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新撰組異聞外伝 〜 藤花の波 〜


〜 改訂版 〜


春の終わり。


ここは、東京。


少し暑い時がある。

涼しい時がある。

不思議な頃になる。


藤の花が綺麗に咲いている。


ここは、藤の花の咲く場所。


沖田総司の息子の敬一は、笑顔で歩いている。


藤の花が陽の光に当たって輝いている。


敬一は笑顔で立ち止まった。


敬一は藤の花を笑顔で見た。


藤の花の間から、陽の光が差してくる。


敬一は笑顔で視線を戻した。


敬一は笑顔で歩き出した。


少し後の事。


ここは、敬一と母親の美鈴の住む家。


玄関。


敬一は笑顔で帰ってきた。


美鈴は微笑んで来た。


敬一は美鈴に笑顔で話し出す。

「お母さん! ただいま!」

美鈴は敬一に微笑んで話し出す。

「敬一。お帰りなさい。」

敬一は美鈴を笑顔で見た。


敬一は家の中に笑顔で入って行った。

美鈴は家の中に微笑んで入って行った。


僅かに後の事。


ここは、敬一と美鈴の住む家。


食卓の有る部屋。


敬一は笑顔で来た。

美鈴は微笑んで来た。


敬一は美鈴に笑顔で話し出す。

「お母さん! お水が飲みたい!」

美鈴は敬一に微笑んで話し出す。

「少し待っていてね。」

敬一は美鈴に笑顔で頷いた。


美鈴は微笑んで居なくなった。


敬一は笑顔で居る。


美鈴は水の入った湯飲みをお盆に載せて、微笑んで来た。


敬一は美鈴を笑顔で見た。

美鈴はお盆を傍に置くと、敬一に湯飲みを微笑んで渡した。

敬一は美鈴から湯飲みを笑顔で受け取った。

美鈴は敬一を微笑んで見た。

敬一は水を笑顔で飲んだ。

美鈴は敬一を微笑んで見ている。

敬一は水を飲み終わると、湯飲みを食卓に笑顔で置いた。

美鈴は敬一を微笑んで見ている。

敬一は美鈴に笑顔で話し出す。

「ご馳走様でした!」

美鈴は敬一に微笑んで頷いた。

敬一は美鈴に笑顔で話し出す。

「今から斉藤さんの家に出掛けるね!」

美鈴は敬一に微笑んで話し出す。

「帰りが遅くならないようにね。斉藤さんのご家族に迷惑を掛けないようにね。」

敬一は美鈴に笑顔で頷いた。

美鈴は敬一を不思議な様子で見た。


敬一は笑顔で居なくなった。

美鈴は不思議な様子で居なくなった。


少し後の事。


ここは、藤田五郎、妻の時尾、幼い息子の勉の住む家。


食卓の有る部屋。


敬一は微笑んで居る。


時尾は焙じ茶の入る湯飲みをお盆に載せて、微笑んで来た。


敬一は時尾を微笑んで見た。

時尾はお盆を傍に置くと、敬一に湯飲みを微笑んで渡した。

敬一は時尾から湯飲みを受取ると、時尾に微笑んで話し出す。

「ありがとうございます。」

時尾は敬一を微笑んで見た。

敬一は焙じ茶を美味しく微笑んで飲んだ。

時尾は敬一を微笑んで見ている。

敬一は焙じ茶を飲むのを止めると、焙じ茶を微笑んで見た。

時尾は敬一を不思議な様子で見た。

敬一は時尾を見ると、時尾に微笑んで話し出す。

「時尾さん。東京に在る、境内に藤の花がたくさん咲く天神様。知っていますか?」

時尾は敬一に微笑んで話し出す。

「敬一君の話す天神様は、東京に在る有名な天神様だと思うの。私の考えが合っているならば、名前も場所も知っているわ。」

敬一は時尾に微笑んで話し出す。

「お母さんと一緒に、境内に藤の花がたくさん咲く天神様に行って、藤の花を見たいと思っています。」

時尾は敬一に微笑んで話し出す。

「早く行かないと、藤の花の見頃が過ぎてしまうわね。」

敬一は時尾を寂しく見た。

時尾は敬一に微笑んで話し出す。

「敬一君。何か遭ったの?」

敬一は時尾に寂しく話し出す。

「お父さんが、お母さんと一緒に、東京に在る、境内にたくさんの藤の花が咲く天神様に行って、たくさんの藤の花が見たい、と話したそうです。お父さんは早く亡くなってしまったから、叶わなかったそうです。僕がお父さんの代わりに、境内にたくさんの藤の花が咲く天神様に行って、たくさんの藤の花を見る、と約束をしました。」

