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新撰組異聞外伝 〜 立春の頃 梅の花の贈り物 〜
〜 改訂版 〜
藤田五郎と時尾が祝言を挙げてから初めて年を越した。
今は二月。
ここは、東京。
少しずつ梅の花が咲き始めた。
朝から晴れる日は、僅かに過ごしやすさを感じても、陽が落ちると寒さを感じる。
今は、夜。
ここは、藤田五郎と妻の時尾の住む家。
藤田五郎の部屋。
藤田五郎は普通に居る。
部屋の中が急に暖かくなった。
藤田五郎は障子を普通の表情で静かに開けた。
庭。
庭の桜が満開になって咲いている。
藤田五郎は障子を静かに閉めると、横を普通の表情で見た。
沖田総司が藤田五郎を笑顔で見ている。
藤田五郎は沖田総司に普通に話し出す。
「今夜は何の為に来た?」
沖田総司は藤田五郎に苦笑して話し出す。
「私は斉藤さんに呼ばれて来ました。私が来た目的は分かりません。」
藤田五郎は沖田総司に普通に話し出す。
「俺は総司を呼んでいない。帰って良い。」
沖田総司は藤田五郎に心配して話し出す。
「私は斉藤さんに変な内容を話しましたか?」
藤田五郎は沖田総司に普通に話し出す。
「総司が変な内容を話す。何時もの出来事だ。」
沖田総司は藤田五郎を不安な様子で見た。
藤田五郎は沖田総司に普通に話し出す。
「気が変わった。帰るな。」
沖田総司は藤田五郎を安心した表情で見た。
藤田五郎は沖田総司に普通に話し出す。
「総司と一緒に居ると面白い。」
沖田総司は藤田五郎に苦笑して話し出す。
「褒め言葉として受け取って良いのでしょうか?」
藤田五郎は沖田総司を普通の表情で見た。
沖田総司は藤田五郎に苦笑して話し出す。
「褒め言葉として受け取ります。」
藤田五郎は沖田総司を普通の表情で見ている。
沖田総司は藤田五郎に微笑んで話し出す。
「斉藤さん。突然ですが、二月十四日が近付いています。時尾さんへの贈り物は決まりましたか?」
藤田五郎は沖田総司を普通の表情で見ている。
沖田総司は藤田五郎に微笑んで話し出す。
「時尾さんへの贈り物を考えていませんね。」
藤田五郎は沖田総司を普通の表情で見ている。
沖田総司は藤田五郎に微笑んで話し出す。
「斉藤さんにとって、時尾さんは、大切な家族で、大切な人物です。感謝の気持ちも込めて贈り物を用意しましょう。」
藤田五郎は沖田総司に普通の表情で頷いた。
沖田総司は藤田五郎を微笑んで見た。
藤田五郎は沖田総司に普通に話し出す。
「二月十四日に、総司を呼ぶ。総司も二月十四日に向けて考えろ。」
沖田総司は藤田五郎に微笑んで話し出す。
「はい。」
藤田五郎は沖田総司を普通の表情で見た。
沖田総司は藤田五郎を微笑んで見た。
藤田五郎は沖田総司に普通に話し出す。
「時尾に酒と肴の用意を頼んだ。少し待っていろ。」
沖田総司は藤田五郎に寂しい微笑みで話し出す。
「斉藤さん。今回も酒は遠慮させてください。」
藤田五郎は沖田総司を普通の表情で見た。
沖田総司は藤田五郎に寂しい微笑みで話し出す。
「何時も迷惑を掛けています。すいません。」
藤田五郎は沖田総司に普通に話し出す。
「謝る内容に該当しない。」
沖田総司は藤田五郎を微笑んで見た。
藤田五郎は沖田総司を普通の表情で見た。
藤田五郎は部屋を普通に出て行った。
少し後の事。
ここは、藤田五郎と時尾の住む家。
藤田五郎の部屋。
沖田総司は微笑んで居る。
藤田五郎は酒と肴の載るお盆を持ち、部屋の中に普通に入った。
沖田総司は藤田五郎に微笑んで話し出す。
「斉藤さん。お帰りなさい。」
藤田五郎は酒と肴の載るお盆を机の上に普通に置いた。
沖田総司は藤田五郎を微笑んで見た。
藤田五郎は沖田総司に普通に話し出す。
「始める。」
沖田総司は藤田五郎に微笑んで話し出す。
「はい。」
藤田五郎は漬物を普通に取った。
沖田総司は藤田五郎に微笑んで手を差し出した。
藤田五郎は沖田総司の掌に漬物を普通に置いた。
沖田総司は漬物を笑顔で美味しく食べた。
藤田五郎は杯に酒を普通に注いだ。
沖田総司は漬物を食べながら、藤田五郎を微笑んで見た。
藤田五郎は杯の酒を普通の表情で飲んだ。
暫く後の事。
ここは、藤田五郎と時尾の住む家。
藤田五郎の部屋。
沖田総司は微笑んで居る。
藤田五郎は普通に居る。
酒も肴も、無くなっている。
沖田総司は藤田五郎に微笑んで話し出す。
「斉藤さん。ご馳走様でした。」
