誕生月の九州旅行記 3
2015年5月31日()  <大分→別府→阿蘇→熊本→三角→鹿児島→宮崎>


<大分→別府>

 実質二日目は朝5時15分起床。昨日は10時前に寝たので、久しぶりにぐっすりと寝られた気がする。ということで昨日までのだるさが嘘のように寝起きからすこぶる体調が良い。やっぱり睡眠は重要だな。カビだらけエアコンのおかげで冷房をつけられず、夜中に暑くて何度か目が覚めてしまったのが残念だ。

 支度をしてからホテルをチェックアウトし、大分駅へ。3日前くらいの天気予報では、九州は土日とも雨で、よりによって何でこんなときにという気持ちだった。でも雨雲が想定よりも早く通り過ぎるらしく、前日の時点では今日は晴れの予報に。今日は今回のメインである阿蘇横断と三角線ハイボールの旅が待っているので、予報が晴れに変わったことは本当にありがたい。でも朝の時点では少なくとも大分は厚い雲に覆われていて、本当に晴れるのかという感じがしないでもない。


<ホテルの部屋から見る大分駅前>

<駅前の大友宗麟像>

<木のぬくもりがする大分駅>

<改札内も何となくオシャレなようなそうでもないような>

 誕生日パス2日目の一発目は隣町の別府へ行き、温泉で朝温泉と決めてきた。ということで大分駅5時58分発の特急ソニック6号に乗って別府まで。別府は隣町なのですぐに着いてしまうのだけど、誕生日パスのおかげで特急自由席は乗り放題なので、わずか1駅7分の距離なのに特急に乗るという贅沢なことをさせてもらう。まだ朝早いためか、ソニックの自由席はほぼ貸切状態だった。昔はかなり奇抜な色使いをしていた883系のソニック(通称青いソニック)だけど、改装によって車体が深い青一色に統一され、車内もシックな感じに変更されたので、個人的には新しい方が落ち着く。昔のは目がチカチカするような内装だったからなあ・・・。


<シンプルな大分駅の駅名標>

<特急ソニック6号博多行に乗る>

<特急ソニック6号(青いソニック)>

<別府までたった7分なので自由席で十分>

 7分で別府に到着。別府は去年の夏に出張でほんのちょっとだけ立ち寄って以来。あのときは慌ただしく移動したので、今日はじっくりと別府駅周辺を見てみる。すると早速ホームから改札に降りる階段に、なかなか古そうというかパソコン黎明期に作ったのではないかと思われる看板があった(下部右上の写真)。80年代から90年代前半に作られた広告独特の感じというか。そしてホームから見えるのは小学校の修学旅行でも行ったケーブルラクテンチの山。まだ営業してるんだな。別府の良いところは昭和的な古さだと思っているので、これはこれで悪くないというかテンションが上がってくる。


<温泉の街、べっぷに到着>

<古い感じのする看板>

<温泉県で売り出している大分県>

<別府駅前>

 駅を出て目的の温泉まで歩いていく。駅を出てすぐのところにあるのが市営浴場の駅前高等温泉。簡易宿泊施設でもあり、宿泊もできる。実は今回、最初の構想ではこの駅前高等温泉に泊まろうと思っていた。でも電話をしてみると2600円で泊まれる1人用客室は既に満室で、相部屋になる大広間での宿泊なら大丈夫と言われて諦めたのだった。大部屋の宿泊料金は1600円でかなり魅力的ではあったけど、さすがに知らない人と一緒に寝るのは気が引ける。でも実際に見てみると、思ったよりも味がある建物だったので、やっぱり泊まってみてもよかったかなあと少し後悔した。個室が空いていればなあ。今回は悔しいので駅前高等温泉には入らず、別の温泉へ行くことにした。


<駅前高等温泉>

<別府駅前の通り>

<駅前の飲み屋街を通って目的の温泉へ>

<道をまっすぐ行くとラクテンチのケーブルカーにぶち当たる>

 別府駅から歩いて5分くらいのところにある「てんぐの湯」へ。ここは別府でも数少ない24時間営業の温泉で、比較的規模も大きい。カプセルホテルとか休憩室とかカラオケとかが併設されている中の温泉なので、街中によくあるサウナみたいな位置付けなのかもしれないけど、そういうところでも源泉かけ流しの温泉になっているところがさすが別府というか。ということで500円払っててんぐの湯へ。朝早かったのでまだほとんど人もおらず、ゆっくりと朝風呂を堪能することができた。

