誕生月の九州旅行記 2
2015年5月30日()  <福岡→長崎→佐世保→鳥栖→湯布院→大分>


<福岡→長崎>

 昨日は結局ほとんど寝られず、ようやく30分くらいうとうとしたかな、というところで4時半にセットしていた目覚ましがなった。寝られないので亡くなった今いくよくるよの漫才をスマホで見てしまい、さらに寝られなくなるという悪循環だった。昨日は最後に戻してしまうし、睡眠不足を解決できないどころかさらに積み重ねてしまって先が思いやられる展開になってしまった。

 そうは言ってももう九州に来てしまったので、支度をして5時30分前にホテルの部屋を出る。泊まったホテルは家族経営のために夜は施錠されていて、5時半前に開けてくれるということだったので、静かなフロントで5分くらい待っていると、奥の部屋からホテルのおじいさんが出てきて玄関を開けてくれた。今回は出発が6時前の電車だったのでよかったけど、もう少し早く出発する必要が場合は今回のホテルではちょっと厳しいかな。博多駅から近いのに安くて家庭的なところはすごくよかったけれど。

 ホテルを出て徒歩2分の博多駅まで歩いていく。空を見るとまだ晴れているけれど、雲が多くてどんよりした雰囲気が漂っている。これまで晴天が続いていた九州地方も、今日は全域で朝の時点から雨になるという予報だったので、何か日頃の行いが悪いんだろうかと思ってしまう。体調が悪いと全てがマイナス思考になってしまっていかんいかん。


<ホテルから博多駅は目の前>

<朝の博多駅>

<まさに列車で行く九州の旅に出かける>

<中央改札口から出発>

 マイナス思考はさておき、とりあえずここからHAPPY BIRTHDAY KYUSHU PASS(以下、誕生日パス)を使った3日間の新幹線・特急豪遊旅行が始まる。記念すべき最初の乗車は5時58分発の特急かもめ1号で終点の長崎まで。ホームに上がってしばらく待っていると、九州新幹線が全線開通する前に特急つばめとして使われていた787系の特急がやってきた。


<博多駅>

<特急かもめ1号で長崎へ>

<朝の博多駅ホーム>

<昔つばめだった787系のかもめ1号>

 この787系電車には、グリーン席のさらに上を行くデラックスグリーン席(DXグリーン)が用意されている。誕生日パスでもDXグリーンの予約ができるということで、早い段階で3席しかないDXグリーンの1席を押さえてもらっていたのだった。ということで少しテンションが上がりつつ、グリーンの1号車に乗車。グリーン席の先、半個室になっている部分に3席だけのDXグリーン席があった。

 出発まで少し時間もあったし、他にDXグリーンに乗ってくる人もいないようだったので、マニアよろしく写真を撮りながら感心する。まず1席当たりの専有スペースが広くて、僕が座って足を伸ばしても前の壁につくことがない。そして驚くべきは座席のリクライニング角度で、体感的には飛行機のビジネスクラス以上、下手するとファーストクラス並のほぼフルフラットに近い状態にまでなる(ファーストにもビジネスにも乗ったことないけど)。あと、1車両にたった3席しかないというプレミア感ね。こんな切符でもないと乗ることはないので、太っ腹なJR九州に感謝感謝。


<1号車はグリーン車>

<787系には3席だけデラックスグリーンがある>

<グリーン車の先にDXグリーン>

<かなりゆったりしたDXグリーン>

<電動ボタンで自動リクライニング>

<最大限に倒すとこんな感じ>

 DXグリーンに浮かれていたら出発時間になったようで、定刻の5時58分に出発。結局博多駅出発時点ではグリーン席にも1人しか乗って来ず、その1人もいつの間にか降りていたので、グリーン車は終点の長崎までほぼ僕一人の貸切に近い状態だった。それはそれで占有感があって嬉しいけど、福岡と長崎という九州の主要都市同士を結ぶ看板列車が土曜始発とはいえこの乗車率だと寂しい気もする。

 昨日あまり寝られず、体調もすこぶる悪かったので、シートを最大限まで倒してゆっくりと横になることにする。いやはや、電車に乗っているとは思えないほど快適だった。今回は九州各県の県庁所在地にほとんど立ち寄るつもりだけど、唯一佐賀にだけは残念ながら立ち寄らない。ということでかもめで佐賀を通過したのでその写真だけ。佐賀は最近熱気球が盛んで大会も開かれているということで、今日もいくつかの気球がふわふわと空を漂っていた。気持ちよさそうだけど、天気大丈夫なんかな?雷も鳴りそうだったし。


