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寝台特急出雲号と出雲・鳥取の旅2006(平成18)年1月9日(月・祝) -その1-
鳥取〜浜坂〜餘部520D (普通)→160D (普通)
浜坂行き普通列車

鳥取駅前のビジネスホテルに宿泊し、この日は餘部橋梁(余部鉄橋)に行くため、4時半に起きました。
5時過ぎにはチェックアウトし、鳥取駅に向かい、まずは、浜坂行きの普通列車に乗り込みました。
朝からかなり冷え込んでいて、車内も暖房があまり効いていません。
鳥取駅を出発し、どんなところを走っているかもわからないくらい真っ暗な中をおよそ45分、列車は浜坂駅に到着しました。
ここからすぐの連絡で、豊岡行きの普通列車に乗り換えます。
そして、浜坂駅から2駅、列車は餘部駅に到着しました。

左:浜坂行き普通列車
(鳥取駅にて)
餘部
特急はまかぜ2号
寝台特急出雲号
餘部駅では10人くらいの方が下車されましたが、どうやら皆さん鉄道ファンの方のようでした。
餘部駅には、香住町が整備した餘部橋梁の撮影ポイントがあります。
空はようやく白み始めましたが、足下はまだ薄暗く、やや凍結している階段を上り、撮影ポイントに着きました。
目の前には、息を呑むほどの壮麗な餘部橋梁の架かる風景が広がっていました。
しばらくして、大阪行きの特急「はまかぜ」2号が、轟音とともにかなりのスピードで鉄橋を通過していきました。
そして、待つことおよそ20分、餘部駅の列車接近放送が聞こえ、ピィーという警笛とともに対岸のトンネルに明かりが見えたかと思うと、寝台特急「出雲」号が姿を現しました。
俄然緊張が高まり、シャッターを切り始めましたが、寒さと緊張で指が離れてしまい、あまりいい写真を撮ることができませんでしたが、その風景をこの目で見れたことがとてもいい思い出となりました。

左上:特急はまかぜ2号
右上:寝台特急出雲号
(以上、餘部駅撮影ポイントより)
橋脚美
鉄橋を見上げる
地上からの高さ41メートル、長さ309メートル、1912(明治45)年に完成した餘部橋梁は、約90年経った今でもトレッスル橋梁としては日本一の規模を誇ります。

餘部鉄橋の脇から続く葛折りの坂道を下って、集落まで行ってみることにしました。
それほど急というわけではありませんが、足下はかなり凍結していました。
道幅は狭く、途中で人とすれ違うのも大変でした。
慎重に坂を下っていたつもりだったのですが、つるつるに凍ったところに左足を着いてしまい、踏ん張り切れずにお尻から転んでしまいました。
手がビリビリしびれて、立ち直るのに少し時間がかかりましたが、気を取り直して再び坂道を下ると、程なくして地上に着きました。

餘部橋梁完成当時は駅のなかった余部集落でしたが、1959(昭和34)年にようやく駅が完成、この坂道は、住民の方々と駅を繋ぐ大切な道です。

路地を抜けて、海沿いの余部公園に出ました。
海はそれほど荒々しくもありませんでしたが、あまりの寒さで、海面からは湯気のように水蒸気が上がっていました。
ふと、駅の列車到着放送が聞こえ、しばらくした後に、餘部駅を発車した普通列車が頭上を通過していきました。

橋脚のすぐ脇まで家々が立ち並び、集落の人々は鉄橋とともに暮らしていることが伺えます。
しかし、その生活を揺るがす列車転落事故が1986(昭和61)年12月に起きました。
列車が直撃したカニ加工場の跡地には、工場の従業員5名と車掌1名の死を悼む慰霊碑が建てられています。
これだけ技術が進歩した現代であっても、自然は時に、人々の想像をはるかに超えた猛威を振るうときがあります。
亡くなられた方々の冥福を祈り、慰霊碑の前を後にしました。

その後もしばらくは付近で撮影を行ってから、餘部駅に戻ることにしました。
その途中、ようやく周囲を取り囲む山の向こうから、朝日が顔をのぞかせると、朱色の橋脚がより鮮やかに見えました。

なお、この美しいトレッスル橋梁は、この秋からコンクリート橋梁への付け替え工事が始まります。
強風に対する対策も取られるとのことで、今よりも列車の運休回数が減ることは確かです。
ただ言えることは、一つの歴史的鉄道建築物が姿を消していくということです。

左上:橋脚美
右上:鉄橋を見上げる
左中:餘部橋梁を渡る普通列車
右中:慰霊碑とともに
左下:天に掛かる橋
右下:集落を照らす太陽
(以上、余部集落にて)
餘部橋梁を渡る普通列車
慰霊碑とともに
天に掛かる橋
集落を照らす太陽


寝台特急出雲号と出雲・鳥取の旅
2006(平成18)年1月8日 -その4-
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