新撰組異聞外伝　〜　立夏の頃　菖蒲と杜若　〜


〜　改訂版　〜


今は、立夏の頃。


ここは、東京。


心地好い日が続いている。


今日も空も青くて良い天気になる。


ここは、町中。


沖田総司の息子の敬一は微笑んで歩いている。

母親の美鈴も微笑んで歩いている。


敬一は美鈴に微笑んで話し出す。

「お母さん。今日は天気が良いね。」

美鈴は敬一に微笑んで頷いた。

敬一は美鈴に微笑んで話し出す。

「菖蒲が綺麗に咲いていると思うんだ。杜若が見られるかも知れないね。観に行こうよ。」

美鈴は敬一に微笑んで話し出す。

「お花は別の機会に観ましょう。今日も天気が良いから、直ぐに家の帰るのはもったいないわね。少し寄り道をして帰りましょう。」

敬一は美鈴に微笑んで頷いた。

美鈴は敬一を微笑んで見た。


暫く後の事。


ここは、敬一と美鈴の住む家。


食卓の有る部屋。


敬一は微笑んで来た。

美鈴も微笑んで来た。


敬一は美鈴に微笑んで話し出す。

「お母さん。近い内に斉藤さんの家に遊びに行くね。」

美鈴は敬一に微笑んで話し出す。

「斉藤さんとご家族に迷惑を掛けないようにね。」

敬一は美鈴に微笑んで頷いた。

美鈴は敬一に微笑んで話し出す。

「敬一。少し経つと、剣道の素振りの稽古を始める頃よね。今から洗濯物を取り込むわ。敬一は稽古の準備をしながら待っていてね。」

敬一は美鈴に微笑んで頷いた。

美鈴は敬一を微笑んで見た。


美鈴は微笑んで居なくなった。


少し後の事。


ここは、敬一と美鈴の住む家。


庭。


美鈴は洗濯物を手際良く微笑んで取り込んでいる。


縁。


敬一は微笑んで来た。


敬一は美鈴を微笑んで見た。


美鈴は洗濯物を抱えて微笑んで来た。


敬一は美鈴に微笑んで話し出す。

「お母さん。凄いね。」

美鈴は洗濯物を縁に置くと、敬一を不思議な様子で見た。

敬一は美鈴を微笑んで話し出す。

「お母さん。洗濯物を手際良く取り込んでいるね。」

美鈴は敬一を微笑んで見た。

敬一も美鈴を微笑んで見た。

美鈴は敬一に微笑んで話し出す。

「敬一。稽古の準備は終わったの？」

敬一は美鈴に苦笑して話し出す。

「お母さんを見ていたから、準備を忘れていた。」

美鈴は敬一を微笑んで話し出す。

「敬一。お母さんは大丈夫よ。稽古の準備をしなさい。」

敬一は美鈴に苦笑して頷いた。

美鈴は敬一を微笑んで見た。


敬一は家の中に苦笑して入って行った。


少し後の事。


ここは、敬一と美鈴の住む家。


庭。


敬一は稽古着を着て、真剣な表情で素振りをしている。


竹刀を振る音が敬一の耳に聞こえてくる。


敬一の額に汗が浮かんできた。


敬一は気にする様子もなく素振りを続けている。


縁。


美鈴は敬一を見ながら、洗濯物を微笑んでたたんでいる。


暫く後の事。


ここは、敬一と美鈴の住む家。


縁。


美鈴は手拭を持ち、微笑んで来た。


敬一は竹刀を持ち、微笑んで来た。


美鈴は手拭を持ち、敬一に微笑んで話し出す。

「敬一。手拭を用意したわ。」

敬一は竹刀を持ち、美鈴に微笑んで話し出す。

「お母さん。ありがとう。」

美鈴は敬一に手拭を微笑んで渡した。

敬一は竹刀を傍に置くと、美鈴から手拭を微笑んで受け取った。

美鈴は敬一を微笑んで見た。

敬一は手拭を持ち、美鈴に微笑んで話し出す。

「お母さんは僕の稽古が終わると、手拭を持って待っているね。」

美鈴は敬一に微笑んで話し出す。

「敬一が風邪をひかないように、手拭などを直ぐに渡せるように、早めに待つようにしているの。」

敬一は手拭を待ち、美鈴に微笑んで話し出す。

「さすが。お母さん。」

美鈴は敬一を微笑んで見た。

敬一は手拭で顔などを微笑んで拭いた。

美鈴は敬一を微笑んで見た。


少し後の事。


ここは、敬一と美鈴の住む家。


食卓の有る部屋。


美鈴は微笑んで居る。

食卓には、お茶の用意がしてある。


敬一は微笑んで来た。

敬一は普段着を着ている。


美鈴はお茶を微笑んで入れた。

敬一は美鈴に微笑んで話し出す。

「お母さん。ありがとう。いただきます。」

美鈴は敬一に微笑んで頷いた。

敬一はお茶を飲みながら、美鈴に微笑んで話し出す。

「お母さん。食事の支度を始めるの？」

美鈴は敬一に微笑んで頷いた。


美鈴は台所に微笑んで居なくなった。


敬一は微笑んで美味しくお茶を飲んだ。


数日後の事。


ここは、敬一と美鈴の住む家。


一室。


美鈴は微笑んで手際良く片付けをしている。


暫く後の事。


ここは、敬一と美鈴の住む家。


食卓の有る部屋。


敬一が元気良く来た。


敬一は不思議な様子で呟いた。

「お母さん。居ない。出掛けたのかな？」

敬一は不思議な様子で呟いた。

「書置きをしてから出掛けよう。」

敬一は不思議な様子で書置きを書いた。


暫く後の事。


ここは、藤田五郎、妻の時尾、幼い息子の勉の住む家。


食卓の有る部屋。


時尾は微笑んで居る。

敬一は焙じ茶を笑顔で美味しく飲んでいる。


時尾は敬一を申し訳なく見た。

敬一は焙じ茶を飲みながら、時尾を不思議な様子で見た。

時尾は敬一に申し訳なく話し出す。

「五郎さんは仕事で家に居ないの。家に帰るのは少し遅くなると思うの。寂しいわよね。」

敬一は焙じ茶を飲みながら、時尾に微笑んで話し出す。

「斉藤さんも時尾さんも勉君も、優しいです。寂しくないです。今日は、時尾さんに相談をするために来ました。」

時尾は敬一を不思議な様子で見た。

敬一は焙じ茶を飲みながら、時尾に微笑んで話し出す。

「お母さんは僕のためにいつも忙しく働いています。お礼に花を贈りたいです。時期的に、菖蒲と杜若の両方が咲いていると思います。菖蒲と杜若を贈りたいと思っています。」

時尾は敬一に微笑んで話し出す。

「敬一君から花の贈り物を受け取ったら、美鈴さんはとても喜ぶと思うわ。敬一君の話すとおり、時期的に菖蒲や杜若の贈り物は良いと思うわ。菖蒲や杜若を、分けてもらいに行きましょう。」