<今回佐賀はこれだけ>

<佐賀は気球の盛んな場所でもある>

 その後もDXグリーン席にずっしりと身を沈め、博多から約2時間、8時ちょうどに終点の長崎に到着。この時は全く頭が働いていなかったようで、大きな荷物を荷物入れに入れたままで電車を降りてしまった。改札を通ろうかというときにハッと気が付いて慌てて車内に戻る始末。かもめ1号は回送になって車両基地へ運ばれるということだったので、もし荷物を置き忘れてしまったら最初から予定が狂ってしまうところだった。危ない危ない。まさかあんなに大事で大きな荷物を忘れてしまうとは。


<終点長崎に到着>

<長崎に到着したかもめ1号>

<隣には白いかもめも>

<長崎は終点>

 5年振り4回目の長崎。目ぼしい観光スポットは過去にほとんど行っていて、残すは稲佐山の夜景くらいになっている。そういうことなので、今回長崎ではあまり時間を取らず、朝食を食べて今も発掘が進む出島の整備状況でも見に行くくらいかなと思っていた。でも長崎に着いた瞬間に雨が降り出し、体調不良もあって雨の中歩くのが面倒臭くなってしまった。まさに長崎は今日も雨だった状態。一応傘は買ったけど、重い荷物を背負って濡れながら観光もなあ・・・ということで、今回は長崎観光をすっぱりと諦め、朝食を食べるだけにした。せっかく長崎に来ているのにもったいない、と言われそうだけど、4回目ともなるとさすがにそろそろいいかなあという気にもなってくるので諦めが早い。あまり全国各地を旅するのも考え物です。


<長崎駅近くの歩道橋から市電を見る>

<市電が分岐していく>

<長崎は急斜面に家が立ち並ぶ>

<長崎駅>

 そうと決まれば9時13分発の列車に乗ることに決め、駅構内で簡単な朝食を取ることにする。僕の中で長崎に来たら外せないのはちゃんぽんでも皿うどんでもトルコライスでもなく、岩崎本舗の角煮まんじゅう。東京のデパートの物産展でも岩崎本舗が出店してれば必ず買ってしまうという、魔法の角煮まんじゅう。今回も実は長崎に行く一番の目的は岩崎本舗の角煮まんじゅうだったと言っても過言ではない。ということで、駅のお土産街にある岩崎本舗で蒸し立てを1つ買った。1個390円かな。本当は2つ食べたいけど、体調が悪くてまた戻してしまったら大変なので泣く泣く1個にしておく。

 角煮まんじゅうを買って駅の待合室に戻ろうとしたら、蒲鉾屋で不思議な食べ物を売っているのを発見した。店員さんに聞くと、長崎のB級グルメ「ハトシロール」で、海老のすり身を食パンで挟んで揚げたものらしい。食パンを油で揚げるなんで、高カロリーもいいところじゃないかと思ったけど、店員さんが「今揚げたてですよ!」というのでついつい1つ買ってしまった。1個270円。僕はこういうご当地ものの出来立てに非常に弱い。

 角煮まんじゅうとハトシロールとお茶を持って駅の待合室へ行き、電車が見えるカウンター席に陣取って今日の朝食。角煮まんじゅうは間違いのないおいしさで、自然とにやけてしまいますなあ。ハトシロールは不思議な食感だったけど、デブ御用達の食べものになることだけは分かった。おいしいですよ。でも1個で十分かな。


<角煮まんじゅう>

<海老のすり身を食パンで挟んで揚げたハトシロール>

<長崎→諫早→佐世保>

 朝食を食べてゆっくりとしていたら次の列車の時間になったので、再び改札を通って0番乗り場へ。次に乗る9時13分発の長与経由竹松行きは普通列車で、いわゆる旧線経由でのんびりと諫早まで戻ることにした。地図を見ると長崎本線は喜々津から浦上まで二手に分かれているけど、このうち北側の方が先に開通した旧線で、南側の方が後に高速化を目指して開通した新線らしい。こういうとき、大体は何らかの事情があって新線が作られているので、旧線の方は険しい山間を通って風光明媚なことが多かったりする。ということで今回はのんびりと旧線経由で列車に揺られることにした。

