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新撰組異聞外伝 〜 夏の土用 桃湯が時を繋いで 〜


〜 改訂版 〜


今は夏。


少し経つと土用になる頃。


ここは、多摩。


暑い日が続いている。


試衛館。


近藤勇の部屋。


近藤勇は普通の表情で机に向かっている。


沖田総司は部屋を笑顔で訪れた。


近藤勇は沖田総司を微笑んで見た。

沖田総司は近藤勇に笑顔で話し出す。

「近藤さん! 夏の土用が近付きました! 鰻の蒲焼の準備と桃湯の準備は、進んでいますか?!」

近藤勇は沖田総司に微笑んで話し出す。

「総司は、夏の土用が近付くと、鰻の蒲焼の準備と桃湯の準備について、必ず確認する。」

沖田総司は近藤勇に笑顔で話し出す。

「近藤さんは毎日のように忙しいです! 夏の土用の大事な行事を忘れていたら困ります! 私が近藤さんに念のために確認を取っています!」

近藤勇は沖田総司を微笑んで見た。

沖田総司は近藤勇に笑顔で話し出す。

「近藤さん! 鰻の蒲焼の準備と桃湯の準備を、忘れないでくださいね!」

近藤勇は沖田総司に微笑んで頷いた。

沖田総司は近藤勇に笑顔で話し出す。

「近藤さん! 念のために、夏の土用の当日も再び確認します!」

近藤勇は沖田総司に苦笑して頷いた。

沖田総司は近藤勇に笑顔で話し出す。

「近藤さん! 失礼します!」

近藤勇は沖田総司に苦笑して頷いた。


沖田総司は部屋から元気良く出て行った。


僅かに後の事。


ここは、多摩。


試衛館。


近藤勇の部屋の前に在る縁。


沖田総司は部屋から笑顔で出てきた。


沖田総司は笑顔で歩き出した。


土方歳三は普通に歩いてきた。


沖田総司は笑顔で止まった。


土方歳三は微笑んで止まった。


沖田総司は土方歳三に笑顔で話し出す。

「土方さん! 近藤さんの部屋に行きますか?!」

土方歳三は沖田総司に微笑んで頷いた。

沖田総司は土方歳三に笑顔で話し出す。

「夏の土用が近付きました! 近藤さんは何時も忙しいです! 近藤さんが、鰻の蒲焼の準備と桃湯の準備を、忘れていると困りますよね! 私が念のために確認しました!」

土方歳三は沖田総司を微笑んで見た。

沖田総司は土方歳三に笑顔で話し出す。

「塾生達も夏の土用の行事を楽しみにしています! 念のために、私が夏の土用の当日に再び確認します! 土方さんも近藤さんに確認をお願いします!」

土方歳三は沖田総司に苦笑して頷いた。

沖田総司は土方歳三に不思議な様子で話し出す。

「土方さん。何かありましたか?」

土方歳三は沖田総司に苦笑して話し出す。

「何も無い。」

沖田総司は土方歳三に笑顔で話し出す。

「失礼します!」

土方歳三は沖田総司に苦笑して頷いた。


沖田総司は元気良く歩き出した。


土方歳三は沖田総司を見ながら、苦笑して呟いた。

「さすが。総司。或る意味、尊敬する。」


沖田総司の姿は直ぐに見えなくなった。


土方歳三は近藤勇の部屋に向かって微笑んで歩き出した。


同じ頃。


ここは、江戸。


一軒の商家。


借金の回収や用心棒を兼ねる腕に覚えのある者が、幾人も雇われている。


山口一も借金の回収と用心棒を兼ねて雇われる一人になる。