時尾は敬一を微笑んで見た。

敬一は時尾に寂しく話し出す。

「お母さんは、僕のためにいつも無理しています。お母さんに喜んで欲しいです。」

時尾は敬一に微笑んで話し出す。

「敬一君のお父さんの約束の内容には、五郎さんも含まれているわよね。」

敬一は時尾を困惑して見た。

時尾は敬一に微笑んで話し出す。

「五郎さんは仕事などで家に居ない時間があるわ。私から五郎さんに手紙を渡すわ。五郎さんの都合が付けば、今年の間に約束が叶うかも知れないわ。来年ならば、五郎さんの調整が出来るから、約束が叶う可能性があるわ。」

敬一は時尾を不思議な様子で見た。

時尾は敬一に微笑んで話し出す。

「敬一君。私の話す内容が不思議に感じるのね。」

敬一は時尾を不思議な様子で見ている。

時尾は敬一に微笑んで話し出す。

「幕府の体制から今の政府の体制に変わって落ち着くまでの間は、物凄くたくさんの出来事が起きたの。勉が敬一君の立場になった可能性があるわ。私が美鈴さんの立場になった可能性があるわ。五郎さんが敬一君のお父さんの立場になった可能性があるわ。敬一君の悩みも敬一君の想いも、他人事に思えないの。」

敬一は時尾を不思議な様子で見ている。

時尾は敬一を微笑んで見た。

敬一は時尾に微笑んで話し出す。

「斉藤さんに手紙を書きます。」

時尾は敬一に微笑んで話し出す。

「敬一君。焙じ茶を飲み終わったら、手紙を書く準備をしましょう。」

敬一は時尾に微笑んで話し出す。

「はい。」

時尾は敬一を微笑んで見た。


暫く後の事。


ここは、敬一と美鈴の住む家。


食卓の在る部屋。


敬一は微笑んで来た。

美鈴も微笑んで来た。


敬一は美鈴に微笑んで話し出す。

「お母さん。藤の花の咲く間に、天神様に一緒に行こうよ。」

美鈴は敬一に微笑んで話し出す。

「敬一。お母さんの話す約束を気にしているのね。お母さんは大丈夫よ。敬一と一緒に天神様に行って藤の花を観るならば、藤の花が綺麗な時に観たいと思っているの。来年以降の年に、早めに予定を考えて、藤の花の綺麗な間に、天神様の境内に咲く藤の花を一緒に観ましょう。」