 9時13分、長崎駅を出発。結局長崎には1時間ちょっとしかいなかった。まあ長崎はまた来ることがあると思うので、その時に稲佐山の夜景でも見に行こう。


<9時13分の列車に乗ってとりあえず諫早まで>

<シーサイドライナーの列車で運転>

 旧線経由は思った通り景色が良く、長崎特有の山の高いところまで開発された様子が見えたかと思えば、しばらくすると左手に大村湾を見ながら進むという風景の移り変わりがあって面白い路線だった。天気があまり良くなかったのが残念だ。やがて喜々津で新線と合流して、9時58分に諫早に到着。


<列車内>

<段々畑や棚田が多い車窓>

<しばらくすると目の前に海が見えてくる>

<諫早の手前ではしばらく左手に海を眺めながら>

 諫早では30分ほど乗り換えの時間があったので、駅の外に出てみる。諫早も5年前に立ち寄った記憶があるけど、その時と比べるとJリーグのVファーレン長崎の応援が凄いことになっていた。駅や街が「おらがまちのサッカーチームを応援だ!」という感じで旗やポスターだらけ。何かすごいな。V長崎は今年J2とのことなので、頑張ってください。ちなみに個人的に諫早は偉大なる先輩lovebeerさんの故郷。雨が降っていなかったらもう少し散策してみたかった。


<昔のスタイルの駅名票>

<ちょっとテレ朝をバカにしたような感じのポスター>

<諫早駅>

<V・ファーレン長崎の応援がすごい>

 諫早10時34分発のシーサイドライナーに乗って長崎県第2の都市佐世保へ。このシーサイドライナーは長崎から新線経由でやってきたので、諫早ではほとんどの席が埋まっていたけれど、辛うじて窓際の席を確保した。でも確保できたのは海が見える左側じゃなくて山が見える右側。まあこればっかりは仕方がないか。別に海が見える景色に憧れがあるわけでもないしな。

 11時43分、終点の佐世保に到着。佐世保は多分7年振りくらい。でも今回は佐世保ではジャスト1時間しか時間がなく、街をじっくりと見て歩くことができない。佐世保はいずれ松浦鉄道に乗って平戸を訪れるときに拠点にしたいと思っているので、今回は涙を呑んで先に進むことにする。


<シーサイドライナーの終点佐世保>

<佐世保駅>

<正式には「JRの」日本最西端駅ね>

<やなせたかし作の佐世保バーガーマンが>

 佐世保滞在の1時間を利用して昼食。佐世保と言えば佐世保バーガー、レモンステーキと名物があるけれど、今回は悩んだ末にちゃんぽんにした。どうやら駅前においしいちゃんぽんの店があるということで、食べログでチェックしておいたのである。ということでそのチェックしておいた香蘭へ。看板メニューのたまご入りちゃんぽんを注文する。出てきたちゃんぽんは野菜がたっぷりで、思った以上に麺も野菜も量が多かった。そしてスープの角が立っていない。生卵を混ぜているからかもしれないけど、まろやかでほっとする味だった。いい意味で家庭的というか。体調が思わしくなくて胃が弱っているときにはちょうどいいな。


<駅前の建物にある香蘭>

<たまご入りちゃんぽん(800円)>

 体調が良ければこの後佐世保バーガーでも、ということになったかもしれないけど、まだまだ予断を許さない状況だったので佐世保バーガーは諦めて余った時間で駅前をぶらぶらする。駅前の三浦町教会を見て、「ああ前に教会の中に入ったなあ」とか、駅裏の海を見て、「ああ前にここで夕焼けを眺めたなあ」とか、皆で来た7年前の正月のことを思い出した。


<佐世保駅前>

<佐世保駅前の海>

<佐世保→鳥栖→湯布院>

 海を見て黄昏ていたらいい時間になったので、駅のキオスクでお茶と角ハイボールを買ってホームへ。次に乗るのは12時43分発の特急みどり16号博多行。グリーン車が付いているので、もちろんグリーン車に乗る。ただこの特急みどりに充当されている783系にはDXグリーンがないので、今回は一般的なグリーン車になる。そして783系はちょっと古いので、グリーン車自体も古いのは否めない。みどりは1号車の半分がグリーン車になっていて、僕にあてがわれたのは一番後ろの一人席。やっぱり早く予約するといい席を割り当ててもらえるね。

