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ローマ旅行記 1
2014年10月27日() 1日目 <東京→パリ→ローマ>


<自宅からローマのホテルまでの25時間>

 国際学会に出席して報告するために、初めてのローマへ行くことになった。期間は約1週間。学会と言っても全てのプログラムに参加しないといけないわけではないし、空いた時間で観光することもできるはずなのでちょっと嬉しい反面、今回は治安があまり良くないというローマに単身一人で行くことになり、しかも学会報告の準備も終わっていない(しかも苦手な英語報告)ので、行く前からかなり気が重かった。そういうわけで、行く前の状態は9:1で「行きたくない気持ち」に圧倒的な軍配が挙がっていた。

 しかしそうは言っても行かないことには話が始まらないので、前夜は荷造りをしつつ、以前録画しておいたモヤモヤさまぁ〜ずのローマ編スペシャルを見て、何とかテンションを上げようとする。確かにモヤモヤさまぁ〜ずを見ているとローマは楽しそうに見える。でもあれはテレビ番組で、人数も一杯いて、通訳やコーディネーターがいるから楽なんだ。大体テレビで楽しくなさそうな場面は映さないし・・・何て考えていると、段々と憂鬱になってきた。そもそも報告準備が終わっていないことが憂鬱の最大要因ではあったけれど。

 荷造りに時間が思いのほか時間がかかってしまい、仮眠を取ると飛行機に乗り遅れてしまいそうなので、始発に乗ってでかけてしまうことにする。吉祥寺5時発の羽田行き高速バスに乗って、一路羽田空港へ。バスは5時発の始発だというのに、座席は満員。僕の隣に座ったオジサンは足を大きく広げ、口を開けたまま寝てしまったので、足元が狭いわ口が臭いわで朝からげんなりしてしまった。こっちも気が立っているからいつもより敏感に感じてしまったんだろうけど、やっぱり最低限のマナーは守ってほしい。

 6時前に羽田空港国際線ターミナルに到着。パリ・シャルルドゴール空港行のJAL45便は10時50分発なので、5時間近くも時間がある。とりあえずチェックインをして荷物を預けて身軽になったところで、両替や朝食も済ませてしまうことにする。朝食はあっさりしたものが食べたかったので、6時から開いている つるとんたん に入り、鴨のおうどん2玉(1380円)にする。一瞬だけ、この憂鬱な気分をふっ飛ばすためにビールを頼もうかと思ったけれど、飛行機に乗れば飲めるし、そもそも朝から飲むのはいかがなものかと思ったので、何とか思いとどまることができた。ちなみに後から入ってきたお兄さんは早速生ビールを注文しておいしそうにごくごく飲んでいたので、やっぱり注文するべきだったかと自分の選択を後悔した。

 鴨のおうどんはかなりあっさりとした関西風つゆで、徹夜で疲れ果てた体にはありがたい。そして鴨の出汁がにじみ出ている。ただ2玉にしてしまったのでうどん自体の量が多くなってしまい、朝からちょっと食べ過ぎて気分が悪くなってしまった。体調が良くないときは1玉で十分の量かもしれない。


<秋の装いの羽田空港国際線ターミナル>

<パリ・シャルルドゴール行きJAL45便に乗ります>

<朝の江戸小路>

<つるとんたんで「鴨のおうどん」2玉>

 朝食を食べたらやることがなくなったので、さっさと出国手続きをして制限区域内に入る。指定されたゲートに行ってもまだ何のお知らせも出ていなかった。そりゃそうだ、まだ7時前だもの。ということでカード会社ラウンジに行き、これから乗るJAL45便を眺めながらコーヒーを飲みつつ、パソコンを開いてせっせと報告準備を進める。新しくできたというカードラウンジはかなり広くて、使い心地抜群だった。8月に入った別のカードラウンジは狭いうえに飲み物も自動販売機方式だったので、それと比べると結構差があるというか。

 コーヒーで眠気をだましつつ、報告準備をすること約3時間。何とか報告用パワーポイントの下書きは終わったので一安心。ただうどんで満腹なところにコーヒーを飲みまくったので、気持ち悪さは最高潮に達してしまった。  