敬一は焙じ茶を飲みながら、時尾に微笑んで話し出す。

「時尾さんと勉君に迷惑が掛かります。僕が一人で頼みに行きます。」

時尾は敬一に微笑んで話し出す。

「私と勉に、気を遣わなくても大丈夫よ。近所に、菖蒲が咲く家と、杜若が咲く家が在るの。直接に頼みたいと思うの。私と勉と敬一君で、散歩をかねて行きましょう。」

敬一は時尾に微笑んで話し出す。

「ありがとうございます。」

時尾は敬一に微笑んで話し出す。

「出掛ける準備をするわ。少し待っていてね。」

敬一時尾に微笑んで話し出す。

「はい。」

時尾は敬一を微笑んで見た。


少し後の事。


ここは、町中。


青空が広がっている。


時尾は勉を抱いて、微笑んで歩いている。

勉は顔で居る。

敬一は微笑んで歩いている。


勉は敬一に笑顔で話し出す。

「さんぽ。」

敬一は勉に微笑んで話し出す。

「散歩。楽しいね。」

勉は敬一に笑顔で話し出す。

「さんぽ。たのしい。」

時尾は勉と敬一を微笑んで見た。


少し後の事。


ここは、杜若の咲く家。


玄関。


家の主は普通の表情で居る。

時尾は微笑んで居る。

勉は笑顔で居る。

敬一は微笑んで居る。


時尾は家の主に微笑んで話し出す。

「こんにちは。いつもお世話になっています。」

家の主は時尾に普通の表情で頷いた。

時尾は家の主に微笑んで話し出す。

「杜若がとても綺麗に咲いています。主人の知り合いの子が、母親に杜若を贈りたいと思っています。杜若を少しだけ分けて頂けないでしょうか？」

敬一は家の主に笑顔で話し出す。

「こちらの綺麗に咲く杜若が分けて頂ければ、母の喜ぶ顔が見られます！　お願いします！」

家の主は時尾と敬一を普通の表情で見た。

敬一は家の主に笑顔で深く礼をした。

家の主人は敬一と時尾に普通に話し出す。

「数本で良ければ分けられる。良いかな？」

敬一は家の主に笑顔で話し出す。

「ありがとうございます！」

時尾は家の主に微笑んで話し出す。

「ありがとうございます。」

勉は家の主に笑顔で話し出す。

「ありがと。」

家の主人は時尾と勉と敬一に普通の表情で頷いた。

敬一は家の主を笑顔で見た。

家の主は敬一に普通に話し出す。

「好きな杜若を選んで構わない。」

敬一は家の主に笑顔で話し出す。

「ありがとうございます！」

家の主は敬一に普通の表情で頷いた。


少し後の事。


ここは、町中。


時尾は勉を抱いて、微笑んで歩いている。

勉は笑顔で居る。

敬一は杜若を抱えて、微笑んで歩いている。


少し後の事。


ここは、菖蒲がたくさん咲く場所。


玄関。


家の主は普通の表情で居る。

時尾は微笑んで居る。

勉は笑顔で居る。

敬一は微笑んで居る。


時尾は家の主に微笑んで話し出す。

「こんにちは。いつもお世話になっています。」

家の主は時尾に普通の表情で頷いた。

時尾は家の主に微笑んで話し出す。

「菖蒲がとても綺麗に咲いています。主人の知り合いの子が、母親に菖蒲を贈りたいと思っています。少しだけ分けて頂けないでしょうか？」

敬一は家の主に笑顔で話し出す。

「母は花が大好きです！　母に花を贈りたいと思っています！　母の喜ぶ花を探していました！　こちらの菖蒲はとても素敵に咲いています！　こちらの菖蒲が分けて頂ければ、母の喜ぶ顔が見られます！　よろしくお願いします！」

