このページは、2019年3月に保存されたアーカイブです。最新の内容ではない場合がありますのでご注意ください |
大日本炭鉱湯本鉱専用鉄道 5
〜No.8駐車場〜
専用鉄道は御斎所街道に突き当たり、湯本鉱に向けラストスパートにかかる。
ここから先は、ハワイアンズを訪れる人にはお馴染みの風景が展開する。
県道14号 いわき石川線バイパスとの交差点が見えた。
交差点を右折すれば、すぐいわき湯本ICだ。
左折すれば小名浜方面に向かう。
直進は勿論スパリゾートハワイアンズへ行く道だ。
交差点の先は緩やかなSカーブになっている。
これもまた地元の人には馴染みのある風景だろう。
道の脇には旅館や商店が建ち並ぶ。
ハワイアンズを前にして、専用鉄道が僅かにその痕跡を見せる。
右の一段低い所を通る道路は古い市道だ。
左は元専用鉄道であり新しい市道である。
専用鉄道跡は県道14号バイパスが開通するまで県道14号としての重責を担っていた。
新市道と旧市道の段差が築堤状になっていて、往時を少しだけ偲ばせる。
やっとスパリゾートハワイアンズの入口まで来た。
湯本駅から普通に行けば3km弱、車で10分の距離を、驚くべき遠回りの自転車で6km弱、1時間強をかけてやってきたのだ。
勾配はそれ程でも無かったとはいえ、心底足に来た。
ここが大日本炭鉱湯本鉱(三星藤原鉱)のあった場所である。
昭和5(1930)年、異常熱出水と言う事態に見舞われ、閉山を余儀なくされた炭鉱…
石炭を掘る坑夫の声は遥か時間の彼方に消えた。
今は温泉リゾートを満喫する老若男女の声で満ちあふれている。
1つのヤマの数奇なる運命が胸を打つ。
上の画像の場所は現在のスパリゾートハワイアンズの入口に過ぎない。
私が目指すべき終点…万石(石炭積込所)推定地はもう少し先にあるのだ。
専用鉄道は御斎所街道と別れ、北西に進路を取る。
中央に見える緑の看板は「クレストヒルズゴルフ倶楽部」のものだ。
クレストヒルズとスパリゾートハワイアンズは共に常磐興産グループ(常磐炭鉱)の傘下にある企業だ。
専用鉄道は終点を前にして藤原川を渡る。
現在架かっている橋の名前は「源内橋」と言う。
専用鉄道の現役当時には鉄橋が架けられていたのだろう。
川面を見渡し、何らかの遺構が無いか探したが見つからなかった。
源内橋を渡ると住宅地が見えてきた。
行く手には小高い山が見える。
いよいよ終点が近くなってきたのだ。
つららのお出迎えだ。
平成20年の冬はとにかく寒い。天気は良いのだが平均気温が低い。
「もはや関東地方」と言っても差し支えないこの
長い専用鉄道探訪も終わりを迎えた。
鉄道は遂にこの地で終焉を迎えたのだ。
スパリゾートハワイアンズ NO8駐車場…
ここが大日本炭鉱湯本鉱の万石(石炭積込所)の存在した所だ。
三星炭鉱が社運を賭けて敷設した専用鉄道の終焉の地にふさわしい佇まいである。
万石は左側の斜面を利用して建造され、下で待ち受ける貨車に石炭を投下していたものと思われる。
駐車場の隅には専用鉄道を追慕するように、僅かな数のレールと枕木が見られた。
80年前に消えた鉄道の響き…石炭の音…
ハワイアンズを訪れる事があったならば、このレポートを少しだけ思い起こして欲しい。
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