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新撰組異聞外伝 〜 大雪の頃 〜


〜 第三版 〜


今は冬。


ここは、東京。


冬の寒さを感じるようになってきた。


時折、寒さを感じる風が吹く。


ここは、沖田総司の息子の敬一と母親の美鈴の住む家。


美鈴は出掛けているので居ない。

敬一は居る。


庭。


敬一は稽古着を着て、竹刀を使い、真剣な表情で素振りをしている。


少し後の事。


ここは、敬一と美鈴の住む家。


敬一の部屋。


敬一は真剣な表情で竹刀の確認をしている。


竹刀に傷やひびは無かった。


敬一は真剣な表情で竹刀を仕舞った。

敬一は普通の表情で普段着に着替えた。


少し後の事。


ここは、敬一と美鈴の住む家。


敬一の住む部屋。


机には何冊もの本が置いてある。


敬一は机の前に普通に来た。


敬一は本を普通に取った。

敬一は本を真剣な表情で読み始めた。


少し後の事。


ここは、敬一と美鈴の住む家。


敬一の部屋。


敬一は本を真剣な表情で読んでいる。


敬一は本を開いたまま机に置いた。

敬一は考えながら呟いた。

「筆記具が欲しいな。たんすの上に筆記具があった。筆記具を取りに行こう。」


敬一は部屋を普通に行った。


僅かに後の事。


ここは、敬一と美鈴の住む家。


食卓の有る部屋。


たんすの上に、小箱が二つ置いてある。


敬一はたんすの前に普通に来た。


敬一はたんすの上を覗くように見た。

敬一はたんすの上の一つの小箱を微笑んで取った。


たんすの上に残る小箱が落ちそうになった。


敬一は片手で小箱を抱えて、落ちそうになった小箱を片手で慌てて抱えた。


二つの小箱は壊れずに敬一の腕にある。


敬一は二つの小箱を抱えて、心配して座った。

敬一は二つの小箱を傍に置くと、小箱を心配して確認した。

敬一は二つの小箱のふたを開けると、心配して呟いた。

「箱の外見に傷は無いから、箱の中身も無事だよね。」


最初に開けた小箱には、筆記具が入っている。

次に開けた小箱には、幾通もの古めの手紙が入っている。


敬一は古めの手紙を不思議な様子で取った。


僅かに後の事。


ここは、敬一と美鈴の住む家。


玄関。


美鈴が微笑んで帰ってきた。


敬一は僅かに不機嫌に来た。


美鈴は敬一に不思議な様子で話し出す。

「敬一。出掛けるの?」

敬一は美鈴を見ずに、僅かに不機嫌に小さく頷いた。

美鈴は敬一を心配して見た。


敬一は僅かに不機嫌に出て行った。


美鈴は敬一の出掛ける様子を心配して見た。


少し後の事。


ここは、藤田五郎、妻の時尾、幼い息子の勉の住む家。


玄関の前。


敬一は困惑した表情で立っている。


玄関の戸が開いた。


時尾が微笑んだ表情で来た。


敬一は時尾を驚いた表情で見た。

時尾は敬一に微笑んで話し出す。

「敬一君。こんにちは。外は寒いわよね。早く家の中に入って。」

敬一は時尾を困惑して見た。

時尾は敬一に微笑んで頷いた。

敬一は時尾に微笑んで話し出す。

「おじゃまします。」

時尾は敬一に微笑んで頷いた。


敬一は家の中に微笑んで入って行った。

時尾も家の中に微笑んで入って行った。


少し後の事。


ここは、藤田五郎、妻の時尾、幼い息子の勉の住む家。


食卓の在る部屋。


時尾は微笑んで居る。

勉は笑顔で居る。

敬一は微笑んで居る。

敬一の前には、温かい湯気の立ち上るお茶が置いてある。


時尾は敬一に微笑んで話し出す。

「今日も五郎さんは出掛けているの。」

敬一は時尾に微笑んで話し出す。