敬一は美鈴に微笑んで頷いた。

美鈴は敬一を微笑んで見た。


暫く後の事。


ここは、藤田五郎、時尾、勉の住む家。


玄関。


藤田五郎は普通に帰ってきた。


時尾は微笑んで来た。


時尾は藤田五郎に微笑んで話し出す。

「五郎さん。お帰りなさい。」

藤田五郎は時尾に普通の表情で頷いた。

時尾は藤田五郎に微笑んで話し出す。

「敬一君から手紙を預かりました。」

藤田五郎は時尾を普通の表情で見た。

時尾は藤田五郎に微笑んで話し出す。

「敬一君は手紙の内容について話していません。私と敬一君は、手紙を書く前に藤の花について話しました。敬一君は悩みがある様子ですが、比較的に笑顔で話していました。」

藤田五郎は時尾に普通の表情で頷いた。

時尾は藤田五郎に微笑んで話し出す。

「手紙は直ぐに読みますよね。お食事の時間を遅くしますか?」

藤田五郎は時尾に普通に話し出す。

「手紙は部屋で読む。食事の時間は任せる。」

時尾は藤田五郎に微笑んで軽く礼をした。


藤田五郎は家の中に普通に入って行った。

時尾は家の中に微笑んで入って行った。


数日後の事。


ここは、東京。


藤の花の見頃は過ぎた。

散り始めている場所もある。


ここは、藤の花の咲く場所。


敬一は藤の花を考えながら見ている。


藤の花は青い空から差す陽の光を受けて輝いている。


敬一は藤の花を微笑んで見た。

敬一は前を微笑んで見た。


敬一は微笑んで歩き出した。


暫く後の事。


ここは、敬一と美鈴の住む家。


食卓の有る部屋。


敬一は微笑んで来た。

美鈴も微笑んで来た。


美鈴は敬一に微笑んで話し出す。

「敬一。喉が渇いたわよね。飲み物を用意するわ。」

敬一は美鈴に微笑んで頷いた。

美鈴は敬一を微笑んで見た。

敬一は美鈴に微笑んで話し出す。

「お母さん。藤の花の見頃が終わりに近いね。」

美鈴は敬一に微笑んで頷いた。

敬一は美鈴に心配して話し出す。

「お母さん。天神様の藤の花を見なくても良いの?」

美鈴は敬一に微笑んで話し出す。

「来年以降の藤の花の見頃の時に、一緒に出掛けましょう。」

敬一は美鈴を心配して見た。

美鈴は敬一に微笑んで話し出す。

「敬一。お母さんは来年以降を楽しみに待っているのよ。忘れないでね。」

敬一は美鈴に微笑んで頷いた。

美鈴は敬一を微笑んで見た。


美鈴は微笑んで居なくなった。


少し後の事。


ここは、敬一と美鈴の住む家。


玄関。


藤田五郎は普通に訪ねてきた。


美鈴は微笑んで来た。


美鈴は藤田五郎に微笑んで話し出す。

「斉藤さん。こんにちは。」

藤田五郎は美鈴に普通の表情で頷いた。

美鈴は藤田五郎に微笑んで話し出す。

「お酒と肴を用意します。家の中に上がってください。」

藤田五郎は美鈴に普通に話し出す。

「敬一と話したい。可能ならば、外で話したい。」

美鈴は藤田五郎に微笑んで話し出す。

「分かりました。少しお待ちください。」

藤田五郎は美鈴に普通の表情で頷いた。


美鈴は家の中に微笑んで入って行った。


藤田五郎は普通に居る。


敬一は不思議な様子で来た。

美鈴は微笑んで来た。


藤田五郎は敬一に普通に話し出す。

「敬一。時間は有るのだろ。外で話したい。」

敬一は藤田五郎に不思議な様子で話し出す。

「はい。」

美鈴は藤田五郎に微笑んで話し出す。

「よろしくお願いします。」

藤田五郎は美鈴に普通の表情で頷いた。

美鈴は藤田五郎に微笑んで話し出す。

「敬一。斉藤さんに迷惑を掛けないようにね。」

敬一は美鈴に微笑んで話し出す。

「分かった。行ってきます。」

美鈴は敬一に微笑んで頷いた。


藤田五郎は普通に居なくなった。

敬一は微笑んで居なくなった。


少し後の事。


ここは、藤の花の咲く場所。


藤田五郎は普通に来た。

敬一は微笑んで来た。


藤田五郎は敬一を普通の表情で見た。

敬一は藤田五郎に静かに話し出す。

「斉藤さん。お父さんとお母さんと斉藤さんと一緒に、境内にたくさんの藤の花が咲く天神様に行って、たくさんの藤の花を見る。以上の内容の約束をしたと聞きました。」

藤田五郎は敬一に普通の表情で頷いた。

敬一は藤田五郎に静かに話し出す。

「お母さんに、僕がお父さんの代わりをするから、藤の花を一緒に見ようと話しました。お母さんは藤の花の見頃が終わりに近いから、来年以降にしようと話しました。」

藤田五郎は敬一を普通の表情で見た。

敬一は藤田五郎に寂しく話し出す。

「斉藤さん。僕はお父さんの代わりにならないのでしょうか? 僕では駄目なのでしょうか?」

藤田五郎は敬一に普通に話し出す。

「敬一は駄目ではない。敬一は総司の代わりにならない訳ではない。」

敬一は藤田五郎を心配して見た。

藤田五郎は敬一に普通に話し出す。

「敬一の話す約束の内容は、美鈴さんと総司との大切な約束の一つだ。美鈴さんは藤の花の綺麗な時に観に行きたいのだと思う。美鈴さんは敬一と一緒に藤の花を観に行く時を楽しみに待っているはずだ。」