 風呂から上がって休憩室のようなところで朝食にする。朝食は昨夜大分駅で買っておいた「山海三昧(さんかいざんまい)」。この駅弁、今年行われた第11回九州駅弁グランプリで優勝した駅弁らしい。約1300円と駅弁としてはかなり高かったけれど、折角の機会なので買っておいた。大分の誇る山と海の幸を凝縮した弁当ということで、湯布院牛の炙り握りやとり天握り、焼き鯖ずしなどなどが入っている。ただ、安全を考えて一晩中冷蔵庫で冷やしておいたのがいけなかったのか(一応消費期限は今日の朝になっていたけど、要冷蔵と書いてあった)、どうにもこうにもご飯が冷たくて固くなってしまっていた。完全にこちらのミスなんだけど、ちょっと期待外れだったかな。


<今年の九州駅弁グランプリで優勝した山海三昧>

<湯布院牛の炙り握りやとり天握りなど>

<別府→阿蘇>

 朝食後、駅に戻る。今日はここから大移動。まず別府7時50分始発の九州横断特急1号に乗って阿蘇の立野駅まで行く。九州横断特急は別府・大分から豊肥線経由で熊本を経て人吉まで行く特急で、阿蘇山や球磨川流域を走ることから観光特急の一つとして位置付けられるらしい。グリーン席はないので別に指定席を押さえておいた。九州横断特急が入線してくる頃にはようやく日が差してきて、これなら阿蘇の景色も期待が持てそうだ。


<温泉マークが新しく貼られている別府駅>

<7時50分発の九州横断特急1号に乗る>

<九州横断特急がやってきた>

<別府駅での九州横断特急>

 2両編成の特急の乗ると、僕の後ろの席は中華系のカップル、通路を挟んだ4人組も中華系のカップルと、ここでもやっぱり中華系の勢力が凄い。阿蘇は中国や台湾の人に人気の観光地らしく、これについては後で嫌というほど思い知ることになる。


<九州横断特急の横顔>

<1号車の指定席車両>

 定刻の7時50分に出発。まずは大分に戻る道筋で、目の前にはお猿で有名な高崎山が、左手に朝の別府湾が見える。朝日が海に反射して眩しいなあ。九州に来てようやく太陽を見ることができて、気分も上向いてきた。大分を出てしばらくしてから進行方向を西向きに変え、九州の山岳地帯をの中を通って一路阿蘇・熊本方面へ。途中で客室乗務員のお姉さんが乗車記念証と裏面に押すスタンプを持って、「記念にどうですか?」と回ってきたので僕も一枚お願いした。昨日のゆふいんの森では記念乗車証とスタンプがあるビュッフェまで行けなかったので、こういうサービスはありがたい。他にも日付入りパネルを持って「記念写真はどうですか?」とも回っていた。僕はお願いしなかったけど、後ろや隣の中華系外国人観光客は楽しそうに撮影してもらっていた。JR九州の特に観光特急の客室乗務員はサービスのレベルが高いとは聞いていたけど、確かに相手に強制しない程度のさりげない気配り加減が絶妙だった。


<小学校の修学旅行でも行きました高崎山>

<大分までは海沿いを走る>

<大野川に沿って阿蘇を目指す>

<記念乗車証にスタンプを押した>

 長い坂ノ上トンネルを抜けるといよいよ阿蘇地域。トンネルを出るとそこは阿蘇カルデラの中で、進行方向右手に北側の外輪山、南側に阿蘇五岳が見えるということになる。でも残念ながらまた天気が悪くなってしまい、結局厚い雲に覆われてしまったために、特に阿蘇五岳の方はあまり景色がみえなかった。それでも外輪山の方は比較的はっきりと見えて、カルデラ内に広がる一面の水田と一緒になった風景は恐らく今回の旅一番だった。列車が走っている場所はカルデラで、大昔は湖の底だったことを考えると、何だか不思議な気持ちになってくる。