家の主は敬一に微笑んで話し出す。

「私の家の杜若を気に入って頂いて嬉しいです。数本で良ければ分けられます。」

敬一は家の主に笑顔で話し出す。

「ありがとうございます！」

家の主は敬一に微笑んで頷いた。


少し後の事。


ここは、菖蒲がたくさん咲く場所。


菖蒲の咲く場所。


家の主は普通の表情で居る。

時尾は微笑んで居る。

勉は笑顔で居る。

敬一は菖蒲を抱えて、微笑んで居る。


勉は敬一を羨ましく見た。

家の主は菖蒲を一本だけ微笑んで切った。

勉は菖蒲を羨ましく見た。

家の主人は菖蒲を微笑んで包んだ。

家の主は勉に菖蒲を微笑んで渡した。

勉は菖蒲を家の主から笑顔で受け取った。

時尾は家の主に申し訳なく話し出す。

「申し訳ありません。」

家の主は時尾に微笑んで話し出す。

「私の家の菖蒲の見頃は終わりに近いです。家に咲く杜若を褒めて頂きました。感謝の気持ちとして受け取ってください。」

時尾は家の主に微笑んで礼をした。

勉は菖蒲を持ち、家の主に笑顔で話し出す。

「ありがと。」

敬一は菖蒲を抱いて、家の主に微笑んで礼をした。

家の主は、時尾、勉、敬一に微笑んで頷いた。


少し後の事。


ここは、藤田五郎、時尾、勉の住む家。


玄関。


時尾は勉を抱いて、微笑んで帰ってきた。

勉は菖蒲を抱いて、笑顔で帰ってきた。

敬一は菖蒲を抱えて、微笑んで来た。


時尾は勉を微笑んで降ろした。

勉が菖蒲を抱えて、少し疲れた様子になった。

時尾は勉に微笑んで話し出す。

「勉。疲れた？」

勉は菖蒲を抱えて、時尾に少し疲れた様子で話し出す。

「へいき。」

敬一は菖蒲を抱えて、時尾と勉を微笑んで見た。

時尾は勉に微笑んで話し出す。

「勉。菖蒲を早く活けてあげましょうね。」

勉は時尾に菖蒲を渡すと、時尾に笑顔で話し出す。

「おかあさん。おにいちゃん。おかあさん。おなじ。あげる。」

時尾は勉から菖蒲を受取ると、勉に微笑んで話し出す。

「勉。ありがとう。」

勉は時尾を嬉しく見た。

時尾は菖蒲を抱えて、勉に微笑んで話し出す。

「勉。今日はたくさん散歩したわ。少し多く寝ましょう。」

勉は時尾に笑顔で頷いた。


勉は家の中に笑顔で入って行った。

時尾は菖蒲を抱えて、家の中に微笑んで入って行った。

敬一は菖蒲を抱えて、家の中に微笑んで入って行った。


少し後の事。


ここは、藤田五郎、時尾、勉の住む家。


時尾は微笑んで来た。

敬一も微笑んで来た。


敬一は時尾に微笑んで話し出す。

「今日はたくさんありがとうございました。」

時尾は敬一に微笑んで話し出す。

「勉とたくさん遊んでくれるお礼を兼ねていると思って。」

敬一は時尾を笑顔で見た。

時尾は敬一に微笑んで話し出す。

「美鈴さんはきっと喜ぶわ。」

敬一は時尾を笑顔で見ている。

時尾は敬一に微笑んで話し出す。

「焙じ茶を用意するわ。少し待っていてね。」

敬一は時尾に微笑んで話し出す。

「ありがとうございます。」


時尾は微笑んで居なくなった。


暫く後の事。


ここは、敬一と美鈴の住む家。


玄関。


敬一が菖蒲と杜若を大事に抱えて、笑顔で帰ってきた。


美鈴は微笑んで来た。


美鈴は敬一を不思議な様子で見た。

敬一は菖蒲と杜若を大事に抱えて、美鈴に笑顔で話し出す。

「お母さん！　ただいま！」

美鈴は敬一に不思議な様子で頷いた。

敬一は菖蒲と杜若を大事に抱いて、美鈴に微笑んで話し出す。

「お母さんは僕のために、いつも忙しく働いているよね。菖蒲と杜若は、僕からのお礼だよ。」

