スペイン旅行記 1
2015年10月30日() 1日目 <東京→ヘルシンキ→シッチェス>


<初めてのスペインへ>

 国際学会で報告するために一週間ほどスペインに行くことになった。昨年のちょうどこの時期にもローマで開催された国際学会に行ったので、偶然にも2年連続この時期に欧州で開催される国際学会に行って報告するということになった。去年の一件でちょっとは慣れたとはいえ、やっぱり国際学会での報告は精神的な負担が大きい。今年も行く前から憂鬱な気分だった。

 自宅を6時半に出て、吉祥寺6時52分発の成田エクスプレスに乗って成田空港まで。最近では1年に2回は乗るこの中央線経由成田エクスプレス。普段は特急はおろか中央特快すら停まらない吉祥寺なのに、成田エクスプレスだけは停まるというのが謎だが(そして中央特快が停まる中野には成田エクスプレスは停まらない)、吉祥寺に停まるのでありがたく乗らせてもらう。


<吉祥寺に停まる成田エクスプレスで>

<朝の中央線>

 成田エクスプレスに乗ったらいつの間にか寝てしまったようで、気が付いたら成田空港に到着するところだった。まだ飛行機の時間まで3時間近くあったので、搭乗手続きや両替などを先に済ませてしまう。搭乗手続きは機械でやろうと思ったら、2か月前のドイツ出張のときと同じように「機械では対応できないので係員窓口まで」という表示が出てしまう。またかと思ってカウンターに行って手続きしてもらうと、今回はすんなり発券された。通路側の席になります、と言われたので、ああよかったと思って搭乗券を見ると、いつも目にする席番号よりも大分番号が若い。あとでネットで確認したら、今回はどうやら非常口席を割り当てられたようで、上級会員でもない僕がなぜ?と思ったけれど、せっかくの機会なのでありがたく足元の広い席を使わせてもらうことにする。

 足りなかった薬を買ったり、折りたたみ傘や機内用スリッパを買ったりしても時間が余ったので、とりあえず朝食を食べることにした。ただ、正直言って成田は羽田に比べるとレストランがしょぼい。羽田は国際線・国内線ターミナル問わず行ってみたい店が結構あるけど、成田は基本的に都内にもあるチェーン店くらいしかないし、朝は大体朝定食みたいなものしかやってない。この辺りがどうにかなったらいいのになあ、といつも思う。

 どこの店を見ても大体同じみたいだったので、そじ坊に入って朝定食(1150円)。空港じゃないところで食べたら700円くらいかもしれない感じの何てことない定食だけど、ご飯御替り自由ということで注文した。結果、ご飯を御替りして後悔した。これから機内食が出るのに食べ過ぎた、と。生卵とか温泉卵とかがあると、どうしてもご飯を2杯食べたくなってしまうのでいかんなあ。


<成田空港第二ターミナルに到着>

<日本的なハブアナイストリップ>

<そじ坊で和定食があるということで>

<和定食をいただきました>

 食後、もうやることもないので出国手続きをしてから搭乗口に向かう途中にある無料の休憩&仕事&wifiスポットへ行って、報告の準備を進める。9月のドイツ出張のときもこの場所を使ったのだけど、無料の割には結構使い勝手がいい。これだったらゴールドカードとかいらなくなるな。

 お仕事スポットでいろいろしていたらいつの間にか搭乗時間になったので、急いでパソコンをシャットダウンしてから搭乗口に向かおうとする。がこういう時に限ってパソコンが更新プログラムのインストールとかを始めてしまう。しかも19個とか。これからすぐに飛行機に乗らないといけないというのに、本当にタイミングが悪い。結局ボーディングブリッジに入って飛行機に乗る手前ぎりぎりまで粘ったものの、19個のうち18個までのインストールしか終わらず、残り1個は飛行機に乗るので強制終了ということになってしまった。この仕様、本当に困るんでどうにかしてください。

 何はともあれJAL413便ヘルシンキ・ヴァンター空港行に搭乗。最新鋭のボーイング787型で、エコノミー席もSkyWider2という最新の座席になっている。そして僕の咳は、案の定エコノミーの一番前にある足元の広い非常口席だった。おぉ、これは!と早速心の中で小躍りする。席に着いたらチーフパーサーの方がやってきて、挨拶と簡単な説明を受ける。やっぱりあれかな、2か月で2回もヨーロッパを往復するから、上級会員じゃなくても優遇してくれたのかな。


<JAL413便ヘルシンキヴァンター空港行>

<初めての非常口席>

<足元広々>

<個人モニターはこんな感じで引っ張り出す>

 ・・・と最初の頃は思っていたのだけど、いざ飛行機が動き出して時間が経つと、この席はあまりいい席じゃないんじゃないかと思い始めた。もちろん足元はプレミアムエコノミーはおろか、ビジネスクラスのものよりも広いし、食事が出てくるのがエコノミークラスで1番最初というのはあるのだけど、それ以上にマイナス点が多いような気がする。まずトイレが近いので、時と場合によっては自分の目の前でトイレを待つ人がたむろして全然落ち着かないこと、2つ目は個人モニターが引っ張り出す方式のために一般的な高さまで行かないから目線が低くなってしまって見辛いこと、3つ目は「前の席の下」という荷物の収納スペースがないので荷物を置けないこと、と結構いろいろある。