 途中の阿蘇駅で中華系観光客はほとんど降りて行った。恐らく彼らは草千里とか中岳観光でもするんだろう。僕も本当なら中学校の修学旅行以来の中岳観光でもしようとかと思っていたのだけど、この生憎の天気では雄大さも半減してしまうだろうということで今回は見送ることにした。そのかわり、今回は鉄道の旅を満喫することにすることにし、阿蘇カルデラの入り口に位置する立野駅を目指すことにしたのだった。


<阿蘇カルデラの北側を走る>

<北側の外輪山。大観峰辺りかな?>

<北側の外輪山その2>

<水田と外輪山の風景が画になる>

<南側の阿蘇五岳方面。曇ってあまり見えない>

<阿蘇カルデラの入り口、立野地区にそろそろ到着>

 立野駅の直前で列車は1回スイッチバックをする。一駅前の赤水駅が標高465mで、立野駅が277m。次の瀬田駅が170mと標高差があるため、スイッチバックをしないと列車が上り下りできないとのことだった。立野駅自体もスイッチバックの途中に位置している駅なので、実質は三段式スイッチバックになっているらしい。立野駅が近付くにつれて景色が開けてきて、カルデラの切れ目から遠くに熊本市街が見え始めるようになった。この勾配差を上り下りしないといけないのだから、確かに大変だな。

 ということで車窓に目をやってスイッチバックする様子を見ていたら、さっきの客室乗務員のお姉さんが僕のところにやってきた。何か悪いことしたかな?と思ったら、誕生月である僕にわざわざお誕生日おめでとうございますと書かれた手書きのメッセージカードを届けてくれたのだった。検札のときに、僕が誕生日パスを使っていること、そして立野駅で降りることを把握して、立野に着く少しタイミングで持ってきてくれたらしい。ついでにプレゼントということで飴も何個かいただいた。いやー、これはちょっとびっくりしたなあ。まさかここまでしてもらえるとは。ちょっとこっぱずかしかったけど、その恥ずかしさを上回る嬉しさがあった。どうもありがとうございました。JR九州のサービス精神はすごいな。


<わざわざ誕生日カードをくれた>

<飴も普通より多めにもらえた>

 誕生日カードをいただき、10時26分に立野駅に到着。降りたのは僕一人だった。スイッチバックの駅で、乗ってきた九州横断特急1号が遠ざかるのを見送った。


<立野駅に到着>

<秘湯の里とスイッチバックのある駅>

<阿蘇地域の位置関係が良く分かる>

<スイッチバックの案内図もあった>

<南阿蘇鉄道と立野駅>

 今回は立野でJRの旅を小休止し、南阿蘇鉄道に乗り換える。南阿蘇鉄道高森線は阿蘇カルデラの南側、立野と高森を結ぶ全長17.7kmの三セク鉄道路線で、元々国鉄高森線だったもの。高森線は高森から先さらに高千穂、延岡まで延伸計画があり、全線開通していたら結構な観光路線になっていたのではないかとも思う。

 南阿蘇鉄道への乗り換えまで30分くらいあったので、静かな立野駅で雄大な阿蘇の景色を眺めつつ、「この静かでゆっくりとした時間を過ごすのが旅行の醍醐味だな」とか思いつつゆったりとした時間を過ごしていたのだけど、南阿蘇鉄道の高森発のトロッコ列車がやってきて一気に賑やかになった。到着したトロッコ列車から吐き出されてきたそこそこ大量の乗客で、一気に街中の喧騒みたいになる。うーん、さっきまでの雰囲気が台無しだ。降りてきた乗客の多くはほとんど中華系の親子連れで、とにかく喧しい。

 ただ彼らは1時間後の折り返しトロッコ列車に乗って高森に戻るだろうから、普通列車に乗る予定の僕にとってはここだけの我慢だと思っていた。僕もトロッコ列車に乗ってみたかったけど、時間の都合上今回はどうしても諦めざるを得なかった。でも今回ばかりはその予定が良い方向に転びそうだな、普通列車だったら中国人の喧騒から離れてゆったり過ごせそうだし・・・と思っていた。