藤田五郎は沖田総司に普通の表情で頷いた。
沖田総司は藤田五郎に微笑んで話し出す。
「二月十四日を楽しみに待っています。」
藤田五郎は沖田総司に普通の表情で頷いた。
沖田総司は微笑んで、静かに居なくなった。
藤田五郎は杯と皿の載るお盆を持つと、障子を普通に開けた。
庭の桜は季節どおりの姿に戻っている。
藤田五郎は杯と皿の載るお盆を持ち、部屋を普通に出て行った。
僅かに後の事。
ここは、藤田五郎と時尾の住む家。
藤田五郎の部屋。
藤田五郎は部屋の中に普通に入ってきた。
部屋の中は暖かさが残っている。
藤田五郎は寝る準備を普通に始めた。
幾日か後の事。
二月十四日を迎えた。
梅の花の咲く姿を見る機会が増えている。
ここは、沖田総司の息子の敬一と母親の美鈴の住む家。
食卓の有る部屋。
敬一は笑顔で美味しく食事をしている。
美鈴は微笑んで食事をしている。
美鈴は食事をしながら、敬一に微笑んで話し出す。
「今日は、お菓子を買って、お父さんと敬一とお母さんで、お菓子を食べたいと思うの。」
敬一は食事をしながら、美鈴に微笑んで話し出す。
「今日は、二月十四日だから、お父さんに贈り物を用意するんだ。」
美鈴は食事をしながら、敬一に微笑んで頷いた。
敬一は食事をしながら、美鈴に微笑んで話し出す。
「分かった。今日は出来るだけ早く帰るね。」
美鈴は食事をしながら、敬一に微笑んで話し出す。
「無理しないでね。」
敬一は食事をしながら、美鈴に微笑んで話し出す。
「お父さんとお母さんと一緒に、お菓子を食べる時間が楽しみなんだ。無理していないよ。安心して。」
美鈴は食事をしながら、敬一を微笑んで見た。
敬一も食事をしながら、美鈴を微笑んで見た。
少し後の事。
ここは、敬一と美鈴の住む家。
台所。
美鈴は微笑んで片付けをしている。
敬一は微笑んで来た。
美鈴は片付けを止めると、敬一を微笑んで見た。
敬一は美鈴に微笑んで話し出す。
「お母さん。少し経ったら出掛けるね。」
美鈴は敬一に微笑んで話し出す。
「気を付けて行ってらっしゃい。」
敬一は美鈴に微笑んで話し出す。
「行ってきます。」
美鈴は敬一を微笑んで見た。
敬一は台所から微笑んで居なくなった。
同じ頃。
ここは、藤田五郎と時尾の住む家。
玄関。
藤田五郎は普通に居る。
時尾は微笑んで居る。
藤田五郎は時尾に普通に話し出す。
「今日は出来るだけ早く帰る。」
時尾は藤田五郎に微笑んで話し出す。
「分かりました。」
藤田五郎は時尾を普通の表情で見た。
時尾は藤田五郎に微笑んで話し出す。
「行ってらっしゃい。」
藤田五郎は時尾に普通の表情で頷いた。
時尾は藤田五郎を微笑んで見た。
藤田五郎は家を普通に出て行った。
暫く後の事。
ここは、梅の花のたくさん咲く場所。
敬一は梅の花を見ながら、真剣な表情で歩いている。
一本の梅の木の花の香りが強まった。
敬一は立ち止まると、梅の木を不思議な様子で見た。
梅の花が日差しを受けて輝いて咲いている。
敬一は梅の花を笑顔で見た。
少し後の事。
ここは、敬一と美鈴の住む家。
玄関。
敬一は梅の花の咲く小枝を持ち、元気良く帰ってきた。
美鈴は微笑んで来た。
敬一は梅の花の咲く小枝を持ち、美鈴に笑顔で話し出す。
「お母さん! ただいま!」
美鈴は敬一に微笑んで話し出す。
「敬一。お帰りなさい。」
敬一は美鈴に梅の花の咲く小枝を笑顔で渡した。
美鈴は敬一から梅の花の咲く小枝を受け取ると、敬一に微笑んで話し出す。
「綺麗な梅の花ね。敬一。ありがとう。」
敬一は美鈴に笑顔で話し出す。
「帰る途中に綺麗な梅の花の咲く場所を見付けたんだ! お母さんに見て欲しくて少しだけ分けてもらったんだ!」
美鈴は梅の花の咲く小枝を持ち、敬一に微笑んで話し出す。
「直ぐに飾りましょう。」
敬一は美鈴に笑顔で頷いた。
美鈴は梅の花の咲く小枝を持ち、敬一に微笑んで話し出す。
「梅の花を飾ったら、お父さんと一緒にお菓子を食べましょう。」
敬一は美鈴に笑顔で頷いた。
敬一は家の中に元気良く入って行った。
美鈴は梅の花の咲く小枝を持ち、家の中に微笑んで入って行った。
直後の事。
ここは、町中。
藤田五郎は普通に歩いている。
綺麗な花の咲く梅の木が見えた。
藤田五郎は立ち止まると、梅の木を普通の表情で見た。
少し後の事。
ここは、藤田五郎と時尾の住む家。
玄関。
藤田五郎が梅の花の咲く小枝を持ち、普通に帰ってきた。
時尾は微笑んで来た。