敬一は藤田五郎を考えながら見た。

藤田五郎は敬一を普通の表情で見た。

敬一は藤田五郎に言い難く話し出す。

「僕とお母さんが藤の花を見に行く時に、斉藤さんも一緒に藤の花を見に行ってくれますか?」

藤田五郎は敬一に普通の表情で頷いた。

敬一は藤田五郎に微笑んで話し出す。

「斉藤さん。ありがとうございます。お母さんも喜びます。」

藤田五郎は敬一に普通の表情で頷いた。

敬一は藤の花を微笑んで見た。

藤田五郎は敬一と藤の花を普通の表情で見た。


藤の花は風と一緒に静かに揺れている。

甘い香りを風に乗せて辺りに届けている。


敬一は藤田五郎を見ると、藤田五郎に微笑んで話し出す。

「斉藤さん。ありがとうございます。」

藤田五郎は敬一に普通の表情で頷いた。

敬一は藤田五郎に微笑んで話し出す。

「斉藤さんと長く話したいけれど、長く話すと斉藤さんの帰りが遅くなります。帰ります。」

藤田五郎は敬一に普通に話し話し出す。

「家まで送る。」

敬一は藤田五郎に微笑んで話し出す。

「一人で帰ります。」

藤田五郎は敬一に普通に話し出す。

「俺が呼び出して、連れてきた。家まで送る。」

敬一は藤田五郎に微笑んで話し出す。

「ありがとうございます。お願いします。」

藤田五郎は敬一に普通の表情で頷いた。


敬一は微笑んで歩き出した。

藤田五郎は普通に歩き出した。


少し後の事。


ここは、敬一と美鈴の住む家。


玄関。


藤田五郎は普通に来た。

敬一は微笑んで来た。


美鈴は微笑んで来た。


美鈴は藤田五郎に微笑んで話し出す。

「斉藤さん。ありがとうございます。」

藤田五郎は美鈴に普通の表情で頷いた。

敬一は美鈴に微笑んで話し出す。

「お母さん。ただいます。」

美鈴は敬一に微笑んで話し出す。

「敬一。お帰りなさい。」

敬一は美鈴に微笑んで話し出す。

「お母さん。来年は必ず天神様に藤の花を見に行こうね。」

美鈴は敬一に微笑んで頷いた。

敬一は美鈴に微笑んで話し出す。

「斉藤さんも一緒に天神様に出掛けてくれるんだ。」

美鈴は藤田五郎に申し訳なく話し出す。

「敬一が迷惑を掛けてしまいました。申し訳ありません。」

藤田五郎は美鈴に普通に話し出す。

「総司と俺と美鈴さんの三人で、藤の花を見に行く約束した。敬一とも約束した。美鈴さんが気にする理由は無い。」

美鈴は藤田五郎に微笑んで話し出す。

「お気遣いありがとうございます。」

藤田五郎は美鈴に普通の表情で頷いた。

敬一は美鈴と藤田五郎を微笑んで見た。

藤田五郎は敬一と美鈴に普通に話し出す。

「帰る。」

美鈴は藤田五郎に僅かに慌てて話し出す。

「お酒の用意をしています。家に上がって休んでから帰ってください。」

藤田五郎は美鈴に普通に話し出す。

「今日は敬一と話に来ただけだ。用事は終わった。気にするな。」

美鈴は藤田五郎に微笑んで話し出す。

「お時間のある時に、ゆっくりと話したいです。」

藤田五郎は美鈴に普通の表情で頷いた。

敬一は藤田五郎に微笑んで話し出す。

「斉藤さん。今日はありがとうございました。」

藤田五郎は敬一に普通の表情で頷いた。


藤田五郎は普通に居なくなった。


少し後の事。


ここは、町中。


藤田五郎は普通に歩いている。


風が吹いた。


藤田五郎の元に、藤の花の甘い香りが届いた。


藤田五郎は普通の表情で止まった。


藤田五郎は辺りを普通の表情で見た。


藤の花が咲いている。


藤の花は風に乗ってゆっくりと揺れている。

藤田の花の甘い香りが辺りに広がっている。


藤田五郎は藤の花の揺れる様子を普通の表情で見た。


藤の花の揺れが止まった。


藤田五郎は普通に歩き出した。


風が吹いた。


藤の花が風と一緒に漣のように揺れ始めた。

藤田の花の甘い香りが辺りに広がっている。


藤田五郎の姿は少しずつ小さくなっていく。


藤の花の揺れが止まった。


藤田五郎の姿は、藤の花の揺れの止まる時と同時に見えなくなった。




*      *      *      *      *      *




ここからは後書きになります。

この物語は既に掲載している物語の改訂版です。

改訂前の物語の展開と雰囲気を出来るだけ残して改訂しました。

改訂前の物語を掲載するのは止めました。

以上、ご了承ください。

ここからは改訂前の後書きを加筆訂正して書きます。

この物語は「新撰組異聞外伝 八十八夜に藤花が咲いて」の後日談です。

時尾さんも敬一君の約束を助けるために、さりげなく手伝っています。

この物語に、境内にたくさんの藤の花が咲く天神様の話が出てきます。

この天神様は、江戸の時代から東京に在る天神様になります。

沖田総司さんが生きている頃から、境内に藤の花がたくさん咲いていたそうです。

この物語は、約束をしているところで終わりました。

実際に藤の花を見に行く物語を書くか未定ですが、見に行った時の物語を書いてみたいと思いました。

「藤花(とうか)」についてです。

「藤の花」の意味です。

楽しんで頂けると嬉しいです。





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