 ところが蓋を開けてみると、トロッコ列車に乗ってやってきた中華系観光客のほとんどが折り返しの普通列車に乗るらしい。駅のホームに1両編成の普通列車がやってきて、その列車に大量の中華系観光客が乗ろうとしていたときの驚きは今でも忘れられない。まさにテンションだだ下がりだった。普通列車には誰も乗らないだろうと余裕ぶっこいていた僕は、駅の歩道橋から写真を撮ったりしていたので、席確保バトルに明らかに出遅れてしまい、辛うじて空いていたロングシートに座らざるを得なくなった。そして車内で飛び交うかなり大きめの中国語(多分)。子供が多く、その叫ぶような声ももちろん中国語(多分)。うーん、想定していたのんびりローカル線の旅とちょっと違うぞ・・・。


<JRの駅に隣接する南阿蘇鉄道立野駅>

<今回は乗らないトロッコ列車がやってきた>

<この1両編成に乗る>

<まさかの混雑。9割中華系外国人の図>

 僕以外は皆中華系外国人ではないかと思う感じで、11時3分に立野駅を出発。ロングシートなので景色があまり見えないうえに、隣に座っていたオジサンの会話の声が大きくて全然落ち着かない。立野駅を出てすぐに訪れる絶景ポイントの第一白川橋梁も全然見えなかった。想定していた南阿蘇鉄道の旅はこんなんじゃない!とイライラ感が高まっていったので、途中で席を立って空いていた後部の乗車口のそばを陣取った。これが正解で、乗車口のところなので外の景色が良く見える。やっぱりロングシートに座るよりも、立って景色を眺めた方がいいな。

 基本的に進行方向右手の乗車口窓側に立っていたので、見える風景は外輪山の南側の風景だった。南阿蘇鉄道の沿線風景も基本は水田と山々という感じで、田んぼの水面に映る山々が何とも言えない。途中駅には「南阿蘇水の生まれる里白水高原駅」という、現時点で日本で一番長い駅名を持つ駅があり、ちょうど駅名票が見えたのでホームとともに写真を撮ってみた。写真を撮ってみたら「南阿蘇水の生まれる里」の部分が水色で読み辛く、「白水高原」の部分だけが白抜きになっていた。これ、別に単なる白水高原駅でもいいんじゃ・・・?


<田んぼと外輪山>

<南阿蘇水の生まれる里白水高原駅>

 立野から約30分、11時35分に終点高森駅に到着。乗っていた中華系外国人客は散り散りにどこかへ消えて行った。僕も高森駅付近をゆっくりと散策したかったけど、今回は時間の都合上、今乗ってきた列車で折り返すことにする。


<高森駅に到着>

<高森駅>

 高森駅で15分ほど過ごし、折り返し11時50分の列車で再び立野へ。今回は中華系ではなく韓国のツアー客がたくさん乗ってきた。たださっきよりは人数も少ないので、比較的車内は落ち着いた感じで、僕もロングシートであれば余裕を持って座れそうだった。でも今回も景色を眺めるために、敢えて最初から後面の展望スペースを陣取って立つことにした。そして立野までの約30分は立ちっぱなしで景色を眺めっぱなし。見る位置が違うので、行きとはまた違う風景を見ることができて、なかなかいい感じ。天気の方も少し回復してきたようで、北側には九州横断特急からは見られなかった阿蘇五岳が見えてきた。南阿蘇鉄道は車窓が抜群だな。これで晴れていたら言うことなかったけどなあ。


<乗ってきた列車で折り返し>

<高森駅を出発>

<地下水を守るん田゛>

<トロッコ列車とすれ違う>

<水田と外輪山>

<北側の阿蘇五岳も見えてきた>

 立野駅が近付き、行きはきちんと見られなかった白川第一橋梁からの眺めをじっくりと見る。川面からの高さは64.5mで、現在日本一の高さになっているらしい。観光のために徐行してくれるのだけど、覗き込むとかなり高い。橋に手すりのようなものがないし、これはちょっと強い風が吹いたら大変だろうな。この白川第一橋梁はアーチ式になっていて、外側から眺めてもよさそう。


<白川第一橋梁から眺める渓谷>

<白川第一橋梁を行く>

 白川第一橋梁を過ぎ、もう一つの立野鉄橋を経て、12時18分に立野に到着。韓国のツアー客達は立野駅まで迎えに来ていた観光バスに乗ってどこかへ行ってしまったので、個人的には2時間振りに立野駅に静寂が戻ってきた。これこれ、この雰囲気ですよ。。

