このページは、2019年3月に保存されたアーカイブです。最新の内容ではない場合がありますのでご注意ください |
バカチン四国Ⅴ・9
●奥社へと続く鳥居。数日前の大雨の影響か、崩れているのが見える●
飲み物が切れたままの状態で、私は奥社にトライする事になった。
まあ、奥社までは今までの3分の2程度の583段。
そんなに距離はないだろうとたかをくくって鳥居をくぐった。
鳥居をくぐるとすぐに、空気が変わったような気がした。
体感気温はぐっと下がり、先ほどまでの熱気が嘘のように心地よい風が吹き抜ける。
ああ、神域というのはこんな空気なんかなぁと思いながら、
天災Wと共に歩みを進めた。
鳥居をくぐるとすぐに纏わりついて来たアブも、すぐにどこかに去って行った。
暫く森林浴を楽しみつつ、歩むこと数100メートル、
私の足は既に異変に気づいていた。
ここ、階段より坂道のほうが多い…
先生…坂道は段数にカウントされますか?
所々に現れる<奥社まで○○メートル>の表示
だんだん嘘を書いている気がしてくる頃に、中間地点にたどり着いた。
もう既に結構くたくたであったので、小さな社の脇で休息。
●座った縁台の横に、お客様登場●
ここに着いた時点で二人ともTシャツは絞れるほどの汗を吸っている。
体にピタピタ張り付くTシャツを恨めしげに見やりながら、出発
ここからも、坂道と階段の複合コースが続く。
最早すれ違う人と挨拶を交わすのも億劫だったが、声を無理やり搾り出す。
息も絶え絶えに
「こ・・・こんにちははぁ〜」
返ってくる声は意外にもかなり元気そう。
うう・・・恨めしい。と思いつつ、何とか終点奥社に到着した。
●奥社の社務所にあった段数表記●
もともと地元民であった私だが、こんぴらさんはわざわざ登る対象ではなかったし、
奥社まで行くという行為は、はっきり言って想定外。
県外に住むようになって初めて登る気になったのだから、不思議なものだ。
奥社から見える讃岐平野を見下ろし、小休止をした我々は
旅ノートに参拝記念を書き込み、奥社を後にすることにした。
奥社から帰る道すがら、我々は『さっきまでの我々』を沢山見かけることとなった。
といっても登ってくるのはほんの数組なのだが、
皆、息も絶え絶えに階段を上ってくる。
我々はにこやかに挨拶をした。「こんにちは〜!」
分かる、分かるぞその気持ち。
あとどれくらい距離があるのか心配なんやろう?
しかし、「もう少しですよ」って言ったとしても、
『もうちょっとの目印』になるところから
更にもう少し道が続くことを私は知っているのだ
ここは敢えて何も言うまい。
先の見える修行は、最早修行ではない。
我々は、それを終えた者として、勝利の余韻に浸るのだ。
さて、大分下ってきたし、喉も渇いたし、
そろそろ水分補給しようかな
で、気づいた。
もう飲んでないやん。ゲータレード。
その時、私の脳裏に天啓のように閃く文字があった。
確か・・・参道の中ほどに讃岐ビールなる看板があったな・・・
私は天災Wに言った。『ビールやな』
天災Wも期する所があったのだろう、瞬時に『間違いない』
と返ってきた。急がねばなるまい。
●大急ぎで本宮の横を通り過ぎ…●
急な階段をガクガクする膝をかばいながら出来るだけ急いで降りる。
途中、清涼飲料水の自動販売機などがあったが、視界には入らない。
今の我々を救うことの出来る水分は唯一ビールしかないのである。
奥社から下り始めること30分ほどで目的の店は見つかった。
●すいませーん●
あれ?留守?
いいや、留守でも俺は誰かでてくるまで叫び続けてやる…
でないと、何のためにここまで来たんか分からんからな〜
と思っていたら、
隣の店から「あらあらあらあら」言いながらおばちゃん登場。
ともかく我らの欲しているのは、ビールである。
大急ぎでビールを注いでもらう。
キンキンに冷えたグラスにビールが注がれて・・・4秒でなくなりました。
お代わり。
キンキンに冷えた(略)…10秒でなくなりました。
日本酒下さい。
二合の日本酒を飲み、おばちゃん自慢の、
カウンターの中からリモコンで動かせるように位置、角度を調整された
手抜き扇風機の話などを伺っているうちに、
あるものが目の前を横切った。
あ…あれは…
●こんぴら名物、石段かご●
ビール二杯と日本酒でちょっと陽気になった脳みそで、
追いかけましたがな、100mほど。
前に回る元気はなかったけどな。
「おっちゃんちょっと待って〜、写真撮らしてぇ〜」
そんなこんなで、まあ、一息ついた我々は、
取りあえず、宇多津(うたづ)で、うどんでも食おうということで、
JR琴平駅へ向かった。
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