「勉君と遊びたいと思って来ました。僕が居る間に斉藤さんが帰った時は話したいです。」

時尾は勉に微笑んで話し出す。

「勉。敬一君が遊んでくれるそうよ。良かったわね。」

勉は時尾と敬一に嬉しく話し出す。

「おにいちゃん。いっしょ。あそぶ。」

敬一は勉に微笑んで話し出す。

「勉君。外は寒いから部屋で遊ぼう。」

勉は敬一に嬉しく頷いた。

時尾は勉と敬一を微笑んで見た。


暫く後の事。


ここは、藤田五郎、妻の時尾、幼い息子の勉の住む家。


時尾と勉の部屋。


時尾は部屋の中に微笑んで入ってきた。


勉は大きい布に包まって眠っている。

敬一も大きい布に包まって眠っている。


時尾は押入れから掛け布団を微笑んで持った。

時尾は敬一に掛け布団を微笑んで掛けた。

敬一は気持ち良く眠り続けている。

時尾は勉を微笑んで抱いた。

勉は気持ち良く眠り続けている。


時尾は勉を抱いて、部屋を微笑んで出て行った。

勉は部屋を気持ち良く眠りながら出て行った。


少し後の事。


ここは、東京。


空の色に紺色が混じり始めた。


ここは、藤田五郎、妻の時尾、幼い息子の勉の住む家。


玄関。


藤田五郎が普通に家に帰ってきた。


時尾は微笑んで来た。


藤田五郎は時尾に普通の表情で頷いた。

時尾は藤田五郎に微笑んで話し出す。

「敬一君が来ています。勉と遊ぶ最中に、疲れたらしく寝てしまいました。敬一君が来た一番の理由は、勉と遊ぶために来たのではなく、五郎さんと話すためのように思います。」

藤田五郎は時尾に普通の表情で頷いた。

時尾は藤田五郎を微笑んで見た。


僅かに後の事。


ここは、藤田五郎、妻の時尾、幼い息子の勉の住む家。


時尾と勉の部屋。


藤田五郎は部屋の中に静かに入ってきた。


敬一は掛け布団の下で横になって静かに眠っている。


藤田五郎は敬一を普通の表情で見た。

敬一は掛け布団の下で横になって眠りながら、寂しく寝言を言った。

「お父さん。」

藤田五郎は敬一を普通の表情で見ている。


沖田総司が部屋の中に居る気配は感じない。


藤田五郎は敬一を軽くゆすり、敬一に普通に声を掛ける。

「敬一。起きろ。」

敬一は掛け布団の下で横になりながら、ゆっくりと目を開けた。

藤田五郎は敬一を普通の表情で見た。

敬一は慌てて体を起した。

藤田五郎は敬一を普通の表情で見ている。

敬一は起き上がると、藤田五郎に慌てて話し出す。

「すいません! 寝てしまいました!」

藤田五郎は敬一に普通に話し出す。

「気にするな。」

敬一は藤田五郎に慌てて話し出す。

「直ぐに帰ります!」

藤田五郎は敬一に普通に話し出す。

「俺に話しがあるのだろ。俺に話さずに帰るのか?」

敬一は藤田五郎を寂しく見た。

藤田五郎は敬一に普通に話し出す。

「暗くなり始めている。家まで送る。家に帰る途中で話せ。」

敬一は藤田五郎に困惑した様子で話し出す。

「はい。」


藤田五郎は部屋を普通に出て行った。

敬一は部屋を困惑して出て行った。


少し後の事。


ここは、東京。


空の色の紺色が強くなってきている。


藤田五郎は敬一を一瞥しながら、普通に歩いている。

敬一は藤田五郎を一瞥しながら、困惑した様子で歩いている。


藤田五郎は敬一に普通に話し出す。

「敬一。悩まずに早く話せ。」

敬一は藤田五郎に寂しく話し出す。

「今日の出来事です。筆記具の入った小箱を取ろうとしました。傍に有った小箱が落ちそうになったので慌てて抱えました。小箱の中身が分からないから、傷などの確認のために開けました。小箱には幾通もの古めの手紙が入っていました。宛名は全てお母さんでした。差出人は同じ名前の男性でした。手紙の古さから考えると、お父さんと一緒になった以降の手紙だと思います。」