<搭乗ゲートはまだ何のお知らせも出ていないので>

<カード会社ラウンジに入る>

<これから乗るJAL45便を眺めつつ>

<ようやくパリへ>

 ようやく時間になったので、10時半頃搭乗。今回乗るのはもちろんエコノミークラスだけど、最近JALは「JAL SKY WIDER」という、従来のシートピッチよりも10cm、シート幅よりも2cm広い座席を取り入れ始めているらしく、実際に乗ってみるとこの10cmと2cmの差がかなり大きいように思った。特に足元が10cm広いのはかなりありがたい。他にもペットボトルホルダーとかUSB差込口もあったりして、これならエコノミーでも悪くない。モニターもこれまでのものに比べて結構大きくて、これなら映画も十分堪能できる。

 席に着いたらいつの間にか眠っていて、気が付いたら安定飛行に入った頃。しばらくして、食事前の飲み物の配給が始まった。JALなのでビールは全て日本の銘柄。アサヒ、キリン、ヱビスから選んで良いと言われたので、一番高いヱビスにする。朝のうどんとコーヒー飲み過ぎでかなり気持ち悪いけど、ヱビスに敬意を表して飲まなければならない。その後、テルマエロマエ2を見ながら機内食のツナの炊き込みご飯を食べる。飲み物は白ワインと味噌汁。これまで長距離国際線は全て外国籍の航空会社便だったので、今回初めてJALの長距離便に乗ったのだけど、やっぱり日系航空会社は安心感が違う。日本語が通じることは当たり前のこととして、接客や機内設備のレベルが高い。もう少し安ければいつでも使いたいんだけどなあ。  


<結構快適だったJAL SKY WIDERの席>

<テルマエロマエ2を見るのを楽しみにしていた>

<ヱビスビールとあられミックス>

<機内食はツナの炊き込みご飯と白ワイン>

 ビールに加えて白ワインと機内食も平らげたので、テルマエロマエ2を見終わったところでさすがに本格的に気持ちが悪くなってきた。モンゴル上空では気流が悪く、1時間以上かなり激しい揺れに見舞われたので、余計に胃がシェイクされてきつい。これ以上動くと大変なことになりそうなので、胃薬を飲んで大丈夫大丈夫と言い聞かせながら目を閉じて寝ることにする。寝たか寝てないかのうつらうつらの状態で6時間が経過し、途中でお夜食の時間。コーンスープと甘いパン。胃薬と睡眠のおかげで少し体調が戻っていたので、一応パンもいただくことにする。本当は持って帰りたかったけど、袋に「機内にてお召し上がりください」と書かれているから仕方がない。。

 夜食後、寝るのも飽きたし、かといってパソコンを開いて報告準備ができるほど席も広くないので、モニターでゲームをして暇をつぶす。ゴルフ、数独、オセロ、将棋、囲碁、テトリスなどなどいろいろな種類のゲームがあり、特にゴルフと数独とテトリスにはまってしまった。最近の機内エンターテイメントは進化しているんですね。数独が難しすぎていらいらしたこともあったけど、いい頭の体操になったと思いたい。 


<パンと水とコンソメスープ>

<あと2時間くらいでパリに着く>

 着陸前の夕食は噂に聞いていたAIR吉野家。JALが力を入れているというコラボレーションシリーズらしく、今回は吉野家の牛丼。味はいつも食べる地上の吉野家の牛丼とほとんど同じでおいしかった。ただ、地上で食べたらもう少し多い量で280円だし、外国人だと嫌いな人もいるだろうし、日本人でも「え?なんで空の上でわざわざ吉野家の牛丼なの??」という人もいるはずなので、実際のところ人気はどうなんだろう。おいしかったんですけどね。初めて吉野家の牛丼を赤ワインと一緒に食べました。


<到着前の食事:AIR吉野家>

<確かにいつも食べている牛丼そのもの>

 約12時間50分の飛行を終え、現地時間午後3時40分(日本時間夜11時40分)、パリ・シャルルドゴール国際空港に到着。ここで2時間半の乗り換え時間を利用してローマ行きに乗り換える。トランジットの時間がもっとあったら、市内に出て観光もできたけどなあ。初めてのパリがトランジットで空港内にたった2時間半の滞在というのは寂しすぎる。第2外国語でフランス語を履修した人間としては、テストで2回不可を取ったその実力を余すところなく発揮したかったところだった。。   