藤田五郎は時尾に梅の花の咲く小枝を普通に渡した。
時尾は藤田五郎から梅の花の咲く小枝を受け取ると、藤田五郎に微笑んで話し出す。
「綺麗な梅の小枝をありがとうございます。」
藤田五郎は時尾に普通の表情で頷いた。
時尾は梅の花の咲く小枝を持ち、藤田五郎に微笑んで話し出す。
「直ぐに梅の小枝を飾ります。」
藤田五郎は時尾に普通の表情で頷いた。
時尾は梅の花の咲く小枝を持ち、藤田五郎を微笑んで見た。
藤田五郎は家の中に普通に入って行った。
時尾は梅の花の咲く小枝を持ち、家の中に微笑んで入って行った。
暫く後の事。
ここは、藤田五郎と時尾の住む家。
食卓の有る部屋。
梅の花の咲く小枝が花瓶に挿して飾ってある。
藤田五郎は杯の酒を普通の表情で飲んでいる。
時尾は微笑んで食事をしている。
時尾は食事をしながら、藤田五郎に微笑んで話し出す。
「異国では、今の季節にお祝いをするのですか?」
藤田五郎は杯の酒を飲みながら、時尾を普通の表情で見た。
時尾は食事をしながら、藤田五郎に微笑んで話し出す。
「五郎さんはいろいろな物事を知っています。何か知っているかも知れないと思って質問しました。」
藤田五郎は杯の酒を飲みながら、時尾に普通に話し出す。
「異国では、二月十四日に好きな人物に贈り物を渡す風習がある。」
時尾は食事を止めると、藤田五郎に申し訳なく話し出す。
「出来るだけ早く贈り物を用意します。」
藤田五郎は杯の酒を飲みながら、時尾に普通に話し出す。
「俺達の住む所は、贈り物を交換する風習はない。時尾は何時も様々な気遣いをしている。時尾は贈り物を用意する必要はない。」
時尾は藤田五郎に微笑んで話し出す。
「お気遣いありがとうございます。」
藤田五郎は杯の酒を飲みながら、時尾を普通の表情で見た。
時尾は藤田五郎に微笑んで話し出す。
「今後は家事を更にしっかりと行ないます。」
藤田五郎は杯の酒を飲みながら、時尾に普通に話し出す。
「時尾。今までと同じで良い。無理をするな。」
時尾は藤田五郎を微笑んで見た。
藤田五郎は杯の酒を飲みながら、時尾を普通の表情で見た。
二月十四日は、大切な人に贈り物を贈る日になる。
沖田総司の想い、藤田五郎の想い、時尾の想い、敬一の想い、美鈴の想いは、各々の大切な想い人が贈り物と共にしっかりと受け取った。
* * * * * *
ここからは後書きとなります。
この物語は既に掲載している物語の改訂版です。
改訂前の物語の展開や雰囲気を出来るだけ残して改訂しました。
改訂前の物語を掲載するのは止めました。
以上、ご了承願います。
ここからは改訂前の後書きを加筆訂正して書きます。
この物語の時間設定は、藤田五郎さんと藤田時尾さんが、祝言を挙げてから初めて迎えたバレンタインの頃です。
藤田五郎さんと藤田時尾さんが祝言を挙げたのは、明治七年(1874年)頃だそうです。
「新撰組異聞」関連の物語も、明治七年(1874年)の出来事としています。
藤田五郎さんと時尾さんが祝言を挙げた年には、バレンタインを迎えていない設定にして、明治八年(1875年)の出来事として物語を書きました。
藤田五郎さんと美鈴さんが、バレンタインを知る理由は、「雪月花 新撰組異聞 編 早緑月の贈り物 梅の花今咲けるごと散り過ぎず」が基になっています。
「バレンタイン」についてです。
西暦二六九年に、兵士の自由結婚禁止政策に反対したバレンタイン司教が、時のローマ皇帝の迫害により処刑されました。
それから、この日がバレンタイン司教の記念日としてキリスト教の行事に加えられ、恋人達の愛の誓いの日になりました。
ヨーロッパでは、この日を「愛の日」として花やケーキ、カード等を贈る風習があります。
女性が男性にチョコレートを贈る習慣は日本独自のものです。
1958年(昭和33年)に、東京に本社の在る会社が、新宿に在るデパートで行ったチョコレートセールが始まりです。
最初の年は、3日間で3枚しか売れなかったそうです。
「立春(りっしゅん)」についてです。
「二十四節気の一つ」です。
2月4日頃、または、2月4日頃から「雨水(うすい)[2月18日〜2月19日頃、または、この頃から啓蟄(けいちつ)(3月17日〜3月18日頃)]」までの期間です。
初めて春の気配が現れてくる日です。
楽しんで頂けると嬉しいです。
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