藤田五郎は敬一に普通に話し出す。

「手紙は読んだのか?」

敬一は藤田五郎に寂しく話し出す。

「お母さん宛の手紙です。お母さんに黙って手紙は読めません。」

藤田五郎は敬一を普通の表情で見た。

敬一は藤田五郎に寂しく話し出す。

「お母さんと僕は、京都から東京に来る時に、いろいろな物を処分しました。お母さんにとって、小箱の中の手紙は処分できない大切な手紙だと思います。」

藤田五郎は敬一に普通に話し出す。

「総司にも美鈴さんにも、男女を含めて知り合いがいる。不思議な状況に該当しない。」

敬一は藤田五郎に寂しく話し出す。

「お母さんの知り合いの書いた手紙ならば、更に古い手紙もありますよね。お父さんの知り合いがお母さん宛てに手紙を書くとしたら、お父さんとお母さんが別々に過ごした以降になりますよね。」

藤田五郎は敬一を普通の表情で見た。

敬一は藤田五郎に寂しく話し出す。

「お母さんは、お父さんが書いた手紙やお父さんが残してくれた物は、大切に仕舞っています。僕が見付けた手紙は、小箱に普通に仕舞ってありました。僕が見付けた手紙は、お父さんに関係する手紙ではないと思います。」