 古いと行ってもグリーン車なので、座席は一般席に比べれば快適。少し体調も回復してきたので、旅行気分を盛り上げるために(そして睡眠導入剤として)角ハイボールを1本飲むことにする。僕の目論み通り、ハイボールを飲むことでほんの少しの区間だけ眠ることができた。雨が降っていなかったら景色を眺めようとしていたと思うので、どんよりとした天気にも感謝だな。


<特急みどり16号で博多方面へ戻る>

<北へ向かう松浦鉄道はまたいずれ>

<特急みどり16号(783系)>

<みどり16号のグリーン車>

<背もたれの幅が厚い、重厚なつくり>

<体調も少し良くなってきたようなので、ハイボール>

 佐世保から約1時間半、14時11分に鳥栖駅に到着したのでここで降りる。鳥栖駅は九州の鉄道の要所で、駅も広い。でも最近は通過駅になって利用する人が少ないと聞いていたのに、今日は思った以上に人が多い。何かあるのかな、と思って駅を散策してみると、今日は駅近くのベストアメニティスタジアムでサガン鳥栖対浦和レッズの試合が行われるとのこと。みどりの窓口の駅員さんも気合入りまくりで、サガン鳥栖のユニフォームを着たりしている。キックオフは19時だったので、あと5時間近くもあるけど、多くの人がスタジアムに向かっていた。しかも雨の中。九州のサッカー応援はすごいな。

 駅を利用するほとんどの人ががサガン鳥栖のサポーターかと思ったら、博多からやってきた電車には浦和レッズの赤いユニフォームを着ている人もいた。その中には明らかに標準語のカップルがいたけど、まさか埼玉からわざわざやってきたのかしら。だとしたらサッカーチームのサポーターでいることは大変だな。アウェイ戦の度に応援に出かけていたら、いくらお金があっても足りやしない。


<交通の要所、佐賀県の鳥栖駅>

<歴史ある長いホーム>

<鳥栖駅の外に出てみた>

<今日は浦和レッズ戦があるらしい>

<サガン鳥栖のホーム、ベストアメニティスタジアム>

<珍しく(?)ナイトゲーム>

 そんな対浦和レッズ戦に熱が上がる鳥栖駅とサポーターを眺めつつ、鳥栖駅のホームで次の列車を待つ。次に乗るのは鳥栖駅を15時ちょうどに発車する、特急ゆふいんの森5号由布院行。いよいよ観光列車です。JR九州は今でこそ数多くの観光列車を運転しているけど、その元祖とも言えるのがこの「ゆふいんの森」。登場は1989年3月なので、今年で27年目のベテラン。僕はこのゆふいんの森に長年乗ってみたいと思っていた。今回も念入りに準備し、このゆふいんの森に乗れるような日程を組んだ。座席も早い段階で進行方向右側の窓際という景色がよく見える席を押さえた。もう満喫する気満々である。

 15時ちょうどにゆふいんの森がやってきたので乗り込む。おお!これこれ!!という感じでワクワクしながら自分の席に着く。幸い隣は空いている。いやこれは助かったな、と思ったら、直前でチケットを取ったために仲間と一緒に座れなかったと思われる中華系外国人(男)が隣に座った。まあこればっかりは仕方ない。今日は満席だって言ってたし。冷静に見てみると、少なくとも同じ車両の乗客の半分か下手したらそれ以上は中華系もしくは朝鮮系の乗客だった。特に中華系のパワーと言ったら。最近の中華系のパワーには目を見張るものがある。


<次は特急ゆふいんの森5号>

<ゆふいんの森がやってきた>

<車内。まだ空いている>

<玖珠川を眺める>

 ゆふいんの森の売りはビュッフェで様々な品を買えることで、座席にはメニュー表が備えつけられている。僕もそれを見ながら、何を飲もうか食べようかとワクワクしていた。ところがこのワクワクして周りを見てなかったのがいけなかった。いざビュッフェまで買いに行こうと隣の中華系外国人を見ると、もうそれはひどい格好で寝ているのである。足は通路にはみ出るくらい伸ばし、腕は明らかに僕の領土を侵している。さらに首まで傾けて、まるで僕の肩を枕にしているかのような体勢になっている。おまけにイビキもかき出す始末。さすがにこれでは僕も全く身動きが取れない、というか何でリゾート列車で肩をすくめて乗らないといけないのか。