一室。


山口一は普通の表情で居る。


浪人姿の若い仕事仲間が山口一に普通に近付いた。


山口一は若い仕事仲間を普通の表情で見た。

若い仕事仲間は山口一に普通に話し出す。

「ご主人様が、夏の土用に、鰻の蒲焼と桃湯を用意してくれるそうだ。ご主人様のご機嫌を損ねて、鰻の蒲焼と桃湯を、楽しめなくなると困る。しっかりと仕事をしよう。」


山口一は部屋を普通に出て行った。


若い仕事仲間は山口一を不思議な様子で見た。


年上の浪人姿の仕事仲間が、若い仕事仲間に不思議な様子で近付いた。


若い仕事仲間は年上の仕事仲間を不思議な様子で見た。

年上の仕事仲間は、若い仕事仲間に、不思議な様子で話し出す。

「何か遭ったのか?」

若い仕事仲間は、年上の仕事仲間に、不思議な様子で話し出す。

「山口は、全ての話題を、普通の表情で聞くか、普通の表情で頷く。」

年上の仕事仲間は、若い仕事仲間に、不思議な様子で頷いた。

若い仕事仲間は、年上の仕事仲間に、普通に話し出す。

「山口に話し掛ける時は、勇気がいると思わないか?」

年上の仕事仲間は、若い仕事仲間に普通に話し出す。

「勇気がいる。」

若い仕事仲間は、年上の仕事仲間に、普通に話し出す。

「山口を怖く感じる時がある。」

年上の仕事仲間は、若い仕事仲間に、普通に話し出す。

「山口を怖く感じる時がある。同じだな。」

若い仕事仲間は、年上の仕事仲間に、普通に話し出す。

「同じ内容を感じる人物がいた。安心した。」

年上の仕事仲間は、若い仕事仲間を普通の表情で見た。

若い仕事仲間は、年上の仕事仲間に、普通に話し出す。

「ご主人様のご機嫌を損ねると、鰻の蒲焼も桃湯も、楽しめなくなる。しっかりと仕事をしよう。」

年上の仕事仲間は、若い仕事仲間に普通の表情で頷いた。


若い仕事仲間は部屋を普通に出て行った。

年上の仕事仲間も部屋を普通に出て行った。


幾日後の事。


今は夏の土用。


ここは、江戸。


暑い日が続いている。


一軒の大きな店。


店内。


若い武士が店内に普通に入ってきた。


店員は若い武士に笑んで話し出す。

「いらっしゃいませ。」

若い武士は店員に普通に話し出す。

「店に、山口という名前の武士が居るだろ。話したい。呼んでくれ。」

店員は若い武士を怪訝な様子で見た。

若い武士は店員に普通に話し出す。

「申し遅れた。私は・・・」


店の少し奥から、数人の浪人姿の男性が、若い武士を緊張して見る姿があった。


若い武士は話しを途中で止めると、数人の浪士姿の男性を普通の表情で見た。

店員は若い武士に微笑んで話し出す。

「お武家様。何かありました?」

若い武士は店員を見ると、店員に普通に話し出す。

「数名の武士が私を店の奥から見ている。気になるので、下がるように話してくれ。」

店員は店の奥を一瞥すると、若い武士を見て、若い武士に微笑んで話し出す。

「お武家様を怖い顔で見る人物は居ません。気のせいです。」

若い武士は店員に普通に話し出す。

「今後のために忠告しておく。少し奥に居る武士達は、私を隠れながら見ているが、緊張感がはっきりと伝わる。勘の良い人物は直ぐに気付く。相手の様子を確認する時は、隠れ方だけでなく、気配にも細心の注意を払うように。」