 次に乗る特急まで40分近くあったので、立野駅周辺をぶらぶらする。まずさっき通った立野鉄橋を見に行く。本当は白川第一橋梁を見に行きたかったのだけど、そこまでいくと往復で40分以上かかりそうだったので諦めざるを得なかった。それでも立野鉄橋を見られただけで満足。こういう橋に魅せられる人が多いのも分かる気がする。


<立野駅に戻ってきた>

<立野鉄橋を見に行った>

 その後は立野駅より少し高いところにある国道57号線を歩きながら、周りを眺めてみた。立野は外輪山の切れ目の部分に位置しているので、その切れ目がよく分かる。そしてこの高低差があるのによく鉄道を走らせようとしたなと思う。あと、この辺りから太陽が照り出して汗をかき始めた。重い荷物を背負っている中で高低差がある場所を歩いたので、背中の汗が凄くなる。雨とか曇りだったらどうして晴れないんだと文句を言うのに、晴れたら晴れたで暑いじゃないかどうにかならんのかと文句を言う。単なるクレーマーというか我儘オジサンになってしまったな。でも暑い。


<立野駅近くの国道>

<立野から見る阿蘇五岳。煙がもくもくと出ている>

<外輪山の切れ目。切れ目の向こうは熊本市街>

<国道から見ると立野駅は谷の場所にある>

 ということで南阿蘇鉄道と立野駅周辺を満喫して、次の行程へ。立野駅13時1分発の特急あそぼーい102号に乗って熊本へ向かう。熊本までは約40分。あそぼーいは子供向け特急という意味合いが強くて、車内には親子連れしか座れない白いくろちゃんシートとか、子供向け小図書館とか、遊戯スペースがある。実際に今回も親子連れが多く、子供達は遊戯スペースで木のボールの海に溺れていた。僕は普通の指定席に座り、冷房の効いた車内で少し落ち着きを取り戻す。ちなみに僕の後ろに座っていたのはまたもや中華系カップルで、阿蘇観光で疲れたのか肩を寄り添って寝ていた。

 落ち着いてから少し車内を散策する。先頭にはパノラマシートがあり、3名が座っていた。今回は立野から熊本という、どちらかというとあそぼーいの運転区間の中では都市部だったのでパノラマシートは取らなかったけど、阿蘇カルデラを走るときに乗るのならパノラマシートを取るのもいいかもしれない。パノラマシートの後ろはフリースペースになっていて、特急のモチーフになっているのくろちゃんグッズが飾られていた。写真を撮ろうかと思ったけど、台湾からの観光客と思われる女性3人がものすごい勢いで写真を撮りまくっていたので入る隙がなくてちょっと遠慮してしまった。中華系観光客のパワーには勝てないな。

 車内放送で「大人プリンと子供プリンを売っています」ということだったので、ビュッフェに行って大人プリンを購入。1個330円。子供プリンの方はあそぼーい限定だったそうだけど、さすがにオジサンが一人で子供プリンを買うわけにもいかないしなあ。もちろん大人プリンもおいしかったですけどね。


<特急あそぼーい102号>

<犬の名前はあそくろえもん>

<側面はくろえもんだらけ>

<指定席>

<パノラマシートもあった>

<親子で座る白いくろちゃんシート>

<電車内のインテリア>

<大人プリンを買った>

<A列車で行こうで三角線往復>

 13時41分に熊本に到着。熊本駅に来るのは九州新幹線が全通してからは初めて。駅前広場も綺麗に整備されていた。熊本では次の列車まで約1時間あったので、駅から歩いて7、8分の場所にある黒亭ラーメンで昼食を取ろうと思って歩いていく。ところが店が見えるところまできて、店前に行列ができているのが分かった。そうか、今日は日曜の昼だもんな。さすがに並んでいると次の列車に間に合わない可能性があるので、さっと諦めて駅に戻った。久しぶりに黒亭のラーメンを食べたかったけど、本来の目的ではないのでまあ仕方がない。


<武者返しの熊本城をあしらった熊本駅の駅名標>

<新幹線が開業した熊本駅>

<階段にくまモン>

<お土産屋もくまモン>

 くまモンがいっぱいいる熊本駅構内。そのレストラン街を覗いてもあまり食指が動かなかったので、駅弁を買って次の列車の中で食べることにした。買ったのは八代の有名駅弁、鮎家三代の塩焼きバージョン。あとはおやつとして熊本名物のいきなり団子を買っておいた。本当は熊本駅の駅弁を買いたかったのだけど、どうやらこれぞ熊本駅という駅弁はないらしい。

