このページは、2019年3月に保存されたアーカイブです。最新の内容ではない場合がありますのでご注意ください

新撰組異聞外伝 〜 聖夜の不思議な贈り物 〜


〜 改訂版 〜


今は一年の終わりの月。


ここは、多摩。


毎日のように寒い日が続いている。


試衛館。


近藤勇、土方歳三、沖田惣次郎など、寒さを気にする様子を見せずに、日々の稽古に励んでいる。


道場からは、竹刀の交わる音や威勢の良い掛け声が聞こえてくる。


少し後の事。


ここは、多摩。


試衛館。


稽古が終わった。


竹刀の交わる音も威勢の良い掛け声も聞こえない。


落ち着いた雰囲気に変わり始めた。


少し後の事。


ここは、多摩。


試衛館。


近藤勇の部屋。


近藤勇は机に普通の表情で向かっている。


部屋の外から、土方歳三の穏やかな声が聞こえてきた。

「近藤さん。話したい。良いかな?」


近藤勇は微笑んで障子を開けた。


土方歳三は部屋の中に微笑んで入った。


近藤勇は土方歳三を微笑んで見た。

土方歳三は近藤勇に微笑んで話し出す。

「近藤さん。少し経つと、異国の神様の誕生日になる。」

近藤勇は土方歳三に微笑んで話し出す。

「歳が異国について話すのか。意外だな。」

土方歳三は近藤勇に微笑んで話し出す。

「俺は、異国が嫌いだが、使える物はこだわらずに使いたいと思っている。」

近藤勇は土方歳三を微笑んで見た。

土方歳三は近藤勇に微笑んで話し出す。

「話を戻す。聞いた話になるが、異国の神様の誕生日には、みんなで祝いの行事をするそうだ。使える行事だと思った。」

近藤勇は土方歳三に微笑んで話し出す。

「さすが歳だ。」

土方歳三は近藤勇に微笑んで話し出す。

「褒めてくれてありがとう。」

近藤勇は土方歳三を微笑んで見た。

土方歳三も近藤勇を微笑んで見た。


部屋の外から、沖田惣次郎の明るい声が聞こえてきた。

「近藤さん! 惣次郎です! 入っても良いですか?!」


近藤勇は土方歳三に微笑んで頷いた。

土方歳三は微笑んで障子を開けた。


沖田惣次郎は部屋の中に元気良く入った。


土方歳三は沖田惣次郎を微笑んで見た。

近藤勇も沖田惣次郎を微笑んで見た。

沖田惣次郎は近藤勇と土方歳三に笑顔で話し出す。

「何を話していたのですか?!」

土方歳三は沖田惣次郎に意地の悪い笑顔で話し出す。

「ひ、み、つ。」

沖田惣次郎は土方歳三に拗ねて話し出す。

「土方さん〜 何故〜 意地悪をするのですか〜?」

土方歳三は沖田惣次郎に微笑んで話し出す。

「今の質問も、ひ、み、つ。」

沖田惣次郎は土方歳三を拗ねて見た。

近藤勇は沖田惣次郎に微笑んで話し出す。

「歳は異国の神様の誕生日について話していた。」

沖田惣次郎は近藤勇と土方歳三に不思議な様子で話し出す。

「土方さんが異国について話すのですか? とても意外です。」

土方歳三は沖田惣次郎を苦笑して見た。

沖田惣次郎は土方歳三に微笑んで話し出す。

「異国の神様の誕生日には、行事を実施するのですか?」

土方歳三は沖田惣次郎に意地の悪い笑顔で話し出す。

「子供の惣次郎には、ひ、み、つ。」

沖田惣次郎は土方歳三を拗ねて見た。

土方歳三は沖田惣次郎を意地悪い笑顔で見た。

沖田惣次郎は近藤勇に拗ねて話し出す。

「近藤さん〜 土方さんが私に意地悪をします〜 注意をしてください〜」

近藤勇は土方歳三に微笑んで話し出す。

「歳。惣次郎にも異国の神様の誕生日に関する説明を頼む。」

土方歳三は近藤勇を見ると、近藤勇に微笑んで頷いた。

沖田惣次郎は近藤勇に笑顔で話し出す。

「近藤さん! ありがとうございます!」

土方歳三は沖田惣次郎に苦笑して話し出す。

「惣次郎。許したのは、俺だ。」

沖田惣次郎は土方歳三に微笑んで話し出す。

「近藤さんは優しい人だもん〜 意地悪な土方さんから、私を守ってくれたもん〜 だから近藤さんにはお礼を言うもん〜」