店員は若い武士に怪訝な様子で話し出す。

「お武家様。ご忠告をありとうございます。」

若い武士は店員に普通に話し出す。

「話を戻す。山口という名前の武士を呼んでくれ。」

店員は若い武士を怪訝な様子で見た。

若い武士は店員を僅かに困惑して見た。


同じ頃。


ここは、江戸。


一軒の大きな店の前。


山口一は普通に来た。


浪人姿の若い仕事仲間が山口一の傍に普通に来た。


山口一は普通に止まった。


山口一は若い仕事仲間を普通の表情で見た。


若い仕事仲間は山口一に普通に話し出す。

「若い武士が山口に逢いたいと訪ねている。」

山口一は若い仕事仲間を普通の表情で見た。

若い仕事仲間は山口一を僅かに緊張して見た。


山口一は店内に普通に入っていった。


若い仕事仲間は山口一を不思議な表情で見た。


一瞬の後の事。


ここは、江戸。


一軒の大きな店の前。


店内。


山口一は店内に普通に入った。


店内は緊張感に包まれている。


若い武士は山口一を見ると、山口一に普通に話し出す。

「山口君。久しぶり。」

山口一は若い武士に普通の表情で頷いた。

若い武士は店員を見ると、店員に普通に話し出す。

「山口君と共に出掛けたい。山口君が戻るのは、明日か明後日になる。構わないだろ。」

店員は店の奥を確認する表情で見た。

山口一は店内を普通の表情で見た。

若い武士は店員の視線の先を普通の表情で見た。

店の者は若い武士を見ると、若い武士に普通に話し出す。

「承知しました。」

若い武士は店員に普通の表情で頷いた。

山口一は若い武士と店員を普通の表情で見た。

若い武士は山口一に普通に話し出す。

「山口君。行こう。」

山口一は若い武士に普通の表情で頷いた。


若い武士は店を普通に出て行った。

山口一も店を普通に出て行った。


浪人姿の男性達は、互いに不思議な表情で話し出す。

「山口と若い武士は、知り合いなのか。」

「若い武士は、和やかな雰囲気を感じる中に、山口に似る雰囲気を僅かに感じた。」

「不思議な人物だな。」

「山口の知り合いだから、似る雰囲気があるのかな?」

「もしかして、山口の身内なのか?」

「若い武士の身なりなどから想像すると、山口の身内ならば、士官していない山口を黙って見ている訳がない。」

「確かに。」


僅かに後の事。


ここは、江戸。


町中。


若い武士は普通に歩いている。

山口一も普通に歩いている。


山口一は若い武士に普通に話し出す。

「兄さん。何時まで無表情を続けるんだ?」

若い武士は山口一を微笑んで見た。


若い武士は、山口一の兄の山口廣明だった。


山口一は山口廣明を普通の表情で見た。

山口廣明は山口一に微笑んで話し出す。

「俺が一の兄だと話しても信じないと思ったから、名乗るのを止めたんだ。」

山口一は山口廣明を普通の表情で見た。

山口廣明は山口一を微笑んで見た。

山口一は山口廣明に普通に話し出す。

「俺を訪ねた理由は何だ?」

山口廣明は山口一に微笑んで話し出す。

「一を訪ねた理由。何だと思う?」

山口一は山口廣明を普通の表情で見た。

山口廣明は山口一に微笑んで話し出す。

「今は夏の土用だろ。今日は桃湯に浸かる日になるだろ。一は幾日も家に戻らないだろ。一の仕事場の近況の確認も兼ねて訪ねたんだ。」

山口一は山口廣明に普通に話し出す。

「俺も桃湯に浸かる人数に加えた気持ち。礼を言う。」

山口廣明は山口一に微笑んで話し出す。

「一は俺の家族だ。当然の気持ちだ。礼は要らないよ。」

山口一は山口廣明を普通の表情で見た。

山口廣明は山口一を微笑んで見た。

山口一は山口廣明に普通に話し出す。

「夏の土用に桃湯に浸かる行為は、夏の行事の一つになる。家族で行事を過ごしたい気持ちは分かる。兄さんの気持ちは分かるが、兄さんが訪ねる場所ではない。」

山口廣明は山口一に苦笑して話し出す。

「確かに、俺には場違いな感じだった。」

山口一は山口廣明に普通の表情で頷いた。

山口廣明は山口一に微笑んで話し出す。

「一が店に居ると思って訪ねたのに、一は店に居なかった。たくさんの人達に囲まれると困る、などと考えて焦った。一が悪い状況になる前に店に戻った。助かったよ。」

山口一は山口廣明に普通に話し出す。

「兄さんは、俺が仕事などで店に居ない状況を理解して訪ねたのだろ。何故、俺が店に居ないと焦る。」

山口廣明は山口一に苦笑して話し出す。

「確かに、一は仕事のために店に居ない状況を理解して訪ねた。一が店に居ないために、数人に囲まれる、数人の相手をする、などの状況は、大変だし面倒だろ。一は俺が無事な間に必ず現れると思ったから、帰らずに店で待っていた。俺の想像どおり、一は俺が無事な間に店に戻った。」