 という感じで途中から怒り心頭になったけど、小心者の僕は彼を起こして文句を言うこともできず、ただひたすら耐えるしかなかった。これじゃあ楽しみにしていたビュッフェにもいけないよ、とほほ・・・という感じである。全くこういうところは公共スペースなんだから、節度ある眠り方をしてほしいもんだ。

 そうこうしているうちに車内販売のお姉さんがやってきたので、「このメニューに載っているものはビュッフェに行かないと買えないんですよね?」と一応聞いてみた。お姉さんは「そうですね。メニューに載っているものはビュッフェにお越しいただくことになってます」と言ったけど、その後で僕の隣のぐっすり中華系外国人をしばらくじっと見て、「・・・よかったら席までお持ちしましょうか?」と言ってくれた。僕はお姉さんのご厚意に甘え、安心院(あじむ)ワインの赤とゆふいん燻家鶏もも身の燻製をお願いする。するとお姉さんは車内販売を一旦中止してビュッフェに戻り、しばらくして僕の注文した品を持ってきてくれた。JR九州の観光列車の客室乗務員はレベルが高いとは聞いていたけれど、この時ばかりは臨機応変に対応してくれて、冗談じゃなく神様ここにあり!と思ったほどだった。どうもありがとうございます。乗務員さんのおかげで私もゆふいんの森でワインとおつまみを楽しむことができました。

 肝心の安心院ワインはかなり甘口。でも鶏もも身の燻製が温かくて、この赤ワインに合う。余裕が出てくると車窓にも目が行くもので、ワインを飲みながらゆったりとした時間を過ごせるようになった。相変わらず隣の外国人は大きな態度で寝ていたけど。。


<持ってきてもらった安心院ワインと鶏もも身の燻製>

<車窓いろいろその1>

<車窓いろいろその2>

<車窓いろいろその3(慈恩の滝)>

 16時44分、終点の由布院駅に到着。ワインと鶏ももの燻製は楽しめたけど、ビールとか弁当とかは買えなかったし、何よりリゾート列車と言われる車内を全く堪能できなかったのが心残りだった。やっぱりこういう列車は途中駅から乗るのではなく、始発の博多駅から乗るべきだったかもしれない。また次の機会を楽しみにしておこう。

 由布院(もしくは湯布院)は去年の夏に来たけど、あのときは駅近くには寄らなかったし温泉にも入らなかった。今回は駅周辺の「ザ観光地」なので、温泉に入りつつ由布岳をバックにした雄大な写真でも撮ろうと思っていた。でも雨がますますひどくなり、由布岳が見えるどころか駅から一歩も出られないような状況になってどうしようもなくなる。ゆふいんの森で到着した人たちは皆タクシーや送迎バスで各宿泊先に行ってしまい、いつの間にか寂しくなる駅前。とりあえず雨が弱まらないことにはどうしようもないので、しばらく駅で待つことにした。もしこのまま雨が弱くならないようだったら、予定より1本早い列車で今日の宿泊先の大分まで行ってしまおうと。


<由布院駅に到着>

<由布院駅から大分方面>

<黒い由布院駅>

<大雨になってしまった>

<ゆふいんの森が折り返して博多に戻る>

<駅前の手湯>

 20分くらい待つと何とか外に出ても大丈夫かな、というような雨になってきた。折角由布院まで来たんだし温泉に入らずに帰るのもどうかと思い、駅から一番近い公衆浴場へと歩いていく。駅から5分くらいで乙丸温泉に到着。管理人のオジサンに入浴料200円を渡して早速風呂へ。本当に近所の人が使う公衆温泉浴場という感じで、旅行者で来たのは僕くらい。夕方なので人が多いかと思ったら、ちょうどラッシュが始まる前だったらしく、人が少なくて快適だった。ここは加水・加温・塩素なしという、まさに源泉かけ流しの温泉。泉質自体も単純温泉で癖が強くないので長く入っていられる。さっぱりして気持ちよかった。温泉に入ると気持ちが落ち着くなあ。


<駅から近い乙丸温泉>

<帰りに少しだけ由布岳が見えた>

<湯布院→大分>

 温泉を堪能して由布院駅に戻る途中、少しだけ由布岳が見えた。というかこんなに大きく見えるのか、という感じの現れ方でちょっと度肝を抜かれる。晴れていたら大迫力なんだろうなあ。去年の夏は近くではっきり見たけど、見る角度によって見え方が違うのは当然なので、街中から由布岳を見てみたかった。