美鈴は敬一に微笑んで話し出す。

「敬一。ありがとう。」

敬一は菖蒲と杜若を大事に抱えて、美鈴に微笑んで話し出す。

「お母さん！　菖蒲と杜若を早く活けて！」

美鈴は敬一に微笑んで頷いた。


敬一は菖蒲と杜若を大事に抱えて、家の中に笑顔で入って行った。

美鈴は家の中に微笑んで入って行った。


少し後の事。


ここは、藤田五郎、時尾、勉の住む家。


食卓の有る部屋。


食卓に、菖蒲を挿した花瓶が飾ってある。


藤田五郎は普通に来た。

時尾は微笑んで来た。


藤田五郎は菖蒲を普通の表情で見た。

時尾は藤田五郎に微笑んで話し出す。

「敬一君が来ました。敬一君が美鈴さんに菖蒲と杜若を贈りたいと話しました。私と勉と敬一君で、菖蒲と杜若を分けてもらうために出掛けました。勉は、敬一君の様子を見て、敬一君と同じ行為をしたくなりました。菖蒲を育てている家の主人が、勉にも菖蒲を分けてくれました。」

藤田五郎は時尾に普通の表情で頷いた。

時尾は藤田五郎に微笑んで話し出す。

「敬一君は、菖蒲と杜若の両方が手に入ったので、喜んで帰りました。」

藤田五郎は時尾に普通に話し出す。

「気遣い。感謝する。」

時尾は藤田五郎に微笑んで話し出す。

「敬一君はとても良い子です。気にしないでください。」

藤田五郎は時尾に普通に話し出す。

「勉は寝ているのか？」

時尾は藤田五郎に微笑んで話し出す。

「今日はたくさん出掛けました。勉は普段より早い時間に寝ました。」

藤田五郎は時尾に普通の表情で頷いた。

時尾は菖蒲を微笑んで見た。

藤田五郎は時尾と菖蒲を普通の表情で見た。


数日後の事。


敬一が分けてらった菖蒲も杜若も、綺麗に咲き続けている。

美鈴は、家事の途中や家事の休憩中に、菖蒲と杜若を微笑んで幾度も観る。

菖蒲と杜若は、いつもより長く綺麗に咲いているように感じる。

菖蒲と杜若は、敬一の想いと美鈴の想いを受けて、綺麗な花を長く咲かせているのかも知れない。




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ここからは後書きになります。

この物語は既に掲載している物語の改訂版です。

改訂前の物語の展開と雰囲気を出来るだけ残して改訂しました。

改訂前の物語を掲載するのは止めました。

以上、ご了承願います。

ここからは改訂前の後書きを加筆訂正して書きます。

この物語は「母の日」を書こうとして考えました。

「母の日」は、明治初期には始まっていないお祝いなのは、物語を書く当初から知っていました。

そのため、母の日と同じ日に、花を贈る物語にして書きました。

「母の日」が提唱されたのは、明治末期のアメリカでの或る出来事が基になっています。

日本で「母の日」が行われたのは、昭和になってからの事らしいです。

今回は「母の日」についての詳細を調べていません。

詳細は各自でご確認ください。

ご了承ください。

「菖蒲（あやめ）」と「杜若（かきつばた）」についてです。

見目は良く似ている花です。

花が咲く時期も全く同じではありませんが重なっています。

菖蒲の方が早く咲き始めます。

杜若は菖蒲の見頃が終わる頃から咲き始めます。

菖蒲は乾いた土地に咲きますが、杜若は湿った土地や水辺などに咲きます。

「立夏（りっか）」についてです。

二十四節気の一つです。

五月五日か六日頃、または、この日から小満までの期間を言います。

楽しんで頂けると嬉しいです。





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