 その中でも極め付けは、子供の席が近くてうるさいということかもしれない。エコノミー最前列の中央部分(つまり非常口席の通路を挟んで隣の席)は小さな子供を持つ両親専用の席になっていて、今回も赤ちゃんクラスの子供2人に幼稚園児くらいの子供1人とお母さん2人、さらにはその後ろの席に父親が座っていて、申し訳ないけどちょっとうるさかった。子供が泣いたりはしゃいだりするのは仕方がないとしても後ろの席の父親がしょっちゅう立って子供の写真を撮ったり遊んだりする。父親が立つということは、僕の目の前に父親のお尻が来たりするわけだから、もう勘弁してくれ、という状態になる。飛行機の中で男のお尻の臭いなんてかぎたくないよ・・・。

 となかなかに期待を裏切られた感じにはなったが、言っても仕方がないのでビールを飲みながら映画を見て気分だけでも楽しむことにした。進撃の巨人の劇場版(前編)があったので、賛否両論あるしどんなものか試しに見てみようと思ったのだけど、これがいけなかった。人が食いちぎられて血が飛び散る映像なんて、食事中に見ちゃいけませんね。おかげで気持ち悪くなってしまった。進撃の巨人は、あの原作者のヘタな感じの画だからこそいいんだな。あと、ストーリー的に大分端折られてたり、原作とかなり違ったりと、もう別物として見るべきだと思った。何だよ「シキシマ」って。


<まずはヱビスとおつまみ>

<機内食は炊き込みご飯>

 テーブルも何となく不安定なので、パソコンを広げて報告の準備を進めることもできず、かと言ってみたい映画とか番組も特になかったので、「藤井フミヤの北八ヶ岳を登る」みたいな番組を子守唄替わりにして寝たり、ピンポンの1巻から3巻を見たりしていると、到着前の夕食の時間。今回は吉野家の「牛すき鍋膳」だった。去年ローマに行ったときは普通の牛丼だったので、ちょっとパワーアップしたかもしれない。「出汁しょうゆ入りたまご」という謎の黄色いどろどろした液体があったのには戦慄したけど、ご飯にかけるとおいしいことはおいしい。でもやっぱり、店で食べると400円ちょっとのものだから、わざわざ飛行機で出されてもなあ、という感じが否めない。おいしいんですけどね。


<夕食は二度目のAir吉野家>

<牛すき鍋膳だった>

 10時間以上の飛行を終えて、定刻よりも30分以上も早く、現地時間の14時20分(日本時間夜9時20分)、ヘルシンキ・ヴァンター国際空港に到着。ヘルシンキの気温は1度というアナウンスがあり、Tシャツに一枚羽織っていただけの僕は驚愕する。ただ、基本的には空港内にいるので、寒さはあまり関係ない。まだ2時過ぎだというのに夕暮れのような感じになっていて、北欧に来たなと思う。


<ヘルシンキに到着>

<午後3時前にして夕暮れのような雰囲気>

 バルセロナ行きの飛行機の時間まで3時間ほどあったので、とりあえずターミナルをうろうろする。去年見つけられなかったムーミンショップを見つけようと探したら、見つかりました。せっかくなので記念に小さいぬいぐるみでも買ってかえろうかなと思って値段を見たら、一番小さいものでも20ユーロ(2800円)とか。。北欧の物価の高さをなめていた。


<ムーミンショップ発券>

<スナフキンでしょうか>

 ムーミンは諦めざるを得なかったけど、せっかくなのでビールくらい飲んでおこうと、ムーミンショップの向かいにあったカフェでビールと黒パンのサーモンサンドを注文して食べる。本当は去年の帰りに食べたサーモンスープを食べたかったのだけど、ここのカフェには置いてないらしかった。しかし北欧は食事も高い。この小さい黒パンが5.9ユーロ、ビール(ラピンクルタというフィンランドのビール)が9.1ユーロの合計で15ユーロ(2100円)ですよ。うーむ・・・と考えながらビールを飲み、パンを食べざるを得なかった。確かにビールもパンもおいしかったのだけど、日本人としては何となく納得がいかないというか。


<ビールと黒パンサンドで15ユーロ>

<黒パンサンドはおいしかったけど>

ちなみにカフェでは「SHUSHI」も売られていた。驚きはその価格で、小さい巻きずし4カンで8ユーロ、サーモンの巻きずし4カンと握り2カンで12.9ユーロ、巻きずし各種6巻とサーモン握り3カン、エビ握り3カンで22.9ユーロ(約3300円)と、ぼったくりとしか思えない価格設定になっていた。うちの近所のスーパーで売ってる京樽のサーモン握りだったら、4カン300円とかなのに。ちょっとぼったくりバーみたいな価格設定になっていて笑ってしまった。