 その後、次に乗る列車の時間まで、夕方になって静かになった由布院駅でぼんやりとする。昼間は観光客で賑わう駅も、夕方になると落ち着きを取り戻す。僕が次に乗る18時19分発の大分行き普通列車も、地元のおばさん達や少年少女がぽつぽつと乗ったくらいだった。18時19分、列車は定刻通り大分に向けて出発。


<湯布院駅>

<由布院駅のホーム>

<大分行き普通列車>

<段々と日が暮れてきた>

 日が沈むのが遅い九州と言えども、雨だと夕方6時半を過ぎれば車窓は見えなくなってしまうもので、そうなると温泉の気持ちよさもあってうとうとしてしまい、気が付くと1時間近く経っていて大分に着く手前まで来ていた。大分に近づくにつれて若者が多くなってきて、これから大分の繁華街で飲むのだろうか。19時18分、今日の最終目的地、大分に到着。大分駅前は整備が終わって、今風の垢抜けた感じになっていた。2008年に来たときは古い駅のイメージしかなかったのが、7年で随分と変わったなあ。


<大分駅に到着>

<本当に綺麗になった大分駅>

 駅構内のお土産売り場で明日の朝食用の駅弁を買ってから予約しておいた駅前のホテルへ。このホテルの部屋は一見普通だけど、部屋の隅々に掃除のし残しがあったり、ユニットバスの隠れたところがカビだらけだったり、テレビの位置がよくないうえに映りがよくなかったり、正直言って外面だけのシティホテルだとがっくりした。極めつけはエアコンで、今シーズンまだ誰もつけてなかったからなのか、冷房のスイッチを入れたら吹き出し口(っていうのか?)を覆っているバーの裏面が一面びっしりとカビだらけだった。さすがにこれには参りましたよ。喘息持ちなのでさすがにそんな状態の冷房を付けるわけにもいかず、この日は夜の暑さにちょっと参った。


<本日のホテル。まずテレビの位置がよくない。>

<大分のアーケード街>

 昨日からの疲れがピークに達していたので、今日は外で飲むことはせずに、あらかじめ目を付けておいた持ち帰りの弁当を買ってホテルの部屋で食べることにした。本当はホテルの部屋で食べるのは嫌だけど、疲れているので仕方がない。目を付けていたのは大分のアーケード街にある五車堂。大分の老舗洋食店とのこと。まだ店でも食べられそうだったけど、弁当という形式で食べてみたかったので、あえて持ち帰りにした。メニューを見ると昔ながらのディスプレイでちょっと心が躍る。豚カツ、カレー、エビフライ、サンドイッチなどなど、魅力的なメニューでいろいろと悩んだ挙句、今回はチキンビジネスランチのご飯大盛りにした。ランチと言っても一日中やっているらしい。注文してから作るので10分ほど待ってくれということだったので、その間に近所のスーパーで脂肪の吸収を抑える黒烏龍茶を買ってくる。

 10分後、出来上がったホカホカのお弁当を受け取ってホテルへ。弁当の入れ物のイラストが昔懐かしい感じがしていい。中身もてんこ盛りで、チキンカツとハンバーグという、子供が喜びそうな組み合わせ。どこが「ビジネス」なのかは分からないけど、もし子供の頃にこの弁当を出されたら小躍りしただろうな。今でも小躍りするけど。チキンカツはサクッと揚がっていて、ハンバーグは肉汁が滴るタイプとは正反対の丸大ハンバーグ的な感じ。でもそれが良い。おいしかった。次は本当の出来立てを店で食べてみたい。


<大分の老舗洋食店、五車堂>

<古き良き、という感じがする>

<弁当にした>

<チキンビジネスランチ(ご飯大盛り)(950円)>

 食事中にゆらゆらと揺れたので近くで地震かなと思ってテレビを付けたら、震源は小笠原辺りで、関東の方が結構揺れたとのこと。大分でもこれだけ揺れるのかとちょっとびっくりしながらチキンカツとハンバーグを平らげた。ご飯の大盛りがちょっときつかったかな。ここは元から量が多そうなので、普通盛りでも十分っぽい。

 その後はあまり映りのよくないテレビでふしぎ発見を見ながら、10時前に就寝。久しぶりに十分な睡眠を取れることになった。   


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