山口一は山口廣明を普通の表情で見た。

山口廣明は山口一に微笑んで話し出す。

「夏の土用に桃湯に浸かる。夏の風物詩で、夏の行事になる。しっかりと桃湯に浸かろう。」

山口一は山口廣明に普通の表情で頷いた。

山口廣明は山口一を微笑んで見た。


暫く後の事。


ここは、多摩。


試衛館。


風呂場。


夏の土用のため、桃湯が用意されている。


沖田総司は桃湯に気持ち良く浸かっている。


沖田総司は桃湯に浸かり、桃湯を両手で微笑んですくった。


桃湯が指の間から少しずつ流れていく。


沖田総司は桃湯に浸かり、両手から桃湯の流れる様子を微笑んで見た。


桃湯は沖田総司の両手から全て流れて湯船に戻った。


沖田総司は桃湯に浸かり、微笑んで呟いた。

「山口君も桃湯に浸かるよね。山口君が桃湯に浸かる時間は何時かな? 山口君は既に桃湯に浸かった可能性があるよね。想像するだけで楽しくなるな。」


桃湯は沖田総司の動きに合わせて揺らめいている。


沖田総司は桃湯に浸かり、微笑んで呟いた。

「山口君に早く逢いたいな〜 山口君に逢ったらたくさん話すんだ〜 山口君に手合わせしたいと話すんだ〜 楽しみだな〜」


桃湯は沖田総司の動きに合わせて揺らめいている。


沖田総司は桃湯に浸かり、桃湯を微笑んで見た。


沖田総司と山口一は、離れた場所で、繋がる時の無い中で、過ごしている。

桃湯が沖田総司と山口一の過ごす時を僅かに強く繋いだ。

沖田総司と山口一が、再び逢う時は、暫く先の時になる。

桃湯は、沖田総司と山口一に、穏やかな時間と再び逢う時を、静かに作っている。

夏の土用の時間はゆっくりと過ぎていく。




*      *      *      *      *      *




ここからは後書きになります。

この物語は既に掲載している物語の改訂版です。

改訂前の展開や雰囲気を出来るだけ残して改訂しました。

改訂前の物語を掲載するのは止めました。

以上、ご了承願います。

ここからは改訂前の後書きを加筆訂正して書きます。

この物語の補足です。

山口一さんは、京の町に来る前は、いろいろな事をしていたようです。

この物語では、用心棒というか借金の取立てのような仕事をしている設定にしました。

沖田総司さんは、幼名の「沖田惣次郎」さんから、元服をして「沖田総司」さんと名乗る設定にしました。

「風呂」についてです。

江戸時代には銭湯をたくさんの人達が利用していました。

現在とは違い「蒸し風呂」のようになっていたそうです。

「戸棚風呂」と呼ぶ形だったそうです。

熱くなっている小石の上に水を掛けて蒸気を出していたそうです。

浴槽には膝の高さほどのお湯しかありませんでした。

下半身はお湯に浸して、上半身は小石から出る蒸気で温めていたそうです。

蒸気が逃げないようにするために、「石榴口(ざくろぐち)」が考えられたそうです。

簡単な説明ですが、天井から低く板を下げて、蒸気を逃げないようにしていました。

風呂に入る人達はこの板をくぐって、風呂場の中へと入ったそうです。

現在の「風呂」に近い、深く浸かる「風呂」も江戸時代に出来ました。

「据え風呂」というそうです。

「慶長年間(1596年〜1615年)の末頃」に出来たそうです。

井戸水などから沸かすお風呂だったそうです。

一般の庶民の家に広まったそうです。

普及していたのは「鉄砲風呂」や「五右衛門風呂」だったそうです。

「鉄砲風呂」を簡単に説明すると、鉄の筒に燃えている薪を入れてお湯を温めるお風呂です。

鉄の筒でやけどをしないように、筒を遮るように柵で防護していたそうです。

この形の風呂は、江戸で主流になっていたそうです。

「五右衛門風呂」を簡単に説明すると、下の鉄釜を熱して温めるお風呂です。

こちらはやけどをしないように、「釜板、兼、底板」を下に敷いて風呂に入ったそうです。

この形の風呂は、関西で主流になっていたそうです。

江戸時代には、薬用専門の銭湯もあったそうです。

「桃湯(ももゆ)」についてです。

江戸時代から「夏の土用に桃湯に入る」という習慣があったそうです。

「桃湯」には、桃の実ではなく、桃の葉を使います。

桃の葉には、タンニン、マグネシウム、カリウム、などが含まれています。

この成分は、消炎作用、解熱作用に効果があるそうです。

収れん作用もあるそうです。

そこから、「汗疹(あせも)、湿疹(しっしん)、虫さされ、日焼けの赤みを抑える」という効果があるそうです。

「桃湯」の入り方を簡単に説明します。

桃の生葉を30〜40枚を布袋に入れます。

布袋を鍋に入れて、15〜20分ほど煮出します。

煮汁ごと浴槽に入れます。

浴槽に入る時には、良くかき混ぜてから入浴します。

「桃湯」の効能を含めた詳細は各自でご確認ください。

「夏の土用」についてです。

立秋の前日までの約18日間になります。

現在の暦で、「七月下旬から八月上旬」です。

元々は立秋の前の18日間だったそうです。

現在は太陽が黄経117度の点を通過する時から立秋までを指すそうです。

土用の間は土の気が盛んになるために、土を動かす事や殺生が忌まれていたそうです。

本来の「土用」は、立春、立夏、立秋、立冬のそれぞれに設けられていました。

現在では「土用」というと、立秋の前の「夏の土用」だけを差すようになったそうです。

夏の土用の期間を「暑中」といいます。

この頃から「暑中見舞い」を出し始めます。

この頃は猛暑の時季なので、昔から栄養のあるものを摂る習慣があったそうです。

2008年の「土用入」は「7月19日」で「土用明」は「8月5日」です。

2008年の土用の丑の日は「7月24日」と「8月5日」です。

2013年の「土用入」は「7月20日」です。

2013年の土用の丑の日は、「7月22日」と「8月3日」です。

詳細は各自でご確認ください。

楽しんで頂けると嬉しいです。





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