土方歳三は沖田惣次郎を苦笑して見た。

沖田惣次郎は土方歳三に微笑んで話し出す。

「土方さん。異国の神様の誕生日について早く教えてください。」

土方歳三は沖田惣次郎に微笑んで頷いた。

近藤勇は土方歳三と沖田惣次郎を微笑んで見た。


幾日か後の事。


異国の神様の誕生日の前日の夜となっている。


ここは、多摩。


夜空には綺麗な星が輝いている。


試衛館。


沖田惣次郎の過ごす部屋の前に在る縁。


沖田惣次郎は星空を微笑んで見ている。


綺麗な星の輝きが、辺りを淡く照らしている。


沖田惣次郎は夜空を見ながら、微笑んで呟いた。

「私は山口君と一緒に居る夢を見たいです。私の元にも贈り物を届けて欲しいです。どうかよろしくお願いします。」


綺麗な星の輝きが僅かに強まり、辺りを淡く照らした。


沖田惣次郎は夜空を見ながら、両手を軽く握りこぶしを作ると、微笑んで呟いた。

「おやすみなさい。」


綺麗な星の輝きが更に僅かに強まり、辺りを淡く照らした。


沖田惣次郎は部屋の中に微笑んで入っていった。


僅かに後の事。


ここは、多摩。


試衛館。


沖田総司の過ごす部屋。


沖田惣次郎は床に微笑んで横になった。

沖田惣次郎は床の中で微笑んで直ぐに眠りに就いた。


「今日は異国で神様の誕生日をお祝いする日だそうです。」

「祝う方法は何だ?」

「異国の神様にお祈りをしたり、みんなで美味しい物を食べたり、みんなで贈り物を交換したり、木を飾ったり、するそうです。」

「・・・」

「贈り物をもらうと嬉しいですよね! 私も贈り物が欲しいです!」

「俺に確認しながら話しているのか?」

「はい!」

「斉藤さんの子供時代の出来事が知りたいです! “一”の名前の由来を知りたいです!」

「俺について知って楽しいのか?」

「はい! 斉藤さんは私の大切な友達です! 斉藤さんついてたくさん知りたいです!」

「変わっているな。」

「二人で何を話しているんだ?」

「土方さん! 異国の神様の誕生日にもらう贈り物について話していました!」

「総司。斉藤から受け取りたい贈り物は何だ?」

「斉藤さんの子供時代の出来事が知りたいです! “一”の名前の由来が知りたいです!」

「今の話す内容。少しだけ知っている。」

「本当ですか?! 是非、教えてください!」

「・・・」

「総司。悪いが、俺が知るのは、僅かな内容になる。斉藤本人に聞いてくれ。」

「・・・」

「・・・」

「総司。斉藤。俺は先に戻る。」

「はい。分かりました。」

「・・・」

「斉藤さん! 早く教えてください!」

「先程から総司自身の贈り物について話している。俺への贈り物は何になる?」

「え〜と〜 え〜と〜」

「考えていなかったのか。」

「酒を一緒に飲みましょう!」

「念のために確認する。総司の奢りと考えて良いのだろ。」

「私の奢りですが、今日は持ち合わせがほとんど無いです。」

「・・・」

「斉藤さん。すいません。」

「分かった。総司が奢らないから、俺も総司が望む内容を話さない。」

「今回は諦めます。」

「ただし、総司の奢りで酒を飲む約束は継続させる。」

「斉藤さんにはいつも世話になっています。酒を奢る話は継続して構いません。ただし、酒を飲む日は、明日以降でお願いします。」

「・・・」

「斉藤さん! 話題を変えます! 星が綺麗ですね!」

「・・・」

「屯所に早く戻って、話しながら星を見ましょう!」

「・・・」


沖田惣次郎は床の中でゆっくりと目を開けた。


沖田惣次郎は床の中で、部屋の中を眠い様子で見た。


陽の昇る時間ではない。


部屋の中は暗い。


沖田惣次郎は床の中で、眠い様子で呟いた。

「不思議な夢だな。“総司”は、私なのかな? “斉藤さん”は、“一”という名前だった気がする。もしかして、“斉藤さん”は“山口君”なのかな? それにしても、眠いな。日が昇るまでに、時間がたくさんある。一眠りしよう。」


