまちさゃんが恥ずかしく思う任務に就かない。俺はおまさちゃんに自慢の出来る任務にしか就かない。」

おまさは原田左之助を普通の表情で見ている。

原田左之助はおまさに恥ずかしそうに話し出す。

「話が逸れてしまった。」

おまさは原田左之助に微笑んで話し出す。

「話しは逸れていないわよ。」

原田左之助はおまさを微笑んで見た。

おまさは原田左之助に微笑んで話し出す。

「左之助さん。私が左之助さんをずっと自慢が出来るように、しっかりと仕事をしてね。」

原田左之助はおまさに微笑んで話し出す。

「もちろん。」

おまさは原田左之助を微笑んで見た。

原田左之助もおまさを微笑んで見た。

おまさは桜を微笑んで見た。

原田左之助はおまさと桜を微笑んで見た。



それから数日後の事。



ここは、島原。



一軒の店。



一室。



土方歳三は杯の酒を微笑んで飲んでいる。

斉藤一は杯の酒を普通の表情で飲んでいる。

錦木太夫は土方歳三を微笑んで見ている。



土方歳三は杯の酒を飲みながら、錦木太夫に微笑んで話し出す。

「落ち着いて話が出来るようにしてくれてありがとう。」

錦木太夫は土方歳三に微笑んで話し出す。

「どういたしまして。」

土方歳三は杯の酒を飲みながら、錦木太夫を微笑んで見た。

錦木太夫は土方歳三に微笑んで話し出す。

「土方先生。私に何を話に来たのですか?」

土方歳三は杯の酒を飲みながら、錦木太夫に微笑んで話し出す。

「何を話して欲しい?」

錦木太夫は土方歳三に微笑んで話し出す。

「さすが土方先生。かわし方が上手ですね。」

土方歳三は杯の酒を飲みながら、錦木太夫を微笑んで見た。

錦木太夫は土方歳三に抱き付くと、微笑んで話し出す。

「土方先生。逢いたかったです。」

土方歳三は酒を飲むのを止めると、錦木太夫に微笑んで頷いた。

錦木太夫は土方歳三に抱き付きながら、微笑んで話し出す。

「土方先生。次に逢える日を早く教えてください。」

土方歳三は錦木太夫に微笑んで話し出す。

「今日は逢って間もないのに、次に逢う予定を決めるのか?」

錦木太夫は土方歳三に抱き付きながら、微笑んで話し出す。

「土方先生はお忙しい方です。突然に帰られるかも知れません。早く次に逢う約束をしないと、土方先生は別な女性と逢うための約束をしてしまいます。」

土方歳三は錦木太夫に微笑んで話し出す。

「錦木太夫と逢うためには、多額の費用が必要なのだろ。俺は無理な金策も辻斬りもしたくない。」

錦木太夫は土方歳三に抱き付きながら、僅かに拗ねた様子で話し出す。

「土方先生。酷いです。」

土方歳三は錦木太夫を微笑んで見た。

錦木太夫は土方歳三に抱き付きながら、僅かに拗ねた様子で話し出す。

「本当に土方先生には敵いません。」

土方歳三は錦木太夫に微笑んで話し出す。

「褒めてくれてありがとう。」

錦木太夫は土方歳三に微笑みながら強く抱き付いた。

土方歳三は錦木太夫を微笑んで見た。

斉藤一は杯の酒を飲みながら、土方歳三と錦木太夫を普通の表情で見た。



それから暫く後の事。



ここは、京の町。



月と星が綺麗に輝いている。



桜は月の光と星の光を受けて淡く光っている。



土方歳三は微笑んで歩いている。

斉藤一は普通に歩いている。



土方歳三は斉藤一に微笑んで話し出す。

「斉藤。“雉も鳴かずば撃たれまい”という言葉を知っているよな。」

斉藤一は土方歳三に普通の表情で軽く礼をした。

土方歳三は斉藤一に微笑んで話し出す。

「例の少年は、発言に関しては“雉も鳴かずば撃たれまい”にならないが、行動に関しては“雉も鳴かずば撃たれまい”になるな。」

斉藤一は土方歳三を普通の表情で見た。

土方歳三は斉藤一に微笑んで話し出す。

「さすが斉藤。返事を上手にかわしたな。」

斉藤一は土方歳三を普通の表情で見ている。

土方歳三は斉藤一に微笑んで話し出す。

「次に錦木太夫に逢う時は、総司も連れて行きたいと考えているんだ。」

斉藤一は土方歳三を普通の表情で見ている。

土方歳三は斉藤一に微笑んで話し出す。

「やはり止めた方が良いかな?」

斉藤一は土方歳三に普通の表情で軽く礼をした。

土方歳三は斉藤一を微笑んで見た。



世間には名前が知られている隊士だが、新撰組の記録では確認の取れない隊士がいる。

最初から新撰組の記録に無い隊士だったのか、途中から新撰組の記録に残せない隊士になったのか。

真相は永い月日を過ぎた今も濃い闇に包まれている。




〜 完 〜





はじめに       後書き

目次


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