 駅弁といきなり団子を持って、高架になった熊本駅在来線5・6番ホームへ。ここから天草の玄関口である三角駅までを、特急の「A列車で行こう」に乗って往復する。このA列車で行こうに乗ることは今回の旅行の一番の目的だったと言っても過言ではない。親子連れ向けのあそぼーいと比べて、こっちは大人向け仕様になっている。列車到着前後でジャズが流れ、カウンターにハイボールサーバーが用意されているのもその証拠。僕はこのハイボールを飲むことを楽しみにしていた。

 ホームで待っていると、ジャズのA列車で行こうが流れてきて、列車のA列車で行こうが入線してきた。黒と金が基調になっていて、何となくゴージャスで大人な感じがしないでもない。今回はツアー客も多くいたけど、乗客のほとんどは日本人。さすがに中華系の観光客もここまでは来ないか。


<特急A列車で行こう5号に乗る>

<A列車で行こう>

<Aはアダルトと天草を意味している>

<行きで乗るのは指定席2号車>

<1号車のカウンター>

<天草を意識したステンドグラス>

 発車後間もなくして、1号車にあるカウンターに行く。皆考えることは同じようで、結構混雑していた。5分くらい待ってハイボールを1杯お願いする。ハイボールは普通のハイボールと「Aハイボール」という熊本県産のデコポンを使った甘いハイボール、それに季節限定の晩柑を使った「Bハイボール」の3種類が売られていた。とりあえず最初は普通のハイボールを注文して、その実力を見てみようと。ハイボール類は520円とさすがにちょっと高いけど、こればかりは仕方がない。

 ハイボールを受け取って席に戻り、買っておいた鮎屋三代で遅めの昼食にする。鮎屋三代の甘露煮バージョンは食べたことがあったけど、塩焼きバージョンは初めて。塩焼きなので鮎そのものの味がよく分かる。僕は塩焼きの鮎の場合頭から尻尾まで骨も含めて全て食べるのだけど、焼いてから時間が経っているので全体的に柔らかくなっていて、逆に食べ辛い部分がある。でも食べた。鮎を食べてハイボールをキュッとやる。右を向けば広がる有明海。最高ですね。


<鮎屋三代塩焼き>

<球磨川でとれた鮎の塩焼きが乗っている>

<もちろんハイボール>

<ちなみにハイボールは専用サーバーで入れてくれる>

 ただこのA列車で行こうの運行区間である三角線はそんなに長くなく、40分足らずで終点三角に着いてしまう。今回も弁当を食べ終わったらあと5分で三角に到着という慌ただしさだった。A列車で行こうの唯一の弱点はこの時間の短さかもしれない。もう少しゆっくりと堪能したかったなあ。ということで、15時17分、終点三角に到着。1時間後の折り返しまで三角駅周辺をぶらぶらする。


<終点三角駅に到着>

<三角駅に到着したA列車で行こう>

<三角駅構内>

<三角駅>

 三角に着くころは完全に晴れて気温も上がり、もう夏という感じ。三角は昔から天草への玄関口として栄えた場所で、駅から歩いてすぐのところに港がある。その港に行ってみると、マリオ3の5面で出てきたようなタワーが出てきた。あの通称う○こタワー。どんなものかと入ってみようとしたら、改装中なのか入ることができなかった。残念だ。そもそも港全体の工事を行っているらしくて、立ち入り可能な場所が限られている。そんな限られた場所から天草の方を眺めた。風景を眺めながら、まだ行ったことがない天草、一度行ってみたいなあ・・・とか思っていたのだけど、よく考えたら天草は既に2回も行っているじゃないかと。なんで天草に行ったことがないと勘違いしてしまったのだろうか。鉄道でここまで来たことがないからかなあ。


<三角港とマリオに出てきそうな建物>

<港から天草を眺める>

 外は暑かったので港の隣にある物産館へ。手作りの弁当とか惣菜とかパンとかもあって、どれもこれもがおいしそうで買いたくなったけど、食欲の鬼になってはいけないのでぐっとこらえる。そのかわり熊本のお菓子を買っておいた。三角銘菓のムルドル通りと、玉名の高瀬飴。東京に戻ってから食べることにする。