沖田惣次郎は床の中で再び眠りに就いた。


少し後の事。


ここは、江戸の町。


陽が上り始めた。


山口一の兄の山口廣明、山口一の住む家。


山口一の部屋。


部屋の中が陽の光で明るくなり始めた。


山口一は床の中で静かに寝ている。


山口一は床の中でゆっくりと目を開けた。


山口一は床の上に体を起こすと、部屋の中を普通の表情で見た。


部屋の中は、普段と変わらない。


山口一は床から普通の表情で起きた。


少し後の事。


ここは、江戸の町。


山口廣明と山口一の住む家。


縁。


山口一は普通の表情で歩いている。


山口一の後ろから、山口廣明の穏やかな声が聞こえた。

「おはよう。」


山口一は普通に止まった。


山口一は後ろを普通の表情で見た。


山口廣明が微笑んで来た。


山口一は山口廣明を微笑んで見た。

山口廣明は山口一に微笑んで話し出す。

「朝食の仕度が出来ている。朝食を食べよう。」

山口一は山口廣明に普通の表情で頷いた。


山口廣明は微笑んで歩き出した。

山口一は普通に歩き出した。


少し後の事。


ここは、江戸の町。


山口廣明と山口一の住む家。


朝食は終わり、各々が必要な準備をしている。


山口廣明の部屋。


山口廣明は微笑んで居る。

山口一は普通に居る。


山口廣明は山口一に微笑んで話し出す。

「昨夜は夢を見た。一も夢を見たか?」

山口一は山口廣明を普通の表情で見た。

山口廣明は山口一を不思議な様子で見た。

山口一は山口廣明に普通に話し出す。

「分からない。」

山口廣明は山口一に微笑んで話し出す。

「一は既に知っていると思うけれど、念のために話す。良い夢の場合は、人に話しては駄目だよ。」

山口一は山口廣明に普通に話し出す。

「分からないから、良い夢かも分からない。」

山口廣明は山口一に微笑んで話し出す。

「年末だから忙しくなるけれど、稽古は丁寧にしっかりと実施しよう。」

山口一は山口廣明に普通の表情で頷いた。

山口廣明は山口一に微笑んで話し出す。

「準備を始めよう。」

山口一は山口廣明に普通の表情で頷いた。

山口廣明は山口一を微笑んで見た。


同じ頃。


ここは、多摩。


試衛館。


稽古が始まるまでには、少し余裕がある。


落ち着きと緊張感の両方に包まれている。


縁。


沖田惣次郎は考えながら居る。


土方歳三は微笑んで来た。


土方歳三は沖田惣次郎に微笑んで話し出す。

「何か遇ったのか?」

沖田惣次郎は土方歳三に不思議な様子で話し出す。

「夢を見ました。理由は分かりませんが、夢の内容を忘れてしまいました。」

土方歳三は沖田惣次郎に微笑んで話し出す。

「惣次郎。悩んでも思い出せないぞ。」

沖田惣次郎は土方歳三を微笑んで見た。

土方歳三も沖田惣次郎を微笑んで見た。


沖田惣次郎は、山口一との桜の咲く中での一瞬の出逢いが忘れられない。

山口一は、沖田惣次郎が気になっている様子。

沖田惣次郎と山口一は、再び逢う機会が思うように訪れない。


幾日もの日々が過ぎる中。

沖田惣次郎と山口一は、同じ日に同じ夢を見た様子。

沖田惣次郎と山口一は、夢の記憶を忘れている様子。


沖田惣次郎と山口一が再び逢う時は、暫く先になる。

異国の神様が、沖田惣次郎と山口一の縁を更に強めるために、聖夜に贈り物を届けたのかも知れない。




*      *      *      *      *      *




ここからは後書きになります。

この物語は既に掲載している物語の改訂版です。

改訂前の物語の展開や雰囲気を出来るだけ残して改訂しました。

改訂前の物語を掲載するのは止めました。

以上、ご了承願います。

「新撰組異聞 短編 聖夜 初稿版」は、土方歳三さん、沖田総司さん、斉藤一さん、三人のみが登場する物語でした。

「新撰組異聞 短編 聖夜 改訂版、から、第四版」では、鈴ちゃんが登場しました。

「新撰組異聞 短編 聖夜」の「初稿版」の雰囲気と男性のみの登場するクリスマスの物語が書きたいと思いました。

「新撰組異聞外伝 短編」で、男性のみの登場するリスマスの物語を書きました。

この物語は、「新撰組異聞 短編 改訂版、から、第四版」より前の出来事になるので、沖田惣次郎さんと山口一さんは、未来に起こる予定の夢を見ている状況です。

「新撰組異聞 短編 聖夜 改訂版」以降の物語は、HPに掲載のために物語を書き直した関係で、会話や状況に、違う部分があります。

夢の中での出来事ならば、同じ出来事が起こらなくても当然と考えて、似た状況として書きました。

江戸時代は旧暦で生活しています。

現在の暦と違います。

暦の違いは気にならないように物語を書きました。

この物語の時間設定の関係から、「沖田総司さん→沖田惣次郎さん」、「斉藤一さん→山口一さん」、の名前です。

「クリスマス」についてです。

イエス・キリストの降誕生記念日です。

西暦336年にイエス・キリストの降誕の日と決定されたそうです。

キリストがこの日に生まれたという確証はないそうです。

ローマの冬至を祝う「太陽の祝日」と結び付けられたとも言われているそうです。

クリスマスは、英語では「Christmas」と書きます。

「Xmas」の英語で見る時があります。

「X」は「キリスト」を表すギリシア語の頭文字であり、英語の省略形ではないそうです。

そこから考えると、正しく書こうとすると「X’mas」とは書かない事になります。

ちなみに、ドイツ語では「Weihnachten」だそうです。

日本では明治7年(1874年)に最初のクリスマスパーティーが催されたそうです。

現在の日本では、宗教を超えた年末の国民的行事となっています。

「聖夜(せいや)」は、「クリスマス前夜。クリスマス・イブ。」です。

楽しんで頂けると嬉しいです。


では・・・


**  Merry Christmas〜♪  **





←前            目次            次→


このページは、2019年3月に保存されたアーカイブです。最新の内容ではない場合がありますのでご注意ください