<パリ シャルルドゴール空港に到着>

<ローマ フィウミチーノ行きに乗り換える>

<安藤忠雄が設計しそうなコンクリ打ちっぱなし>

<ターミナル2Fの出発ロビー>

 EU圏への入国手続きを済ませ、出発ゲートがあるターミナル2Fに到着したのが午後4時半。出発まではまだ2時間近くある。最初はターミナルをうろうろして、「ほーこれがパリか」と強引に感動しようとしていたけど、思ったよりもターミナルが小さくてすぐに見終わってしまった。あまり時間を潰す場所もなさそうなので、とりあえずカフェに入ってローマの地球の歩き方でも読みながらコーヒーを飲むことにする。

 大学に入ってフランス語を学習し始めた頃、いつかパリに行ったら、晴れた日曜日の午前中にシャンゼリゼ通りのオープンカフェでコーヒーとクロワッサンを飲みながらフランス語の本でも読もうと思っていた。残念ながらここはシャンゼリゼ通りでもないし、日曜日の朝でもないし、厳密にはパリ市内ではないし、そもそもフランス語が読めるほどにはならなかったけれど、ようやくフランスに来たということで中途半端ながら13年来の目的を果たすことができる。

 折角フランス語を取っていたので、注文も覚えているフランス語で言ってみる。「Caffe latte et croissant s'il vous plait (カフェラテ エ クロワッサン シルブプレ)」と。フランス語に10年以上触れてなくても、そして2回も不可を取った苦手科目ではあるけれども、「すみません、カフェラテとクロワッサンください」という片言のフランス語くらいは言えるもんなんだなと我ながら感心した。カフェラテは3.9ユーロ、クロワッサンは1.95ユーロだった。

 ところがこのカフェラテもクロワッサンもどうしたものか。まずカフェラテは水が何となく変なにおいがして、コーヒーそのものの旨味が全く感じられない。専用のコーヒーメーカーで入れていたはずなのに。でもこのカフェラテよりもひどかったのがクロワッサンだった。おいしいロワッサンは外がさくっと、中がふわっとした食感だけど、ここのは外も中もべちゃっとしていた。あと、味もバターが固まったような味がする。これはひどい。結局一口食べただけでそっと紙袋の中にしまってしまった。本場パリで食べるクロワッサンに過度な期待をしていただけに、実際との落差が激しくなってしまったのかもしれないけど、クロワッサンじゃなくてクソワッサンと命名してもいいくらいのショックだ。  


<ターミナルにあるカフェ>

<カフェラテとクロワッサン>

 でも文句を言っても仕方がないので、あまりおいしくないカフェラテを飲みながらローマの地球の歩き方を見つつ、ローマ便の出発を待つ。午後6時にローマ行きの搭乗が始まったので、さっさと搭乗する。さようならフランス。今度はきちんとパリの街中に出て観光できるようにします。  


<そろそろ出発時間のゲート>

<18時20分のローマ行きに乗ります>

 夕方6時20分発のローマ行きはアリタリア航空運航するAZ0327便。今回、アリタリア航空の成田—ローマ直行便にしようかどうか迷ったけど、トランジットがあっても少し値段が高くてもJALで行こうと思ったのは、アリタリア航空の評判があまり良くないからだった。でも実際に乗ってみるとCAさんは男も女も陽気で、これと言って悪い部分はなかった。まあ、パリ—ローマの2時間弱の飛行ならいいけど、13時間近い長時間飛行だと粗が見えてくるのかもしれない。機内ではおやつのクッキーがおいしかった。ちなみに紅茶の入ったコップには「紅茶——この世界で最も有名な飲み物は、イタリア語で“TE”と書きます」と書かれています。 


<夕暮れのシャルルドゴール国際空港>

<機内食(?)のクッキーと紅茶>

 定刻よりやや遅れて8時50分にローマフィウミチーノ空港に到着。日本時間だと既に翌日早朝4時50なので、日本の自宅を出てからちょうど丸一日が経った。さすがに疲れてきた。スーツケースがなかなか出てこなくて、まさかロストバッゲージかと思ったけれど、20分くらいして何とか出てきたのでほっとする。大切な資料をスーツケースに入れていたので、ロストバッゲージしたら大変なところだった。

 ようやく荷物が出てきたので、さっさとローマテルミニ駅に向かうレオナルドエクスプレスの乗り場へ向かう。ところがこのホームまでがかなり長かった。荷物の受け取り場所からかなり速足で歩いて15分もかかるとは。 