<寿司も売られているが>

<たった4カンで8ユーロ!>

 カフェでビールを飲みながら時間を潰し、時間になったのでバルセロナ行きのフィンエアーに搭乗。一応JALとのコードシェア便になっているので、便名はJL6855便になっている。コードシェア便でもあるので、日本人乗客も多い。飛行機まではバスに乗って移動で、バスを降りてから飛行機に乗るまで外に出たのでさすがに寒かった。夕暮れのヘルシンキ、気温は氷点下だったに違いない。ただ雲一つない天気で、空気が澄んでいて夕焼けが綺麗だったので、どうせ前の方の席だし早く搭乗しても仕方がないので写真をパシャパシャ撮っていた。写真を撮っている僕を日本人と思われるオジサンがまじまじと見つめていて何か変な気分だったけど、折角の機会なので視線を関係なしにパシャパシャ撮った。


<いよいよバルセロナへ>

<バルセロナ行きフィンエアーに乗る>

<夕暮れのヘルシンキヴァンター空港>

<飛行機に乗る直前に一枚>

 ヘルシンキからバルセロナまでは3時間55分。約4時間というと、東京から北京にいけるくらいの距離がある。地図で見ると近いように見えるけど、同じ欧州でも端の国同士なので、何だかんだで結構時間がかかる。この約4時間というなかなかの時間を、3列シートの真ん中で過ごさなければならなくなって結構辛かった。窓側に座っている人はさっき僕をまじまじと見ていたおじさんで、通路側はかなり体系がよろしい欧州のオバサマ。肉が僕のテリトリーまではみ出してきている。。個人モニターもないし、JALと違って席が狭いし、これで4時間はきついなあ・・・。

 しばらくしてドリンクサービスが始まったので、紅茶をお願いする。すると僕の日本的な英語の発音を聞いたからか、窓側のオジサンが「日本の方ですか?」と話かけてきた。ここから結局、バルセロナにつくまでの3時間半くらい、ずっとオジサン喋りっぱなし(というかほぼ一方的に喋られっぱなしといった方が正しいかもしれない)になる。おじさんはスペインにオリーブの買い付けに行くようで、聞いた話や見せてもらった写真からすると、かなりの資産家のようだった。いろいろと面白い話も聞かせてもらったのだけど、ここではちょっと書けないのが残念だ。一つだけ言えるとすれば、結構フィンランドのことがお嫌いのようで、「フィンランドみたいな三等国」と言っていたことだろうか。

 飛行機の中では一応パソコンを広げて仕事をしようと思っていたのだけど、おじさんとのお喋りという予想外の展開に一回もパソコンを開けず、結局何もしないままで夜8時20分、バルセロナのエル・プラット空港に到着。東京の自宅を出てから22時間、ついにスペインまでやってきた。到着したエルプラット空港の第1ターミナルは2009年にできた新しいターミナルのようで、床がピカピカしている。そしてゲートによってはフランクフルト空港のように相当歩かされる。


<バルセロナ=エルプラット空港に到着>

<床がピカピカ>

 バゲージクレームで同じ飛行機に乗っていた共著者のO先生と落ち合い、タクシーに乗ってホテルへ。今回の学会はバルセロナから電車で30分ほどの場所にあるシッチェスという地中海のリゾート地で開催されるので、僕たちもそのシッチェスにホテルを取っている。空港からシッチェスまで電車でも行けないことはないけれど、夜遅いし、シッチェスの駅からホテルまで結構離れているし、そもそも二人ともスペインは初めてということで、お金はかかるけどタクシーで行くことにした。

 空港からホテルまでは20分で65ユーロかかった。高速代込みとはいえ、結構高い。電車なら4.1ユーロなので、一人当たりで約8倍。一応いろいろなウェブサイトを見て確認したところ、50ユーロ〜70ユーロくらいが相場みたいだったので、ぼったくられたということはないのだろうけど、やっぱり高いよなあ・・・。

 何だかんだでホテルにチェックイン。ホテルは海辺にあるようで、確かに海の匂いがしてくる。でも既に暗いので周辺がどうなっているのかは分からない。周りの景色は明日のお楽しみということかな。部屋はリビングと寝室が別々になっていて、それぞれの部屋がまあまあ広い。キッチンも付いているので、どちらかと言えば夏場のバカンスで長期滞在する人たちのホテルなのだろう。これで1泊1万円程度なんだから、去年のローマのホテル(シングルで1泊17000円くらい)に比べればかなり安い。椅子と机があると、仕事がしやすくて良いです。   


<ホテルのリビング>

<寝室>

<浴槽は普通>

<キッチンも付いている>

 荷物の整理をし終わったら、既に夜11時を回っていた。自宅を出てからちょうど1日と30分。さすがに疲れたので、シャワーも浴びずにすぐに寝る。


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