<三角銘菓のムルドル通り>

<玉名方面の名物の高瀬飴>

 そんな感じで時間を潰していたら帰りのA列車で行こうの時間になったので、再び三角駅に戻ってA列車で行こう6号に乗車。今度もツアーの団体客が多い。帰りはバーカウンターのある1号車の席で、2号車とは座席の模様が違っていた。こういうところまで凝っているのがJR九州の凄いところだと思う。

 列車の写真は行きに思う存分撮ったので、帰りは列車の扉が開くと同時に席に荷物を置き、何はともあれバーカウンターに向かう。行きよりもツアー客が多かったのでバーカウンターは絶対に混むと思い、行きの経験を活かして先手を取ることにした。案の定、初めて乗るであろうツアー客他の皆さんは外で列車の写真を撮りまくっている。そんな中で今度は限定のBハイボール(季節限定の晩柑を使ったハイボール)と天草のドーナツを買った。列車が発車する頃にはカウンターに行列ができていたので、僕の取った行動は正解だったらしい。わずか40分の乗車時間で行列に15分とかは勘弁願いたい。行列を尻目に有明海の風景を見ながら、天草のドーナツを食べつつBハイボールを飲む。幸せですねえ。勝手が分かっている分、行きよりもゆったりとした時間を過ごせた。


<16時20分発のA列車で行こう6号で戻ります>

<帰りは1号車の指定席>

<Bハイボールと天草のドーナツ>

<有明海の風景>

 A列車で行こう6号は17時ちょうどに熊本駅に到着。ということで今回の一番の目的であったA列車で行こうの旅を満喫することができた。ハイボールも2種類飲めたし言うことなしだ。勝手が分かったので、次に乗るときはもう少しゆったりとできるだろう。

<熊本→鹿児島→宮崎>

 A列車で行こうの旅が終わり、今日は後は移動だけ。まずはこの旅初めての新幹線で、熊本から鹿児島中央まで一気に南下する。新幹線ホームに行くと、日曜日の夕方ということもあって博多方面行のホームは結構混雑していた。一方で鹿児島方面のホームはそんなに人も多くない。


<新幹線さくらで一気に鹿児島まで>

<熊本駅の新幹線ホーム>

 A列車から15分の乗継で、17時15分熊本発のさくら559号鹿児島中央行きに乗車。誕生日パスの威力を利用してグリーン車に乗る。新幹線のグリーンはやっぱり快適だ。昨日のDXグリーンと比べるとシートピッチとかリクライニング角度とかは負けてしまうけど、何といっても早くて快適。ただ、あるオジサンが靴を脱いでその臭いを存分に周囲にぶち撒いていたのはいかがなものか。足の臭いは下手したら公害ですからねえ・・・。


<さくらのグリーン車>

<グリーンではお決まりのおしぼり配布>

<八代付近の車窓>

<水俣から出水辺りの車窓>

 やっぱり新幹線は速く、わずか45分で終点の鹿児島中央駅に到着。


<終点鹿児島中央駅に到着>

<N700系のさくら>

<グリーンは6号車でした>

<函館からつながっている路線もここで終わり>

 鹿児島に来るのも2010年の出張以来5年振り。でも今回は日程の都合上、鹿児島は通過するだけになってしまった。暑いので白くまを食べたかったけど。とりあえず鹿児島中央駅の外に出てみると、駅の建物自体が結構変わっていた。あの特徴的だった大階段がなくなっている。そもそも前に来た時も駅の色が赤から黒に変わっていたのに、また全面的に変えたのか。鹿児島中央駅はその名前も含めて、ここ20年くらいで大小含めて3回くらい改装されてませんかね?