<ローマ フィウミチーノ空港に到着>

<ようやく荷物が出てきた>

<トレニタリアのホームまでが長い>

<トレニタリア フィウミチーノ空港駅>

 ここでテルミニ駅行きのレオナルドエクスプレスの切符を買う。ローマ市内に行く手段はバスや普通電車などいろいろあって、料金はどれも大体10ユーロ以下だけど、空港からノンストップのレオナルドエクスプレスはお値段14ユーロとそこそこ高い。でももう既に夜も遅いし、初めての土地なので大事を取ってレオナルドエクスプレスに乗ることにする。ちなみにイタリアの鉄道ではチケットを買っただけでだめで、乗る前にホームにある機械でバリデーション(利用開始手続き)をしないといけないので要注意。 


<21時38分のレオナルドエクスプレスに乗る>

<切符は必ずバリデーションをしないといけない>

<普通列車(左)とレオナルドエクスプレス(右>

<快速レオナルドエクスプレス>

<レオナルドエクスプレス>

<連結しています>

 レオナルドエクスプレスに乗って一路ローマ市内へ。終点テルミニ駅まではノンストップで30分。列車の中は値段の割にはもうちょっと頑張ってほしい感じもあるけど、まあ日本の成田エクスプレスなんかと比べたらいけないか。。 


<レオナルドエクスプレス車内>

<車内その2>

 10時10分にローマテルミニ駅に到着。夜のテルミニ駅はかなり治安が悪いと聞いていたので、ここからは写真も撮らずに一目散に駅前のホテルを目指す。確かに10時を過ぎたテルミニ駅は人が少なく、いるのは浮浪者かガラの悪そうな少年たちだったので、あまり近寄らない方が良いのかもしれないと思った。でも水がないので後で買いに来ないといけない。

 駅前にあるベットーヤホテルメディトラネオに無事チェックイン。4星の大型ホテルで、1泊16000円と結構な値段がする。しかもこれに1泊6ユーロの宿泊税が加わるので、実質は1泊17000円くらいになる。郊外に行けばもっと安いホテルがあるかもしれないけれど、初日の到着が遅くなること、初めての土地であること、一応学会報告という仕事があることなどなどを考慮して、高くても安心感のある駅前大型ホテルにした。そろそろ安心感を求めていかないといけません。

 部屋はシングルで予約しておいたはずが、ダブルに変更されていた。やった、と思ったらシングルベッドを2つくっつけただけの代物で、真ん中に寝ると段々と2つのベッドが離れていくという困りもの。これだったらシングルにして、床の面積を広めにしておいてくれた方がよかったのに。。他の部分もかなり年季が入っているホテルで、はっきり言ってこれで16000円かと思った。次第にそんなところは気にならなくなっていくのだけど。


<1泊16000円の部屋に5泊>

<バスルームはそこそこ綺麗>

 ホテルに着いた時点で疲労困憊だったので、今すぐにでも寝たいところだったけど、水がないと困るので水を買いに行く。ガイドブックを見るとテルミニ駅の地下に24時まで営業している有名なスーパーがあるというので、おっかなびっくりしながら行ってみることにする。東京の駅と違って夜のテルミニ駅はかなり人が少なく、人とすれ違うのがやや怖い。かなりびくびくしながらスーパーを探し、何度か間違いながらもようやく発見。コナドというスーパーで、品ぞろえもなかなか豊富だった。水1.5リットルが0.4ユーロとなかなの破格だったので、2本ほど買っておく。こういう安い水を見ると、シャルルドゴール空港で買った500mlで2.4ユーロもする水は何だったんだと思う。あとはイタリアのビールと惣菜のピザも。ワインの品ぞろえがかなり豊富で、一本買って滞在中にちびちび飲もうかと思ったけど、8月の北イタリアでワインに懲りたことを思い出したのでやめておいた。


<夜11時のテルミニ駅>

<11時を過ぎて静かなテルミニ駅>

<ビールとピザ>

<ビールモラッティを飲んで一日お疲れさま>

 ホテルの部屋に戻り、イタリア時間も夜12時を回った。日本だと既に朝8時。昨日の朝自宅を出てからこれまでのことを思い出し、またどっと疲れが出てきたので、とりあえずビールを飲んで疲れを癒しながら、ガイドブックを見つつ明日の予定を考える。明日から学会は始まるけれど、学生の報告と理事会、前夜祭のようなものがあるだけなので僕は特に参加する必要がないらしい。ということで明日は丸1日空きそう。せっかくだし、観光するかな。


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