このページは、2019年3月に保存されたアーカイブです。最新の内容ではない場合がありますのでご注意ください

113系
 80系や153系などで運転されていた東海道線東京口の混雑緩和のため401系の直流専用バージョンである111系が1962年に登場した。翌年登場したこの車両のパワーアップ版が113系である。
 113系では、モーター出力を120kWにアップしている。広幅車体に両開きの扉はラッシュ時に威力を発揮し、当時線路を共有していた横須賀線も性能をそろえるため113系化された。その後、房総地区の電化、総武快速線と横須賀線との直通運転開始などの際にも113系は増備され、115系と並ぶ近郊型電車の代表系列となった。
 車両性能は403系とほぼ同様。モーターは標準型のMT54、ギア比は急行形と通勤形の中間に当たる4.82。主制御器はノッチ戻しや抑速ブレーキ機能のないCS12。これらは、急行形より起動加速度が高く、通勤形より足が早い、平坦区間用の車両であることを意味している。
 JR東日本に在籍する番代区分としては、東京地下駅乗り入れ用の1000番代、シートピッチ拡大の2000番代、東京地下駅乗り入れ用でシートピッチ拡大の1500番代に大別される。グリーン車も在籍している。211系仕様のダブルデッカーグリーン車もあるが、ブレーキ方式を113系に合わせてあるので211系とは併結できない。
 横須賀線で活躍していた車両はとうの昔に房総地区ローカル運用用になった上、東海道線の車両も現在E231系による置き換えが進行中である。東海道からいなくなるのも時間の問題と思われる。

東海道線を走る113系。横須賀線でお役御免になった車両の一部は国府津に転属して東海道線で活躍している。
総武本線などの房総ローカルで活躍するスカ色113系。同じくスカ色113系。タイフォンの位置から元横須賀線車である事は一目瞭然。

115系
 113系を勾配線区版。2扉の80系を使用していた東北本線、高崎線の上野口用の混雑緩和のために配属された。1963年から配属開始。日光線や上越線などの急勾配・寒冷地も走るため、主制御器はノッチ戻しと抑速ブレーキ付きのCS15を装備、耐寒耐雪構造としている。
 外観的には113系とたいした変わりはないが、通風器の形態、前面の塗り分け、扉が半自動でドアに取っ手が付いているなど、いくつかの差異が見受けられる。
 1966年には中央東線にも投入され、パンタ部を低屋根化した車両が登場した。1973年から冷房つきになり、車体も防火対策を強化したA-A基準構造とした300番代にが登場した。1977年からは、松本・長野地区、新潟地区の旧型車置き換え用に1000番代が登場した。1000番代は、耐寒耐雪構造を強化し、シートピッチを拡大、モーター冷却風取り入れ用の雪切室を設けるなどの変化が見られる。
 国鉄末期には編成の短縮化に伴い、クモハ114という新しい車種が誕生している。
 JR化後も地方線区でワンマン改造や塗色変更などが行われておりまだまだ元気。しかし、高崎線や東北本線ではとうとうE231系に置き換えられ、見られなくなってしまった。中央東線の車両も立川以東でなければ見られなくなり、首都圏では少々元気がなくなってきてしまった。

東北本線で上野まで乗り入れていたころの写真。吾妻線の115系。新前橋区の車両。
両毛線運用の車両は、両毛線開業115周年記念ヘッドマークが付いている。豊田区の中央東線用スカ色車。ホリデー快速鎌倉号として運用中のもの。

211系
 113系・115系の置き換え用に、国鉄末期の1985年に登場した車両。
 211系は基本的に205系の設計思想を受け継ぎ、軽量ステンレス車体、回生ブレーキつき界磁添加励磁制御、全電気指令式空気ブレーキ、ボルスタレス台車など、各所に205系との共通点が見られる。車体幅は近郊型のため10cmほど広く、裾絞りである。主制御器には抑速ブレーキを追加、ギア比は高速性能重視の5.19としたことなどは205系との相違点。JR東日本管内の勾配線区の走行が可能で、従来と同じ運転時分を確保できる。
 番代区分は、東海道線用のが0番代・2000番代、東北・高崎線用が1000番代・3000番代である。0番代と1000番代はセミクロスシート車である。1000番代と3000番代は、混雑緩和のためロングシートとなった車両である。東海道線用には平屋のグリーン車と2階建てのグリーン車が存在する。東海道線の編成組成は、基本10連+付属5連である。東北・高崎線用は、すべて5連である。また、東北・高崎線用のものは、耐寒耐雪設備が付いており、扉も半自動であるが、手動でなく、押しボタン式である。
 東海道線にE231系が投入されているので、余剰となった113系の2階建てグリーン車(サロ124・125)を211系の平屋グリーン車と改造の上交換し、さらに押し出された平屋グリーン車を東北・高崎線用の211系に組み込むことも発表されており、すでに大宮総合車両センターに平屋グリーン車が留置されている。今後とも目が離せない車両である。

東海道線211系。幌の台座がない。高崎線を走る211系。
上野にて。参考までに。0番代のクモハ211系は2両しかなく、東海地区でのみ活躍。これはそのトップの車両。

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