<鹿児島は午後6時過ぎでもまだ26度もある>

<階段がなくなっていた鹿児島中央駅>

 続いて鹿児島から宮崎へ。宮崎へは新幹線が通じてないので、ここからはまた在来線になる。今日最後に乗るのは、鹿児島中央18時28分発の特急きりしま18号宮崎行。地図で見ると鹿児島宮崎間は鹿児島熊本間の半分くらいの距離だけど、時間は3倍に相当する2時間かかる。新幹線が滅茶苦茶速いのか、それとも鹿児島宮崎間の路線が悪くて遅いのか。多分どっちもだな。


<新幹線の次は在来線>

<特急きりしま18号宮崎行きに乗る>

<特急きりしま18号>

<西郷どんと桜島の駅名標>

 2時間かかるのでここでもグリーン車を押さえておいた。きりしまは昨日乗ったみどりと同じ783系で運用されているので、グリーン車も同じく1号車の半室分12席だけになっている。ただ、鹿児島と宮崎間の移動が少ないのか、グリーン車には最初から最後まで僕一人だった。夜が迫るなか、右手に錦江湾と桜島を眺めながら一路宮崎へ。明るいうちはまだよかったけど、外が暗くなると薄暗いグリーン車に一人というのは少し寂しくなる。宮崎県に入った頃には真っ暗になり、トンネルでもないのに明かりが全くなく、スマホの電波も圏外になったりして、寂しいを通り越して少し不安になった。この列車は一体どこを通っているのだろうか、と。


<グリーン車に一人>

<曇って頂上が見えない桜島>

 不安で寂しい気持ちになりながら、20時38分、終点宮崎駅に到着。宮崎駅構内は既に店じまいといった感じで、もしまだ開いていたら買おうと思っていたなんじゃこりゃ大福の日高も閉まっていた。そして明日の朝食を買おうと思っていた駅弁屋も既に閉まっていた。


<本日の最終目的地、宮崎に到着>

<九州の県庁所在地駅で唯一自動改札ではない宮崎駅>

<なんじゃこりゃ大福を買いたかった>

<日付の表記が皇紀になっている>

 予約していたホテルは繁華街の方だったので、宮崎駅から15分くらいてくてくと歩いて行く。ホテルにチェックイン後、暑くて汗をかいていたのでシャワーを浴びてすっきり。泊まったのはエアラインホテルで、1泊3500円というかなりの破格だったけど、中身は今回泊まった3か所のホテルで一番整っていたかもしれない。宮崎は物価が安くて助かるな。


<夜の橘通り>

<3日間のホテルの中で一番整っている>

 一息ついたらもう9時半を過ぎていたので、急いで夕食に出かける。宮崎に来たらやっぱり宮崎地鶏だよなあということで、以前宮崎在住のあおかつ君に連れて行ってもらった軍鶏隠蔵へ行くことにした。人気店なので席が空いているかどうか不安だったけど、カウンター席が空いていたので端っこに座ってメニューをじろじろと見る。地鶏料理は高いので一人だと割高になりがちなところ、ここの店には「お一人様で宮崎地鶏堪能セット」という、いろいろな鶏料理を半分の量で出してくれるお得なセットがあったのでこれを注文した。セットは2600円なので一人飲みにはありがたい。

 せっかく宮崎に来たので、最初から黒霧島でいくことにした。ここは少量の焼酎でもとっくりに入って出てくるので、自分で濃さを調整できるのがありがたい。割りものはソーダにして、黒霧島の焼酎ハイボール。1杯目から黒霧島のソーダ割りというのもいいものです。

 セットの料理はサラダ(鶏肉入り)、むねみたたき、もも焼き、チキン南蛮、大手羽炙り焼きの合計5品。最初はどれもハーフの量だったので足りるかなと思ったけど、ハーフと言ってもどれも結構な量があったので、最終的にかなり満腹になった。そしてどれもおいしい。中でもメインのもも焼きは噛むとギュッとした歯ごたえとともに肉汁が出てきてたまらない。これだけで宮崎に来てよかったと思う。地鶏のセットで満腹にはなったけど、〆として冷汁の小サイズを注文してさらさらと流し込んだ。料金は4000円弱で、一人でこれだけ食べられるのならむしろ安いくらい。おいしかったなあ。


<夕食は軍鶏隠蔵へ>

<まずは黒霧島のソーダ割りで乾杯>

<ぐんけいサラダ>

<むねみたたき>

<プレミアムもも焼き>

<ちきん南蛮>

<大手羽炙り焼き>

<〆に冷汁>

 地鶏に満足してホテルへ。ホテルに戻ると既に11時過ぎで、明日も早いので日付けが変わる頃には就寝。


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