藤田五郎は敬一に普通に話し出す。

「美鈴さんに質問しないのか?」

敬一は藤田五郎に寂しく話し出す。

「お母さんにとって、小箱に仕舞った手紙の差出人は、僕に知られたくない人物かも知れません。」

藤田五郎は敬一に普通に話し出す。

「美鈴さんは、敬一に知られたくない手紙ならば、しっかりと仕舞う。美鈴さんが普通に仕舞った手紙ならば、敬一が美鈴さんに質問すれば答える。」

敬一は藤田五郎を寂しく見た。

藤田五郎は空を見ると、敬一に普通に話し出す。

「話題を変える。空の暗くなる時が早くなっている。俺の家で食事をしてから帰る方が良かったかも知れない。」

敬一は藤田五郎に微笑んで話し出す。

「お母さんは僕のためにご飯を作って待っているはずです。お母さんは僕を心配して待っているはずです。斉藤さんの家で食事をして帰ったら、お母さんに悪いです。」

藤田五郎は敬一を見ると、敬一に普通の表情で頷いた。

敬一は藤田五郎に微笑んで話し出す。

「斉藤さん。今回は、僕からお母さんに手紙について質問するのは止めます。」

藤田五郎は敬一に普通の表情で頷いた。

敬一は藤田五郎に微笑んで話し出す。

「斉藤さん。僕も話題を変えます。斉藤さんと手を繋いで帰りたいです。良いですか?」

藤田五郎は敬一に普通に手を差し出した。

敬一は藤田五郎の手を微笑んで握った。


藤田五郎は敬一の手を握り、普通に歩いた。

敬一は藤田五郎の手を握り、微笑んで歩いた。


少し後の事。


ここは、敬一と美鈴の住む家。


玄関。


敬一は元気良く帰ってきた。

藤田五郎は普通に来た。


美鈴は心配して来た。


敬一は美鈴に笑顔で話し出す。

「お母さん! ただいま!」

美鈴は敬一を心配な表情で抱いた。

藤田五郎は敬一と美鈴を普通の表情で見た。

敬一は美鈴に心配して話し出す。

「お母さん。大丈夫?」

美鈴は敬一を抱いて、敬一に悲しく話し出す。

「敬一。いつも何も出来なくて、ごめんね。」

敬一は美鈴に心配して話し出す。

「お母さん。黙って出掛けてごめんなさい。心配を掛けてごめんなさい。」

美鈴は敬一を抱いて、敬一に安心して話し出す。

「敬一が元気に帰ってきたわ。嬉しいわ。安心したわ。」

敬一は美鈴に心配な表情で抱き付いた。

美鈴は敬一を抱いて、敬一を安心した表情で見た。

藤田五郎は敬一と美鈴を普通の表情で見た。

美鈴は敬一を微笑んでゆっくりと放した。

敬一は美鈴を微笑んで見た。

美鈴は藤田五郎に微笑んで話し出す。

「少しですが、お酒を用意しました。夕飯の用意はほとんど終わっています。夕飯と一緒にいかがですか?」

藤田五郎は美鈴に普通に話し出す。

「夕飯は家に帰って食べる。酒のみを頂きたい。」

美鈴は藤田五郎に微笑んで話し出す。

「直ぐに用意します。少しだけお待ちください。」

藤田五郎は美鈴に普通の表情で頷いた。

美鈴は敬一を微笑んで見た。

敬一は美鈴に微笑んで頷いた。


美鈴は家の中に微笑んで入って行った。

藤田五郎は家の中に普通に入って行った。

敬一は家の中に微笑んで入って行った。


少し後の事。


ここは、敬一と美鈴の住む家。


食卓の有る部屋。


藤田五郎は杯の酒を普通の表情で飲んでいる。

美鈴は微笑んで食事をしている。

敬一は笑顔で美味しく食事をしている。

食卓には、食事と酒と肴が載っている。


少し後の事。


ここは、敬一と美鈴の住む家。


藤田五郎は自分の家に帰ったので居ない。

敬一と美鈴は、居る。


縁の傍。


敬一は微笑んで居る。

美鈴も微笑んで居る。


敬一は美鈴に微笑んで話し出す。

「斉藤さんは家に着いた頃かな?」

美鈴は敬一に微笑んで頷いた。

敬一は外を微笑んで見た。

美鈴も外を微笑んで見た。


夜空からゆっくりと雪が降り始めた。


敬一は美鈴を見ると、美鈴に笑顔で話し出す。

「お母さん! 雪が降ってきたよ!」

美鈴は敬一を見ると、微笑んで頷いた。

敬一は美鈴を笑顔で見た。


同じ頃。


ここは、藤田五郎、妻の時尾、幼い息子の勉の住む家の前。


藤田五郎は普通に来た。


藤田五郎の頬に冷たい物が当たった。


藤田五郎は夜空を普通の表情で見た。


夜空からゆっくりと雪が降ってきている。


藤田五郎は視線を戻すと、玄関の戸を開けて、家の中に普通に入っていった。




*      *      *      *      *      *




ここからは後書きになります。

この物語は既に掲載している物語の再改訂版です。

改訂前の展開や雰囲気を出来るだけ残して改訂しました。

改訂前の物語を掲載するのは止めました。

以上、ご了承ください。

ここからは改訂前の後書きを加筆訂正して書きます。

敬一君や美鈴さんに関する状況は、具体的に書いた部分、全く書かない部分、漠然と書いた部分、があり、謎がたくさんあります。

この物語は、敬一君が自分の知らない人物が美鈴さんに宛てた手紙を見付けて、いろいろと考えてしまう場面が登場します。

藤田五郎さんは、何かを知る可能性が高いですが、敬一君を見守る状況になりました。

敬一君は、美鈴さんに現在は何も尋ねないと決めました。

美鈴さんは敬一君が尋ねたい事があると気付いていますが、敬一君の様子から、敬一君に話すのは止めました。

美鈴さんの性格だと、藤田五郎さんの話すとおり、大切な物は大事に仕舞う性格になっています。

たんすの上に有った小箱の疑問は残りますが、疑問のまま終わりました。

敬一君にとって謎が一つ増えました。

この物語では、雪が降る場面があります。

物語の設定時期の夜に雪が降ると、暗いし足元も良い状況ではないと思うので、歩き難いと思います。

この物語は、外は真っ暗ではなかったと想像をして読んでください。

物語の設定時期の暦では、この時期の東京の町に雪が降るのは珍しいと思いますが、題名が「大雪(たいせつ)」となっているので、雪の降る場面を登場させました。

「大雪(たいせつ)」についてです。

二十四節気の一つです。

十二月七日頃、または、十二月七日頃から冬至までの期間をいいます。

雪が激しく降り始める頃といわれています。

鰤(ぶり)などの冬の魚の漁が盛んになって、熊が冬眠に入り、南天の実が赤く色づく頃といわれます。

楽しんで頂けると嬉しいです。





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